JP4595283B2 - サイズ剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はサイズ剤組成物に関し、さらに詳しくは保存安定性が良好で、サイズ度の低下がなく、防錆性に優れたサイズ剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から紙や板紙の製紙工程において、サイズ性、撥水性、耐摩耗性、耐薬品性、耐候性などの特性を付与する目的でサイズ剤が使用されている。サイズ剤は、pHが4〜6の酸性抄紙に対して使用する酸性ロジン系サイズ剤とpHが6〜9の中性または弱アルカリ性の中性抄紙に対して使用する中性サイズ剤に大別される。近年では、炭酸カルシウムの填料としての利用、炭酸カルシウムを含有する損紙または古紙の再利用による抄紙pHの上昇、酸性抄紙から得られる紙の経時劣化などの理由から、中性サイズ剤の使用が注目されている。
【0003】
中性サイズ剤としては、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、スチレン/マレイン酸共重合物塩、メタクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸共重合物塩などが知られている。これらのうちアルキルケテンダイマーは少量の使用で充分なサイズ度が得られ、広いpH域で安定したサイズ効果を有し、また内添サイズ剤および表面サイズ剤のいずれにも使用できる点で有用である。
アルキルケテンダイマーは、カチオン性基を有するデンプンなどの水溶性高分子水溶液中に分散しサイズ剤組成物として使用されるが、経時的に増粘、ゲル化、凝集を起こすなど保存安定性が充分でなく、サイズ度の低下、紙の欠点および紙切れ、抄紙機への汚れ蓄積など実使用時にトラブルを起こすことが多い。
【0004】
これらの問題点を解決すべく、アルキルケテンダイマーおよびカチオン性基を有するデンプンを含有するサイズ剤組成物として、以下の組成物が知られている。
(1)アルキルケテンダイマー、カチオン化度0.035〜0.070の第三級アミンデンプン、および水溶性アルミニウム塩を含有することを特徴とするサイズ剤組成物(例えば、特許文献1参照)。
(2)アルキルケテンダイマー、カチオン性デンプン、および硫酸アルミニウム等の水溶性金属塩を含有することを特徴とするサイズ剤組成物(例えば、特許文献2参照)。
(3)アルキルケテンダイマー、アミロペクチン含量85%以上かつカチオン化度0.045〜0.40のデンプンを含有することを特徴とするサイズ剤組成物(例えば、特許文献3参照)。
(4)アルキルケテンダイマー、カチオン性デンプン、リグニンスルホン酸塩、硫酸アルミニウム、炭素数1〜10個のカルボン酸を含有することを特徴とするサイズ剤組成物(例えば、特許文献4参照)。
(5)アルキルケテンダイマー、カチオン化度0.1〜1.0のデンプン、アニオン性分散剤を含有することを特徴とするサイズ剤組成物(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
しかし、いずれの組成物も特に温度変化の生じる環境下で、経時的に増粘やゲル化などを生じやすく、その保存安定性は充分でない。また、サイズ性についても充分ではなく、保存後の組成物のサイズ性が低下するという問題がある。さらに、サイズ剤を使用する製紙工場は高温多湿環境であることから、これらサイズ剤組成物を保存、供給する設備に錆が生じ問題となる場合がある。
また、防錆剤として公知であるクロム酸塩などの無機系インヒビター、長鎖アルキルモノアミンなどの有機系インヒビター、グルコン酸などのキレート化合物を、アルキルケテンダイマーを含有するサイズ剤組成物に添加した場合は、経時的に増粘やゲル化などを生じ組成物の保存安定性が低下すると共に、組成物のサイズ度が低下する。
このように保存安定性が良好で、サイズ度の低下がなく、防錆性に優れたサイズ剤組成物は開発されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59―199900号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開昭62―15397号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平2―41496号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開平2―264099号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】
特開平3―59191号公報(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、保存安定性が良好で、サイズ度の低下がなく、防錆性に優れたサイズ剤組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
下記のa、b、cおよびdからなり、aとbの合計量a+bが5〜30重量%、cが0.0025〜2.7273重量%、dが67.2727〜94.9975重量%、かつ、aとbの重量比a/bが1〜10、aとcの重量比a/cが10〜1000であり、pHが1.5〜7.0であるサイズ剤組成物である。
a.下記の式(1)で示されるアルキルケテンダイマー
b.カチオン性基を含有するデンプン
c.下記の式(2)で示されるアミン化合物
d.水および酸
【0009】
【化3】
【0010】
(式中R1およびR2は、炭素数6〜24の炭化水素基である。)
【0011】
【化4】
【0012】
