JP2009088685A - 電気機械素子および半導体デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な素子構造で広帯域フィルタを実現することの可能な電気機械素子を提供する。
【解決手段】振動可能に形成された圧電体膜21と、3つの電極(対向電極22、入力電極23、出力電極24)とを備える。入力電極23および出力電極24は圧電体膜21の上面に互いに別個独立に設けられ、対向電極22は圧電体膜21下面に設けられている。圧電体膜21は、共振周波数と反共振周波数とを有する共振モードで共振振動するが、入力電極23と出力電極24との間に生じる寄生容量が、入力電極23から圧電体膜21を介して出力電極24に繋がる共振回路に直列に繋がるので、反共振周波数が共振周波数から十分に離れている。これにより、例えば、第1の電気機械素子1の共振周波数を互いにわずかに異ならせたものを並列接続するだけで、広帯域フィルタを実現することができる。
【選択図】図1
【解決手段】振動可能に形成された圧電体膜21と、3つの電極(対向電極22、入力電極23、出力電極24)とを備える。入力電極23および出力電極24は圧電体膜21の上面に互いに別個独立に設けられ、対向電極22は圧電体膜21下面に設けられている。圧電体膜21は、共振周波数と反共振周波数とを有する共振モードで共振振動するが、入力電極23と出力電極24との間に生じる寄生容量が、入力電極23から圧電体膜21を介して出力電極24に繋がる共振回路に直列に繋がるので、反共振周波数が共振周波数から十分に離れている。これにより、例えば、第1の電気機械素子1の共振周波数を互いにわずかに異ならせたものを並列接続するだけで、広帯域フィルタを実現することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、圧電駆動型の電気機械素子およびそれを備えた半導体デバイスに関する。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems;マイクロマシン)技術を用いて作製された電気機械素子の一つとして、例えば静電駆動型のMEMS共振器が知られている。このようなMEMS共振器はミシガン大学を始めとする多くの研究機関から提案されている(非特許文献1参照)。また、静電駆動型のMEMS共振器をミキサやフィルタなどに応用する試みもミシガン大学を始めとする多くの研究期間から提案されている(非特許文献2、3参照)。
ところで、静電駆動型のMEMS共振器を駆動させるためには、DCバイアス電圧の供給が不可欠である。静電駆動型のMEMS共振器に供給するDCバイアス電圧は、通常のCMOSデバイスの駆動電圧よりも高く、静電駆動型のMEMS共振器をCMOSデバイスと共に集積化あるいはモジュール化する場合には、昇圧回路などの手段を設けることが必要となる。また、複数の静電駆動型のMEMS共振器を組み合わせて素子を構成しようとした場合には、交流信号線路にDC線路を併置する必要がある。しかし、静電駆動型のMEMS共振器では、DCバイアス電圧と交流信号が同時に印加されるので、交流信号線路にDC線路を併置した場合には、DC線路のノイズが交流信号線路に侵入したり、その逆に交流信号線路の交流信号がDC線路に漏洩する可能性がある。そのため、交流信号線路とDC線路との間でクロストークが生じるのを抑制する手段を設けることが必要となる。このように、静電駆動型のMEMS共振器を用いると、素子構造が複雑になるという問題があった。
一方、非特許文献4には、AlN(窒化アルミニウム)薄膜を用いた横振動モードのMEMS共振器が提案されている。このMEMS共振器は、DCバイアス電圧がなくても駆動可能なものであり、DCバイアス電圧を用いることにより生じる種々の問題をなくすることができる。なお、特許文献1にも、MEMS共振器が提案されているが、このMEMS共振器は、静電駆動型であり、DCバイアス電圧を必要とするものである。そのため、このMEMS共振器を用いると、DCバイアス電圧を用いることにより生じる種々の問題を解消するために、種々の方策を講じることが必要となる。
C.T-Nguyen, Micromechanical components for miniaturized low-power communications(invited plenary), proceedings,1999 IEEE MTT-S International Microwave Symposium RF MEMS Workshop, June 18, 1999, pp48-77
A.-C.Wong, H.Ding, and C.T.-C.Nguyen, Microwave mixer + filters Technical Digest, IEEE-IEDM, 1998, pp47-474
Fang Chen, Jay Brotz, Umut Arslan, Chiung-Cheng Lo, Tamal Mukherjee, Gary K.Fedder, CMOS-MEMS Resonant RF Mixer-FiltersIEEE2005, pp24-27
「Piezoelectric Aluminum Nitride Vibrating RF MEMS for Radio Front-End Technology」Gianluca Piazza UNIVERSITY OF CALIFORNIA, BERKELEY Fall 2005
特表2007−503185
しかし、非特許文献4に記載のMEMS共振器では、Q値が1500を超えるほど高く、電気機械変換効率が極めて高いが、透過帯域幅が極めて狭く、しかも、共振周波数と反共振周波数との差がほとんどないので、このMEMS共振器の共振周波数を互いにわずかに異ならせたものを並列接続したとしても、それをIFフィルタなどの広帯域フィルタに適用することは容易ではないという問題がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡単な素子構造で広帯域フィルタを実現することの可能な電気機械素子およびそれを備えた半導体デバイスを提供することにある。
