JP7043069B2 - ガラスブロック複合壁面体の構築施工方法及びこれによるガラスブロック複合壁面構造体 - Google Patents

ガラスブロック複合壁面体の構築施工方法及びこれによるガラスブロック複合壁面構造体 Download PDF

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本発明は、ガラスブロック機能を生した建築内外装構造体、即ちガラスブロック複合壁面体の構築施工方法及びこの施工方法により構築されたガラスブロック複合壁面構造体に関する。
ガラスブロック(以下、「GB」とも称する)は、1940年に米国ピッバーグ・コーニング社により空洞ガラスとして商品化されたことから始まり、多くの人に愛用され今日に至っている(例えば、特許文献1参照)。このガラスブロック(GB)が建材として愛用されてきた理由は、他の建材機能にない特徴、即ち光を透す建築構造体である特徴を有しており、このことから光を通すコンクリートとして、壁面、屋根材、床材、衝立アクセサリーなどに愛用されてきており、その特長を具体的に示すと、次の通りである。
(1)透光機能による光を透すオンリ・ワンの建築構造体である、(2)遮音機能により居住性に優れる、(3)断熱機能により省エネ効果を有する、(4)二重ガラス板面構造により衝撃物体の貫通を防止する安全機能を有する、(5)補強鉄筋による鉄筋コンクリート並みの強靭な構造機能を有する、(6)防火機能による建築物の類焼防止機能を有する、(7)内外装化粧が不要の経済性を有する、などの特徴を備えている。
このガラスブロックの施工方法としては、一般的に、手積積層法が主流である。この手積積層方法は、ガラスブロック(GB)とガラスブロック(GB)との間のブロック凹部にモルタル材(通称、「パサモルタル」と称されている)を詰め、このモルタル材の中に補強鉄筋を挿入して埋め込みながら積層する。この方法では、また、化粧目地としてGBの額縁部深さ10mm、幅10mmの目地部に化粧モルタルを詰めて仕上げる。即ち、ガラスブロック壁面体(「GB壁面体」とも称する)は、ガラスブロック(GB)、モルタル材及び補強鉄筋の混合体であることから、鉄筋コンクリートRC(Reinforced Concrete)に対比し、RGC(Reinforced
GlassBlock Concrete)と言われている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
ガラスブロックの他の施工方法(第2の施工方法)として、大型パネル方式による施工法があり、その基本原理は上述の手積積層法と同じであるが、工場で予め大型パネルに製作し、このパネル化したものを建築躯体にファスナーを介して取付ける施工法であり、一般的に言われているPC施工方法をガラスブロック(GB)に応用した方式(Prefabricated Concrete方式)である(例えば、非特許文献3参照)。
ガラスブロックの更に他の施工方法(第3の施工方法)として、この施工方法の基本原理は、上記PC施工方法と同じであるが、ハンドリングに便利な範囲内のサイズの小型パネルを工場で予め生産し、現場で建築躯体にビス止めしてガラスブロック壁面体(GB壁面体)を構築する方式である(非特許文献3のハウスパネル項目を参照)。
このガラスブロックの更に他の施工方法(第4の施工方法)はKits方式であり、プラスチック又は金属板状スペーサを目地部材とし、これをガラスブロック(GB)とを接着剤で接着しながら積層する方式で、化粧目地としてはシール目地材又はモルタル目地材を使用している(例えば、非特許文献4参照)。また、このKits方式には、木製の障子格子組子枠にガラスブロック(GB)を嵌め込み、木枠が構造機能と目地化粧を兼ねるようにしたものもある。
このガラスブロックの更に異なる施工方法(第5の施工方法)は、モルタル材とガラスブロックとを用いて小パネル複合体を工場で予め製作し、この小パネル複合体を現場で連結組み立て、この連結組立てに際し補強材を介して小パネル複合体を連結してガラスブロック壁面体(GB壁面体)を構築する方法である(例えば、特許文献2参照)。この施工方法では、小パネル複合体をモルタル目地材に限定しており、一般パネル方式と同様に製造コストが高く、搬送中に破損しやすく梱包費も高価で、施工寸法の自由度が限定されるため取り扱いが難しい。
尚、この特許文献2には、小パネル複合体の補強定着の技術が具体的に示されていない。例えば、せん断強度が弱い積みモルタル材の表面に引張抵抗材を樹脂接着すれば、表面剥離を起こし、定着強度に耐える強度を確保するのは難しい。また、アンカー部で機械的定着する場合でも、如何ほどのアンカーせん断面積があれば、引張抵抗に耐え得るかの示唆もなされていない。加えて、引張抵抗材は如何ほどの引っ張り強度があれば安全性を保つことが可能かの指示もなされていない。即ち、総括的に定着方法が技術的に幼稚で、補強材と目地材(モルタル目地材)との力学的関係の論理的性がなく、抽象的表現で終わっている。無理に理論性がないにしても、経験的、または実験的見地からの具体性があればよいが、それも明記されていない。即ち、第三者がその内容を具体的に理解出来ない。この文献2に開示された施工方法は、単なる素人の思い付き程度のものであると同時に、施工作業性も大変複雑で実用的価値がない。
米国特許第2,261,011号明細書 特開2010-216227号公報
日本建築学会大会学術講演便覧集(北海道)昭和61年8月 Journal of the Societyof Glass Technology 1952 Vol.XXXVI NEWS AND REVIEWS p1-10 "Translucent Concrete(Society of Glass Technology) 日本電気硝子 カタログ&マニュアル2018年度版 SEVES GlassBlock Quicktech System 2018年度版
一般論として、需要者、販売者及び社会に受け入れられないと商品価値はない。即ち、時代の流れに即した社会環境の適合性、必要な時に抵抗感がなく供給出来る便利機能、そのための施工技術による汎用化性、コスト低減、施工後の建築クレーム・レスの成熟した信頼性をもった、正しい施工方法で、素人でも施工が安易に出来ることが課題となる。
過去においては、ガラスブロック(GB)の専門販売店が施工職人を抱えていて、その流通システム内で責任施工が行たれていたが、近年インターネット(WEB)販売が主流となりつつあり、このようなWEB時代では、素人でも容易に安価にガラスブロック(GB)が購入でき、素人及びセミ・プロ職人により施工が行われがちである。そのため多くの施工欠陥が生じやすく、このことがガラスブロック離れの原因になっていることは否定できない。この対処法として、3Kからの脱却、クリ-ンな施工環境、施工能率の改善、専門職人外の素人でも施工可能な汎用性が求められる。
それに対し、従来では、ガラスブロック(GB)専門職人による手積積層法が主流であった。しかし、一人前の専門職人になるには、親方の下での修業期間は少なくとも5年が必要であり、その上、建築職人の作業環境は3Kの代表的職場である。加えて、仕事受注も不安定であり、結果的には収入も不安定になるため、若年層にとっては職種魅力が少ない。その結果、人材の質も低下し、施工品質も劣化し、このことがガラスブロック(GB)の需要の妨げの大きい一因となっている。
このようなことから、若年層の職人希望者は皆無に等しく、一方では職人の高齢化は加速的に進行している。特に、建築施工現場では高所作業制約があるため、施工作業者も極端に限定されるため、ガラスブロックは上述した高機能を有していながら近い将来、先進国からは過去の産物となる運命になりつつある。このような問題を解決するために、専門職人に頼ることのなく高品質を保ちながらの施工の汎用化するための新技術の開発が求められている。
この施工方法の汎用化の一つとして、工場生産したパネルを現場作業で建物の躯体に取付けする方法がある。この施工方法では、大面積の工事には適しているが、パネルの工場生産、パネルの保管、パネルのトラック運搬、現場での取付金具(ファスナー)を用いたパネルの組立などにより、現場施工時よりも多くの余分な工程が加わり、ガラス壁面構造体を構築するための施工を含むトータルコストが高くなる。また、小回りが利かない欠点があり、加えて品質面も手積積層法よりも劣る(非特許文献3参照)。
