JP2012214864A - Snめっき材 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅又は銅合金条表面のリフローSnめっき層にCu−Sn合金層を部分的に露出させることで、Sn粉の発生を抑制することができるSnめっき材を提供する。
【解決手段】銅又は銅合金条2の表面にリフロー処理を施したSnめっき層6を有するSnめっき材10であって、最表面に露出したCu−Sn合金層4aの面積率が0.5〜4%であり、最表面から見て、前記Cu−Sn合金層の個数が0.033mm当たり100〜900個である。
【選択図】図1

Description

本発明は、コネクタ、端子、リレ−、スイッチ等の導電性ばね材として好適であり、銅又は銅合金条表面にリフロー処理を施したSnめっき層を有するSnめっき材に関する。
自動車用及び民生用の端子、コネクタ、電気電子機器の各種端子、コネクタ、リレー又はスイッチ等には、Snの優れた半田濡れ性、耐食性、電気接続性を生かし、銅又は銅合金条の表面にSnめっきが施されている(特許文献1)。又、Snめっき後にSnの融点以上に加熱して溶融するリフロー処理が施され、密着性や外観等を向上させている。
特開2006-283149号公報
ところで、上記したSnめっき層を有する銅材料(以下、「Snめっき材」と称する)をプレス加工してコネクタ等を製造する際、銅材料をパッドで押えるが、銅材料表面にパッドが接触することで銅材料表面のSnめっき層からSn粉が発生し、プレス機に混入するという問題がある。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、銅又は銅合金条表面のリフローSnめっき層からSn粉が発生し難いSnめっき材の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、銅又は銅合金条表面のめっき層をリフロー処理した後に最表面にCu−Sn合金層を部分的に露出させると、露出したCu−Sn合金層が最表面の純Sn層を保持し(ピン止めし)、Sn粉の発生を抑制することを見出した。
すなわち、本発明のSnめっき材は、銅又は銅合金条の表面にリフロー処理を施したSnめっき層を有するSnめっき材であって、最表面に露出したCu−Sn合金層の面積率が0.5〜4%であり、最表面から見て、前記露出したCu−Sn合金層の個数が0.033mm当たり100〜900個である。
本発明によれば、銅又は銅合金条表面のリフローSnめっき層にCu−Sn合金層を部分的に露出させることで、露出したCu−Sn合金層が最表面の純Sn層を保持し(ピン止めし)、Sn粉の発生を抑制することができる。
Snめっき材の断面構成を示す図である。 実施例1の表面のSEM像(反射電子像)及びその2値化画像を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るSnめっき材について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
(1)母材の組成
Snめっき材の母材となる銅条としては、純度99.9%以上のタフピッチ銅、無酸素銅を用いることができ、又、銅合金条としては要求される強度や導電性に応じて公知の銅合金を用いることができる。公知の銅合金としては、例えば、りん青銅、黄銅、チタン銅、コルソン合金等が挙げられる。
(Snめっき層)
銅又は銅合金条の表面には、リフロー処理を施したSnめっき層が形成されている。Snめっき層は、銅又は銅合金条の表面に直接めっきされ、又は下地めっきを介してめっきされる。下地めっきとしては、Ni、Cuが挙げられ、これらの1種類をめっきしてもよく、又は両方をNi,Cuの順にめっきしてCu/Ni二層下地めっきとしてもよい。
又、本発明の実施形態に係るSnめっき材は、一般的には、連続めっきラインにおいて、母材である銅又は銅合金条の表面を脱脂および酸洗の後、電気めっき法により下地めっき層を形成し、次に公知の電気めっき法によりSn層を形成し、最後にリフロー処理を施しSn層を溶融させる工程で製造することができる。Snめっきは公知の方法で行うことができ、例えば硫酸浴、スルホン酸浴、ハロゲン浴等を用いることができる。
(Cu−Sn合金層)
