JP4587730B2 - 圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置 - Google Patents

圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置 Download PDF

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Description

本発明は、水晶振動子等の圧電振動子を絶縁基体の内部に収容する圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置に関するものであり、特に、圧電振動子を、半導体素子等の他の電子部品とともに気密に収容する圧電振動子収納用パッケージおよびその圧電振動子収納用パッケージを用いた圧電装置に関するものである。
携帯電話や自動車電話等の通信機器、コンピュータ、ICカード等の情報機器等の電子機器において、周波数や時間の基準となる発振器として、水晶振動子等の圧電振動子を圧電振動子収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)内に気密に収納して成る圧電装置が広く使用されている。
このような圧電装置として、近年、圧電振動子としてATカット型水晶振動子と音叉型水晶振動子とを一つのパッケージ内に収納するとともに、そのパッケージに、発振回路を有する半導体素子等の制御用の電子部品を搭載し収納した構造の、複数の発振源を有する圧電装置、いわゆるデュアルクロックモジュールタイプの圧電装置が提案されている。
なお、ATカット型水晶振動子は例えばMHz帯でメインクロック用の発振源として機能し、また音叉型水晶振動子は例えばkHz帯でサブクロック用(例えば待機動作用等)として機能する。
図4(a)は、従来の圧電装置の構成を概略的に示した平面図であり、図4(b)は、その断面図である。同図において、51は基板、52は圧電振動子の発振周波数を制御するための発振回路を有する半導体素子、53は圧電振動子としてのATカット型水晶振動子、54は圧電振動子としての音叉型水晶振動子である。発振回路を有する半導体素子52は、基板51上に導電性接着剤により固定され、さらにボンディングワイヤ56等の電気的接続手段により接続用パッド57に電気的に接続され、基板51の外周部下面に配置された入出力用端子60と電気的に接続されている。
また、所定周波数で発振するATカット型水晶振動子53および音叉型水晶振動子54は、基板51の上面に形成された凹部55内の搭載部にそれぞれ接合され、基体51の上面に凹部55を取り囲むように形成された封止用メタライズ層58に蓋体62等を半田等のロウ材で接合することによりATカット型水晶振動子53および音叉型水晶振動子54が気密に封止され、圧電装置が構成されている。
このような圧電装置は、例えば、携帯電話等の電子機器を構成する外部回路基板61の所定位置に入出力用端子60を半田等を介して接続することにより実装され、メインクロック用の発振源であるATカット型水晶振動子53から電子機器の電気回路に通信周波数等の基準信号が送信される。また、電子機器の主電源を切断したときにはサブクロック用(待機動作用)の音叉型水晶振動子が作動し続け、例えば計時やタイマーを継続する等の機能をなす。
なお、59は、圧電振動子53,54や半導体素子52とともに発振回路を形成する容量素子やインダクタ素子等の電子部品である。
特開平6−232631号公報
しかしながら、このように一つのパッケージに複数の圧電振動子53,54と、半導体素子52等の他の電子部品59とを搭載し、収納した場合、それらの実装面積が大きくなるためにパッケージの外形が大きくなり、情報通信機器の小型化が困難であるという問題点があった。
また、圧電装置の凹部55に収容するATカット型水晶振動子53と音叉型水晶振動子54等の圧電振動子は、長期間の使用において安定した特定周波数の発振のために、凹部55内に真空封止されることが一般的であり、基板51上の半導体素子52の搭載部以外に圧電振動子53,54を気密封止するための封止用メタライズ層58を設けなければならず、それらの実装面積が大きくなるためパッケージの外形がさらに大きくなり、情報通信機器の小型化が困難であるという問題点があった。
特に、上記デュアルクロックモジュールタイプの圧電装置のように、基板51にATカット型水晶振動子53および音叉型水晶振動子54を同時に搭載すると、圧電装置として非常に大きなものとなる。
また、基板51に半導体素子52とATカット型水晶振動子53、および音叉型水晶振動子54等の圧電振動子、および電子部品59を同時に搭載し、収容する場合、それぞれの電気回路で発生する電磁波により圧電振動子53,54の発振周波数特性に悪影響を与えるという問題点があった。
