JP4055113B2 - 湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液 - Google Patents
湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、紙の湿潤紙力増強剤として有用であり、さらに従来のポリアミド−エピハロヒドリン樹脂を使用した場合に比べ抄紙装置の汚れを軽減し、操業性を高めることができる陽イオン性熱硬化性樹脂を含んだ湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液、紙の製造方法及び製造された紙に関する。さらに詳しくは、本発明は各種の紙、板紙を製造する抄紙工程において、プレスロール及びドライヤーロールへの紙粉の付着を軽減した湿潤紙力増強剤として利用される陽イオン性熱硬化性樹脂を含んだ湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液、それを使用した紙及びそのような紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、陽イオン性熱硬化性樹脂として知られるポリアミドポリアミン-エピハロヒドリンは、紙、板紙などの湿潤紙力増強剤、及びクレープ助剤として有用である。ポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸及び/又はその誘導体とから成るポリアルキレンポリアミンと、エピクロロヒドリンとを反応させてポリアミドポリアミン-エピクロロヒドリンを製造することは、例えば、特公昭35−3547号公報に記載されており、公知である。
【0003】
しかしこの様なポリアミド−エピハロヒドリン樹脂を湿潤紙力増強剤、及びクレープ助剤等として使用した場合、抄紙工程において、プレスロール、スムーザーロール、及びドライヤーロール等のロール表面に微細パルプや填料粒子から成る紙粉を付着させる原因となり、抄造した紙、板紙製品の品質に悪影響を与えたり、断紙により作業性を低下させたりする原因となる問題がある。
【0004】
これまでの紙粉の付着防止対策としては、界面活性剤や油性の剥離剤をロール表面に噴霧する方法が知られているが、専用の噴霧装置が必要である。
【0005】
なお、特開平03−294596号公報では、水に不溶のロジン系物質を、特定の疎水性基を有するポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂で乳化することにより、カチオン性ロジンエマルジョンサイズ剤を得る方法が記載されているが、本発明の如く、湿潤紙力増強剤やクレープ助剤に転用を示唆する記述は見出せない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、紙粉の付着を根本的に解決するために、紙粉の付着が少ないポリアミド−エピハロヒドリン樹脂が強く望まれてきた。従って本発明の課題は、抄紙工程におけるプレスロール、スムーザーロール、及びドライヤーロール等への紙粉の付着を防止することができ、例えば湿潤紙力増強剤として利用される陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液、それを使用した紙及びそのような紙の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、疎水性基を有するポリアミドポリアミン-エピハロヒドリン樹脂を湿潤紙力増強剤、及びクレープ助剤に使用することにより、(i)各種の紙、板紙を製造する抄紙工程において、プレスロール、スムーザーロール及びドライヤーロール等への紙粉の付着を軽減し、(ii)十分な湿潤紙力増強効果が得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液、また該湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液を使用した紙の製造方法、及び該湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液における陽イオン性熱硬化性樹脂を使用した紙を見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、
(1)
(i)下記(A)と下記(B)とを、又は下記(A)と下記(B)と下記(D)とを、前記(A)と、前記(B)と、前記(D)との、反応の際のモル比が、1:0.7以上1.3以下:0.0001以上0.01以下であるように、反応させる工程、及び
(ii) (I) 前記(i)の工程で(A)成分と(B)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンと(C)成分と(D)成分とを反応させ、
(II) 前記(i)の工程で(A)成分と(B)成分と(D)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンと(C)成分又は(C)成分及び(D)成分とを反応させ、又は
(III) 前記(i)の工程で(A)成分と(B)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンと(A)成分と(B)成分と(D)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンとを混合したものと(C)成分又は(C)成分及び(D)成分とを反応させる工程
を経て製造されてなることを特徴とする湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液であり、
(A)ポリアルキレンポリアミン
(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体
(C)エピハロヒドリン
(D)疎水性基を有する下記の群(D−1)〜(D−7)から選ばれる少なくとも一種類の化合物
(D−1)炭素数6〜30の一塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体
(D−2)炭素数6〜30のアルキルアミン
(D−5)アルキレンオキシド
(D−6)上記(D−1)、(D−5 )から選ばれる少なくとも一種類の化合物と(A)の反応生成物、
(D−7)上記(D−2)と(B)の反応生成物、
(2)
前記(ii)の工程が、5〜50℃の温度に加熱する前工程とこの前工程の温度よりも高く、かつ30〜80℃の範囲内の温度に加熱する後工程とからなる前記(1) の湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液であり、