母材(銅又は銅合金条)2の表面にSnめっき後にリフロー処理を施すと、図1に示すように、母材(銅又は銅合金条)2中のCuが表面のSnめっき層6に拡散し、Snめっき層6と母材との間にCu−Sn合金層4が形成される。Cu−Sn合金層4は、通常はCuSn、及び/又はCuSnの組成を有しているが、上記した下地めっきの成分や、母材を銅合金としたときの添加元素を含んでもよい。
ここで、一般的なリフロー処理では、最表面に純Snを完全に残し、Cu−Sn合金層4が表面に露出しないようにしているが、本発明においては、最表面に0.5〜4%の面積率でCu−Sn合金層を露出させている。Cu−Sn合金層は純Snより硬いため、プレス加工時にパッドで最表面を保持する際に生じる擦り傷21が露出したCu−Sn合金層4aで止められ、擦り傷21が伸長して表面の純Snが剥離する(Sn粉)ことが抑制される。
最表面に露出するCu−Sn合金層の面積率を0.5〜4%とする。面積率が0.5%未満であると、Cu−Sn合金層による上記したピン留め効果が生じない。一方、面積率が4%を超えると、表面の純Sn量が少なくなって半田濡れ性、耐食性、電気接続性等が劣化すると共に、表面が鮫肌状となって外観も劣る。
Cu−Sn合金層の面積率は、Snめっき材の表面の走査電子顕微鏡(SEM)像の反射電子像を取得する。最表面に露出したCu−Sn合金層は、Snに比べて暗い画像となるため、この像を2値化した後反転して白い画像に変換し、Cu−Sn合金層の面積を求めることで算出できる。(2値化は、例えばSEM装置の輝度レンジ255中120に設定する)
又、Cu−Sn合金層の面積率を0.5〜4%に管理する方法としては、リフロー温度やリフロー時間の調整、Snめっき厚の調整が挙げられる。これらを調整することで、母材側から表面へのCu−Sn合金層の成長度合を制御し、最表面に到達する(露出する)Cu−Sn合金層の割合を制御することができる。
例えば、リフロー処理前のSn層の厚みは0.1〜5.0μmとすることができ、リフロー処理後の純Sn層の厚みも0.1〜4.5μmとすることができる。
最表面から見て、露出したCu−Sn合金層の個数が0.033mm当たり100〜900個であることが好ましい。より好ましくは露出したCu−Sn合金層の個数が200〜900個である。
最表面に露出したCu−Sn合金層の面積率を単に規定するだけでは、例えば粗大なCu−Sn合金層がわずかな個数露出する場合も含まれるが、この場合には、上記ピン止め効果が生じ難く、同じ面積率であっても最表面に多数のCu−Sn合金層が分散している方がよい。そこで、Cu−Sn合金層の個数を規定する。上記個数が0.033mm当たり100個未満であると上記ピン止め効果が生じ難く、900個を超えると表面の純Sn量が少なくなって半田濡れ性、耐食性、電気接続性等が劣化すると共に、表面が鮫肌状となって外観も劣る場合がある。
露出したCu−Sn合金層の個数は、上記した反射電子像を2値化して得られる白い画像の個数をコンピュータソフトウェアで数えて得ることができる。
タフピッチ銅を原料とし、表1〜表5に示す元素を添加したインゴットを鋳造し、900℃以上で厚さ10mmまで熱間圧延を行い、表面の酸化スケールを面削した後、冷間圧延と熱処理とを繰り返し、最後に最終冷間圧延で厚み0.2mmの板(母材)に仕上げた。最終冷間圧延での圧延加工度を10〜50%とした。
次に、この母材の表面を脱脂および酸洗の後、電気めっき法によりNiめっき層、Cuめっき層の順に下地めっき層を形成し、次に電気めっき法によりSn層を形成した。下地Niめっきは硫酸浴(液温約50℃、電流密度5A/dm)で電気めっきし、下地Niめっきの厚みを0.3μmとした。下地Cuめっきは硫酸浴(液温約50℃、電流密度30A/dm)で電気めっきし、下地Cuめっきの厚みを0.5μmとした。Snめっきは、フェノールスルホン酸浴(液温約35℃、電流密度20A/dm)で電気めっきし、Snめっきの厚みを1.2μmとした。各めっき層の厚みは電解式膜厚計で測定した。