近年、小規模施工の汎用化が行われており、この汎用化の方法としてキット方式の施工法が採用されている。このキット方式では、ガラスブロック(GB)の目地部に相当する部分にプラスチック製又は金属性の板状スペーサが配設され、この板状スペーサとガラスブロックとが接着固定されて積層組み立てた後に、シール化粧目材で化粧を施したり、或いは化粧モルタル材で化粧目地仕上げしている。この場合の化粧モルタル目地仕上げする場合、例えば、プラスチック製スペーサの上に化粧モルタル材を塗ると、モルタルよりヤング率が小さい物質の上にモルイタルを塗ると、モルタルにヒビ割れが起こりやすいため、一般の目地幅10mmに対し、目地クラックが入らない範囲の目地幅3mm以下に制限され、従来の目地幅に比して狭くなり、一般的な施工法に比べて施工後の品質が見劣りする。また、構造面でも大きい面積の施工が難しく、日曜大工程度の価値しかない商品となり、プロ職人工事には殆ど採用されていない。
また、近年、耐震性の向上を図った建築物が要求されるようになっている。従来のガラスブロック施工法では、地震による躯体の層変位から守るために、躯体とガラスブロック壁面体(GB壁面体)との取合部に10mm前後のスポンジベルトを挿入し、建築物に加わる荷重負荷からGB壁面体のガラスブロック(GB)の破損を守る仕組みになっている。
しかし、このような構造は、建築構造から見れば建築物にGB壁面体相当面積の大きさの開口が壁面にあることになるため、耐震性が低くなり、地震に対して弱い建築物となる。
そこで、GB壁面体の取合部の境界条件をローラ方式から剛固定にし、制振性機能を備えたガラスブロック耐力壁が近年要求されている。即ち、GB壁面体が制震機能を持つ壁倍率の大きい耐力壁機能を持ったガラスブロック壁面構造体が要求されている。
本発明の目的は、施工が容易で且つ充分な強度を有するガラスブロック複合壁面体の構築施工方法を提供することである。
更に、本発明の他の目的は、充分な耐震性を備えたガラスブロック複合壁面構造体を提供することである。
本発明のガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)の構築施工方法では、このガラスブロック(GB)の周囲に目地部材(「目地母材」とも称する。)を格子状に囲み配設し、隣接する相互のGB目地同士を構造的に連結固定する。
即ち、本発明のGB複合壁面体の構築施工方法は、ガラスブロック及び前記ガラスブロックの周囲に格子状に配設された目地部材(目地母材)を有するガラスブロック複合キット体を縦方向及び/又は横方向に重ね連結することにより、大きい面積に一体化したガラスブロック複合壁面体を構成し、単体のガラスブロック複合キット体同士の連結目地部に、補強用構造部材(即ち、補強部材)を目地部に定着固定し、構造的に一体に連結することで、複合壁面体の面外力に対して、補強用構造部材(補強部材)は引張応力を担い、目地部材とガラスブロックの混合複合壁面体は圧縮応力を担うことで、鉄筋コンクリートと同じ原理で線形弾性理論に従って、ガラスブロック、目地部材(目地母材)及び補強強化部材の3者による壁面構造体の構築施工を行うことを特徴とする。
このGB複合壁面体の構築施工方法によれば、一対のガラスブロック複合キット体(GB複合キット体)の間に補強部材を目地部材に定着し、線形弾性理論により補強強化することで、実用的なガラスブロック複合壁面体を構築することができる。
また、このGB複合壁面体の構築施工方法では、目地部材として不燃性木材を用いるのが好ましく、このように構成することにより、GB複合壁面体に防火性能機能を持たせることができる。
近年、腐食劣化防止、木材の不燃化などと木材加工技術が進み、木材の特性を生かした建築構造躯体として用途拡大がなされている。この構築施工方法では、木材加工技術進歩に着眼し、従来のRGC(Reinfoced GlassBlock Concrete)に代わるRGW(Reinfoced
GlassBlock Wood)としての新施工分野を開拓し、GBの本来の優れた機能と、木材の特性機能の複合化により、従来存在していない新規な機能付加価値を持たせたものであり、このように構成することで21世紀型建築建材として、社会貢献することを目標にしたものである。また、同時に斜陽化した20世紀型GBCからの復活(Renaissance)を計るものでもある。
尚、目地部材として木製目地部材を用いることができるが、プラスチック、人工木材類、フレキボード、GRC材などの目地部材を用いることもでき、これらの目地部材をもちいても同様の効果を得ることができる。
また、本発明のガラスブロック複合壁面構造体(GB複合壁面構造体)では、ガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)を面外力に対しては線形弾性理論で補強強化し、更にガラスブロックの中央接合部のガラスブロック破損に弱い凸部に、目地部材(目地母材)が当たらないように例えばV又はUカットを施し、ガラスブロックの表面の破損に強い額縁部に面内力が負荷されるように工夫することで、躯体から壁体への面内応力負荷によるガラスブロックの破損を避けることすることができ、従来施工方式による地震に弱いクッション材ベルト取合によりローラー・ピン境界条件ではなく、壁倍率の大きい地震に強い剛固定でGB複合壁面体を躯体に取付固定することにより、従来施工法では不可能であった耐力壁機能を新た持たせることができる。
即ち、本発明のガラスブロック複合壁面構造体(GB複合壁面構造体)は、建物の躯体と、請求項1~3のいずれかの構築施工方法により前記躯体に取り付けられたガラスブロック複合壁面体とから構成され、前記ガラスブロック複合壁面体が線形弾性理論で補強強化され、前記躯体と前記ガラスブロック複合壁面体との間の躯体取合境界条件が、剛固定化することで耐力壁機能を有することを特徴とする。
このGB複合壁面構造体によれば、GB複合壁面体が線形弾性理論で補強強化され、また建物の躯体とGB複合壁面体との間の躯体取合条件が剛固定された耐力壁機能を有するので、建築物躯体に作用する面内地震荷重負荷がGB複合壁面体で支持され、建物の耐震化に大きく貢献することになる。従って、本発明のGB複合壁面構造体は、従来施工法によるガラスブロック壁面よりも、より大きい面積の施工が可能で、デザイン性機能も上がり、風による面外力による耐風圧機能、及び耐力壁による耐震機能、且つ施工の大衆汎用化、施工コストの低減が可能な画期的な発明と言える。
このGB複合壁面構造体では、躯体とGB複合壁面体との間の取合部に、弾性特性を有するゴム部材を介在することで、ゴム部材で地震振動にたいしてダンパー機能を持たせれば地震エネルギーを吸収するので制震機能も果たすことができる。
また、このGB複合壁面構造体では、目地部材(目地母材)の木材の代替として、合板、フレキシブルボード、ケイカル板、プラスチック板のいずれも、補強部材よりもヤング率が小さければ線形弾性理論の適合が可能で、作業性及びコスト的問題を除外すれば使用することが出来る。
また、このGB複合壁面構造体では、GB複合壁面体に作用する面外力を充分に支えるために、GB複合壁面体の中間部に中間支持手段を設け、この中間支持手段でGB複合壁面体に作用する面外力を支えることで、大きいGB複合壁面体の構築も可能となる。
このGB複合キット体は、GBを縦方向及び/又は横方向に連続的に連結した所望数のガラスブロック(GB)を備えたGB複合キット体として製作することもできる。
第1に、本発明のGB複合壁面体の構築施工方法によれば、専門施工技術者でなくても、正しい施工ができ、汎用性の高い構築施工方法を提供することができる。また、キット方式で、乾式施工で、クリーン環境での施工工事ができ、施工工事の3Kを撲滅することができる。
第2に、この構築施工方法に関連して、目地部材を例えば木製にすることにより、軽量
