JP4593755B2 - 折り畳み式運搬用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、不使用時には小さくコンパクトに折り畳んで収納及び運搬することができるように構成された折り畳み式運搬用容器に関するものである。より詳しくは、折り畳み作業を簡単に行うことができるように構成された折り畳み式運搬用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の折り畳み式運搬用容器としては、有底長四角箱状に形成された容器本体からなる折り畳み式運搬用容器が知られている。この折り畳み式運搬用容器の容器本体は、長四角板状に形成された底壁と、底壁の周縁に立設された対向する各一対の短側壁及び長側壁とを備えている。各短側壁及び長側壁と底壁との間には回動軸及びこの回動軸が軸着される軸受け部よりなる回動手段が設けられている。この回動手段により各短側壁及び長側壁は底壁の周縁部に回動可能となっており、各側壁を容器本体の内方に回動させることで容器本体は折り畳まれ、折り畳んだ状態では小さくコンパクトなものになる。
【0003】
容器本体を組み立てた状態で各長側壁及び短側壁の間にはそれぞれ互いに嵌合可能な一対の嵌合部が設けられており、これら嵌合部を互いに嵌合することにより、長側壁及び短側壁が底壁の周縁に垂設した状態を維持されている。また、この状態で各側壁の内面側下端縁にはその角部を面取りすることにより面取り部が形成されており、組み立てた状態から折り畳んだ状態への各側壁の底壁に対する回動を円滑なものとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の折り畳み式運搬用容器は、組み立てた状態で面取り部を設けたスペースだけ各側壁の下端面の面積は小さくなり、底壁の上面との接触面積も小さくなっている。このため、例えば組み立てた状態の複数の容器本体を上下に積み上げたり等したとき、各側壁に上方から作用する圧縮荷重が各側壁及び底壁の接触部位で支持しきれず、回動軸及び軸受け部にも加わることで容器本体が歪んだり、損傷したり等するといった不具合が生じやすいという問題があった。また、面取り部を設けるスペースを小さくすることにより、各側壁の底壁に対する接触面積を大きくすれば圧縮荷重を十分に支持することはできるが、この場合、各側壁を回動するときに側壁の下端縁が底壁に接触しやすくなり、側壁の回動に支障を来すおそれがあるという問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、各側壁に作用する圧縮荷重による容器本体の損傷を抑制することができるとともに、各側壁の底壁に対する円滑な回動を維持することができる折り畳み式運搬用容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の折り畳み式運搬用容器は、四角板状に形成されるとともに各側縁に支持突条が立設された底壁と、底壁の対向する各一対の支持突条に設けられた各一対の側壁とを有する有底四角箱状の容器本体を備え、前記各側壁に形成された回動軸を前記支持突条に設けられた軸受部に回動可能に軸着することで、各一対の側壁を底壁に対して容器本体の内方へ回動させることにより容器本体を折り畳み及び組み立て可能に構成した折り畳み式運搬用容器であって、少なくとも一対の側壁には、該側壁の内側面に沿って延びるとともに該側壁の下端から下方に突出するように内側部突条を形成し、容器本体を組み立てた状態で前記内側部突条が前記支持突条の上端に当接するように構成することで側壁に作用する圧縮荷重を支持可能とし、前記軸受部の内側面と前記回動軸との間に間隙を設けて前記回動軸が前記軸受部の内部において上側に移動できるように構成することで、側壁を回動させるときに前記内側部突条が前記支持突条に接触することを抑制することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の折り畳み式運搬用容器は、請求項1に記載の発明において、前記内側部突条を側壁の下縁に沿って延びるように設けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明の折り畳み式運搬用容器は、前記支持突条には、該支持突条の外側面に沿って延びるとともに該支持突条の上端から上方に突出するように外側部突条を形成し、容器本体を組み立てた状態で、前記外側部突条が前記側壁の下端に当接するように構成することで側壁に作用する圧縮荷重を支持可能としたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、この発明を具体化した第1実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図3(a),(b)に示すように、折り畳み式運搬用容器を構成する容器本体11は、合成樹脂により有底長四角箱状に形成されている。