また、圧電装置の基板51の外周部下面に配置された入出力用端子60が接続される外部回路基板61は、一般に、その材質がガラスエポキシ等からなる樹脂製であり、基板51の材質として多用されるセラミックス(アルミナセラミックス等)とは熱膨張係数が異なることから、接続後の温度サイクルにより基板51の外周部の下面に配置された入出力用端子60と、外部回路基板61の主面に形成された接続パッドとの間に熱応力が生じ、この熱応力により、入出力用端子60の接続部分において、半田クラックや断線等の不具合が発生するという問題点があった。
本発明は、かかる従来の技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、圧電振動子を半導体素子等の他の電子部品とともに収容しても小型化が可能であり、かつ圧電振動子が長期間にわたり発振周波数特性等の特性に優れるとともに、外部の電気回路等に対する電気的な接続の信頼性に優れた圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置を提供することにある。
本発明の圧電振動子収納用パッケージは、上面に複数の凹部が形成された絶縁基体と、
該絶縁基体の上面の前記複数の凹部の周囲に全周にわたって形成された枠部と、前記枠部の内側から前記絶縁基体の外表面にかけて形成された配線導体と、多孔質セラミックス,ゾルゲルガラスまたはシリカゲルからなる多孔質粉末および金属粉末を含む樹脂で形成され、前記絶縁基体の上面に前記複数の凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、前記複数の凹部のうちの1つに圧電振動子であるATカット型水晶振動子および音叉型水晶振動子が収容されるとともに他の一つに電子部品が収容され、前記蓋体の上面に半導体素子が搭載されることを特徴とするものである。
本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記圧電振動子は、細長いATカット型水晶振動子と細長い音叉型水晶振動子とから成り、これらの長手方向が互いに平行になるようにして1つの前記凹部に収容されることを特徴とするものである。
本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記圧電振動子は、細長いATカット型水晶振動子と細長い音叉型水晶振動子とから成り、これらの長手方向が互いに直交するようにして1つの前記凹部に収容されることを特徴とするものである。
本発明の圧電装置は、上記本発明の圧電振動子収納用パッケージと、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記圧電振動子と、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記蓋体の上面に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記半導体素子とを具備していることを特徴とするものである。
本発明の圧電振動子収納用パッケージによれば、上面に複数の凹部が形成された絶縁基体と、絶縁基体の上面の前記複数の凹部の周囲に全周にわたって形成された枠部と、枠部の内側から絶縁基体の外表面にかけて形成された配線導体と、多孔質セラミックス,ゾルゲルガラスまたはシリカゲルからなる多孔質粉末および金属粉末を含む樹脂で形成され、絶縁基体の上面に複数の凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、複数の凹部のうちの1つに圧電振動子であるATカット型水晶振動子および音叉型水晶振動子が収容されるとともに他の一つに電子部品が収容され、蓋体の上面に半導体素子が搭載されていることから、例えば、半導体素子を搭載するのに最小限必要な絶縁基体の平面面積で、半導体素子だけでなく圧電振動子および電子部品も上下に配置して収容することができ、圧電振動子収納用パッケージを小型化することができる。
また、絶縁基体の平面面積が小さくなるため、外部回路基板に圧電振動子収納用パッケージを接続した際に、外部回路基板と絶縁基体との間で熱応力が生じたとしても、実装領域面積が小さいので外部回路基板の寸法変化による応力を低減することができ、圧電振動子収納用パッケージと外部回路基板との接続部に半田クラックや断線等の不具合が生じるのを効果的に防止して外部回路基板に対する接続を長期にわたって良好に維持することができる。
さらに、圧電振動子や電子部品を収容する空間と半導体素子が搭載された空間とを蓋体によって効果的に電磁的に遮断することができ、半導体素子等で発生する電磁波が圧電振動子に与える悪影響を有効に防止し、圧電振動子の特性(例えば、圧電振動子の発振周波数特性)を良好に維持することができる。