化を図ることができるとともに、そのハンドリングが容易となり、施工工事工がしやすくなる。また、ガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)のサイズ調整に鋸、鉋などの木材用道具を使用して行うことができ、これにより、GB複合壁面体のサイズ調整切断、目地幅調整などのための加工が容易となる。特に、サイズの自由度は施工作業の小回りを可能にし、作業の柔軟性をもたらし大変な作業上のメリットがある。加えて、目地部材として例えば木製目地部材を用いることにより、目地部材に釘打ち、ビス止めなどが可能となり、一般木材壁と同じく生活に便利な使用が可能となる。
第3に、本発明のガラスブロック複合壁面構造体(GB複合壁面構造体)によれば、ガラスブロック(GB)のブロック凹部の中央部(即ち、最も破損し易い溶着部)に躯体などの外圧力が負荷されないように工夫を施すことでGBを破損から守っている。即ち、従来のRGW施工法による壁のように、躯体との取合部をクッション材を挟み構造的に離縁する必要がなくなる。因みに、GB額縁部の無垢ガラスの破壊圧縮応力度は木材の20倍以上あり、仮に目地部材(例えば、木製目地部材)が破損しても、GBの破損は起らない。従って、躯体にGB複合壁面体を直接的に取り付けることも可能となり、これにより、GB複合壁面体を建物の躯体に剛固定することができ、このように剛固定することにより、耐力壁としての機能を持たせることができる。即ち、壁倍率が大きくなり、耐震壁としての制振性の向上を果たすことができ、光を透す大面積のGB複合壁面体の構築が可能となる。また、剛固定は、構造力学的に曲げモーメントが小さくなるため、このことによっても、大きい面積のGB複合壁面体の構築が可能となる。
第4に、このGB複合壁面構造体に関連して、目地部材として例えば木製目地部材を用
いることにより、従来のモルタル目地の場合に比して、熱還流係数が2割小さくなり、これにより、暖冷房の効率が高くなって省エネを図ることができる。また、寒冷地であっても結露が起り難く、衛生的に保つことができ、居住性も改善される。
第5に、目地部材として例えば不燃性木材を用いることにより、防火機能のあるRGW
壁(不燃性のGB複合壁面体)の構築が可能となる。
第6に、GB複合壁面体の中央部が空洞であるのため、この空洞部は、漏水の際に水が
流れる道として機能し、壁面からの漏水を防止することができる。仮に、目地部からGB複合壁面体に水が侵入しても、従来のGB壁面体と違って、その空洞部が水の道(みち)としての機能を果たし、GB複合壁面体の下部から水抜排水をすることにより、室内側への水漏れに対するするクレームは発生しない。
第7に、本発明のガラスブロック複合キット体(GB複合キット体)によれば、ガラス
ブロック(GB)と目地部材(例えば、木製目地部材)との複合体であるので、それらを用いて構築したGB複合壁面体の改装、解体が容易であり、また解体したガラスブロックの再利用も可能であり、レイアウト変更が頻繁に行われる工場、オフィス、店舗の間仕切りなどに好都合に適用することができる。
第8に、このようなGB複合キット体は、小型のものから重機を使用する大型のものまで適用することができ、大型のものについては、補強部材で補強することにより、線形弾性理論に基づいたGB複合キット体として適合することができる。
本発明に従うGB複合キット体の一実施形態を示す正面図。 図1におけるII-II線による断面図。 図1のGB複合キット体を用いた施工例を説明するための簡略図。 他の実施形態のGB複合キット体の一部を示す正面図。 図4のGB複合キット体を用いた施工例を説明するための簡略図。 隣接するGB複合キット体の接続構造の一例を示す部分断面図。 図6の接続構造の一部を拡大して示す部分拡大断面図。 隣接するGB複合キット体の接続構造の他の例を示す部分断面図。 図8の接続構造の一部を拡大して示す部分拡大断面図。 GB複合壁面体の接合構造の第1実施例の構造を示す部分断面図。 GB複合壁面体の接合構造の第2実施例の構造を示す部分断面図。 第1実施例の接合構造に線形弾性理論を適用して計算した断面性能結果を示す説明図。 第2実施例の接合構造に線形弾性理論を適用して計算した断面性能結果を示す説明図。 GB複合壁面体の接合構造の第3実施例の構造を示す部分断面図。 GB複合壁面体の接合構造の第4実施例の構造を示す部分断面図。 第3実施例の接合構造に線形弾性理論を適用して計算した断面性能結果を示す説明図。 第4実施例の接合構造に線形弾性理論を適用して計算した断面性能結果を示す説明図。 木製目地部材にスチールバンドを貼り付けて補強した構造に線形弾性理論を適用して計算した断面性能結果を示す説明図。 木製目地部材に線形弾性理論を適用して計算した断面性能結果を示す説明図。 コンパネ材の両面にスチールバンドを貼付した例を示す図。 図20の例(コンパネ材+スチールバンド)に線形弾性理論を適用して計算した断面性能結果を示す説明図。 木製母材と補強部材との間の滑り定着応力を説明するための説明図。 躯体負荷が木製目地部材の短期圧縮応力度だけ負荷されたときのGBの破損を検討する破損検討図。 GB複合壁面体と建物の躯体との間の取合部を示す断面図。 GBを板状部材で囲んで積層したGB複合キット体の他の例を簡略的に示す図。 図25に示す例における隣接する一対のGB複合キット体の一部を拡大して示す部分拡大断面図。 大面積のGB複合壁面体を備えたGB複合壁面構造体を示す簡略図。 図27のGB複合壁面構造体に適用された中間支持手段及びそれに関連する構成を示す部分断面図。
以下、添付図面を参照して、本発明に従うガラスブロック複合キット体(GB複合キット体)、これを用いたガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)の構築施工方法及びこのGB複合壁面体を備えたガラスブロック複合壁面構造体(GB複合壁面構造体)の各種実施形態について説明する。
図1及び図2において、図示のガラスブロック複合キット体(GB複合キット体)2は、矩形状のガラスブロック(GB)4と、このGB4の4側壁5の周囲に格子状に配設された4つの目地部材6,8,10,12を備え、これら目地部材6~12は、例えば接着剤により固定されてGB2の周囲を囲む目地枠体14を構成し、GB4は、この目地枠体14内に嵌め込まれた状態となる。
ガラスブロック(GB)4は、片側ブロック材16の側壁18と他側ブロック材20の側壁22とを溶着させて中空ブロック状に形成され、片側ブロック材16の側壁18と他側ブロック材20の側壁22とがGB4の側壁5を構成し、このようなGB4自体は市販されている。このGB4においては、片側ブロック材16の壁部24の外周縁部26は、その側壁18から外側に突出しており、また他側ブロック材20の壁部28の外周縁部30は、その側壁22から外方に突出している。また、片側ブロック材16と他側ブロック材20との溶着部32は、略半球状に外側に突出し、GB4の側壁5の全周にわたって帯状に設けられている。
このようなガラスブロック(GB)4では、溶着部32の強度が弱く、この溶着部32に大きな荷重負荷が作用しないように目地枠体14が定着固定される。この実施形態では、目地枠体14(目地部材6~12)の内面にGB4の溶着部32に対応して収容凹部34が設けられ、この収容凹部34内に溶着部32が収容され、目地枠体14(目地部材6~12)からの荷重負荷がGB4の側壁5に作用し、この溶着部32に直接的に作用しないように構成される。
目地枠体14(目地部材6~12)の収容凹部34は、例えば、その内面を所要の通りに削って形成することができ、このような構成に代えて、目地部材6~12の幅方向両側に補助部材(図示せず)を設け、これら補助部材によりそれらの間に収容凹部を設けるようにしてもよい。
このような目地部材6~12は、例えば、木製のもの(即ち、木製目地部材)から形成することができ、不燃性の木材から形成するのが好ましい。この目地部材6~12は、 木製のもの以外に、プラスチック、人工木材類、フレキボード、GRC材などから形成することができる。
