しかしながら、特許文献1に記載のガラスブロック壁面の構造では、広い作業場所を必要とし、現場での組立て作業には不向きであり、また、現場で継続的に組立てを行う作業スペースを確保することは、他の工程にも影響を与えるため不経済である。また、組み立てたパネルユニットを建て起こして施工しなければならず、組み立てられたパネルユニットは重量物であり、人力での作業は困難で、揚重機やパネルユニットの揚重スペースが必要となる。さらに、パネルユニットを上下方向に連層する場合、支持構造部材である上枠、下枠の取り付けスペースが大きくなるので意匠上好ましくない。また、パネルユニットを左右方向へ連層する場合、締付けロッドナットのスペースによりジョイント目地幅が大きくなので、パネルユニット内部の目地デザインと異なる表情となり、意匠上好ましくない等の問題点がある。
また、特許文献2に記載のガラスブロック壁面の構造では、パネルユニット構造であるので、組立てに広い作業場所が必要であり、スペースに制約のある狭い現場での組立て作業は困難である。また、組立てに伴うパーツが多く、さらに、ガラスブロックの目地交差部分において、ボルトと座金を締め付ける作業をパネルユニットの両面側から行わなければならず、作業効率が悪い。また、組み立てた重量物であるパネルユニットを建て起こして施工しなければならず、人力での作業は困難で、揚重機や揚重スペースが必要となる。また、支持構造部材である上枠、下枠並びに上幕板、下幕板の取り付けスペースが大きくなり、上下方向へ連層する場合、意匠上好ましくない等の問題点がある。
また、特許文献3に記載のガラスブロック壁面の構造では、上記と同様にパネルユニット構造であるので、組立てに広い作業場所が必要であり、スペースに制約のある狭い現場での組立て作業は困難である。また、組み立てられたパネルユニットは重量物となり、人力作業が困難となるケースが考えられる。さらに、ガラスブロックユニットのジョイント部に不定形シーリング材を用いることになり、作業効率が悪い。また、保持枠のクッション材は、ガラスブロックの一辺毎に断片化されており、水密、気密性能に関する欠陥が生じやすい等の問題点がある。
また、特許文献4に記載のガラスブロック壁面の構造では、補強筋に緊張を付与した場合でも、その反力は外枠体から躯体へと伝播されるのみであり、ガラスブロックと目地材並びに目地材同士を密着させるには及ばない。このため水密、気密性能に関する欠陥が生じやすいという問題点がある。
また、特許文献5に記載のガラスブロック壁面の構造は、縦力骨とパネルフレーム材は補強筋組立て後に溶接固定されており、縦力骨が上下左右にスライドできる構造を有していないので、ガラスブロック積み込む作業性については考慮されておらず、現場での組立て作業は困難である。また、パネルフレーム材と縦力骨を締め付ける構造を有していないので、このため水密、気密性能に関する欠陥が生じやすいという問題点がある。
また、特許文献6に記載のガラスブロック壁面の構造は、四周枠に直接補強骨材を固定しているため、パネルフレーム材と縦力骨を締め付ける構造を有していないので、四周枠と躯体とのクリアランスが大きくなり、水密性、気密性等に関する欠陥が発生しやすい。また、壁面内へ浸入した水を枠外(屋外等)へ排水する機構が備わっていない。さらに、水平方向の補強骨材(横力骨)の締め付け時、両端から締め付けなければナットが供回りしてしまう構造であるので、組立て作業の効率が悪い等の問題点がある。
本発明の課題は、躯体の開口部に直接ガラスブロックを施工する際に、組立て等に広い作業スペースや施工時に揚重機器を必要とせず、湿式工法と乾式工法との変更が容易であり、乾式工法における現場積み上げ施工、工場にてガラスブロックをユニット化したパネルを施工するカーテンウォール工法にも対応でき、ガラスブロック壁面の支持構造部材が小さく、ガラスブロックが連層されても意匠的に違和感のないガラスブロック壁面及びその構築方法を提供することにある。
本発明に係るガラスブロック壁面構造は、整列して配置された複数個のガラスブロックと、ガラスブロック間の目地部に配置された目地材と、目地部内に配設された方立材及び/又は縦力骨及び横力骨とを備え、躯体の開口部に施工されるガラスブロック壁面構造であって、前記躯体の開口部の上面及び下面から平行に凸設配置されて内側に対向するガイド面を有する上押縁部及び下押縁部と、上押縁部間に嵌合する嵌入部及び複数個のガラスブロックの上面を支持する支持面を有する上アンカー材と、下押縁部間に嵌合する嵌入部及び複数個のガラスブロックの下面を支持する支持面を有する下アンカー材と、上下のアンカー材に係止されて補強材として機能する方立材及び/又は縦力骨と、該方立材及び/又は縦力骨に設けられた挿通部に挿通されて締付け筋として機能する横力骨とを具備するものである。
本発明で上下の押縁部としては、鋼、ステンレス鋼、アルミ材そのほかの非鉄金属等の圧延材、押出し材等を用いる。上下のアンカー材としては、鋼、ステンレス鋼、アルミ材、そのほかの非鉄金属等の圧延材、押出し材等を用いることができる。また、アンカー材に形成される嵌入部としては、アングル等の形鋼組立て材、平鋼と形鋼の組合せ材、鋼板の曲げ加工材、鋼板の曲げ加工材と形鋼の組合せ材等が考えられる。納期、コスト面でアングル等の形鋼組立て材が好ましい。縦力骨としては、鋼、ステンレス鋼、アルミ材、そのほかの非鉄金属等の圧延材、押出し材等で、平板、丸棒、角棒、丸パイプ、角パイプ等を用いる。横力骨としては、鋼、ステンレス鋼、アルミ材、そのほかの非鉄金属等の圧延材、押出し材等で、平板、丸棒、角棒、丸パイプ、角パイプ等を用いることができる。
