JP2002181109A - フロントフォーク - Google Patents

フロントフォーク

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JP2002181109A
JP2002181109A JP2000384327A JP2000384327A JP2002181109A JP 2002181109 A JP2002181109 A JP 2002181109A JP 2000384327 A JP2000384327 A JP 2000384327A JP 2000384327 A JP2000384327 A JP 2000384327A JP 2002181109 A JP2002181109 A JP 2002181109A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フロントフォークにおいて、薄肉インナチュ
ーブの楕円状変形にアウタチューブ側のベアリングを追
従して変形させ、ベアリングとインナチューブの摩擦摺
接力を低減し、作動性を向上すること。 【解決手段】 フロントフォーク10において、アウタ
チューブ11のベアリング嵌着部(ブッシュ15の嵌着
部)の左右方向両側部分の剛性を前後方向両側部分の剛
性より小さくし、アウタチューブ11を弾性限度内で左
右方向に拡縮できるにし、ベアリング(ブッシュ15)
を左右方向に拡縮できるようにしたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二輪車等のフロンフ
ォークに関する。
【0002】
【従来の技術】二輪車等のフロントフォークでは、アウ
タチューブ内にインナチューブを摺動自在に挿入し、前
記アウタチューブの開口端部の内周に前記インナチュー
ブを案内支持する環状のベアリングを嵌着している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】フロントフォークは、
例えば車体側のアウタチューブを車体側支持ブラケット
に支持したとき、車軸側のインナチューブの先端部に作
用する、車両走行方向に沿う前後方向の荷重により曲げ
モーメントを受ける。この曲げモーメントは、フロント
フォークを前後方向に撓ませ、軽量化のために薄肉化し
たインナチューブの横断面に、前後方向を短径とし、左
右方向を長径とする楕円状変形を及ぼす。これに対し、
インナチューブを支持するベアリングは、剛性の高いア
ウタチューブに嵌着されていて、インナチューブの上述
の楕円状変形に追従できず、インナチューブの左右側面
との摩擦摺接力を過大にし、作動性を損なう。
【0004】尚、実開平2-12543は、フロントフォーク
のアウタチューブとインナチューブの少なくとも一方の
チューブの前後方向の断面積を大きくして剛性を上げ、
左右方向の断面積を小さくしてその分軽量化を図るもの
を開示している。しかしながら、実開平2-12543は、イ
ンナチューブとアウタチューブの上述の断面積の調整に
よっても、アウタチューブの内周断面は真円とし、イン
ナチューブの外周断面はアウタチューブの内周を摺動す
るから真円とするものを開示しているに過ぎず、インナ
チューブを薄肉にしたことによる楕円状変形にアウタチ
ューブ側のベアリングを追従させるように変形可能とす
るところが一切ない。
【0005】本発明の課題は、フロントフォークにおい
て、薄肉インナチューブの楕円状変形にアウタチューブ
側のベアリングを追従して変形させ、ベアリングとイン
ナチューブの摩擦摺接力を低減し、作動性を向上するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、アウ
タチューブ内にインナチューブを摺動自在に挿入し、前
記アウタチューブの開口端部の内周に前記インナチュー
ブを案内支持する環状のベアリングを嵌着した二輪車等
のフロントフォークにおいて、前記アウタチューブのベ
アリング嵌着部の左右方向両側部分の剛性を前後方向両
側部分の剛性より小さくし、前記アウタチューブを弾性
限度内で左右方向に拡縮できるようにし、前記ベアリン
グを左右方向に拡縮できるようにしたものである。
【0007】請求項2の発明は、アウタチューブ内にイ
ンナチューブを摺動自在に挿入し、前記アウタチューブ
の開口端部の内周に前記インナチューブを案内支持する
環状のベアリングを嵌着した二輪車等のフロントフォー
クにおいて、前記アウタチューブのベアリング嵌着部の