(3) 前記(ii)の工程における(C)の量がポリアミドポリアミン中のエピハロヒドリンと反応し得るアミノ基に対して0.5〜1.6当量である前記(1)又は(2)のいずれか一つの湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液は、十分な湿潤紙力増強効果に加えて、ローラ等の表面への紙粉の付着を防止する効果を有する。
【0009】
本発明に係る湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液は、ポリアルキレンポリアミン[以下において、(A)成分、(A)ポリアルキレンポリアミン、又は単なる(A)と称することがある。]とジカルボン酸及び/又はその誘導体[以下において、(B)成分、(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体、又は単なる(B)と称することがある。]とを反応させ、又は(A)成分と(B)成分と疎水性基を有する下記の群(D−1)〜(D−7)から選ばれる少なくとも一種類の化合物[以下において、(D)成分、又は(D)疎水性基を有する化合物と称することがある。]とを反応させる(i)の工程を含む。
【0010】
(D−1):炭素数6〜30の一塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体[以下において、(D−1)成分と称することがある。]
(D−2):炭素数6〜30のアルキルアミン[以下において、(D−2)成分と称することがある。]
(D−5):アルキレンオキシド[以下において、(D−5)成分と称することがある。]
(D−6):上記(D−1)、(D−5)成分から選ばれる少なくとも一種類の化合物と(A)成分との反応生成物[以下において、(D−6)成分と称することがある。]
(D−7)上記(D−2)成分と(B)成分との反応生成物[以下において、(D−7)成分と称することがある。]
本発明に使用される(A)成分のポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミンなどが挙げられるが、工業的には、ジエチレントリアミンが好ましい。
【0011】
本発明に使用される(B)成分のジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、ドデカン二酸などが挙げられ、工業的には炭素数5〜10のジカルボン酸、特にアジピン酸が好ましい。また、ジカルボン酸誘導体としては、上記各酸の酸無水物、及び、上記各酸の、炭素数1〜5、特に炭素数1〜3の低級アルコール(メチル、エチル、プロピル)エステルが挙げられるが、工業的にはグルタル酸メチルエステル、アジピン酸メチルエステルが好ましい。
【0012】
本発明に使用される(D−1)成分としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びベヘニル酸等のカルボン酸、又は上記各酸のラウリン酸メチルエステル、ステアリン酸メチルエステル等のエステルを挙げることができる。前記(D−2)成分としては、オクチルアミン、及びオクタデシルアミン等を挙げることができる。前記(D−5)成分としては、オクチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを挙げることができる。前記(D−6)成分は、(D−1)成分、(D−5)成分から選ばれる少なくとも一種類の化合物と(A)成分とを反応させた生成物であり、例えば、ステアリン酸とジエチレントリアミンとの縮合物、オクチレンオキサイドとトリエチレンプロピルアミンとの付加物等を挙げることができる。前記(D−7)成分としては上記(D−2)成分と(B)成分とを反応させた生成物であり、例えば、アジピン酸とオクタデシルアミンとの縮合物、グルタル酸とシクロヘキシルアミンとの縮合物等を挙げることができる。
【0013】
この(D)成分は、前記(D−1)成分〜(D−7)成分のうちの一種を単独で使用することができるし、また二種以上を併用することができる。(D)成分として二種以上の化合物を使用する場合、(D−1)成分〜(D−7)成分のいずれか一種の成分に含まれる個々の複数種類を併用してもよく、また(D−1)成分〜(D−7)成分のいずれか二種例えば(D−1)成分と(D−2)成分とを併用することもできる。いずれの(D)成分を採用するにしても、工業的には、(D−1)炭素数6〜30の一塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体を使用することが好ましい。
【0014】
前記(i)の工程で、(A)ポリアルキレンポリアミンと(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体と(D)疎水性基を有する化合物とを反応させるときのその反応モル比は1:0.7以上1.3以下:0.0001以上0.01以下の範囲、特に1:0.9以上1.25以下:0.0005以上0.0095以下が好ましい。
【0015】
ジカルボン酸及び/又はその誘導体、又は疎水性基を有する化合物のモル比がこの範囲より多くても少なくても、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の保存安定性が十分得られず、湿潤紙力増強効果が劣る場合がある。また、疎水性基を有する化合物のモル比をこの範囲より少なくすると、湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液においてローラ等の表面に対する紙粉の付着を低減させる剥離性効果が十分得られない場合がある。一方、疎水性基を有する化合物のモル比をこの範囲より多くすると、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の剥離性効果を必要以上に与えても紙粉量の低減はほぼ飽和に達するのに対し、湿潤紙力増強効果が低減し、抄紙工程において湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液をパルプスラリーに添加した際、著しい発泡を伴い、抄紙作業を困難にする場合がある。特に、(A)ポリアルキレンポリアミンと(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体と(D)疎水性基を有する化合物との反応モル比が1:1以上1.25以下:0.0005以上0.0095以下の範囲で得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液は、抄紙工程においてロールへの紙粉の付着防止効果が優れ、又、樹脂水溶液中の低分子有機ハロゲン化合物、例えば1,3−ジクロロ−2−プロパノール、3−クロロ−1,2−プロパンジオールなどの含有量が少なくなるばかりか、癌原性の指標であるエームス試験で該湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が陰性となるものが得られ易く、好ましい。
