JP4587621B2 - スラリーのろ過乾燥方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラリーのろ過乾燥方法に関し、特に、乾燥効率を高めたスラリーのろ過乾燥方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医薬品工業、化学工業等においては、スラリーのろ過、洗浄、乾燥等の操作が行われている。これらの操作を個別の装置で行なうと、コンタミの問題や装置の複雑化などを招くため、最近では、これらの操作を同一装置で行なう、ろ過乾燥装置が提案されている。
【0003】
このようなろ過乾燥装置の一例を図3に示す。符号2’は容器本体であり、容器本体2’には、原料であるスラリーの供給口3’、ろ液の排出口兼乾燥時の気体の排出口4’、フィルタ5’、フィルタ支持材6’、ケークの排出口7’、洗浄液の供給口8’が設けられる。容器本体2’には支持軸9’、10’が固着され、支持軸9’はモータMに連結され、容器本体2’は回転可能に軸受11’、12’に支持されている。また容器本体2’はジャケット構造で、乾燥時には支持軸9’、ロータリジョイント13’を介して加熱源(図示外)から熱媒が供給される。排出口4’には、排液管14’が接続されろ液を排出するとともに、乾燥の際は排気管15’が切り替え接続される。排気管15’は、支持軸10’内を経由してコンデンサ16’、真空ポンプ17’等の減圧装置に接続されている。
【0004】
このような装置によるろ過乾燥操作は、次のようになされる。供給口3’から原料であるスラリーを所定量容器本体2’内に投入してバルブ18’を開とする。供給口3’に加圧気体供給源(図示外)から気体を供給して容器本体2’の上部空間2a’を加圧してろ過する。ろ液は、排出口4’排液管14’から回収される。ろ過後は、供給口8’から洗浄液を供給してケークを洗浄し、さらにろ過操作を行なう。ろ過・洗浄工程が終了すると、排出口4’の排液管14’を排気管15’に切替え、コンデンサ16’、真空ポンプ17’を作動させる。モータMを駆動して容器本体2を回転させながら、図示外の加熱源から温水、蒸気等の熱媒をロータリージョイント13’を介して容器本体2’のジャッケトに供給して乾燥を行なう。ろ過ケークは、容器本体2’の回転によって攪拌分散され、容器本体2’の内壁から加熱されて揮発分が蒸発して乾燥される。蒸発したガスは、フィルタ5’を通過し、排出口4’、排気管15’から、コンデンサ16’、真空ポンプ17’に導かれて排出される。乾燥が終了すると、粉粒体は排出口7’から排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように容器を回転させながら乾燥を行なうと、フィルタ5’が下側に位置する時はろ過ケークから蒸発したガスの透過抵抗が大きくなり、上部区間2a’の内圧が高くなるため、粉粒体はフィルタ5’に押し付けられてフィルタ5’に付着し堆積するようになってくる。この付着堆積が進行すると、容器本体2’の上部空間2a’の内圧がますます高くなり、付着物はフィルタ5’に押し付けられて、容器本体2’を回転させていても落下しなくなってくる。このような事態になると、次のような弊害が生じてくる。フィルタ上の付着物には、ジャケットから加熱されないので乾燥が進まない。容器本体2’の上部空間2a’の内圧が上昇するため、沸点が上昇し乾燥速度が低下し、ケークの品温が上昇する。ケークの品温が上昇すると、ジャケットからの加熱温度との温度差が小さくなり、乾燥速度がますます低下する。真空ポンプの動力負荷が増加する。最悪、乾燥不能、あるいは排気経路の閉塞が生じる。したがって、本発明の解決しようとする課題は、これらの弊害を除去し、効率よく乾燥できる、スラリーのろ過乾燥方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決する手段】
