JP4592831B2 - 中空マイクロカプセルの製造 - Google Patents

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Description

本発明は、中空のタンパク質マイクロカプセルの製造に関する。これらのマイクロカプセルの一つの用途は、超音波画像形成を向上させることである。
体内の気泡を超音波心臓検査法に用いることができることは、かなり以前から知られている。
WO92/18164号公報明細書には、壁形成材料、好ましくはアルブミンのようなタンパク質の溶液を噴霧乾燥して、マイクロカプセルを形成させることが開示されている。WO/94/08627号公報明細書では、加熱した室に溶液を噴霧する圧力を減少させて一層大きなマイクロカプセルを形成させ、または噴霧する溶液に界面活性剤を添加することによって血流中のマイクロカプセルの半減期を増加させ、または例えばマイクロカプセルを帯電した化合物の溶液に懸濁することによって、マイクロカプセルを身体の選択された部分に向けている。
US−A−4420,442号(Sands;PQ Corpn)には、フィルム形成性固形物の分散液に有機溶媒を加えた後、懸濁液を噴霧乾燥して中空ミクロスフェアを形成させることが開示されているが、溶媒(例えば、セロソルブ(cellosolve)またはジグリム(diglyme)は水より揮発性が低かった。
本発明者らは、噴霧乾燥する水溶液に揮発性化合物を添加することによって、特性が改良された、粒度分布がより狭くかつ外殻が薄いマイクロカプセルを高収率で形成させることができることを見いだした。
本発明の一つの態様は、(i)水溶性材料を水性溶媒に溶解した溶液を準備し、(ii)この溶液をガス中に噴霧して、水性溶媒が蒸発するようにすることによって、中空マイクロカプセルを形成させることを含むマイクロカプセルの形成法であって、水溶液が水よりも揮発性が高い液体を含むことを特徴とする、方法を提供する。
好適な揮発性液体としては、エタノール(好ましい揮発性液体)(沸点78.3℃)、メタノール(沸点64.5℃)、およびアセトン(沸点56℃)などが挙げられる。揮発性液体は、壁形成材料の溶媒として作用し、用いられる比率で水と混和できる必要がある。
揮発性液体である水溶液の比率は、揮発性化合物が何であるか、壁形成材料の濃度および何であるか、溶液を噴霧する温度および圧力、および所望なマイクロカプセル生成物によって変化する。典型的には、溶液の0.1%〜80%(容量/容量)、好ましくは1〜50%(容量/容量)、最も好ましくは5〜30%(容量/容量)、例えば約20%(容量/容量)が揮発性液体である。揮発性液体の混合物を用いることができ、この場合にはこれらの百分率は揮発性液体の総含量を表す。
噴霧−乾燥は、所望なマイクロカプセル生成物を直ちに提供するような一段階工程であることができる。あるいは、直接生成物を更に工程段階に付し、例えば加熱を行ない、マイクロカプセルのタンパク質外殻を更に架橋して不溶化することができる。これは、二段階工程を構成している。
例えば、超音波診断法中のエコー源性コントラスト剤(これはこの生成物の一つの目的とする用途である)としてヒトの血流中に注射しようとする生成物については、総ての工程は無菌条件下で行なうのが好ましい。従って、タンパク質溶液は無菌で発熱性物質を含まず、室(chamber)中のガスを最初に0.2μmフィルターを通過させ、噴霧−乾燥機を最初にオートクレーブ処理などを行なう。あるいは、または同様に、最終生成物を例えばイオン化放射線に暴露することによって滅菌することもできる。
壁形成材料は水溶性材料であり、好ましくはタンパク質(この用語は天然には存在しないポリペプチドおよびポリアミノ酸を包含するのに用いられる)である。例えば、それはコラーゲン、ゼラチンまたは(血清)アルブミンであり、それぞれの場合に(マイクロカプセルがヒトに投与しようとするときには)好ましくはヒト起源のもの(すなわち、ヒトに由来するもの、またはヒトタンパク質に構造が対応するもの)、またはポリリシンあるいはポリグルタメートであることができる。それは、献血物由来のまたは形質転換しまたはトランスフェクションしてヒト血清アルブミン(HA)を発現した微生物(細胞系を包含する)の醗酵に由来するHAであることができる。あるいは、単純または複合糖質、単純アミノ酸または脂肪酸、例えばリジン、マンニトール、デキストラン、パルミチン酸またはベヘン酸を用いることもできる。
HA(この用語は、ヒトアルブミンの類似体およびフラグメント、例えばEP−A−322094号明細書に記載されているもの、およびモノマー性アルブミンのポリマーを包含する)を発現するための手法は、例えばEP−A−201239号明細書およびEP−A−286424号明細書に開示されている。総ての文献は、本明細書に引用によって包含される。HAの「類似体およびフラグメント」としては、(i)本発明の方法においてマイクロカプセルを形成することができ、かつ(ii)アミノ酸配列の少なくとも50%(好ましくは少なくとも75%、80%、90%または95%)の連続領域が、天然のものと同じヒトアルブミンの少なくとも50%(好ましくは75%、80%、90%または95%)の連続領域と少なくとも80%相同性のある(好ましくは少なくとも90%、95%または99%相同性の)総てのポリペプチドなどが挙げられる。組換えDNA技術によって製造されるHAを用いることができる。従って、HAは、酵母または別の微生物中でHA−コードヌクレオチド配列を発現させ、当該技術分野で知られている方法によって生成物を精製することによって産生させることができる。このような材料は、血清由来の材料に伴う脂肪酸を欠いている。好ましくは、HAは脂肪酸を実質的に含まず、すなわち、これは血清由来材料の脂肪酸濃度の1%未満である。好ましくは、脂肪酸はHAでは検出されない。
水性溶液または分散液は、特に材料がアルブミンであるときには、好ましくは、0.1〜50%(重量/容量)、更に好ましくは、約1.0〜25.0%(重量/容量)または5.0〜30.0%(重量/容量)のタンパク質である。約5〜15%(重量/容量)が最適である。壁形成材料の混合物を用いることができ、この場合には最後の二つのセンテンスにおける割合は、壁形成材料の総含量に関するものである。
