JP2004100785A - 油圧緩衝装置の懸架スプリング支持装置 - Google Patents

油圧緩衝装置の懸架スプリング支持装置 Download PDF

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Isao Kuribayashi
栗林 功
Koryo Chiba
千葉 公亮
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Abstract

【課題】油圧緩衝器の伸縮に伴う懸架スプリングの自軸まわりでの回転を吸収すること。
【解決手段】油圧緩衝器10において懸架スプリング33を支持する装置において、ダンパシリンダ21の先端部に、ばね受け32を支持するフランジ部61を形成した支持部材60を固定し、ばね受け32の外周に該ばね受け32の径方向の移動を規制する規制部32Aを立設し、支持部材60のフランジ部61とばね受け32の間にベアリングワッシャ64、65を介装したもの。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧緩衝器の懸架スプリング支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧緩衝器では、特許文献1に記載の如く、車体側チューブにダンパシリンダを取付け、車軸側チューブにピストンロッドを取付け、ダンパシリンダ側と車軸側チューブの側との間に懸架スプリングを介装している。車両走行時の衝撃力を懸架スプリングの圧縮変形により吸収し、懸架スプリングの振動をダンパシリンダにより制振する。
【0003】
特許文献1では、懸架スプリングがコイルスプリングからなることにより、油圧緩衝器の伸縮に伴って生ずる懸架スプリングの自軸まわりでの回転を吸収するため、ダンパシリンダに係止した支持部材(ワッシャ31)と、懸架スプリングが着座するばね受け(スプリング受34)をバックアップする中間部材(仕切部材33)との間に、テフロン(登録商標)製のワッシャを介装している。これにより、ばね受けと中間部材が懸架スプリングとともに回転し、懸架スプリングの回転を吸収する。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−330076号公報(3頁、図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、中間部材が重量部材であり、懸架スプリングの回転の吸収性が悪い。即ち、懸架スプリングの回転に対して例えばね受けが追随しても、中間部材が追随せず、懸架スプリングと中間部材との間に相対回転を生じてしまい、懸架スプリングの回転をテフロン(登録商標)製のワッシャで吸収できない虞がある。
【0006】
本発明の課題は、油圧緩衝器の伸縮に伴う懸架スプリングの自軸まわりでの回転を吸収することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車体側チューブと車軸側チューブが摺動自在に嵌合し、該車体側チューブと車軸側チューブのいずれか一方のチューブにダンパシリンダを取付け、他方のチューブに該ダンパシリンダ内を摺動するピストンを設けたピストンロッドを取付け、該車体側チューブと車軸側チューブの上記他方のチューブ側と該ダンパシリンダ側との間に、ばね受けを介して懸架スプリングを介装した油圧緩衝器の懸架スプリング支持装置において、該ダンパシリンダの先端部に、該ばね受けを支持するフランジ部を形成した支持部材を固定し、該ばね受けの外周又は内周に、該ばね受けの径方向の移動を規制する規制部を立設し、該支持部材のフランジ部と該ばね受けの間にベアリングワッシャを介装したものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記ばね受けの規制部の先端側に、前記フランジ部の外径より小径で、かつ、該フランジ部への嵌合時に、該フランジ部の外周を通過可能に弾性変形し得る抜け止め部を形成したものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記ベアリングワッシャを2枚以上介装したものである。
【0010】
