JP2688475B2 - 上屋固定用アンカーボルト付き鋼製屋根パネル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、地上構造物（以下
「上屋」という）を固定するためのアンカーボルトが複
数突設されている上屋固定用アンカーボルト付き鋼製屋
根パネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】最近では、一般の住宅にも地下室を設け
ることが多く、またこの種の地下室は工期の短縮化、施
工の省力化などを図るために屋根用、壁用および床用と
してそれぞれ構成された各鋼製パネルを連結ボルトで適
宜連結して組み立てることにより構築されている。

【０００３】また、多くの場合、鋼製屋根パネルの上に
上屋が構築されるため、屋根用として構成される鋼製屋
根パネルには上屋を固定するためのアンカーボルトが複
数突設されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来、この種のアンカ
ーボルトは鋼製屋根パネルに溶接によって突設され、ま
た多くの場合、工場などで鋼製屋根パネルを製作する際
に取り付けられるので、現地への搬入などに際して、ア
ンカーボルトが邪魔になって運搬などの取り扱いに支障
を来したり、あるいはアンカーボルトをぶつける等して
変形させてしまう等の課題があった。

【０００５】このような事態に備えてアンカーボルトを
現地で溶接によって取り付けることも考えられるが、現
場溶接のために品質に問題があった。

【０００６】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、アンカーボルトを簡単に取り付けるこ
とができ、また鋼製屋根パネルの運搬などに際してアン
カーボルトが邪魔になるようなことがなく、運搬などの
取り扱いをし易くした上屋固定用アンカーボルト付き鋼
製屋根パネルを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、この発明に係る鋼製屋根パネルは、特に鋼板と形
鋼に連続する貫通孔を形成し、この貫通孔にアンカーボ
ルトの雄ねじ部を挿通し、この雄ねじ部に固定ナットを
複数螺合するとともに、この複数の固定ナットで前記貫
通孔の周縁を強く挟み付け、かつこの固定ナットを防水
コーキングで被覆することにより構成されている。

【０００８】

【実施例】以下、この発明を図示する一実施例に基いて
説明すると、図１は鋼製地下室の全体を示し、鋼製地下
室１は所定の深さに掘り下げられた地盤面下に基礎を構
築し、その上に屋根用、床用および壁用としてそれぞれ
構成された複数枚の鋼製屋根パネル２、鋼製壁パネル
３、鋼製床パネル４をそれぞれ所定の位置に設置し、か
つこれらの鋼製パネルを複数本の連結ボルトで適宜連結
することにより構築されている。

【０００９】また、必要に応じて鋼製地下室１の室内側
にＨ形鋼や溝形鋼などからなる鉄骨材で軸組を構成する
ことにより鋼製地下室１の上に木造住宅などの上屋を構
築しても充分耐え得る強度に補強されている。

【００１０】鋼製屋根パネル２、鋼製壁パネル３および
鋼製床パネル４は、いずれも溝形鋼やＬ形鋼などといっ
た複数本の形鋼５を所定の大きさの矩形枠状に枠組する
とともに、この枠組の一側に鋼板６を溶接して取り付け
ることにより矩形板状に構成されている。

【００１１】また、特に鋼製屋根パネル２の上側には、
地上に建つ上屋を固定する上屋固定用アンカーボルト７
（以下、「アンカーボルト７」という）が複数突設され
ている。また、鋼製屋根パネル２の上には設置後、コン
クリートスラブ８が所定の厚さに形成され、このコンク
リートスラブ８の上面より上側にアンカーボルト７が所
定長さに突出している。

【００１２】アンカーボルト７は鋼板６と形鋼５に連続
して形成された貫通孔10に、アンカーボルト７の先端部
に形成された雄ねじ部7aを挿通し、この雄ねじ部7aに固
定ナット11と12を螺合し、かつこの固定ナット11と12で
貫通孔10の周縁10a を上下から強く挟み付けて固定され
ている（図３(a) 参照) 。

