JP4586642B2 - 可動素子、ならびにその可動素子を内蔵する半導体デバイス、モジュールおよび電子機器 - Google Patents

可動素子、ならびにその可動素子を内蔵する半導体デバイス、モジュールおよび電子機器 Download PDF

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本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems;マイクロマシン)の要素技術を応用したスイッチング素子や容量素子などの可動素子、ならびにその可動素子を内蔵する半導体デバイス、モジュールおよび電子機器に関する。
近年の集積化技術の向上に伴い、電子機器の小型・軽量化、低電圧動作・低消費電力化、高周波動作化が急速に進んでいる。特に、携帯電話などの移動通信端末装置の技術分野では、上記の要求が厳しい上に、高機能化も求められており、これらの対立する課題を解決する技術の一つとして、MEMSが注目されている。このMEMSは、シリコンプロセス技術により、マイクロな機械的要素と電子回路要素とを融合したシステムであり、日本では主にマイクロマシンと称されるものである。MEMS技術は、その精密加工性などの優れた特徴から、高機能化に対応しつつ、小型で低価格なSoC(System on a Chip) を実現することができる。
そのため、移動通信端末装置の技術分野では、このMEMS技術を利用した様々な半導体素子、例えば、非特許文献1(熱スイッチ)、非特許文献2(熱スイッチと静電スイッチ)、非特許文献3(電磁スイッチと静電スイッチ)、特許文献1(電磁スイッチ),特許文献2(静電スイッチ),特許文献3(圧電スイッチ)、にそれぞれ記載されたスイッチング素子などが開発されている。
松下電工技報 2001年5月号 「シリコンバイメタルを使った熱駆動型マイクロリレー」 RF MEMS and Switches for Communication Systems:4th Annual Review of LETI,26Jun2002 MEMS2005 予稿集p32−35 米国特許第0196110号明細書等 米国特許第0098613号明細書等 特開2004−158769号公報
しかしながら、上記の非特許文献1および特許文献1ないし3のスイッチング素子においても、消費電力が例えば数百mW程度まで高くなるか、駆動電圧が例えば20Vを超える程に大きくなってしまうため、上記のスイッチング素子を、例えば駆動電圧が数Vレベル,消費電力が数mWレベルの低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することが事実上不可能であるという問題がある。また、上記の非特許文献2では、可動子をストロークさせるための「たわみ」を可動子に持たせるために新たな製造プロセスを導入する必要があるため、製造プロセスが複雑になるという問題がある。また、上記の非特許文献3では、スイッチング素子に隣接して磁場を供給する素子を設ける必要があるため、基板上のレイアウトの自由度が制限され、これにより、パッケージサイズの縮小化が妨げられるという問題がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、製造プロセスが容易で、かつパッケージサイズの縮小化を妨げることがなく、しかも低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することが可能な程度に低電圧・低消費電力の可動素子、ならびにその可動素子を内蔵する半導体デバイス、モジュールおよび電子機器を提供することにある。
本発明の可動素子は、半導体基板上に、信号を伝送するための信号線路と、信号線路を機械的に継断するための継断手段と、継断手段を切り替えるための切替手段と、継断手段の切り替え後の状態を保持するための保持手段とを備えたものである。切替手段は可動子を、継断手段および保持手段は互いに対向配置された一組の可動子および固定子をそれぞれ有し、保持手段の可動子は、弾性部を介して継断手段および切替手段のそれぞれの可動子と接続されている。
本発明の半導体デバイス、モジュールおよび電子機器は、上記の可動素子を内蔵したものである。
本発明の可動素子、半導体デバイス、モジュールおよび電子機器では、継断手段の継断と、継断手段の切り替え後の状態の保持とが、弾性部を介した切替手段と保持手段との協調動作(2元駆動)によって行われる。弾性部は、通常の製造プロセスを用いて形成することの可能なものであればよく、例えば、ミアンダバネなどにより構成される。このような弾性部を介在させることにより、継断手段を容易に動作させることが可能となるので、切替手段および保持手段を形成するに際して「たわみ」を持たせるなどの複雑な製造プロセスを用いる必要はない。なお、これら切替手段および保持手段は、電流の供給を受けて動作するものであり、外部から電磁場の供給を受けて動作するものではない。したがって、可動素子を駆動するための駆動手段を可動素子に隣接して配置する必要はない。
上記切替手段は、例えば、熱アクチュエータまたは圧電アクチュエータより構成されており、上記保持手段は、例えば、静電アクチュエータにより構成されている。ここで、熱アクチュエータは、例えば、互いに異なる熱膨張係数を有する材料を複数積層させてなる可動子に熱エネルギーが供給されることにより生じる歪みを利用して可動子を駆動させるものである。圧電アクチュエータは、例えば、圧電体を含んで構成された可動子に電圧が印加されることにより生じる歪み(圧電効果)を利用して可動子を駆動させるものである。これらのアクチュエータは、低電圧で可動子を大きくストロークさせることが可能である。静電アクチュエータは、例えば、導電性の可動子と固定子により構成されたキャパシタの誘導電荷により生ずる静電力を利用して可動子を駆動させるものであり、電力をほとんど消費することなく可動子をストロークさせたり保持したりすることが可能である。