左右方向両側部分を前後方向両側部分より大径に形成
し、前記ベアリングの外周との間に円弧状の隙間を設
け、前記ベアリングを左右方向に拡縮できるようにした
ものである。
【0008】請求項3の発明は、請求項1又は2の発明
において更に、前記環状のベアリングが薄肉に形成され
てなるようにしたものである。
【0009】請求項4の発明は、請求項1又は2の発明
において更に、前記環状のベアリングの内周及び/又は
外周の周方向各部にそれぞれ軸方向に延びる複数の溝が
形成されてなるようにしたものである。
【0010】
【作用】請求項1の発明によれば下記の作用がある。 アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側部
分の剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくし、アウ
タチューブを弾性限度内で左右方向に拡縮できるように
し、ベアリングを左右方向に拡縮できるようにした。従
って、フロントフォークに作用する曲げモーメントに基
づく薄肉インナチューブの楕円状変形にアウタチューブ
側のベアリングを追従して変形させ、ベアリングとイン
ナチューブの摩擦摺接力を低減し、作動性を向上でき
る。
【0011】請求項2の発明によれば下記の作用があ
る アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側部
分を前後方向両側部分より大径に形成し、ベアリングの
外周との間に円弧状の隙間を設け、ベアリングを左右方
向に拡縮できるようにした。従って、フロントフォーク
に作用する曲げモーメントに基づく薄肉インナチューブ
の楕円状変形にアウタチューブ側のベアリングを追従し
て変形させ、ベアリングとインナチューブの摩擦摺接力
を低減し、作動性を向上できる。
【0012】請求項3の発明によれば下記の作用があ
る。 ベアリングを薄肉にしたから、ベアリングの径方向の
剛性を小さくし、上述、のベアリングの拡縮を促進
できる。
【0013】請求項4の発明によれば下記の作用があ
る。 ベアリングの周方向各部に軸方向に延びる複数の溝を
形成したから、ベアリングの径方向の剛性を小さくし、
上述の、のベアリングの拡縮を促進できる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1はフロントフォークを示す全
体断面図、図2はフロントフォークの撓み状態を示す模
式図、図3はインナチューブの楕円状変形を示す模式
図、図4はアウタチューブの断面の一例を示す模式図、
図5はアウタチューブの断面の他の例を示す模式図、図
6はベアリングの一例を示す模式図、図7はベアリング
の他の例を示す模式図である。
【0015】フロントフォーク10(油圧緩衝器)は、
図1に示す如く、車体側のアウタチューブ11内に車輪
側のインナチューブ12を摺動自在に挿入し、両チュー
ブ11、12の間に懸架スプリング13を介装するとと
もに、単筒型ダンパ14を倒立にして内装している。
【0016】アウタチューブ11の開口端部の内周部に
はインナチューブ12の外周部を摺接させて案内支持す
る円環状のブッシュ15(ベアリング)が嵌着され、イ
ンナチューブ12の上端外周部にはアウタチューブ11
の内周部を摺接させて案内支持する円環状のブッシュ1
6が嵌着されている。尚、アウタチューブ11の開口端
部の内周部におけるブッシュ15の軸方向の外側には、
ダストシール15A、オイルシール15Bが装填され
る。
【0017】アウタチューブ11はアッパブラケット1
7Aとロアブラケット17Bを介して車体側に支持さ
れ、インナチューブ12は車軸ブラケット18を介して
車軸に結合される。
【0018】アウタチューブ11の上端部にはキャップ
19がOリングを介して液密に螺着され、キャップ19
にはダンパ14のダンパシリンダ21(上シリンダチュ
ーブ21A)の上端部が螺着されている。インナチュー
ブ12の下端部内周にはオイルロックカラー23がOリ
ングを介して液密に嵌装され、このオイルロックカラー
23をボトムボルト24で車軸ブラケット18にOリン
グを介して液密に固定してある。また、ボトムボルト2
4にはダンパ14のピストンロッド(中空ロッド)22
の基端部が螺着されるとともにロックナット24Aでロ
ックされ、このピストンロッド22の先端部をダンパシ
リンダ21に挿入してある。ピストンロッド22は、ダ
ンパシリンダ21(下シリンダチューブ21B)の下端