本発明の第1の電気機械素子は、振動可能に形成された圧電体膜と、3つの電極(入力電極、出力電極、対向電極)とを備えたものである。入力電極および出力電極は、圧電体膜の上面および下面のいずれか一方に互いに別個独立に設けられている。一方、対向電極は、圧電体膜の上面および下面のうち入力電極および出力電極の設けられている面とは異なる面に設けられており、接地されるようになっている。
本発明の第1の電気機械素子では、対向電極を接地した状態で入力電極に入力信号が印加されると、入力信号は圧電体膜の圧電性により機械的な歪みに変換され、その機械的な歪みによって圧電体膜に共振振動が発生する。このとき、圧電体膜は、共振周波数と反共振周波数とを有する共振モードで共振振動するが、入力電極から圧電体膜を介して出力電極に至る共振回路(機械的な系)に並列に繋がる、入力電極と出力電極との間の静的な(DC印加時の)容量は微小であるので、反共振周波数が共振周波数から十分に離れている。
本発明の第2の電気機械素子は、複数の第1電気機械部を備えたものである。ここで、第1電気機械部は、振動可能に形成された第1圧電体膜と、3つの電極(入力電極、出力電極、第1対向電極)とを備えたものである。入力電極および出力電極は、第1圧電体膜の第1上面および第1下面のいずれか一方に互いに別個独立に設けられている。一方、第1対向電極は、第1圧電体膜の第1上面および第1下面のうち入力電極および出力電極の設けられている面とは異なる面に設けられており、接地されるようになっている。
本発明の半導体デバイスは、一の素子と他の素子とに接続された上記第2の電気機械素子を内蔵したものである。
本発明の第2の電気機械素子および半導体デバイスでは、対向電極を接地した状態で入力電極に入力信号が印加されると、入力信号は第1圧電体膜の圧電性により機械的な歪みに変換され、その機械的な歪みによって第1圧電体膜に共振振動が発生する。このとき、第1圧電体膜は、共振周波数と反共振周波数とを有する共振モードで共振振動するが、入力電極から第1圧電体膜を介して出力電極に至る共振回路(機械的な系)に並列に繋がる、入力電極と出力電極との間の静的な(DC印加時の)容量は微小であるので、反共振周波数が共振周波数から十分に離れている。
本発明の第1の電気機械素子によれば、圧電体膜の一方の表面に入力電極および出力電極を設け、対向電極を接地した状態で入力電極に入力信号が印加されたときに、反共振周波数が共振周波数から十分に離れたところに存在する共振モードで圧電体膜に共振振動を生じさせるようにしたので、簡単な素子構造でフィルタを実現することができる。また、例えば、第1の電気機械素子の共振周波数を互いにわずかに異ならせたものを並列接続するだけで、広帯域フィルタを実現することができ、DCバイアス電圧を用いる必要がない。従って、簡単な素子構造で広帯域フィルタを実現することが可能である。
本発明の第2の電気機械素子および半導体デバイスによれば、第1圧電体膜の一方の表面に入力電極および出力電極を設け、対向電極を接地した状態で入力電極に入力信号が印加されたときに、反共振周波数が共振周波数から十分に離れたところに存在する共振モードで第1圧電体膜に共振振動を生じさせるようにしたので、例えば、第2の電気機械素子の共振周波数を互いにわずかに異ならせたものを並列接続するだけで、広帯域フィルタを実現することができ、DCバイアス電圧を用いる必要がない。従って、簡単な素子構造で広帯域フィルタを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電気機械素子1の上面構成を表すものである。図2(A)は図1の電気機械素子1のA−A矢視方向の断面構成を、図2(B)は図1の電気機械素子1のB−B矢視方向の断面構成を、図3(A)は図1の電気機械素子1のC−C矢視方向の断面構成を、図3(B)は図1の電気機械素子1のD−D矢視方向の断面構成をそれぞれ表すものである。なお、図1ないし図3(A),(B)は、電気機械素子1に入力信号が印加されていないときの様子をそれぞれ表している。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電気機械素子1の上面構成を表すものである。図2(A)は図1の電気機械素子1のA−A矢視方向の断面構成を、図2(B)は図1の電気機械素子1のB−B矢視方向の断面構成を、図3(A)は図1の電気機械素子1のC−C矢視方向の断面構成を、図3(B)は図1の電気機械素子1のD−D矢視方向の断面構成をそれぞれ表すものである。なお、図1ないし図3(A),(B)は、電気機械素子1に入力信号が印加されていないときの様子をそれぞれ表している。
この電気機械素子1は、一の素子(図示せず)から他の素子(図示せず)へ信号を伝送する伝送路中に実装される微小構造物(いわゆるマイクロマシン)であり、好適には一の素子および他の素子と共に同一のパッケージ内に形成されるものであり、より好適にはSiP(System in Package) で同梱実装されたり、SoCの一部として混載されるものである。
この電気機械素子1は、支持基板10の表面(上面)上に、共振部20と、梁部30A,30Bと、支持部40とを備えたものである。
支持基板10は、共振部20等の設けられている側の表面が絶縁性の材料により構成されたものであり、例えば、シリコン基板の表面に絶縁膜が設けられたものである。
共振部20は、支持部40によって梁部30A,30Bを介して振動可能に保持されており、支持基板10の表面(上面)と間隙Gを介して中空に配置されている。この共振部20は、上面(支持基板10とは反対側の表面)および下面(支持基板10側の表面)を有する圧電体膜21を有しており、その圧電体膜21の上面に入力電極23および出力電極24が設けられ、圧電体膜21の下面に対向電極22が設けられている。
圧電体膜21は、例えばC軸配向のAlN膜からなり、後述するように、対向電極22を接地した状態で入力電極23に入力信号が印加されると、圧電体膜21の厚さ方向と交差する方向に伸縮振動するようになっている。AlN膜は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電体と比べて低い誘電率を有しており、AlN膜を通り抜ける雑音を低減することができ、さらに、対地容量を小さくすることができる。また、AlN膜の成膜工程は、Si−CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)の製造工程と馴染み易いので、圧電体膜21としてAlN膜を用いることにより、圧電体膜21の形状を精確に作り込むことができる。