噴霧を行なう調剤は、壁形成材料、水および揮発性液体以外の物質を含むことができる。例えば、水性相は、安定剤として糖類およびポリマーのような水溶性の親水性化合物、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ゼラチン、ポリグルタミン酸、および澱粉、デキストラン、寒天、キサンタンなどの多糖類を1〜20重量%含むことができる。
X線コントラスト剤(例えば、Hexabrix(イオキサグル酸(ioxaglic acid))、Optiray(イオベルゾール(ioversol))、Omnipaque(イオヘキソール(iohexol))、またはIsovice(イオパミドール(iopamidol))、または磁気共鳴画像形成剤(例えば、コロイド状酸化鉄またはガドリニウムキレート化合物、例えば、ガドペンテト酸(gadopentetic acid))のような官能剤を、例えば、1.0〜40.0%(重量/重量)含むことができる。
同様な水性相を、最終的なマイクロカプセル生成物を使用前に懸濁させる担体液体として用いることができる。界面活性剤を用いることができ(0.1〜5重量%)、ほとんどの生理学的に許容可能な界面活性剤、例えば、卵レシチンまたは大豆レシチン、または飽和した合成レシチンのような合成レシチン、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、またはジステアロイルホスファチジルコリン、またはジオレイルホスファチジルコリンまたはジリノレイルホスファチジルコリンのような不飽和の合成レシチンが挙げられる。他の界面活性剤としては、遊離脂肪酸、脂肪酸とポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシエチレングリコールのようなポリオキシアルキレン化合物とのエステル、脂肪アルコールとポリオキシアルキレングリコールとのエーテル、脂肪酸とポリオキシアルキル化ソルビタンとのエステル、石鹸、グリセロール−ポリアルキレンステアレート、グリセロール−ポリオキシエチレンリシノレエート、ポリアルキレングリコールのホモ−およびコポリマー、ポリエトキシル化大豆油およびヒマシ油並びに水素化誘導体、スクロースまたは他の炭水化物と脂肪酸、脂肪アルコールとのエーテルおよびエステルであって、場合によってはポリオキシアルキル化されたもの、飽和または不飽和脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリグリセリド、グリセリドまたは大豆油およびスクロースが挙げられる。しかしながら、担体液体は界面活性剤を含まないのが好ましい。
添加剤をマイクロカプセルの壁に配合して、分散性、弾性および水透過性のような物性を改質することができる。
有用な添加剤としては、壁を「疎水化」して水透過性を減少させることができる脂肪、ワックスおよび高分子量炭化水素のような化合物を挙げることができる。注射用液体−担体中でのマイクロカプセルの分散性を増加する添加剤は、リン脂質のような両親媒性化合物であり、これらは水透過性および生物分解性の速度も増加する。しかしながら、少なくともマイクロカプセルがアルブミンからできているときには、本発明者らはそれらが不必要であることを見いだしているので、これらのマイクロカプセルはその分散性を増加する添加剤を含まないのが好ましい。
壁に配合される添加剤の量は、必要に応じて非常に変化する。場合に因っては、添加剤は全く用いられないが、他の場合には、壁の約40.0重量%に達することがある添加剤の量が可能である。
壁形成材料の溶液は、直径が0.05〜50.0μmの不連続な(discrete)マイクロカプセルを生成する任意の適当な手法によって噴霧および噴霧−乾燥される。これらの数値は、直径をCoulter Multisizer IIで測定した場合のマイクロカプセルの容量の少なくとも90%に相当する。「マイクロカプセル」という用語は、空間が入っている中空粒子を意味し、この空間にはガスまたは蒸気が満たされているが、固形材料は全く入っていない。「Maltesers」(登録商標)として英国で発売されている砂糖菓子に類似の蜂の巣状粒子は形成されない。空間を完全に取り囲むこと(これは好ましいが)は必要でなく、またそれは通常は球状であるが、精確に球状であることも必要ない。マイクロカプセルが球状でない場合には、前記の直径は、同じ質量を有しかつ球状でないマイクロカプセルと同じ容量の中空空間を取り囲んでいる対応する球状のマイクロカプセルの直径に関するものである。
噴霧は、例えば調剤を加圧下で少なくとも一つのオリフィスを通して暖い空気または他の不活性ガスの室(chamber)中に押し進めることによって、または暖い空気または他の不活性ガスの室中で遠心噴霧器を用いることによって、製剤のエアゾールを形成することを含んでいる。この室は、十分な大きさを有しており、噴射された最大の小滴が乾燥前に壁に打ち当たらないものであるべきである。マイクロカプセルを診断用画像形成の目的で血流中に注射しようとする場合には、室内のガスまたは蒸気は清浄(すなわち、好ましくは無菌および発熱性物質不含)であり、超音波心臓検査法でマイクロカプセルの投与に付随する量で血流中に投与する際に毒性を持たないものである。タンパク質製剤からの液体の蒸発速度は、中空マイクロカプセルを形成するのに十分な高さであるべきであるが、マイクロカプセルを破裂させるほどの高さであるべきではない。蒸発速度は、ガス流速、タンパク質製剤中のタンパク質の濃度、液体担体の性質、溶液の供給速度、および最も重要なことであるが、エアゾールと遭遇するガスの温度を変化させることによって調節することができる。粒度分布は、低流速の供給原料と非常に高濃度の噴霧および乾燥空気との組み合わせがある噴霧−乾燥によって小さくすることができる。この効果は非常に限定された大きさで狭い大きさの分布のマイクロカプセルを製造することである。何名かの研究者らは、空気ノズルの平均小滴粒度を画定する方程式をデザインしており、平均液滴粒度に影響を及ぼす各種のパラメーターを単純に表したものは下記の通りである。