請求項1記載の課題を解決する手段は、回転可能なジャケットを有する容器の底部をフィルタで上下に仕切り、フィルタの上部の空間はバルブを具えた排気管を具え、フィルタの下部の空間は排気管を具えて成り、フィルタ上部にスラリーを供給してろ過し、形成されたろ過ケークを、容器を回転させながらジャケットから加熱して乾燥するスラリーのろ過乾燥方法において、乾燥操作時に、容器を回転させながら、フィルタの下部の空間からの排気を行いつつ、フィルタの上部の空間の内圧が上昇した時に前記バルブを開放してフィルタの上部の空間からの排気を行うことでフィルタの上部と下部の空間の内圧を等しくする操作によりフィルタに付着堆積した微粉を剥離することを特徴とする。これによって、フィルタへの微粉の付着堆積を防止出来るので、効率よく乾燥することが出来る。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。図1は、参考例である装置の一例である、ろ過乾燥装置1の模式図である。符号2は容器本体であり、容器本体2には、原料であるスラリーの供給口3、ろ液の排出口兼乾燥時の気体の排出口4、フィルタ5、フィルタ支持材6、ケークの排出口7、洗浄液の供給口8が設けられる。容器本体2には支持軸9、10が固着され、支持軸9はモータMに連結され、容器本体2は回転可能に軸受11、12に支持されている。また容器本体2はジャケット構造で、乾燥時には支持軸9、ロータリジョイント13を介して加熱源(図示外)から温水、蒸気等の熱媒が供給される。排出口4には、排液管14が接続されろ液を排出するとともに、乾燥の際は排気管15が切り替え接続される。排気管15は、支持軸10内を経由してコンデンサ16、真空ポンプ17等の減圧装置に接続されている。22,23は、容器本体2の上部空間2aと下部空間2bに設けた圧力センサである。21はリークバルブであって、本装置の特徴的部分であり、排気管15の排出口4からコンデンサ16の間の適所に設けられている。
【0008】
次に図1に示すろ過乾燥装置を用いた参考例の実施の形態を説明する。供給口3から、原料であるスラリーを所定量容器本体2内に投入して、バルブ18を開とする。供給口3に加圧気体供給源(図示外)から気体を供給して容器本体2の上部空間2aを加圧してろ過する。ろ液は、フィルタ5、フィルタ支持材6を通過し、排出口4、排液管14から回収される。ろ過後は、供給口8から洗浄液を供給してケークを洗浄し、さらにろ過操作を行なう。ろ過・洗浄工程が終了すると、排出口4の排液管14を排気管15に切替え、コンデンサ16、真空ポンプ17を作動させ、モータMを駆動して容器本体2を回転させながら、図示外の加熱源から温水、蒸気等の熱媒を、ロータリージョイント13を介して容器本体2のジャケットに供給して乾燥を行なう。ろ過ケークは、容器本体2の回転によって攪拌分散され、容器本体2の内壁から加熱されて揮発分が蒸発して乾燥される。蒸発したガスは、フィルタ5を通過し、排出口4、排気管15から、コンデンサ16、真空ポンプ17に導かれて排出される。
【0009】
乾燥の進行に伴い、容器本体2の上部空間2aの内圧が高まり、粉粒体がフィルタに押し付けられて、容器本体2を回転させていても落下しなくなってくる。このような状態になった時は、リークバルブ21を開にして排気管15を通じて容器本体2の下部空間2bに気体を導入する。気体の導入は、少なくとも容器本体2の上部空間2aの内圧と下部空間2bの内圧が等しくなる程度まで導入する。容器本体2の上部空間2aの内圧と下部空間2bの内圧が等しくなれば、容器本体2は回転しているので、フィルタ5に付着堆積した粉粒体は、自重で落下するようになる。落下しない時は、下部空間2bの内圧が上部空間2aよりも高くなるまで気体を導入し、すなわち下部空間2bからフィルタ5を通過して上部空間2aに気体が流れるようにして、付着物を剥離させることが望ましい。また、上部空間2aの内圧が予め定めた所定の圧力に達するごとにあるいは所定の時間間隔で、リークバルブ21を開放して間欠的に気体を導入していれば、フィルタ5への粉粒体の付着堆積を事前に防止することも出来る。気体の導入時期、導入量等は、タイマーや圧力計22、23に基づいて、プログラマブルコントローラで、自動制御することが望ましい。さらに、導入する気体は、ろ過乾燥される原料に応じて、空気、不活性ガスなどが選択されるが、これらは必要に応じて除塵、除湿、殺菌、調温されたものを使用することが望ましい。
【0010】
次に本発明の実施の形態を、図2に示す装置を用いて説明する。図2に示す装置も、図1に示す装置と基本的構成は同じである。図2に示す装置の特長は、図1に示す装置の排気管15に設けたリークバルブ21に替えて、排出口4とコンデンサ16を結ぶ排気管15を適所で分岐させて、容器本体2の上部空間2aに連通する、バルブ25を有する排気管24を設けたことである。
【0011】