請求項4の発明は、車体側チューブと車軸側チューブが摺動自在に嵌合し、該車体側チューブと車軸側チューブのいずれか一方のチューブにダンパシリンダを取付け、他方のチューブに該ダンパシリンダ内を摺動するピストンを設けたピストンロッドを取付け、該車体側チューブと車軸側チューブの上記他方のチューブ側と該ダンパシリンダ側との間に、ばね受けを介して懸架スプリングを介装した油圧緩衝器の懸架スプリング支持装置において、該ダンパシリンダの先端部に、該ばね受けを支持するフランジ部を形成した支持部材を固定し、該ばね受けをベアリング部材にて形成するとともに、該ベアリング部材の内周又は外周に、該ばね受けの径方向の移動を規制する規制部を立設したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は第1実施形態の油圧緩衝器を示す全体断面図、図2は図1の下部断面図、図3は図1の要部拡大断面図、図4は第2実施形態の油圧緩衝器の要部拡大断面図、図5は第3実施形態の油圧緩衝器の要部拡大断面図、図6は第4実施形態の油圧緩衝器の要部拡大断面図、図7は図6のばね受けを示す模式図、図8は第5実施形態の油圧緩衝器の要部拡大断面図である。
【0012】
(第1実施形態)(図1〜図3)
油圧緩衝器10は、図1に示す如く、車体側チューブ11と車軸側チューブ12を液密に摺動自在に嵌合して構成される。車体側チューブ11の下端外周にはブッシュ13が、車軸側チューブ12の上端側内周にはブッシュ14が設けられている。車体側チューブ11の下端側には、後述する油溜室28を車体側チューブ11と車軸側チューブ12の間でブッシュ13、14に挟まれる環状間隙に連通する油孔11Aが設けられる。
【0013】
車体側チューブ11は上端部の開口部15にキャップ16を液密に着脱自在に設け、車体側チューブ11に車体側取付部を備える。車軸側チューブ12は下端部にボトムブラケット18を一体に備え、ボトムブラケット18に車軸側取付部19を備える。
【0014】
油圧緩衝器10は、車体側チューブ11と車軸側チューブ12の内部に、ダンパ20を構成するダンパシリンダ21とピストンロッド24を収容している。即ち、油圧緩衝器10は、図2に示す如く、ボトムブラケット18の内部に固定したダンパシリンダ21を車軸側チューブ12の内部に立設している。ボトムブラケット18の底部に挿着したセンターボルト22が螺着されるボトムピース51により、ダンパシリンダ21の下端内周に係着したストッパリング22Aを引き寄せ、ダンパシリンダ21を後述するオイルロックピース37のフランジ37Aの介在下でボトムブラケット18の底部に固定している。
【0015】
油圧緩衝器10は、キャップ16の中央部にばね荷重調整スリーブ23を液密に螺着し、車体側チューブ11の内部に挿入されたばね荷重調整スリーブ23の下端部に中空ピストンロッド24とロックナット23Aを螺着し、ピストンロッド24を車体側チューブ11に対し固定的に支持する。ピストンロッド24は、ダンパシリンダ21の上端部に設けたロッドガイド25を摺動自在に貫通してダンパシリンダ21の内部の油室27に挿入され、その挿入先端部に設けたピストンボルト24Aにピストン26を備える。ピストンボルト24Aに螺着されるナット24Bによりピストン26を固定する。ピストン26はダンパシリンダ21の内面を上下に摺動する。油室27は、ピストン26により、ピストンロッド24が挿入されている側のピストンロッド側油室27Aと、ピストンロッド24が挿入されていない側のピストン側油室27Bに区画される。
【0016】
ロッドガイド25は、図3に示す如く、ダンパシリンダ21の上端部にかしめ固定される上下のワッシャ25A、25B、外カラー25Cの内部に、Oリング25Dを嵌着した内カラー25Eを設け、内カラー25Eに圧入したブッシュ25Fによりピストンロッド24を摺動自在に支持する。Oリング25Dはダンパシリンダ21とピストンロッド24の軸心ずれを吸収する。内カラー25E及びブッシュ25Fは上下のワッシャ25A、25Bの間で上下動しても良く、上下動不能に固定化されても良い。
【0017】
油圧緩衝器10は、車体側チューブ11と車軸側チューブ12の間で、ダンパシリンダ21の外周の空間を油溜室28とし、油溜室28の上部を気体室(空気室)29としている。
【0018】