また、圧電振動子と電子部品とが異なる凹部に収容され、各凹部は蓋体で塞がれているので、圧電振動子と電子部品との間も蓋体により効果的に電磁的に遮断することができ、電子部品で発生する電磁波が圧電振動子に与える悪影響を有効に防止し、圧電振動子の特性(例えば、圧電振動子の発振周波数特性)を良好に維持することができる。
また、本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、圧電振動子は、細長いATカット型水晶振動子と細長い音叉型水晶振動子とから成り、これらの長手方向が互いに平行になるようにして1つの凹部に収容されることから、狭い凹部に実装面積が小さくなるように細長いATカット型水晶振動子と細長い音叉型水晶振動子とを収容することができる。
さらに小型化により配線経路を短くとれるため、消費電力を低減することができ、電子機器の低消費電力化を効果的に行なうことができる。
また、本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、圧電振動子は、細長いATカット型水晶振動子と細長い音叉型水晶振動子とから成り、これらの長手方向が互いに直交するようにして1つの凹部に収容されることから、自由端が上下方向に振動するATカット型水晶振動子の最も振動の大きい部位と左右方向に振動する音叉型水晶振動子の最も振動の大きい部位との間の間隔を広くするとともに振動の方向をずらすことにより、共振作用によって発振周波数の変化(発振ノイズ)が生じることを有効に防止することができ、より一層発振周波数の精度に優れた圧電装置を提供することができる。
また、本発明の圧電装置によれば、上記構成の圧電振動子収納用パッケージと、凹部内に収納されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された圧電振動子と、凹部内に収納されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された電子部品と、蓋体の上面に搭載されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された半導体素子とを具備していることから、小型化が可能であり、かつ圧電振動子が長期間にわたり発振周波数特性等の特性に優れるとともに、外部の電気回路等に対する電気的な接続の信頼性に優れたものとすることができる。
次に、本発明の多数個取り配線基板を添付の図面を基に説明する。図1(a)は本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の一例を示す、蓋体および半導体素子がない状態での平面図であり、図1(b)はそのA−A’線における断面図である。
図1(a),(b)において、1は絶縁基体、2は圧電振動子としてのATカット型水晶振動子、3は圧電振動子としての音叉型水晶振動子、4は電子部品、10は枠部、6は枠部の内側から絶縁基体1の外表面にかけて形成された配線導体、7は蓋体、8は半導体素子である。
絶縁基体1、配線導体6、枠部10および蓋体7により本発明の圧電素子収納用パッケージが主に構成され、絶縁基体1の上面に形成されている複数の凹部5内に圧電振動子であるATカット型水晶振動子2、音叉型水晶振動子3、および電子部品4を収納するとともに、絶縁基体1の上面の凹部5を塞ぐように蓋体7を取着することにより、絶縁基体1の各凹部5と蓋体7とで形成される各容器の内側にATカット型水晶振動子2、音叉型水晶振動子3、および電子部品4が気密に収納され、さらに蓋体7の上面に半導体素子8を搭載することにより、本発明の圧電装置が基本的に形成される。この圧電装置は、携帯電話等の電子機器を構成する外部回路基板(図示せず)に実装されて使用される。なお、圧電振動子2,3は、凹部5の一つに収容され、他の凹部に電子部品4が収容される。
絶縁基体1は、上面に圧電振動子2,3を収容するための凹部5を有し、この凹部5と蓋体7とで圧電振動子(ATカット型水晶振動子2、音叉型水晶振動子3等)および電子部品4を気密に封止することができる。
ここで、絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)や窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラスセラミックス等のセラミックスやガラスエポキシ樹脂等の樹脂系材料等から成る電気絶縁材料から成り、例えば一辺の長さが5〜20mm程度で厚みが1〜5mm程度の直方体状である。
