JP4592943B2 - フロントフォーク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は二輪車等のフロンフォークに関する。
【0002】
【従来の技術】
二輪車等のフロントフォークでは、アウタチューブ内にインナチューブを摺動自在に挿入し、前記アウタチューブの開口端部の内周に前記インナチューブを案内支持する環状のベアリングを嵌着している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
フロントフォークは、例えば車体側のアウタチューブを車体側支持ブラケットに支持したとき、車軸側のインナチューブの先端部に作用する、車両走行方向に沿う前後方向の荷重により曲げモーメントを受ける。この曲げモーメントは、フロントフォークを前後方向に撓ませ、軽量化のために薄肉化したインナチューブの横断面に、前後方向を短径とし、左右方向を長径とする楕円状変形を及ぼす。これに対し、インナチューブを支持するベアリングは、剛性の高いアウタチューブに嵌着されていて、インナチューブの上述の楕円状変形に追従できず、インナチューブの左右側面との摩擦摺接力を過大にし、作動性を損なう。
【0004】
尚、実開平2-12543は、フロントフォークのアウタチューブとインナチューブの少なくとも一方のチューブの前後方向の断面積を大きくして剛性を上げ、左右方向の断面積を小さくしてその分軽量化を図るものを開示している。しかしながら、実開平2-12543は、インナチューブとアウタチューブの上述の断面積の調整によっても、アウタチューブの内周断面は真円とし、インナチューブの外周断面はアウタチューブの内周を摺動するから真円とするものを開示しているに過ぎず、インナチューブを薄肉にしたことによる楕円状変形にアウタチューブ側のベアリングを追従させるように変形可能とするところが一切ない。
【0005】
本発明の課題は、フロントフォークにおいて、薄肉インナチューブの楕円状変形にアウタチューブ側のベアリングを追従して変形させ、ベアリングとインナチューブの摩擦摺接力を低減し、作動性を向上することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、アウタチューブ内にインナチューブを摺動自在に挿入し、前記アウタチューブの開口端部の内周に前記インナチューブを案内支持する環状のベアリングを嵌着した二輪車等のフロントフォークにおいて、前記アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側部分の剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくし、前記アウタチューブを弾性限度内で左右方向に拡縮できるようにし、前記ベアリングを左右方向に拡縮できるようにしたものである。
【0007】
請求項2の発明は、アウタチューブ内にインナチューブを摺動自在に挿入し、前記アウタチューブの開口端部の内周に前記インナチューブを案内支持する環状のベアリングを嵌着した二輪車等のフロントフォークにおいて、前記アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側部分を前後方向両側部分より大径に形成し、前記ベアリングの外周との間に円弧状の隙間を設け、前記ベアリングを左右方向に拡縮できるようにしたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記環状のベアリングが薄肉に形成されてなるようにしたものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記環状のベアリングの内周及び/又は外周の周方向各部にそれぞれ軸方向に延びる複数の溝が形成されてなるようにしたものである。
【0010】
【作用】
請求項1の発明によれば下記▲1▼の作用がある。
▲1▼アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側部分の剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくし、アウタチューブを弾性限度内で左右方向に拡縮できるようにし、ベアリングを左右方向に拡縮できるようにした。従って、フロントフォークに作用する曲げモーメントに基づく薄肉インナチューブの楕円状変形にアウタチューブ側のベアリングを追従して変形させ、ベアリングとインナチューブの摩擦摺接力を低減し、作動性を向上できる。
【0011】
請求項2の発明によれば下記▲2▼の作用がある
▲2▼アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側部分を前後方向両側部分より大径に形成し、ベアリングの外周との間に円弧状の隙間を設け、ベアリングを左右方向に拡縮できるようにした。従って、フロントフォークに作用する曲げモーメントに基づく薄肉インナチューブの楕円状変形にアウタチューブ側のベアリングを追従して変形させ、ベアリングとインナチューブの摩擦摺接力を低減し、作動性を向上できる。