このようなGB複合キット体2が、例えば、工場にて生産される。そして、生産されたGB複合キット体2が施工現場に搬送され、図3に示すように、施工現場にて横方向に連続的に並べられるとともに、上下方向に連続的に積層されることにより、大面積のガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)42が構築される。そして、このGB複合壁面体42に、後述するように線形弾性理論を応用することで、従来のものに比してより大きい構造壁体を構築することができる。このようなGB複合キット体2は、横方向にのみに連続的に並べる或いは縦方向にのみ連続的に積層するようにしてもよい。尚、隣接するGB複合キット体2の具体的接続構造については、後述する。
図1~図3においては、1つのGB4を備えたGB複合キット体2の実施形態について説明したが、このようなGB複合キット体2は、複数個(2個以上の適宜の個数)のガラスブロック(GB)4を横方向に連続的に並べるようにして構成するようにしてもよく、又は複数個(2個以上の適宜の個数)のGB4を縦方向に連続的に積層するようにして構成するようにしてもよく、或いは複数個のGB4を横方向及び縦方向に連続的に積層するようにして構成するようにしてもよい。
複数個(この形態では、9個)のガラスブロック(GB)4を横方向に連続的に並べたGB複合キット体は、例えば、図4及び図5に示すような構成となる。図4及び図5において、このGB複合キット体2Aにおいては、矩形状のキット枠体14Aを備え、このキット枠体14Aに複数のガラスブロック(GB)4が横方向に並べて嵌め込まれている。キット枠体14Aは、複数個(この形態では、9個)のGB4の外周を囲むように設けられ、横方向に細長い一対の横目地部材8A,12Aと、これら横目地部材8A,12Aの両端部を接続する一対の縦目地部材6A,10Aとから構成されている。
このように複数個のGB4を横方向に連続的に並べた場合、横方向に隣接する一対のGB4の間に縦中間目地部材52が介在され、この縦中間目地部材52を介して一対のGB4が定着固定される。縦中間目地部材52は、一対の横目地部材8A,12A間を延び、その上端部が上側の横目地部材8Aに接続され、その下端部が下側の横目地部材12Aに接続される。
このようなGB複合キット体2Aも工場で生産され、生産されたGB複合キット体2Aが施工現場に搬送され、図5に示すように、施工現場にて例えば上方向に積層されてGB複合壁面体54が構築される。
この実施形態では、上下方向に隣接する一対のGB複合キット体2Aの間に補強部材56が配設されている。補強部材56は、例えば鉄筋(例えば、ボルト筋、異形鉄筋など)から構成され、一対のGB複合キット体2A間を横方向に延び、例えば、その一端部は建物の躯体58の一端側壁部60に固定され、その他端部はこの躯体58の他端側壁部62に固定され、このように構成することにより、GB複合キット体2Aを用いて構築したガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)54は、補強部材56を介して建物の躯体58に固定され、この躯体58との間の取合条件が剛固定された状態となり、これによりGB複合壁面体54が剛固定された耐力壁機能を有し、躯体58を含むガラスブロック複合壁面構造体(GB複合壁面体)64の強度を高め、充分な耐震性を確保することができる。
この補強部材56としては、鉄筋に代えて、寸切りボルト、フラットバー、ラス網テープ、ガラス繊維テープなどを用いることができる。この補強部材56については、そのヤング率が目地部材、即ち補強部材56と平行に配設される目地部材であって、この場合横目地部材8A,12Aよりも大きくなる材料を選択することが好ましく、このように構成することにより、GB複合壁面体の接合構造に線形弾性理論を適用して補強強化を図ることができる。
上述の実施形態では、複数個のガラスブロック(GB)4を横方向に連続的に並べたGB複合キット体に適用して説明したが、複数個のGBを縦方向に連続的に積み重ねてGB複合キット体を構成するようにしてもよく、この場合、図示していないが、縦方向に細長いキット枠体に複数のGBが縦方向に積層して嵌め込まれ、縦方向に隣接する一対のGBの間に横中間目地部材が介在され、この横中間目地部材を介して一対のGBが定着固定される。この横中間目地部材は、一対の縦目地部材間を延び、その一端部が片側の縦目地部材に接続され、その他端部が他側の縦目地部材に接続される。
この場合においては、横方向に隣接する一対のGB複合キット体の間に補強部材が配設され、この補強部材は、一対のGB複合キット体間を縦方向に延び、例えば、その上端部は建物の躯体の上端側壁部に固定され、その下端部はこの躯体の下端側壁部に固定され、このように構成することにより、GB複合キット体を用いて構築したガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)は、上述したと同様に、補強部材を介して建物の躯体に固定され、この躯体との間の取合条件が剛固定された状態となり、これによりGB複合壁面体が剛固定された耐力壁機能を備えるようになる。
次に、図6及び図7を参照して、ガラスブロック複合キット体(GB複合キット体)の接合構造の一例について説明する。この接合構造では、GB複合キット体として図1及び図2に示すものを用い、補強部材として鉄筋(例えば、ボルト筋)を用いて図3に示すように施工している。尚、この接合構造の理解を容易にするために、ガラスブロック(GB)については断面で示し、主要部分については寸法(mm)を示している。また、以下の実施形態において、図1~図3の実施形態と実質上同一のものには同一の番号を付し、その説明を省略する。
この接合構造では、GB複合壁面体としては、図3に示すように、GB複合キット体2Bが横方向の連続的に並べられるとともに、縦方向(上下方向)に連続的に積層され、このように構築するときに、隣接するGB複合キット体2Bの目地枠体14が接着剤により仮固定される。
そして、この横方向に接合する際に、上下方向に隣接する一対のGB複合キット体2Bの間に、一対の横鉄筋72(横補強部材として機能する)が配設され、一対の横鉄筋72は、複数の下側GB複合キット体2Bと複数の上側GBキット体2Bとの間を横方向に延び、それらの両端部は、例えば建物の躯体(図示せず)に固定される(又は、後述する如く躯体に支持される)。この接合構造では、目地枠体14の片側(図6において左側)に一方の横鉄筋72が配設され、その他側(図6において右側)に他方の横鉄筋72が配設されているが、所要の強度が確保できる場合には、一対の横鉄筋72のいずれか一方を省略するようにしてもよい。
また、この接合構造では、縦方向に連続的に積層する際に、横方向に隣接する一対のGB複合キット体2Bの間に、一対の縦鉄筋74(縦補強部材として機能する)が配設され、一対の縦鉄筋74は、複数の片側GB複合キット体2Bと複数の他側GBキット体2Bとの間を上下方向に延び、それらの両端部は、建物の躯体(図示せず)に固定される(又は後述する如く躯体に支持される)。この接合構造では、目地枠体14の片側(図6において左側)に一方の縦鉄筋74が配設され、その他側(図6において右側)に他方の縦鉄筋74が配設されているが、所要の強度が確保できる場合には、一対の縦鉄筋74のいずれか一方を省略するようにしてもよい。
また、この接合構造では、上下方向に隣接するGB複合キット体2Bの間に横鉄筋72(横補強部材)を配設し、横方向に隣接するGB複合キット体2Bの間に縦鉄筋74(縦補強部材)を配設しているが、所要の強度が確保できる場合には、横鉄筋72及び縦鉄筋74のいずれか一方を省略するようにしてもよい。
横方向に隣接するGB複合キット体2Bの間の目地空間及び縦方向に隣接するGB複合キット体2Bの間の目地空間には、図6及び図7に示すように、例えばモルタル目地材76が充填され、このモルタル目地材76を介してGB複合キット体2Bが固定され、このモルタル目地材76によりGB複合壁面体の目地部が仕上げられている。
このように施工したGB複合壁面体では、補強部材としての鉄筋(横鉄筋72及び縦鉄筋74)で補強強化され、また建物の躯体(図示せず)とGB複合壁面体との間の躯体取合条件が、剛固定された耐力壁機能を備えた状態となり、耐震性に優れたGB複合壁面構造体を提供することができる。