容器本体11は、長四角板状に形成された底壁12と、底壁12の両長側縁及び短側縁に沿ってそれぞれ立設された各一対の長側壁13及び短側壁14とを備えている。また、両短側壁14の中央部には、容器本体11を把持するための把持孔27が横長四角孔状に貫設されている。底壁12はその両長側縁及び短側縁に第1支持突条21a及び第2支持突条21bを有している。第1支持突条21a及び第2支持突条21bはそれぞれ四角柱状に形成され、容器本体11のコーナ部間を繋ぐように立設されている。そして、第1支持突条21aの上方位置に長側壁13が、第2支持突条21bの上方位置に短側壁14がそれぞれ支持されている。
【0011】
図2(a),(b)に示すように、第1及び第2支持突条21a,21bの上端部には、所定間隔をおいて回動手段を構成する軸受部22が複数設けられている。これら軸受部22には長側壁13及び短側壁14の下端部にそれぞれ設けられた回動手段を構成する回動軸23が回動可能に軸着されている。第1支持突条21aの高さは、長側壁13の厚みとほぼ同じに形成されており、第2支持突条21bの高さは、長側壁13の厚みに短側壁14の厚みを加えた長さとほぼ同じに形成されている。そして、容器本体11は、両長側壁13が底壁12の上面に折り畳まれた状態で、両短側壁14が長側壁13の上面に折り畳まれることによって、折り畳み可能に構成されている。
【0012】
図4(a),(b)に示すように、長側壁13の外面において、短辺上部には長四角形状をなす係合凹部31が凹設されている。この係合凹部31内の下端部には第1規制凸部32が突設され、上端部には四角柱状をなす第2規制凸部33が突設されている。短側壁14の内面において、短辺上端部からは長四角板状をなす規制板41が突設されるとともに、規制板41の内面下端部にはその端縁に沿って規制枠部42が突設されている。
【0013】
容器本体11を組み立てた状態では、前記規制板41が係合凹部31内へ収容されるとともに、規制枠部42内に第1規制凸部32が係合されることにより、長側壁13及び短側壁14の容器本体11の外方への回動が規制されている。また、規制板41の上端部には第2規制凸部33と対応する位置に長四角孔状をなす係合孔43が透設されており、係合孔43へ第2規制凸部33が係入されることにより、短側壁14の容器本体11の外方への回動が規制されている。
【0014】
短側壁14の両側上部には、短側壁14をコ字状に切欠くことによってその内側に押圧片44が形成されている。この押圧片44は規制枠部42と係合孔43との間でその先端部が短側壁14の外方に向かうように配設されるとともに、その先端部には短側壁14の内面側に突出するように係合突部45が突設されている。図4(a)中に二点鎖線で示すように、押圧片44は、その基端部を中心に容器本体11の外方及び内方へ僅かに弾性変形可能となっている。そして、容器本体11を組み立てた状態で押圧片44の先端面が長側壁13の内面に接触されることにより、長側壁13の容器本体11の内方への回動が規制されている。
【0015】
図2(a)及び図3(a),(b)に示すように、底壁12の4つのコーナ部において、第1支持突条21a及び第2支持突条21bの上端面には平面から見てL字状をなす移動規制突条21cが突設されている。長側壁13及び短側壁14の下端両側部には、容器本体11を組み立てた状態で各移動規制突条21cと係合可能な規制切欠部21dがそれぞれ形成されている。そして、移動規制突条21c及び規制切欠部21dの係合により、長側壁13及び短側壁14の横方向への移動が規制されている。
【0016】
図2(b)及び図5(a),(b)に示すように、第1支持突条21aの外側部には、長四角形状に凹設された各一対の収容凹部24が設けられている。容器本体11を折り畳んだ状態でこれら収容凹部24内には規制板41が収容されるようになっており、折り畳まれた容器本体11は規制板41により短側壁14が浮き上がることなく平板状となっている。