本発明の可動素子、半導体デバイス、モジュールおよび電子機器によれば、継断手段の継断と、継断手段の切り替え後の状態の保持とが、弾性部を介した切替手段と保持手段との協調動作によって行われるようにしたので、通常の製造プロセスを用いて可動素子を形成することができる。また、可動素子を駆動するための駆動手段を可動素子に隣接して配置する必要がないので、基板上のレイアウトの自由度が制限されることはない。また、目的・用途に応じて最適な回路構成を選択することができる。例えば、信号線路の継断を大きなストロークで行いたい場合には、熱アクチュエータまたは圧電アクチュエータを切替手段として選択し、一方、継断手段の切り替え後の状態を長時間保持したい場合には、静電キャパシタを保持手段として選択することも可能である。このように、目的・用途に応じて最適な回路構成を選択することにより、低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することが可能な程度の低電圧化・低消費電力化を両立させることができる。したがって、製造プロセスが容易で、かつパッケージサイズの縮小化を妨げることがなく、しかも低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の一実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るスイッチング素子(可動素子)の構成要素を機能ブロックごとに表し、図2は、このスイッチング素子の断面構成の一例を表すものであり、図3は、このスイッチング素子の平面構成の一例を表すものである。このスイッチング素子は、一の素子(図示せず)から他の素子(図示せず)へ信号を伝送する伝送路中に実装される微小構造物(いわゆるマイクロマシン)であり、好適には他の素子と同一のパッケージ内に形成されるものであり、より好適にはSiP(System in Package) で同梱実装されたり、SoCの一部として混載されるものである。このスイッチング素子は、半導体基板1上にスイッチング構造体10を備えている。
半導体基板1は、主にスイッチング素子を構成する要素を支持するものであり、例えば、シリコン(Si)、シリコン・カーバイト(SiC)、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)およびシリコン・ゲルマニウム・カーボン(SiGeC)などのSi系基板や、ガラス、樹脂およびプラスチックなどの非Si系基板により構成されている。この半導体基板1の表面には、絶縁層2が設けられている。この絶縁層2は、スイッチング構造体10を基板10から電気的に分離するものであり、例えば、酸化ケイ素(SiO2 )または窒化ケイ素(SiN)などの絶縁性材料により構成されている。
スイッチング構造体10は、表面マイクロマシンニング技術を使用して形成された複数の微小構造物が配列されることにより構成された集合構造体である。このスイッチング構造体10は、信号線路11、継断部12(継断手段)、切替部13(切替手段)、保持部14(保持手段)、弾性部15、支持部16および素子駆動部17(駆動回路)(図1参照)を備えている。信号線路11は、図2のY軸方向に延在すると共に、継断部12に接続されている。継断部12、切替部13、保持部14および支持部16は、それぞれ互いに弾性部15を介して接続されている。ここで、継断部12、切替部13、保持部14および支持部16は、図3に示したように、支持部16の間に切替部13を、切替部13の間に保持部14を、保持部14の間に継断部12をそれぞれ配置すると共に、これらをX軸方向に沿って配列するように構成されている。
継断部12は所定の空間Gを構成する一組の固定子12Aおよび可動子12Bを、切替部13は所定の空間Gを構成する可動子13Bを、保持部14は所定の空間Gを構成する一組の固定子14Aおよび可動子14Bをそれぞれ有している。このように、スイッチング構造体10は、X軸方向に両持梁型の断面構造を有している。
継断部12の固定子12Aおよび可動子12Bは、例えば、導電性材料または誘電体材料からなる平板により構成されている。
切替部13の可動子13Bは、X軸方向に延在する第1膨張層13B−1および第2膨張層13B−2を支持部16上にこの順に積層した構造を有している。この第1膨張層13B−1の熱膨張率は、第2膨張層13B−2のそれよりも小さくなっていることから、切替部13に対して熱が加えられると、第1膨張層13B−1の方が第2膨張層13B−2よりも延在方向に長く伸びて、弾性部15の接続された一端が絶縁層2に近づく方向に変位するようになっている。
保持部14の固定子14Aは、導電層14A−1と高抵抗層14A−2とをこの順に積層した構造を有しており、導電層14A−1は導電性材料により、高抵抗層14A−2は高抵抗材料により、保持部14の可動子14Bは導電性材料によりそれぞれ構成されている。ここで、上記導電性材料は、例えばアルミニウム(Al)や銅(Cu)などのCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスと整合する材料であることが好ましい。なお、上記の高抵抗材料は、誘電体材料および絶縁材料を含む概念である。また、上記の高抵抗層14A−2を備える代わりに、または、上記の高抵抗層14A−2と共に、固定子14Aにおける空間G側の表面に高抵抗層を備えるようにしてもよい。固定子14Aおよび可動子14Bが接触した際の誘導電荷の消失を防止することができるからである。