【0012】
請求項3の発明によれば下記▲3▼の作用がある。
▲3▼ベアリングを薄肉にしたから、ベアリングの径方向の剛性を小さくし、上述▲1▼、▲2▼のベアリングの拡縮を促進できる。
【0013】
請求項4の発明によれば下記▲4▼の作用がある。
▲4▼ベアリングの周方向各部に軸方向に延びる複数の溝を形成したから、ベアリングの径方向の剛性を小さくし、上述の▲1▼、▲2▼のベアリングの拡縮を促進できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1はフロントフォークを示す全体断面図、図2はフロントフォークの撓み状態を示す模式図、図3はインナチューブの楕円状変形を示す模式図、図4はアウタチューブの断面の一例を示す模式図、図5はアウタチューブの断面の他の例を示す模式図、図6はベアリングの一例を示す模式図、図7はベアリングの他の例を示す模式図である。
【0015】
フロントフォーク10(油圧緩衝器)は、図1に示す如く、車体側のアウタチューブ11内に車輪側のインナチューブ12を摺動自在に挿入し、両チューブ11、12の間に懸架スプリング13を介装するとともに、単筒型ダンパ14を倒立にして内装している。
【0016】
アウタチューブ11の開口端部の内周部にはインナチューブ12の外周部を摺接させて案内支持する円環状のブッシュ15(ベアリング)が嵌着され、インナチューブ12の上端外周部にはアウタチューブ11の内周部を摺接させて案内支持する円環状のブッシュ16が嵌着されている。尚、アウタチューブ11の開口端部の内周部におけるブッシュ15の軸方向の外側には、ダストシール15A、オイルシール15Bが装填される。
【0017】
アウタチューブ11はアッパブラケット17Aとロアブラケット17Bを介して車体側に支持され、インナチューブ12は車軸ブラケット18を介して車軸に結合される。
【0018】
アウタチューブ11の上端部にはキャップ19がOリングを介して液密に螺着され、キャップ19にはダンパ14のダンパシリンダ21(上シリンダチューブ21A)の上端部が螺着されている。インナチューブ12の下端部内周にはオイルロックカラー23がOリングを介して液密に嵌装され、このオイルロックカラー23をボトムボルト24で車軸ブラケット18にOリングを介して液密に固定してある。また、ボトムボルト24にはダンパ14のピストンロッド(中空ロッド)22の基端部が螺着されるとともにロックナット24Aでロックされ、このピストンロッド22の先端部をダンパシリンダ21に挿入してある。ピストンロッド22は、ダンパシリンダ21(下シリンダチューブ21B)の下端開口部に螺着したロッドガイド25のブッシュ25Aで支持され、ダンパシリンダ21の内部に挿入されている。尚、ロッドガイド25の外周部にはオイルロックカラー26を設けてある。また、ロッドガイド25の内側端面にはリバウンドスプリング27が支持されている。
【0019】
懸架スプリング13は、オイルロックカラー23の基端部外周面に装着したスプリング受け28と、ダンパシリンダ21(下シリンダチューブ21B)の中間部の外周面にストッパリング30を用いて固定したスプリング受け29との間に介装されている。また、アウタチューブ11とインナチューブ12の内部には油室31と気体室32とが設けられ、気体室32に閉じ込められている気体が気体ばねを構成する。これらの懸架スプリング13と気体ばねの弾発力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。尚、油室31の油面はフロントフォーク10のアウタチューブ11とインナチューブ12の伸縮によって上下動し、図1において、LAは最大伸長時の油面、LBは最大圧縮時の油面である。スプリング受け29は、油室31の内部で作動油を自由に上下に流動可能とするように大開口の流路29Aを備える。
【0020】
ダンパ14は、ピストンバルブ装置(伸側減衰力発生装置)40と、ベースバルブ装置(圧側減衰力発生装置)50とを有している。ダンパ14は、ピストンバルブ装置40とベースバルブ装置50の発生する減衰力により、懸架スプリング13と気体ばねによる衝撃力の吸収に伴うアウタチューブ11とインナチューブ12の伸縮振動を抑制する。
【0021】
尚、ダンパ14のダンパシリンダ21は、ダンパシリンダ21へのベースバルブ装置50の組み込み等のために、上下2つのシリンダチューブ21A、21Bに2分され、それらの接合体とされている。上シリンダチューブ21Aと下シリンダチューブ21Bの接続部にはロックナット33が螺着されている。
【0022】
以下、フロントフォーク10の減衰機構について説明する。
(ピストンバルブ装置40)