絶縁基体1は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、以下のようにして作製される。まず、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バンイダ、溶剤、可塑剤等を添加混合して泥漿状となし、これを従来周知のドクタブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形し、複数枚のセラミックグリーンシートを得る。しかる後、セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して四角板状のものと四角形状の打ち抜き部が中央部に複数形成されたものを形成し、四角板状のものが下層に位置するとともに四角形状の打ち抜き部を有するものが上層に位置するように上下に積層することにより上面に複数の凹部5を有する積層体を形成し、その積層体を高温(約1600℃)で焼成することにより作製される。
この場合、グリーンシートのうち各打ち抜き部の間に残っている帯状等の部分が、それぞれの凹部5の間を区切る壁になる。
なお、絶縁基体1の中央部に大きな凹部を形成しておいて、その大きな凹部の底面に壁材を取着して複数の凹部5に区切るようにしてもよい。
好ましくは、複数の凹部5同士を区切る壁の内部や表面に蓋体7に接合されるビアや側面導体が形成されているのがよい。これにより、蓋体7に搭載された半導体素子8から発生する熱を蓋体7、複数の凹部5同士を区切る壁に形成されたビア、および複数の凹部5同士を区切る壁に形成された側面導体よって良好に放散させることができ、半導体素子8を長期にわたり良好に作動させることができるとともに、複数の凹部5に収容された圧電振動子2,3および電子部品4をこのビアや側面導体によって良好に電磁的に遮断することができる。より好ましくは、複数の凹部5同士を区切る壁が金属から成るのがよい。これにより、半導体素子8から発生する熱の放熱性や電磁的遮断の効果がより向上する。
絶縁基体1の上面には、複数の凹部5を塞ぐようにして蓋体7が取着される。蓋体7は、凹部5を塞いで圧電振動子2、3および電子部品4を気密封止する機能をなす。また、蓋体7は、上面に半導体素子8が搭載される搭載部として機能したり、半導体素子8から発生する熱を外部に逃がすための放熱板としても機能する。
蓋体7の凹部5の上面に対する取着は、例えば、ろう材や半田、ガラス、有機樹脂接着剤等の接合材を介して接合すること等により行なうことができる。
この蓋体7の上面に半導体素子8が搭載される。半導体素子8は、例えば、リアルタイムクロック用の水晶振動子の発振周波数を制御するための発振回路を有する制御用の素子等であり、蓋体7の上面に半田や接着剤などによって取着される
絶縁基体1の上面には、複数の凹部5の全体を取り囲むようにして枠部10が形成されている。枠部10は、絶縁基体1の上面に接着剤等で接合されてもよく、絶縁基体1と一体に形成されてもよい。なお、枠部10は、蓋体7が取着される部位よりも外側に形成される。
枠部10は、封止用の樹脂9で半導体素子8を覆う場合に、封止用の樹脂9が絶縁基体1の側面等に流れ出さないようにするダム部材として機能するとともに、次に説明する配線導体6を引き回して形成するための絶縁体等として機能する。半導体素子8を封止用の樹脂9で封止することにより、外部の温度や湿度に対する耐久性を向上させ、より一層長期信頼性に優れた構造とすることができる。
なお、枠部10の上面に金属やセラミック材料、樹脂等から成る蓋体(図示せず)を取着することにより半導体素子8を気密に封止してもよい。
また、枠部10の内側から絶縁基体1の下面や側面等の外表面にかけて配線導体6が形成されている。配線導体6は、蓋体7の上面に搭載される半導体素子8や、凹部5に収容される圧電振動子2,3および電子部品4を互いに電気的に接続したり、これらを絶縁基体1の外表面に導出して外部回路基板と電気的に接続したりするための導電経路として機能する。
この配線導体6のうち絶縁基体1の外表面に導出された部位(図1の例では絶縁基体1の下面の外周部に露出している部位)を外部回路基板の電気回路に半田や導電性接着剤等の導電性接合材を介して接合することにより、圧電装置が外部回路基板に電気的、機械的に接続され、配線導体6が外部回路基板の電気回路と電気的に接続される。
そして、絶縁基体1の凹部5内に圧電振動子2,3および電子部品4を収容するとともにそれぞれの電極を配線導体6に半田やボンディングワイヤ等の導電性接続材(図示せず)を介して電気的に接続し、その後、凹部5を蓋体7で塞いでから蓋体7の上面に半導体素子8を搭載し、半導体素子8の電極を配線導体6の露出部位にボンディングワイヤ等を介して接続し、必要に応じて半導体素子8を封止用の樹脂9で封止することにより圧電装置が製作される。この場合、圧電振動子2,3と電子部品4および半導体素子8等の間で共振回路が形成される。