開口部に螺着したロッドガイド25のブッシュ25Aで
支持され、ダンパシリンダ21の内部に挿入されてい
る。尚、ロッドガイド25の外周部にはオイルロックカ
ラー26を設けてある。また、ロッドガイド25の内側
端面にはリバウンドスプリング27が支持されている。
【0019】懸架スプリング13は、オイルロックカラ
ー23の基端部外周面に装着したスプリング受け28
と、ダンパシリンダ21(下シリンダチューブ21B)
の中間部の外周面にストッパリング30を用いて固定し
たスプリング受け29との間に介装されている。また、
アウタチューブ11とインナチューブ12の内部には油
室31と気体室32とが設けられ、気体室32に閉じ込
められている気体が気体ばねを構成する。これらの懸架
スプリング13と気体ばねの弾発力が、車両が路面から
受ける衝撃力を吸収する。尚、油室31の油面はフロン
トフォーク10のアウタチューブ11とインナチューブ
12の伸縮によって上下動し、図1において、LAは最
大伸長時の油面、LBは最大圧縮時の油面である。スプ
リング受け29は、油室31の内部で作動油を自由に上
下に流動可能とするように大開口の流路29Aを備え
る。
【0020】ダンパ14は、ピストンバルブ装置(伸側
減衰力発生装置)40と、ベースバルブ装置(圧側減衰
力発生装置)50とを有している。ダンパ14は、ピス
トンバルブ装置40とベースバルブ装置50の発生する
減衰力により、懸架スプリング13と気体ばねによる衝
撃力の吸収に伴うアウタチューブ11とインナチューブ
12の伸縮振動を抑制する。
【0021】尚、ダンパ14のダンパシリンダ21は、
ダンパシリンダ21へのベースバルブ装置50の組み込
み等のために、上下2つのシリンダチューブ21A、2
1Bに2分され、それらの接合体とされている。上シリ
ンダチューブ21Aと下シリンダチューブ21Bの接続
部にはロックナット33が螺着されている。
【0022】以下、フロントフォーク10の減衰機構に
ついて説明する。 (ピストンバルブ装置40)ピストンバルブ装置40
は、ピストンロッド22の先端部にピストンホルダ41
を装着し、このピストンホルダ41にピストン42を装
着している。ピストン42は、ダンパシリンダ21(下
シリンダチューブ21B)の内部を摺接し、ダンパシリ
ンダ21の内部をピストンロッド22が収容されないピ
ストン側油室43Aとピストンロッド22が収容される
ロッド側油室43Bとに区画する。ピストン42は、伸
側バルブ44Aを備えてピストン側油室43Aとロッド
側油室43Bとを連絡可能とする伸側流路44と、圧側
バルブ(チェックバルブ)45Aを備えてピストン側油
室43Aとロッド側油室43Bとを連絡可能とする圧側
流路45とを備える。
【0023】また、ピストンバルブ装置40は、アジャ
スタ46に結合されている減衰力調整ロッド47をピス
トンロッド22の中空部に通し、この減衰力調整ロッド
47の先端のニードル47Aにより、ピストンホルダ4
1に設けてあるピストン側油室43Aとロッド側油室4
3Bとのバイパス路48の流路面積を調整可能とする。
【0024】従って、フロントフォーク10の圧縮時に
は、ピストン側油室43Aの油が圧側流路45を通り圧
側バルブ45Aを開いてロッド側油室43Bへ導かれ
る。
【0025】また、フロントフォーク10の伸長時に
は、ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速
度が低速のとき、ロッド側油室43Bの油がニードル4
7Aのあるバイパス路48を通ってピストン側油室43
Aへ導かれ、この間のニードル47Aによる絞り抵抗に
より伸側の減衰力を生ずる。この減衰力は、アジャスタ
46によるニードル47Aの位置調整により調整され
る。
【0026】また、フロントフォーク10の伸長時で、
ダンパシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が
中高速のとき、ロッド側油室43Bの油が伸側流路44
を通り伸側バルブ44Aを撓み変形させてピストン側油
室43Aへ導かれ、伸側の減衰力を生ずる。
【0027】(ベースバルブ装置50)ベースバルブ装
置50は、上シリンダチューブ21Aの上端部に螺着さ
れている前述のキャップ19にガイドパイプ51を螺着
し、ガイドパイプ51の先端部にハウジングホルダ51
Aを螺着し、このハウジングホルダ51Aにナット51
B等によりバルブハウジング52を保持している。ガイ
ドパイプ51の上部には小径部51Cが形成されてい