圧電体膜21は、対称中心を持つ平板形状となっていることが好ましい。対称中心を持つ平板形状としては、例えば、図1に示したような開口部20Aを有する円環状や、図示しないが角環状、円形状または正多角形状などが挙げられる。
対向電極22、入力電極23および出力電極24は、例えば、密度が低く、電気伝導性に優れた金属材料(例えばAl)からなる。入力電極23および出力電極24は、互いに別個独立に形成されており、圧電体膜21の表面上において、所定の間隙を介して互いに対向配置されている。
ここで、圧電体膜21が対称中心を持つ平板形状となっている場合には、これら入力電極23および出力電極24も対称中心を持つ平板形状となっていることが好ましい。また、圧電体膜21が円環状となっている場合には、これら入力電極23および出力電極24も円環状となっていることが好ましく、圧電体膜21と同心円状となっていることがさらに好ましい(図1参照)。
また、入力電極23および出力電極24は、不要振動の影響を最低限度に抑えるために、圧電体膜21の伸縮方向と直交する方向に延在して形成されていることが好ましい。また、入力電極23および出力電極24は、電気機械変換効率を高くするために、例えば図4(A),(B)、図5(A),(B)に示したように、圧電体膜21が圧電体膜21の厚さ方向と交差する方向に伸縮振動する際の腹およびその近傍に対応して設けられていることが好ましい。ただし、圧電体膜21を例えば図6(A)に示したように2次で伸縮振動させる場合には、図6(B)に示したように、電気的に浮遊した導電性の電極28を、入力電極23と出力電極24との間の節に対応して設けることが好ましい。なお、図4(A)、図5(A)、図6(A)は、圧電体膜21の横方向の伸縮振動を模式的に表したものであり、図4(B)、図5(B)、図6(B)は、共振部20を圧電体膜21の伸縮方向で切断したときの断面構成を表したものである。
梁部30A,30Bは、例えば、共振部20の圧電体膜21と共通の材料(例えばC軸配向のAlN膜)からなる。これら梁部30A,30Bは、支持基板10の表面(上面)に沿って延在する棒形状となっており、梁部30A,30Bの一端が共振部20に連結されると共に、梁部30A,30Bの他端は支持部40(具体的には開口部40Aの側面)に連結されている。
なお、本明細書において「連結」とは、両者が機械的に接合されている場合や、一体に形成されている場合を含む概念であり、また、直接的にまたは間接的に連結されている場合を含むものである。
梁部30A,30Bは、各梁部30A,30Bの中心軸が同一線上となるように配置されていることが好ましい。また、圧電体膜21が対称中心を持つ平板形状となっている場合には、梁部30A,30Bは、各梁部30A,30Bの中心軸が同一線上となるように配置されると共に、圧電体膜21の対称中心を通過するように配置されている、つまり、圧電体膜21および梁部30A,30Bからなる構造体が対称中心を持っていることが好ましい(図1参照)。これにより、不要振動の影響を最低限度に抑えることができる。
また、梁部30Aの表面(上面)または内部(図示せず)には、入力電極23と連結された上部配線層25Aが設けられており、梁部30Aの裏面(下面)または内部(図示せず)には、対向電極22と連結された下部配線層27Aが設けられている。上部配線層25Aおよび下部配線層27Aは、例えば、入力電極23および出力電極24と同様の材料(例えばAl、Mo)からなり、上部配線層25Aは入力電極23と電気的に接続され、下部配線層27Aは対向電極22と電気的に接続されている。
一方、梁部30Bの表面(上面)には、出力電極24と連結された上部配線層26Aが設けられており、梁部30Bの裏面(下面)には、対向電極22と連結された下部配線層27Aが設けられている。上部配線層26Aは、例えば、入力電極23および出力電極24と同様の材料(例えばAl、Mo)からなり、出力電極24と電気的に接続されている。
なお、共振部20には、上記した梁部30A,30B以外の梁部(例えば図7に示したような2つの梁部30C)がさらに連結されていてもよい。ただし、その場合には、圧電体膜21、梁部30A,30B、および梁部30A,30B以外の梁部からなる構造体が対称中心を持っていることが好ましい。
支持部40は、例えば、共振部20の圧電体膜21と共通の材料(例えばC軸配向のAlN膜)からなる。支持部40は、支持基板10の表面(上面)に接して設けられた台座であり、共振部20および梁部30A,30Bに対応して大きな開口部40Aを有している。共振部20および梁部30A,30Bは、開口部40A内の中空に配置されており、支持基板10の表面(上面)と共振部20および梁部30A,30Bの裏面(下面)との間に間隙Gが形成され、開口部40Aの側面と共振部20および梁部30A,30Bの側面との間にも間隙が形成されている。
また、図1ないし図3(A),(B)に示したように、支持部40には、6つの開口部Hが設けられており、これら6つの開口部Hに対応して、1つの入力部50、1つの出力部60、4つの接地電位部70がそれぞれ設けられている。
入力部50は、梁部30A側の開口部Hに設けられており、支持基板10上に、下地層51、上部配線層25Bおよびパッド部52を支持基板10側から順に積層して形成されたものである(図1、図2(A),図3(B)参照)。下地層51、上部配線層25Bおよびパッド部52はそれぞれ、例えば、入力電極23および出力電極24と同様の材料(例えばAl、Mo)、あるいは、Auなどの高伝導率材料からなり、互いに電気的に接続されている。また、上部配線層25Bは、梁部30Aの表面(上面)に設けられた上部配線層25Aと連結されており、上部配線層25Aと電気的に接続されている。つまり、入力部50は、入力電極23からの引出し電極としての役割を有している。