このように、切替部13の可動子13Bが、保持部14の可動子14Bと弾性部15を介して接続されると共に、その弾性部15を介して継断部12の可動子12Bと接続されていることから、可動子13Bを駆動させると、保持部14が駆動されていなくても可動子14Bが変位して保持部14の間隙が狭められると共に、可動子12Bも変位して継断部12の間隙が狭められようになっている。
ここで、継断部12の固定子12Aの厚さをt1、保持部14の固定子14Aの厚さをt2、オフ状態(切替部13および保持部14に対して電力が印加されていない状態)における、継断部12の固定子12Aと可動子12Bとの間隙の大きさをg1、保持部14の固定子14Aと可動子14Bとの間隙の大きさをg2とすると、以下の式(1)および式(2)をそれぞれ満たすことが好ましい。
t1≧t2…(1)
g1≦g2…(2)
この切替部13は、上記のような構成により、互いに異なる熱膨張係数を有する第1膨張層13B−1および第2膨張層13B−2を積層させてなる可動子に熱エネルギーが供給されることにより生じる歪みを利用して可動子を駆動させる熱アクチュエータとしての機能を有する。また、保持部14は、上記のような構成により、導電性の固定子14Aと可動子14Bにより構成されたキャパシタの誘導電荷により生ずる静電力を利用して可動子14Bを駆動させる静電アクチュエータとしての機能を有する。
熱アクチュエータは、電流制御の駆動方式であり、電圧消費が数V程度、電流消費が数十mA程度で動作する環境下では、静電アクチュエータよりも可動子13Bを大きくストロークさせることができるものである。一方、静電アクチュエータは、電圧制御の駆動方式であり、電力をほとんど消費することなく可動子14Bをストロークさせたり保持したりすることができるものであるが、電圧消費が数V程度、電流消費が数十mA程度で動作する環境下では、熱アクチュエータよりも小さい範囲でしか可動子14Bをストロークさせることができない。
従って、切替部13の可動子13Bを駆動させて保持部14の間隙を狭めたときの間隙が静電力により可動子14Bを変位させることのできる範囲内となるように保持部14の間隙g2を設定することが必要となる。
信号線路11は、継断部12の固定子12Aと直接接続されており、導電性材料により構成されている。この信号線路11は、継断部12がオフ状態(切替部13および保持部14に対して電力が印加されていない状態、図2参照)の場合には、可動子12Bと電気的に絶縁されている。一方、継断部12がオン状態(切替部13および保持部14に対して電力が印加されている状態)の場合には、固定子12Aを介して可動子12Bと電気的に導通している。
すなわち、継断部12は、信号線路11を機械的に継断することができるようになっている。ここで、「機械的に継断する」とは、機械的なスイッチがオン/オフ動作することを意味している。ここで、オン動作は、切替部13および保持部14に対して電力を印加することにより、継断部12の固定子12Aおよび可動子12Bを接触させる動作を意味している。オフ動作は、切替部13および保持部14に対して電力の供給を停止することにより、継断部12の固定子12Aおよび可動子12Bの接触を開放させる動作を意味している。また、機械的なスイッチの接点の方式としては、例えばシリーズ方式(図4(A))やシャント方式(図4(B))が挙げられるが、本実施の形態では何れの方式であってもよい。なお、図4(A)は、シリーズ方式における、オン状態(一の素子からの信号が継断部12を介して他の素子へ伝送されている状態)の断面構成を、図4(B)は、シャント方式における、オン状態(一の素子からの信号が継断部12を介して他の素子へ伝送されていない状態)の断面構成を表したものである。
弾性部15は、例えば単結晶シリコンまたはポリシリコンにより構成されている。この弾性部15は、例えば、図8に示したように、平面上を蛇行した形状を有するミアンダ(meander) ばねであり、このミアンダばねには、蛇行路の折り返し付近に突起が設けられている。この突起はバネの縮む方向に突き出ているため、バネが縮む際に隣接する蛇行路と接触し、バネが縮むのを阻害するようになっている。そのため、このミアンダばねは、伸びるときのばね定数が縮むときのばね定数より小さくなるようになっている。これにより、切替部13および保持部14の応答速度を向上させることができる。このミアンダばねのばね定数は、継断部12と切替部13との間や、切替部13と保持部14との間に挟まれたそれぞれの部位での役割に応じて調節されていることが望ましい。例えば、切替部13と保持部14との間に配置されたミアンダばねのばね定数は、他のミアンダばねのそれよりも小さくなるように調節されていることが望ましい。切替部13の可動子13Bを固定子13Aの表面まで確実にストロークさせる必要があるからである。
支持部16は、例えば単結晶シリコンまたはポリシリコンにより構成されている。この支持部16は、継断部12、切替部13および保持部14の可動子12B,13B,14Bからなる梁をその両端で支持するようになっている。
素子駆動部17は、切替部13および保持部14に対してオン動作またはオフ動作をさせるためのものである。
このような構成を有するスイッチング素子は、例えば次のようにして製造することができる。図6(A)〜(C)および図7(A)〜(C)は、スイッチング素子の製造工程を説明するためのものである。
スイッチング素子を製造する際には、まず、図6(A)に示したように、Siからなる半導体基板1上に、例えば減圧CVD(Chemical Vapor Depositon)法を使用して、SiNなどの絶縁性材料を成膜することにより絶縁層2を形成する。続いて、例えば減圧CVD法を使用して、絶縁層2上に、Cuなどの導電性材料およびSiNなどの高抵抗材料をこの順に成膜することにより、前躯体14D,14dを形成して積層させる。