【0016】
(A)ポリアルキレンポリアミンと(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体又は(A)ポリアルキレンポリアミンと(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体と(D)疎水性基を有する化合物との反応は、前記成分仕込み時に発生する反応熱を利用するか、外部より加熱して脱水及び/又は脱アルコール反応を行いながら加熱して反応を行う。反応温度は110〜250℃、特に135〜170℃が好ましく、温度条件は出発(B)成分がジカルボン酸であるか、その誘導体であるかに依存する。疎水性基を有する物質は、予め(A)ポリアルキレンポリアミン及び、(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体と反応させておいても良い。また、(A)ポリアルキレンポリアミンと(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体との反応によりポリアミノポリアミドが得られた後、反応させても良い。この際、重縮合反応の触媒として、硫酸や、ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸などのスルホン酸類、リン酸、ホスホン酸、及び次亜リン酸などのリン酸類など、その他公知の触媒を単独又は組み合わせて使用することができる。その使用量はポリアルキレンポリアミン1モルに対し0.005〜0.1モル、好ましくは、0.01〜0.05モルである。
【0017】
この縮合反応は、生成するポリアミドポリアミンの25℃における50%水溶液の粘度が200〜1,000mPa・sとなるまで続けられるのが好ましい。生成したポリアミドポリアミンの50%水溶液における粘度が200mPa・s未満であると、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の湿潤紙力増強効果が不十分である場合がある。また、その粘度が1,000mPa・sを越えると、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の湿潤紙力増強効果は優れるものの、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の保存安定性が著しく悪化し、ゲル化に到る場合がある。
【0018】
(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体と(A)ポリアルキレンポリアミンと(D)疎水性を有する化合物との縮合反応がポリアルキレンポリアミンの第1級アミノ基で優先して反応し、次いで第2級アミノ基と反応すると仮定すると、上記の工程で得られた疎水性基を有するポリアミドポリアミン中のエピハロヒドリンと反応し得るアミノ基の量は次式で算出される。なお、(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体と(A)ポリアルキレンポリアミンとの縮合反応においてもポリアミドポリアミン中のエピハロヒドリンと反応し得るアミノ基の量は次式で算出される。ただし、以下の式におけるx1及びy1は0である。
【0019】
アミノ基の量(当量/g)=(X1×nX+x1−Y1×2―y1)/(X2+x2+Y2+y2+Z−H)
ここでX1は系中のポリアルキレンポリアミンのモル量(mol)、Y1は系中のジカルボン酸及び/又はその誘導体のモル量(mol)、x1は疎水性基を有するアミンのモル量(mol)、y1は疎水性基を有するカルボン酸及び/又はその誘導体のモル量(mol)、X2は系中のポリアルキレンポリアミンの質量(g)、Y2は系中のジカルボン酸及び/又はその誘導体の質量(g)、x2は疎水性基を有するアミンの質量(g)、y2は疎水性基を有するカルボン酸及び/又はその誘導体の質量(g)、Zは系中の触媒の質量(g)、Hは縮合反応により生成した水及び/またはアルコールの質量(g)である。
【0020】
本発明に係る湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の製造方法は、前記(i)の工程に加えて、以下の態様を含む(ii)の工程を有する。
【0021】
即ち、(I) 前記(i)の工程で(A)成分と(B)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンと(C)成分と(D)成分とを反応させる態様、
(II) 前記(i)の工程で(A)成分と(B)成分と(D)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンと(C)成分又は(C)成分及び(D)成分とを反応させる態様、又は
(III) 前記(i)の工程で(A)成分と(B)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンと(A)成分と(B)成分と(D)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンとを混合したものと(C)成分又は(C)成分及び(D)成分とを反応させる態様である。
【0022】
ポリアミドポリアミンを混合する場合、それぞれのポリアミドポリアミンを混合するときの比率と組成とから換算して、(A)ポリアルキレンポリアミンと(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体と(D)疎水性基を有する化合物との組成比が1:0.7以上1.3以下:0.0001以上0.01未満の範囲、特に1:0.9以上1.25以下:0.0005以上0.0095以下になるように混合することが好ましい。
【0023】
この(i)及び(ii)の工程における(A)成分、(B)成分、及び(D)成分については、前記したとおりである。
【0024】
(C)成分即ちエピハロヒドリン(以下において、(C)エピハロヒドリン又は単に(C)と称することがある。)としては、エピクロロヒドリン、及びエピブロムヒドリンなどが挙げられるが、工業的にはエピクロロヒドリンが好ましい。前記反応によって得られるポリアミドポリアミン中の第2級アミノ基に対するエピハロヒドリンのモル比は、0.5〜1.6が好ましく、特に0.8〜1.5が好ましい。エピハロヒドリンのモル比が1.6より大きいと、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液中の環境上好ましくない低分子有機ハロゲン化合物、例えば1,3−ジクロロ−2−プロパノール、及び3−クロロ−1,2−プロパンジオールなどの含有量が増加する場合がある。一方、エピハロヒドリンのモル比が0.5よりも小さいと、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の湿潤紙力増強効果が低下し、また保存安定性が悪化する場合がある。