(式中R3は水素原子または炭素数1〜24の炭化水素基、R4、R5、R6およびR7は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、mは2〜4、nは0〜8である。)
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のa成分である式(1)で示されるアルキルケテンダイマーにおいて、R1およびR2は炭素数6〜24の炭化水素基である。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基などが挙げられ、アルキル基としては、例えばヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ペンタデシル基、イソペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イソノナデシル基、エイコシル基、イソエイコシル基、ヘンイコシル基、イソヘンイコシル基、ドコシル基、イソドコシル基、トリコシル基、イソトリコシル基、テトラコシル基、イソテトラコシル基が挙げられる。また、アルケニル基としては、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基などが挙げられる。
これらのうち、好ましくは炭素数が8〜20、さらに好ましくは炭素数10〜18の炭化水素基である。炭素数が6未満の場合は調製直後のサイズ度が不良であり、炭素数が24を超える場合は組成物が増粘、ゲル化し、サイズ性が低下するため好ましくない。
【0014】
本発明のb成分は、カチオン性基を有するデンプンであり、デンプンにカチオン化剤を反応させることによって得られる。
原料となるデンプンとしては、例えばワキシーコーンスターチ、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、小麦デンプンおよびこれらの混合物が挙げられ、好ましくはワキシーコーンスターチ、タピオカデンプンであり、さらに好ましくはワキシーコーンスターチである。
【0015】
カチオン化剤としては、例えば3−クロロ−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−ジエチルアミノエチルクロリド、3−ジエチルアミノ−1,2−エポキシプロパン、エチレンイミンなどが挙げられ、好ましくは、3−クロロ−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−ジエチルアミノエチルクロリド、3−ジエチルアミノ−1,2−エポキシプロパンであり、さらに好ましくは3−クロロ−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0016】
b成分のカチオン化度(無水グルコース1モルあたりのカチオン性基のモル数)は好ましくは0.02〜0.10であり、さらに好ましくは0.03〜0.05である。カチオン性基を有しないデンプンをb成分として使用した場合、アルキルケテンダイマーの平均粒径が大きく、組成物が増粘、ゲル化し、調製後のサイズ度が不良で、また経時的に低下するため好ましくない。
またb成分は、塩酸、硫酸、過硫酸アンモニウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、過ヨウ素酸、二酸化窒素、過酸化水素、過マンガン酸カリウムなどを用い、あるいは熱分解させ低分子量化するのが好ましい。b成分の分子量は好ましくは10000〜2000000であり、さらに好ましくは50000〜1000000である。
【0017】
本発明の組成物において、a成分とb成分の合計量a+bは5〜30重量%であり、好ましくは10〜25重量%である。5重量%未満の場合は、充分なサイズ度が得られず、30重量%を超える場合は、組成物が増粘、ゲル化し、サイズ度が低下する。
また、a成分とb成分との重量比a/bは1〜10であり、好ましくは2〜8である。1未満の場合は、組成物が増粘、ゲル化し、サイズ性が低下する。10を超える場合は、アルキルケテンダイマーの平均粒径が大きく、組成物が増粘、ゲル化し、調製後のサイズ度が不良で、また経時的に低下する。
【0018】
本発明のc成分である式(2)で示されるアミン化合物において、R3は水素原子、炭素数1〜24の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基などが挙げられ、本発明のa成分で例示したものに加えて、炭素数が1〜5のアルキル基、アルケニル基が挙げられる。これらのうち好ましくは、水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。炭素数が24を超える場合は組成物が増粘、ゲル化し、サイズ性が低下する。
また、R4、R5、R6およびR7は、水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基である。炭素数が1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。これらのうち好ましくは水素原子である。炭素数が3を超える場合は組成物が増粘、ゲル化し、サイズ性が低下する。
【0019】
本発明のc成分である式(2)で示されるアミン化合物において、mは2〜4であり、好ましくは2〜3である。mが4を超える場合は組成物が増粘、ゲル化し、サイズ度が低下する。
また、nは0〜8であり、好ましくは1〜4である。nが8を超える場合は組成物が増粘、ゲル化し、サイズ度が低下し、防錆性が不良となる。
【0020】
本発明のc成分としては、ポリアルキレンポリアミン、アルキルポリアルキレンポリアミン、イミノビスアルキルアミンなどのアミン化合物が挙げられる。