また、本発明のガラスブロック壁面構造では、方立材及び/又は縦力骨は、上下のアンカー材に固定するための凸部、凹部、穴部の何れかが形成されており、上下のアンカー材は、ガラスブロック間の目地部の位置に該方立材及び/又は縦力骨の凸設部、凹部、穴部の何れかが固定される凹部、穴部、凸部の何れかが設けられていることを特徴とするものであり、積み上げたガラスブロックを上下方向から緊締するための増し締め機能を有するものであることが好ましい。
方立材や縦力骨に形成される凸部、凹部、穴部等の留付け材としては、アンカー材に固定するためのボルト、ナット、パイプ等を先端に溶接などで設けたものや、ネジ穴部等であれば容易かつ低コストで好ましい。また、上下のアンカー材の目地部の位置に形成される凹部、穴部、凸部としては、壁面に平行なスロット穴、ボルト等が考えられる。
また、本発明のガラスブロック壁面構造では、方立材及び/又は縦力骨は、平行に位置する2本の補強筋と、これらの補強筋を連結する繋ぎ筋とを有するものであることが好ましい。また、突発的な事態が生じた場合、例えば、一部のガラスブロックが破損した時に、直上のガラスブロックに架かる荷重を方立材や縦力骨にも分散支持させる目的で、予め横力骨が配設される直下の位置に繋ぎ筋を配置しておくことがさらに好ましい。
本発明で使用する方立材、縦力骨としては、2本の補強筋を帯状、平板の繋ぎ筋で連結したものや、棒状の繋ぎ筋で連結した梯子状などがある。通常、縦力骨は4m未満の長さを標準とする。ガラスブロック壁面の必要とする耐力によって補強筋の形状を変更する。(ガラスブロックが95mm厚の場合:径φ5.5〜φ9.6mm×幅6〜9mm×幅65mm。ガラスブロックが125mm厚の場合:径φ5.5〜φ9.6mm×幅6〜9mm×幅95mm)締付け筋として機能する横力骨を挿通する部分が必要であるため、梯子状のものが強度とコストのバランスに勝り好ましい。方立材及び縦力骨の幅は、目地ガスケットが必要とする断面形状寸法から、ガラスブロックの厚みより30mm以上を差し引いた寸法のものが好ましい。(例えば、ガラスブロックが95mm厚の場合:幅65mm、ガラスブロックが125mm厚の場合:幅95mm)梯子状の方立材及び縦力骨を構成する補強筋と補強筋の間隙は、横力骨の寸法以上が必要である。例えば、横力骨にφ6mm筋を使用するならば6mm以上となる。但し、材料精度の面から0.5mm以上を付加した6.5mm以上であれば更に良い。繋ぎ筋の配置間隔は、ガラスブロックのサイズと目地幅を足した寸法と方立材及び縦力骨としての断面性能が低下しない間隔である400mmから500mmの範囲で決定する。例えば、ガラスブロックの一辺のサイズが190mm、目地幅を10mmとするとガラスブロック1段毎の間隔は200mmとなり、繋ぎ筋のピッチは400mmとする。回り止め金具、締付け部の座金等の品種削減を考慮すると、横力骨の両端部にあたる方立材の補強筋は平板形状を有し、挿通部分の間隙は10mmから20mmが良い。また、方立材は、ガラスブロック壁面の面外風圧力を受け持つ他に、横力骨の締付けによって方立材及び縦力骨の座屈を防ぐ役割や、面内水平力に抵抗する役割を持つ。方立材は、縦力骨よりも大きなサイズの補強筋で、平板形状を有し、その横断面の縦横比が、1対1以上であることが好ましい。
また、本発明のガラスブロック壁面構造では、締付け筋として機能する横力骨は、その一端に方立材及び/又は縦力骨に設けられた挿通部に嵌合して回り止めする係止部が設けられているものが好ましく、係止部は方立材及び/又は縦力骨の挿通部を通過可能であり、回転その他の動作により挿通部に嵌合して回り止めするものであることがさらに好ましい。
本発明で使用する横力骨としては、丸棒または四角形や六角形等のスパナやレンチで固定できる断面形状を有する角棒を用いる。通常、ネジ締め作業の効率化を図る上で、横力骨の長さは1.2m以下とする。横力骨の一端は、ハット形に曲げ加工したものや平鋼を重ね合わせて溶接等で結合したもので、方立材及び/又は縦力骨に設けられた挿通部に嵌合して回り止めする係止部が設けられ、もう一端には、ネジ部が設けられる。また、横力骨の長さ一杯でネジ締め作業を行うと、力骨に捩じり応力が発生することや締付け作業自体が困難になることがあり、締付け位置近辺で回り止めが行える形状(例えば、六角棒や丸棒の一部にナットを埋め込んだもの)であればさらに好ましい。なお、横力骨の両端ともにネジ部を設け、座金、ナットによって締付けを行ってもよい。
また、本発明のガラスブロック壁面構造では、横力骨は、その上方に位置するガラスブロックの荷重を方立材及び/又は縦力骨に支持させているとは、一部のガラスブロックが破損した時、直上のガラスブロックへ架かる荷重を方立材や縦力骨に分散・支持させる横力骨が配設されることを意味している。方立材及び/又は縦力骨には、予め横力骨が配設される直下の位置に繋ぎ筋を配置しておくことが好ましい。
また、本発明のガラスブロック壁面構造では、方立材及び/又は縦力骨と上下何れかのアンカー材とが留付け材で固定されるものであり、該アンカー材の側面に、一面側または他面側から留付け材を増し締め固定するための断続部が設けられているとは、例えば方立材、縦力骨の上下端にボルトが溶接などで凸設されており、アンカー材の穴部に挿通されて留付け材としてのナットで固定されるものであり、アンカー材の屋外側または屋内側の側面に、ナットを増し締め固定するための断続部が設けられていることを意味する。また、方立材、縦力骨の上下端にネジ穴が設けられている場合には、留付け材として六角ボルト等を使用することになる。