ピストンバルブ装置40は、ピストンロッド22の先端部にピストンホルダ41を装着し、このピストンホルダ41にピストン42を装着している。ピストン42は、ダンパシリンダ21(下シリンダチューブ21B)の内部を摺接し、ダンパシリンダ21の内部をピストンロッド22が収容されないピストン側油室43Aとピストンロッド22が収容されるロッド側油室43Bとに区画する。ピストン42は、伸側バルブ44Aを備えてピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとを連絡可能とする伸側流路44と、圧側バルブ(チェックバルブ)45Aを備えてピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとを連絡可能とする圧側流路45とを備える。
【0023】
また、ピストンバルブ装置40は、アジャスタ46に結合されている減衰力調整ロッド47をピストンロッド22の中空部に通し、この減衰力調整ロッド47の先端のニードル47Aにより、ピストンホルダ41に設けてあるピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとのバイパス路48の流路面積を調整可能とする。
【0024】
従って、フロントフォーク10の圧縮時には、ピストン側油室43Aの油が圧側流路45を通り圧側バルブ45Aを開いてロッド側油室43Bへ導かれる。
【0025】
また、フロントフォーク10の伸長時には、ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が低速のとき、ロッド側油室43Bの油がニードル47Aのあるバイパス路48を通ってピストン側油室43Aへ導かれ、この間のニードル47Aによる絞り抵抗により伸側の減衰力を生ずる。この減衰力は、アジャスタ46によるニードル47Aの位置調整により調整される。
【0026】
また、フロントフォーク10の伸長時で、ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が中高速のとき、ロッド側油室43Bの油が伸側流路44を通り伸側バルブ44Aを撓み変形させてピストン側油室43Aへ導かれ、伸側の減衰力を生ずる。
【0027】
(ベースバルブ装置50)
ベースバルブ装置50は、上シリンダチューブ21Aの上端部に螺着されている前述のキャップ19にガイドパイプ51を螺着し、ガイドパイプ51の先端部にハウジングホルダ51Aを螺着し、このハウジングホルダ51Aにナット51B等によりバルブハウジング52を保持している。ガイドパイプ51の上部には小径部51Cが形成されている。バルブハウジング52は上シリンダチューブ21Aの内周部に液密に接し、前述のピストン側油室43Aの上方にベースバルブ室53を区画形成する。バルブハウジング52は、圧側バルブ54Aを備えてピストン側油室43Aとベースバルブ室53とを連絡可能とする圧側流路54と、伸側バルブ55Aを備えてピストン側油室43Aとベースバルブ室53とを連絡可能とする伸側流路55とを備える。また、ハウジングホルダ51Aは、圧側流路54と伸側流路55とをバイパスしてピストン側油室43Aとベースバルブ室53とを連絡可能とするバイパス流路56を備える。
【0028】
キャップ19に螺合された減衰力調整ロッド58は、アジャスタ59を備えるとともに、ガイドパイプ51に挿入され、先端のニードル58Aによりバイパス流路56の流路面積を調整可能とする。
【0029】
また、ベースバルブ装置50は、上シリンダチューブ21Aの内部に、該上シリンダチューブ21Aとガイドパイプ51に沿ってOリングを介して液密に摺動するフリーピストン型の隔壁部材61を備える。隔壁部材61は、ベースバルブ室53のバルブハウジング52の側でピストン側油室43Aに連通している油室53Aと、キャップ19の側の気体室53B(気体室32と連通)とを区画する。隔壁部材61の内周には、ガイドパイプ51の外周に液密に摺接するオイルシール64が設けられる。尚、スプリング62が、この最大伸張時にわずかな初期荷重を有するように、隔壁部材61とキャップ19との間に介装される。
【0030】
ダンパシリンダ21内にピストンロッド22が進入する圧縮時に、このスプリング62が収縮し、この時のスプリング62のばね荷重分だけ、ダンパシリンダ21内の油室が加圧され、伸張時におけるダンパシリンダ内油室のキャビテーションの発生を防止し、また伸長時に続く圧縮時の減衰力発生の遅れ(さぼり)も回避する。
【0031】
従って、フロントフォーク10の圧縮時には、ダンパシリンダ21に進入したピストンロッド22の進入容積分の油が、ピストン側油室43Aからバルブハウジング52のバイパス流路56、もしくは圧側流路54を通ってベースバルブ室53の油室53Aに排出される。このとき、ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が低速のときには、バイパス流路56に設けてあるニードル58Aによる絞り抵抗により圧側の減衰力を得る。この減衰力は、アジャスタ59によるニードル58Aの位置調整により調整される。また、ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が中高速のときには、ピストン側油室43Aから圧側流路54を通る油が圧側バルブ54Aを撓み変形させてベースバルブ室53の油室53Aに導かれ、圧側の減衰力を生ずる。
【0032】
