JP2007281715A - 振動子 - Google Patents

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Abstract

【課題】静電駆動型の振動子における実効バイアス電圧の変化に伴う素子特性の変動を抑制する。
【解決手段】静電駆動型の振動子素子22を有し、振動子素子22の直流電圧給電線路26と接地25との間に抵抗素子27が接続されて成る。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電駆動型の振動子に関する。
マイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製された振動子、例えば静電駆動型の振動子が知られている。この振動子は、ミシガン大学を始めとする研究機関から提案されている(非特許文献1参照)。
図18に、高周波フィルタを構成する上述の静電駆動型の振動子の概略を示す。この振動子1は、半導体基板2上に絶縁膜3を形成してなる基板4上に例えば多結晶シリコン膜による下部電極となる出力電極5と配線層6〔6A,6B〕が形成され、この出力電極5に空間9を介して対向する振動部となる例えば多結晶シリコン膜による上部電極、いわゆるビーム(梁)7が形成されて成る。ビーム7は、両端が支持部(アンカー部)8〔8A,8B〕を介して配線層6〔6A,6B〕に接続され、両持ち梁構造に形成される。ビーム7は入力電極となる。入力側の配線層6Aより入力端子t1が導出され、出力電極5より出力端子t2が導出される。
この振動子1は、ビーム7と接地間に直流バイアス電圧(以下、DCバイアス電圧という)が印加された状態で、入力端子t1からビーム7に特定の周波数信号(高周波信号)が入力されると、ビーム7が固有振動周波数で共振し、出力電極5とビーム7との間の空間6で形成されるキャパシタの容量が変化し、出力電極5から特定の周波数信号が出力される。
C.T-Nguyen, Micromechanical components for miniaturized low-power communications(invited plenary),proceedings,1999 IEEE MTT-S International Microwave Symposium RF MEMS Workshop,June,18,1999,pp,48-77,
ところで、静電駆動型の振動子には常に帯電の問題が存在している。電荷を全く蓄積しない理想的な構造物の作製は原理的に不可能であり、かつ上記振動子の動作には、電圧の印加が不可欠であるからである。例えば、静電駆動型の振動子を長時間DCバイアス電圧印加の下で、何らの対策を施すことなく動作させると、いわゆる「チャージング」と呼び慣わされている、DCバイアス電圧のオフセット現象が発生する。すなわち、電源を通して同じDCバイアス電圧を印加しているにもかかわらず、印加電圧が変えられたかのように動作する、現象が発生する。
このような特性の動作時間に伴う変動は、静電駆動型の振動子を電子部品として商品に応用する場合には、回避をすることができない重要な課題である。しかしながら、この課題に対する対策は殆ど成されていない。このような現象を最小限度に抑制することが、商品の信頼性確保の立場から強く要請されている。
本発明は、上述の点に鑑み、静電駆動型の振動子における実効バイアス電圧の変化に伴って発生する素子特性の変動を最小限度に抑えた、振動子を提供するものである。
本発明に係る振動子は、静電駆動型の振動子素子を有し、振動子素子の直流電圧給電線路と接地との間に抵抗素子が接続されていることを特徴とする。
本発明の振動子では、直流電圧給電線路と接地との間に抵抗素子が接続されるので、直流電圧の印加に起因して振動子素子に電荷が帯電しても、その電荷は抵抗素子を通して接地側に放電される。
本発明に係る振動子は、静電駆動型の振動子素子と、この振動子素子の直流電圧給電線路を有し、直流電圧給電線路が接地側と直流給電回路側へ分岐されていることを特徴とする。
本発明の振動子では、直流電圧給電線路が分岐されて一方が接地側に接続されるので、直流電圧の印加に起因して振動子素子に電荷が帯電しても、その電荷は接地側に放電される。
本発明に係る振動子は、静電駆動型の振動子素子と、振動子素子を駆動するための電源回路を有し、電源回路から接地電位が出力されるようにしたことを特徴とする。
本発明の振動子では、電源回路から接地電位を振動子素子に印加することにより、直流電圧の印加に起因して振動子素子に電荷が帯電しても、その電荷は放電される。
本発明に係る振動子によれば、直流電圧の印加で振動子素子に誘起された電荷が固着される前に放電されることにより、帯電により引き起こされる動作特性の変動を最小限度に抑制することができる。この振動子の長期間の動作・保存に伴う動作特性の経時変動を最小限度に抑制できることから、振動子の信頼性を向上することができる。
本発明の実施の形態に係る振動子は、静電駆動型の振動子素子を有して構成されるもので、この振動子素子を含んでなるSoC(システム・オン・チップ)あるいはSiP(システム・イン・パッケージ)等の半導体デバイスに適用される。すなわち、本実施の形態に係わる振動子は、通常の半導体集積回路と組み合わされて信頼性の高い微小電気機械デバイスとして顧客に提供することができる。
本実施の形態の振動子の一例としては、静電駆動型の振動子素子を有し、この振動子素子の直流電圧給電線路、すなわち振動部となるビーム(梁)または下部電極に接続される直流電圧給電線路と、接地との間に抵抗素子を接続して構成する。この構成では直流バイアス電圧が印加されるビームまたは下部電極の部分と、接地例えば基板上の接地面とが抵抗素子を通して短絡される。この抵抗素子が、下部電極とビームで構成される振動子素子のインピーダンスに比較して十分に大きな抵抗であれば、振動子の動作中も高周波信号(RF)の接地面への漏洩を十分に少なく保つことができる。また、直流電源としては定電圧発生回路が望ましい。直流電源として定電圧発生回路を用いれば、挿入した抵抗素子に拘わらずに所望の直流バイアス電圧を振動子素子に印加することができる。
