JPH0635694U - 倒立型フロントフォーク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アウタチューブの形状を特殊な形に構成する
ことで横剛性を保ったまま前後方向の剛性を低下させ、
倒立型フロントフォークにおける左右方向の剛性と作動
性の両方を同時に確保する。 【構成】 アンダブラケット７から下方に延びるアウタ
チューブ２の前後方向部分を左右方向部分の肉厚よりも
薄肉に構成し、左右方向への横剛性を保ったまま前後方
向の剛性のみを低下させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動二輪車の前輪を支持するフロントフォークに関し、さらに詳 しくは、相反する左右方向の剛性と作動性の両立を図り得るように改良を施した 倒立型フロントフォークに関する。

【０００２】

【従来の技術】

フロントフォークを構成するテレスコープ状のアウタチューブとインナチュー ブは、前者をアルミ系管で構成し、また、後者は鋼管を用いて構成するのが普通 である。

【０００３】 そのために、従来の倒立型フロントフォークにあっては、経済性や作動性およ び左右方向の剛性等の種々の要因を考慮して、アウタチューブをインナチューブ と同様に筒形に構成するとか、或いは、アウタチューブのアンダブラケットから 下方に延びる部分の外周面を下に行くほど薄肉になるようにテーパ状に構成する 等、種々の形状のものが用いられてきたが、その何れも断面形状の肉厚は一定で あった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

一方、アウタチューブおよびインナチューブの剛性は、構成材料の縦弾性係数 Ｅと断面二次モーメントＩの積が大きい程その剛性も大きく、したがって、イン ナチューブに比べて径の太いアウタチューブの剛性はインナチューブのそれより も大きな値となるのが普通である。

【０００５】 それにも拘らず、倒立型フロントフォークにあっては、左右方向にはフロント フォークが振られないように剛性をもたせ、前後方向には作動性を考えてアウタ チューブの剛性を下げることでインナチューブの剛性になるべく近づけ、両者の 曲率を合わせることで伸縮動作を円滑にしたいという相反する要求が求められて きた。

【０００６】 しかしながら、アウタチューブをインナチューブと同様に筒形に構成した前者 の従来型のものにあっては、インナチューブに比べてアウタチューブの剛性が十 分に大きな値となり、アウタチューブはインナチューブに対して前後方向および 左右方向に撓み難く、そのために、左右方向の剛性の確保はできても作動性の点 で問題がある。

【０００７】 また、アンダブラケットから下方に延びる部分を下に行くほど薄肉になるよう にテーパ状に構成した後者のものでは、アウタチューブの剛性が下がってインナ チューブのそれに近づくことから作動性の面では満足できても、同時に左右方向 にもアウタチューブの剛性が低下して撓み易くなるために走行中に前輪が左右に 振られるという問題点があった。

【０００８】 したがって、この考案の目的は、アウタチューブの形状に改良を加えることに より、相反する左右方向の剛性と作動性の両方を確保することのできるこの種倒 立型フロントフォークを提供することである。

【０００９】

【問題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、この考案にあっては、アンダブラケットから下 方に延びるアウタチューブの前後方向部分を、左右方向部分の肉厚よりも薄肉に 構成するようにしたのである。

【００１０】

【作用】

これにより、アウタチューブの横方向の肉厚はそのままとなるので横剛性は低 下せず、したがって、走行中に前輪が左右に振られることがないので左右方向の 剛性が確保され、しかも、これと併せて、前後方向の肉厚のみを薄くすることに よりその剛性が下がり、インナチューブのそれに近づいて両者の曲率が合うよう になるので、円滑な伸縮動作をも保証されることになる。

【００１１】

【実施例】

以下、図示したところに基づいてこの考案を説明する。

【００１２】 図１に示すように、倒立型フロントフォークを構成する伸縮支持筒１は、上方 に配置されたアウタチューブ２と、このアウタチューブ２の下方からテレスコー プ状に抜き差し自在に挿入したインナチューブ３とからなる。

【００１３】 前記インナチューブ３は、下端にアクスルブラケット４を有し、アウタチュー ブ２の下端に設けたシール５を通してアウタチューブ２へと摺動自在に挿入され る。

【００１４】 また、これらアウタチューブ２とインナチューブ３内には、両者間に亙って公 知の懸架用スプリングと油圧緩衝機構（図示せず）とが介装してあり、この懸架 用スプリングでインナチューブ３をアウタチューブ２に対して弾性的に支持する と共に、アウタチューブ２とインナチューブ３間に生じる伸縮振動を油圧緩衝機 構で減衰する。

【００１５】 かくして、以上のように構成した伸縮支持筒１を左右２本で１組とし、これら 左右２本の伸縮支持筒１（図１では一方の伸縮支持筒のみを示し、他方は省略し てある）におけるアウタチューブ２の上部を、アッパブラケット６とアンダブラ ケット７で互いに連結して倒立型フロントフォークを構成する。

【００１６】 上記倒立型フロントフォークは、公知のように、アッパブラケット６とアンダ ブラケット７間に設けたステアリングパイプを介して自動二輪車における車体側 のステアリングシャフトにやや後方に傾けた状態で操舵自在に連繋され、かつ、 左右インナチューブ３のアクスルブラケット４間に前輪のアクスルを掛け渡すこ とで車体に対し前輪を弾性的に支持する。

【００１７】 そして、上記のような倒立型フロントフォークに対して左右方向の剛性と作動 性の両方を確保させるために、この実施例にあっては、アンダブラケット７から 下方に延びるアウタチューブ２の前後方部分に、図１および図２に示すように下 方に向かって斜めに肉抜きしたテーパ面８を形成したのである。

【００１８】 これにより、アウタチューブ２は、左右方向部分の肉厚を所定の厚さに保った まま前後方向部分の肉厚のみが薄くなり、したがって、左右方向の剛性を所定値 に保持して走行中に前輪が左右に振られることなく、かつ同時に、前後方向の剛 性を下げることでその曲率をインナチューブ３のそれに近づけ、フロントフォー クとしての円滑な作動性をも確保する。

【００１９】 なお、上記図１および図２の実施例では、テーパ面８によってアウタチューブ ２の前後方向部分に肉抜きを施したが、図３にみられるようにストレート面８ａ によってその部分に肉抜きを施すようにしてもよく、また、これらテーパ面８や ストレート面８ａを用いる代わりに、図４に示されるようにアウターチューブ２ のその部分の外面形状を楕円８ｂにして前後方向部分の肉抜きを行うようにして もよい。

【００２０】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、倒立型フロントフォークの作動性に関係す るアウタチューブの前後方向の剛性と、アウタチューブの左右方向の横剛性を任 意に設定することができ、したがって、相反する項目である作動性と左右方向の 剛性の両方を同時に確保することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案を実施した倒立型フロントフォークの
一方の伸縮支持筒を示す部分正面図である。

【図２】同じく、伸縮支持筒の側面図である。

【図３】この考案の他の実施型を理解するための説明図
である。

【図４】同じく、図１のＡ−Ａ断面を用いてこの考案の
他の実施型を理解するのに役立てるための説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 伸縮支持筒 ２ アウタチューブ ３ インナチューブ ６ アッパブラケット ７ アンダブラケット ８ テーパ面 ８ａ ストレート面 ８ｂ 楕円

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 アンダブラケットから下方に延びるアウ
   タチューブの前後方向部分を、左右方向部分の肉厚より
   も薄肉に構成したことを特徴とする倒立型フロントフォ
   ーク。