次に、図8及び図9を参照して、ガラスブロック複合キット体(GB複合キット体)の接合構造の他の例について説明する。この接合構造では、GB複合キット体として図1及び図2に示すもの用いているが、補強部材としてスチールバンドを用いて図3に示すように施工している。尚、図8及び図9においても、この接合構造の理解を容易にするために、ガラスブロック(GB)については断面で示し、主要部分については寸法(mm)を示している。
この接合構造では、GB複合壁面体としては、図3に示すように、GB複合キット体2Cが横方向の連続的に並べられるとともに、縦方向(上下方向)に連続的に積層され、この横方向に接合する際に、上下方向に隣接する一対のGB複合キット体2Cの目地枠体14(上側GB複合キット体2Cの目地部材12及び下側GB複合キット体2Cの目地部材8の両端面)に一対の横スチールバンド82(横補強部材として機能する)が配設され、一対の横スチーブバンド82は、複数の上側GB複合キット体2Cの目地枠体14から複数の下側GBキット体2Cの目地枠体14までの幅でもって横方向に延びている。この横スチールバンド82は、例えば、GB複合キット体2Cの目地枠体14に構造用接着剤、例えばエポキシ接着剤を塗布して横スチールバンド82を仮貼付し、押付ローラ(図示せず)でもってこの横スチールバンド82を目地枠体14に押し付けて貼付する。
この接合構造では、目地枠体14の片側(図8において左側)に一方の横スチールバンド82が配設され、その他側(図8において右側)に他方の横スチールバンド82が配設されているが、所要の強度が確保できる場合には、一対の横スチールバンド82のいずれか一方を省略するようにしてもよい。また、大きな強度を確保する場合には、横スチールバンド82に加えて上述の横鉄筋を組み合わせて用いるようにしてもよい。
また、この接合構造では、縦方向に連続的に積層する際に、横方向に隣接する一対のGB複合キット体2Cの目地枠体14(片側GB複合キット体2Cの目地部材6及び他側GB複合キット体2Cの目地部材10の両端面)に一対の縦スチールバンド84(縦補強部材として機能する)が配設され、一対の縦スチーブバンド84は、複数の片側GB複合キット体2Cの目地枠体14から複数の他側GBキット体2Cの目地枠体14までの幅でもって縦方向(上下方向)に延びている。この縦スチールバンド84は、例えば、横スチールバンド82と同様に、GB複合キット体2Cの目地枠体14に例えばエポキシ接着剤を塗布して縦スチールバンド84を仮貼付し、押付ローラ(図示せず)でもってこの縦スチールバンド84を目地枠体14に押し付けて貼付する。
この接合構造では、目地枠体14の片側に一方の縦スチールバンド82が配設され、その他側に他方の縦スチールバンド84が配設されるが、所要の強度が確保できる場合には、一対の縦スチールバンド84のいずれか一方を省略するようにしてもよい。また、大きい強度を確保する場合には、スチールバンドを重ねて貼り付けすれば可能である。
また、この接合構造では、上下方向に隣接するGB複合キット体2Cの目地枠体14に横スチールバンド82(横補強部材)を配設し、横方向に隣接するGB複合キット体2Cの目地枠体14に縦スチールバンド84(縦補強部材)を配設しているが、所要の強度が確保できる場合には、横スチールバンド82及び縦スチールバンド84のいずれか一方を省略するようにしてもよい。
横方向に隣接するGB複合キット体2Cの間の目地空間及び縦方向に隣接するGB複合キット体2Cの間の目地空間には、図8及び図9に示すように、例えばモルタル目地材86が充填され、このモルタル目地材76を介してGB複合キット体2Cが固定される。この接合構造では、このモルタル目地材86の外側にモルタル化粧材88が塗布され、このモルタル化粧材88により目地部がきれいに化粧仕上げされる。
このように施工したGB複合壁面体では、補強部材としてのスチールバンド(横スチールバンド82及び縦スチールバンド84)で補強強化され、耐風及び耐震性に優れたGB複合壁面体を提供することができる。
尚、上述した接合構造では、GB複合壁面体の目地部をモルタル目地材で目地仕上げしているが、モルタル目地材に代えてシール目地材でもって目地仕上げするようにしてもよい。
図10及び図11は、GB複合壁面体の目地部にモルタル目地材90を充填した結合構造を示しており、図10においては、GB複合壁面体に用いる補強部材としてM5のボルト筋92を用いており、図11においては、GB複合壁面体に用いる補強部材としてスチールバンド94を用いている。図10の結合構造におけるその他の構成は、図6及び図7に示す結合構造と同様であり、図11の結合構造におけるその他の構成は、図8及び図9に示す結合構造と同様である。
まず、図10のGB複合壁面体の結合構造に線形弾性理論を適用して計算すると、次の通りとなる。尚、図10の図面中に、配筋(M5ボルト筋92)、目地幅、目地枠体の寸法を示している。この線形弾性理論を適用する場合、配筋、目地枠体、モルタル材などの物理特性が重要であり、これらの物理特性を一般的な数値を用いて計算する。
図10のGB複合壁面体の結合構造に用いる材料の特性は、次の通りである。
(a)目地部材(木製目地部材:構造合板)
Ew=0.95E5kg/cm2
fb=135kg/cm2
(b)補強部材(M5ステンレス製ボルト筋)
Es=20Ekg/cm2
ft=2100kg/cm2 A=0.142cm2
(c)モルタル材
Em=1.5E5kg/cm2
fc=105kg/cm2(F=230kg/cm2)
このGB複合壁面体においては、引張り荷重負荷に対しては補強部材(M5ボルト筋92)が担うが、圧縮荷重負荷に対してはガラスブロック(GB)の額縁部とモルタル目地材(モルタル目地部)の直並列の合成複合体が担うことになる。この合成複合体のヤング率はモルタル目地材の直並列とガラスブロックの混合則か求めることができる。
図10の第1実施例の計算例(記号:MM5WM5M)
(目地モルタル材M+M5ボルト筋M5+木製目地部材W+M5ボルト筋M5+目地モルタル材M)
〈計算条件〉
(1)入力
GBサイズ Lg=19cm
目地幅 Lj=1cm
モジュール Lb=20cm(GB:19cm+目地1cm)
M5有効面積 A=0.142cm2
筋間隔 @=20cm
有効せい高 di=6.5cm
筋短期許容値 fi=2,100kg/cm
モルタル短期許容値 fm=105kg/cm
混合体のヤング率 Ec=4.4E5kg/cm2
(2)断面性能(幅1cm当たり)
圧縮側中立軸 nc=0.61cm
引張側中立軸 ni=5.9cm
圧縮側断面係数 Zc=1.9cm2
引張側中立軸 Zi=0.05cm2
曲げ剛性 D=5.3E5kgcm
許容曲げモーメント M=94kg
また、図11の複合壁面体の結合構造に用いる材料は、補強部材としてM5ボルト筋92に代えてスチールバンド94を用いる以外は図10の複合壁面体と同様であり、このスチールバンド94の特性は、次の通りである。
(d)スチールバンド(商品名:C20499ステンレスバンド(日東梱包用))
t=0.076cm w=1.27cm
A=0.096cm2
Eb=20E5kg/cm2
ft=3,500kg/cm2
このGB複合壁面体においては、引張り荷重負荷に対しては補強部材(スチールバンド94)が担うが、圧縮荷重負荷に対してはガラスブロック(GB)の額縁部とモルタル目地材(モルタル目地部)の直並列の合成複合体が担うことになる。この合成複合体のヤング率はモルタル目地材の直並列とガラスブロックの混合則で求めることができる。
図11の第2実施例の計算例(記号:MBWBM)
(目地モルタル材M+スチールバンドB+木製目地部材W+スチールバンドB+目地モルタル材M)
この場合における計算条件(入力及び断面性能)は、上述したと同様になる。
上述の第1実施例(ボルト筋+モルタル目地材)について線形弾性理論で計算した結果の断面性能は、図12に示す通りとなり、また上述の第2実施例(スチールバンド+モルタル目地材)についての線形弾性理論で計算した結果の断面性能は、図13に示す通りとなる。
図14の第3実施例の計算例(記号:SM5WM5S)
(目地シール材S+M5ボルト筋M5+木製目地部材W+M5ボルト筋M5+目地シール材M)