本実施の形態の振動子の他の例としては、静電駆動型の振動子素子と、この振動子素子に接続される直流電圧給電線路を有し、直流電圧給電線路が接地側と直流給電回路側へ分岐されるように構成する。この場合、接地側の分岐配線の抵抗成分を上記抵抗素子として利用できる。さらに、この分岐点に、振動子素子の動作状況に応じて直流電圧給電線路の接続を直流電源回路または接地側に変更する機能を持つ電気回路あるいは切換手段を設けて構成することができる。また、分岐は、例えば、ビームなど振動子の構成部分を用いて成すこともできる。
本実施の形態の振動子の他の例としては、静電駆動型の振動子素子を有し、その振動子素子に接続される直流電源を、接地電位(0V)と接地電位ではない所望の電圧(いわゆる直流バイアス電圧(駆動電圧))との少なくとも2種の電圧を発生する電源回路、望ましくは定電圧電源回路により構成する。この電源回路は、振動子素子の動作状況に応じて所望の電圧または接地電位(0V)を直流電圧給電線路に出力する。この電源回路は、必要に応じてタイマー回路が付与されて、振動子素子を機能させないある時間はその出力端子に0Vが出力されるように成すこともできる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳述する。本実施の形態で対象とする振動子は、マイクロメータスケール、ナノメータスケールの素子である。
図1に、本発明に係る振動子の第1実施の形態の概略構成を示す。本実施の形態に係る振動子21は、静電駆動型の振動子素子22と、この振動子素子22に接続された信号入力線路23及び信号出力線路24と、グランド線路25、いわゆる接地面(同図では具体的な形状は示されていない)を有し、振動子素子22の直流電圧給電線路(以下、DC給電線路という)26とグランド線路25との間に抵抗素子27を接続して構成される。
振動子素子22は、図1及び図2(断面構造)で示すように、基板31上に本例では下部電極となる入力電極32と配線層36[36A,36B]が形成され、この入力電極32に空間33を介して対向する2つの振動部となるビーム(梁)34〔341、342〕とを有して形成される。2つのビーム341、342は上部電極となるもので所要の間隔を置いて平行に配列される。各ビーム341及び342は、両端が支持部(アンカー部)35〔351、352〕を介して配線層36[36A,36B]に接続され、両持ち梁構造に形成される。入力電極32は信号入力線路23に接続される。2つのビーム341及び342は共通に接続されて一方の接続端に信号出力線路24が接続される。ビーム341及び342の他方の接続端には、ビーム34〔341、342〕に直流バイアス電圧を供給するためのDC給電線路26が接続される。DC給電線路26は分岐され、分岐された一方が抵抗素子27を介してグランド線路25に接続され、分岐された他方が直流バイアス給電回路、いわゆる直流電源回路(以下、DC電源回路という)28に接続される。下部電極32、ビーム34は、例えば多結晶シリコン膜で形成することができる。
振動子21の消費電力の抑制、DC給電線路26の全体の釣り合いのためには、接続される抵抗素子26は、1MΩ〜10MΩ程度に十分大きいことが望ましい。抵抗素子27をこのような十分に大きい抵抗とすることにより、振動子素子の動作中に所要の周波数信号、例えば高周波(RF)信号の接地面への漏洩を十分に小さく抑えることができる。DC電源回路28は定電圧発生回路であることが望ましい。DC電源として定電圧発生回路を用いることにより、挿入した抵抗素子27に拘らず所望のDCバイアス電圧を振動子素子に印加することができる。信号出力線路24には、容量29が直列に接続され、DC電流を阻止し、所要周波数信号、例えば高周波信号のみが出力される。
抵抗素子27は、振動子素子が形成される同一基板上に形成することができる。この基板の表面または裏面に接地面を形成することができる。従って、接地面とDC給電回路とを例えば多結晶シリコンの細線で結ぶことによりDC給電線路26を接地面に短絡させることができる。最も簡略には、DC導入パッドと接地面との間に多結晶シリコン細線の抵抗を用いて接続することで実現できる。すなわち、この多結晶シリコン細線の抵抗が抵抗素子となる。
抵抗素子27として用いる導電層、例えば多結晶シリコン細線(配線層)の形状を工夫することにより、すなわち、例えば2層の配線層を用いることでビアを介してコイル状に形成するか、あるいはミアンダ配線を形成することにより、抵抗素子27にはインダクタンスの性質を持たせることができる。これにより、高周波信号の漏洩をより少なくできる。
基板31は、例えば半導体基板上に絶縁膜を形成した基板、石英基板やガラス基板のような絶縁性基板を用いることができる。本例では単結晶シリコンからなる半導体基板上に絶縁膜を形成した基板を用いる。
図3及び図4に、図1の具体的一例を示す。同一基板31上に振動子素子22と、その下部電極の入力電極32に接続された信号入力線路23と、ビーム34に接続された信号出力線路24と、容量29とが形成され、さらに基板の同じ表面に接地電位が印加される接地面、いわゆるグランド線路25が形成される。そして、この基板の表面において、ビーム34に接続されたDC給電線路26は分岐され、その分岐点にDC導入パッド30が形成される。この分岐された一方においてDC導入パッド30とグランド線路25との間に抵抗素子27が挿入され、分岐された他方においてDC導入パッド30に外部のDC電源回路28が接続される。なお、接地面25は基板31の裏面に形成することもできる。
