JPH0616866Y2 - 自動車の前部車体構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車の前部車体構造に関し、特に車体前部
においてクロスメンバの両端をフロントフレームに取り
付けるとともに、フロントサスペンションのロワーアー
ムを該クロスメンバに取り付けるようにした前部車体構
造に関する。

（従来技術） 従来の自動車の前部車体構造としては、フロントサスペ
ンションのロワーアームを車体両側を前後方向に延びる
フロントフレームに取り付けるものと、該ロワーアーム
を車体横方向に配設されるサスペンションクロスメンバ
に取り付け、このクロスメンバをフロントフレームに固
定する構造とが知られている。たとえば、実公昭６０−
３０１４２号公報には、この後者のような前部車体構造
が開示されている。

（考案の解決しようとする問題点） しかし、上記実公昭６０−３０１４２号ようにクロスメ
ンバにロワーアームを取り付ける構造では、サスペンシ
ョンに加わる荷重をクロスメンバによって支持すること
になるため、クロスメンバの負担が増大し、この結果、
サスペンションからの荷重によってクロスメンバには、
捩じり変形等が生じる。このような変形によって、サス
ペンション装置において予め設定されたホイールアライ
ンメント等にくるいが生じサスペンション特性に悪影響
をもたらす恐れが生じる。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記事情に鑑みて構成されたものでサスペン
ションクロスメンバを介してサスペンションロワーアー
ムをフロントフレームに取り付けるように構成した前部
車体構造において、クロスメンバの変形を極力すくなく
することができ、したがって、適正なサスペンション装
置の支持強度を有する車体前部構造を提供することを目
的とする。

本考案の上記目的は、車体前部において横方向に延びる
サスペンションクロスメンバと、該サスペンションクロ
スメンバにロワーアームが取りつけられるフロントサス
ペンションと、車体の両側部に車体前後方向に延びるよ
うに配置されるフロントフレームと、車室の前壁を構成
するダッシュパネルとを備え、前記サスペンションクロ
スメンバが両端部においてフロントフレームに取り付け
られる自動車の前部車体構造において、前記サスペンシ
ョンクロスメンバはダッシュパネルに結合されるととも
に、前記サスペンションクロスメンバはほぼ水平面内に
おいて両端にほぼ前後方向に延びる一対のアーム部を有
しており横方向に延びかつ該アーム部を連結するクロス
メンバがさらに設けられたことを特徴とする自動車の前
部車体構造によって達成することができる。

本考案の構造において、サスペンションクロスメンバ
は、好ましくは、ブラケット等を介してダッシュパネル
の前側表面に取りつけられる。

（考案の効果） 本考案によれば、サスペンションクロスメンバが車体側
にダッシュパネルにも結合されるので、サスペンション
荷重をクロスメンバ単独でなくダッシュパネルを介して
車体を構成するパネル構造体によって受け持つことがで
き、したがって強固なサスペンション支持構造を与える
ことができるまた、このようにすることにより、車体構
造の一体化を更に促進することができ、車体全体の強度
向上をも図ることができる。

（実施例の説明） 以下、添付図面に基づいて、本考案の実施例につき、詳
細に説明を加える。

第１図は、車体の前部構造の１部の示す斜視図である。

第２図はその平面図である。

第３図は、後方からみた立面図である。

第１図乃至第４図を参照すると、本例の車体の前端下部
には、車体横方向に延びる第１クロスメンバ１が配置さ
れており、この上方にはこれと平行にクロスバー２が設
けられている。第１クロスメンバ１とクロスバー２は、
両端において、フェンダパネル３に結合されている。ま
た第１クロスメンバ１は車体両側部に前後方向に配置さ
れるフロントフレーム４の前端に結合されている。フロ
ントフレーム４は僅かに内方に湾曲しつつ後方に延び、
後端において車室の前壁を構成するダッシュパネル５に
当接している。

フェンダパネル３の下方には、前車輪６が配置され、こ
の前車輪６を支持するためにサスペンション装置７が設
けられる。

また、このサスペンション装置７の近傍には、車体横方
向に延びるサスペンションクロスメンバ８が配置され、
この両端は、フロントフレーム４に結合されている。

サスペンション装置７のサスペンションダンパ７ａに上
端はフェンダパネル３の上部に設けられたダンパ支持部
に収容されている。ダンパ７ａの下端は、ホイールハブ
９のナックルアーム１０に結合されている。また、ホイ
ールハブ９の下端には、ボールジョイント１１を介し
て、ロワーアーム１２の外端が接続されている。