D=A/(V・d)+B・(Mair/Mliq−b
式中、
D=平均小滴粒度
A=ノズルデザインに関する定数
B=液体の粘土に関する定数
V=液体およびノズルの間の相対空気速度
d=空気密度
airおよびMliq=空気および液体流の質量
aおよびb=ノズルデザインに関する定数
(不明確さを避けるため、Vを二乗し、(V・d)をa乗し、(Mair/Mliq)を−b乗する)。
いずれの所定のノズルデザインに対しても、液滴粒度はノズルでの相対速度および同時に空気対液体の質量比によって最も影響されることは明らかである。ほとんどの普通の乾燥用途に対しては、空気対液体比は0.1〜10の範囲にあり、これらの比率では、平均液滴粒度は15〜20μmであると見られる。本明細書に記載の粒度範囲のマイクロカプセルを製造するため、本発明者らは、一般的には20〜1000の範囲の空気対液体比を用いている。この効果は、比較用標準では極めて小さいのに対して高比率でかつ極めて狭い粒度分布で粒子を製造することである。低めの空気対液体の比率で生産されるマイクロカプセルについては、若干大きめの粒子が製造されるが、それでもなお粒度分布は狭く、エマルジョン法によって製造されるマイクロカプセルより優れている。
アルブミン濃度が水中で5.0〜25.0%では、入口ガス温度は少なくとも約100℃、好ましくは少なくとも110℃で、一般的には中空性を確保するのに十分であり、温度は250℃程度とすることもでき、カプセルの破裂はない。約180〜240℃、好ましくは約210〜230℃、最も好ましくは約220℃が、少なくともアルブミンには最適である。この温度は、本発明の方法の一段階法では、壁形成材料の少なくとも一部(通常は外側)、頻繁には壁形成材料の実質的に総てを不溶化するのに十分であることがある。エアゾールと遭遇したガスの温度はエアゾールを放出する速度およびタンパク質製剤の液体含量によって変化するので、出口温度を監視して、室に適当な温度を確保することができる。40〜150℃の出口温度が好適であることが分かった。
二段階工程では、壁形成材料がタンパク質であるときには、中間体マイクロカプセルは典型的には96〜98%のモノマータンパク質を含んでなり、壁形成材料自身と同じ水溶解性を保持する。これらは、超音波画像形成のイン・ビボ寿命が限定されている。しかしながら、それらは超音波画像形成に用いることができ、またはそれらを保存し、輸送した後、二段階工程の第二段階を行なうことができる。従って、それらは本発明のもう一つの態様を形成する。
この工程の第二段階では、第一段階で調製された中間体マイクロカプセルを固定して(fixed)水溶解性を低くして、一層長く持続するが生物学的分解性ではなくなるほど不溶性および不活性とはならないようにする。また、この段階ではマイクロカプセルを強化して、投与、血管中の剪断および心室圧(ventricular pressure)の過酷さに充分耐え得るようにする。マイクロカプセルが破裂すると、エコー源性は少なくなる。
Schneiderら(1992)Invest.Radiol.,27,134-139は、先行技術による超音波処理したアルブミン微小気泡はこの強度を有しておらず、左心室の典型的な圧力を受けると速やかにそのエコー源性を失うことを示した。この工程の第二段階では、熱(例えば、マイクロ波熱、放射熱、または例えば通常のオーブンでの加熱空気)、イオン化放射(例えば、10.0〜100.0kGy線量のガンマー線による)、または例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、エチレンオキシド、またはタンパク質の架橋用の他の薬剤などを用いて溶媒中での化学的架橋を用いることができ、第一段階で形成された実質的に乾燥した中間体マイクロカプセル上でまたはマイクロカプセルが不溶性である液体、例えば好適な溶媒中でのこのマイクロカプセルの懸濁液上で行なわれる。この方法の一段階法では、グルタルアルデヒドのような架橋剤を噴霧−乾燥室中に噴霧することができ、または噴霧手段のすぐ上流のタンパク質製剤中に導入することができる。あるいは、室の温度を、マイクロカプセルを不溶化するのに十分高くすることができる。
中間体マイクロカプセルと同様にして測定した最終生成物は、所望ならば、直径が0.1〜50.0μmのマイクロカプセルからなることができるが0.1〜20.0μm、特に1.0〜8.0μmの容積範囲が本発明の方法で得られ、超音波心臓検査法に好ましい。第二段階は、第一段階で生成した粒度の決定において、マイクロカプセルの粒度が変更されることがあることを考慮する必要がある。
本発明の方法を制御して、所望な特性を有するマイクロカプセルを得ることができることを見いだした。従って、タンパク質溶液を噴霧ノズルに供給する圧力を変化させて、例えば1.0〜20.0×10Pa、好ましくは5.0〜10.0×10Pa、最も好ましくは約7.5×10Paとすることができる。同様に、液体の流速を変化させることができる。他のパラメーターを、本明細書の上記および下記に開示されているように変化させることができる。この方法では、新規なマイクロカプセルを得ることができる。本発明者らは、揮発性成分を含む供給原料から形成されるマイクロカプセルは一層滑らかな表面を有する一層完全な中空カプセルを提供し、揮発性成分の非存在化で形成されるカプセルより小さいことを見いだした。
特に、壁形成材料の量に対して反射率(reflectivity)の大きな生成物を得ることができる。例えば、マイクロカプセル13μg/mlの均質な懸濁液は、3.5MHzの超音波に対して、少なくとも−1.0dBの反射率を提供することができる。−0.3より高い反射率は必要ないことがあり、約−0.7〜−0.5の反射率が好都合である。