次に、フォトリソグラフィ処理およびドライエッチング処理を使用して前躯体14D,14dをパターニングすることにより、図6(B)に示したように、導電層14A−1および高抵抗層14A−2をこの順に積層した構造からなる固定子14Aを形成する。なお、以下では、上記したフォトリソグラフィ処理およびドライエッチング処理を使用したパターニング処理を、単に「パターニング」と称する。
次に、例えば減圧CVD法を使用して、絶縁層2および固定子14A上に、Cuなどの導電性材料を成膜したのち、パターニングすることにより、図6(C)に示したように、固定子12Aを形成する。
次に、例えば減圧CVD法を使用して、後工程において空間Gが形成されることとなる領域を埋め込むように、例えばLP−TEOS(Low Pressure TEtraethyl ORthosilicate)を成膜することにより犠牲層T1を形成する。続いて、パターニングにより、支持部16を形成することとなる領域に孔を形成したのち、例えば減圧CVD法を使用して、その孔に例えばポリシリコンなどの絶縁性材料を埋め込むことにより支持部16を形成する。その後、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)により、犠牲層T1および支持部16の表面全体を平坦化する。
続いて、例えば減圧CVD法を使用して犠牲層T1および支持部16上に、Cuなどの導電性材料を成膜したのち、パターニングすることにより、図7(A)に示したように、犠牲層T1の表面のうち固定子12Aと対向する領域に可動子12Bを、固定子14Aと対向する領域に可動子14Bをそれぞれ形成する。
次に、パターニングにより可動子13Bを形成することとなる領域にくぼみを形成すると共に、例えば減圧CVDを使用して互いに異なる熱膨張係数を有する材料を積層したのち、パターニングすることにより、図7(B)に示したように、そのくぼみに可動子13Bを形成する。
次に、例えば減圧CVD法を使用して、半導体基板1上の表面全体を覆うように、ポリシリコンなどの優れた機械的特性を有する材料を成膜することにより、図7(B)に示したように、前躯体15Dを形成する。さらに、例えば減圧CVD法を使用して、半導体基板1上の表面全体を覆うように、LP−TEOSを成膜したのち、パターニングすることにより、後工程において弾性部15が形成されることとなる領域と対向する領域に開口部を有する犠牲層T2を形成する。
次に、可動子12B、可動子13B、可動子14Bおよび支持部16が互いに接続されることとなるようにパターニングすることにより、図7(C)に示したように、例えばミアンダばねからなる弾性部15を複数形成する。
続いて、例えば希フッ化水素(DHF;Diluted Hydrogen Fluorede )溶液などの溶解液を使用して犠牲層T1および犠牲層T2を溶解させることにより、その犠牲層T1および犠牲層T2を選択的に除去する。これにより、図7(C)に示したように、犠牲層T1が設けられていた箇所に、空間Gが構成されるので、間隙g1を介して固定子12Aと可動子12Bとが、所定の間隙を介して絶縁層2と可動子13Bとが、間隙g2を介して固定子14Aと可動子14Bとが、互いに対向配置される。このようにして、スイッチング素子が形成される。
次に、図2および図8(A)〜(C)を参照して、本実施の形態のスイッチング素子の作用について説明する。図2は、オフ状態の様子を、図8(A)〜(C)は、オフ状態からオン状態に移行する様子をそれぞれ表したものである。
本実施の形態のスイッチング素子は、オン状態およびオフ状態のツーステートを有しており、素子駆動部17から切替部13および保持部14に対してオン動作の指令が送られると、切替部13および保持部14は、オフ状態からオン状態へ、逆に、オフ動作の指令が送られると、切替部13および保持部14は、オン状態からオフ状態へそれぞれ移行する。また、素子駆動部17から切替部13および保持部14に対して状態の変更を求める何らかの指令が送られて来ない限り、切替部13および保持部14は、オン状態およびオフ状態のいずれか一方の状態を維持する。なお、オン状態は図8(C)に示された状態、オフ状態は図2に示された状態をそれぞれ指している。
オン動作について具体的に説明すると、まず、素子駆動部17は、切替部13に対して電力供給を開始する。すると、第1膨張層13B−1および第2膨張層13B−2が熱エネルギーを吸収して熱膨張を開始し、図8(A)に示したように、切替部13のうち弾性部15の接続された一端が絶縁層2に近づく方向に変位し始める。このとき、保持部14および継断部12の間隙は、初期状態の間隙g2,g1から可動子13Bの変位分を除いた大きさとなっている。
次に、素子駆動部17は、図8(B)に示したように、可動子13Bが固定子13Aと接触したのちに、保持部14に対して電力供給を開始する。なお、切替部13に対する電力供給を停止したとしても可動子14Bに働く静電力により継断部12の間隙を狭めることが可能な部位にまで可動子13Bが到達したときに、保持部14に対して電力供給を開始してもよい。すると、可動子14Bに静電力が発生し、その静電力が吸引力となって可動子14Bが弾性部15に抗して固定子14A側に変位し、その結果、可動子14Bが固定子14Aと接触する。
このとき、継断部12の可動子12Bは、弾性部15を介して切替部13の可動子13Bおよび保持部14の可動子14Bと共に変位するが、固定子14Aの厚さt2が固定子12Aの厚さt1より薄くなっている場合には、継断部12の間隙g1は、保持部14の間隙g2より小さい。このため、可動子14Bが固定子14Aと接触するときには、可動子12Bが固定子12Aとすでに接触していることになる。また、可動子12Bが固定子12Aと接触することにより、可動子14Bに発生した静電力の一部が弾性部15を介して可動子12Bにも加えられるようになる。これにより、可動子12Bは自重の他に、可動子14Bから加えられた力で、固定子12Aを押圧することとなるので、継断部12の接触抵抗が、単に可動子12Bの自重だけで固定子12Aと接触した場合と比べて、格段に小さくなる。