る。バルブハウジング52は上シリンダチューブ21A
の内周部に液密に接し、前述のピストン側油室43Aの
上方にベースバルブ室53を区画形成する。バルブハウ
ジング52は、圧側バルブ54Aを備えてピストン側油
室43Aとベースバルブ室53とを連絡可能とする圧側
流路54と、伸側バルブ55Aを備えてピストン側油室
43Aとベースバルブ室53とを連絡可能とする伸側流
路55とを備える。また、ハウジングホルダ51Aは、
圧側流路54と伸側流路55とをバイパスしてピストン
側油室43Aとベースバルブ室53とを連絡可能とする
バイパス流路56を備える。
【0028】キャップ19に螺合された減衰力調整ロッ
ド58は、アジャスタ59を備えるとともに、ガイドパ
イプ51に挿入され、先端のニードル58Aによりバイ
パス流路56の流路面積を調整可能とする。
【0029】また、ベースバルブ装置50は、上シリン
ダチューブ21Aの内部に、該上シリンダチューブ21
Aとガイドパイプ51に沿ってOリングを介して液密に
摺動するフリーピストン型の隔壁部材61を備える。隔
壁部材61は、ベースバルブ室53のバルブハウジング
52の側でピストン側油室43Aに連通している油室5
3Aと、キャップ19の側の気体室53B(気体室32
と連通)とを区画する。隔壁部材61の内周には、ガイ
ドパイプ51の外周に液密に摺接するオイルシール64
が設けられる。尚、スプリング62が、この最大伸張時
にわずかな初期荷重を有するように、隔壁部材61とキ
ャップ19との間に介装される。
【0030】ダンパシリンダ21内にピストンロッド2
2が進入する圧縮時に、このスプリング62が収縮し、
この時のスプリング62のばね荷重分だけ、ダンパシリ
ンダ21内の油室が加圧され、伸張時におけるダンパシ
リンダ内油室のキャビテーションの発生を防止し、また
伸長時に続く圧縮時の減衰力発生の遅れ(さぼり)も回
避する。
【0031】従って、フロントフォーク10の圧縮時に
は、ダンパシリンダ21に進入したピストンロッド22
の進入容積分の油が、ピストン側油室43Aからバルブ
ハウジング52のバイパス流路56、もしくは圧側流路
54を通ってベースバルブ室53の油室53Aに排出さ
れる。このとき、ダンパシリンダ21とピストンロッド
22の相対速度が低速のときには、バイパス流路56に
設けてあるニードル58Aによる絞り抵抗により圧側の
減衰力を得る。この減衰力は、アジャスタ59によるニ
ードル58Aの位置調整により調整される。また、ダン
パシリンダ21とピストンロッド22の相対速度が中高
速のときには、ピストン側油室43Aから圧側流路54
を通る油が圧側バルブ54Aを撓み変形させてベースバ
ルブ室53の油室53Aに導かれ、圧側の減衰力を生ず
る。
【0032】フロントフォーク10の伸長時には、ダン
パシリンダ21から退出するピストンロッド22の退出
容積分の油が、ベースバルブ室53の油室53Aからバ
ルブハウジング52の伸側流路55を通ってピストン側
油室43Aに還流される。
【0033】尚、ベースバルブ装置50は、フロントフ
ォーク10のピストンロッド22がストロークする度
に、該ピストンロッド22の外周面に付着した油室31
の油をダンパシリンダ21の内部に持ち込むため、この
油を油室31に返すための通路63を備える。即ち、こ
の通路63は隔壁部材61内周のオイルシール64とガ
イドパイプ51の上部に形成された小径部51Cとの間
に形成される僅かな隙間63Aと上シリンダの上部に形
成された孔63Bから形成される。
【0034】従って、フロントフォーク10は以下の如
くに減衰作用を行なう。 (圧縮時)フロントフォーク10の圧縮時には、ベース
バルブ装置50において、バルブハウジング52のニー
ドル58A或いは圧側バルブ54Aを流れる油により圧
側減衰力を生じ、ピストンバルブ装置40では殆ど減衰
力を生じない。
【0035】(伸長時)フロントフォーク10の伸長時
には、ピストンバルブ装置40において、ピストン42
のニードル47A或いは伸側バルブ44Aを流れる油に
より伸側減衰力を生じ、ベースバルブ装置50では殆ど
減衰力を生じない。
【0036】これらの圧側と伸側の減衰力により、フロ
ントフォーク10の伸縮振動が抑制される。
【0037】尚、フロントフォーク10の最圧縮時に
は、ダンパシリンダ21の下シリンダチューブ21Bの
下端部のオイルロックカラー26が、インナチューブ1
2の下端部に設けてあるオイルロックカラー23に嵌合