図14及び図15は、GB複合壁面体の目地部にシール目地材96を充填した結合構造を示しており、図14においては、GB複合壁面体に用いる補強部材として、上述の第1実施例と同様のM5のボルト筋92を用いており、図15においては、GB複合壁面体に用いる補強部材として、上述の第2実施例と同様のスチールバンド94を用いている。異なる点は化粧目地材として、モルタルの替わりに非構造体であるシール材を使用した点である。
シール材は圧縮応力を担わないので、力学的には全く関与しない。従って複合体の要素は木材目地母材15mm幅とガラスブロックの凹間長の185mmの複合体(@=185+15=200)の混合則によるヤング率で線形弾性理論の適用になる。
図14のGB複合壁面体に関する線形弾性理論を適用して計算すると、図16の通りとなる。
図15の第4実施例の計算例(記号:SBWBS)
(目地シール材S+スチールバンドB+木製目地部材W+スチールバンドB+目地シール材S)
この場合における計算条件(入力及び断面性能)は、図14のGB複合壁面体と同様にシール目地材は線形弾性理論での力学的には関与しないので、木材母材の目地幅とガラスブロックの凹部間幅の混合体が混合則に従って線形弾性理論による圧縮力を担うことになる。
上述の第3実施例(ボルト筋+シール目地材)について線形弾性理論で計算した結果の断面性能は、図17に示す通りとなる。
ボルト筋(所謂、寸切りボルト)(又は異形鋼筋)を使用した場合、モルタル化粧材とモルタル目地材が剛に定着するので、ボルト筋(又は異形鋼筋)よりもヤング率が小さいモルタル材(目地材及び化粧材)には収縮クラック(ひび割れ)が起こらないが、これに対して、モルタル材(目地材及び化粧材)と非定着性の補強部材、例えばスチールバンドを補強部材として用いた場合(モルタル材と非定着性補強部材との組合せの場合)、スチールバンドとモルタル材との間には定着性がなく側面を挟んでいる額縁のガラスブロック(GB)と接触部のみが目地クラック防止の役を果たすことになるので、目地幅が3mm以上のときには、GB複合壁面体の化粧目地に収縮クラックが入る可能性がある。
そのために、この収縮クラックの発生を防止するために、目地化粧材内(所謂、化粧目地)に作業に支障が生じない程度にFRC用ビニロン繊維(6mm以下にカットしたもの)を数パーセント(0.5~5.0%程度)混入し、このように混入させてフレキボード補強するのが好ましい。その混入が0.5%以下であると効果がなく、その混入が5.0%以上になると作業性が悪くなる。また、その繊維長が6mm以上になると、鏝作業が困難になる。
尚、目地クラックが発生するタイミングは硬化進行中の3日以内(即ち、モルタル材が完全に硬化する前の低ヤング率のとき)に起こりやすくなるので、このように構成することにより、クラックの分散が起こり、ヘヤークラックの防止に効果がある。
図18は、木製目地部材(母材単体)にスチールバンドを貼り付けて補強したときの線形弾性理論を適用した結果を示す説明図である。また、図19は、木製目地部材(補強部材を貼り付けていない)に線形弾性理論を適用した結果を示す説明図である。
図18の計算例(記号:BW(厚さ×幅:1.5×5cm)
(スチールバンドB+木製目地部材W)
図18において、主力筋方向のみを補強しており、この形態では、木製目地部材102の両側面に補強部材としてのスチールバンド104が貼付されている。このように木製目地部材102を補強した場合、配力筋方向には筋がないために、各単位毎とパネル(GB複合壁面体)が連結されてなく、圧縮側は混合則によるGB複合壁面体の機能を果たすことがなく、木製目地部材単独断面で、ガラスブロック(W=20cm)の幅モジュールの面積を担うことになる。即ち、主力筋ガラスブロックと木材の混合体を混合則による圧縮を考慮しないで、木製目地部材単独のみの断面性能となる。尚、スチールバンドは、上述したものと同様のものである。
(f)木製目地部材
厚さ1.5cm 幅5cm
図19の計算例(記号:W(厚さ×幅:1.5×5))
(木製目地部材W)
図18の木製目地部材を単独で用いた場合である。
図18の例(SW)(スチールバンド+木製目地部材)について線形弾性理論で計算した結果の断面性能は、図18に示す通りとなり、また図19の例(木製目地部材単独)についての線形弾性理論で計算した結果の断面性能は、図19に示す通りとなり、図18及び図19の計算結果から明らかなように、スチールバンドで木製目地部材を線形弾性理論により補強強化することにより、曲モーメントに対して約3倍の強度アップを図ることができる。
このような線形弾性理論による補強強化は、例えば、一般のコンパネ材などにも拡張して適用することができる。図20においては、コンパネ材としてのベニヤ板に適用して説明する。
図20の計算例
図20において、コンパネ材としてのベニヤ板112(厚さ9mm、幅100mm)の両面に、補強部材としてスチールハンド114を例えば10cm間隔(@=10cm)毎に接着剤を用いて貼り付けて補強を行う。スチールバンド114の特性は、材質:C20499、厚さt=0.076cm、幅W=1.27cm、断面積A=0.096cm、ft=3,500kg/cmである。
線形弾性理論が成立するには、木製母材(この場合、ベニヤ板112)と補強部材(この場合、スチールバンド114)との間が定着される必要がある。木製母材と補強部材との間にスベリが発生すると上述した強化補強機能がなくなり、単なる単純構造体になり、補強部材により構造的に補強強化されなくなる。そこで、必要な有効必要定着強度を求めて、線形弾性理論が成立するか否かを判定することが重要なポイントとなる。
この確認を次の条件で行う。即ち、上述の第4実施例の計算例(SBWBS)で補強部材としてスチールバンドを使用し、面外荷重負荷ω=100kg/m、剛固定2辺支持条件での安全範囲内(M<82kg)のスパン長l=√(12×M/ω)=313≒300cm(GB15列)とする。
(g)材料特性
定着エポオキシ:商品名 旭化成株式会社製UE-50S
短期許容せん断応力度fs:120kg/cm2
最大せん断力Q:スパン長l=300cmのとき Q=0.01×300cm2=1.5kg/cm
接着幅:スチールバンドの幅
(h)スチールバンド
厚さt:0.076cm
幅w:1.27cm
断面積A:0.096cm
(i)引張側の断面係数 Zi=0.02cm
この図20の例(コンパネ材+スチールバンド)について線形弾性理論で計算した結果の断面性能は、図21に示す通りとなる。
次に、線形弾性理論による木製母材(コンパネ材)と補強部材(スチールバンド)との間の滑り定着応力を説明すると、図22に示すようになる。図22において、この例では、木製母材112の表面側に背着材116を介してスチールバンド114が貼付されるモデルで検討する。
このモデルについて定着応力度τの強度を算出すると、次の通りとなる。
dt=dM/Zi
τ・w・dx=dM/Zi
τ・w=Q/Zi
τ=Q/(Zi・w)
τ=1.5kg/cm×20cm/(0.02cm2×20cm×1.27cm)=60kg/GB
<fs=12kg/cm2・・・・・・ok
以上より、安全モーメント範囲内で線形弾性理論が成立するので、スチールバンド114による木材補強強化は可能である。
次に、補強部材としてM5ボルト筋(寸切りボルト)を使用し、化粧目地にモルタル目地材を使用した場合の第1実施例(MM5WM5M)でのスベリ定着を検討する。この場合、モルタル化粧材が、木材母材(木製目地部材)とガラスブロック(GB)との間の隙間に入り込んでモルタル目地材と一体になっているので、ボルト筋と木製目地部材との定着の確認は不要であり、モルタル目地材とボルト筋との間の定着を確認することになる。
補強部材としてボルト筋(寸切りボルト)(又は異形鉄筋を用いるようにしてもよい)を使用し、モルタル目地材とボルト筋との間のスベリは起こらない状態で検討することになり、この場合、モルタル目地材のせん断力は、その定着力で定着の成否が決まる。
この場合の剛固定境界条件での安全(M=94kg)なスパン長lは、
スパン長l=√(12M/ω)=335≒300cm(GB15列に相当)
となり、また、
外装用タイル化粧目地モルタルの応力度 F=210kg/cm2
せん断短期応力度 fs=50kg/cm2
(実験値μ=94.5、σ=14.5、fs=94.5-3×14.5=50kg/cm2)
最大せん断力は 面外力p=100kg/m2(ω=0.01kg/cm/cm)時で