【0025】
(i)の工程により得られたポリアミドポリアミンと少なくとも(C)エピハロヒドリンとが反応する(ii)の工程においては、ポリアミドポリアミンにエピハロヒドリンを付加させる反応工程((ii)−1次工程と称することがある。)と、さらに架橋反応により増粘させる工程((ii)−2次工程と称することがある。)とを経て、湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液を得るのが好ましい。この様にして得られる樹脂水溶液は、保存安定性が優れ、樹脂水溶液中の低分子有機ハロゲン化合物の含有量を少なくすることができる。
【0026】
前記(ii)−1次工程は、ポリアミドポリアミンの濃度が30〜80質量%、特に40〜70質量%の水溶液中で行なわれることが好ましい。ポリアミドポリアミンの濃度が30質量%よりも低いと、反応の進行が著しく遅いばかりでなく、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の湿潤紙力効果が低下する場合がある。一方、ポリアミドポリアミンの濃度が80質量%よりも高いと、反応の進行が著しく速く、すなわち、粘度の増大速度が著しく速くなり、ゲル化に到る場合も多く、反応の制御が困難であるばかりでなく、生成物の保存安定性が著しく劣る結果となる場合がある。この(ii)−1次工程における反応温度については、比較的低温、すなわち、5〜50℃、特に10〜45℃に保ち、反応を進めることが好ましい。反応温度がこの範囲より高い場合、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液中の低分子有機ハロゲン化合物の含有量が増加する場合がある。反応温度がこの範囲より低い場合、ポリアミドポリアミンとエピハロヒドリンの付加反応の効率が低下する場合がある。
【0027】
前記(ii)−1次工程は、エピハロヒドリンの残存量が反応液の固形分当たり4.0%以下になるか、残存するエピハロヒドリンの量が実質的に変化しなくなるまで行うことが好ましく、時間的には、1時間〜10時間程度反応を続けることで、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液中の低分子有機ハロゲン化合物、例えば1,3−ジクロロ−2−プロパノール、及び3−クロロ−1,2−プロパンジオールなどの含有量を低下するのに十分効果が得られるので、好ましい。(ii)−2次工程として、希釈して、又は希釈することなく、反応温度を30〜80℃、特に40〜75℃に加熱し、反応を続けることが好ましい。この際、(ii)−1次工程よりも高い温度で反応させるのが好ましい。通常、(ii)−2次工程の際に加熱温度が高くなると反応混合物の増粘が著しくなって反応の制御が困難になることがあるので、(ii)−2次工程において、反応水溶液の濃度を15〜70%に、特に20〜50%に希釈するのが好ましい。更に、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸などの無機酸、ギ酸、及び酢酸などの有機酸、好ましくはハロゲンを含まない無機酸、並びに有機酸などのうち 一種以上の酸をポリアミドポリアミンとエピハロヒドリンとの反応物の反応制御を容易にするために、ポリアミドポリアミンのアミノ基に対し0.01〜0.7当量、特に0.02〜0.35当量加えることが好ましい。
【0028】
(ii)−2次工程の反応は、生成物の固形分が25質量%水溶液の25℃における粘度が10〜300mPa・sに達するまで反応を続けるのが好ましい。25質量%水溶液の粘度が10mPa・s未満であると、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の湿潤紙力増強剤としての性能が十分得られない場合がある。また、300mPa・sを越えると、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の保存安定性が悪くなるばかりでなく、抄紙工程においてパルプスラリーに添加すると、著しい発泡を伴い、抄紙作業を困難にするのみならず、抄造される紙の地合いを損なう場合がある。
【0029】
水を加えて反応を停止させ、冷却すると同時に固形分を15〜40%に調節することが好ましい。更に、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸などの無機酸、ギ酸、及び酢酸などの有機酸、特にハロゲンを含まない無機酸、並びに有機酸などのうち一種以上の酸を加えて、好ましくはpHを2〜5に調整し、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の保存安定性を向上させることができる。
【0030】
ここで、(D)疎水性基を有する化合物に着目してその取り扱いを以下に記す。
【0031】
前記(i)の工程で、(D)疎水性基を有する化合物は、(A)ポリアルキレンポリアミンと(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体との反応の際に同時に反応させることに限らず、例えば、
▲1▼(D)疎水性基を有する化合物と(A)ポリアルキレンポリアミンとを反応させた後、(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体と反応させる、
(D)疎水性基を有する化合物と(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体とを反応させた後、(A)ポリアルキレンポリアミンと反応させる、
▲3▼(A)ポリアルキレンポリアミンと(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体との反応によりポリアミドポリアミンが得られた後に(D)疎水性基を有する化合物を反応させる、
などの合成工程を経ることができる。
【0032】
(D)疎水性基を有する化合物である(D−6)成分又は(D−7)成分は、前記(i)の工程とは別に予め合成した生成物を示している。そのため、(D−6)成分又は(D−7)成分は(ii)の工程で使用することが、製造上好ましい。
【0033】
前記(ii)の工程であるポリアミドポリアミンとエピハロヒドリンとを反応させる際に一緒に、又はポリアミドポリアミンとエピハロヒドリンとを反応させる前後に(D)疎水性基を有する化合物を反応させることができるが、得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液中に未反応の(D)成分が、分離又は沈殿する場合があるので、前記(i)の工程、又は前記(ii)の1次工程、特に前記(i)の工程で(D)疎水性基を有する化合物を使用することが好ましい。