次に、素子駆動部17は、保持部14に対して電力を供給しつつ、切替部13に対して供給していた電力を停止する。なお、保持部14に対して電力供給を開始すると同時に切替部13に対して供給していた電力を停止してもよい。すると、可動子13Bに発生していた歪みが消失し、図8(C)に示したように、可動子13Bは初期状態に戻る。このとき、保持部14は静電力により接触状態を維持しているので、継断部12も接触状態を維持している。このような一連の動作によりオン動作が完了し、オン状態となる。
なお、オン動作において、素子駆動部17が、切替部13および保持部14に対して同時に電力を供給するようにしてもよい。いずれにしても、オン状態において、継断部12の固定子12Aおよび可動子12Bが確実かつ安定に接触している必要がある。
一方、オフ動作について具体的に説明すると、素子駆動部17は、オン状態において保持部14に供給されていた電力の供給を停止すと、保持部14に働いていた静電力が消失する。これにより、保持部14の可動子14Bは、図2に示したように、弾性部15の力により固定子14Aから離れると共に上方へ変位し、オフ状態となる。このとき、切替部13に対して電力の供給を停止する動作を改めて行う必要はない。オン状態において切替部13には電力は供給されていないからである。
このように、本実施の形態のスイッチング素子では、継断部12の継断と、継断部12の切り替え後の状態の保持とが、弾性部15を介した切替部13と保持部14との協調動作(2元駆動)によって行われる。
次に、本実施の形態のスイッチング素子の効果について説明する。
上記製造方法の説明の際に詳述したように、本実施の形態のスイッチング素子は、減圧CVD法や、パターニング法など、通常の製造プロセスで使用される方法を用いて製造することが可能なものである。そのため、他の回路素子との製造プロセスの整合性が高く、他の回路素子と同一の基板上に形成することが可能となるので、他の回路素子と共に同一パッケージ内に実装することができる。また、可動子に「たわみ」を持たせるなどの特異な製法を必要としないので、製造プロセスを複雑化する虞もない。したがって、本実施の形態のスイッチング素子を容易に製造することができる。
また、上記したように、切替部13および保持部14は、電流の供給を受けて動作するものであり、外部から電磁場の供給を受けて動作するものではない。これにより、スイッチング素子に隣接して駆動手段17を配置する必要がないので、半導体基板1上のレイアウトの自由度が制限されることがない。したがって、本実施の形態のスイッチング素子では、パッケージサイズの縮小化が妨げられる虞はない。
次に、高周波特性の観点から素子駆動電圧および消費電力について言及する。高周波特性における主なパラメータとしては、アイソレーション(クロストーク)と、インサーション・ロス(挿入損失)が挙げられる。前者は、一般的なスイッチング素子(シリーズ方式)の絶縁抵抗に相当し、絶縁抵抗が大きいほど漏れが小さいことを意味するが、スイッチング素子のアイソレーションを大きくするには、継断部12の固定子12Aと可動子12Bとの間隙g1をある程度大きくすることが必要となる。しかしながら、間隙g1を大きくすると、継断部12の可動子12Bのストロークも大きくなるので、従来のように、単一のアクチュエータからなるスイッチング素子(本実施の形態の保持部14がない場合に相当する)を用いただけでは、充分なストロークが得られたとしても、素子駆動電圧がストロークの2乗に比例して大きくなることから、消費電力が例えば数百mW、または駆動電圧が例えば20Vを超える程に大きくなってしまう。その結果、特に、低電圧動作・低消費電力化が常識となっている電子機器の技術分野では、このようなスイッチング素子を使用することは困難である。
また、後者は、一般的なスイッチング素子(シリーズ方式)の接触抵抗に相当し、接触抵抗が小さいほど接点間での信号の損失が小さくなり、正確な信号伝達をすることができ、また、発熱を小さくできることを意味するが、スイッチング素子のインサーション・ロスを小さくするには、継断部12の固定子12Aと可動子12Bとの接触抵抗を下げることが必要である。しかしながら、接触抵抗を下げるためには、可動子12から固定子12Aに対して一定の圧力を加えることが必要となるので、単一のアクチュエータからなる従来のスイッチング素子を用いた場合には、アクチュエータの間隙を継断部のそれより大きくするか、または、アクチュエータの固定子の厚さを継断部の固定子のそれより薄くすることが必要となる。その結果、アクチュエータのストロークが大きくなり、上記と同様の問題が生じてしまうので、このようなスイッチング素子を使用することは、インサーション・ロスの観点からも困難である。
一方、本実施の形態のスイッチング素子では、上記したように、継断部12の継断と、継断部12の切り替え後の状態の保持とが、式(1)および式(2)を同時に満たした状態で、弾性部15を介した切替部13と保持部14との協調動作によって行われるので、充分なストロークを得ることができると共に、継断部12の接触抵抗を下げることができる。
これにより、インサーション・ロスや、アイソレーションなどの高周波特性を非常によくすることができ、高周波特性が良いとされているMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit ;モノリシック・マイクロ波集積回路)と比べても、勝るとも劣らない優れた高周波特性を備えたものとなる。なお、このMMICは、トランジスタなどの能動素子のほか、抵抗やコンデンサなどの受動素子、さらには信号分配や合成回路などを一体化して一つの化合物半導体基板(主としてGaAs(ガリウム砒素)など) 上に形成した集積回路のことであり、主にマイクロ波・ミリ波の帯域で用いられるものである。このMMICは携帯電話をはじめ、アンプ、ミキサー、アンテナ・スイッチなどにも使われている。