油圧緩衝器10は、車体側チューブ11の側と車軸側チューブ12の側との間に、上下のばね受け31、32を介して、コイルスプリングからなる懸架スプリング33を介装している。上ばね受け31は、車体側チューブ11に螺着したキャップ16に設けた前述のばね荷重調整スリーブ23にロックナット23A、中間プレート34を介して支持されて昇降するスプリングカラー35によりバックアップされる。下ばね受け32の支持構造については後述する。尚、油圧緩衝器10は、ばね荷重調整スリーブ23をキャップ16に対して螺動操作し、上ばね受け31を上下動することにより、懸架スプリング33の初期荷重を調整可能とする。
【0019】
油圧緩衝器10は、懸架スプリング33のばね反力と、気体室29の気体ばねによるばね反力により、車両走行時に路面から受ける衝撃力を緩衝する。
【0020】
ダンパ20は、ピストンバルブ装置(伸側減衰力発生装置)40と、ボトムバルブ装置(圧側減衰力発生装置)50とを有する。ダンパ20は、ピストンバルブ装置40とボトムバルブ装置50の発生する減衰力により、懸架スプリング33と気体ばねによる衝撃力の吸収に伴う車体側チューブ11と車軸側チューブ12の伸縮振動を抑制する。
【0021】
以下、油圧緩衝器10の減衰機構について説明する。
(ピストンバルブ装置40)
ピストンバルブ装置40は、ピストンロッド24の先端部にピストンボルト24Aを装着し、このピストンボルト24Aに螺着されるナット24B、バルブストッパ41によりピストン26、バルブストッパ42を装着している。ピストン26は、伸側バルブ44Aを備えてロッド側油室27Aとピストン側油室27Bとを連絡可能とする伸側流路44と、圧側バルブ(チェックバルブ)45Aを備えてロッド側油室27Aとピストン側油室27Bとを連絡可能とする圧側流路45(不図示)とを備える。
【0022】
また、ピストンバルブ装置40は、ばね荷重調整スリーブ23に液密に挿着されるとともに螺着されて外部から操作できる減衰力調整ロッド46にかしめ固定された減衰力調整チューブ47をピストンロッド24の中空部に通し、この減衰力調整チューブ47の先端のニードル47Aにより、ピストンボルト24Aに設けてあるロッド側油室27Aとピストン側油室27Bとのバイパス路48の流路面積を調整可能とする。
【0023】
従って、油圧緩衝器10の圧縮時には、ピストン側油室27Bの油が圧側流路45を通り圧側バルブ45Aを開いてロッド側油室27Aへ導かれる。
【0024】
また、油圧緩衝器10の伸張時には、ダンパシリンダ21とピストンロッド24の相対速度が低速のとき、ロッド側油室27Aの油がニードル47Aのあるバイパス路48を通ってピストン側油室27Bへ導かれ、この間のニードル47Aによる絞り抵抗により伸側の減衰力を生ずる。この減衰力は、減衰力調整ロッド46によるニードル47Aの位置調整により調整される。
【0025】
また、油圧緩衝器10の伸張時で、ダンパシリンダ21とピストンロッド24の相対速度が中高速のとき、ロッド側油室27Aの油が伸側流路44を通り伸側バルブ44Aを撓み変形させてピストン側油室27Bへ導かれ、伸側の減衰力を生ずる。
【0026】
(ボトムバルブ装置50)
ボトムバルブ装置50は、車軸側チューブ12に前述の如くセンターボルト22によりダンパシリンダ21、オイルロックピース37とともに装着されたボトムピース51の先端部に、ボルト52により圧側バルブ56A、バルブハウジング53、バルブストッパ54を保持している。バルブストッパ54は、バルブハウジング53との間に伸側バルブ57A、ばね57Bを保持する。バルブハウジング53はダンパシリンダ21の中間部に液密に密着し、ピストン側油室27Bの下方にボトムバルブ室55を区画形成する。バルブハウジング53は、圧側バルブ56Aに備えたピストン側油室27Bとボトムバルブ室55とを連絡可能とする圧側流路56と、伸側バルブ57Aを備えてピストン側油室27Bとボトムバルブ室55とを連絡可能とする伸側流路57(不図示)とを備える。ボトムバルブ室55はダンパシリンダ21の壁面に設けた油路58により、ダンパシリンダ21の外部に設けてある油溜室28に連絡可能とされている。
【0027】
また、ボトムバルブ装置50は、ボルト52を中空とするとともに、ボトムピース51にオリフィス路59を設け、ピストン側油室27Bとボトムバルブ室55とをボルト52の中空路とボトムピース51のオリフィス路59により常時連通している。