本実施の形態の振動子21の動作を説明する。駆動時には、振動子素子22のビーム34〔341、342〕にDC電源回路28からDC給電線路26を通して所要のDCバイアス電圧が印加される。下部電極である入力電極32に信号入力線路23を通じて特定の周波数信号(例えばRF信号)が印加されると、ビーム34が固有振動周波数で共振し、入力電極32とビーム34との間の空間33で形成されるキャパシタの容量が変化し、ビーム34に接続された信号出力線路24を通じて特定の周波数信号が出力される。この振動子素子22は、1次振動モードで振動する。
一方、DCバイアス電圧の印加によりビーム34に電荷が誘起されるが、この電荷は固着される前に抵抗27を通して放電される。すなわち、ビーム34〔341、342〕にDCバイアス電圧が印加されない非駆動時には(すなわち、振動子として機能させないときは)、ビーム34に誘起された電荷が抵抗素子27を通して接地面25に放電される。これにより、ビーム34への帯電により引き起こされる動作特性の変動は最小限度に抑制される。
上述の第1実施の形態に係る振動子21によれば、DCバイアス電圧をビーム34に印加したことで誘起された電荷が固着される前に抵抗27を通じて放電されるので、振動子素子22の帯電により引き起こされる動作特性の変動を最小限度に抑制することができる。従って、振動子21の長期間の動作・保存に伴う動作特性の経時変動を最小限度に抑制することができる。これにより、振動子の信頼性を向上することができる。
図1において、例えばRF信号の入出力線路23及び24は、入れ替えてもよい。すなわち、下部電極32を出力電極としてこれに信号出力線路を接続し、ビーム24に信号入力線路を接続するようにしてもよい。また、振動子素子22を多数設置し並列振動子とすることもできる。
図5に、本発明に係る振動子の第2実施の形態の概略構成を示す。本実施の形態に係る振動子41は、静電駆動型の振動子素子42と、この振動子素子42の下部電極となる入力電極32に接続された信号入力線路23と、ビーム34〔341、342〕に接続された信号出力線路24と、グランド線路25、いわゆる接地面を有し、振動子素子42の入力電極32(換言すれば入力電極32に接続されたDC給電線路26)とグランド線路25との間に抵抗素子27を接続して構成される。
すなわち前述と同様に、DC給電線路26は分岐されて、分岐された一方が抵抗素子27を介してグランド線路25に接続され、分岐された他方がDC電源回路28に接続される。DC電源回路28は、定電圧発生回路であることが望ましい。また、信号入力線路23には容量29が直列に接続され、入力線路側へのDC電流の流出は阻止され、所要周波数信号、例えばRF信号が入力される。
振動子素子42、抵抗素子27等のその他の構成は図1〜図4で説明したと同様であるので、重複説明を省略する。
本実施の形態の振動子41の動作を説明する。駆動時には、下部電圧である入力電極32にDC電源回路28からDC給電線路26を通して所要のDCバイアス電圧が印加される。入力電極32に信号入力線路23を通じて特定の周波数信号(例えばRF信号)が印加されると、ビーム34が固有振動周波数で共振し、入力電極32とビーム34との間の空間33で形成されるキャパシタの容量が変化し、ビーム34に接続された信号出力線路24を通じて特定の周波数信号が出力される。この振動子素子42は、1次振動モードで振動する。
一方、DCバイアス電圧の印加により。下部電極である入力電極32に電荷が誘起されるが、この電荷は固着される前に抵抗27を通して放電される。すなわち、入力電極32にDCバイアス電圧が印加されない非駆動時には(すなわち、振動子として機能させないときは)、入力電極32に誘起された電荷が抵抗素子27を通して接地面25に放電される。これにより、下部電極の入力電極32への帯電により引き起こされる動作特性の変動は最小限度に抑制される。
第2実施の形態に係る振動子41によれば、DCバイアス電圧を下部電極である入力電極32に印加したことで誘起された電荷が固着される前に抵抗27を通じて放電されるので、振動子素子42の帯電により引き起こされる動作特性の変動を最小限度に抑制することができる。従って、振動子21の長期間の動作・保存に伴う動作特性の経時変動を最小限度に抑制することができる。これにより、振動子の信頼性を向上することができる。
図5において、例えばRF信号の入出力線路23及び24は入れ替えてもよい。すなわち、下部電極32を出力電極としてこれに信号出力線路を接続し、ビーム24に信号入力線路を接続するようにしてもよい。また、振動子素子22を多数設置し並列振動子とすることもできる。
図6に、本発明に係る振動子の第3実施の形態の概略構成を示す。本実施の形態に係る振動子43は、静電駆動型の振動子素子44と、2つのビーム34〔341、342〕のうち、一方のビーム341に接続された信号入力線路23と、他方のビーム342に接続された信号出力線路24と、下部電極32に接続されたDC給電線路26と、グランド線路25、いわゆる接地面を有し、下部電極32(換言すればDC給電線路26)とグランド線路25との間に抵抗素子27を接続して構成される。すなわち前述と同様に、DC給電線26は分岐され、分岐された一方が抵抗素子27を介してグランド線路25に接続され、分岐された他方がDC電源回路28に接続される。
下部電極32は各ビーム341、342の下部に形成したそれぞれの電極を接続するか、もしくは共通の電極で形成することができる。本例では下部電極32を2つのビーム341、342に対して共通の電極で形成される。2つのビーム341、342は同じ固有振動周波数を持つ。DC電源回路28は、定電圧発生回路であることが望ましい。
振動子素子44、抵抗素子27等のその他の構成は第1実施の形態で説明したと同様であるので、重複説明を省略する。
本実施の形態の振動子43の動作を説明する。駆動時には、下部電極32にDC電源回路28からDC給電線路26を通して所要のDCバイアス電圧が印加される。信号入力線路23を通してビーム341に特定の周波数信号(例えばRF信号)が印加されると、ビーム341が固有振動周波数で共振し、下部電極23が共通であるため他方のビーム342が同じ固有振動周波数で共振し、下部電極32とビーム342間の空間で形成されるキャパシタの容量が変化し、ビームに接続された信号出力線路24を通じて特定の周波数信号が出力される。この振動子素子44は、1次振動モードで振動する。