なお、配線導体6は、凹部5の内側の絶縁基体1の上面に形成されていてもよく、図1に示すように、枠部10の内周面に段差を形成し、この段差の上面に形成してもよい。
上記の構成により、本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置においては、複数の凹部5のうちの一つに圧電振動子であるATカット型水晶振動子2と音叉型水晶振動子3とが一緒に収容されるとともに、他の一つに電子部品4が収容され、蓋体7の上面に半導体素子8が搭載されるので、例えば、半導体素子8を搭載するのに最小限必要な絶縁基体1の平面面積で、半導体素子8だけでなく圧電振動子2,3および電子部品4も収容することができ、圧電振動子収納用パッケージを小型化することができる。
また、絶縁基体1の平面面積が小さくなるため、外部回路基板に圧電振動子収納用パッケージを接続した際に、外部回路基板と絶縁基体1との間で熱応力が生じたとしても、実装領域面積が小さいので外部回路基板の寸法変化による応力を低減することができ、圧電振動子収納用パッケージと外部回路基板との接続部に半田クラックや断線等の不具合が生じるのを効果的に防止して外部回路基板に対する接続を長期にわたって良好に維持することができる。
さらに、圧電振動子2,3や電子部品4を収容する空間と、半導体素子8が搭載された空間とを蓋体7によって効果的に電磁的に遮断することができ、半導体素子8や電子部品4等で発生する電磁波が圧電振動子2,3に与える悪影響を有効に防止し、圧電振動子2,3の特性(例えば、ATカット型水晶振動子や音叉型水晶振動子等の圧電振動子の発振周波数特性)を良好に維持することができる。なお、蓋体7は、上述した電磁的な遮断を有効なものとするために、樹脂に多孔質セラミックス,ゾルゲルガラスまたはシリカゲルからなる多孔質粉末および金属粉末を含有分散させた材料で形成する。
なお、圧電振動子は、上述のようなATカット型水晶振動子2および音叉型水晶振動子3であり、所定周波数で発振して時間や通信用等の周波数等の基準信号を発振する機能をなす。この基準信号が、配線導体6を介して外部の電気回路に供給される。また、外部の電気回路から水晶振動子2,3や半導体素子8等の作動に要する電流が圧電装置内に供給される。圧電振動子2,3と配線導体6との接続は、導電性接着剤を介して接着すること等により行なわれる。
また、電子部品4は、例えば、容量素子(周知のセラミックコンデンサ等)やインダクタ素子等の表面実装型の受動素子等であり、圧電振動子2,3や半導体素子8とともに発振回路を形成する。電子部品4の凹部5内への実装は、例えば、電極を配線導体6の露出部分に半田等を介して電気的、機械的に接続することにより行なわれる。
本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置において、圧電振動子は、ATカット型水晶振動子2および音叉型水晶振動子3である。この場合、ATカット型水晶振動子2、音叉型水晶振動子3、電子部品4および半導体素子8の間で共振回路が形成され、いわゆるデュアルクロックモジュールタイプの圧電装置が形成される。
なお、ATカット型水晶振動子2は例えばMHz帯でメインクロック用の発振源として機能し、また音叉型水晶振動子3は例えばKHz帯でサブクロック用(例えば待機動作用等)として機能する。
本発明の圧電装置は、ATカット型水晶振動子2と音叉型水晶振動子3とを搭載したデュアルクロックモジュールタイプとした場合に、同一の圧電装置内に半導体素子8とATカット型水晶振動子2、音叉型水晶振動子3、および周辺の電子部品4を配線導体6とともに高密度に配置することができ、配線経路を短くとれるため、待機時の消費電力が極めて小さく、例えば、携帯電話に用いれば、長期にわたって充電することなく使用することが可能な使い勝手に優れたものを提供することができる。そして、このような圧電装置が部品として使用される携帯電話等の電子機器の小型化、低消費電力化等を効果的に行なわせることができる。
また、上述したように、樹脂に多孔質セラミックス,ゾルゲルガラスまたはシリカゲルからなる多孔質粉末および金属粉末を含有分散させた材料で蓋体7を形成することにより、半導体素子8の作動時に流れる高周波電流による電磁波がATカット型水晶振動子2、および音叉型水晶振動子3側へ漏れることが効果的に防止されるので、ATカット型水晶振動子2、および音叉型水晶振動子3が収容される絶縁基体1の凹部5内で相互干渉を引
き起こして発振が不安定になることを防止することができる。
また、本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置において、圧電振動子2,3および電子部品4の配置は、特に限定はないが、圧電振動子2,3のうちの一つが音叉型水晶振動子3である場合、振幅の大きい振動を発生させる音叉型水晶振動子3を最も外側の部分に配置して他の部品との干渉を抑制するのがよい。