【0028】
従って、油圧緩衝器10の圧縮時でダンパシリンダ21とピストンロッド24の相対速度が低速のときには、ダンパシリンダ21に進入したピストンロッド24の進入容積分の油が、ピストン側油室27Bからオリフィス路59、ボトムバルブ室55、ダンパシリンダ21の壁面の油路58を通って油溜室28へ排出され、この間のオリフィス路59による絞り抵抗により圧側の減衰力を生ずる。また、油圧緩衝器10の圧縮時で、ダンパシリンダ21とピストンロッド24の相対速度が中高速のときには、ダンパシリンダ21に進入したピストンロッド24の進入容積分の油が、ピストン側油室27Bから圧側流路56、ボトムバルブ室55、ダンパシリンダ21の壁面の油路58を通って油溜室28に排出される。
このとき、ピストン側油室27Bから圧側流路56を通る油が圧側バルブ56Aを撓み変形させてボトムバルブ室55に導かれ、圧側の減衰力を生ずる。
【0029】
油圧緩衝器10の伸張時には、ダンパシリンダ21から退出するピストンロッド24の退出容積分の油が、油溜室28からボトムバルブ室55、伸側流路57を通ってピストン側油室27Bに還流される。
【0030】
従って、油圧緩衝器10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
油圧緩衝器10の圧縮時には、ボトムバルブ装置50において、ボトムピース51のオリフィス路59或いはバルブハウジング53の圧側バルブ56Aを流れる油により圧側減衰力を生じ、ピストンバルブ装置40では殆ど減衰力を生じない。
【0031】
(伸張時)
油圧緩衝器10の伸張時には、ピストンバルブ装置40において、ピストン26のニードル47A或いは伸側バルブ44Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、ボトムバルブ装置50では殆ど減衰力を生じない。
【0032】
これらの圧側と伸側の減衰力により、油圧緩衝器10の伸縮振動が抑制される。
【0033】
尚、油圧緩衝器10の最圧縮時には、車体側チューブ11の下端部に設けたオイルロックカラー36のチェック弁36Aが、車輪側チューブ12の底部に立設したオイルロックピース37の外周に嵌合し、車輪側チューブ12とオイルロックピース37の間にオイルロック油室を区画し、最圧縮ストロークを規制する。
【0034】
また、油圧緩衝器10の最伸張時には、ダンパシリンダ21の上端側外周部に係止したばね受け38によってバックアップ支持したリバウンドスプリング39をオイルロックカラー36の上端ワッシャによって圧縮し、最伸張ストロークを規制する。
【0035】
しかるに、油圧緩衝器10はダンパ20の伸縮に伴う懸架スプリング33の自軸まわりでの回転を吸収するため、以下の構成を具備する(図3)。
【0036】
ダンパシリンダ21の先端部に、下ばね受け32を支持するフランジ部61を形成した支持部材60を固定する。支持部材60は筒状固定部62をダンパシリンダ21の先端部の外周に例えば圧入し、更にかしめ加工することにて固定する。63はフランジ部61と固定部62の間の中間筒部に設けた油孔である。
【0037】
ばね受け32は、懸架スプリング33のコイル径を縮径した先端側の縮径部を支持する。ばね受け32は鋼板のプレス成形品からなり、支持部材60のフランジ部61の外周に対する径方向の移動を規制する規制部32Aを外周(又は内周)に立設している。規制部32Aはスカート状をなし、周方向に環状をなす如くに連続し、又は周方向に間欠的に設けられる。規制部32Aの先端側には、フランジ部61の外径より小径で、かつフランジ部61への嵌合時に、フランジ部61の外周を通過可能に弾性変形し得る抜け止め部32Bを備える。抜け止め部32Bは環状規制部32Aにつながる環状小径部をなし、又は周方向に間欠的に設けられる爪状をなす。
【0038】
油圧緩衝器10は支持部材60のフランジ部61とばね受け32の間に、2枚のベアリングワッシャ64、65を介装している。ベアリングワッシャ64、65は、テフロン(登録商標)加工された鋼板、又は工具鋼にて構成できる。
【0039】
本実施形態によれば以下の作用がある。
