JPH11343594A - 電気・電子部品用材料とその製造方法、それを用いた電気・電子部品 - Google Patents

電気・電子部品用材料とその製造方法、それを用いた電気・電子部品

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JPH11343594A
JPH11343594A JP15177498A JP15177498A JPH11343594A JP H11343594 A JPH11343594 A JP H11343594A JP 15177498 A JP15177498 A JP 15177498A JP 15177498 A JP15177498 A JP 15177498A JP H11343594 A JPH11343594 A JP H11343594A
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plating
electric
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Toshio Tani
俊夫 谷
Morimasa Tanimoto
守正 谷本
Hitoshi Tanaka
仁志 田中
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れ、はんだと接合したときにその
接合部における接合強度の劣化が少ない電気・電子部品
用材料、とりわけリード材料およびそれを用いた部品と
その材料の製造方法を提供する。 【解決手段】 この材料は、少なくとも表面がCuまた
はCu合金から成る基体1の表面に、Cu3Sn(ε
相)層2aとCu6Sn5(η’相)層2bとがこの順序
で積層されて成る中間層2を介して、いずれもCu含有
量が0.1〜3重量%である厚み1〜20μmの含Cu
Sn層または含CuSn合金層3が形成されており、こ
の材料は、いずれもCuイオンを0.2〜50ppm含有す
るSnめっき浴またはSn合金めっき浴の中で、少なく
とも表面がCuまたはCu合金から成る基体に電気めっ
きを行って製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気・電子部品用材
料とその製造方法、その材料を用いた電気・電子部品に
関し、更に詳しくは、各種半導体装置用のリード材料と
して用いて好適な材料、およびそれを用いた電気・電子
部品と、その材料を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の電気・電子機器に組み込まれる部
品の材料としては、従来から、CuまたはCu合金が広
く用いられている。すなわち、その用途は個別半導体チ
ップや半導体パッケージのリード線やリードピン、また
はリードフレームなどのリード材料を代表例とし、更に
はソケット類やコネクタ,スイッチの端子や接点ばねな
どの導電材料にも及んでいる。これらの用途は、Cuま
たはCu合金が、導電性,熱伝導性が優れているととも
に、機械的な強度や加工性の点でも優れ、また経済的に
も有利であるという性質を利用したものである。
【0003】とりわけ、半導体パッケージのリード材料
に関しては、各種合金設計のCu合金が開発されてい
る。そして、それらは、端子や接点ばねなどのコンタク
ト材料の分野でも応用されるようになっている。
【0004】上記したリード材料としては、従来から、
コバール合金(Fe−Ni−Co系合金)や42アロイ
に代表されるFe−Ni系合金,Fe−C系合金などの
Fe系材料も使用されている。このFe系材料は、前記
したCu合金に比べると、熱伝導性や導電性は劣るもの
の、機械的な強度が高く、また熱膨張率がSiチップや
パッケージの封止樹脂のそれに近似しているので、その
表面に厚み数十μm程度のCuめっきを施して導電性と
はんだ濡れ性を高めた状態にしてダイオードやコンデン
サのリード線として用いられている。
【0005】ところで、上記した部品材料の表面には、
めっきに代表される表面処理を施すことにより材料機能
の信頼性を高めて実使用するということが行われてい
る。
【0006】例えば、はんだ付けによってプリント基板