例えば、ポリアルキレンポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、オクタエチレンノナミン、ノナエチレンデカミンが挙げられ、アルキルポリアルキレンポリアミンとしては、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N',N',N''−ペンタメチルジプロピレントリアミン、ドデシルジエチレントリアミンが挙げられる。また、イミノビスアルキルアミンとしては、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、テトラメチルイミノビスプロピルアミンが挙げられる。
これらのうち好ましくは、ポリアルキレンポリアミンまたはイミノビスアルキルアミンなどのアミン化合物であり、さらに好ましくは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミンである。
【0021】
本発明のc成分であるアミン化合物は、水および酸と混合することによりpH1.5〜7.0のアミン化合物塩水溶液として使用するのが好ましく、pH2.0〜5.5のアミン化合物塩水溶液として使用するのがさらに好ましい。混合する酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸やギ酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、乳酸等の有機酸が好ましく、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸がさらに好ましい。
【0022】
本発明の組成物において、a成分とc成分との重量比a/cは10〜1000であり、好ましくは30〜500である。a/cが10未満の場合、アルキルケテンダイマーの平均粒径が大きく、組成物が増粘、ゲル化し、サイズ度が低下するため好ましくない。1000を超える場合は組成物が増粘、ゲル化し、サイズ度が低下し、防錆性が不良となるため好ましくない。
【0023】
本発明の組成物のpHは、組成物原液を25℃で測定した際の値であって1.5〜7.0であり、好ましくは2.0〜5.5である。pHが1.5未満の場合およびpHが7.0を超える場合は、アルキルケテンダイマーの平均粒径が大きくなり、組成物が増粘、ゲル化し、サイズ度が低下するため好ましくない。
【0024】
本発明の組成物は、上記成分以外にも分散剤を含有しているのが好ましく、分散剤としては、例えばナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド重縮合物塩やリグニンスルホン酸塩などの陰イオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロリドなどの陽イオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;ジメチルアルキルベタインなどの両性界面活性剤;ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合物などのカチオン性高分子などが挙げられる。
分散剤の他に粘度調整剤、消泡剤、定着剤、防滑剤、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤などを添加してもよい。
【0025】
調製直後のサイズ度を確保し、経時的な増粘やゲル化、サイズ度の低下を防ぐ観点から、本発明の組成物においてアルキルケテンダイマーの平均粒径は、5μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは2μm以下である。
本発明の組成物は、例えばホモミキサー、真空乳化機、高圧乳化機、超音波乳化機などの乳化機を用いて均一に分散させる方法で製造することができる。
【0026】
また、本発明の組成物は、紙または板紙の製造工程において紙層形成前の紙料に添加する内添サイズ剤と、紙層形成後に塗布または含浸させることによる表面サイズ剤のどちらに用いてもよい。
内添サイズ剤として用いる場合には、本発明の組成物をパルプの乾燥重量に対して0.05〜15重量%、好ましくは0.15〜5重量%添加する。この際、填料、染料、紙力増強剤、歩留向上剤、嵩高剤などの添加剤や、アルケニル無水コハク酸や中性ロジンなどのサイズ剤と組み合わせて使用してもよい。また、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレード、キャレンダーなどで、デンプン、ポリビニルアルコール、染料、コーティングカラー、サイズ剤、防滑剤などを必要に応じて塗布してもよい。
また、表面サイズ剤として用いる場合には、本発明の組成物が紙表面に0.025〜25g/m2塗布されるように、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレード、キャレンダーなどで塗布する表面塗工液に添加すればよい。
【0027】
【実施例】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。実施例および比較例で用いたa成分の化合物a−1〜3を表1に、b成分の化合物b−1〜3を表2に、c成分の化合物c−1〜15を表3に示す。
【0028】
実施例1
(1)サイズ剤組成物の調製