し、両者の間で圧縮した油によりオイルロック作用を生
ぜしめ、ダンパ20の底つきを防止する。
【0038】また、フロントフォーク10の最伸長時に
は、ピストンロッド22に設けているピストンホルダ4
1の下端面が、ダンパシリンダ21の開口部に設けてあ
るロッドガイド25に支持されているリバウンドスプリ
ング27に衝合し、伸切りの緩衝作用を果たす。
【0039】しかるに、フロントフォーク10にあって
は、図2に示す如く、アウタチューブ11をロアブラケ
ット17Bで支持したとき、インナチューブ12の先端
部に作用する、車両走行方向に沿う前後方向の荷重Pに
より曲げモーメントMを受ける。この曲げモーメントM
は、フロントフォーク10を前後方向に撓ませ、軽量化
のために薄肉化されているインナチューブ12の横断面
に、図3に示す如く、前後方向を短径とし、左右方向を
長径とする楕円状変形を及ぼす。
【0040】そこで、フロントフォーク10では、薄肉
インナチューブ12の上述の楕円状変形にアウタチュー
ブ11側のブッシュ15を追従して変形させ、ブッシュ
15とインナチューブ12の摩擦摺接力を低減するた
め、以下の構成を備える。
【0041】即ち、アウタチューブ11の図4に示すブ
ッシュ嵌着部の断面(図2(B)のブッシュ15を含む
断面)において、アウタチューブ11のブッシュ嵌着部
となる内周は全周を真円とし、外周は車体前後方向に対
応する両側部分を大外径部71、車体左右方向に対応す
る両側部分を小外径部72とした。これにより、アウタ
チューブ11は、ブッシュ嵌着部の左右方向両側部分の
剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくし、アウタチ
ューブ11を弾性限度内で左右方向に拡縮できるように
し、ブッシュ15をインナチューブ12の楕円状変形に
追従するように左右方向に拡縮できるようにした。
【0042】このとき、ブッシュ15は、自由状態で真
円をなすインナチューブ12の外周が嵌合する内周も、
アウタチューブ11の内周に嵌合する外周もともに真円
状とする円環状をなすが、全周を薄肉で形成して低剛性
化することが好ましい。
【0043】また、ブッシュ15としては、図6に示す
如く、内周の周方向各部にそれぞれ軸方向に延びる複数
の溝81を形成し、図7に示す如く、外周の周方向各部
にそれぞれ軸方向に延びる複数の溝82を形成し、又は
内外周の両方に溝81、82を形成して低剛性化するこ
とが好ましい。
【0044】従って、本実施形態によれば、以下の作用
がある。 アウタチューブ11のブッシュ嵌着部の左右方向両側
部分の剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくし、ア
ウタチューブ11を弾性限度内で左右方向に拡縮できる
ようにし、ブッシュ15を左右方向に拡縮できるように
した。従って、フロントフォーク10に作用する曲げモ
ーメントに基づく薄肉インナチューブ12の楕円状変形
にアウタチューブ11側のブッシュ15を追従して変形
させ、ブッシュ15とインナチューブ12の摩擦摺接力
を低減し、作動性を向上できる。
【0045】ブッシュ15を薄肉にしたから、ブッシ
ュ15の径方向の剛性を小さくし、上述のブッシュ1
5の拡縮を促進できる。
【0046】ブッシュ15の周方向各部に軸方向に延
びる複数の溝81、82を形成したから、ブッシュ15
の径方向の剛性を小さくし、上述の、のブッシュ1
5の拡縮を促進できる。
【0047】尚、アウタチューブ11は、図5に示すブ
ッシュ嵌着部の断面(図2(B)のブッシュ15を含む
断面)において、アウタチューブ11のブッシュ嵌着部
となる内周の車体左右方向に対応する両側部分の内径
(長径部92)を車体前後方向に対応する両側部分の内
径(真円部91)より大径に形成した。これにより、ア
ウタチューブ11は、ブッシュ嵌着部の左右方向両側部
分でブッシュ15の外周との間に円弧状の隙間を設け、
ブッシュ15をインナチューブ12の楕円状変形に追従
するように左右方向に拡縮できるようにした。
【0048】尚、アウタチューブ11のブッシュ嵌着部
となる内周(真円部91、長径部92)の加工について
は、引抜管の内周をボーリング加工及びボーリング加工
後のBTA加工(ボーリングトレパニング加工)するこ
とによって真円部91を形成し、更にその内周の左右方
向両側部分をエンドミル加工することによって長径部9
2を追加形成することができる。
【0049】従って、本実施形態によれば、アウタチュ