好ましくは、マイクロカプセルの壁におけるタンパク質の少なくとも50%が架橋している。好ましくは、タンパク質の少なくとも75%、90%、95%、98.0%、98.5%または99%は十分に架橋されており、1%HCl溶液で2分間の抽出に耐える。抽出されたタンパク質は、Bradfordのクーマシーブルータンパク質分析法を用いて検出される。架橋の程度は、タンパク質の加熱、放射線照射または化学的処理を変化させることによって調節される。架橋工程の際に、タンパク質モノマーは架橋して、下記の例3に示されるように、ゲル浸透HPLCまたはゲル電気泳動によって検出されるように、速やかに単純な分離工程では入手できなくなる。処理を継続すると、既に架橋した材料が更に架橋して、前記のHCl抽出では入手できないようになる。175℃での加熱中に、本発明によるHAマイクロカプセルは20分間でHClで抽出可能なタンパク質の約99%が失われるが、150℃では20分の加熱では約5%のHClで抽出可能なタンパク質しか除去されず、30分ではHClで抽出可能なタンパク質の47.5%、40分では83%、60分では93%、80分では97%が、100分では97.8%が除去される。従って、良好な水準の架橋を達成する目的で、マイクロカプセルを175℃で少なくとも17〜20分間、150℃で少なくとも80分間、および他の温度では対応する長または短時間加熱することができる。
本発明のマイクロカプセルは、添加剤の存在下または非存在下で乾燥状態で保存して、保存を改良し、合体を防止し、または再懸濁を促進することができる。添加剤としては、マンニトール、ガラクトース、ラクトースまたはスクロースのような水溶性の生理学的に許容可能な化合物、またはデキストラン、キサンタン、寒天、澱粉、PVP、ポリグルタミン酸、ポリビニルアルコール(PVA)およびゼラチンのような親水性ポリマーの0.1〜200.0重量%から選択することができる。注射可能な液体担体相中のマイクロカプセルの有効寿命、すなわち有用な超音波検査信号が観察される期間を調節して、必要に応じて数分間(a few minutes)から数か月間(several months)継続させることができ、これは壁の多孔度、溶解度または架橋度を調節することによって行なうことができる。これらのパラメーターは、壁形成材料および添加剤を適当に選択することによって、および噴霧乾燥室での蒸発速度および温度を調整することによって調節することができる。
マイクロカプセルの凝集を最少にするため、マイクロカプセルを0.5mmスクリーンを備えたFritsch遠心ピンミルまたはGlen Crestonエアーインパクトジェットミルを用いて適当な不活性賦形剤と共に粉砕することができる。適当な賦形剤は不活性で静脈内で使用するのに好適な微粉砕粉末であり、例えばラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ガラクトース、マルトースまたは塩化ナトリウムである。マイクロカプセル/賦形剤混合物は、一旦粉砕してしまえば、水性媒質に懸濁して、非官能性/欠陥マイクロカプセルの除去を促進することができ、またはこれを更に加工することなく分配用の最終容器に入れることができる。続いて、水性相で再構成を促進するため、微量の界面活性剤を粉砕段階でおよび/または水性媒質中に含有させて凝集を防止することができる。この目的に好適なアニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤としては、ポロキサマー(poloxamers)、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびレシチンが挙げられる。
次に、マイクロカプセル懸濁液を浮遊させることができ、または遠心分離を行なって表面に欠陥を有し使用時に液体が充満してしまい最早エコー源性ではなくなる欠陥粒子を沈降させることができる。
次いで、マイクロカプセル懸濁液を再混合して、均一な粒子分布を確保し、等張マンニトールのような静脈内注射に好適な緩衝液で洗浄し、再構成することができる。この懸濁液を、凍結乾燥、および引き続く例えばガンマー線照射、乾熱、またはエチレンオキシドによる殺菌用に分割することができる。
不溶化または固定されたマイクロカプセルの脱凝集の代替法は、例えばポロキサマー、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびレシチンなどの好適な界面活性剤を含む水性媒質中にそれらを直接懸濁することである。次に、脱凝集を、好適なホモジナイザーを用いて行なうことができる。
次いで、マイクロカプセル懸濁液を浮遊させ、または遠心分離を行なって前記のような欠陥粒子を沈降させ、更に前記と同様に処理することができる。
本発明の好ましい態様では、熱固定段階の生成物を、前記と同様に粉砕によって脱凝集する。
本発明のマイクロカプセルは、更に詳細には、注射後の寿命が限定されるようにデザインされる場合には、乾燥状態で市販することができるが、既製製剤、すなわち注射の準備の出来た水性液状担体にマイクロカプセルを懸濁したものを販売することも望ましいことがある。
しかしながら、生成物は一般的には乾燥粉末として供給され、保存され、投与の直前に好適な無菌の発熱性物質不含液体に懸濁される。この懸濁液は、通常は肘静脈または他の血管のような好適な静脈に約1.0〜10.0mlを注射することによって投与される。約1.0×10〜1.0×1012粒子/mlのマイクロカプセル濃度が好適であり、約5.0×10〜5.0×10が好ましい。
超音波画像形成は、各種の動物および人体の器官系に適用することができるが、その主要な用途の一つは心筋組織および潅流または血流パターンの画像を得ることにある。
これらの技術は、スキャナーと画像形成装置とからなる超音波走査装置を用いている。この装置は、所定面積、この場合には人体の心臓領域の可視画像を生成する。典型的には、トランスデューサーを画像形成を行なう部分の皮膚に直接置く。スキャナーには、超音波トランスデューサーなどの各種の電子構成要素が収容されている。トランスデューサーは、超音波を生成し、これが心臓領域のセクタースキャンを行なう。超音波は心臓領域の各種の部分で反射されて、受容トランスデューサーによって受けとられ、当該技術分野で知られているパルス−エコー法に従って加工処理される。加工処理の後、信号は画像形成装置(これもまた当該技術分野で周知である)に送られて、検査される。
本発明の方法では、患者を「準備させ(prepped)」、スキャナーを所定部位に置いた後、マイクロカプセル懸濁液を例えば腕静脈などから注射する。コントラスト剤は静脈中を心臓の右静脈側へと流れ、主肺動脈を通って肺に至り、毛細管を通って肺を横断して、肺静脈に入り、最後に心臓の左心房および左心室腔へと至る。