出力部60は、梁部30B側の開口部Hに設けられており、支持基板10上に、下地層53、上部配線層26Bおよびパッド部54を支持基板10側から順に積層して形成されたものである(図1、図2(A)参照)。下地層53、上部配線層26Bおよびパッド部54はそれぞれ、例えば、入力電極23および出力電極24と同様の材料(例えばAl、Mo)からなり、互いに電気的に接続されている。また、上部配線層26Bは、梁部30Bの表面(上面)に設けられた上部配線層26Aと連結されており、上部配線層26Aと電気的に接続されている。つまり、出力部60は、出力電極24からの引出し電極としての役割を有している。
4つの接地電位部70のうちの2つは、入力部50の両側に位置する開口部Hに設けられており、残りの2つは、出力部60の両側に位置する開口部Hに設けられている。各接地電位部70は、支持基板10上に、下部配線層27B、中間層71およびパッド部72を支持基板10側から順に積層して形成されたものである(図1、図2(B)、図3(B)参照)。下部配線層27B、中間層71およびパッド部72はそれぞれ、例えば、入力電極23および出力電極24と同様の材料(例えばAl、Mo)、あるいは、Auなどの高伝導率材料からなり、互いに電気的に接続されている。また、下部配線層27Bは、対向電極22と連結されており、対向電極22と電気的に接続されている。また、下部配線層27Bは、図1に示したように、電気機械素子1の上面側から見て、入力部50、上部配線層25A、入力電極23、出力電極24、上部配線層26Aおよび出力部60からなる伝送線路を両側から挟み込むように配線されており、伝送線路と共にコプレーナ線路を構成している(図には明示せず)。
このような構成を有する電気機械素子1は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、シリコン基板上に、例えば減圧CVD(Chemical Vapor Depositon)法により、酸化シリコン層を形成したのち、例えばプラズマCVD法により、酸化シリコン層上に、窒化シリコン層を形成することにより、支持基板10を形成する(図8(A))。続いて、例えば減圧CVD法により、支持基板10上に酸化シリコン層を形成したのち、フォトリソグラフィ処理およびドライエッチング処理により、間隙Gを形成することとなる部位に犠牲層80を形成する(図8(A))。なお、以下では、上記したフォトリソグラフィ処理およびドライエッチング処理によるパターニング処理を、単に「パターニング」と称する。
次に、例えばスパッタ法により、犠牲層80を含む表面全体にMo薄膜を形成したのち、パターニングにより、後に対向電極22および下部配線層27A,27Bとなる金属層22Dと、下地層51,53とを形成する(図8(B))。
次に、例えばスパッタ法により、金属層22Dおよび下地層51,53を含む表面全体にAlN膜を形成したのち、パターニングにより、開口部Hを有する圧電体膜21Dを形成する(図8(C))。
次に、例えばスパッタ法により、開口部Hを含む表面全体にAl薄膜を形成したのち、パターニングにより、入力電極23、出力電極24、上部配線層25A,25B,26A,26B、中間層71を形成する(図9(A))。なお、図9(A)には中間層71は現れていない。
次に、例えばスパッタ法により、開口部Hを含む表面全体にAu薄膜を形成したのち、パターニングにより、パッド部52,54,72を形成する(図9(B))。これにより、入力部50、出力部60、接地電極部70が形成される。なお、図9(B)にはパッド部72および接地電極部70は現れていない。
次に、パターニングにより、圧電体膜21Dおよび金属層22Dのうち共振部20および梁部30A,30Bに非対応の部位を除去することにより、共振部20および梁部30A,30Bが形成される(図9(C))。
最後に、ガス化したフッ酸雰囲気、または微小な粒径のミスト状のフッ酸雰囲気中に、犠牲層80を曝して、犠牲層80を除去する。これにより、間隙Gが形成される。このようにして、本実施の形態の電気機械素子1が製造される。
本実施の形態の電気機械素子1では、図10に示したように、対向電極22を接地電位にすると共に、出力電極24に抵抗Rを直列接続した状態で、入力電極23に入力信号VACを入力すると、入力信号は圧電体膜21の圧電性により機械的な歪みに変換され、その機械的な歪みによって圧電体膜21が、圧電体膜21の厚さ方向と交差する方向に伸縮振動し、共振振動が発生する。このとき、圧電体膜21は、共振周波数と反共振周波数とを有する共振モードで共振振動する。
ここで、圧電体膜21は、その形状および寸法に応じた機械的振動の共振周波数を持っており、その周波数で励振されたときに最大振幅の振動が圧電体膜21に誘起される。圧電体膜21には、その歪みの大きさに比例した電荷が誘起されるので、圧電体膜21には、その機械的な共振に応じた電気的な電流共振が起きることになる。従って、入力電極23から圧電体膜21を介して出力電極24に繋がるパスの等価回路は、図11に示したようなL1,C1,R1からなるLCR直列共振回路となる。
また、入力電極23および出力電極24は、電極の配置によって決められる容量により電気的に結合されている。そのため、上記LCR直列共振回路に容量C0が並列に繋がることになる。さらに、入力部50、上部配線層25Aおよび入力電極23からなる入力側の伝送線路は、その接地面との配置に依存する対地容量C10を持ち、同様に、出力電極24、上部配線層26Aおよび出力部60からなる出力側の伝送線路は、その接地面との配置に依存する対地容量C11を持つ。
なお、対地容量C10,C11の大きさは、主に、上部電極23の面積、圧電体膜21の膜厚および比誘電率(AlNでは、8.8)により決まる。また、入力電極23および出力電極24間の容量C0の大きさは、主に、入力電極23および出力電極24の膜厚、長さおよび幅、入力電極23および出力電極24の間の距離、ならびに圧電体膜21の比誘電率などに依存する。
このように、本実施の形態では、圧電体膜21の一方の面に設けられた入力電極23と出力電極24との間に生じる微小な容量C0が、入力電極23から圧電体膜21を介して出力電極24に繋がる(直列)共振回路(機械的な共振系)に並列に繋がっている。そのため、図12に示したように、反共振周波数f2が共振周波数f1から十分に離れたところ(f1+Δf)に位置することになるので、本実施の形態の電気機械素子1の共振周波数を互いにわずかに異ならせたものを並列接続するだけで、図13に示したような透過帯域幅Wの広帯域フィルタを実現することができる。つまり、広帯域フィルタを作製する際に、反共振周波数f2が邪魔になる虞がない。すなわち、本実施の形態の電気機械素子1の共振周波数を互いにわずかに異ならせたものを並列接続するだけで、広帯域フィルタを実現することができる。これにより、本実施の形態の電気機械素子1を用いることにより、簡単な素子構造で広帯域フィルタを実現することが可能である。