また、本実施の形態では、信号線路11の継断を大きなストロークで行えるように、熱アクチュエータを切替部13として選択し、一方、継断部12の切り替え後の状態を長時間保持できるように、静電キャパシタを保持部14として選択するようにしたので、目的・用途に応じて最適な回路構成を選択することができる。これにより、低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することが可能な程度の低電圧化・低消費電力化を両立させることができる。
以上のことから、本実施の形態のスイッチング素子によれば、製造プロセスが容易で、かつパッケージサイズの縮小化を妨げることがなく、しかも低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図9は、本実施の形態に係るスイッチング素子(可動素子)の断面構成の一例を表したものである。図10(A)〜(C)は、オフ状態からオン状態に移行する様子を表したものである。
本実施の形態に係るスイッチング素子は、切替部13の代わりに切替部23を備える以外は、上記第1の実施の形態と同一の構成を備えている。そこで、以下、上記第1の実施の形態と同一の構成・作用・効果については適宜省略する。
切替部23は、図9に示したように、X軸方向に延在する圧電体からなる可動子23Bにより構成されている。なお、圧電体とは、例えば、母材としてのSiと、結晶制御を兼ねた配線としてのメタル層(例えばPt)と、圧電層(例えばAlN、PZT、BaTiOx)とを含んで構成されたものである。この可動子23Bは、電圧が印加されると、圧電効果による歪みを生じ、この歪みにより、弾性部15の接続された一端が絶縁層2に近づく方向に変位するようになっている。このように、この切替部23は、圧電アクチュエータとしての機能を有している。
なお、継断部12の固定子12Aの厚さをt1、保持部14の固定子14Aの厚さをt2、オフ状態における、継断部12の固定子12Aと可動子12Bとの間隙の大きさをg1、保持部14の固定子14Aと可動子14Bとの間隙の大きさをg2とすると、上記第1の実施の形態と同様の理由から、上記の式(1)および式(2)をそれぞれ満たすことが好ましい。
本実施の形態に係るスイッチング素子の動作について説明する。オン動作について具体的に説明すると、まず、素子駆動部17は、切替部23に対して電力供給を開始する。すると、圧電素子が圧電効果による歪みを生じ、図10(A)に示したように、切替部23のうち弾性部15の接続された一端が絶縁層2に近づく方向に変位し始める。このとき、保持部14および継断部12の間隙は、初期状態の間隙g2,g1から可動子13Bの変位分を除いた大きさとなっている。その後の図10(B),(C)に示された動作は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。オフ動作についても同様である。
これより、本実施の形態では、信号線路11の継断を大きなストロークで行えるように、圧電アクチュエータを切替部13として選択し、一方、継断部12の切り替え後の状態を長時間保持できるように、静電キャパシタを保持部14として選択するようにしたので、目的・用途に応じて最適な回路構成を選択することができる。これにより、低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することが可能な程度の低電圧化・低消費電力化を両立させることができる。
したがって、本実施の形態に係るスイッチング素子によれば、上記第1の実施の形態と同様に、製造プロセスが容易で、かつパッケージサイズの縮小化を妨げることがなく、しかも低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することができる。
[適用例]
次に、図11を参照して、上記実施の形態のスイッチング素子を搭載した通信装置の構成について説明する。図11は、電子機器としての通信装置のブロック構成を表している。なお、本発明のスイッチング素子を搭載した半導体デバイスおよびモジュールは、上記通信装置により具現化されるので、以下、合わせて説明する。
図11に示した通信装置は、上記実施の形態において説明したスイッチング素子を送受信切替器301(半導体デバイス)として搭載したものであり、例えば、携帯電話器、情報携帯端末(PDA)、無線LAN機器などである。なお、上記送受信切替器301は、SoCからなる半導体デバイス内に形成されている。この通信装置は、例えば、図11に示したように、送信系回路300A(モジュール)と、受信系回路300B(モジュール)と、送受信経路を切り替える送受信切換器301と、高周波フィルタ302と、送受信用のアンテナ303とを備えている。
送信系回路300Aは、Iチャンネルの送信データおよびQチャンネルの送信データに対応した2つのデジタル/アナログ変換器(DAC;Digital/Analogue Converter)311I,311Qおよび2つのバンドパスフィルタ312I,312Qと、変調器320および送信用PLL(Phase-Locked Loop )回路313と、電力増幅器314とを備えている。この変調器320は、上記した2つのバンドパスフィルタ312I,312Qに対応した2つのバッファアンプ321I,321Qおよび2つのミキサ322I,322Qと、移相器323と、加算器324と、バッファアンプ325とを含んで構成されている。