フロントフォーク10の伸長時には、ダンパシリンダ21から退出するピストンロッド22の退出容積分の油が、ベースバルブ室53の油室53Aからバルブハウジング52の伸側流路55を通ってピストン側油室43Aに還流される。
【0033】
尚、ベースバルブ装置50は、フロントフォーク10のピストンロッド22がストロークする度に、該ピストンロッド22の外周面に付着した油室31の油をダンパシリンダ21の内部に持ち込むため、この油を油室31に返すための通路63を備える。即ち、この通路63は隔壁部材61内周のオイルシール64とガイドパイプ51の上部に形成された小径部51Cとの間に形成される僅かな隙間63Aと上シリンダの上部に形成された孔63Bから形成される。
【0034】
従って、フロントフォーク10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
フロントフォーク10の圧縮時には、ベースバルブ装置50において、バルブハウジング52のニードル58A或いは圧側バルブ54Aを流れる油により圧側減衰力を生じ、ピストンバルブ装置40では殆ど減衰力を生じない。
【0035】
(伸長時)
フロントフォーク10の伸長時には、ピストンバルブ装置40において、ピストン42のニードル47A或いは伸側バルブ44Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、ベースバルブ装置50では殆ど減衰力を生じない。
【0036】
これらの圧側と伸側の減衰力により、フロントフォーク10の伸縮振動が抑制される。
【0037】
尚、フロントフォーク10の最圧縮時には、ダンパシリンダ21の下シリンダチューブ21Bの下端部のオイルロックカラー26が、インナチューブ12の下端部に設けてあるオイルロックカラー23に嵌合し、両者の間で圧縮した油によりオイルロック作用を生ぜしめ、ダンパ20の底つきを防止する。
【0038】
また、フロントフォーク10の最伸長時には、ピストンロッド22に設けているピストンホルダ41の下端面が、ダンパシリンダ21の開口部に設けてあるロッドガイド25に支持されているリバウンドスプリング27に衝合し、伸切りの緩衝作用を果たす。
【0039】
しかるに、フロントフォーク10にあっては、図2に示す如く、アウタチューブ11をロアブラケット17Bで支持したとき、インナチューブ12の先端部に作用する、車両走行方向に沿う前後方向の荷重Pにより曲げモーメントMを受ける。この曲げモーメントMは、フロントフォーク10を前後方向に撓ませ、軽量化のために薄肉化されているインナチューブ12の横断面に、図3に示す如く、前後方向を短径とし、左右方向を長径とする楕円状変形を及ぼす。
【0040】
そこで、フロントフォーク10では、薄肉インナチューブ12の上述の楕円状変形にアウタチューブ11側のブッシュ15を追従して変形させ、ブッシュ15とインナチューブ12の摩擦摺接力を低減するため、以下の構成を備える。
【0041】
即ち、アウタチューブ11の図4に示すブッシュ嵌着部の断面(図2(B)のブッシュ15を含む断面)において、アウタチューブ11のブッシュ嵌着部となる内周は全周を真円とし、外周は車体前後方向に対応する両側部分を大外径部71、車体左右方向に対応する両側部分を小外径部72とした。これにより、アウタチューブ11は、ブッシュ嵌着部の左右方向両側部分の剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくし、アウタチューブ11を弾性限度内で左右方向に拡縮できるようにし、ブッシュ15をインナチューブ12の楕円状変形に追従するように左右方向に拡縮できるようにした。
【0042】
このとき、ブッシュ15は、自由状態で真円をなすインナチューブ12の外周が嵌合する内周も、アウタチューブ11の内周に嵌合する外周もともに真円状とする円環状をなすが、全周を薄肉で形成して低剛性化することが好ましい。
【0043】
また、ブッシュ15としては、図6に示す如く、内周の周方向各部にそれぞれ軸方向に延びる複数の溝81を形成し、図7に示す如く、外周の周方向各部にそれぞれ軸方向に延びる複数の溝82を形成し、又は内外周の両方に溝81、82を形成して低剛性化することが好ましい。
【0044】
従って、本実施形態によれば、以下の作用がある。
▲1▼アウタチューブ11のブッシュ嵌着部の左右方向両側部分の剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくし、アウタチューブ11を弾性限度内で左右方向に拡縮できるようにし、ブッシュ15を左右方向に拡縮できるようにした。従って、フロントフォーク10に作用する曲げモーメントに基づく薄肉インナチューブ12の楕円状変形にアウタチューブ11側のブッシュ15を追従して変形させ、ブッシュ15とインナチューブ12の摩擦摺接力を低減し、作動性を向上できる。
【0045】
▲2▼ブッシュ15を薄肉にしたから、ブッシュ15の径方向の剛性を小さくし、上述▲1▼のブッシュ15の拡縮を促進できる。
【0046】