に部品を実装するときに用いるリード材料の場合、その
表面にSnめっきまたはSn合金めっきを施してはんだ
付け性を高めるという処置が採られている。具体的に
は、半導体パッケージを組み立てたのちリードフレーム
のアウターリード部に例えばSn−Pb合金を用いて外
装はんだめっきを施したり、個別半導体やコンデンサの
リード線にも予めSnめっきやSn−Pb合金めっきを
施し、更に加熱してリフロー処理を行うこともある。
【0007】更には、CuまたはCu合金から成る材料
の場合、その表面にSnまたはSn合金のめっきを施す
と、得られた材料は前記した特性の外に耐食性も優れて
くるので、リード材料の外にも各種の端子やコネクタな
どにも使用されている。
【0008】ところで、CuまたはCu合金の表面にS
nめっきを施した材料の場合には次のような問題があ
る。
【0009】まず、形成されたSnめっき層にはSnの
ウイスカーが発生しやすく、部品実装したときに短絡事
故を引き起こすことの可能性があるということである。
また、Snの融点は232℃と比較的低温であり、部品
実装時に加わる熱で酸化されやすく、その結果、はんだ
付け性の劣化が起こりやすいということである。
【0010】また、コンデンサ用リード線の場合は、溶
接対象の例えばアルミ線との溶接部の肉盛りを行うた
め、めっき層の厚みを厚肉化しているが、そのようなリ
ード線に前記リフロー処理を行うと、処理後に凝固して
形成されたSnめっき層の偏肉が大きくなるという問題
がある。
【0011】上記したウイスカーの発生という問題はリ
フロー処理を施すことによって略防止することができ、
まためっき層の材料としてSn合金を用いればかなり抑
制することが可能である。このようなSn合金の代表例
ははんだ(Sn−Pb合金)であり、従来から広く用い
られている。
【0012】しかしながら、はんだに含まれているPb
は人体に悪影響を与える恐れがあるとのことから、今後
は、その優れた性質を備えているにもかかわらず使用が
敬遠されようとしている。そして、Pbを含有しないS
n合金、具体的には、Sn−Ag系,Sn−Bi系,S
n−In系,Sn−Zn系のものへの移行が検討されて
いる。
【0013】しかしながら、これらのSn合金でめっき
層を形成したリード材には次のような問題がある。
【0014】まず、これら合金の融点がSn−Pb系に
比べて比較的高温であったり、低温であったりする点で
あり、あるいは、半導体パッケージの組み立て時におけ
る加熱工程の熱で、基体表面の構成材料であるCuなど
がこのSn合金めっき層の表層部に熱拡散してきて、当
該Sn合金めっき層のはんだ付け性が劣化するという問
題である。
【0015】更には、例えば前記したコンデンサリード
の場合、アルミ線と溶接する際に、溶接部の温度は瞬間
的には2000℃近辺の温度になるため、当該溶接部の
近傍では、Sn合金めっき層内のZn,Bi,Inなど
の元素が瞬時にして気化し、その結果、溶接部にはブロ
ーホールが発生し、その溶接強度が低下するという問題
も発生する。しかも、溶接部では、基体表面からCuな
どが熱拡散してリード材の表面にCu−Sn系化合物層
などが形成されることにより、表面の変色とはんだ付け
性の劣化も起こり得る。
【0016】なお、Pbを含まないSn合金として例示
した前記合金のうち、Sn−Ag系,Sn−In系のも
のは上記の問題に加えて高価であるという問題がある。
【0017】そして、Sn−Bi系のものは、耐熱性に
劣り、基体表面へのBiの熱拡散を起こしやすく、また
曲げ加工性にも劣るのでめっき層にクラッドが発生しや
すく、更には、はんだ付け後に形成された接合部ではそ
の接合強度が経時的に低下するという問題がある。また
Sn−Zn系のものは、表面酸化を起こしやすく、大気
中におけるはんだ濡れ性が悪いということに加えて、Z
nは熱拡散を起こしやすいので、Sn−Bi系のものと
同じように、やはりはんだ付け後の接合部の接合強度は
経時的に低下する。このように、PbフリーのSn合金
にも多くの課題がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで最近、電気・
電子機器の小型化,軽量化,多機能化の進展に伴い、そ