また、本実施の形態では、DCバイアス電圧を用いなくても、広帯域フィルタを実現することができる。これにより、昇圧回路などの手段や、交流信号線路とDC線路との間でクロストークが生じるのを抑制する手段を設ける必要がないので、素子構造を簡素化することができる。また、それに伴い、素子を小型化することができ、消費電力を低減することができる。また、不要なノイズの混入を低減することができるので、素子の信頼性を高めることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の電気機械素子2は、複数の共振部20を備えている点で、1つの共振部20を備えていた上記実施の形態の構成と相違する。そこで、以下では、上記実施の形態との相違点について主に説明し、上記実施の形態と共通する構成、作用、効果についての説明を適宜省略するものとする。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の電気機械素子2は、複数の共振部20を備えている点で、1つの共振部20を備えていた上記実施の形態の構成と相違する。そこで、以下では、上記実施の形態との相違点について主に説明し、上記実施の形態と共通する構成、作用、効果についての説明を適宜省略するものとする。
本実施の形態の電気機械素子2は、図14に示したように、複数の共振部20を入れ子状に配置したものである。各共振部20は、上記実施の形態の共振部20と同様、支持部40によって梁部30A,30Bを介して振動可能に保持されており、支持基板10の表面(上面)と間隙Gを介して中空に配置されている。
具体的には、支持部40に最も近い最外縁に位置する共振部20は、環状となっており、梁部30A,30Bを介して支持部40に連結されている。そして、支持部40に最も近い最外縁に位置する共振部20の内側(開口部20Cの内部)に位置する共振部20は、図14に示したような環状、または図示しないが角環状、円形状または正多角形状となっており、梁部30A,30Bおよび共振部20を介して支持部40に連結されている。
また、各共振部20の入力電極23が上部配線層25Aによって互いに電気的に接続されると共に、各共振部20の出力電極24が上部配線層26Aによって互いに電気的に接続されている。つまり、各共振部20は、図17に模式的に示したように、互いに並列に接続されている。なお、各共振部20の対向電極22はそれぞれ、接地電位となっている。なお、このときの等価回路は、図18に示したようになる。
さらに、各共振部20は、互いに異なる共振周波数を有している。これにより、図19に示したように、支持部40に最も近い最外縁に位置する共振部20の共振周波数f1における共振ピークの一部と、開口部20Cの内部に位置する共振部20の共振周波数f3における共振ピークの一部とが互いに重なり合って、帯域幅Wの透過帯域が形成される。
なお、支持部40に最も近い最外縁に位置する共振部20の径は、開口部20Cの内部に位置する共振部20の径よりも大きくなるが、例えば、各共振部20が環状となっている場合において、共振部20の共振周波数は、共振部20の径の大きさの違いによってほとんど影響されず、各共振部20の環の幅などによって変化する。従って、各共振部20の環の幅などをほぼ一定とすることにより、各共振部20の共振周波数をほぼ等しくすることができる。また、各共振部20の環の幅などをわずかに変えることにより、各共振部20の共振周波数をわずかに異ならせることができる。
また、反共振周波数f2,f4は共振周波数f1,f3から十分に離れたところに位置しているので、反共振周波数f2,f4における共振ピークが帯域幅Wの透過帯域を邪魔する虞はない。従って、図20に示したように、共振周波数が互いにわずかに異なる複数の共振部20(図20では5つ)の入力電極23同士を上部配線層25Aによって並列接続すると共に、各共振部20の出力電極24同士を上部配線層26Aによって並列に接続し、さらに各共振部20の対向電極22を下部配線層27A,27Bを介して接地電位にすることにより、図13に示したように、幅の広い透過帯域を有する広帯域フィルタを簡単な素子構造で実現することができる。
なお、複数の共振部20のうち一部の共振部20の共振周波数を等しくするか、または極めて近くすることにより、図21に示したように、帯域幅Wの透過帯域のうち所定の帯域だけ特に透過損失を低減することもできる。
また、本実施の形態においても、DCバイアス電圧を用いなくても、広帯域フィルタを実現することができる。これにより、昇圧回路などの手段や、交流信号線路とDC線路との間でクロストークが生じるのを抑制する手段を設ける必要がないので、素子構造を簡素化することができる。また、それに伴い、素子を小型化することができ、消費電力を低減することができる。また、不要なノイズの混入を低減することができるので、素子の信頼性を高めることができる。
[第2の実施の形態の一変形例]
上記第2の実施の形態では、例えば、図20に示したように、共振周波数が互いにわずかに異なる複数の共振部20(図20では5つ)の入力電極23同士を上部配線層25Aによって並列接続すると共に、各共振部20の出力電極24同士を上部配線層26Aによって並列に接続し、各共振部20の対向電極22を下部配線層27A,27Bを介して接地電位にしていたが、さらに、図22に示したように、上部配線層25Aを上記の共振部20とは別個の一の共振部20に含まれる入力電極23および出力電極24のうちのいずれか一方(図22では入力電極23)に電気的に接続し、上部配線層26Aを上記の共振部20とは別個の他の共振部20に含まれる入力電極23および出力電極24のうちのいずれか一方(図22では出力電極24)に電気的に接続し、上記一の共振部20の入力電極23および出力電極24のうち上部配線層25Aの接続されていない電極(図22では出力電極24)と、上記他の共振部20の入力電極23および出力電極24のうち上部配線層26Aの接続されていない電極(図22では入力電極23)とを接地電位線路に接続して接地電位にするようにしてもよい。