【0017】
図1(a),(b)、図2(a)、図3(a)及び図5(a)に示すように、第1支持突条21a及び第2支持突条21bの上端面の外側縁には、支持突部としての外側部突条25が底壁12の長側縁及び短側縁に沿って延びるように僅かに上方へ突出して形成されている。この外側部突条25は容器本体11内の収容物を外側方から隠すことができるようになっている。前記収容凹部24と対応する位置に配設される長側壁13の下端面の内側縁には、支持突部としての内側部突条26が長側壁13の内側面に沿って延びるように僅かに下方へ突出して形成されている。図5(b)に示すように、この内側部突条26は前記外側部突条25が収容凹部24を避けるようにして設けられることにより形成された隙間24aを塞ぎ、容器本体11内の収容物を外側方から隠すことができるようになっている。
【0018】
図1(b)に示すように、容器本体11を組み立てた状態で、短側壁14の下端面は外側部突条25の上端に接触されている。また、図5(b)に示すように、長側壁13の下端面は外側部突条25の上端に接触されるとともに、内側部突条26の下端は底壁12の第1支持突条21aの上端面に接触されている。この状態で、各側壁13,14に上方から作用する圧縮荷重は、外側部突条25及び内側部突条26を介して底壁12の第1及び第2支持突条21a,21bで支持されている。また、外側部突条25及び内側部突条26は、底壁12の各側縁に沿って延びるように設けられているため、圧縮荷重が各側壁13,14の一部に作用するような場合であっても、外側部突条25及び内側部突条26の全体で圧縮荷重を支持することができる。
【0019】
図1(a),(b)及び図5(b)に示すように、軸受部22と回動軸23の間には間隙22aが設けられており、この間隙22aが各側壁13,14の回動を円滑に行うための回動補助手段として機能している。すなわち、図1(b)及び図5(b)に二点鎖線で示すように、各側壁13,14を回動する際、この間隙22aを有する軸受部22内において、回動軸23は軸受部22の内面に摺接されながら、各側壁13,14の下端部を第1及び第2支持突条21a,21bの上端部から離間させるように移動する。このため、各側壁13,14は、その下端部が第1及び第2支持突条21a,21bの上端部を大きく迂回して回動されるようになっている。
【0020】
そして、各側壁13,14の下端部が第1及び第2支持突条21a,21bの上端部を大きく迂回されることにより、回動途中における内側部突条26の第1支持突条21aへの接触と、各側壁13,14の外側部突条25への接触が防止されている。また、この実施形態では移動規制突条21c及び規制切欠部21dの係合を行いやすくするため、間隙22aを設けるスペースが大きなものとなっている。
【0021】
次に、前記折り畳み式運搬用容器の作用について以下に記載する。
さて、上記のように構成された折り畳み式運搬用容器を組み立てられた状態から折り畳むときには、まず、図4(a)に二点鎖線で示すように、長側壁13の押圧片44を内方から外方へと押圧し、係合突部45及び長側壁13の係合を解除する。続いて、この長側壁13を若干上方へ引っ張ると、内側部突条26が第1支持突条21aから離間されるとともに、長側壁13が外側部突条25から離間される。
【0022】
このまま、一方の長側壁13を容器本体11の内方に回動させて底壁12の上面に折り畳んだ後、同様にして他方の長側壁13を底壁12及び前記一方の長側壁13の上面に折り畳む。そして、両短側壁14を容器本体11の内方に回動させて両長側壁13の上面に折り畳むことによって、図2(a),(b)に示すように、容器本体11が平板状に小さくコンパクトに折り畳まれ、複数個を上下に積み重ねたり等して運搬、保管等される。
【0023】
一方、折り畳み式運搬用容器を組み立てるには、まず、図2(a),(b)に示される一対の短側壁14を若干内方へ引っ張りつつ、そのまま容器本体11の外方に回動させる。すると、短側壁14の回動軸23は間隙22a内において、図1(a)に示した容器本体11の外方寄りに位置する状態から、図1(b)に二点鎖線で示した容器本体11の内方寄りに位置する状態となる。このまま、短側壁14を引っ張りながら90°回動させると、回動軸23が間隙22a内で上方に位置ずれしながら回転することにより、短側壁14は第2支持突条21bの上端部を大きく迂回しながら、その下端面を外側部突条25に接触させることなく回動される。この後、短側壁14を下方へ押し込むと、図1(b)に実線で示すように、外側部突条25の上端面に短側壁14の下端面が当接され、第2支持突条21b上に短側壁14が支持される。この状態で短側壁14は外側部突条25により容器本体11の外方へこれ以上回動することを規制される。