【0034】
かくして(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を必須の原料として製造された陽イオン性熱硬化性樹脂を含有する反応生成液が得られる。この陽イオン性熱硬化性樹脂は、紙又は板紙の製造工程において紙層形成前の紙料中に含まれていると、従来の方法で製造されたポリアミドポリアミン−エピハロヒドリンと比較し、同程度の湿潤紙力増強効果を示し、プレスロール、スムーザーロール、及びドライヤーロール等の汚れを軽減することが可能である。故に、この陽イオン性熱硬化性樹脂を含有する反応生成液は、従来の湿潤紙力増強剤とは異なり、湿潤紙力増強効果に加えてローラ等の表面に対する付着防止効果を有するので、湿潤紙力増強剤として好適である。具体的に湿潤紙力増強剤の使用方法としては、パルプの水分散液に又はファンポンプ部の白水中にパルプの乾燥質量当たり0.01〜5固形分質量%が好ましく、通常は0.05〜3固形分質量%添加される。
【0035】
この他に、陽イオン性熱硬化性樹脂を含有する反応生成液は、湿潤紙力増強剤として使用されるとともに、テッシュペーパー等の家庭紙の製造時、ヤンキードライヤーで乾燥させる時にドライヤー表面に紙匹を接着させ、その紙匹をヤンキードライヤー表面からドクターブレードで剥離させることでクレープを付与する際のクレープ助剤として使用することができる。本願発明における陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液は、湿紙の剥離性がよいために紙匹の表面を平滑に保ったままドライヤー表面に密着させることが出来るので、均一なクレープを紙匹に付与でき、クレープ助剤として好適である。クレープ助剤としては、ヤンキードライヤーの前方で紙にスプレーする方法、ヤンキードライヤーの表面に直接スプレーする方法、及びこれら前記方法を組み合わせる方法がある。このパルプ原料としては、クラフトパルプ、及びサルファイトパルプの晒並びに未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプ、及びサーモメカニカルパルプ等の晒並びに未晒高収率パルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙及び脱墨古紙等の古紙パルプの何れにも使用することができる。
【0036】
填料、染料、乾燥紙力増強剤、歩留まり向上剤、及びサイズ剤等の添加剤も必要に応じて使用しても良い。また、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、及びキャレンダー等で、澱粉、ポリビニルアルコール、アクリルアミド系ポリマー等の表面紙力増強剤、表面サイズ剤、染料、コーティングカラー及び防滑剤等を必要に応じて塗布しても良い。
【0037】
このように本発明により得られた湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液を用いて製造される紙、又は板紙としては、ティシュペーパー、ペーパータオル、新聞用紙、感熱原紙、積層板原紙、ジアゾ原紙、及び紙器用板紙等が該当し、何れの抄紙工程においても、プレスロール、スムーザーロール及びドライヤーロール等への紙粉の付着を軽減し、抄造された紙、板紙に有用な湿潤紙力増強効果、及びクレープを与える。
【0038】
本発明におけるエームス試験には、アミノ酸の一種であるヒスチジンを生合成できないためにヒスチジンがなくては生育できないネズミチフス菌の栄養要求性の菌株(ヒスチジン要求株 His−)を用いる。化学物質によって突然変異が誘発されると復帰変異を起こしてヒスチジンを合成できるようになり(ヒスチジン非要求株 His+)、ヒスチジンの入っていないグルコースだけの培地で生育して白いコロニーを形成する。エームス試験とは、このようにヒスチジン要求性から非要求性に変わる復帰突然変異を調べる方法である。このエームス試験は、エーメス試験(Ames test)とも称され、医学大辞典第18版第215頁(南山堂発行)に説明されているように、現在一般に世界中で広く用いられている癌原性評価の短期探索法である。
【0039】
本発明におけるエームス試験においては、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリンに対する感受性が高く、エームス試験の判定が陽性を示しやすい菌株であるネズミチフス菌TA1535(以下 TA1535と略す)が使用される。
【0040】
また、多くの癌原性物質が、哺乳動物の体内に入って代謝活性化を受けることによって癌原性を、示す。しかし、微生物には多くの癌原性物質の代謝活性化酵素系が欠損している為、エームス試験ではラット等の肝臓から得られた代謝活性化酵素に補酵素類を加えた代謝活性化酵素系(S9mix)を添加して実施する代謝活性化試験と、代謝活性化酵素系(S9mix)を添加しないで実施する非代謝活性化試験との二種類の試験が実施される。本発明では、代謝活性化試験の方が、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリンの変異原性が強く現れることから、代謝活性化試験のみを実施する。エームス試験の操作手順については、例えば「抗変異原・抗発がん物質とその検索法」黒田行昭編(講談社)等に詳細に説明されているので、ここでは簡略に説明する。
【0041】
試験菌株前培養液は、Oxoid社製のニュートリエントブロス2.5gに蒸留水100gを加えて高圧蒸気滅菌した培養液に、TA1535を接種し、37℃で11時間往復振とう培養することにより得られる。
【0042】
滅菌した試験管に、被験物質液(ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂水溶液)0.1ml、S9mix 0.5ml、試験菌株前培養液0.1mlを加え、ミキサーで攪拌する。次いで、37℃で振とうしながら20分間プレインキュベーションする。プレインキュベーション後、試験管に0.05mM・L‐ヒスチジン−0.05mM・D‐ビオチン及び0.6% NaCl、0.6% 寒天(Difco社製 Bacto agar)を含有した軟寒天 2mlを加え、最少グルコース寒天平板培地の上に注ぎ、一様に広げた後、遮光する。37℃で48時間以上培養した後、復帰突然変異により生じたコロニー数を数える。復帰突然変異コロニー数が、被験物質液の代わりに滅菌蒸留水を用いて行った溶媒対照試験でのコロニー数の2倍以上に増加した場合に陽性と判定する。
【0043】
最少グルコース寒天平板培地の組成:
蒸留水 900ml
Vogel−Bonnerの最小培地E原液 100ml
グルコース 20g
寒天(Difco社製 Bacto agar) 15g