れらに組み込まれる回路基板への半導体素子の実装密度
も高まっている。この高密度実装化は不可避的に実装基
板からの放熱量を増大させ、また電気・電子機器の放熱
量を増加させることになる。
【0019】そのため、前記したリード材料などに対し
ては、従来にもましてその耐熱性を高めることが必要と
されるようになっている。しかしながら、最近では、前
記したCuまたはCu合金の基体にSnまたはSn合金
のめっきを施した材料は、上記した要求に充分対処し得
ていないという指摘がなされている。
【0020】すなわち、部品実装後における部品リード
とはんだとの接合部の高温エージング、または部品リー
ドと実装基板の電極との間でヒートサイクル状態におい
て接合信頼性が低下するという問題である。換言すれ
ば、最近の高密度実装基板が組み込まれている電子機器
では、放熱量と前記機器の温度上昇が大きいので、前記
したSnまたはSn合金めっきを施したリード材料で
は、充分な接合信頼性が得られないというケースが多発
している。
【0021】本発明は、CuまたはCu合金を基体と
し、その表面にSnまたはSn合金めっきが施されてい
る従来の材料における上記した問題を解決し、Pbの悪
影響が排除されていることは勿論のこと、はんだ付け性
に優れ、はんだ付け後に形成された接合部の接合強度が
高いと同時に、その接合強度の高温下における経時的な
低下も起こしづらい電気・電子部品用材料およびその材
料を用いた電気・電子部品と、その材料の製造方法の提
供を目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、少なくとも表面がCuまた
はCu合金から成る基体の前記表面に、Cu3Sn(ε
相)層とCu6Sn5(η’相)層とがこの順序で積層さ
れて成る中間層を介して、いずれもCu含有量が0.1
〜3重量%である厚み1〜20μmの含CuSn層また
は含CuSn合金層が形成されていることを特徴とする
電気・電子部品用材料が提供される。
【0023】好ましくは、前記含CuSn合金層が、更
に、AgまたはBiを含有しており、また、前記含Cu
Sn層または前記含CuSn合金層がリフロー処理され
た層である電気・電子部品用材料が提供される。
【0024】また、本発明においては、前記した材料を
用いた電気・電子部品が提供される。
【0025】更に、本発明においては、いずれもCuイ
オンを0.2〜50ppm含有するSnめっき浴またはSn
合金めっき浴の中で、少なくとも表面がCuまたはCu
合金から成る基体に電気めっきを行うことを特徴とする
電気・電子部品用材料の製造方法(以下、第1の製造方
法という)が提供され、更には、(1)いずれもCuイ
オンを0.2〜50ppm含有するSnめっき浴もしくはS
n合金めっき浴と、(2)Agめっき浴もしくはCuイ
オンを0.2〜50ppm含有するAgめっき浴、および、
Biめっき浴もしくはCuイオンを0.2〜50ppm含有
するBiめっき浴の群から選ばれる少なくとも1種のめ
っき浴とを用いて、順次、少なくとも表面がCuまたは
Cu合金から成る基体に電気めっきを行うことを特徴と
する電気・電子部品用材料の製造方法(以下、第2の製
造方法という)が提供される。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は本発明の材料Aを示す断面
図である。この材料Aは、基体1の表面に、Cu3Sn
(ε相)から成る層2aとCu6Sn5(η’相)から成
る層2bとがこの順序で積層されている中間層2を介し
て、後述する含CuSn層または含CuSn合金層が表
面層3として形成された層構造になっている。
【0027】ここで、材料Aにおける基体1としては、
少なくともその表面がCuまたはCu合金で形成されて
いるものであれば何であってもよい。例えば、Cuまた
はCu合金材そのものや、炭素鋼,Fe−Ni系合金、
Fe−Ni−Co系合金,ステンレス鋼などのFe系材
料を芯材とし、その表面をCuまたはCu合金で被覆し
たものなどをあげることができる。後者の基体の場合、
目的とする部品の用途に求められる機械的な強度や導電
性との関係を勘案して芯材とその表面に形成するCuま
たはCu合金、とりわけCu合金の種類は適宜選定され