本発明の実施の形態におけるろ過、洗浄、乾燥操作は、容器本体2の上部空間2aの内圧が上昇してくるまでは、基本的には参考例の形態と異なる点はない。本発明の実施の形態の特徴は、容器本体2の上部空間2aの内圧が上昇してきたら、バルブ25を開放して、容器本体2の下部空間2bからの排気に加えて、上部空間2aからも排気するものである。上部空間2aからの気体の排気は、少なくとも容器本体2の上部空間2aの内圧と下部空間2bの内圧が等しくなる程度まで排気する。容器本体2の上部空間2aの内圧と下部空間2bの内圧が等しくなれば、容器本体2は回転しているので、フィルタ5に付着堆積した粉粒体は、自重で落下するようになる。さらに、上部空間2aの内圧が予め定めた所定の圧力に達するごとにあるいは所定の時間間隔で、バルブ25を開放して間欠的に気体を排気していれば、上部空間2aの内圧が上昇することが無いので、フィルタ5への粉粒体の付着堆積を事前に防止することも出来る。気体の排出時期、排出量等は、タイマーや圧力計22、23に基づいて、プログラマブルコントローラで、自動制御することが望ましい。
【0012】
次に実施例を示す。樹脂粉体スラリー9kg(80%WB)を図1に示す装置に投入してろ過・洗浄し、3.6kg(50% WB)のろ過ケークを得た。これを引続き同一装置で、ジャケットからの加熱温度 40℃、操作圧力0.13kPa、容器回転数2.0rpmで乾燥を開始した。乾燥時間の経過とともに、フィルタ5上に付着物が生じ、容器本体2の上部空間2aの内圧が上昇して乾燥効率が悪化し、0.5%WBの製品を得るのに22時間を要した。これに対し、上記と同じ方法で得られたろ過ケークを、容器本体2の上部空間2aの内圧が所定圧力まで上昇するごとに、リークバルブ21を開放して下部空間2bに気体を導入して乾燥したところ(加熱温度、操作圧力、容器回転数は同じ)、0.5%
WBの製品を得るのに8時間と短縮することができた。
【0013】
【発明の効果】
本発明は、回転可能なジャケットを有する容器の底部をフィルタで上下に仕切り、フィルタ上部にスラリーを供給してろ過し、形成されたろ過ケークを、容器を回転させながらジャケットから加熱して乾燥するスラリーのろ過乾燥方法において、乾燥操作時に、フィルタの上部と下部の空間の内圧を等しくする操作を行なうことを特徴とするものである。したがって、乾燥過程で粉粒体がフィルタ5に押し付けられて、次第に付着し堆積することを防止できるので、フィルタ上の付着物には、ジャケットから加熱されないので乾燥が進まない容器本体2の上部空間2aの内圧が上昇するため、沸点が上昇し乾燥速度が低下し、ケークの品温が上昇する、ケークの品温が上昇すると、ジャケットからの加熱温度との温度差が小さくなり、乾燥速度がますます低下する、真空ポンプの動力負荷が増加する、最悪、乾燥不能、あるいは排気経路の閉塞が生じるといった弊害を確実に除去できる。したがって、簡便な方法で効率的な、スラリーのろ過乾燥をすることが出来る。
【0014】
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例の実施の形態に用いられる装置の一例である、ろ過乾燥装置の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に用いられる装置の一例である、ろ過乾燥装置の模式図である。
【図3】従来のろ過乾燥方法に用いられる装置の模式図である。
【符号の説明】
1 ろ過乾燥装置
2 容器本体
3 供給口
4 排出口
5 フィルタ
6 フィルタ支持材
7 排出口
8 供給口
9 、10 支持軸
11、12 軸受
13 ロータリージョイント
14 排液管
15 排気管
16 コンデンサ
17 真空ポンプ
18,19,25 バルブ
21 リークバルブ
22,23 圧力計
Claims (1)
- 回転可能なジャケットを有する容器の底部をフィルタで上下に仕切り、フィルタの上部の空間はバルブを具えた排気管を具え、フィルタの下部の空間は排気管を具えて成り、フィルタ上部にスラリーを供給してろ過し、形成されたろ過ケークを、容器を回転させながらジャケットから加熱して乾燥するスラリーのろ過乾燥方法において、乾燥操作時に、容器を回転させながら、フィルタの下部の空間からの排気を行いつつ、フィルタの上部の空間の内圧が上昇した時に前記バルブを開放してフィルタの上部の空間からの排気を行うことでフィルタの上部と下部の空間の内圧を等しくする操作によりフィルタに付着堆積した微粉を剥離することを特徴とするスラリーのろ過乾燥方法。
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