この最少グルコース寒天平板培地は、高圧蒸気滅菌後、直径90mmの滅菌シャーレに30mlずつ分注され、水平面上に放置して冷却固化される。尚、Vogel−Bonnerの最小培地E原液の組成は、硫酸マグネシウム・7水塩2g、クエン酸・1水塩20g、リン酸2カリウム・無水塩100g、リン酸1アンモニウム19.2g、及び水酸化ナトリウム6.6gを蒸留水に溶解させて1000mlにしてなる溶液である。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を、実施例及び比較例を挙げて、具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、各例中、%は特記しない限りすべて質量%である。
【0045】
(実施例1)
(i)の工程
温度計、冷却器、撹拌機、窒素導入管を備えた1L四つ口丸底フラスコにジエチレントリアミン103g(1.0モル)、88%リン酸1.75g(0.016モル)を仕込み、攪拌しながらステアリン酸1.42g(0.005モル)、次いでアジピン酸137g(0.94モル)を加え、窒素気流下、生成する水を系外に除去しながら昇温し、170℃で5時間反応させた後、水を徐々に加えて固形分50%に調整し、ポリアミドポリアミン含有液を得た。固形分50%における該ポリアミドポリアミン含有液の粘度は380mPa・s(25℃)であった。
【0046】
(ii)の工程
温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた別の500mL四つ口フラスコに、上記で得られたポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.32当量)と水13gとを仕込み(固形分45%)、エピクロロヒドリン29.7g(0.32モル)を20℃で30分かけて滴下した後、30℃に加熱して8時間同温度で保持した。次いで、水135.2gを加えて固形分を30%とした後、30%硫酸2.9gを加え、65℃まで加熱してこの温度で保持し、反応液の粘度が65mPa・s(25℃)に到達した時点で、更に水45.4gで希釈し、硫酸でpHを3.5に調整した後、88%ギ酸を5.02g加えた。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0047】
(実施例2)
(i)の工程
実施例1の(i)の工程におけるのと同様の反応装置にジエチレントリアミン103g(1.0モル)を仕込み、攪拌しながらステアリン酸1.42g(0.005モル)を加えた後、窒素気流下、生成する水を系外に除去しながら昇温し、170℃で2時間反応させた。該反応液の温度を110℃まで冷却させた後、アジピン酸172g(1.18モル)を加え、再び生成する水を系外に除去しながら昇温し、170℃で3時間反応させた後、水を徐々に加えて固形分50%に調整し、ポリアミドポリアミン含有液を得た。固形分50%における該ポリアミドポリアミン含有液の粘度は408mPa・s(25℃)であった。
【0048】
(ii)の工程
上記で得られたポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.16当量)とエピクロロヒドリン17.3g(0.19モル)を使用した以外は、実施例1の(ii)の工程と同様の反応を行った。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0049】
(実施例3及び実施例4)
実施例2のポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.16当量)を使用し、表1に示すエピハロヒドリンの量を使用した以外は、実施例1の(ii)の工程と同様の反応を行った。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。エピハロヒドリンの量を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
(実施例5)
実施例1の(i)の工程におけるのと同様の反応装置にアジピン酸ジメチル205g(1.18モル)、オクタデシルアミン1.35g(0.005モル)を仕込み、窒素気流下、生成するメタノールを系外に除去しながら昇温し、170℃で1時間反応させた後、100℃に冷却した。次いで反応溶液にジエチレントリアミン103g(1.0モル)を加え、再び生成するメタノールを系外に除去しながら昇温し、150℃で1時間反応させた後、水を徐々に加えて固形分50%に調整し、ポリアミドポリアミン含有液を得た。固形分50%における該ポリアミドポリアミン含有液の粘度は392mPa・s(25℃)であった
上記で得られたポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.16当量)とエピクロロヒドリン17.3g(0.19モル)を使用した以外は、実施例1の(ii)の工程と同様の反応を行った。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0052】
(比較例6)ジエチレントリアミン103g(1.0モル)、アジピン酸172g(1.18モル)、ヘキサデシルケテンダイマー1.33g(0.005モル)を用いて、実施例2の(i)の工程と同様の反応を行い、水で固形分50%に調整したポリアミドポリアミン含有液を得た。固形分50%における該ポリアミドポリアミン含有液の粘度は412mPa・s(25℃)であった。
【0053】
上記で得られたポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.16当量)とエピクロロヒドリン17.3g(0.19モル)を使用した以外は、実施例1の(ii)の工程と同様の反応を行った。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0054】
(比較例7)ジエチレントリアミン103g(1.0モル)、アジピン酸172g(1.18モル)、ドデセニル無水コハク酸1.13g(0.005モル)を用いて、実施例1の(i)の工程と同様の反応を行い、水で固形分50%に調整したポリアミドポリアミン含有液を得た。固形分50%における該ポリアミドポリアミン含有液の粘度は407mPa・s(25℃)であった。
【0055】
上記で得られたポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.16当量)とエピクロロヒドリン17.3g(0.19モル)を使用した以外は、実施例1の(ii)の工程と同様の反応を行った。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0056】
(実施例8)
実施例1の(i)の工程におけるのと同様の反応装置にジエチレントリアミン103g(1.0モル)を仕込み、アジピン酸172g(1.18モル)を加え、生成する水を系外に除去しながら昇温し、170℃で3時間反応させた後、水で固形分50%に調整したポリアミドポリアミン含有液を得た。固形分50%における該ポリアミドポリアミン含有液の粘度は421mPa・s(25℃)であった。