本発明のマイクロカプセルを用いると、血液が肺を通過するのに要する時間、血流パターン、左心房の大きさ、(左心房と左心室とを分けている)僧帽弁の能力(competence)、左心室腔の室の大きさ、および壁運動の異常の量に関して観察および診断を行なうことができる。左心室からコントラスト剤を噴出する際に、大動脈弁の能力並びに左心室から放出される噴出画分または容積比を分析することもできる。最後に、組織におけるコントラストパターンにより、若しあるとすれば、どの領域が適正に潅流していないかが示される。
要約すれば、このような画像のパターンにより、心臓内部の異常な血流特性、弁能力、室の大きさ、および壁運動の診断が容易になり、心筋潅流の有力な指標が提供される。
マイクロカプセルは、静脈注射により左心臓の画像形成を行なうことができる。アルブミンマイクロカプセルは、末梢静脈に注射すると、肺静脈通過(transpulmonary passage)が可能である。これにより、左心室(LV)腔並びに心筋組織が超音波心臓検査法で不透明になる。
前記に略記したスキャナーの他に、他の超音波スキャナーもあり、その例は米国特許第4,134,554号明細書および第4,315,435号明細書に開示されている。基本的には、これらの特許明細書は、運動している器官の動的可視化を可能にするのに十分なフレーム率での超音波エネルギーによる動物またはヒトの解剖学的構造の横断面スライスの連続的二次元画像を生成するための動的横断面超音波検査法(DCE)などの各種の技術に関するものである。DCEで用いられる装置の種類は一般的にはDCEスキャナーと呼ばれており、狭いビームまたはラインの形態の短い音波パルスを伝達しおよび受け取る。反射信号の強度は時間の関数であり、名目の音速を用いて一つの位置に変換され、レーダーまたはソナーディスプレイと幾分類似した方法で陰極線管または他の好適な装置上に表される。DCEを用いて肝臓、胆嚢、膵臓および腎臓などの多くの器官系の画像を生成させることができるが、これは心臓の組織および主要血管の可視化に用いられることが多い。
マイクロカプセルは、末梢静脈部位に注射したときでも、広汎な領域を画像形成するのに用いることができる。これらの部位としては(制限なしに)、(1)心臓への静脈ドレナージ系、(2)運動踏み車試験などの際の心筋組織および潅流特性、および(3)組織への血流を増加させるようにデザインした薬剤を経口摂取または静脈内注射した後の心筋組織が挙げられる。また、これらのマイクロカプセルは、(1)冠状動脈血管移植、(2)冠状動脈血管形成(狭くなった動脈のバルーン拡張)、(3)冠状動脈の凝血を溶解する目的での血栓分解剤(例えば、ストレプトキナーゼ)の使用、または(4)最近の心臓発作による潅流の欠陥または変化などの干渉による心筋組織の潅流の変化を描写するのに用いることもできる。
更に、冠状血管造影(またはデジタル・サブトラクション・血管造影(digital subtraction angiogram))の時点において、マイクロカプセルを注射することによって組織潅流特性に関するデーターを提供して、血管の解剖学的構造のみ同定される血管像影法から得られるデーターを増加させまたは補足することができる。
本発明のマイクロカプセルを使用することによって、現在は超音波技術によって画像形成されている肝臓、脾臓および腎臓などの心臓以外の器官系は、それらの現在得ることができる画像および/または先行技術による超音波画像法を用いる画像形成を以前は受け難かった潅流および流特性を示す新たな画像の画質を向上させるのに好適である。
本発明の好ましい態様を、実施例および本発明の方法の第一段階について好適な噴霧−乾燥装置の前および一側部からのカッタウェイ透視図である図1に関して記載する。
例1
噴霧−乾燥装置
適当な噴霧乾燥装置(図1)は、「モービル・マイナー(Mobile Minor)」の商品名でA/S Niro Atomizer、ソエボルグ、デンマークから発売されている。この噴霧乾燥装置は、タンパク質溶液の溜め1、および気流パターンを効果的に調節することができるシーリング・エア攪拌機(ceiling air disperser)2を含んでなる。渦流空気を、最小限でも4.0バールから最大6.0バールまでの空気圧で空気タービンによって駆動される回転噴霧装置またはノズル噴霧装置3(例えば、M-02/B Minor型)の回りに向ける。6.0バールでは、噴霧装置のホイール速度は約33,000rpmに達する。噴霧装置に対する圧縮空気のスイッチの開閉は、計器盤9に配置された弁によって行なう。噴霧装置への圧縮空気の最大消費量は、6.0バールの圧力で17Nm/時である。液体原材料および粉末と接触する総ての部分は、ステンレス鋼AISI329製であり、高い遠心力に耐えるようにしたポンプ供給管および噴霧装置ホイールを除き、ステンレス鋼AISI316で作られている。
この装置は、室の最上部へ接近するための梯子(steps)5と、室の蓋を上げるときに空気吊り上げ装置を活性化するための空気弁のスイッチ6を備えている。
乾燥室は、ステンレス鋼AISI316製であってRockwool(登録商標)で十分に絶縁された内側と、軟鋼シート材料で被覆された外側を有している。乾燥室の屋根は、内側がステンレス鋼AISI316で作られ、外側がステンレス鋼AISI304で作られている。
ステンレス鋼AISI304製の空気攪拌機は、乾燥室の空気を分布させ、最良の可能な乾燥効果を得るために用いられる。ステンレス鋼AISI316製の空気ダクト4は、排気および粉体をステンレス鋼AISI316製で粉体と空気とを分離するようにデザインされたサイクロン7の側部に輸送する。
これもまたステンレス鋼AISI316製でシリコーンゴムのガスケットを有する蝶型弁の種類の閉止弁を用いて、サイクロンの下に粉体を排出させてバネ装置によってサイクロンの下に密着して設置されている粉体収集用ガラスジャー8に入れる。
シルミン製で、三相カゴ型電動機0.25kWおよびベルトガードを有するV型ベルトを有する遠心排気ファン10によって、乾燥室およびサイクロンを通って空気および粉体を引く。ダンパー11によって、気流を調節する。