上記第2の実施の形態では、例えば、図20に示したように、共振周波数が互いにわずかに異なる複数の共振部20(図20では5つ)の入力電極23同士を上部配線層25Aによって並列接続すると共に、各共振部20の出力電極24同士を上部配線層26Aによって並列に接続し、各共振部20の対向電極22を下部配線層27A,27Bを介して接地電位にしていたが、さらに、図22に示したように、上部配線層25Aを上記の共振部20とは別個の一の共振部20に含まれる入力電極23および出力電極24のうちのいずれか一方(図22では入力電極23)に電気的に接続し、上部配線層26Aを上記の共振部20とは別個の他の共振部20に含まれる入力電極23および出力電極24のうちのいずれか一方(図22では出力電極24)に電気的に接続し、上記一の共振部20の入力電極23および出力電極24のうち上部配線層25Aの接続されていない電極(図22では出力電極24)と、上記他の共振部20の入力電極23および出力電極24のうち上部配線層26Aの接続されていない電極(図22では入力電極23)とを接地電位線路に接続して接地電位にするようにしてもよい。
このように、上部配線層25,26Aと接地電位線路との間に共振部20を直列挿入して、上部配線層25,26Aをシャントすることにより、図23に示したような等価回路が構成される。これにより、図24に示したように、帯域幅Wの透過帯域の両端部に高減衰領域を設けることができる。また、上部配線層25,26Aと接地電位線路との間に、複数の共振部20を直列挿入した場合には、高減衰領域の減衰量をより一層大きくすることができる。
なお、図25に示したように、上部配線層25,26Aと接地電位線路との間に、入力電極23および出力電極24の代わりに単一の電極120を設けた従来構造の共振部200を挿入した場合であっても、上記と同様に、帯域幅Wの透過帯域の両端部に、高減衰領域を設けることができる。
[第1の適用例]
次に、図26を参照して、上記実施の形態に係る電気機械素子2を搭載した半導体デバイス3の構成について説明する。この半導体デバイス3は、支持基板100の表面上に、電気機械素子2と、この電気機械素子2に入出力する信号を処理する集積回路部110とが設けられたものであり、SiP(System in Package) で同梱実装されたり、SoCの一部として混載されるものである。支持基板100は、例えばシリコン基板からなり、電気機械素子2および集積回路部110は、例えばSi−CMOSの製造工程により形成されたものである。
次に、図26を参照して、上記実施の形態に係る電気機械素子2を搭載した半導体デバイス3の構成について説明する。この半導体デバイス3は、支持基板100の表面上に、電気機械素子2と、この電気機械素子2に入出力する信号を処理する集積回路部110とが設けられたものであり、SiP(System in Package) で同梱実装されたり、SoCの一部として混載されるものである。支持基板100は、例えばシリコン基板からなり、電気機械素子2および集積回路部110は、例えばSi−CMOSの製造工程により形成されたものである。
ここで、電気機械素子2は、上記したようにDCバイアス電圧を用いなくても、広帯域フィルタを実現することができることから、集積回路部110での消費電力を増加させることなく、動作させることができる。これにより、低電圧動作・低消費電力化が常識となっている移動通信端末装置の技術分野においても実用に耐えることができる。
なお、図27に示したように、この半導体デバイス3の電気機械素子2等の設けられている側の表面上に、電気機械素子2を封止する封止部(壁部120および封止基板130)を設け、その封止部の上面に電気機械素子2または集積回路部110と電気的に接続されたアンテナ部140を設けることにより、半導体デバイス4を構成することも可能である。
[第2の適用例]
次に、図28を参照して、上記実施の形態に係る電気機械素子2を搭載した通信装置の構成について説明する。図28は、電子機器としての通信装置のブロック構成を表している。なお、本電気機械素子2を搭載した半導体デバイスは、上記通信装置により具現化されるので、以下、合わせて説明する。
次に、図28を参照して、上記実施の形態に係る電気機械素子2を搭載した通信装置の構成について説明する。図28は、電子機器としての通信装置のブロック構成を表している。なお、本電気機械素子2を搭載した半導体デバイスは、上記通信装置により具現化されるので、以下、合わせて説明する。
図28に示した通信装置は、上記実施の形態の電気機械素子2をバンドパスフィルタ302,341,343,345I,345Q,312I,312Q(半導体デバイス)として搭載したものであり、例えば、携帯電話器、情報携帯端末(PDA)、無線LAN機器などである。なお、上記バンドパスフィルタ302,341,343,345I,345Q,312I,312Qはそれぞれ、例えば、SoCからなる半導体デバイス内に形成されている。この通信装置は、例えば、図28に示したように、送信系回路300Aと、受信系回路300Bと、送受信経路を切り替える送受信切換器301と、高周波フィルタ302と、送受信用のアンテナ303とを備えている。
送信系回路300Aは、Iチャンネルの送信データおよびQチャンネルの送信データに対応した2つのデジタル/アナログ変換器(DAC;Digital/Analogue Converter)311I,311Qおよび2つのバンドパスフィルタ312I,312Qと、変調器320および送信用PLL(Phase-Locked Loop )回路313と、電力増幅器314とを備えている。この変調器320は、上記した2つのバンドパスフィルタ312I,312Qに対応した2つのバッファアンプ321I,321Qおよび2つのミキサ322I,322Qと、移相器323と、加算器324と、バッファアンプ325とを含んで構成されている。