次に、雰囲気をCO濃度1.0vol.%とした加熱炉中に、各試料を7秒間装入してSn層を溶融させた後、液温60℃の冷却湯洗槽を通して冷却し、表面にリフロー処理を施した最終製品を得た。なお、表1〜表5に示すように、加熱炉の温度および加熱炉中からの熱気を試料に送風するファンの周波数を変えた。加熱炉の温度およびファン周波数が高いほど、試料が良く加熱されてCu−Sn合金層が成長する。また、ファン周波数を高くすると、材料表面に吹き付ける風の作用により、Cu−Sn合金層の核生成が促進され、Cu−Sn合金層の粒径が小さくなる。
このようにして得られた各試料について、諸特性の評価を行った。
(1)Cu−Sn合金層の面積率
Snめっき材の表面の走査電子顕微鏡(SEM)像の反射電子像を取得した。最表面に露出したCu−Sn合金層は、Snに比べて暗い画像となるため、この像を2値化した後反転して白い画像に変換し、Cu−Sn合金層の面積を求めることで面積率を算出した。2値化は、SEM装置の輝度レンジ255中120に設定して行った。
(2)Cu−Sn合金層の個数
上記した反射電子像を2値化して得られる白い画像の個数をSEMに搭載されている粒子解析ソフトで数えて得た。
なお、この個数は、2000倍の倍率の面積(.0066mm2)につき5視野カウントして平均し、0033mm2当たりに換算した。
(3)Sn粉発生
試料を摩擦試験装置(スガ試験機株式会社製、スガ磨耗試験機)上に置き、試料表面にフェルトを載せ、フェルトの上に30gのウェイトを荷重した状態で、フェルトを試料表面で1cmの振幅で往復運動(走査距離10mm、走査速度13mm/s、往復回数15回)させた。
その後、試料側のフェルト表面を観察し、Snの付着度合を目視評価した。評価基準は以下の通りである。評価が△であれば、Sn粉の発生が殆ど無く実用上問題ないが、○であればより好ましい。
○:フェルトにSn粉の付着が見られない。
△:フェルトにSn粉の付着が薄く認められる。
×:フェルトにSn粉の付着が濃く認められる。
(4)はんだ濡れ性
JIS−C0053に従い、各試料のはんだ濡れ性を測定した。はんだ濡れ性が2秒以下であれば、実用上問題ない。
得られた結果を表1〜表8に示す。
表1〜表8から明らかなように、最表面に露出したCu−Sn合金層の面積率が0.5〜4%であり、最表面から見て、露出したCu−Sn合金層の個数が0.033mm当たり100〜900個であった各実施例の場合、Sn粉の発生が少なく、はんだ濡れ性にも優れていた。
一方、最表面に露出したCu−Sn合金層の面積率が0.5%未満である、比較例9,10,12,26,27,29、43,44,46,54、59,64,69,74,79,84、89,95,99,104,109,114,119,124,129,134,139,144,149,154,159,164,169,174,179,184,189,195,200,204,209の場合、Sn粉が多数発生した。
最表面に露出したCu−Sn合金層の面積率が4%を超えた、比較例14,16,17,31,33,34,48,50,51,56,61,66,71,81,86,91,111,121,140,145,151,155,171,175,181,206の場合、はんだ濡れ性が劣った。
また、最表面に露出したCu−Sn合金層の面積率が0.5%〜4%であったものの、最表面に露出したCu−Sn合金層の個数が900個を超えた、比較例11,28,45,75,94,100,115,130,135,160,165,185,190,194,199の場合、Sn粉発生は少ないがはんだ濡れ性が劣った。
また、最表面に露出したCu−Sn合金層の面積率が0.5%〜4%であったものの、最表面に露出したCu−Sn合金層の個数が100個未満である、比較例106、110、211の場合、Sn粉が多数発生した。
図2(a)は、実施例1の表面のSEM像(反射電子像)であり、図2(b)はその2値化画像である。
2 母材(銅又は銅合金条)
4 Cu−Sn合金層
4a 最表面に露出したCu−Sn合金層
6 リフロー処理を施したSnめっき層
10 Snめっき材
21 擦り傷

Claims (1)

  1. 銅又は銅合金条の表面にリフロー処理を施したSnめっき層を有するSnめっき材であって、最表面に露出したCu−Sn合金層の面積率が0.5〜4%であり、最表面から見て、前記Cu−Sn合金層の個数が0.033mm当たり100〜900個であるSnめっき材。
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