空気加熱器12では、電気(総消費量7.5kWh/時、無限に変化可能)によって乾燥空気が加熱され、取り入れ空気温度を約350℃までとすることができるが、これは通常は本発明のマイクロカプセルの製造には高すぎる。
蒸発容量
Figure 0004592831
ステンレス鋼AISI316製でノズルホルダーを有する入口管とノズルからなる2液ノズル噴霧用の装置を加えて、乾燥室の天井に配置することができる。この装置は、油/水分離装置、2液ノズルに対する圧縮空気用の減速弁および圧力ゲージを含んでいる。圧縮空気の消費量:0.5〜2.0バール(0.5〜2.0×10Pa)の圧力で8〜15kg/時。
壁形成製剤を噴霧装置に輸送するのに好適な原材料ポンプは、蠕動ポンプである。このポンプは、モーター(1×220V、50Hz、0.18kW)と手動調整のための連続可変ギヤとを備えている。シリコーンホースでできている原材料管は、原材料タンク(局部供給)から供給ポンプを通って噴霧装置に続いている。
プレフィルター、ステンレス鋼製のフィルター本体および絶対空気フィルターからなる絶対空気フィルターを用いて、入ってくる乾燥空気を処理して完全に清浄にする。
工程
無菌で発熱性物質を含まないrHAを25.0%(容量/容量)エタノールを含む(注射用に好適な)発熱性物質不含水に溶解した10.0%(重量/容量)溶液を、前記の市販の噴霧乾燥ユニットに配設した2液ノズル噴霧装置のノズルに送液した。蠕動ポンプ速度を約4.0g/分の速度に保持して、取入れ空気温度が220℃では取出し空気温度が95℃に保持されるようにした。
圧縮空気を、2.0〜10.0バール(2.0〜6.0×10Pa)で2液噴霧ノズルに供給した。この範囲では、平均粒度が2.0〜3.0μmのマイクロカプセルが得られる。
典型的には、(噴霧圧の減少による)平均粒度の増加によって粒度が10μmを上回るマイクロカプセルの量が増加した(表1を参照されたい)。
Figure 0004592831
5.0×10Paの圧力を用いて、この具体例でマイクロカプセルを生成させた。
この工程の第二段階では、マイクロカプセル5gをGallenkampファン付きオーブンを用いてガラスビーカー中で加熱した。175℃の温度で1時間は、HPLCで測定したところ、100%固定のマイクロカプセルを生成するのに十分であった。この熱固定の効果は、イン・ビトロでのエコー源性半減期を数分から30分を超過するまで増加することであった。インキュベーションの温度および長さを変化させることによって、固定度を約5%〜100%の間で変化させることが可能である。
熱固定の後にマイクロカプセルを脱凝集して、2つの方法の一方で水に分散した。方法1は、熱固定した球を同重量の微粉砕ラクトース(平均直径5μm)と最初に混合することを含んでいた。
次に、混合物を、0.5mmスクリーンと12枚歯ローターを有するFritsch遠心ミルを通過させた。粉砕した球を回収し、二回目のミルを通過させて完全な混合が起こるようにした。次いで、粉砕した粉体を1mg・ml-1のPluronic F68(登録商標)を含む水に再懸濁した。典型的には、マイクロカプセルおよびラクトース10gを、水およびPluronic F68100mlに加えた。脱凝集の方法2は、熱−固定したマイクロカプセル5gをPluronic F68100mgを含む水100mlに加えることを含んでいる。このマイクロカプセルを、Silversonホモジナイザー(2.54cmの管状ホモジナイズ用プローブと高剪断スクリーンとを有するL4R型)を用いて分散させて、60秒間ホモジナイズした。
再懸濁した球を、浮遊法を用いて無傷(ガスを含む)と破損した球とに分離した。ガスを含む球は1時間で表面まで浮遊することがみられ、必要なガスを含んでいない沈んでいる画分から傾瀉した。
分離工程は遠心分離によって促進することができる。5000×gでの30秒間の遠心分離は2つの画分を分離するのに十分である。
分離の後に、無傷のマイクロカプセルをラクトースおよびPluronic F68の存在下で凍結乾燥した。凍結乾燥の最適条件は、ラクトース50mgおよびPluronic F685mgを含む水5mlにマイクロカプセル30mgを再懸濁することを含んでいた。凍結乾燥したマイクロカプセルは、液体(例えば水、塩水)に再分散して単分散分布を生じることができる。
例2
マイクロカプセルを、下記の詳細な条件を除き例1と同様にして調製した。
無菌の発熱性物質不含血清由来のヒトアルブミンを25%(重量/重量)エタノールを含む発熱性物質不含水(注射用に好適)に溶解した100±10mg/ml溶液を、噴霧乾燥原材料として用いた。
蠕動ポンプを用いて、アルブミン原材料を4±1.5g/分の速度で供給し、220±0.5℃の取入れ口(inlet)温度で、80±10℃の取出口(outlet)温度を保持するようにした。
その他の噴霧−乾燥条件は下記の通りであった。空気流、50±2%;噴霧圧、8.0±0.5barg;乾燥気流、9±2mmHO。
生成したマイクロカプセルは、250mlステンレス鋼ビーカー中で5±1gずつ176±2℃の温度で55±5分間熱固定した。
熱固定の後、マイクロカプセルを脱凝集した。グルコースをプールしたマイクロカプセルに2:1の割合で加え、混合して、Glen Creston空気衝撃ジェットミルで粉砕した。
脱凝集したマイクロカプセルをガラスバイアル瓶に充填して、バイアル瓶を窒素で置換し、シールして、蓋をした。生成物を、最後に25〜35kGyの線量を照射することによって殺菌した。
例3: マイクロカプセル中の遊離のモノマー性アルブミンの分析
エタノール1mlの容量を20mlガラスボトル中でマイクロカプセル100mgに加え、30秒間音波処理を行なった。この懸濁液に、HOを19ml加えた。
混合物を卓上型微量遠心分離機(bench-top microfuge)(Gilson)で20秒間遠心分離し、透明な画分を分析した。分析は、Shimadzu LC6A HPLCに画分50mlを自動的に採取してリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を用いて1ml/分の流速でTSKゲル浸透カラム上でクロマトグラフィ処理を行なうことによって行なった。