【0024】
次いで、一対の長側壁13を若干内方へ引っ張りつつ、そのまま容器本体11の外方に回動させると、図5(b)に二点鎖線で示すように、間隙22a内を回動軸23が移動し、長側壁13は第1支持突条21aの上端部を大きく迂回しながら、その下端面及び内側部突条26を外側部突条25及び第1支持突条21aの上端面にそれぞれ接触させることなく回動される。このまま、長側壁13は、ほぼ90゜回動された位置で、図4(a),(b)に示されるように、押圧片44の係合突部45を外方へ押圧しながらこれを乗り越える。
【0025】
このとき、各側壁13,14の第1規制凸部32及び規制枠部42が係合された後、第2規制凸部33及び係合孔43が係合されることにより、長側壁13が下方へ位置ずれして、外側部突条25及び内側部突条26がそれぞれ長側壁13の下端面及び第1支持突条21aの上端面に接触される。この状態で、長側壁13は容器本体11の内方及び外方への回動が規制され、第1支持突条21aの上面に垂設した状態で固定される。同時に、長側壁13が固定されることにより、短側壁14が第2支持突条21bの上面に垂設した状態で固定され、容器本体11が組み立てられる。
【0026】
そして、容器本体11が組み立てられた状態の折り畳み式運搬用容器は、把持孔27を両手で把持することにより運搬される。また、この折り畳み式運搬用容器の容器本体11は、組み立てられた状態で上下に積み重ねることができるとともに、組み立てられた状態の容器本体11の上下に、上記折り畳まれた状態の容器本体11を積み重ねることもできる。
【0027】
前記第1実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 第1及び第2支持突条21a,21bの上端面の外側縁には、外側部突条25が僅かに上方へ突出して形成されるとともに、長側壁13の下端面の内側縁には、内側部突条26が僅かに下方へ突出して形成されている。そして、容器本体11を組み立てた状態で、各側壁13,14の下端面が外側部突条25の上端に接触されるとともに、内側部突条26の下端が底壁12の第1支持突条21aの上端面に接触されている。従って、各側壁13,14に上方から作用する圧縮荷重は、軸受部22及び回動軸23に加わることなく、外側部突条25及び内側部突条26を介して底壁12で支持されることから、各側壁13,14に作用する圧縮荷重による軸受部22及び回動軸23の損傷等のような容器本体11の損傷を防止することができる。
【0028】
さらに、軸受部22及び回動軸23の間に間隙22aを設け、各側壁13,14を回動させるときに回動軸23を軸受部22内で移動させることにより、各側壁13,14の回動中心がずれるため、外側部突条25及び内側部突条26が各側壁13,14の下端面及び第1支持突条21aの上端面に接触することを防止することができ、各側壁13,14の底壁12に対する円滑な回動を維持することができる。
【0029】
・ 外側部突条25及び内側部突条26を底壁12の各側縁に沿って延びるように設けたことにより、圧縮荷重が各側壁13,14の一部に作用するような場合であっても、外側部突条25及び内側部突条26の全体で圧縮荷重を効果的に支持することができる。
【0030】
・ 外側部突条25及び内側部突条26をそれぞれ設けたことにより、各側壁13,14と底壁12の間に形成される隙間24aを塞ぐことができ、容器本体11内の収容物を外側方から隠すことができる。
【0031】
・ 外側部突条25を第1支持突条21a及び第2支持突条21bの上端面の外側縁に設けたことにより、各側壁13,14が第1支持突条21a及び第2支持突条21bの上方に立設された状態から、容器本体11のさらに外方へ回動されて互いに開くことを防止することができる。
【0032】
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、第2実施形態では第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0033】