また、本発明のガラスブロック壁面構造では、ガラスブロックは、側周面の縁部に凸条隆起を具備して有底無蓋の箱型形状を有するガラス成形体が、一対で互いの開放端縁を熔着一体化されてなるもので、凸条隆起の熔着部側に環状の目地ガスケットが付設されているものであり、目地ガスケットが、他のガラスブロックに付設された目地ガスケットと互いに嵌合する形状であることが好ましい。
本発明で使用する目地ガスケットとしては、全体がゴム等の弾性材料で多角形枠状に一体構成されており、内周面が1個のガラスブロック側周面の縁部に位置する凸条隆起、即ち額縁の内側に弾性的に密着嵌合する形状をしており、目地ガスケットの側周面に、隣接する他のガラスブロックの目地ガスケット側周面と密接するシール面を有する構成としている。この場合、多角形枠状とは、長方形枠状をも含むものとする。この構成によって、目地ガスケットとガラスブロックを一体として取り扱うことができ、目地ガスケットの位置ずれをなくし、施工の効率を向上させ、しかも、施工のバラツキを防止し、仕上がり精度を向上させることができる。目地ガスケットは、1個のガラスブロックに対して2個一対として用いられ、それぞれがガラスブロックの両凸条隆起の内側に装着される形状とするのが材料節約や排水などの面で好ましい。
また、目地ガスケットの内周面に、ガラスブロックの凸条隆起に嵌合する凹条溝を設けておくと、目地ガスケットの嵌合位置を各ガラスブロックで統一することができるので好ましい。さらに、目地ガスケットが4角形枠状であり、その側周面の4辺のうち隣接する2辺のシール面には凹条溝を、他の隣接する2辺のシール面には、隣接する他の目地ガスケットの前記凹条溝に嵌合する凸条隆起を具備させておくことができる。さらに、上記目地ガスケットが4角形枠状であり、その4辺にはシール面に対応する部位から幅方向の一方に向けて延長された延長部、延長部に目地ガスケットの内周側へ突出するシールリップを具備させることができる。また、8mm幅の目地及び深目地に対応するため断面形状を有するものであることがさらに好ましい。
本発明に係るガラスブロック壁面の構築方法は、整列して配置された複数個のガラスブロックと、ガラスブロック間の目地部に配置された目地材と、目地部内に配設された方立材及び/又は縦力骨及び横力骨とを備えるガラスブロック壁面を躯体の開口部に構築するガラスブロック壁面の構築方法であって、前記躯体の開口部の上面及び下面から平行に凸設配置させて内側に対向するガイド面を有する押縁部をそれぞれに形成する押縁部形成工程と、複数個のガラスブロックの上面を支持する上アンカー材及び複数個のガラスブロックの下面を支持する下アンカー材に複数の方立材及び/又は縦力骨を結合するフレーム形成工程と、躯体の開口部に凸設配置された平行な押縁部の間に嵌入部を嵌合させて上下のアンカー材を固定するアンカー固定工程と、ガラスブロックに目地ガスケットを付設する目地ガスケット付設工程と、フレームの縦長空間に目地ガスケット付きガラスブロックを積み込みつつ所定の段数毎に横力骨を方立材及び/又は縦力骨に設けた挿通部に挿通し相対する方立材同士、縦力骨同士または方立材と縦力骨とを締め付けてガラスブロックを固定するブロック積み工程とを有するものである。
本発明で押縁部形成工程としては、押縁部を設けた金属製の上枠、縦枠、下枠を躯体開口部の所定位置に連結材を用い、溶接によって固定するとよい。この際、連結材の取り付け間隔は、400〜600mm間隔とするのがよい。また、上枠の組み込む側の押縁を取外しておくと、方立材、縦力骨を仮固定したフレームのアンカー材を填め込むことが可能となる。フレーム形成工程としては、下アンカー材(長さは1mから1.3mが好ましい)と方立材及び/又は縦力骨の端部に設けられたボルト、ナット等の留付け材により、アンカー材の所定の位置で固定を行う。上アンカー材(長さは1mから1.3mが好ましい)と方立材及び/又は縦力骨の端部に設けられたボルト、ナット等の留付け材により、アンカー材の所定の位置で仮固定を行う。以上により、幅1.2m前後のフレームユニットが形成される。
アンカー固定工程としては、下枠から凸設する押縁部間の溝の中にライナーを配置した後、下部側のアンカー材部分を下枠内に嵌め込み、フレームを建て起こし後、下部側のアンカー材と枠の隙間に発泡シリコーンゴム製の止水材を挟み込むことで面外方向の固定を行う。上枠側は、フレームを建て起こし時にアンカー材と枠が接する位置並びに押縁とアンカー材部分が接する位置へ止水材を貼り付け、フレームが建て起こされた後に押縁をアンカー材に押さえ込みながら所定の位置で押縁をネジ止めすることにより面外方向の固定を行うとよい。
目地ガスケット付設工程としては、弾性体の目地ガスケットを、片方毎に輪ゴムを広げるようにしてガラスブロックへ嵌め込んだ後、ガラスブロックの4隅にシリコーン系接着剤を注入することにより接着を行う。目地ガスケットをガラスブロックの両面側に接着後、目地ガスケット間にスペーサーを嵌め込み、硬化養生を行う。半日から1日後、ダンボールケースへ梱包する。ガラスブロックの製品精度、目地ガスケットの接着精度の関係から、目地ガスケットの接着は、ガラスブロックとあまり強固に接着しない方がよい。また、ガラスブロックが、一対の、透光面側に額縁、即ち側周面の凸条隆起を具備して有底無蓋の箱型形状を有するガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなるものであると、1個のガラスブロックに対して、同一形状とした2個一対の目地ガスケットをガラスブロック側周面の凸条隆起の内側に弾性的に密着嵌合させて付設されているものであり、縦方向目地部においては、左右に隣接するガラスブロックの目地ガスケットのシール面同士が相互に密着当接して、縦方向の目地部を外側と内側とで内外二重にシールすることになる。