また、本発明において、図1に示すように、圧電振動子2,3が、長方形状等の細長いATカット型水晶振動子2と長方形状等の細長い音叉型水晶振動子3とから成り、これらの長手方向が互いに平行になるようにして一つの凹部5に一緒に収容されることが好ましい。
このように、圧電振動子2,3が、細長いATカット型水晶振動子2と細長い音叉型水晶振動子3とから成り、これらの長手方向が互いに平行になるようにして一つの凹部5に一緒に収容されていることから、圧電振動子2,3を同時に真空封止することができ、長期間にわたり圧電振動子2,3を安定して発振させることが可能となる。
ここで、圧電振動子2,3の長手方向が互いに平行になるようにして凹部5に一緒に収容する場合、圧電振動子2,3の導電性接着剤等により接続される端部は、それぞれ離間するように配置(例えば、図2(a)で示すようにATカット型水晶振動子2の接続される端部と音叉型水晶振動子3の接続される端部とをそれぞれ左右に設けて離間させる)する構造となっていることが望ましい。このような構造とすることにより、自由端が上下方向に振動するATカット型水晶振動子2の最も振動の大きい部位と、左右方向に振動する音叉型水晶振動子3の最も振動の大きい部位との間の間隔を広くすることができることから、共振作用により発振周波数の変化(発振ノイズ)が生じることを有効に防止することができ、より一層発振周波数の精度に優れた圧電装置を提供することができる。
また、本発明において、圧電振動子2,3を収容するための凹部5の空間に余裕がある場合、図1(a)に示すように、圧電振動子2,3は、細長いATカット型水晶振動子2と細長い音叉型水晶振動子3とから成り、これらの長手方向が互いに直交するようにして一つの凹部5に一緒に収容されることが好ましい。
このように、圧電振動子が細長いATカット型水晶振動子2と細長い音叉型水晶振動子3とから成り、これらの長手方向が互いに直交するようにして一つの凹部5に一緒に収容されていることから、自由端が上下方向に振動するATカット型水晶振動子2の最も振動の大きい部位と、左右方向に振動する音叉型水晶振動子3の最も振動の大きい部位との間の間隔を広くするとともに、これらの圧電振動子2,3の振動の方向をずらすことにより、共振作用により発振周波数の変化(発振ノイズ)が生じることを有効に防止することができ、より一層発振周波数の精度に優れた圧電装置を提供することができる。
また、図3(a),(b)に示すように、凹部5の圧電振動子2,3を収容する側の凹部5の底面に段差を設け、圧電振動子2,3をそれぞれ高さが異なるように搭載することが好ましい。これにより、圧電振動子2,3の振動面の高さをそれぞれ異なるものとすることができ、互いの干渉をより有効に抑制して圧電振動子2,3の発振周波数特性をより一層優れたものとすることができる。凹部5の底面の段差は、例えば、絶縁基体1となるセラミックグリーンシートのうち凹部5の底面となる部位に、絶縁基体1を形成するのと同様のセラミックグリーンシートを所定寸法に切断したものを積層すること等により形成することができる。
また、凹部5に2つ以上の振動周波数の異なる圧電振動子(例えば、ATカット型水晶振動子2および音叉型水晶振動子3)を収容する場合、一方の圧電振動子2,3と他方の圧電振動子2,3との振動周波数の違いにより振動波の共振が生じるのを効果的に防止するために、凹部5の底面や蓋体7の下面に各圧電振動子2,3の間を仕切るように突起を形成してもよい。
さらにまた、一方の圧電振動子2,3の振動波が凹部5の内面や蓋体7で反射して他方の圧電振動子2,3に影響するのを有効に防止するために、凹部5の内面や蓋体7の上面に凹凸を形成したり、凹部5の内面や蓋体7の下面に低弾性率材料や多孔質体を被着したりして、振動波の共振が生じるのを抑制してもよい。このような低弾性率材料としては、ゴム成分を含む樹脂材料等が挙げられ、また、多孔質体としては、多孔質セラミックスやゾルゲルガラス等の多孔質ガラス、シリカゲル等の多孔質粉末を含む樹脂材料等が挙げられる。
また、同様に振動波の共振を抑制するために蓋体7の内部に空洞を形成し、この空洞内に高分子ゲルやグリースなどのゲル状物質を充填して振動波を吸収するようにしてもよい。さらに、このゲル状物質に球状セラミックや球状樹脂などの粒子を分散させてもよい。これにより、振動波をより有効に吸収できる。
また、半導体素子8からの電磁波が圧電振動子2,3に影響を与えるのを防止するため、蓋体7の上面や枠部10の内面に凹凸を形成したり、メタライズ層やめっき層、薄膜金属層、導電性樹脂層などの金属層を形成してシールドしてもよい。