▲3▼ブッシュ15の周方向各部に軸方向に延びる複数の溝81、82を形成したから、ブッシュ15の径方向の剛性を小さくし、上述の▲1▼、▲2▼のブッシュ15の拡縮を促進できる。
【0047】
尚、アウタチューブ11は、図5に示すブッシュ嵌着部の断面(図2(B)のブッシュ15を含む断面)において、アウタチューブ11のブッシュ嵌着部となる内周の車体左右方向に対応する両側部分の内径(長径部92)を車体前後方向に対応する両側部分の内径(真円部91)より大径に形成した。これにより、アウタチューブ11は、ブッシュ嵌着部の左右方向両側部分でブッシュ15の外周との間に円弧状の隙間を設け、ブッシュ15をインナチューブ12の楕円状変形に追従するように左右方向に拡縮できるようにした。
【0048】
尚、アウタチューブ11のブッシュ嵌着部となる内周(真円部91、長径部92)の加工については、引抜管の内周をボーリング加工及びボーリング加工後のBTA加工(ボーリングトレパニング加工)することによって真円部91を形成し、更にその内周の左右方向両側部分をエンドミル加工することによって長径部92を追加形成することができる。
【0049】
従って、本実施形態によれば、アウタチューブ11のブッシュ嵌着部の左右方向両側部分を前後方向両側部分より大径に形成し、ブッシュ15の外周との間に円弧状の隙間を設け、ブッシュ15を左右方向に拡縮できるようにした。従って、フロントフォーク10に作用する曲げモーメントに基づく薄肉インナチューブ12の楕円状変形にアウタチューブ11側のブッシュ15を追従して変形させ、ブッシュ15とインナチューブ11の摩擦摺接力を低減し、作動性を向上できる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明のベアリングはブッシュに限定されない。また、本発明のフロントフォークは、アウタチューブを車軸側に連結し、インナチューブを車体側に連結するものであっても良い。
【0051】
また、アウタチューブ11におけるベアリング嵌着部の左右方向両側部分の剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくするについては、アウタチューブ11のダストシール15A、オイルシール15Bの装填部の側にまでその剛性低減化構造(例えば、アウタチューブ11の外周に図4の大外径部71、小外径部72を設ける構造)を及ぼしても良い。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、フロントフォークにおいて、薄肉インナチューブの楕円状変形にアウタチューブ側のベアリングを追従して変形させ、ベアリングとインナチューブの摩擦摺接力を低減し、作動性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はフロントフォークを示す全体断面図である。
【図2】図2はフロントフォークの撓み状態を示す模式図である。
【図3】図3はインナチューブの楕円状変形を示す模式図である。
【図4】図4はアウタチューブの断面の一例を示す模式図である。
【図5】図5はアウタチューブの断面の他の例を示す模式図である。
【図6】図6はベアリングの一例を示す模式図である。
【図7】図7はベアリングの他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
10 フロントフォーク
11 アウタチューブ
12 インナチューブ
15 ブッシュ(ベアリング)
71 大外径部
72 小外径部
81、82 溝
91 真円部
92 長径部
Claims (4)
- アウタチューブ内にインナチューブを摺動自在に挿入し、前記アウタチューブの開口端部の内周に前記インナチューブを案内支持する環状のベアリングを嵌着した二輪車等のフロントフォークにおいて、
前記アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側部分の剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくし、前記アウタチューブを弾性限度内で左右方向に拡縮できるようにし、前記ベアリングを左右方向に拡縮できるようにしたことを特徴とするフロントフォーク。 - アウタチューブ内にインナチューブを摺動自在に挿入し、前記アウタチューブの開口端部の内周に前記インナチューブを案内支持する環状のベアリングを嵌着した二輪車等のフロントフォークにおいて、
前記アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側部分を前後方向両側部分より大径に形成し、前記ベアリングの外周との間に円弧状の隙間を設け、前記ベアリングを左右方向に拡縮できるようにしたことを特徴とするフロントフォーク。 - 前記環状のベアリングが薄肉に形成されてなる請求項1又は2に記載のフロントフォーク。
- 前記環状のベアリングの内周及び/又は外周の周方向各部にそれぞれ軸方向に延びる複数の溝が形成されてなる請求項1又は2に記載のフロントフォーク。
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