ブロック積み工程としては、目地ガスケットが付設されたガラスブロックを方立材と縦力骨の間隔または縦力骨間の間隔を拡張しながら所定の位置より少し上で嵌め込み、方立材、縦力骨をガイドにして下方へスライドさせ、左右及び上下に隣接するガラスブロックの目地ガスケット凹条溝と凸条隆起との位置関係を、ちょうど嵌り合う関係に統一して配列する。これを6列程度繰返し配置する。この時、隣り合うガラスブロックは目地ガスケットの凹条溝と凸条隆起により位置決めが行われる。また、目地ガスケット付設ガラスブロックを1段から3段(300mmから600mm)積み上げる毎に、横力骨を方立材及び/又は縦力骨に設けた挿通部に挿通する。横力骨は、一端に方立材の挿通部に嵌合して回り止めが行える係止部が設けられており、他端にはネジ部が設けられ、方立材の挿通部に座金及びナットを用いて締め付けを行うようになっている。最上段のガラスブロックを積み終えた後、横力骨のナットを更に締め付けてガラスブロックを固定する。
また、本発明のガラスブロック壁面の構築方法で、フレーム形成工程の後に、アンカー固定工程を行うとは、上下のアンカー材に方立材及び/又は複数の縦力骨を結合してフレームを形成した後、このフレームの上下のアンカーを躯体の開口部の上面及び下面に凸設した平行な押縁部間の凹部に嵌入部を嵌合させて固定することを意味している。
また、本発明のガラスブロック壁面の構築方法で、ブロック積み工程が、方立材と縦力骨の間隔または縦力骨同士の間隔を拡張しつつ行うものであるとは、ガラスブロックに目地ガスケットを付設した状態では、壁面に対し垂直にガラスブロックを嵌め込むことができないので、上アンカー材は、縦力骨が面内水平方向へ移動できるようルーズホールとしておき、方立材と縦力骨の間隔または縦力骨同士の間隔を拡張しつつ目地ガスケット付のガラスブロックを積み上げることを意味している。なお、下アンカー材に結合されている方立材と縦力骨の間隔または縦力骨同士の間隔を拡張するとガラスブロックの位置ずれを起こすので、下アンカー材と方立材、縦力骨との結合部のクリアランスには注意を要する。
また、本発明のガラスブロック壁面の構築方法で、方立材及び/又は縦力骨とアンカー材とが留付け材であるボルトやナット等で固定されており、ブロック積み工程の後に、留付け材であるボルトやナットで増し締め固定するとは、例えば、方立材及び/又は縦力骨の上下にボルトが凸設されている場合、アンカー材の穴部にボルトが挿通されてナットで仮固定され、ブロック積み工程の後に、ナットを増し締め固定することになる。また、方立材及び/又は縦力骨の上下にネジ穴が設けられている場合には、ボルトで固定することになる。
上記で説明したように、本発明のガラスブロック壁面構造は、整列して配置された複数個のガラスブロックと、ガラスブロック間の目地部に配置された目地材と、目地部内に配設された方立材及び/又は縦力骨及び横力骨とを備え、躯体の開口部に施工されるガラスブロック壁面構造であって、前記躯体の開口部の上面及び下面から平行に凸設配置されて内側に対向するガイド面を有する上押縁部及び下押縁部と、上押縁部間に嵌合する嵌入部及び複数個のガラスブロックの上面を支持する支持面を有する上アンカー材と、下押縁部間に嵌合する嵌入部及び複数個のガラスブロックの下面を支持する支持面を有する下アンカー材と、上下のアンカー材に係止される方立材及び/又は縦力骨と、該方立材及び/又は縦力骨に設けられた挿通部に挿通される横力骨とを具備するので、躯体の開口部に直接ガラスブロックを施工する際に、組立て等に広い作業スペースや施工時に揚重機器を必要とせず、湿式工法と乾式工法との変更が容易であり、乾式工法における現場積み上げ施工にも対応でき、ガラスブロック壁面の支持構造部材が小さく、ガラスブロックが連層されても意匠的に違和感がないものとなる。
また、本発明のガラスブロック壁面構造は、方立材及び/又は縦力骨は、アンカー材に固定するための凸部、凹部、穴部の何れかが形成されており、アンカー材は、ガラスブロック間の目地部の位置に該方立材及び/又は縦力骨の凸設部、凹部、穴部の何れかが固定される凹部、穴部、凸部の何れかが設けられているので、施工する際に、方立材や縦力骨をアンカー材に着脱及び修正可能に、かつ正確に位置決めが可能となる。
また、本発明のガラスブロック壁面構造は、方立材及び/又は縦力骨は、平行に位置する2本の補強筋と、これらの補強筋を連結する繋ぎ筋からなるので、方立材や縦力骨に縦長スロットが形成されて横力骨の挿通位置の自由度が高くなり、かつ軽量化が可能となる。
また、本発明のガラスブロック壁面構造は、横力骨の一端に、方立材及び/又は縦力骨に設けられた挿通部に嵌合して回り止めする係止部が設けられているので、横力骨の一端の係止部を方立材や縦力骨に勘合させた後に他端をネジ等により締付け筋として機能させることが容易に可能となる。また、係止部は方立材及び/又は縦力骨の挿通部を通過可能であり、回転その他の動作により回り止めするものであると、係止部が複数の方立材や縦力骨の挿通部を通過した後に回転その他の動作により所望の方立材または縦力骨に対して嵌合させて回り止めが可能となり、組立て作業性を著しく向上させることが可能となる。