受信系回路300Bは、高周波部330、バンドパスフィルタ341およびチャンネル選択用PLL回路342と、中間周波回路350およびバンドパスフィルタ343と、復調器360および中間周波用PLL回路344と、Iチャンネルの受信データおよびQチャンネルの受信データに対応した2つのバンドパスフィルタ345I,345Qおよび2つのアナログ/デジタル変換器(ADC;Analogue/Digital Converter)346I,346Qとを備えている。高周波部330は、低ノイズアンプ331と、バッファアンプ332,334と、ミキサ333とを含んで構成されており、中間周波回路350は、バッファアンプ351,353と、自動ゲイン調整(AGC;Auto Gain Controller)回路352とを含んで構成されている。復調器360は、バッファアンプ361と、上記した2つのバンドパスフィルタ345I,345Qに対応した2つのミキサ362I,362Qおよび2つのバッファアンプ363I,363Qと、移相器364とを含んで構成されている。
この通信装置では、送信系回路300AにIチャンネルの送信データおよびQチャンネルの送信データが入力されると、それぞれの送信データを以下の手順で処理する。すなわち、まず、DAC311I、311Qにおいてアナログ信号に変換し、引き続きバンドパスフィルタ312I,312Qにおいて送信信号の帯域以外の信号成分を除去したのち、変調器320に供給する。続いて、変調器320において、バッファアンプ321I,321Qを介してミキサ322I,322Qに供給し、引き続き送信用PLL回路313から供給される送信周波数に対応した周波数信号を混合して変調したのち、両混合信号を加算器324において加算することにより1系統の送信信号とする。この際、ミキサ322Iに供給する周波数信号に関しては、移相器323において信号移相を90°シフトさせることにより、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが互いに直交変調されるようにする。最後に、バッファアンプ325を介して電力増幅器314に供給することにより、所定の送信電力となるように増幅する。この電力増幅器314において増幅された信号は、送受信切換器301および高周波フィルタ302を介してアンテナ303に供給されることにより、そのアンテナ303を介して無線送信される。この高周波フィルタ302は、通信装置において送信または受信する信号のうちの周波数帯域以外の信号成分を除去するバンドパスフィルタとして機能する。
一方、アンテナ303から高周波フィルタ302および送受信切換器301を介して受信系回路300Bに信号が受信されると、その信号を以下の手順で処理する。すなわち、まず、高周波部330において、受信信号を低ノイズアンプ331で増幅し、引き続きバンドパスフィルタ341で受信周波数帯域以外の信号成分を除去したのち、バッファアンプ332を介してミキサ333に供給する。続いて、チャンネル選択用PPL回路342から供給される周波数信号を混合し、所定の送信チャンネルの信号を中間周波信号とすることにより、バッファアンプ334を介して中間周波回路350に供給する。続いて、中間周波回路350において、バッファアンプ351を介してバンドパスフィルタ343に供給することにより中間周波信号の帯域以外の信号成分を除去し、引き続きAGC回路352でほぼ一定のゲイン信号としたのち、バッファアンプ353を介して復調器360に供給する。続いて、復調器360において、バッファアンプ361を介してミキサ362I,362Qに供給したのち、中間周波用PPL回路344から供給される周波数信号を混合し、Iチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分とを復調する。この際、ミキサ362Iに供給する周波数信号に関しては、移相器364において信号移相を90°シフトさせることにより、互いに直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分とを復調する。最後に、Iチャンネルの信号およびQチャンネルの信号をそれぞれバンドパスフィルタ345I,345Qに供給することによりIチャンネルの信号およびQチャンネルの信号以外の信号成分を除去したのち、ADC346I,346Qに供給してデジタルデータとする。これにより、Iチャンネルの受信データおよびQチャンネルの受信データが得られる。
この通信装置では、上記実施の形態の電気機械素子2がバンドパスフィルタ302,341,343,345I,345Q,312I,312Qとして搭載されているので、バンドパスフィルタ341,343,345I,345Q,312I,312Qの占有面積を低減することができ、通信装置を小型化することができる。
また、低電圧・低消費電力系の素子と一体的に形成することが可能な程度の低電圧・低消費電力で電気機械素子2を駆動させることが可能であるので、低電圧動作・低消費電力化が常識となっている移動通信端末装置の技術分野においても実用に耐えることができる。
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明の電気機械素子および半導体デバイスについて説明したが、本発明は実施の形態、変形例および適用例に限定されるものではなく、本発明の電気機械素子および半導体デバイスの構成やその製造方法に関する手順などは、上記実施の形態、変形例および適用例と同様の効果を得ることが可能な限りにおいて自由に変形可能である。
また、上記適用例では、本発明の電気機械素子を携帯電話機などの通信装置に代表される電子機器に適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、通信装置以外の電子機器に適用することも可能である。
1,2…電気機械素子、3…半導体デバイス、10…支持基板、20…共振部、21…圧電体膜、22…対向電極、23…入力電極、24…出力電極、25A,25B,26A,26B…上部配線層、27A,27B…下部配線層、28…電極、30A,30B…梁部、40…支持部、50…入力部、51,53…下地層、52,54,72…パッド部、60…出力部、70…接地電位部、71…中間層、100…支持基板、110…集積回路部、120…壁部、130…封止基板、140…アンテナ部。
Claims (19)
- 上面および下面を有する振動可能な圧電体膜と、
前記上面および前記下面のいずれか一方に互いに別個独立に設けられた入力電極および出力電極と、
前記上面および前記下面のうち前記入力電極および出力電極の設けられている面とは異なる面に設けられると共に接地される対向電極と