HAモノマーを表すピーク高さを記録し、1〜10mg/分のモノマー性HAの標準曲線を用いてモノマーの濃度を測定するのに用いた。
遊離のモノマー性HAの%割合は、固定されたマイクロカプセル中のモノマー濃度を測定し、この数値を固定されていないマイクロカプセルのモノマー濃度の割合として表すことによって計算した。
オーブン(例1に記載したものと同じ)中で噴霧乾燥したマイクロカプセルを加熱すると、検出することができるモノマーの量が減少する。検出可能なモノマーHAのこの減少は、モノマーHAの変性および架橋により前記のHPLC法によって分析することができない不溶性ポリマーとなることによる。
HPLC法を用いてHAモニター水準を評価すると、15分間のインキュベーションの後には、HAマイクロカプセル中には遊離のモノマー性HAが存在しないことが明らかである。しかしながら、更に長時間加熱することによってHAマイクロカプセルを更に架橋することも可能である。
この長時間の加熱により、マイクロカプセルの架橋の程度が増加し、これにより強度が増加したマイクロカプセルが生成され、これに対応して耐圧性が一層大きくなる。
インキュベーションの温度および時間を慎重に制御することによって、制御された架橋範囲(従って、耐圧性(pressure resistivity))を有するマイクロカプセルを生成させることが可能である。
例4: マイクロカプセルの分類
本発明の方法の利点は、マイクロカプセルのメジアン粒度および粒度分布を制御することができることである。しかしながら、所望ならば、浮遊(flotation)などによって所望な粒度を更に選択することができる。マイクロカプセルの均質な分散においては、より大きい粒子の方が密度が小さい(空気を一層多く含んでいる)ため、小さい粒子より速く表面に上昇する。従って、分散液を放置することによって、粒度分布は如何なる溶液濃度においても経時的に変化する。
マイクロカプセルを、約165mmの液体カラムを生じるガラスボトル中で6%(重量/容量)塩化ナトリウムおよび0.1%(重量/容量)Pluronic F68(登録商標)を含む水溶液2000mlに分散させた。サンプリング試験管を上方の液体表面の50mm下に設置して、所定の時間間隔で試料を取出すことができるようにした。
放置時間および塩化ナトリウム濃度を変化させることによって、各種の粒度分布を生成させ、マイクロカプセルを下方2μmまで分類することが可能であった。
他の湿式分類法としては、流体力学的クロマトグラフィおよびフィールド・フロー分別(field flow fractionation)が挙げられる。エル−トリエーションおよび横流分離(cross flow separation)の原理を用いる「乾式」法が、Microsplit(British Rem.)、Zig-zag(Alpine)、およびTurbo(Nissuin)分級機の形態で市販されている。
例5: ヒト血清アルブミンマイクロカプセルの特性決定
本発明の方法によって製造した中空マイクロカプセルは、平均粒度が小さくかつ外殻特性が向上しているため、製造に用いた壁形成材料の量は以前の製造法で用いたものよりかなり少なくなることが見いだされた。しかしながら、これにも拘らず、マイクロカプセルのエコー源性は以前に製造したものより優れている。この新規な特性を測定し、アルブミンの1μg/ml当たりのエコー源性のデシベル(dB)として表す。エコー源性は、超音波を反射または「後方散乱(backscatter)」する材料の能力として定義することができる。後方散乱の強度は、デシベルによって画像分析によって定量される。信号の強度が強くなれば、試料は一層エコー源性が大きくなる。
分析に用いた総ての水は発熱性物質不含であり、使用の2日前に抜き取り、曝気により脱気した。
400mlポリプロピレン試験ビーカー(Fisons Scientific Equipment、英国)に水350mlを加え、使用前に総ての気泡を表面に浮遊させた。
Hewlett Packard Sonos 1000超音波装置を用いて、コントロールを下記のように設定した。TGC(総利得制御)#1、#2、#3、#4、#5、#6、#7、総て=128;圧縮=128dB;および透過(transmit)=60dB。3.5MHzトランスデューサーを用いて、8cmの深度に設定した。
トランスデューサーを1.5cmの深さまで水に入れ、磁気フォロワーを75回転/分に設定した。後方散乱強度を記録する背景を最初に作成した。画像分析装置(Seescan、ケンブリッジ、英国)を用いて、超音波スキャンを1.2秒間記録した後、記録を10個の個別の時間枠に分割した。それぞれの枠を後方散乱強度について分析し、統計学的結果を計算した。
均一な容量の懸濁したマイクロカプセルを、気泡が入らないように注意しながら加えた。加えた容量は、投与の後、超音波試験セル内のマイクロカプセル濃度が1×10/mlとなるようにした。マイクロカプセルを水中に均等に分散させた後、画像分析装置を用いて実時間超音波スキャンを「捕らえて」、後方散乱強度を測定した。
超音波装置は、ステンレス鋼製反射装置(reflector)、およびATS Laboratories Inc.、ブリッジポート、CT06608、米国から供給されるシリコーンゴムブロックを模した一連の増加するエコー反射(echoreflective)組織に関して較正した。較正曲線を引いた後、以下において測定したVideo Display Unitsの測定値を、生成した較正曲線からdBに変換して戻した。分析は3回繰り返し、平均強度測定値を算出した。
ヒト血清アルブミンマイクロカプセルのタンパク質含量は、改良Kjeldahl法を用いて測定した。この分析法では、マイクロカプセルの試料の窒素含量を測定した後、これを総タンパク質濃度によって計算し、この結果から一定数のマイクロカプセルのタンパク質、特にエコー源性分析に加えた試料のタンパク質含量を計算することができる。