図6(a),(b)に示すように、第2実施形態の容器本体11は、両短側壁14が底壁12の上面に折り畳まれた状態で、両長側壁13が長側壁13の上面に折り畳まれるように構成されている。これに対応して、第1支持突条21aは短側壁14の厚みと長側壁13の厚みとを加えた長さとほぼ同じ高さに形成されており、第2支持突条21bは短側壁14の厚みとほぼ同じ高さに形成されている。そして、第1及び第2支持突条21a,21bの上端面の外側縁には外側部突条25が突設されている。また、内側部突条26は省略されている。
【0034】
図9(a),(b)に示すように、係合凹部31及び第1規制凸部32は短側壁14の両側部に設けられている。第1規制凸部32の上方には、平断面逆L字状に形成された係合突起33aが突設されている。この係合突起33aの基端部33cは短側壁14の外側方に延びるように設けられ、先端部33dは長側壁13の外側方に延びるように設けられている。さらに、この係合突起33aの基端部33cの係合凹部31側には隙間が設けられており、図9(b)に2点鎖線で示されるように、係合突起33aを係合凹部31側に弾性変形させることができるようになっている。
【0035】
図6(b)及び図8に示すように、規制板41は長側壁13の両側部に設けられ、短側壁14の係合凹部31内に収容されることにより、容器本体11を組み立てた状態で短側壁14の容器本体11の外方への回動を規制している。この規制板41に対応して、収容凹部24は第2支持突条21bに形成され、容器本体11を折り畳んだ状態で規制板41を収容している。また、規制板41の裏面には規制枠部42が突設され、前記第1規制凸部32と係合することにより、容器本体11を組み立てた状態での長側壁13の容器本体11の外方への回動を規制している。
【0036】
図9(a),(b)に示すように、長側壁13の両側部において、容器本体11を組み立てた状態で短側壁14の係合突起33aと対応する位置には長四角柱状に形成された押圧片43aが設けられている。図9(a),(b)に二点鎖線で示すように、押圧片43aは、長側壁13の外側方から内側方に向かって押圧可能に構成され、外側方から押圧された押圧片43aの内側面により、係合突起33aの先端部33dが内方に押圧される。
【0037】
押圧片43aの上下に位置する長側壁13の内側面には、ほぼ四角柱状に形成された上下一対の係合突部45aが長側壁13の内側方に延びるように突設されている。さらに、長側壁13の中央寄りに設けられた係合突部45aの一側面は、長側壁13の中央側ほど低くなるテーパ形状に形成されたテーパ面45bとなっており、前記係合突起33aの先端部33dの外側面を滑らかにスライドさせることができるようになっている。また、前記係合突部45aのテーパ面45bと対向する側面は、容器本体11を組み立てたとき、前記係合突起33aの先端部33dの内側面を係合固定することができるように構成された係合面45cとなっている。
【0038】
図7に示すように、軸受部22の外方側の内側面からは、回動補助手段としての付勢突起22bが突設されている。この付勢突起22bは、図中に実線で示すように、容器本体11を組み立てた状態では回動軸23の基部23aの外面に接触し、図中に二点鎖線で示すように、容器本体11を折り畳んだ状態では回動軸23の基部23aと接触しないようにその高さが調整されている。また、各側壁13,14を回動する際には、基部23aの角部23bが付勢突起22bに摺接されるようになっている。
【0039】
さて、第2実施形態の折り畳み式運搬用容器を折り畳む際には、まず、短側壁14の押圧片43aを内方に押圧すると、図1(a)及び(b)に二点鎖線で示されるように、押圧片43aの内側面で係合突起33aの先端部33dが内方に押圧される。その結果、係合突起33aの基端部33cに弾性変形が引き起こされ、係合突起33aの先端部33dと係合突部45aの係合面45cとの係合状態が解除される。続いて、両短側壁14を容器本体11の内方に回動して底壁12の上面にそれぞれ折り畳み、両長側壁13を両短側壁14の上面に折り畳むことによって、図6(a),(b)に示されるように、容器本体11が平板状に小さくコンパクトに折り畳まれる。
【0040】