(請求項1に対応する作用)
▲1▼ダンパシリンダ21の先端部に固定した支持部材60と、懸架スプリング33が着座するばね受け32との間に、ベアリングワッシャ64、65を介装した。懸架スプリング33とベアリングワッシャ64、65の間に介在せしめられる部材はばね受け32だけである。従って、懸架スプリング33の回転時に、懸架スプリング33に摩擦接触しているばね受け32をベアリングワッシャ64、65上で軽快に回転させ、懸架スプリング33の回転に良く追随させることができ、懸架スプリング33の回転を吸収し易くすることができる。
【0040】
▲2▼支持部材60のフランジ部61にばね受け32を支持するに際し、ばね受け32の径方向の移動を規制する規制部32Aをばね受け32の外周に立設する状態で、支持部材60のフランジ部61とばね受け32の間にベアリングワッシャ64、65を介装した。従って、支持部材60のフランジ部61に対する、ベアリングワッシャ64、65とばね受け32の組付性が良い。
【0041】
(請求項2に対応する作用)
▲3▼ばね受け32の規制部32Aの先端側に、支持部材60のフランジ部61の外周を通過可能な弾性変形し得る抜け止め部32Bを形成した。従って、ばね受け32を支持部材60のフランジ部61に対して上方から押すだけで、該フランジ部61の外周に嵌合して固定でき、ばね受け32の組付性が良い。
【0042】
(請求項3に対応する作用)
▲4▼支持部材60とばね受け32の間に、2枚(2枚以上でも良い)のベアリングワッシャ64、65を介装したことで、摩擦係数の小さいベアリングワッシャ64、65の相互間で回転を生じ、懸架スプリング33の回転を一層吸収し易くすることができる。
【0043】
(第2実施形態〜第5実施形態)(図4〜図8)
図4の第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、ばね受け32に代わるばね受け70を、テフロン(登録商標)加工された鋼板、又は工具鋼等のベアリング部材にて形成し、該ばね受け70を支持部材60のフランジ部61に直接的に支持させた。そして、ばね受け70の外周に、該ばね受け70のフランジ部61の外周に対する径方向の移動を規制する規制部71を立設した。規制部71はばね受け70の片面側に立設される。
【0044】
図5の第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、ばね受け32に代わるばね受け80を、テフロン(登録商標)加工された鋼板、又は工具鋼等のベアリング部材にて形成し、該ばね受け80を支持部材60のフランジ部61に直接的に支持させた。そして、ばね受け80の内周に、該ばね受け80のフランジ部61の内周に対する径方向の移動を規制する規制部81を立設した。規制部81はばね受け80の片面側に立設される。
【0045】
図6、図7の第4実施形態が第1実施形態と異なる点は、ばね受け32に代わるばね受け90(図7)を、テフロン(登録商標)加工された鋼板、又は工具鋼等のベアリング部材にて形成し、該ばね受け90のばね着座面(懸架スプリング33が着座する面)に対する裏側面の周方向複数位置(周方向に等間隔配置した4位置)に設けた半球面状凸部90Aを支持部材60のフランジ部61に直接的に支持させた。そして、ばね受け90の内周に、該ばね受け90のフランジ部61の内周に対する径方向の移動を規制する規制部91を立設した。規制部91はばね受け90の片面側に立設される。
【0046】
図8の第5実施形態が第3実施形態と異なる点は、ばね受け80に代わるばね受け100として、エンプラ樹脂の一種であるポリアセタール樹脂からなるジュラコン(登録商標)を用い、さらに、両面側に規制部101を立設したことにある。
【0047】
本実施形態によれば、ばね受けに樹脂を用いたことにより、摩擦係数の低減、軽量化、摩擦音の低減等の効果が得られる。また、両面側に規制部101を立設したことにより、支持部材60のフランジ部61に対するばね受け100の組付方向性(表裏の方向性)がなくなり、組付コストを低減できる。
【0048】
第2実施形態〜第5実施形態によれば以下の作用がある。