る。
【0028】また、基体1の形状も、部品としての用途
目的や後述する表面層形成方法に対応して、線状,板
状、条など適宜選定される。
【0029】材料Aは、上記した基体1の表面に中間層
2が形成され、更にその上に表面層3が形成された材料
である。
【0030】ここで表面層3は、Cuの含有量が0.1
〜3重量%であるSn層(含CuSn層という)または
Cuの含有量が同じく0.1〜3重量%であるSn合金
層(含CuSn合金層という)で構成されている。
【0031】含CuSn層,含CuSn合金層のいずれ
においても、Cuが0.1〜3重量%含有されているこ
とが必要であり、そのことによって、例えば製造した部
品材料をプリント回路基板にはんだを用いて実装したと
きに、Cuを含有しないSn層またはSn合金層で表面
層が形成されている部品材料の場合に比べて、はんだ接
合部における接合強度は高くなり、その接合信頼性の向
上がもたらされる。
【0032】これは、SnまたはSn合金にCuが含有
されることにより、表面層3のクリープ特性を含む耐熱
特性は向上し、またその表面層3の主成分であるSnと
基体1の表面成分であるCuや表面層の他の元素との相
互拡散速度が低下して両者の合金化が抑制されるため、
はんだ接合部における接合強度の経時的な低下は小さく
なり、その結果、接合信頼性が向上した現象であると考
えられる。
【0033】しかしながら、Cu含有量が0.1重量%
より少なくなると、上記した効果は発現しなくなり、ま
た3重量%より多くなると、表面層3の構成材料の液相
線が過度に高くなり、例えば、均一リフロー性の低下を
はじめ、表面層3ではCu酸化の進展に基づくはんだ濡
れ性の低下や耐食性の低下が起こりやすくなる。
【0034】この表面層3が含CuSn合金層で形成さ
れる場合、母相であるSn合金としては、前記したSn
−Ag系,Sn−Bi系,Sn−In系,Sn−Zn系
などを用いることができる。その場合、Sn−Zn系は
低価格ではあるが、Znの拡散速度は大きく、はんだ接
合部における接合強度の経時低下が大きくなるので高い
接合信頼性が得にくいということや、また耐食性も劣る
という点で難があり、Sn−In系は高価であり、用途
は限定されてしまうという問題がある。このようなこと
から、含CuSn合金層の母相であるSn合金として
は、Sn−Ag系,Sn−Bi系であることが好まし
い。
【0035】Sn−Ag系を採用する場合、Ag含有量
は3.5重量%前後であることが好ましい。Ag含有量
が多くなると融点は上昇すると同時に高価格になってし
まうからであり、またAg含有量が少なすぎると、同じ
く融点は上昇し、更にはSn−Ag系合金それ自体が備
えている耐熱性も低下するようになるからである。ま
た、Sn−Bi系を採用する場合、Bi含有量は1〜1
0重量%であるものが好ましい。1重量%より少ない場
合は、融点があまり低下せず、また10重量%より多く
なると、融点が低くなりすぎることと、形成されためっ
き層は脆くなり、かつ曲げ加工性の点でも劣るようにな
るからである。
【0036】なお、Ag,Biの含有量が概ね20重量
%以下であるSn合金であれば、例えばコンデンサリー
ドに用いたときに、アルミ線との溶接時においてもブロ
ーホールの発生を防止することができる。
【0037】この表面層3の厚みは1〜20μmに設定
される。この厚みが1μmより薄くなると耐熱性が低く
なり、例えばリフロー処理したときに、基体1の表面成
分であるCuとの間で相互拡散に基づく合金化が進行し
てはんだ濡れ性の低下傾向が発現し、また20μmより
厚くしても、前記した各種効果の発現は飽和に達し、徒
に製造コストの上昇を招くだけになるからである。
【0038】この表面層3と基体1の表面の間に介在す
る中間層2は、両者間における密着性を確保するという
働きをする。
【0039】この中間層2は、基体1側に位置するCu
3Sn(ε相)層2aと表面層3側に位置するCu6Sn
5(η’相)層2bとの積層構造になっている。
【0040】これらの層は、基体表面の主成分であるC
uと表面層の主成分であるSnとの相互拡散によって形
成される層であり、例えば、基体表面に表面層をめっき