一方、折り畳まれた状態の容器本体11を組み立てるときには、まず、図6(a),(b)に示される両長側壁13を容器本体11の外方へ回動させて第1支持突条21a上に立設させた後、両短側壁14を同様に回動させて第2支持突条21b上に立設させる。このとき、図1(b)に示すように、係合突起33aの先端部33dが係合突部45aのテーパ面45b上をスライドしながらこれを乗り越え、係合面45cと係合固定される。この状態で短側壁14の容器本体11内方への回動が規制されるとともに、規制板41により短側壁14の外方への回動が規制され、第2支持突条21b上に垂設される。同時に、長側壁13の容器本体11外方及び内方への回動も規制され、第1支持突条21a上に垂設され、容器本体11が組み立てられる。
【0041】
図7に二点鎖線で示すように、上記のようにして長側壁13及び短側壁14を回動するとき、回動軸23においては、まず最初にその基部23aの角部23bが付勢突起22bに摺接される。このとき、回動軸23は各側壁13,14の下端部が第1及び第2支持突条21a,21bの上端部から離間されるように移動される。このまま各側壁13,14を回動させると、やがて角部23bが付勢突起22bを乗り越えたときの勢いで基部23aの側面が付勢突起22bの端面に当接されるとともに、各側壁13,14はその自重により下方へ移動する。
【0042】
従って、第2実施形態によれば、各側壁13,14は、手で引っ張ったり等することなしに、その下端部が第1及び第2支持突条21a,21bの上端部を迂回しながら、外側部突条25へ接触することなく回動させることができる。
【0043】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 例えば移動規制突条21cの高さを調整する等により、容器本体11を組み立てた状態で外側部突条25及び内側部突条26が各側壁13,14の下端面及び第1支持突条21aの上端面に接触しないように構成してもよい。そして、各側壁13,14に圧縮荷重が加わったときには、外側部突条25及び内側部突条26が各側壁13,14の下端面及び第1支持突条21aの上端面に接触し、これを支持するように構成してもよい。このように構成した場合、外側部突条25及び内側部突条26と、各側壁13,14の下端面及び第1支持突条21aの上端面との間に隙間が形成されることにより、各側壁13,14の回動をより容易に行うことができる。
【0044】
・ 支持突部は外側部突条25及び内側部突条26であることに限定されず、長側壁13及び短側壁14の厚み方向に延びるようにその下端面から突部を少なくとも1つ突設し、この突部を支持突部として、その先端を第1支持突条21a及び第2支持突条21bの上端面に接触させてもよい。又は、第1支持突条21a及び第2支持突条21bの上端面から支持突部としての突部を突設し、その先端を長側壁13及び短側壁14の下端面に接触させてもよい。さらには、円柱状、円錐状、四角柱状等に形成された突起を各側壁13,14の下端面及び各支持突条21a,21bの上端面の少なくとも一方に突設し、この突起を支持突部としてもよい。
【0045】
・ 第1実施形態の容器本体11の軸受部22内に、第2実施形態で示したような付勢突起22bを設けてもよい。
・ 第2実施形態において、各側壁13,14の下端面の内側縁に内側部突条26をそれぞれ設けてもよい。あるいは、外側部突条25を各側壁13,14の下端面に設けてもよい。
【0046】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記支持突部を、二対の側壁又は底壁の二対の側縁に設けたことを特徴とする折り畳み式運搬用容器。このように構成した場合、圧縮荷重を効率よく支持することができる。
【0047】
(2) 前記容器本体を組み立てた状態で、支持突部は、側壁の下端面から突設され、その先端を底壁に接触させることを特徴とする折り畳み式運搬用容器。このように構成した場合、容器本体内の収容物を外側方から隠すことができる。
【0048】
(3) 前記容器本体を組み立てた状態で、隣接する側壁のうち、一方の側壁の外面には係合凹部を凹設し、この係合凹部と対応する位置となるように、他方の側壁の内面からは係合凹部内へ収容可能な規制板を突設し、係合凹部内への規制板の収容により、一方の側壁の容器本体の外方への回動を規制したことを特徴とする折り畳み式運搬用容器。このように構成した場合、各側壁が底壁の周縁に立設された状態を効果的に維持することができる。
【0049】