一方、DCバイアス電圧の印加により下部電極32に電荷が誘起されるが、この電荷は固着される前に抵抗素子27を通して放電される。すなわち、下部電極32にDCバイアス電圧が印加されない非動作時には(すなわち、振動子として機能させないときは)、下部電圧32に誘起された電荷が抵抗素子27を通して接地面25に放電される。これにより、帯電により引き起こされる動作特性の変動は最小限度に抑制される。
上述の第3実施の形態に係る振動子43によれば、DCバイアス電圧を下部電極32に印加したことで誘起された電荷が固着される前に抵抗素子27を通じて放電されるので、振動子素子44の帯電により引き起こされる動作特性の変動を最小限度に抑制することができる。従って、振動子43の長期間の動作・保存に伴う動作特性の経時変動を最小限度に抑制することができる。これにより、振動子の信頼性を向上することができる。
図6において、例えばRF信号の入出力線路23及び24は入れ替えてもよい。また、振動子素子44を多数設置し並列振動子とすることもできる。
図7に、本発明に係る振動子の第4実施の形態の概略構成を示す。本実施の形態の振動子46は、2次振動モードで振動する振動子素子を用いて構成したもので、抵抗素子27、DC電源回路28の接続関係は図1と同様である。
本実施の形態に係る振動子46は、静電駆動型の2次振動モードで振動する振動子素子47と、振動子素子47に接続された信号入力線路23及び信号出力線路24とグランド線路25、いわゆる接地面を有し、振動子素子47のDC給電線路26とグランド線路25との間に抵抗素子27を接続して構成される。
振動子素子47は、図7及び図8(断面構造)で示すように、基板31上に下部電極となる入力電極321及び出力電極322と配線層36[36A,36B]を形成し、この入出力電極321、322に空間33を介して対向する振動部となるビーム(梁)34を配置して形成される。ビーム34は、両端が支持部(アンカー部)35〔351、352〕を介して配線層36[36A,36B]に接続され、両持ち梁構造に形成される。そして、入力電極321に信号入力線路23が接続され、出力電極322に信号出力線路24が接続される。また、ビーム34には直流バイアス電圧を供給するためのDC給電線路26が接続される。DC給電線路26は前述と同様に分岐され、分岐された一方が抵抗素子27を介してグランド線路25に接続され、分岐した他方がDC電源回路28に接続される。
抵抗素子27等のその他の構成は、第1実施の形態で説明したと同様であるので、重複説明を省略する。
図9に、図7の具体的一例を示す。この振動子46は、同一基板31上に2次振動モードの静電駆動型の振動子素子47と、振動子素子47のビーム34に接続されたDC給電線路26と、DC給電線路26の分岐点の位置にDC導入パッド30が形成され、さらにDC導入パッド30とグランド線路25となる接地面(導電膜)との間に挿入された抵抗素子27が形成されて成る。下部電圧である入力電極321及び出力電極322にそれぞれ接続された信号入力線路23及び信号出力線路24も同一基板31上に形成される。DC導入パッド30には外部のDC電源回路28が接続される。接地面は、基板31の振動子素子47が形成される表面あるいは裏面に形成することができる。裏面に接地面を形成するときは、裏面の接地面に基板31に形成した埋め込み導電層を通して抵抗素子27に接続されるようになされる。
本実施の形態の振動子46の動作を説明する。動作時には、ビーム34にDC電源回路28からDC給電線路26を通して所要の直流バイアス電圧が印加される。下部電極である入力電極321に信号入力線路23を通じて特定の周波数信号(例えばRF信号)が印加されると、ビーム34が固有振動周波数で共振し、出力電極322とビーム34との間の空間33で形成されるキャパシタの容量が変化し、出力電極322に接続された信号出力線路24を通じて特定の周波数信号が出力される。この振動子素子47は、2次振動モードで振動する。
一方、DCバイアス電圧の印加によりビーム34に電荷が誘起されるが、この電荷は固着される前に抵抗27を通して放電される。すなわち、ビーム34にDCバイアス電圧が印加されない非駆動時には(すなわち、振動子として機能させないときは)、ビーム34に誘起された電荷が抵抗素子27を通して接地面25に放電される。これにより、ビーム34への帯電により引き起こされる動作特性の変動は最小限度に抑制される。
上述の第4実施の形態に係る振動子46によれば、第1実施の形態と同様に、DCバイアス電圧の印加に起因する動作特性の経時変動を最小限度に抑制することができ、振動子の信頼性の向上を図ることができる。
第4実施の形態では、直流電流の漏洩を阻止する目的での容量の信号線路への挿入は必要としない。本実施の形態の場合も振動子素子47を並列化した構成とすることができる。
図10に、本発明に係る振動子の第5実施の形態の概略構成を示す。本実施の形態に係る振動子48は、前述の図7の振動子46の変形例に相当する。
本実施の形態に係る振動子48は、同一基板31上に2次振動モードの静電駆動型の振動子素子47と、振動子素子47のビーム34に接続されたDC給電線路26と、DC給電線路26の分岐点となる部分に形成した片持ち梁構造のMEMSスイッチSWxと、抵抗素子27と、グランド線路25となる接地面とを形成して構成される。さらに、振動子素子47の下部電極とである入力電極321及び出力電極322に接続された信号入力線路23及び信号出力線路24も同一基板31上に形成される。