を備えたことを特徴とする電気機械素子。 - 前記圧電体膜は、前記入力電極に入力信号が印加されると、当該圧電体膜の厚さ方向と交差する方向に伸縮振動する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機械素子。 - 前記入力電極および前記出力電極は、前記圧電体膜の伸縮振動の腹およびその近傍に対応して設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の電気機械素子。 - 前記入力電極および前記出力電極は、前記圧電体膜の表面上において、所定の間隙を介して互いに対向配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機械素子。 - 前記圧電体膜は、環状となっている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機械素子。 - 前記入力電極および出力電極はそれぞれ、環状となっている
ことを特徴とする請求項5に記載の電気機械素子。 - 前記圧電体膜、前記入力電極および出力電極は、同心円状となっている
ことを特徴とする請求項6に記載の電気機械素子。 - 前記圧電体膜に連結された1または複数の梁部と、
前記梁部を介して前記圧電体膜を支持する支持部と、
少なくとも前記梁部の表面または内部に互いに別個独立に形成されると共に、一方が前記入力電極と連結され、他方が前記出力電極と連結された導電性の2つの配線層と
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機械素子。 - 前記圧電体膜は、窒化アルミニウムを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機械素子。 - 複数の第1電気機械部を備え、
前記第1電気機械部は、
第1上面および第1下面を有する振動可能な第1圧電体膜と、
前記第1上面および前記第1下面のいずれか一方に互いに別個独立に設けられた入力電極および出力電極と、
前記第1上面および前記第1下面のうち前記入力電極および出力電極の設けられている面とは異なる面に設けられると共に接地される第1対向電極と
を有する
ことを特徴とする電気機械素子。 - 前記複数の第1電気機械部のうち少なくとも2つの入力電極を互いに電気的に接続した第1配線層と、
前記複数の第1電気機械部のうち前記第1配線層の接続された入力電極を有する第2電気機械部の各出力電極を互いに電気的に接続した第2配線層と
を備える
ことを特徴とする請求項10に記載の電気機械素子。 - 前記各第1電気機械部は、互いに異なる共振周波数を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の電気機械素子。 - 前記各第1圧電体膜に連結された複数の梁部と、
前記梁部を介して前記第1圧電体膜を支持する支持部と、
を備え、
前記第1配線層および前記第2配線層は、少なくとも前記梁部の表面または内部に形成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電気機械素子。 - 前記各第1圧電体膜は、環形状となっており、
前記複数の第1圧電体膜は、入れ子状に配置されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電気機械素子。 - 前記複数の第1圧電体膜のうち1つを除く各薄膜は、環形状となっており、
前記複数の第1圧電体膜は、入れ子状に配置されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電気機械素子。 - 前記複数の第1電気機械部のうち前記第1配線層の接続されていない第3電気機械部が少なくとも2つあり、
前記少なくとも2つの第3電気機械部のうち一の電気機械部の入力電極および出力電極のいずれか一方と、前記第1配線層とを互いに電気的に接続した第3配線層と、
前記少なくとも2つの第3電気機械部のうち前記第3配線層の接続されていない他の電気機械部の入力電極および出力電極のいずれか一方と、前記第2配線層とを互いに電気的に接続した第4配線層と、
前記一の電気機械部の入力電極および出力電極のうち前記第3配線層の接続されていない電極と、前記他の電気機械部の入力電極および出力電極のうち前記第4配線層の接続されていない電極とを接地電位線路に接続する第5配線層と
を備える
ことを特徴とする請求項10に記載の電気機械素子。 - 複数の第4電気機械部を備え、
前記第4電気機械部は、
第2上面および第2下面を有する振動可能な第2圧電体膜と、
前記第2上面および前記第2下面のいずれか一方に設けられると共に、一体的に形成された入出力電極と、
前記第2上面および前記第2下面のうち前記入出力電極の設けられている面とは異なる面に設けられた第2対向電極と
を有し、
前記複数の第4電気機械部のうち一の電気機械部の入出力電極と、前記第1配線層とを互いに電気的に接続した第3配線層と、
前記複数の第4電気機械部のうち前記第3配線層の接続されていない他の電気機械部の入出力電極と、前記第2配線層とを互いに電気的に接続した第4配線層と、
前記一の電気機械部の第2対向電極と、前記他の電気機械部の第2対向電極とを接地電位線路に接続する第5配線層と
を備える
ことを特徴とする請求項10に記載の電気機械素子。 - 一の素子と他の素子とに接続された電気機械素子を内蔵する半導体デバイスであって、
前記電気機械素子は、複数の電気機械部を備え、
前記電気機械部は、
上面および下面を有する振動可能な圧電体膜と、
前記上面および前記下面のいずれか一方に互いに別個独立に設けられた入力電極および出力電極と、
前記上面および前記下面のうち前記入力電極および出力電極の設けられている面とは異なる面に設けられると共に接地される対向電極と
を有する
ことを特徴とする半導体デバイス。 - 前記一の素子、他の素子、および電気機械素子は、一連の機能を構成する複数の素子が一体的に形成されたSoC(System on a Chip) 内に形成されている
ことを特徴とする請求項18に記載の半導体デバイス。
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