(4) 前記容器本体を折り畳んだ状態で、底壁の規制板と対応する位置には規制板を収容可能な収容凹部を設けた折り畳み式運搬用容器。このように構成した場合、容器本体を平板状に折り畳むことができる。
【0050】
(5) 前記支持突部を収容凹部と対応する位置において、側壁の内面寄りに設けた折り畳み式運搬用容器。このように構成した場合、容器本体内の収容物を外側方から効果的に隠すことができる。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
各請求項に記載の発明によれば、各側壁に作用する圧縮荷重による容器本体の損傷を抑制することができるとともに、各側壁の底壁に対する円滑な回動を維持することができる。
【0052】
とくに、請求項2に記載の発明によれば、内側部突条全体で圧縮荷重を効果的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は折り畳まれた状態にある第1実施形態の容器本体の回動軸及び軸受部を示す断面図、(b)は組み立てられた状態にある第1実施形態の容器本体の回動軸及び軸受部を示す断面図。
【図2】 (a)は第1実施形態の容器本体を折り畳んだ状態を示す平面図、(b)は第1実施形態の容器本体を折り畳んだ状態を示す正面図。
【図3】 (a)は第1実施形態の容器本体を組み立てた状態を示す正面図、(b)は第1実施形態の容器本体を組み立てた状態を示す側面図。
【図4】 (a)は第1実施形態の容器本体を組み立てた状態を示す一部を拡大した部分破断正面図、(b)は第1実施形態の容器本体を組み立てた状態を示す一部を拡大した側面図。
【図5】 (a)は折り畳まれた状態にある容器本体の収容凹部を示す斜視図、(b)は組み立てられた状態にある容器本体の収容凹部を示す断面図。
【図6】 (a)は第2実施形態の容器本体を折り畳んだ状態を示す平面図、(b)は第2実施形態の容器本体を折り畳んだ状態を示す正面図。
【図7】 第2実施形態の容器本体の回動軸及び軸受部を示す断面図。
【図8】 第2実施形態の容器本体を組み立てた状態を示す正面図。
【図9】 (a)は第2実施形態の容器本体を組み立てた状態を示す一部を拡大した部分破断正面図、(b)は第2実施形態の容器本体を組み立てた状態を示す一部を拡大した平断面図。
【符号の説明】
11…容器本体、12…底壁、13…側壁としての長側壁、14…側壁としての短側壁、22…回動手段を構成する軸受部、22a…回動補助手段を構成する間隙、22b…回動補助手段を構成する付勢突起、23…回動手段を構成する回動軸、25…支持突部としての外側部突条、26…支持突部としての内側部突条。
Claims (3)
- 四角板状に形成されるとともに各側縁に支持突条が立設された底壁と、底壁の対向する各一対の支持突条に設けられた各一対の側壁とを有する有底四角箱状の容器本体を備え、前記各側壁に形成された回動軸を前記支持突条に設けられた軸受部に回動可能に軸着することで、各一対の側壁を底壁に対して容器本体の内方へ回動させることにより容器本体を折り畳み及び組み立て可能に構成した折り畳み式運搬用容器であって、
少なくとも一対の側壁には、該側壁の内側面に沿って延びるとともに該側壁の下端から下方に突出するように内側部突条を形成し、容器本体を組み立てた状態で前記内側部突条が前記支持突条の上端に当接するように構成することで側壁に作用する圧縮荷重を支持可能とし、
前記軸受部の内側面と前記回動軸との間に間隙を設けて前記回動軸が前記軸受部の内部において上側に移動できるように構成することで、側壁を回動させるときに前記内側部突条が前記支持突条に接触することを抑制することを特徴とする折り畳み式運搬用容器。 - 前記内側部突条を側壁の下縁に沿って延びるように設けたことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式運搬用容器。
- 前記支持突条には、該支持突条の外側面に沿って延びるとともに該支持突条の上端から上方に突出するように外側部突条を形成し、容器本体を組み立てた状態で、前記外側部突条が前記側壁の下端に当接するように構成することで側壁に作用する圧縮荷重を支持可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の折り畳み式運搬用容器。
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