形成した直後から、またはリフロー処理のような熱処理
を施すことによって容易に形成することができる。
【0041】これらの層は、基体表面側ではCuリッチ
の相になって基体表面との密着性の確保に寄与し、また
表面層側ではSnリッチな相になって表面層との密着性
の確保に寄与し、両層2a,2bの界面では2つの相が
混在する状態になることにより、全体で基体表面と表面
層との密着性を確保しているのである。この層2a,2
bの厚みは極めて薄く、表面層3の厚みが最大の20μ
mであったとした場合には、通常、Cu3Sn層2aは
0.01〜0.5μm,Cu6Sn5層2bは0.3〜5
μm程度である。ただし、更に熱処理を施した場合には
この限りではない。
【0042】材料Aは電気めっき法は第1の製造方法で
製造される。
【0043】すなわち、第1の製造方法においては、C
uイオンを0.2〜50ppm含有するSnめっき浴、また
はCuイオンを0.2〜50ppm含有するSn合金めっき
浴に前記した基体を浸漬し、電気めっきを行えばよい。
【0044】このとき、Cuの析出電位はSnのそれよ
りも高いので、めっき浴におけるCuイオンの含有量が
少ないにもかかわらず、基体表面に電析しためっき層に
おいては、Cuが数%程度のCu共析Snめっき層にな
る。このめっき層におけるCu含有量を前記した0.1
〜3重量%の範囲内におさめるためには、用いるめっき
浴におけるCu濃度を0.2〜50ppmにすることが必要
になる。まためっき層におけるCuの共析量は、電流密
度によっても副次的に影響されるので、電流密度は所望
するCu共析量などを勘案して適宜決められる。通常、
1〜100A/dm2の範囲で任意に決めればよい。
【0045】このようにして製造された材料Aに対して
リフロー処理を施すと、例えば表面層が含CuSn層で
形成される場合に発生することもあるウイスカーの存在
を解消することができるだけではなく、表面層3と基体
1の表面間におけるSnとCuの拡散速度が低下して、
結局、はんだ接合部における接合信頼性を高めることが
できるので好適である。
【0046】図2は本発明の別の材料Bを示す断面図で
ある。
【0047】この材料Bは、表面層3’が前記した材料
Aの場合と異なり、含CuSn層または含CuSn合金
層単独で構成されているのではなく、厚み方向に、次に
説明するような各種の層が積層している層構造になって
いる材料である。その層構造において、前記各種の層の
界面は、判然としている場合もあり、また界面が各層の
成分の相互拡散によって判然としていない場合もある。
【0048】このような層構造としては、例えば次のよ
うなものをあげることができる。
【0049】a:表面層3’の下層部3’bは含CuS
n合金から成り、上層部3’aは含CuSnまたはSn
単体から成る層;b:表面層3’の下層部3’bは含C
uSn合金から成り、上層部3’aは、Agや、含Ag
Sn合金または/および含BiSn合金や、これらにC
uが含有されている合金から成る層;c:表面層3’の
下層部3’bは、AgまたはBiや、含AgSn合金ま
たは/および含BiSn合金や、これらにCuが含有さ
れている合金から成る層であり、上層部3’aは含Cu
Sn層から成る層;などである。
【0050】材料Bの場合、表面層3’が上記した層構
造a,b,cのいずれになっていても、表面層3’の全
体におけるCu含有量は0.1〜3重量%であることが
必要である。
【0051】材料Bは、部品材料をはんだでプリント回
路基板に実装したときに、はんだ接合部における接合強
度の経時低下が材料Aの場合に比べると少なくなり、接
合信頼性は更に向上するので好適である。
【0052】また、表面層3’が層構造a,b,cにな
っていると、材料としての曲げ加工性は向上し、基体1
との剥離は起こりづらく、また製造コストを低減できる
という点で有利である。
【0053】とくに、この材料Bの場合、リフロー処理
を施したり、またアルミ線に溶接したときに、そのとき
の熱で上記した層構造が融合してAg,Biなどが希釈
された状態になるので、はんだ接合時にはその接合部の
強度低下は抑制され、例えば断線防止という点で好適で
ある。
【0054】この表面層3’は、第2の製造方法によっ