また、本発明のガラスブロック壁面構造は、ガラスブロックは、一対の、透光面側に額縁、即ち側周面の端縁に凸条隆起を具備して有底無蓋の箱型形状を有するガラス成形体が、互いの開放端縁で熔着一体化されてなるものであり、凸条隆起の内側に環状の目地ガスケットが付設されているので、全体がゴム等の弾性材料で多角形枠状に一体構成された一種類の目地ガスケットでガラスブロック構築体を構成することができ、目地ガスケットが隣接するガラスブロック間のスペーサーとなり寸法精度が出し易く、目地ガスケットがそのまま仕上げ材となるので、化粧モルタルの施工が必要なく、壁面内にモルタルを使用しないため専門技能者が不要であり、しかも、養生やクリーニングの必要がなく、強度、仕上がり等施工にバラツキが少なく、施工の効率化が図れ、従来のモルタル目地よりも軽量となり、パネル化した場合、運搬、施工に有利であり、取り付け金具を小さいものにできる。また、目地ガスケットがゴム等の弾性材料で構成してあるため、ガラスブロック壁面の層間変位の吸収に対して有利であり、かつ、面外変形時にガラスブロック壁面の発生応力が小さく、さらに、従来のモルタル目地よりも熱貫流率が小さく、ガラスブロック壁面の断熱性能が向上する。
また、本発明のガラスブロック壁面構造は、目地ガスケットが、他のガラスブロックに付設された目地ガスケットと、互いに嵌合する形状であるので、左右及び上下に隣接するガラスブロックの位置合せ用の凹条溝と凸条隆起とをちょうど嵌り合う関係に配列することができ、これによって、左右上下に隣接するガラスブロック同士を容易に同一面に配列保持させることができ、かつ、シール性も向上させることができる。また、上記目地ガスケットが4角形枠状であり、その4辺にはシール面に対応する部位から幅方向の一方に向けて延長された延長部及び延長部に目地ガスケットの内周側へ突出するシールリップを具備させると、ガラスブロック間のシール性をさらに向上させることができる。
そして、上記の目地ガスケットを装着した複数個のガラスブロックを、目地ガスケットを介して縦横方向に当接配列し、縦横方向に隣接するガラスブロック間に補強用骨材を目地ガスケットで外部から閉塞された状態で配筋し、ガラスブロックの配列群の周囲に配設されるアンカー材を方立材、縦力骨を利用して内側に緊締し、さらに横力骨を利用して内側に緊締したガラスブロック壁面構造は、ガラスブロック壁面構造の施工性の向上が図れ、浸水防止、軽量化、気密性及び断熱性の向上も達成することができる。また、上記の目地ガスケットを装着した複数個のガラスブロックを、目地ガスケットを介して縦方向または横方向あるいは縦横方向に当接配列し、それらガラスブロックの配列群の周囲を帯材により緊締したガラスブロック壁面構造は、軽量化とともにコストの削減を図ることができ、好適である。
本発明のガラスブロック壁面の構築方法は、整列して配置された複数個のガラスブロックと、ガラスブロック間の目地部に配置された目地材と、目地部内に配設された方立材及び/又は縦力骨及び横力骨とを備えるガラスブロック壁面を躯体の開口部に構築するガラスブロック壁面の構築方法であって、前記躯体の開口部の上面及び下面から平行に凸設配置させて内側に対向するガイド面を有する押縁部をそれぞれに形成する押縁部形成工程と、複数個のガラスブロックの上面を支持する上アンカー材及び複数個のガラスブロックの下面を支持する下アンカー材に複数の方立材及び/又は縦力骨を結合するフレーム形成工程と、躯体の開口部に凸設配置された平行な押縁部の間に嵌入部を嵌合させて上下のアンカー材を固定するアンカー固定工程と、ガラスブロックに目地ガスケットを付設する目地ガスケット付設工程と、フレームの縦長空間に目地ガスケット付きガラスブロックを積み込みつつ所定の段数毎に横力骨を方立材及び/又は縦力骨に設けた挿通部に挿通し相対する方立材同士、縦力骨同士または方立材と縦力骨とを締め付けてガラスブロックを固定するブロック積み工程とを有するので、上記構造を具備するの本発明のガラスブロック壁面を効率よく容易に構築することが可能となる。また、予め工場でフレーム形成工程とブロック積み工程を行って、ガラスブロックをユニット化したパネルを形成することで、パネルを躯体に施工するカーテンウォールウォール工法にも対応できる。
また、本発明のガラスブロック壁面の構築方法は、フレーム形成工程の後に、アンカー固定工程を行うので、複数の方立材及び縦力骨をアンカー材に容易に固定することができ、また、フレーム形成工程を工場などで予め行ってフレームを形成することで、上記本発明のガラスブロック壁面の効率的な構築が可能となる。
また、本発明のガラスブロック壁面の構築方法は、ブロック積み工程が、方立材と縦力骨の間隔または縦力骨同士の間隔を拡張しつつ行うものであるので、アンカー材に対する方立材、縦力骨の位置を実質的に移動させることなく、目地ガスケットを付設したガラスブロックを壁面に対し垂直にガラスブロックを嵌め込むことが可能となり、作業効率が飛躍的に向上する。
また、本発明のガラスブロック壁面の構築方法は、方立材及び/又は縦力骨とアンカー材とが留付け材であるボルトやナット等で固定されており、ブロック積み工程の後に、留付け材であるボルトやナットを増し締め固定するものであるので、上記本発明のガラスブロック壁面をスパナやレンチ等を使用して容易にかつ強固に構築することが可能となる。
図1は本発明のガラスブロック壁面構造の一例を示す斜視説明図、図2は図1の要部の縦断面図、図3は図1の要部の水平断面図であって、図中の1は躯体を、2は躯体1の開口部1aに設置される上枠を、3は縦枠を、4は下枠を、5は上アンカー材を、6は下アンカー材を、7は2本の補強筋7a、7aを繋ぎ筋7bで連結した挿通部7cを有する梯子状の方立材を、8は2本の補強筋8a、8aを繋ぎ筋8bで連結した挿通部8cを有する梯子状の縦力骨を、9は補強筋9aの一端に方立材7の挿通部7cに嵌合して回り止めが行える係止部9bが設けられており、他端にはネジ部9cが設けられた横力骨を、10はガラスブロックを、11はガラスブロック10の凸条隆起10bの内側に付設される環状の目地ガスケットを、12はシーリング材を、13はライナーを、14は止水材を、15は上下のアンカー材5、6を方立材7及び縦力骨8で連結したフレームをそれぞれ示している。