最大剪断力 Q=0.01×300/2=1.5kg/cm
ボルト筋(M5)の円周L=π×D=3.14×0.5=1.57cm (但し@=20cm/GB当たり)
τ=1.5x20cm/(1.57×0.05×20)=19kg/cm2<fs=50kg/cm2・・・・・ok
以上より、安全モーメント範囲内で線形弾性理論が成立することがわかる。
建物の躯体とGB複合壁面体(ガラスブロックパネル)との取付の取合部を剛固定取付けが可能であれば、施工が簡単になるのみならず、壁倍率が高くなり耐力壁機能が増すことになる。
ガラスブロック(GB)の破損は、多くの場合、その幅方向中央部の溶着部に起こるようになる。この溶着部を保護をし、額縁部の無垢ガラス部に加重がかかるようにすれば、ガラスブロックは破損することはない。ちなみに、10mm厚の額縁部は圧縮強度は8,000kg/cmあり、この額縁部は充分な強度を有しており、従って、ガラスブロックの中央部(即ち、溶着部)に荷重負荷が加わらないようにするために、目地母材(木製目地部材)の中央部にVカット(又は凹部)を設けることが好ましい(例えば、図2、図6、図8、図10及び図11など参照)。
一般に、木材の圧縮強度は種類により異なるが、約500kg/cm程度である。また、モルタル材の圧縮強度は、約3~400kg/cmであるので、ガラスブロックが破損する前に木材又はモルタルの破損が最初に起こることになるので、ガラスブロックの倒壊は起こらなくなる。
図23は、モルタル材を介して躯体負荷が木材の短期圧縮応力度だけ負荷された場合のガラスブロックの破損検討図である。
また、無傷で壁倍率を上げるためには、破損が起こる前に荷重エネルギーを吸収すれば耐震機能に加えて制震機能を有することになり、建築物の地震に対する抵対性が大変有効になる。その具体策として、建物躯体とGB複合壁面体(ガラスブロックパネル)との間にゴム部材を挟むと実現できる。
ガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)と建物の躯体との間の取合部は、例えば、図24に示すように構成することができる。尚、図24においては、主要部分については、その寸法を示している。
図24を参照して、建物の躯体202の壁面部204とGB複合壁面体206との間の取合部208(即ち、躯体202及びGB複合壁面体206を含むガラスブロック複合壁面構造体の取合部)について説明すると、ガラスブロック複合キット体(GB複合キット体)210の目地枠体212の目地部材214との間には、ゴム部材216及び補助目地部材218が配設されている。例えば、ゴム部材216は、躯体202の壁面部204に接着剤により固定され、補助目地部材218は、このゴム部材216の表面に接着剤により固定され、GB複合キット体210の目地部材214と補助目地部材218との間に空間220が存在する。
このゴム部材216はエントロピー弾性特性を有し、引張りに対しては小さい力で大きく伸び、圧縮に対しては大きい力が必要であり、その特性を利用してパッキングやOリング、騒音防止のための鉄道レールの下敷板などに利用されている。即ち、圧縮に対する見かけヤング率は非常に大きく、復元力もあるので、左右の地震の揺れに対してのエネルギー吸収効率がよくなる。即ち、従来施工法の耐震性に弱いローラ境界でなく、高弾性ばね特性を兼ねた剛性境界による耐力壁として、躯体との取合部に挟むことにより、大きい地震エネルギーを吸収する高効率の耐力壁としての機能を発揮する。
この取合部208では、ゴム部材216の外側に一対の支持枠222が配設され、これら支持枠222は、固定ビス224を壁面部204に取り付けることにより、この壁面部224の内側に取り付けられる。この支持枠222とGB複合キット体210のガラスブロック(GB)224の額縁部226との間には目地空間が存在し、この目地空間の内側にモルタル目地材228が充填され、モルタル目地材228の充填の後にこの目地空間に鉄筋部材230が挿入装着される。尚、鉄筋部材230の内面には、例えば、複数のバックアップ材232が装着され、これらバックアップ材232が充填したモルタル目地材228に食い込むように作用する。
この取付状態では、図24から理解されるように、モルタル目地材228を介してGB複合壁面体のGB複合キット体210(ガラスブロック224及び目地枠体212)、補助目地部材218、ゴム部材216、補強部材としてのボルト筋236、支持枠222及び鉄筋部材232が一体化されて固定され、これにより、GB複合壁面体と建物の躯体202との間が剛固定される。
耐震実施例
次に、建物の壁が地震で変形し、ガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)に地震振動で圧縮荷重が作用した場合の比例範囲内の耐力計算を行うと、次の通りとなる。尚、ゴム材料216の特性条件については、次の値を用い計算する。
ヤング率E=30kg/cm2
せん断弾性率G=30/( 2(1+ν))=10kg/cm2
ポアソン比ν=0.49
体積弾性率K=30(3(1-2ν))=500kg/cm2
見かけ圧縮縦弾性率Eap=E/(1-2(ν2/(1-ν))=513kg/cm2
接触面積A=A=1×2=2cm2
厚さt=10mm
木材短期圧縮強度p=135kg/cm2
これらの条件における縦圧縮率εを算出すると、
縦圧縮率ε=1(1-exp(1-135/513))=0.23(δ=0.23cm)
となり、この結果より、ガラスブロックの破損(地震による破壊)は、木材破壊が起こった後に起こるようになり、構造上安全であることがわかる。
また、200cm高の壁に層変位による横荷重が作用したときの条件、
荷重負荷Fmax=135kg/cm2×2cm×200cm/2=27,000kg(=27ton)
その時の吸収エネルギーEe=27,000×0.23=6,200kgcm(=0.06tm)
その変位角R=0.23cm/200cm=1/870
最大圧縮応力度(木材の短期許容応力度)f=135kg/cm2
とすると、この場合のガラスブロック(GB)の破損はなく、そのときの変位角R=1/800で、約30tの層荷重となる。耐力壁としての機能を十分に果たすことがわかる。このゴム部材216をGB複合壁面体と建物の躯体202との境界に設けることは、従来ガラスブロック施工にも適合されることは申すまでもない。
この線形弾性理論の適合を拡張として、ボルト、異形鉄筋以外の丸鋼筋、フラットバー(例えば、3mm×9mm)を接続部に接着してもよい。また金属製補強部材でなくてもよく、例えば炭素繊維、ガラス繊維テープなどを用いるようにしてもよい。但し、作業性及び施工コストなどを考慮して実用的価値判断をすればよいが、論理的には可能である。また、上述の実施例では配筋ピッチは@20cmの2辺支持としているが、縦配筋、縦横配筋の4辺支持としてもよい。
GB複合キット体は、上記サイズ以外でもハンドリング可能な重量(例えば、30kg以下の適宜の重量)であれば使用可能である。例えば、GB複合キット体として、例えば12個のGBから構成した場合、縦個数×横個数として、1×12、2×6、3×4も30kgであるので、実用的に支障はなく用いることができ、施工の便利度でもって決めるようにすればよい。また、フロワー・フロワーのPC並みの大型GB複合壁面体も同じ原理で施工が可能である。
次に、図25及び図26を参照して、ガラスブロック(GB)を板状部材で囲んで積層した例について説明する。この例では、ガラスブロック(GB)302の周囲に板状部材304が設けられる。板状部材304は、木製板材から構成され、図26で示すように、GB302の額縁部306の段部308に載置されるように取り付けられ、目地部材として機能する。この板状部材302は、例えば、GB302の側壁部310との間に例えばモルタル目地材312を充填する、或いは板状部材304を接着剤で固定することによりGB302の周囲に取り付けられ、このように構成することにより、GB302の周囲を板状部材304を囲んだGB複合キット体314が構成される。