受信系回路300Bは、高周波部330、バンドパスフィルタ341およびチャンネル選択用PLL回路342と、中間周波回路350およびバンドパスフィルタ343と、復調器360および中間周波用PLL回路344と、Iチャンネルの受信データおよびQチャンネルの受信データに対応した2つのバンドパスフィルタ345I,345Qおよび2つのアナログ/デジタル変換器(ADC;Analogue/Digital Converter)346I,346Qとを備えている。高周波部330は、低ノイズアンプ331と、バッファアンプ332,334と、ミキサ333とを含んで構成されており、中間周波回路350は、バッファアンプ351,353と、自動ゲイン調整(AGC;Auto Gain Controller)回路352とを含んで構成されている。復調器360は、バッファアンプ361と、上記した2つのバンドパスフィルタ345I,345Qに対応した2つのミキサ362I,362Qおよび2つのバッファアンプ363I,363Qと、移相器364とを含んで構成されている。
この通信装置では、送信系回路300AにIチャンネルの送信データおよびQチャンネルの送信データが入力されると、それぞれの送信データを以下の手順で処理する。すなわち、まず、DAC311I、311Qにおいてアナログ信号に変換し、引き続きバンドパスフィルタ312I,312Qにおいて送信信号の帯域以外の信号成分を除去したのち、変調器320に供給する。続いて、変調器320において、バッファアンプ321I,321Qを介してミキサ322I,322Qに供給し、引き続き送信用PLL回路313から供給される送信周波数に対応した周波数信号を混合して変調したのち、両混合信号を加算器324において加算することにより1系統の送信信号とする。この際、ミキサ322Iに供給する周波数信号に関しては、移相器323において信号移相を90°シフトさせることにより、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが互いに直交変調されるようにする。最後に、バッファアンプ325を介して電力増幅器314に供給することにより、所定の送信電力となるように増幅する。この電力増幅器314において増幅された信号は、送受信切換器301および高周波フィルタ302を介してアンテナ303に供給されることにより、そのアンテナ303を介して無線送信される。この高周波フィルタ302は、通信装置において送信または受信する信号のうちの周波数帯域以外の信号成分を除去するバンドパスフィルタとして機能する。
一方、アンテナ303から高周波フィルタ302および送受信切換器301を介して受信系回路300Bに信号が受信されると、その信号を以下の手順で処理する。すなわち、まず、高周波部330において、受信信号を低ノイズアンプ331で増幅し、引き続きバンドパスフィルタ341で受信周波数帯域以外の信号成分を除去したのち、バッファアンプ332を介してミキサ333に供給する。続いて、チャンネル選択用PPL回路342から供給される周波数信号を混合し、所定の送信チャンネルの信号を中間周波信号とすることにより、バッファアンプ334を介して中間周波回路350に供給する。続いて、中間周波回路350において、バッファアンプ351を介してバンドパスフィルタ343に供給することにより中間周波信号の帯域以外の信号成分を除去し、引き続きAGC回路352でほぼ一定のゲイン信号としたのち、バッファアンプ353を介して復調器360に供給する。続いて、復調器360において、バッファアンプ361を介してミキサ362I,362Qに供給したのち、中間周波用PPL回路344から供給される周波数信号を混合し、Iチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分とを復調する。この際、ミキサ362Iに供給する周波数信号に関しては、移相器364において信号移相を90°シフトさせることにより、互いに直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分とを復調する。最後に、Iチャンネルの信号およびQチャンネルの信号をそれぞれバンドパスフィルタ345I,345Qに供給することによりIチャンネルの信号およびQチャンネルの信号以外の信号成分を除去したのち、ADC346I,346Qに供給してデジタルデータとする。これにより、Iチャンネルの受信データおよびQチャンネルの受信データが得られる。
この通信装置は、上記各実施の形態において説明したスイッチング素子を受信切替器301として搭載しているため、上記実施の形態において説明した作用により、優れた高周波特性を有する。
また、上記実施の形態と同様、低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することが可能な程度の低電圧・低消費電力で可動素子を駆動させることが可能である。その結果、低電圧動作・低消費電力化が常識となっている移動通信端末装置の技術分野においても実用に耐えることができる。
なお、図11に示した通信装置では、上記各実施の形態において説明したスイッチング素子を受信切替器301(半導体デバイス)に適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、スイッチング素子を送信系回路300Aおよび受信系回路300B(モジュール)内のミキサ332I,332Q,333,362I,362Qや、バンドパスフィルタ312I,312Q,341,343,346I,346Q、または、高周波フィルタ302(半導体デバイス)に適用してもよい。この場合においても、上記と同様の効果を得ることができる