図1〜図3に示すように、ガラスブロック壁面は、基板2aから下向きに平行に凸設配置された上押縁部2b、上押縁部材2b1を有する上方支持部としての上枠2と、左右の支持部としての縦枠3、3と、基板4aから上向きに平行に凸設配置された下押縁部4bを有する下方支持部としての下枠4が、連結材2d、3d、4dを介してセメント1cにより躯体1の開口部1aに固定されている。上枠2、縦枠3、3、基板4aが固定された躯体1の開口部1aには、上下のアンカー材5、6を方立材7及び縦力骨8で連結されたフレーム15が上押縁部2b、上押縁部材2b1間に嵌入部5bが、下押縁部4b、4b間に嵌入部6bがそれぞれ嵌合されて保持されている。フレーム15の縦長空間15aには目地ガスケット11が付設されたガラスブロック10が積み込まれて整列配置され、方立材7及び縦力骨8の凸設されたネジ部7d、8dとナット7e、8eで上下方向に締め付けられ、方立材7、7が横力骨9のネジ部9cとナット9dによって水平方向に締め付け固定されて壁面を構成している。
詳細に説明すると、上アンカー材5または下アンカー材6は、例えば、図4(A)に示すように、2本のアングル形鋼材を小片で溶接した構造であり、方立材7や縦力骨8の接合穴5cを備えた基板5aと、基板5aから垂直に立設された対向する嵌入部5b、5bと、一方の嵌入部5bには屋外側または屋内側から留付け材を増し締め固定するための断続部5dが設けられている。また、図4(B)に示すように、平鋼材と2本のアングル形鋼材との溶接構造とすることも可能であり、さらに、寸法が適合する場合には、図4(C)に示すように、チャンネル形鋼材を使用してもよい。
目地ガスケット11は、図5(A)に示すように、全体が耐候性に優れ、着色も自在なシリコーンゴム等のゴム材料、樹脂材料、その他の弾性材料で正4角形枠状に一体構成された目地本体11aからなり、その内周面11bは、ガラスブロック10の側周面10dの凸条隆起10bに嵌合する段差部11eが設けてある。さらに、図5(B)に示すように、目地本体11aの外周面11cの4辺のうち隣接する2辺のシール面11dには凹条溝11fを、他の隣接する2辺には凹条溝11fに嵌合する凸条隆起11gを具備させてある。また、図5(C)、(D)に示すように、目地本体11aの4辺には、シール面11dに対応する部位から幅方向の一方、本実施例の場合では、ガラスブロック10の厚さ方向の中央方向に向けて延長された延長部11hを形成してあり、さらに、この延長部11hには内周面11b側へ突出する複数のシールリップ11kを形成してある。
ガラスブロック10は、図6(A)に示すように、溶融ガラスを金型でプレス成形することによって得られた有底無蓋の箱型形状を有するガラス成形体10a(190mm×190mm×47.5mm、開放端縁部の肉厚5mm)の一対が、互いの開放端縁が熔着一体化されて融着部10eとなり、190mm×190mm×95mmの寸法を有するものである。一辺が所定寸法(例えば、190mmその他)の略正方形をなす透光面10cを有し、所定の厚さ(例えば、95mm)で内部が中空とされている。側周面10dの両縁部には、凸条隆起10b、10bが形成されている。この凸条隆起10b、10bは、従来のモルタル目地の場合における目地材とガラスブロック10との係止作用を高めるために形成されているものである。ガラスブロック10の側周面10dの凸条隆起10b、10bの内側には、目地ガスケット11の目地本体11aの内周面11bに設けられた段差部11eが2個一対で弾性的に密着嵌合しており、接着剤で固着されている。
目地ガスケット11が付設されたガラスブロックは、図6(B)に示すように、目地ガスケット11の目地本体11aと、隣接するガラスブロック10の目地本体11aとは互いのシール面11dで接している。さらに、目地本体11aの外周面11cの4隅は角形に形成してあり、これによって、ガラスブロック10、10を上下左右に密着接続させた際、各目地本体11a、11aの4隅の合体部分に隙間の発生を防止している。ここでは、1個のガラスブロック10に対して同一形状の目地ガスケット11を2個一対として使用している。
このような1個のガラスブロック10に対して、同一形状で2個一対の目地ガスケット11、11をガラスブロック10の側周面10dの凸条隆起10b、10bに装着させ、目地本体11aの外周面11cの4辺のうち、隣接する2辺のシール面11dには凹条溝11fを、他の隣接する2辺のシール面11dには前記凹条溝11fに嵌合する凸条隆起11gを具備させてあることによって、左右及び上下に隣接するガラスブロック10、10の目地本体11a、11aのシール面11d、11d同士が相互に密着当接して、縦方向の目地部を表裏側で内外二重にシールするようになっている。
上記の構造により、例えば、強い風雨により雨水等が外側のシール面11d、11dによる防水作用に打ち勝って浸入しても、内側のシール面11d、11dによる防水作用によって、室内に雨水等の侵入が防される。なお、外側のシール面11d、11dから浸入した雨水等は、内外二重シールの中間部の空間を流下して、図2に示す下枠4に形成した排水孔4eから外部に排水されるようになっている。