さらに、圧電振動子2,3の振動波の反射防止、および半導体素子8からの電磁波が圧電振動子2,3に影響を与えるのを防止するため、蓋体7を、多孔質セラミックス,ゾルゲルガラスまたはシリカゲルからなる金属粉末および多孔質粉末を含む樹脂で形成する。これにより、蓋体7で振動波および電磁波を有効に吸収することができる。
また、電子部品4を収容する凹部5について、圧電振動子2,3のように気密封止性を考慮する必要がない場合、電子部品4を蓋体7で封止せずに、樹脂で封止するような構造としてもよい。
また、圧電振動子2,3と電子部品4との電磁的な影響をさらに軽減するために、圧電振動子2,3を収容する凹部5と電子部品4を収容する凹部5との間に何も収容しない凹部をダミーとして形成してもよい。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えても何ら差し支えない。例えば、図1では半導体素子8の電極と配線導体6との接続をボンディングワイヤにより行なう例を示しているが、半田バンプ等を介して行なうフリップチップ接続としても良いことは言うまでもない。
(a)は本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の一例を示す、蓋体および半導体素子がない状態での平面図、(b)は(a)の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置のA−A’線における断面図である。 本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の他の例を示す、蓋体および半導体素子がない状態での平面図である。 (a)は本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の他の例を示す、蓋体および半導体素子がない状態での平面図、(b)は(a)の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置のB−B’線における断面図である。 (a)は従来の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の平面図、(b)は(a)の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の断面図である。
符号の説明
1・・・・・絶縁基体
2・・・・・圧電振動子(ATカット型水晶振動子)
3・・・・・圧電振動子(音叉型水晶振動子)
4・・・・・電子部品
5・・・・・凹部
6・・・・・配線導体
7・・・・・蓋体
8・・・・・半導体素子
10・・・・枠部

Claims (5)

  1. 上面に複数の凹部が形成された絶縁基体と、該絶縁基体の上面の前記複数の凹部の周囲に全周にわたって形成された枠部と、前記枠部の内側から前記絶縁基体の外表面にかけて形成された配線導体と、多孔質セラミックス,ゾルゲルガラスまたはシリカゲルからなる多孔質粉末および金属粉末を含む樹脂で形成され、前記絶縁基体の上面に前記複数の凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、前記複数の凹部のうちの一つに圧電振動子であるATカット型水晶振動子および音叉型水晶振動子が収容されるとともに他の一つに電子部品が収容され、前記蓋体の上面に半導体素子が搭載されることを特徴とする圧電振動子収納用パッケージ。
  2. 前記圧電振動子は、細長いATカット型水晶振動子と細長い音叉型水晶振動子とから成り、これらの長手方向が互いに平行になるようにして1つの前記凹部に収容されることを特徴とする請求項1記載の圧電振動子収納用パッケージ。
  3. 前記圧電振動子は、細長いATカット型水晶振動子と細長い音叉型水晶振動子とから成り、これらの長手方向が互いに直交するようにして1つの前記凹部に収容されることを特徴とする請求項1記載の圧電振動子収納用パッケージ。
  4. 前記圧電振動子が収容される前記凹部の底面に、一方の前記圧電振動子が搭載される段差が形成されていることを特徴とする請求項1記載の圧電振動子収納用パッケージ。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の圧電振動子収納用パッケージと、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記圧電振動子と、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記蓋体の上面に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記半導体素子とを具備していることを特徴とする圧電装置。
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