▲1▼ダンパシリンダ21の先端部に固定した支持部材60に、懸架スプリング33が着座するばね受け70、80、90、100を支持し、このばね受け70、80、90、100をベアリング部材にて形成した。従って、懸架スプリング33の回転時に、懸架スプリング33に摩擦接触しているばね受け70、80、90、100を軽快に回転させ、懸架スプリング33の回転に良く追随させることができ、懸架スプリング33の回転を吸収し易くすることができる。
【0049】
▲2▼支持部材60のフランジ部61にばね受け70、80、90、100を支持するに際し、ばね受け70、80、90、100の径方向の移動を規制する規制部71、81、91、101をばね受け70、80、90、100の外周又は内周に立設した。従って、支持部材60のフランジ部61に対するばね受け70、80、90、100の組付性が良い。
【0050】
▲3▼ばね受け70、80、90、100自身がベアリング部材を兼ねるから、部品点数の削減になり、組付コストを低減できる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、油圧緩衝器の伸縮に伴う懸架スプリングの自軸まわりでの回転を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1実施形態の油圧緩衝器を示す全体断面図である。
【図2】図2は図1の下部断面図である。
【図3】図3は図1の要部拡大断面図である。
【図4】図4は第2実施形態の油圧緩衝器の要部拡大断面図である。
【図5】図5は第3実施形態の油圧緩衝器の要部拡大断面図である。
【図6】図6は第4実施形態の油圧緩衝器の要部拡大断面図である。
【図7】図7は図6のばね受けを示す模式図である。
【図8】図8は第5実施形態の油圧緩衝器の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 油圧緩衝器
11 車体側チューブ
12 車軸側チューブ
21 ダンパシリンダ
24 ピストンロッド
26 ピストン
31、32、70、80、90、100 ばね受け
32A、71、81、91、101 規制部
32B 抜け止め部
60 支持部材
61 フランジ部
64、65 ベアリングワッシャ

Claims (4)

  1. 車体側チューブと車軸側チューブが摺動自在に嵌合し、
    該車体側チューブと車軸側チューブのいずれか一方のチューブにダンパシリンダを取付け、他方のチューブに該ダンパシリンダ内を摺動するピストンを設けたピストンロッドを取付け、
    該車体側チューブと車軸側チューブの上記他方のチューブ側と該ダンパシリンダ側との間に、ばね受けを介して懸架スプリングを介装した油圧緩衝器の懸架スプリング支持装置において、
    該ダンパシリンダの先端部に、該ばね受けを支持するフランジ部を形成した支持部材を固定し、
    該ばね受けの外周又は内周に、該ばね受けの径方向の移動を規制する規制部を立設し、該支持部材のフランジ部と該ばね受けの間にベアリングワッシャを介装したことを特徴とする油圧緩衝器の懸架スプリング支持装置。
  2. 前記ばね受けの規制部の先端側に、前記フランジ部の外径より小径で、かつ、該フランジ部への嵌合時に、該フランジ部の外周を通過可能に弾性変形し得る抜け止め部を形成した請求項1に記載の油圧緩衝器の懸架スプリング支持装置。
  3. 前記ベアリングワッシャを2枚以上介装した請求項1又は2に記載の油圧緩衝器の懸架スプリング支持装置。
  4. 車体側チューブと車軸側チューブが摺動自在に嵌合し、
    該車体側チューブと車軸側チューブのいずれか一方のチューブにダンパシリンダを取付け、他方のチューブに該ダンパシリンダ内を摺動するピストンを設けたピストンロッドを取付け、
    該車体側チューブと車軸側チューブの上記他方のチューブ側と該ダンパシリンダ側との間に、ばね受けを介して懸架スプリングを介装した油圧緩衝器の懸架スプリング支持装置において、
    該ダンパシリンダの先端部に、該ばね受けを支持するフランジ部を形成した支持部材を固定し、
    該ばね受けをベアリング部材にて形成するとともに、該ベアリング部材の内周又は外周に、該ばね受けの径方向の移動を規制する規制部を立設したことを特徴とする油圧緩衝器の懸架スプリング支持装置。
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