ーブ11のブッシュ嵌着部の左右方向両側部分を前後方
向両側部分より大径に形成し、ブッシュ15の外周との
間に円弧状の隙間を設け、ブッシュ15を左右方向に拡
縮できるようにした。従って、フロントフォーク10に
作用する曲げモーメントに基づく薄肉インナチューブ1
2の楕円状変形にアウタチューブ11側のブッシュ15
を追従して変形させ、ブッシュ15とインナチューブ1
1の摩擦摺接力を低減し、作動性を向上できる。
【0050】以上、本発明の実施の形態を図面により詳
述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限
られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の
設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本
発明のベアリングはブッシュに限定されない。また、本
発明のフロントフォークは、アウタチューブを車軸側に
連結し、インナチューブを車体側に連結するものであっ
ても良い。
【0051】また、アウタチューブ11におけるベアリ
ング嵌着部の左右方向両側部分の剛性を前後方向両側部
分の剛性より小さくするについては、アウタチューブ1
1のダストシール15A、オイルシール15Bの装填部
の側にまでその剛性低減化構造(例えば、アウタチュー
ブ11の外周に図4の大外径部71、小外径部72を設
ける構造)を及ぼしても良い。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、フロント
フォークにおいて、薄肉インナチューブの楕円状変形に
アウタチューブ側のベアリングを追従して変形させ、ベ
アリングとインナチューブの摩擦摺接力を低減し、作動
性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はフロントフォークを示す全体断面図であ
る。
【図2】図2はフロントフォークの撓み状態を示す模式
図である。
【図3】図3はインナチューブの楕円状変形を示す模式
図である。
【図4】図4はアウタチューブの断面の一例を示す模式
図である。
【図5】図5はアウタチューブの断面の他の例を示す模
式図である。
【図6】図6はベアリングの一例を示す模式図である。
【図7】図7はベアリングの他の例を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
10 フロントフォーク 11 アウタチューブ 12 インナチューブ 15 ブッシュ(ベアリング) 71 大外径部 72 小外径部 81、82 溝 91 真円部 92 長径部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アウタチューブ内にインナチューブを摺
    動自在に挿入し、前記アウタチューブの開口端部の内周
    に前記インナチューブを案内支持する環状のベアリング
    を嵌着した二輪車等のフロントフォークにおいて、 前記アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側
    部分の剛性を前後方向両側部分の剛性より小さくし、前
    記アウタチューブを弾性限度内で左右方向に拡縮できる
    ようにし、前記ベアリングを左右方向に拡縮できるよう
    にしたことを特徴とするフロントフォーク。
  2. 【請求項2】 アウタチューブ内にインナチューブを摺
    動自在に挿入し、前記アウタチューブの開口端部の内周
    に前記インナチューブを案内支持する環状のベアリング
    を嵌着した二輪車等のフロントフォークにおいて、 前記アウタチューブのベアリング嵌着部の左右方向両側
    部分を前後方向両側部分より大径に形成し、前記ベアリ
    ングの外周との間に円弧状の隙間を設け、前記ベアリン
    グを左右方向に拡縮できるようにしたことを特徴とする
    フロントフォーク。
  3. 【請求項3】 前記環状のベアリングが薄肉に形成され
    てなる請求項1又は2に記載のフロントフォーク。
  4. 【請求項4】 前記環状のベアリングの内周及び/又は
    外周の周方向各部にそれぞれ軸方向に延びる複数の溝が
    形成されてなる請求項1又は2に記載のフロントフォー
    ク。
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