以上、実施の形態を挙げて本発明の可動素子について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の可動素子の構成やその製造方法に関する手順などは、上記実施の形態と同様の効果を得ることが可能な限りにおいて自由に変形可能である。
また、上記実施の形態では、本発明の可動素子を携帯電話機などの通信装置に代表される電子機器に適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、通信装置以外の電子機器に適用することも可能である。これらのいずれの場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング素子の機能ブロック図である。 図1のスイッチング素子の断面構成図である。 図1のスイッチング素子の平面構成の一例を表す平面構成図である。 継断部を例示して説明するための断面構成図である。 弾性部を例示して説明するための平面図である。 図1のスイッチング素子の製造工程を説明するための断面構成図である。 図6に続く行程を説明するための断面構成図である。 図1のスイッチング素子の動作を説明するための断面構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング素子の断面構成図である。 図9のスイッチング素子の動作を説明するための断面構成図である。 図1および図9のスイッチング素子の適用例に係る電子機器の機能ブロック図である。
符号の説明
1…半導体基板、2…絶縁層、10…スイッチング構造体、11…信号線路、12…継断部、12A,14A…固定子、12B,13B,14B,23B…可動子、13,23…切替部、14…保持部、13B−1…第1膨張層、13B−2…第2膨張層、14A−1…導電層、14A−2…高抵抗層、15…弾性部、16…支持部、17…素子駆動部、g1,g2…間隙、t1,t2…固定子の厚さ、G…空間。

Claims (10)

  1. 半導体基板上に、
    信号を伝送するための信号線路と、
    前記信号線路を機械的に継断するための継断手段と、
    前記継断手段を切り替えるための切替手段と、
    前記継断手段の切り替え後の状態を保持するための保持手段と、
    前記継断手段、切替手段および保持手段を支持する支持手段と
    を備え、
    前記切替手段は可動子を、前記継断手段および保持手段は互いに対向配置された一組の可動子および固定子をそれぞれ有し、
    前記切替手段、前記保持手段および前記継断手段のそれぞれの可動子は、ミアンダバネを介して前記支持手段によって支持されるとともに、前記支持手段側から、前記切替手段、前記保持手段および前記継断手段の順に配置され、
    前記切替手段は、熱アクチュエータまたは圧電アクチュエータにより構成され、
    前記保持手段は、静電アクチュエータにより構成される
    可動素子
  2. 前記継断手段の固定子の厚さをt1、前記保持手段の固定子の厚さをt2、前記継断手段の固定子と可動子との間隙の大きさをg1、前記保持手段の固定子と可動子との間隙の大きさをg2とすると、以下の式(1)および式(2)をそれぞれ満たす
    請求項1に記載の可動素子。
    t1≧t2…(1)
    g1≦g2…(2)
  3. 前記切替手段の可動子は、互いに異なる熱膨張係数を有する材料を複数積層した構造を有し、
    前記継断手段の固定子および可動子、ならびに保持手段の固定子および可動子は、導電性材料または誘電体材料を含んでそれぞれ構成される
    請求項1に記載の可動素子。
  4. 前記保持手段へ電力を供給すると同時に、または前記保持手段へ電力を供給したのちに、前記切替手段への電力の供給を停止するように構成された駆動回路
    をさらに備えた
    請求項3に記載の可動素子。
  5. 前記切替手段の可動子は、圧電体を含んで構成され、
    前記継断手段の固定子および可動子、ならびに保持手段の固定子および可動子は、導電性材料を含んでそれぞれ構成される
    請求項1に記載の可動素子。
  6. 前記保持手段へ電力を供給すると同時に、または前記保持手段へ電力を供給したのちに、前記切替手段への電力の供給を停止するように構成された駆動回路
    をさらに備えた
    請求項5に記載の可動素子。
  7. 一の素子と他の素子とに接続された可動素子を内蔵する半導体デバイスであって、
    前記可動素子は、半導体基板上に、前記一の素子から前記他の素子へ信号を伝送するための信号線路と、前記信号線路を機械的に継断するための継断手段と、前記継断手段を切り替えるための切替手段と、前記継断手段の切り替え後の状態を保持するための保持手段と、前記継断手段、切替手段および保持手段を支持する支持手段とを有し、
    前記切替手段は可動子を、前記継断手段および保持手段は互いに対向配置された一組の可動子および固定子をそれぞれ有し、
    前記切替手段、前記保持手段および前記継断手段のそれぞれの可動子は、ミアンダバネを介して前記支持手段によって支持されるとともに、前記支持手段側から、前記切替手段、前記保持手段および前記継断手段の順に配置され、
    前記切替手段は、熱アクチュエータまたは圧電アクチュエータにより構成され、
    前記保持手段は、静電アクチュエータにより構成される
    半導体デバイス
  8. 前記一の素子、他の素子および可動素子は、同一パッケージ内に形成されている
    請求項7に記載の半導体デバイス。
  9. 前記請求項7または請求項8に記載の半導体デバイスを内蔵する
    モジュール
  10. 前記請求項7または請求項8に記載の半導体デバイスを内蔵する
    電子機器
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