また、各目地ガスケット11、11は、内周面11bに形成してある段差部11e、11eをガラスブロック10の側周面10dの両縁部に設けてある凸条隆起10b、10bに弾性的に密着嵌合させ、必要に応じて接着してあるため、各ガラスブロック10、10間で目地本体11a、11aの嵌合位置を同一位置に統一させることができ、目地ガスケット11に凹条溝11f及び凸条隆起11gを具備させてあることによって、左右及び上下に隣接するガラスブロック10、10の凹条溝11fと凸条隆起11gとがちょうど嵌り合う関係に統一して配列することができる。これにより、誰もが各ガラスブロック10、10を一定の目地間隔で規則正しく配列することができる。
さらに嵌合状態について詳細に説明すると、ガラスブロック10の表面側の凹条溝11fと凸条隆起11gとの位置関係をすべて同一位置関係に配列し、例えば、凹条溝11fが各ガラスブロック10の下辺と右辺との正立逆L型の位置で、凸条隆起11gが各ガラスブロック10の左辺と上辺との倒立L型の位置になる配列にする。そうすることで、右下のガラスブロック10上辺の凸条隆起11gは、右上のガラスブロック10下辺の凹条溝11fに対応し、右下のガラスブロック10左辺の凸条隆起11gは左下のガラスブロック10右辺の凹条溝11fに対応し、左上のガラスブロック10下辺の凹条溝11fは左下のガラスブロック10上辺の凸条隆起11gに対応し、左上のガラスブロック10右辺の凹条溝11fは右上のガラスブロック10左辺の凸条隆起11gに対応するようになる。このような対応関係は上下左右に繰返されることが容易に理解され、上下左右に隣接するガラスブロック10、10同士を容易に同一面に配列保持させることができ、かつ、シール性も向上させることができる。このような目地ガスケット11の配置とすれば、ガラスブロック壁面の施工性及び仕上がり精度の向上が図れ、浸水防止、気密性及び断熱性の向上も達成することができる。
なお、説明の便宜上、各ガラスブロック10の表面側に嵌合された目地ガスケット11について説明したが、裏面側のものについては、同一形状のものを、表裏面を逆向きにして嵌合しており、ちょうど裏返しの関係となるのであって、同様となることを理解されたい。このような統一配列を一層容易とするために、例えば、色違いとし、或いは識別マーク等を付与してもよい。
横力骨9は、図7(A)に示すように、補強筋9aの一端には、金属板の曲げ加工により形成され、方立材7の挿通部7cに嵌合して回り止めが行える係止部9bが設けられており、他端にはネジ部9cが設けられており、ナット9dにより方立材7、7を締め付けるようになっている。また、図7(B)に示すように、積層板による係止部9b'を有する横力骨9'でもよい。
また、ガラスブロック壁面は、図2に示すように、上枠2及び下枠4の基板2a、4aから平行に凸設配置された上押縁部2b、上押縁部材2b1のガイド面2c間、下押縁部4b、4bのガイド面4c間には、方立材7及び縦力骨8で結合された図4(C)に示すような上アンカー材5及び下アンカー材6の基板5a、6aから対向して立設された嵌入部5b、6bが、それぞれ嵌入されており、上アンカー材5の嵌入部5bと上枠2のガイド面2cの隙間および下アンカー材6の嵌入部6bと下枠4のガイド面4cの隙間には、それぞれ発泡シリコーンゴム製の止水材14が挟み込まれている。また、上押縁部2b、上押縁部材2b1、下押縁部4bとガラスブロック10に固着された目地ガスケット11との間にはシリコーンゴム製のシーリング材12が充填されている。また、下枠4の基板4a上の下押縁部4b、4bの間にはライナー13が配置されており、下アンカー材6の基板6aの仮面及び基板4a上面に当接してガラスブロック壁面の重量を支えている。また、下枠4には、ガラスブロック壁面内に浸入した水を外部に排水するための排水孔4eが形成されている。
上下のアンカー材5、6と方立材7とは、図1他に示すように、方立材7の凸設されたネジ部7dを上下のアンカー材5、6の基板5a、6aに設けられた穴部5c、6cに挿通させ、留付け材であるナット7eを締め込んで仮固定する。また、図2に示すように、上アンカー材5及び下アンカー材6と縦力骨8とは、縦力骨8の凸設されたネジ部8dを上下のアンカー材5、6の基板5a、6aに設けられた穴部5c、6cに挿通させ、留付け材であるナット8eを締め込んで仮固定されている。
方立材7、7間には、図3に示すように、複数個のガラスブロック10が積み上げられており、横力骨9は、補強筋9aが縦力骨8の挿通部8cに通されて、補強筋9aの一端に設けられた係止部9bが方立材7の挿通部7cに嵌合して回り止めされ、他端に設けられたネジ部9cに留付け材であるナット9d(さらに座金を介在させるか、または座金一体型ナットを使用してもよい)が累着され、締め付け固定されている。方立材7の繋ぎ筋7bが横目地の僅かに下方に配筋されていると、横力骨9で受けたガラスブロック10の荷重を方立材7に支持させることが可能となり好ましい。また、縦枠3とガラスブロック10に固着された目地ガスケット11との間にはシリコーンゴム製のシーリング材12が充填されている。
また、ガラスブロック壁面を上下に連層する場合には、図8に示すように、躯体1の梁1dから水平に凸設された板状部1eの下面を上枠2の基板2a及び板状部1eの上面を下枠4の基板4aとして兼用する。上下に連層されるガラスブロック壁面は、上枠2、下枠4のそれぞれの上押縁部2b、2b間、下押縁部4b、4b間に、方立材7及び縦力骨8で連結した上下のアンカー材5、6を嵌合させ、ガラスブロック10を積み上げて横力骨9で締め付けたガラスブロック壁面を形成したものである。