縦方向(又は横方向)に隣接するGB複合キット体314は、図26に示すように接合される。GB複合キット体314は、その板状部材304がGB302の額縁部306の10mm厚のうちの5mm部分の段部308に引っかかるように取り付けられており、この板状部材304を接着剤により相互に固着するように取り付け、この取付けの際に、板状部材304間に薄板シム(図示せず)を介在させて隣接するGB複合キット体314の目地幅を調整する。
その後、隣接するGB複合キット体314の板状部材304の側面に、接着剤により補強部材としてのスチールバンド316を貼付し、その後、スチールバンド316の表面側を目地仕上げを行う。この施工方式では、施工費を安くできるが、図26に示すように、化粧目地のための目地空間が浅いので、化粧目地材としてモルタル目地材を使用することができず、シール目地材318による化粧仕上げに限定される。但し、この場合、補強部材の有効厚が深くなるので、力学的には効率が良くなる。
この施工方法の特徴は、GB302の額縁306で建築物の荷重負荷を受けるので、強度的に非常に強く、光を透す耐震性の大変優れた耐力壁となる。
拡張した施工方法としては、1列の長辺のパネル(例えば、横10個×縦1個)を作成すれば、横方向に例えば10列(約200cm)幅のものを一つの複合キット体とすることができ、このような長辺パネルを用いて継ぎ目なく施工することができる。この細長い長方形状のGB複合キット体を縦方向に使用すれば、曲面壁の施工も可能となる。
大面積のガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)を構築した場合、熱膨張などによる自然応力が作用するために、熱膨張を逃がすための目地を設置するのが一般的であるが、自然発生する応力度よりも構造体の許容応力度が大きければGB複合壁面体の破壊は起こらない。例えば、鉄の許容応力度よりも負荷応力度が小さければ鉄の破損は起こらない。この原理を応用した例として鉄道のエンドレスレールである。木製母材(木製目地部材)のRGW(Reinforced GlassBlock Wood)では自然に発生する膨張応力度よりも圧縮許容値が大きいので、エンドレスの壁面は破損することはなく、熱膨張の逃がし目地がない目地なしの大面積のガラスブロック複合壁面体の施工が可能となる。
このRGWと言えども補強の限界があり、そのために、超大面積のGB複合壁面体では、例えば、図27及び図28に示すように施工するのが望ましい。図27及び図28において、超大面積のGB複合壁面体332によるGB複合壁面構造体334においては、このGB複合壁面体332は、例えば、上述したようにして建物の躯体333に支持され、このGB複合壁面体332の中間部を支持するために、その中間部に中間支持手段336が設けられ、この中間支持手段336による支持は、例えば図27における中間支点Pにて行われる。この場合、中間支持手段336は、建物の構造躯体338(例えば、バック構造体)からGB複合壁面体332を支えるように構成され、GB複合壁面体332に作用する面外力を支える。
この場合、例えば有限要素法などを用いて力学解析のシミュレーションをし、中間支点Pにおける反力、GB複合壁面体332の断面性能から中間支点Pの位置と間隔とを構造解析して中間支点Pの位置を求める。
中間支持手段336は、図28に示すように、例えばボルト筋340(寸切りボルト)備え、このボルト筋340の一端部(後端部)は、構造躯体338に埋め込まれ、他端部(先端部)は、例えば隣接するGB複合キット体342のガラスブロック(GB)344の周囲を囲む目地枠体346を貫通して設けられ、例えば一対の固定用ナット348を用いてGB複合キット体342(目地枠体346)に固定される。尚、ボルト筋340の長さは、構造躯体338(バック構造体)から座屈しない範囲の適宜の長さに設定され、このように中間支持手段336を支持することにより、大面積の光を透すGB複合壁面体332の施工が可能となる。
この場合、面外力に対する曲げモーメントを補強する方法として、GB複合壁面体332の中間部に面外支点を設けることで構造的にクリアすることができ、GBの破損は起り得ない。従って、熱膨張の逃げのための目地を必要としないエンドレスの超大面積のGB複合壁面体332の構築も可能となる。
以上、本発明に従うガラスブロック複合キット体、このガラスブロック複合キット体を用いたガラスブロック複合壁面体の構築施工方法、及びこの構築施工方法により構築したガラスブロック複合壁面体を用いたガラスブロック複合壁面構造体の実施形態について説明した、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
2,2A,2B,2C,210,314 ガラスブロック複合キット体(GB複合キット体)
4,224,302 ガラスブロック(GB)
6,6A,8,8A,10,10A,12,12A,52,102,214 目地部材
14,212 目地枠体
32 溶着部
42,54,206,332 ガラスブロック複合壁面体(GB複合壁面体)
56 補強部材
58,202,333 躯体
64,334 ガラスブロック複合壁面構造体(GB複合壁面構造体)
72,74 鉄筋
76,86,90,228,312 モルタル材
82,84,94,104,114,316 スチールハンド
92 ボルト筋
96,318 シール材
208 取合部
216 ゴム部材
302 板状部材
336 中間支持手段
P 中間支点

Claims (9)

  1. ガラスブロック及び前記ガラスブロックの周囲に格子状に配設された目地部材を有するガラスブロック複合キット体を備え、前記ガラスブロック複合キット体を縦方向及び/又は横方向に重ねてガラスブロック複合壁面体を構成し、前記ガラスブロック複合壁面体の隣接する一対のガラスブロック複合キット体のガラスブロックの間に介在された前記目地部材に補強部材を定着固定することで、線形弾性理論に応じて、構造的に連結強化することを特徴とするガラスブロック複合壁面体の構築施工方法。
  2. 前記ガラスブロック複合壁面体の隣接するガラスブロック複合キット体の間に配設された補強部材は異形鉄筋、寸切りボルト、フラットバー、スチールバンド、ラス網テープ、ガラス繊維テープのいずれかから構成し、且つ前記補強部材のヤング率が前記目地部材よりも大きいことを条件とした請求項1に記載のガラスブロック複合壁面体の構築施工方法。
  3. 前記目地部材に不燃性木材を使用することにより、前期ガラスブロック複合壁体に防火機能を持たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスブロック複合壁面体の構築施工方法。
  4. 建物の躯体と、請求項1~3のいずれかの構築施工方法により前記躯体に取り付けられたガラスブロック複合壁面体から構成され、前記ガラスブロック複合壁面体が線形弾性理論で補強強化され、前記躯体と前記ガラスブロック複合壁面体との間の躯体取合条件が、耐力壁機能を有することを特徴とするガラスブロック複合壁面構造体
  5. 前記躯体と前記ガラスブロック複合壁面体との間の取合部に、エントロピー弾性特性を有するゴム部材を挟むことにより、地震エネルギーの吸収機能を有する耐震及び制震機能をもった請求項4に記載のガラスブロック複合壁面構造体。
  6. 前記目地部材は、木材、合板、フレキシブルボード、ケイカル板、プラスチック板のいずれかから構成され、そのヤング率が補強部材より小さいことを条件として、線形弾性理論を適合し、構造的に複合強化された請求項4又は5に記載のガラスブロック複合壁面構造体。
  7. 前記ガラスブロック複合壁面体の中間部に中間支持手段が設けられ、前記中間支持手段は、前記ガラスブロック複合壁面体に作用する面外力を支えることを特徴とする請求項4~6のいずれかに記載のガラスブロック複合壁面構造体。
  8. ガラスブロック及び前記ガラスブロックの周囲に格子状に配設された目地部材を備え、前記目地部材が前記ガラスブロックのガラスシール凸部に接触しない目地部材から構成されていることを特徴とするガラスブロック複合キット体。
  9. 前記ガラスブロック複合キット体が縦方向及び/又は横方向に2つ以上並べて定着固定されることを特徴とする請求項8に記載のガラスブロック複合キット体。
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