MEMSスイッチSWxは、下部電極61と片持ち梁構造のビーム62を有して形成される。外部のDC電源回路28はMEMSスイッチSWxのビーム62に接続されるようになされる。DC給電線路26はMEMSスイッチSWxのビーム62に接続され、抵抗素子27はMEMSスイッチSWxの下部電極61に接続される。ここで、MEMSスイッチSWxは、そのビーム62が振動子素子47のビーム34に比べて低いDCバイアス電圧の印加で下部電極61に接触されるように構成される。このMEMSスイッチSWxは振動子素子47と同じ作製工程を用いて形成することができる。
振動子素子47、抵抗素子27等のその他の構成は、図7〜図8で説明したと同様であるので、重複説明を省略する。
本実施の形態の振動子48の動作を説明する。駆動時には、ビーム34に電源回路28からMEMSスイッチSWxのビーム62及びDC給電線路26を通して所要のDCバイアス電圧が印加される。下部電極である入力電極321に信号入力線路23を通じて特定の周波数信号(例えばRF信号)が印加されると、ビーム34が固有振動周波数で共振し、出力電極322とビーム34との間の空間33で形成されるキャパシタの容量が変化し、出力電極322に接続された信号出力線路24を通じて特定の周波数信号が出力される。この振動子素子47は、2次振動モードで振動する。
この駆動時、MEMSスイッチSWxのビーム62にもDCバイアス電圧が印加されることによりビーム62は下部電極61に接触し、MEMSスイッチSWxとしてはオン状態となる。
一方、駆動時におけるDCバイアス電圧の印加によりビーム34に電荷が誘起されるが、この電荷は固着される前にMEMSスイッチSWx及び抵抗27を通して放電される。すなわち、ビーム34にDCバイアス電圧が印加されない非駆動時には、振動子素子47のビーム34及びMEMSスイッチSWxのビーム62に誘起された電荷がオン状態のMEMSスイッチSWxから抵抗素子27を通して接地面25に放電される。これにより、振動子素子47のビーム34への帯電により引き起こされる動作特性の変動は最小限度に抑制される。
上述の第5実施の形態に係る振動子48によれば、図7の第4実施の形態と同様に、DCバイアス電圧の印加に起因する動作特性の経時変動を最小限度に抑制することができ、振動子の信頼性の向上を図ることができる。また、駆動時に、例えばDC電源回路28にサージ電圧が流れ過大電圧が振動子素子47に印加されようとしても、サージ電圧はオン状態のMEMSスイッチSWxを通して接地面25に放電されるので、振動子素子47を保護することができる。
誘起された電荷が全て放電されれば、MEMSスイッチSWxのビーム62は下部電極61から離れて元に復帰し、MEMSスイッチSWxはオフ状態になる。
図11に、本発明に係る振動子の第6実施の形態の概略構成を示す。本実施の形態に係る振動子49は、第4実施の形態の構成において、振動子素子47のビーム34に接続されたDC給電線路26を分岐し、一方をグランド線路25となる接地面に接続し、他方をDC電源回路28に接続するようになすと共に、この分岐点に切換手段、すなわち切換スイッチSW1を設けて構成される。切換スイッチSW1の切換により、ビーム34はDC電源回路28に接続され、または接地面25に接続される。この構成において、切換スイッチSW1と接地面25との間の抵抗67は0Ω(短絡状態)である必要はない。
振動子素子47等のその他の構成は図7、図8と同様であるので、重複説明を省略する。
本実施の形態の振動子49の動作を説明する。駆動時には、切換スイッチSW1がDC電源回路28側に切り換わり、ビーム34にDC電源回路28からDC給電線路26を通して所要のDCバイアス電圧が印加される。この状態で信号入力線路23を通して入力電極321に特定の周波数信号(例えばRF信号)が入力されると、第4実施の形態で説明した同様に、ビーム34が固有振動周波数で共振し、出力電極322から信号出力線路24へ特定の周波数信号が出力される。
一方、ビーム34にDCバイアス電圧を印加させない非駆動時には(すなわち、振動子として機能させないときは)、切換スイッチSW1が接地面25側に切り換わり、ビーム34に接続されているDC給電線路26をDC電源回路28から切り離す。これにより、ビーム34に誘起した電荷は抵抗67を通して接地面25に放電される。
第6実施の形態に係る振動子49によれば、振動子として機能させないときには、切換スイッチによりビーム34に接続されているDC給電線路26からDC電源回路28を切り離すと共に、DC給電線路26を接地面25に接続することにより、ビーム34に誘起された電荷が放電される。従って、DCバイアス電圧の印加に起因する動作特性の経時変動を最小限度に抑制することができ、振動子の信頼性の向上を図ることができる。
第6実施の形態のDC給電線路の分岐点に切換スイッチSW1を設ける構成は、前述した1次振動モードの振動子にも適用できる。
図12に、本発明に係る振動子の第7実施の形態の概略構成を示す。本実施の形態に係る振動子51は、第4実施の形態(図7)と同様の2次振動モードの静電駆動型の振動子素子47を有し、そのビーム34にDC給電線路26を介して電源回路52を接続して構成される。この電源回路52は、所要の電圧、すなわち駆動電位であるDCバイアス電圧を給電する第1電源53と、接地電位(0V)を給電する第2電源54とを含む定電圧電源回路で構成される。そして、この電源回路52は、切換手段、すなわち切換スイッチSW2を設け、この切換スイッチSW2により、選択的にDC給電線路26に接地電位またはDCバイアス電圧が給電できるように構成される。
上記の電源回路52は、SiPあるいはSoCにより1つの機能モジュールとして構成されることが望ましい。
本実施の形態の振動子51の動作を説明する。駆動時には、切換スイッチSW2を第1電源53側に切り換えてビーム34にDCバイアス電圧を印加する。この状態で信号入力線路23を通して入力電極321に特定の周波数信号(例えばRF信号)が入力されると、第4実施の形態で説明した同様に、ビーム34が固有振動周波数で共振し、出力電極322から信号出力線路24へ特定の周波数信号が出力される。