マイクロカプセルを、過酸化水素によって酸化される試料に含まれる炭水化物と共にTecator Digestion System 12を用いて消化した。総てのタンパク質、従って含まれている窒素を消化中に硫酸アンモニウムに転換する。次に、これを、アルカリ性条件下で蒸気蒸留によってアンモニアに転換される。遊離したアンモニアを凝縮して、ホウ酸に吸収させ、吸収量を塩酸で滴定することによって測定する。この手順は、Kjeltec Auto 1030分析装置を用いて自動的に行なった。適当な標準品を用いて、試料に含まれるタンパク質の量を計算することができる。
総タンパク質分析から、エコー源性試験セルに加えたタンパク質の量を測定した。投与したマイクロカプセルの数は添加したタンパク質の重量、従って測定したマイクロカプセルμg/ml当たりのエコー源性として計算した。
Figure 0004592831
Figure 0004592831
例6: 無傷のガス含有粒子の数を最大にするための噴霧乾燥条件の最適化
本発明者らは、上記にエコーコントラスト画像形成に使用する滑らかで、球状かつ中空の微粒子の製造を記載している。6μmを上回る粒子の数をできるだけ少なくし、ガス含有中空粒子の数をできるだけ多くすることが望ましい。一連の実験を、例1に記載した条件下で行ない、無傷の球状粒子の収率に対する液体供給速度の影響を検討した。本発明者らは、液体供給速度を増加すると、初期の噴霧乾燥の際に形成される無傷のマイクロカプセルの数が減少することを見いだした(表4)。液体流速度を4から16ml/分まで増加させると、平均粒度および全般的圧力安定性、すなわち殻の厚さは変化しないが、総エコー源性は変化する。本発明者らは、(高い液体流速で)蒸発速度を遅くすると、無傷のガス含有粒子の形成が少なくなることを見いだしている。
Figure 0004592831

Claims (24)

  1. (i)材料を水性溶媒に溶解した溶液を準備し、(ii)この溶液をガス中に噴霧−乾燥して、水性溶媒が蒸発するようにすることによって、中空マイクロカプセルを形成させることを含むマイクロカプセルの製造方法であって、水溶液が、大気圧下で水より沸点が低くかつ使用される濃度で水と混和性である揮発性液体を1〜50%(容量/容量)含むことを特徴とする、方法。
  2. 揮発性液体の沸点が大気圧で20℃〜100℃の間にある、請求項1に記載の方法。
  3. 揮発性液体がエタノールまたはメタノールである、請求項1に記載の方法。
  4. 揮発性液体が水溶液の5.0〜30.0%(容量/容量)である、請求項3に記載の方法。
  5. 材料がタンパク質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. タンパク質がアルブミン、コラーゲンまたはゼラチンである、請求項5に記載の方法。
  7. タンパク質がアルブミンである、請求項6に記載の方法。
  8. 溶液中の材料濃度が1.0〜25.0%(重量/容量)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 溶液中の材料濃度が5.0〜15.0%(重量/容量)である、請求項8に記載の方法。
  10. 溶液がリン脂質を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. リン脂質が飽和または不飽和の合成リン脂質である、請求項10に記載の方法。
  12. リン脂質が、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリンおよびジリノレイルホスファチジルコリンからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  13. リン脂質がジパルミトイルホスファチジルコリンを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 溶液が糖類を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  15. 溶液がX線コントラスト剤または磁気共鳴画像形成コントラスト剤を更に含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. マイクロカプセルを使用前に更に加工処理を行ってマイクロカプセルを更に不溶化するか、または放射線を照射してマイクロカプセルを殺菌する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 加工処理が熱処理である、請求項16に記載の方法。
  18. 方法を、滅菌した静脈内注射可能な生成物を生成するように行なう、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法によって製造されるマイクロカプセル。
  20. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるマイクロカプセル。
  21. 密封したバイアル瓶中に請求項19〜20のいずれか1項に記載の殺菌した乾燥マイクロカプセルを含んでなる医薬組成物。
  22. 殺菌した静脈内注射可能な媒質中に懸濁した請求項19〜20のいずれか1項に記載の殺菌したマイクロカプセルを含んでなる医薬組成物。
  23. ヒト以外の動物の患者の部分の画像を提供する方法であって、(i)請求項19〜20のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを患者に導入し、(ii)患者に放射線を照射し、(iii)患者の前記部分におけるマイクロカプセルの反射率、透過度または共鳴に基づいて画像を形成することを特徴とする、方法。
  24. 請求項19〜20のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含んでなるヒトまたは動物患者の部分の画像を提供するための医薬組成物であって、患者に照射された放射線に対する患者の前記部分における、患者に導入されたマイクロカプセルの反射率、透過度または共鳴に基づいて画像が形成され得ることを特徴とする、医薬組成物。
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