て基体表面に形成することができる。それを以下に説明
する。前記した第1の製造方法の場合と同じように、C
uイオンを0.2〜50ppm含有するSnめっき浴、また
はCuイオンを0.2〜50ppm含有するSn合金めっき
浴に基体を浸漬して電気めっきを行って、Cu含有量が
0.1〜3重量%の表面層3を形成する。
【0055】ついで、表面層3’の上層部として形成す
べき成分を含む別のめっき浴に上記した材料を浸漬して
所定のめっき条件で電気めっきを行う。含CuSnめっ
き層または含CuSn合金めっき層である表面層の上に
は、目的組成のめっき層が上層部として形成され、ここ
に目的とする表面層3’が得られる。
【0056】そして、全体の電気めっきが終了したのち
に、得られた材料に加熱処理やリフロー処理を施すと、
各めっき層間では合金の各成分が相互拡散して、より密
着性の高い表面層3’に転化する。
【0057】
【実施例】実施例1〜7,比較例1〜3 直径0.5mmの銅被覆鋼線を、カソード脱脂槽,酸洗
槽,めっき槽に順次走行せしめて表1で示しためっき層
が表面層3として形成されている材料Aの層構造を有す
るリード線を製造した。
【0058】なお、用いためっき浴の種類とそれに含有
されているCuイオンの濃度、更にはめっき時に採用し
た電流密度は表1に示したとおりである。
【0059】各リード線の一部については表1で示した
条件の加熱処理またはリフロー処理を行った。また、表
面層3に対しては、アノード溶解法を適用し、そのとき
の溶解電位と溶解電気量からそれぞれの厚みを実測し
た。なお、表面層の組成は、電子線マイクロアナライザ
のZAF補正法で定量分析した。そして、X線回折法に
より、銅被覆鋼線と表面層との界面におけるCu3Sn
(ε相)層とCu6Sn5(η’相)層の有無を観察し
た。
【0060】ついで、直径1.2mmのスルーホールの周
囲に外径3mmのCuパッドが形成されているプリント回
路基板の前記スルーホールに各リード線を挿入し、フラ
ックスを塗布したのち、温度250℃のディップ式はん
だ槽にプリント回路基板を3秒間浸漬してから引き上
げ、そのまま自然放冷した。
【0061】なお、はんだとしては、Sn−37%Pb
の共晶はんだと、Sn−2%Ag−7.5%Bi−0.7
5%Cuのはんだの2種類をそれぞれ用いた。
【0062】ついで、自然放冷後のプリント回路基板に
つき、室温下において、リード線とCuパッドとのプル
強度(T0)を測定した。そして、プリント回路基板に
対し、大気中において温度150℃で500時間のエー
ジングを行って劣化促進処理を施し、そのときのリード
線とCuパッドとのプル強度(T1)を測定し、(T0
1)×100/T0を算出してはんだ接合部における接
合強度の劣化率(%)とした。
【0063】以上の結果を一括して表1に示した。
【0064】
【表1】
【0065】実施例8〜11,比較例4 表2で示した第1のめっき浴と第2のめっき浴をこの順
序で用いて、銅被覆鋼線に2層構造の表面層3’を有す
る材料Bのリード線を、実施例1〜7の場合と同様にし
て製造した。そして、それらリード線のはんだ接合強度
の劣化率を算出した。その結果を表2に示した。
【0066】
【表2】
【0067】実施例12〜16,比較例5〜7 厚み0.4mmのタフピッチ銅板に、アルカリカソード脱
脂,10%硫酸による洗浄を順次行ったのち、表3で示
しためっき浴をこの順序で用いてめっきを行った。得ら
れた材料を25mm角に切り出し、その試片に、直径3mm
の銅被覆鋼線を実施例1〜7で用いた2種類のはんだで
それぞれ接合した。なお、はんだ接合部の大きさは直径
6mmと一定にした。そして、この接合部材の接合部にお
ける接合強度の劣化率を実施例1〜7と同様にして算出
した。以上の結果を一括して表3に示した。
【0068】
【表3】
【0069】以上の結果から次のことが明らかである。
【0070】(1)表1における実施例1〜7と比較例
1〜3を対比して明らかなように、表面層のCu含有量が
0.1〜3重量%である場合には、はんだ接合部におけ
る接合強度の劣化率は小さく接合信頼性の高い材料にな
っている。
【0071】そして、比較例2から明らかなように、上
記Cu含有量を3重量%以下にするためには、用いるめ