一方、DCバイアス電圧を印加しない非駆動時、すなわち振動子として機能させないときは、切換スイッチSW2を第2電源54側に切り換えて、ビーム34の電位を接地面と同電位の0Vにする。これにより、ビーム34に誘起した電荷は接地面25に放電される。
第7実施の形態に係る振動子51によれば、振動子として機能させないときには、切換スイッチSW2を切り換えて第2電源54から0Vを給電することにより、ビーム34に誘起された電荷が放電される。従って、第1実施の形態と同様に、DCバイアス電圧の印加に起因する動作特性の経時変動を最小限度に抑制することができ、振動子の信頼性の向上を図ることができる。
本発明に係る振動子の第8実施の形態は、図示しないが、例えば図1あるいは図7に示す振動子素子と、この振動子素子に接続されたDC給電線路を有し、DC給電線路にグランド線路である接地面側とDC給電回路側への分岐を設けて構成する。配線は抵抗成分を有する。したがって、本実施の形態では、接地面側の分岐配線を1MΩから10MΩの配線抵抗が得られるように形成して、この配線抵抗を図1及び図7で示す抵抗素子として用いるように構成する。
この第8実施の形態においても、この接地面側の分岐配線の抵抗成分を利用することにより、図1及び図7で説明したと同様に、DCバイアス電圧の印加に起因する動作特性の経時変動を最小限度に抑制することができ、振動子の信頼性の向上を図ることができる。
図13及び図14に本実施の形態に係る振動子の効果、すなわちチャージ(帯電)による共振特性のDCバイアス・ショートの効果を例示する。
図13の例示(1)を説明する。波形a1は、DCバイアス給電線路を接地電位にショートする手段を有しない従来の振動子の共振特性を示す。チャージング(帯電効果)によりDCバイアス電圧=0Vでも共振ピーク65が観測される。すなわち、DCバイアスが0Vであっても振動子には共振が起き、出力端子へ周波数に依存する出力がなされている。波形b1は、本実施の形態の共振特性、すなわち、DCバイアス給電線路を電源回路から接地面へ100kΩの抵抗を通して繋ぎ替え、その状態に22分間保持した振動子のDCバイアス電圧=0Vでの共振特性である(振動子は図11の例)。波形b1では、振動子の共振によるピークは観測されない。振動子にはDCバイアス電圧が印加されていないこと、つまり、DCバイアス給電線路を接地面に短絡させることがチャージング(帯電効果)を除去する効果を持つことを示している。
この例示における振動子のビームには、F∝V1(DCバイアス)×V2(RF信号)の力が働く(正確には、Fはここに記述した以外の複数の項を含むが、RF信号と同じ振動数を有する項はこの項のみである)。ビームの機械振動の共振周波数はビームの物理的構造(縦、横、高さ、保持方法、材料、設置環境など)によって決まる。この振動子は、共振周波数がおよそ59MHzとなるように設計されている。図13の横軸は入力RF信号の周波数である。縦軸は振動子のSパラメータ、S21であり、振動子の電力透過特性である。ピークが出ることで周波数に対する信号の選択特性が実現できる。波形a1のピーク周波数は振動子の共振周波数に一致している。原理上DCバイアス電圧が印加されない場合には振動子に共振を起こさせる力は働かず、従って共振ピークは観測できない。波形a1のピーク65は外部印加DC電圧が0Vであるにもかかわらず、帯電のために上記の式中のV1(DCバイアス)に当たる電圧が実効的に印加されていることを示している。
図14の例示(2)を説明する。ここでは下部電極に対してビームを30個並列配置して並列化した振動子の例である。波形a2は、DCバイアス給電線路を接地電位にショートする手段を有しない従来の振動子の共振特性を示す。チャージング(帯電効果)によりDCバイアス電圧=0Vでも共振ピーク66が観測される。すなわち、DCバイアスが0Vであっても振動子には共振が起き、出力端子へ周波数に依存する出力がなされている。波形b2は、本実施の形態の共振特性、すなわち、DCバイアス給電線路を電源回路から接地面へ100kΩの抵抗を通して繋ぎ替え、その状態に6分間保持した振動子のDCバイアス電圧=0Vでの共振特性である。波形b2では、振動子の共振によるピークは観測されない。振動子にはDCバイアス電圧が印加されていないこと、つまり、DCバイアス給電線路を接地面に短絡させることがチャージング(帯電効果)を除去する効果を持つことを示している。結果の解釈は、図13の場合と同様である。
振動子素子の部分は、例えば図15〜図16に示す製法で形成することができる。この例の製法は、図7などで示す2次振動モードの振動子素子の形成に適用しているが、図1などで示す1次振動モードの振動子素子の形成にも適用できる。
先ず、図15Aに示すように、シリコンウェハー(基板)101の上面に絶縁膜となる酸化シリコン薄膜(HDP膜:High Density Plasma酸化膜)102と窒化シリコン膜103との複合膜104を成膜し、続けて導電性のある多結晶シリコン薄膜(PDAS:Phosphorus doped amorphous silicon)105を成膜する。
次に、図15Bに示すように、多結晶シリコン薄膜105上にレジストマスクを形成し、このレジストマスクを介して例えばドライエッチング法により多結晶シリコン薄膜105を選択的にエッチング除去し、下部電極である例えば入力電極107及び出力電極108と、ビーム(梁)の固定部を兼ねる配線層109〔109A,109B〕を形成する。
次に、図15Cに示すように、形成された入力電極107、出力電極108、配線層109〔109A,109B〕及び抵抗素子(図示せず)を例えば酸化シリコン薄膜(DHP膜)111で埋め戻し、化学機械研磨法(CMP)により平坦化し、入力電極107、出力電極108及び配線層109〔109A,109B〕および抵抗素子の表面を露出させる。