ロワーアーム１２の内端側は前後方向２ヵ所でサスペン
ションクロスメンバ８の端部に上下方向揺動自在に取り
付けられている。

また、第５図に部分的に示すように、サスペンションク
ロスメンバ８は両端部が、前方に突出したコの字状の形
状を成しており、前端部かつ両側部にフロントフレーム
４との接続部８ａを有している。そして、サスペンショ
ンクロスメンバ８の両端は固定部材１３を介して、フロ
ントフレーム４の下部に取り付けられている。

また、サスペンションクロスメンバ８は、第５図に示す
ように、後部両端に取り付け座８ｂを有しており、この
部分を介して、ボルト部材８ｃ，８ｄにより、第６図に
示すようにフロントフレーム４の下面または、ダッシュ
パネル５への接続部近傍の下面に取り付けられる。

サスペンションクロスメンバ８の前側には、操舵装置を
構成するラック部材１４が取り付けられこの両端にに
は、前車輪６に操舵力を伝達するためのタイロッド１５
が連結される。

さらに、車体の支持剛性を向上させる目的で２つのロワ
ーアーム１２を連結するスタビライザ１６設けられてお
り、このスタビライザ１６は、サスペンションクロスメ
ンバ８の側方から後方に通過するように配置される。

なお、本例の車両は、４輪駆動車であり、したがって、
各前車輪６には、駆動軸１７が連結されている。

本例のサスペンションクロスメンバ８は、第７図に示す
ように、中央部において、ブラケット１８を介してボル
ト部材１９によりダッシュパネル５の前面に連結されて
いる。

さらに、こサスペンションクロスメンバ８に下側にはダ
ッシュパネル５への取り付け部に対応する中央部分にお
いて、車体の前後方向に延びるたてメンバー２０がボル
ト部材２１を介して、取り付けられている。

また、本例の構造では、サスペンションクロスメンバ８
両端部が前方に突出したコ字状の形状を成しており、こ
の前方に突出した部位間をクロスメンバ２２によって結
合しているため、サスペンションからの横荷重入力に対
してクロスメンバ２２で直接受けることができる。この
サスペンションクロスメンバ８とクロスメンバ２２によ
って水平面内において形成された閉空間には排気管２
３、４輪駆動用のトランスファ２４、チェンジロッド２
５が配設されている。

以上説明したように、本例の構造では、サスペンション
クロスメンバ８は両端において、フロントフレーム４に
結合されるとともに、中央部においてダッシュパネル５
に結合されている。

この構成により、サスペンション装置７のロワーアーム
１２から入力される外力をサスペンションクロスメンバ
８からダッシュパネル５を介して車体全体に分散させる
ことができ、車体剛性を高めることができ、とくにサス
ペンションクロスメンバ８の捩じり剛性を強化すること
ができる。

この結果は、サスペンションクロスメンバ８にクロスバ
ー２２、及びたてメンバー２０を連結することによりさ
らに構造の一体性を促進することができ、より強固な前
部車体構造を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例にかかる自動車の前部車体
構造の部分斜視図、第２図は、その平面図、第３図は、
第１図の構造を後方からみた立面図、第４図は、第１図
の構造の側面図、第５図はサスペンションクロスメンバ
の部分斜視図、第６図は、第１図におけるＡ−Ａ線に沿
った詳細断面図、第７図は、第１図におけるＢ−Ｂ線に
沿った詳細断面図である。 １……第１クロスメンバ、２……クロスバー、 ３……フェンダパネル、４……フロントフレーム、 ５……ダッシュパネル、６……前車輪、 ７……サスペンション装置、 ８……サスペンションクロスメンバ、 ８ａ……接続部、８ｂ……取り付け座、 ８ｃ、８ｄ……ボルト部材、９……ホイールハブ、 １０……ナックルアーム、 １１……ボールジョイント、 １２……ロワーアーム、１３……固定部材、 １４……ラック部材、１５……タイロッド、 １６……スタビライザ、１７……駆動軸、 １８……ブラケット、１９……ボルト部材、 ２０……たてメンバー、２１……ボルト部材、 ２２……クロスバー。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−76370（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−151182（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭56−23188（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体前部において横方向に延びるサスペン
   ションクロスメンバと、該サスペンションクロスメンバ
   にロワーアームが取りつけられるフロントサスペンショ
   ンと、車体の両側部に車体前後方向に延びるように配置
   されるフロントフレームと、車室の前壁を構成するダッ
   シュパネルとを備え、前記サスペンションクロスメンバ
   が両端部においてフロントフレームに取り付けられる自
   動車の前部車体構造において、前記サスペンションクロ
   スメンバはダッシュパネルに結合されるとともに、前記
   サスペンションクロスメンバはほぼ水平面内において両
   端にほぼ前後方向に延びる一対のアーム部を有しており
   横方向に延びかつ該アーム部を連結するクロスメンバが
   さらに設けられたことを特徴とする自動車の前部車体構
   造。