【0057】
温度計、冷却器、撹拌機、窒素導入管を備えた100mL四つ口丸底フラスコにトリエチレンテトラミン14.6g(0.1モル)を仕込み、1,2−オクチレンオキシド12.8g(0.1モル)を20℃で30分かけて滴下した後、60℃で30分間反応させて、付加反応物を得た。
【0058】
実施例1の(i)の工程におけるのと同様の反応装置に、上記で得られたポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.16当量、ポリアルキレンポリアミンの組成としては、ジエチレントリアミン0.258モルとアジピン酸0.304モルとの縮合反応物に相当する)と水13gとを仕込み(固形分45%)、エピクロロヒドリン18.3g(0.20モル)を20℃で30分かけて滴下した後、30℃に加熱して4時間同温度で保持した後、上記で得られた該付加反応物を0.35g(0.0013モル)加えて、さらに同温度で4時間保持した。次いで、水110gを加えて固形分を30%とした後、30%硫酸3.1gを加え、65℃まで加熱してこの温度で保持し、反応液の粘度が65mPa・s(25℃)に到達した時点で、更に水39gで希釈し、硫酸でpHを3.5に調整した後、88%ギ酸を2.5g加えた。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0059】
(実施例9)
ステアリン酸の替わりにラウリン酸1.00g(0.005モル)を使用した以外は、前記実施例2の(ii)の工程と同様の反応を行った後、水で固形分50%に調整したポリアミドポリアミン含有液を得た。固形分50%における該ポリアミドポリアミン含有液の粘度は413mPa・s(25℃)であった。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0060】
(実施例10)
前記実施例2(i)の工程で得られたポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.16当量)と水80gを仕込み(固形分30%)、エピクロロヒドリン21.5g(0.23モル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、水50gを加えて固形分を30%とした後、30%硫酸2.9gを加え、65℃まで加熱してこの温度で保持し、反応液の粘度が65mPa・s(25℃)に到達した時点で、更に水40.0gで希釈し、硫酸でpHを3.5に調整した後、88%ギ酸を2.5g加えた。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0061】
(実施例11〜13、比較例14)
表2に記載されているステアリン酸の量に変える以外は、実施例2の(i)の工程と同様の反応を行った。ステアリン酸の量を表2に示す。
【0062】
上記で得られたポリアミドポリアミン含有液とエピハロヒドリンの反応は、実施例2の(ii)の工程と同様にポリアミドポリアミンのアミノ基量に対して、エピクロロヒドリンを1.2当量使用し、反応を行った。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0063】
【表2】
【0064】
(実施例15)
実施例1の(ii)の工程におけるのと同様の反応装置に前記実施例8において得られた該ポリアミドポリアミン含有液60gと前記実施例13において得られた該ポリアミドポリアミン含有液60gを仕込み(混合したポリアミドポリアミンのアミノ基として0.16当量)、エピクロロヒドリンを18.0g(0.19モル)使用する以外は、実施例1の(ii)の工程と同様の反応を行った。かくして湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0065】
(比較例1)
前記実施例1でステアリン酸を含まないで反応を行った。かくして陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0066】
(比較例2)
前記実施例2でステアリン酸を含まないで反応させた。かくして陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0067】
(比較例3)
(i)の工程
前記実施例1と同様の反応装置を用い、ジエチレントリアミン103g(1.0モル)を仕込み、攪拌しながら酪酸0.44g(0.005モル)を加えた後、窒素気流下、生成する水を系外に除去しながら昇温し、150℃で4時間反応させた。前記反応液の温度を100℃まで冷却させた後、アジピン酸172g(1.18モル)を加え、再び生成する水を系外に除去しながら昇温し、150℃で5時間反応させた後、水を徐々に加えて固形分50%に調整し、ポリアミドポリアミン含有液を得た。固形分50%における該ポリアミドポリアミン含有液の粘度は318mPa・s(25℃)であった。
【0068】
(ii)の工程
上記で得られたポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.16当量)とエピクロロヒドリン18.0g(0.19モル)を使用した以外は、実施例1の(ii)の工程と同様の反応を行った。かくして陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0069】
(比較例4)
実施例1でステアリン酸の替わりにモノエタノールアミン3.08g(0.05モル)を使用する以外は、全て同様に反応を行った。かくして陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0070】
(ii)の工程
上記で得られたポリアミドポリアミン含有液120g(アミノ基として0.16当量)とエピクロロヒドリン18.0g(0.19モル)を使用した以外は、実施例1の(ii)の工程と同様の反応を行った。かくして陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0071】
(比較例5)
実施例4でステアリン酸を使用しないこと、エピクロロヒドリンを25.6g使用したこと以外は、全て同様に反応を行った。かくして陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が得られた。
【0072】
実施例1〜15で得た湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液及び比較例1〜5で得た陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液それぞれの性状、製品中に含まれる1,3−ジクロロ−2−プロパノール(以下DCPと略記する)の含有量、及び陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液のエームス試験の評価結果を表3に示した。