次に、図15Dに示すように、平坦化した薄膜上に下部電極である入力電極107及び出力電極108とビームとの間隔に応じた膜厚の犠牲層112、例えば50nm程度の厚さの酸化シリコン薄膜(LP−TEOS)を形成する。
次に、図16Eに示すように、犠牲層112を例えばドライエッチング法により選択的にエッチング除去して両配線層109〔109A,109B〕に達する貫通孔113〔113A及び113B〕を形成する。この貫通孔113は後工程でビームと配線層109とを繋ぐための貫通孔である。
次に、図16Fに示すように、貫通孔113〔113A,113B〕内を含む犠牲層112上に多結晶シリコン薄膜(PDAS)114を成膜する。続いて例えばドライエッチング法により多結晶シリコン薄膜114をパターニングして、両端が配線層113A、113に接続されたビーム(梁)115を形成する。この場合、ビーム115の両端から延長して配線層109A,109Bに接続する部分、すなわち貫通孔113A,113B内の部分がビーム115の支持部(アンカー部)116〔116A,116B〕となる。
次に、図16Gに示すように、犠牲層112である酸化シリコン薄膜を例えばフッ酸を含むエッチング液を用いて選択的にエッチング除去し、入力電極107及び出力電極108とビーム115との間に空間117を有する振動子素子118を形成する。必要に応じて導電性の配線を、例えばリフトオフにより形成する。
この振動子素子118の製造工程において、前述した基板上の接地面、DCバイアス給電線路、信号入力線路、信号出力線路等は、下部電極の形成と同時に形成することができる。また、抵抗素子は抵抗材料による厚膜で形成することができる。
一方、図10及び図12に示した電源回路部分は、通常のシリコン半導体素子作製工程を用いて作製することができる。当然であるが、個別の半導体から構成することも可能である。電源回路は、前述したように、振動子素子と同一の基板上に集積化してSoC(システム・オン・チップ)として構成することができる。あるいは別の工程を用いて電源回路を作製した後、配線手段(配線基板)を用いてモジュールとして、振動子素子、配線手段及び電源回路を基板上に集積化してSiP(システム・イン・パッケージ)として構成することもできる。
上述した実施の形態の静電駆動型の振動子は、微小電気機械デバイスの構成要素として用いることができる。この静電駆動型の振動子を有する微小電気機械デバイスは、機械振動子の共振現象を利用してアナログ電気信号、とりわけ高周波(RF)領域の電気信号を加工する、変調、フィルタリング、あるいは信号の移送を変化させる微小電気機械デバイス、あるいは高周波信号分岐を成すための微小電気機械デバイスとして構成することができる。
微小電気機械デバイスは、実施の形態の振動子を用いて信号フィルタ、ミキサー、共振器、及びそれらが含まれるSoCデバイスモジュール、SiPデバイスモジュール等の半導体デバイスとして構成することができる。すなわち、上述した実施の形態の静電駆動型の振動子と他の半導体デバイスと統合して成る半導体デバイスを構成することができる。
上述した実施の形態の振動子によれば、DCバイアス印加に起因する動作特性の経時劣化を最小限度に抑制することができる。これにより、振動子を電子部品とする商品の信頼性を向上することができる。従って、顧客の満足を得ることができ、商品の長寿命化を通して資源の浪費を防ぐことができる。
上述した実施の形態の振動子は、高周波(RF)フィルタ、中間周波数(IF)フィルタなどの帯域フィルタとして用いるのに適する。
また、本発明の他の実施の形態として、このような振動子によるフィルタを用いた通信装置を提供できる。すなわち、上述の実施の形態に係る振動子によるフィルタを用いて構成される携帯電話、無線LAN機器、無線トランシーバ、テレビチューナ、ラジオチューナ等の電磁波を利用して通信する通信装置を提供することもできる。
次に、実施の形態の振動子をフィルタとして適用した通信装置の構成例を図17を参照して説明する。
まず送信系の構成について説明すると、Iチャンネルの送信データとQチャンネルの送信データを、それぞれデジタル/アナログ変換器(DAC)201I及び201Qに供給してアナログ信号に変換する。変換された各チャンネルの信号は、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qに供給して、送信信号の帯域以外の信号成分を除去し、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qの出力を、変調器210に供給する。
変調器210では、各チャンネルごとにバッファアンプ211I及び211Qを介してミキサ212I及び212Qに供給して、送信用のPLL(phase-locked loop)回路203から供給される送信周波数に対応した周波数信号を混合して変調し、両混合信号を加算器214で加算して1系統の送信信号とする。この場合、ミキサ212Iに供給する周波数信号は、移相器213で信号位相を90°シフトさせてあり、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが直交変調されるようにしてある。
加算器214の出力は、バッファアンプ215を介して電力増幅器204に供給し、所定の送信電力となるように増幅する。電力増幅器204で増幅された信号は、送受信切換器205と高周波フィルタ206を介してアンテナ207に供給し、アンテナ207から無線送信させる。高周波フィルタ206は、この通信装置で送信及び受信する周波数帯域以外の信号成分を除去するバンド・パス・フィルタである。
受信系の構成としては、アンテナ207で受信した信号を、高周波フィルタ206及び送受信切換器205を介して高周波部220に供給する。高周波部220では、受信信号を低ノイズアンプ(LNA)221で増幅した後、バンド・パス・フィルタ222に供給して、受信周波数帯域以外の信号成分を除去し、選択された信号をバッファアンプ223を介してミキサ224に供給する。そして、チャンネル選択用PLL回路251から供給される周波数信号を混合して、所定の送信チャンネルの信号を中間周波信号とし、その中間周波信号をバッファアンプ225を介して中間周波回路230に供給する。