上記のガラスブロック壁面構造は、従来に比べて、作業スペースの狭い現場でも、揚重機を使用することなく、施工性の向上が図れ、壁面の浸水防止、軽量化、気密性及び断熱性の向上も達成することができるものであった。また、上記複数個のガラスブロック10が、目地ガスケット11を介して縦方向または横方向あるいは縦横方向に当接配列されており、それらガラスブロック10の積層体の周囲を縦横に補強筋で緊締したガラスブロック壁面構造は、軽量化とともに施工コストの大幅な削減が可能となった。
次に、上記図1〜図3のガラスブロック壁面の構築方法を説明する。まず、図6に示すように、ガラスブロック10に目地ガスケット11を取り付ける工程では、ガラスブロック10の周囲に目地ガスケット11を所定の方向に向けて取り付ける。この際、目地ガスケット11が所定の方向に取り付けていないと、ガラスブロック10、10の目地ガスケット11同士の凹条溝11fと凸条隆起11gとが合わなくなるため、シール面11d、11dによる防水シールをした状態にガラスブロック10を積むことができなくなるので注意が必要である。
支持部材としての上枠2、縦枠3、下枠4の取り付けでは、金属製の上枠2、縦枠3、下枠4の基板2a、3a、4aの所定位置に、予め連結材2d、3d、4dを溶接によって固定しておく。この連結材2d等を介して図1〜図3に示すように、躯体1の開口部1aにセメント1cにより上枠2、縦枠3、下枠4を固定する。金属製の上枠2、縦枠3、下枠4はそのまま仕上げとなるので、傷などを付けないように養生しておく。
ライナー13は、下枠4の下押縁部4b、4b間の基板4a上に配置して取り付ける。両端部のガラスブロック10及びその位置する所から一列おきに配置する。ライナー13はガラスブロック壁面の上下方向の高さ位置を調整するもので、ガラスブロック10を積み始めると調整できなくなるため、事前に注意して高さの調整を行う。
フレーム15の組立ては、方立材7、縦力骨8の凸設されたネジ部7d、8dを上下のアンカー材5、6の穴部5c、6cに挿通させ、ナット7e、8eを軽く締めて仮固定する。次に、下アンカー材6の基板6aから凸設された嵌入部6bを下枠4の平行に凸設配置された下押縁部4b、4bのガイド面4c間に嵌め込む。この際、下アンカー材6と下枠4の隙間には発泡シリコーンゴム製の止水材14を挟み込んで面外方向の位置調整を行う。次いで、一方の上押縁部材2b1が取外された上枠2に上アンカー材5を建て込む。この時点では、縦力骨8と上アンカー材5を仮固定しているナット8cは緩めておく。次いで上押縁部材2b1を所定の位置へセットし、ネジ2eによって仮止めを行い、フレーム15の上アンカー材5が上枠2から外れないようにする。
フレーム15への目地ガスケット11付ガラスブロック10の取り付けは、フレーム15の補強材である方立材7と縦力骨8の間及び縦力骨8、8の間に形成された縦長空間15aに目地ガスケット11付ガラスブロック10を積み上げて配置していく作業になる。この時、隣り合うガラスブロック10、10は互いの目地ガスケット11の凹条溝11fと凸条隆起11gとが嵌合することにより、これらの位置決めが行われる。目地ガスケット11付ガラスブロック10は、そのままでは縦長空間15aに入らないので、方立材7、縦力骨8の間隔を拡張しながらガラスブロック10の目地ガスケット11を縦長空間15aに嵌めこむ。そのため、方立材7及び縦力骨8の上部は、上アンカー材5に設けられたルーズホールとなっている穴部5cにより100mm程度の間隔の拡張性を備えており、方立材7、縦力骨8にガラスブロック10の目地ガスケット11を沿わせながら下方へスライドさせると目地ガスケット11の凹条溝11fと凸条隆起11gとが嵌合することにより位置決めが行われる。
締め付け筋である横力骨9は、ガラスブロック10の2段毎(約400mm毎)に隣り合う方立材7、7同士を締め付ける位置に配置する。この際、方立材7の繋ぎ筋7bが横目地の僅かに下方に配筋されていると、横力骨9で受けたガラスブロック10の荷重を方立材7に支持させることが可能となる。ガラスブロック10の積層体の締め付け作業では、方立材7間にガラスブロック10を全て積んだ後、ガラスブロック10の積層体のたて方向を、方立材7、縦力骨8のネジ部7d、ネジ部8dをナット7e、8eで締め付ける。一方、横力骨9を他端に設けられたネジ部9cにそれぞれのナット9dによって増締めして横方向を締め付ける。この締め付け作業では、一箇所を集中して行うのではなく、ガラスブロック10の積層体の全体がバランスよく締め付けられるように、少しずつそれぞれのナットを締め付けていく。締め付け作業は、目地幅が所定の寸法になるまで行い、目地ガスケット11、11間の隙間がなくなって、シールされていることを確認する。
基板2aに対する上押縁部材2b1の固定は、ネジ2eを増締めすることにより上枠2に上押縁部2b1を固定する。ネジ2eの留付け間隔は300〜500mmとする。
また、縦枠3と方立材7の間には、図3に示すように、隙間なくバックアップ材16を詰め込む。
シーリング材12の施工では、金属枠である上枠2、縦枠3及び下枠4とガラスブロック10の目地ガスケット11との取り合い部分に、シーリング材12を施工する。仕上がりが美しくなるように、施工前に金属枠と目地ガスケット11、ガラスブロック10にマスキングテープを貼り付け、シーリング材12を施工した後にマスキングテープを取り除く。
以上のようにして、先記効果を奏する本発明の実施例1のガラスブロック壁面は構築される。