【0073】
【表3】
【0074】
(抄紙試験)
実施例1〜15及び湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液と比較例1〜5で得られた陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液とのそれぞれを、十研式手抄き抄紙機を使用した抄紙試験に供した。手抄き直後の湿紙を基板に乗せ検体を作成する。ろ紙等で検体を挟み込み、角型自動プレス機で所定の圧力をかけることで、湿紙の余分な水分を取り除くと同時に基板と湿紙が接着する。次に接着した手抄き紙をはがし、基板上に付着する紙粉の質量を測定した。すなわち、基板に付着した紙粉量が多いほど剥離性が悪いということになる。結果を表4に示した。本発明の評価に使用した基板は、ウレタン樹脂製の平板で、大きさが20cm×20cmのものである。なお、試験に使用する基板の材質は、ロールの材質である金属、ストーン、ゴムが好ましいが、それ以外でもアクリル樹脂などのシートを使用しても良い。
【0075】
又、ノーブルアンドウッド式手抄き抄紙機を使用した抄紙試験に供した。得られた紙の湿潤時の紙力強度をJIS−P8113に準拠して測定した。結果を表2に示した。
【0076】
剥離性の評価における抄紙条件
使用パルプ:晒クラフトパルプ(広葉樹)
叩解度(CSF)550
樹脂添加率:0.3%(対パルプ固形分)
抄紙坪量:125g/m2
プレス条件:4.2kgf/cm2−5分
湿紙中の水分率:60%
又、ノーブルアンドウッド式手抄き抄紙機を使用した抄紙試験に供した。得られた紙の湿潤時の紙力強度をJIS−P8113に準拠して測定した。結果を表4に示した。
【0077】
湿潤時の紙力評価における抄紙条件
使用パルプ:晒クラフトパルプ(広葉樹)
叩解度(CSF)550
樹脂添加率:0.3%(対パルプ固形分)
抄紙坪量:125g/m2
乾燥条件:100℃×120秒(ドラムドライヤーを使用)
【0078】
【表4】
【0079】
以上の結果から、実施例1に対し比較例1及び比較例4、実施例2と実施例11〜14に対し比較例2及び比較例3の結果が示すように、本発明の方法に従って得られた湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液と疎水性基を有しない同様の組成比の樹脂水溶液とを比較すると、本発明の方法に従って得られた湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液は、十分な湿潤紙力増強効果を有しながら、さらに基板に付着する紙粉量を少なくとも1/3程度まで低減することができた。
【0080】
【発明の効果】
本発明によると、各種の紙、板紙を製造する抄紙工程において、プレスロール、スムーザーロール及びドライヤーロールへの紙粉の付着を軽減し、十分な湿潤紙力増強効果が得られる湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液、また該湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液を使用した紙の製造方法、及び該湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液を使用した紙を得ることができる。
【0081】
かくして、本発明の方法に従って得られた湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液をパルプスラリーに添加することにより、各種の紙、板紙を製造する抄紙工程において、プレスロール、スムーザーロール及びドライヤーロールへの紙粉の付着を軽減し、抄造した紙に十分な湿潤紙力増強効果を与えることができる。ロールへの紙粉の付着が軽減された結果、各種ロールの洗浄、断紙によるトラブル等、製紙作業の煩わしさ軽減し、生産性を向上させると共に、紙の品質を向上することができる。
Claims (3)
- (i)下記(A)と下記(B)とを、又は下記(A)と下記(B)と下記(D)とを、前記(A)と、前記(B)と、前記(D)との、反応の際のモル比が、1:0.7以上1.3以下:0.0001以上0.01以下であるように、反応させる工程、及び
(ii) (I) 前記(i)の工程で(A)成分と(B)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンと(C)成分と(D)成分とを反応させ、
(II) 前記(i)の工程で(A)成分と(B)成分と(D)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンと(C)成分又は(C)成分及び(D)成分とを反応させ、又は
(III) 前記(i)の工程で(A)成分と(B)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンと(A)成分と(B)成分と(D)成分とを反応させて得られるポリアミドポリアミンとを混合したものと(C)成分又は(C)成分及び(D)成分とを反応させる工程により製造されてなることを特徴とする湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液。
(A)ポリアルキレンポリアミン
(B)ジカルボン酸及び/又はその誘導体
(C)エピハロヒドリン
(D)疎水性基を有する下記の群(D−1)〜(D−7)から選ばれる少なくとも一種類の化合物
(D−1)炭素数6〜30の一塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体
(D−2)炭素数6〜30のアルキルアミン
(D−5)アルキレンオキシド
(D−6)上記(D−1)、(D−5)から選ばれる少なくとも一種類の化合物と(A)との反応生成物
(D−7)上記(D−2)と(B)との反応生成物 - 前記(ii)の工程が、5〜50℃の温度に加熱する前工程とこの前工程の温度よりも高く、かつ30〜80℃の範囲内の温度に加熱する後工程とからなる前記請求項1に記載の湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液。
- 前記(ii)の工程における(C)の量がポリアミドポリアミン中のエピハロヒドリンと反応し得るアミノ基に対して0.5〜1.6当量である前記請求項1〜2のいずれか一項に記載の湿潤紙力増強剤用陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液。
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