中間周波回路230では、供給される中間周波信号をバッファアンプ231を介してバンド・パス・フィルタ232に供給して、中間周波信号の帯域以外の信号成分を除去し、除去された信号を自動ゲイン調整回路(AGC回路)233に供給して、ほぼ一定のゲインの信号とする。自動ゲイン調整回路233でゲイン調整された中間周波信号は、バッファアンプ234を介して復調器240に供給する。
復調器240では、供給される中間周波信号をバッファアンプ241を介してミキサ242I及び242Qに供給して、中間周波用PLL回路252から供給される周波数信号を混合して、受信したIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。この場合、I信号用のミキサ242Iには、移相器243で信号位相を90°シフトさせた周波数信号を供給するようにしてあり、直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。
復調されたIチャンネルとQチャンネルの信号は、それぞれバッファアンプ244I及び244Qを介してバンド・パス・フィルタ253I及び253Qに供給して、Iチャンネル及びQチャンネルの信号以外の信号成分を除去し、選択された信号をアナログ/デジタル変換器(ADC)254I及び254Qに供給してサンプリングしてデジタルデータ化し、Iチャンネルの受信データ及びQチャンネルの受信データを得る。
ここまで説明した構成において、各バンド・パス・フィルタ202I,202Q,206,222,232,253I,253Qの一部又は全てとして、本例の振動子を用いて構成したフィルタを適用して帯域制限することが可能である。図17の例では、各フィルタをバンド・パス・フィルタとして構成したが、所定の周波数よりも下の周波数帯域だけを通過させるロー・パス・フィルタや、所定の周波数よりも上の周波数帯域だけを通過させるハイ・パス・フィルタとして構成して、それらのフィルタに本例の振動子を用いて構成したフィルタを適用してもよい。また、図17の例では、無線送信及び無線受信を行う通信装置としたが、有線の伝送路を介して送信及び受信を行う通信装置が備えるフィルタに適用してもよく、さらに送信処理だけを行う通信装置や受信処理だけを行う通信装置が備えるフィルタに、本例の構成のフィルタを適用してもよい。
本発明に係る静電駆動型の振動子の第1実施の形態を示す概略構成図である。 図1の振動子素子の一例を示す断面図である。 第1実施の形態の静電駆動型の振動子の具体的一例を示す概略平面図である。 第1実施の形態の静電駆動型の振動子の具体的一例を示す概略構成図である。 本発明に係る静電駆動型の振動子の第2実施の形態を示す概略構成図である。 本発明に係る静電駆動型の振動子の第3実施の形態を示す概略構成図である。 本発明に係る静電駆動型の振動子の第4実施の形態を示す概略構成図である。 図4の振動子素子の一例を示す断面図である。 第4実施の形態の静電駆動型の振動子の具体的一例を示す概略構成図である。 本発明に係る静電駆動型の振動子の第5実施の形態を示す概略構成図である。 本発明に係る静電駆動型の振動子の第6実施の形態を示す概略構成図である。 本発明に係る静電駆動型の振動子の第7実施の形態を示す概略構成図である。 本発明と従来の静電駆動型の振動子の共振特性を比較して示す特性図(1)である。 本発明と従来の静電駆動型の振動子の共振特性を比較して示す特性図(2)である。 A〜D 本発明に適用される振動子素子の製造方法の一例を示す製造工程図(その1)である。 E〜G 本発明に適用される振動子素子の製造方法の一例を示す製造工程図(その2)である。 本発明の静電駆動型の振動子をフィルタに用いた通信装置の回路図である。 従来の静電駆動型の振動子の例を示す概略図である。
符号の説明
21、41、43、46、48、49、51・・振動子、22・・振動子素子、23・・信号入力線路、24・・信号出力線路、25・・グランド線路(接地面)、26・・DC給電線路、27・・抵抗素子、28・・DC電源回路、29・・容量、30・・DC導入パッド、31・・基板、32・・下部電極(入力電極)、34〔341、342〕・・ビーム(梁)、321・・下部電極(入力電極)、322・・下部電極(出力電極)、44、47・・振動子素子、SWx・・MEMSスイッチ、61・・下部電極、62・・ビーム(梁)、SW1,SW2・・切換スイッチ、52・・電源回路、53・・第1電源、54・・第2電源、67・・抵抗

Claims (6)

  1. 静電駆動型の振動子素子を有し、
    前記振動子素子の直流電圧給電線路と接地との間に抵抗素子が接続されている
    ことを特徴とする振動子。
  2. 前記直流電圧給電線路は定電圧発生回路に接続されている
    ことを特徴とする請求項1記載の振動子。
  3. 静電駆動型の振動子素子と、
    前記振動子素子に接続された直流電圧給電線路を有し、
    前記直流電圧給電線路は、接地側と直流給電回路側へ分岐されている
    ことを特徴とする振動子。
  4. 分岐点には切換手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項3記載の振動子。
  5. 静電駆動型の振動子素子と、
    前記振動子素子を駆動するための電源回路を有し、
    前記電源回路から接地電位が出力される
    ことを特徴とする振動子。
  6. 前記電源回路には、前記振動子素子に前記接地電位を出力するための切換手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項5記載の振動子。
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