アルキルケテンダイマーa−1(R1、R2の組成がドデシル基5重量%、テトラデシル基30重量%、ヘキサデシル基65重量%)180g、カチオン性基を含有するデンプンb−1(ワキシーコーンスターチ由来、カチオン化剤:3―エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、カチオン化度=0.04、分子量830000 の化合物 staley社製 STA−LOK140)40g、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩2g、イオン交換水767.2gを混合し、80℃に加熱し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて5000回転、5分間予備分散させた後、同温度に保ちながら高圧吐出型ホモジナイザー(APV社製)を用いて300kg/cm2の剪断圧力で均一に分散させ、30℃以下に冷却した後、アミン化合物c−1(ジエチレントリアミン)0.9gをイオン交換水8.8gおよび硫酸1.1gと混合することにより調製したジエチレントリアミン硫酸塩水溶液10.8g(pH3.0)を混合し、10%硫酸水溶液0.1gでpH調整を行い、表4に示すサイズ剤組成物を得た。
【0029】
実施例2〜9および比較例1〜12
表1〜3に示す化合物を用いて、実施例1と同様に実施例2〜9および比較例1〜12のサイズ剤組成物を調製した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
各組成物の評価項目と評価方法を以下に示す。実施例1〜9の評価結果を表4に、比較例1〜12の評価結果を表5に示す。
【0034】
(1)平均粒径
レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100(株式会社島津製作所製)により平均粒径を測定し、以下の基準で評価した。
○:平均粒径が2μm以下である。
×:平均粒径が2μmを超える。
【0035】
(2)保存安定性試験
組成物45gを50ミリリットル容量のガラス製瓶にとり、恒温器に入れて5℃で1日保存後、35℃で1日保存した。この操作を2週間繰り返した。
(A)粘度
調製直後および保存安定性試験後の組成物の粘度をB型粘度計にて25℃で測定し、以下のように評価した。
○:調製直後および保存安定性試験後の組成物の粘度がいずれも30mPa・s未満である。
△:調製直後または保存安定性試験後の組成物の粘度が30mPa・s以上100mPa・s未満である。
×:調製直後または保存安定性試験後の組成物の粘度が100mPa・s以上であるか、ゲル化を起こしている。
(B)サイズ度
手すきシートの調製
パルプを離解機(熊谷理研株式会社製)で離解し、1重量%パルプスラリーを調製した。このパルプスラリーを200ミリリットル容量のビーカーに120g(パルプ固形分1.2g)取り、軽質炭酸カルシウム(白石工業株式会社製)120mg、カチオン化デンプン(エースK−100:王子コーンスターチ株式会社製)12mgおよびサイズ剤組成物9mgを添加し、径4.5cmのタービン羽根により、250rpmで2分間攪拌した。その後、TAPPIスタンダードマシン(安田精機株式会社製)により抄紙し、油圧プレス機(安田精機株式会社製)により0.35MPaで5分間プレス後、ドラム式ドライヤー(安田精機株式会社製)により105℃、80秒の乾燥を行い、手すきシートを得た。
サイズ度の測定
手すきシートを23±1℃、湿度50±2%の条件下で24時間保存した後、紙のステキヒト・サイズ度試験方法(JIS P8122)に準拠してサイズ度を測定し、以下のように評価した。
○:調製直後の組成物のサイズ度(a)と保存安定性試験後の組成物のサイズ度(b)との差(a−b)が5秒未満である。
×:調製直後の組成物のサイズ度(a)と保存安定性試験後の組成物のサイズ度(b)との差(a−b)が5秒以上である。
【0036】
(3)防錆性
サンドペーパーNo.200で研磨し、脱脂したSUS304をテストピースとした。70mLガラス瓶に組成物10gおよびテストピースを入れ、蓋をして40℃で30日間保存し、テストピースの外観を観察し、以下のように評価した。
○:錆が見られない
×:錆が見られる
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
本発明のサイズ剤組成物は、調製直後および保存安定性試験後の性状、サイズ度および防錆性が良好であった。
これに対して、c成分を含有しない比較例1、c成分の代わりに硫酸アルミニウムを含有した比較例2、およびc成分のnが大きい比較成分を含有した比較例6の組成物は、組成物が増粘またはゲル化し、保存安定性試験後のサイズ度が不良であり、防錆性が不良であった。c成分の代わりにモノアミン化合物を含有した比較例3、c成分のR3の炭素鎖長が大きい比較成分を含有した比較例4、c成分のR7の炭素鎖長が大きい比較成分を含有した比較例5、c成分のmが大きい比較成分を含有した比較例7、およびa/cが1000を超える比較例8の組成物は、組成物が増粘やゲル化を起こし、保存安定性試験後のサイズ度が不良であった。a/cが10未満である比較例9、a+bが30重量%を超える比較例10、a/bが1未満である比較例11、および組成物のpHが7を超える比較例12の組成物は、平均粒径が大きく、組成物がゲル化し、保存安定性試験後のサイズ度が不良であった。
【0040】
【発明の効果】
本発明のサイズ剤組成物は、保存安定性が良好で、サイズ度の低下がなく、防錆性に優れた組成物である。
Claims (1)
- 下記のa、b、cおよびdからなり、aとbの合計量a+bが5〜30重量%、cが0.0025〜2.7273重量%、dが67.2727〜94.9975重量%、かつ、aとbの重量比a/bが1〜10、aとcの重量比a/cが10〜1000であり、pHが1.5〜7.0であるサイズ剤組成物。
a.下記の式(1)で示されるアルキルケテンダイマー
b.カチオン性基を含有するデンプン
c.下記の式(2)で示されるアミン化合物
d.水および酸
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