っき浴におけるCuイオンの濃度を50ppm以下に規制
すべきであることがわかる。
【0072】(2)また、表1で示した結果と表2,表
3で示した結果から明らかなように、表面層を2層構造
にし、かつその上層部を更にAgやBiを含有する組成
にすると、接合強度の劣化率はより小さくなり、一層接
合信頼性に優れた材料にすることができる。
【0073】また、実施例3と実施例4の対比から明ら
かなように、同じ表面層の材料であってもリフロー処理
を施すと接合強度の劣化率が小さくなり、接合信頼性が
高くなっている。
【0074】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
材料は、Sn合金層にPbを含まないので環境に悪影響
を及ぼすことはなく、また、はんだ付けしたときの接合
部における接合強度の劣化は小さく、耐熱性に優れた材
料になっている。したがって、この材料は、各種の電気
・電子部品用の材料やそれを用いた電気・電子部品、と
りわけ半導体装置に用いるリード材料としてその工業的
価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の材料Aの層構造を示す断面図である。
【図2】本発明の別の材料Bの層構造を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 基体 2 中間層 2a Cu3Sn(ε相)層 2b Cu6Sn5(η’相)層 3,3’ 表面層 3’a 表面層3’の上層部 3’b 表面層3’の下層部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面がCuまたはCu合金か
    ら成る基体の前記表面に、Cu3Sn(ε相)層とCu6
    Sn5(η’相)層とがこの順序で積層されて成る中間
    層を介して、いずれもCu含有量が0.1〜3重量%で
    ある厚み1〜20μmの含CuSn層または含CuSn
    合金層が形成されていることを特徴とする電気・電子部
    品用材料。
  2. 【請求項2】 前記含CuSn合金層が、更に、Agま
    たはBiを含有している請求項1の電気・電子部品用材
    料。
  3. 【請求項3】 前記含CuSn層または前記含CuSn
    合金層がリフロー処理された層である請求項1または2
    の電気・電子部品用材料。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの電気・電子部
    品用材料を用いたことを特徴とする電気・電子部品。
  5. 【請求項5】 いずれもCuイオンを0.2〜50ppm含
    有するSnめっき浴またはSn合金めっき浴の中で、少
    なくとも表面がCuまたはCu合金から成る基体に電気
    めっきを行うことを特徴とする電気・電子部品用材料の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記電気めっきを施したのちの材料に、
    加熱処理またはリフロー処理を施す請求項5の電気・電
    子部品用材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 (1)いずれもCuイオンを0.2〜5
    0ppm含有するSnめっき浴もしくはSn合金めっき浴
    と、 (2)Agめっき浴もしくはCuイオンを0.2〜50p
    pm含有するAgめっき浴、および、Biめっき浴もしく
    はCuイオンを0.2〜50ppm含有するBiめっき浴の
    群から選ばれる少なくとも1種のめっき浴とを用いて、
    順次、少なくとも表面がCuまたはCu合金から成る基
    体に電気めっきを行うことを特徴とする電気・電子部品
    用材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記電気めっきを施したのちの材料に、
    更に加熱処理またはリフロー処理を施す請求項7の電気
    ・電子部品用材料の製造方法。
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