【００１３】また、貫通孔10からの雨水などの浸入を防
止するために、固定ナット11と12はそれぞれ防水パッキ
ン13を介在して締め付けられ、さらに締め付け後に防水
コーキング材で完全に被覆されている。

【００１４】なお、アンカーボルト７を突設する他の方
法として、鋼板６と形鋼５に連続して形成されたねじ孔
９に、雄ねじ部7aを直接螺合して突設してもよく（図３
(b)参照) 、また鋼板６または形鋼５にナットまたは袋
ナット14を溶接して取り付け、このナットまたは袋ナッ
ト14に雄ねじ部7aを螺合して取りつけてもよい（図３
(c) 参照) 。この実施例によれば、鋼板６と形鋼５に貫
通孔を形成する必要がないので、貫通孔の防水処理をし
なくとも、雨水の浸入を完全に防止できる。

【００１５】さらに、ナットまたは袋ナット14の先端部
に雄ねじ部15を形成し、この雄ねじ部15を形鋼５に形成
されたねじ孔5aに螺合すれば（図３(d) 参照) 、アンカ
ーボルト７を溶接を使わずに簡単に取り付けることがで
きる。

【００１６】いずれの取付方法によっても、アンカーボ
ルト７は現地で取り付けることができるので、鋼製屋根
パネル２の運搬に際してアンカーボルト７が邪魔になっ
たり、アンカーボルト７を周辺にぶつける等して変形さ
せてしまう等の問題は一切起こらない。

【００１７】

【発明の効果】この発明は以上説明した構成からり、鋼
板と形鋼に連続する貫通孔を形成し、この貫通孔にアン
カーボルトの雄ねじ部を挿通し、この雄ねじ部に固定ナ
ットを複数螺合するとともに、この複数の固定ナットで
前記貫通孔の周縁を強く挟み付けてアンカーボルトが鋼
板の外側に突設されているので、アンカーボルトを溶接
を使わずに現地でもきわめて簡単にしかも確実に取り付
けることができる。

【００１８】また、固定ナットは締め付けられた後、防
水コーキング材で被覆されているので、防水性もきわめ
て高く、雨水の浸入を確実に防止できる。

【００１９】さらに、アンカーボルトを現地で取り付け
るようにすれば、鋼製屋根パネルの搬入などに際し、ア
ンカーボルトが邪魔になったり、アンカーボルトを周囲
にぶつける等して変形させてしまう等の問題も一切起こ
らず、鋼製屋根パネルの取り扱いも容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】鋼製地下室の一部斜視図である。

【図２】上屋固定用アンカーボルト付き鋼製屋根パネル
の一部斜視図である。

【図３】(a),(b),(c),(d) はアンカーボルトの取付態様
を示すパネルの一部断面図である。

【符号の説明】

１…鋼製地下室、２…鋼製屋根パネル、３…鋼製壁パネ
ル、４…鋼製床パネル、５…形鋼、６…鋼板、７…アン
カーボルト、８…コンクリートスラブ、９…ねじ孔 、
10…貫通孔、11,12 …固定ナット、13…防水パッキン、
14…ナットまたは袋ナット。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数本の形鋼を方形枠状に枠組し、この
   枠組の一側に鋼板を溶接して取り付け、かつ前記鋼板の
   一側に上屋を固定するアンカーボルトを複数突設してな
   る上屋固定用アンカーボルト付き鋼製屋根パネルにおい
   て、前記鋼板と前記形鋼に連続するボルト孔を形成し、
   このボルト孔に前記アンカーボルトの雄ねじ部を挿通す
   るとともに、この雄ねじ部に固定ナットを複数螺合し、
   この複数の固定ナットで前記ボルト孔の周縁を挟み付
   け、かつこの固定ナットを防水コーキングで被覆してな
   ることを特徴とする上屋固定用アンカーボルト付き鋼製
   屋根パネル。