JP2008012631A - 電気機械素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気機械素子の下部電極と可動子の上部電極間のギャップ長を小さくする。
【解決手段】空間24を介して下部電極23と上部電極を有した可動子25とを備え、下部電極23及び上部電極25のいずれか一方、又は両方が積層構造で形成されて成る。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電駆動型の電気機械素子及びその製造方法に関する。
近年、基板上の微細化製造技術の進展に伴い、電気機械素子、いわゆるマイクロマシン(超小型電気的・機械的複合体:Micro Electro Mechanical Systems,以下、MEMSという)や、そのMEMS素子を組み込んだ小型機器等が注目されている。MEMS素子は、可動構造体である振動子と、その振動子の駆動を制御する半導体集積回路等とを、電気的・機械的に結合させた素子である。そして振動子が素子の一部に組み込まれており、その振動子の駆動を電極間のクーロン引力等を応用して電気的に行うようにしている。
このようなMEMS素子のうち、特に半導体プロセスを用いて形成されたものは、デバイスの占有面積が小さいこと、高いQ値(振動系の共振の鋭さを表す量)を実現できること、他の半導体デバイスとのインテグレーション(統合)が可能であること等の特徴を有することから、無線通信用の高周波フィルタとしての利用が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
図13A〜Cに、非特許文献1に記載された高周波フィルタを構成する共振器、すなわちMEMS共振器の概略を示す。この共振器1は、基板、例えば半導体基板2の表面にシリコン酸化膜3及びシリコン窒化膜4を形成して成る基板6上に、下部電極となる出力電極7が形成され、この出力電極7に対向するように空間8を介して振動可能な上部電極となるビーム(梁)9が形成されて成る。すなわち、この共振器1は中空構造を有した構成とされる。出力電極7及びビーム9は、リン(P)含有の多結晶シリコン膜で形成される。ビーム9の両端は下部配線11〔11A,11B〕に接続された支持部(アンカー部)10〔10A,10B〕に支持される。一方の下部配線11A上に接続されるように外部配線12が形成される。
この共振器1では、振動子となるビーム9に直流バイアス電圧が印加されると共に、特定周波数信号が印加されると、ビーム9が固有振動周波数で共振し、出力電極7とビーム9との間の空間8で形成されるキャパシタの容量が変化し、出力電極7から特定の周波数信号が出力されるようになる。
C.T.-C.Nguyen,"Micromechanical components for miniaturized low-power communications(invited plenary),"proceedings,1999 IEEE MTT-S International Microwave Symposium RDF MEMS Workshop,june,18,1999,pp.48-77.
ところで、上述の共振器1は、空間8に対応した部分が犠牲層となるように、下部電極7、犠牲層(図示せず)及びビーム9を積層した後、犠牲層を選択的にエッチング除去して製造される。一般的に下部電極7及びビーム9として、リン(P)を含有した多結晶シリコン膜を用いて中空構造を構成する場合には、犠牲層としてシリコン酸化(SiO)膜を使用することが多い。この場合の犠牲層のエッチングには、高濃度のフッ酸溶液、例えば50%フッ酸溶液(DHF:希フッ酸溶液)などが用いられる。
製造プロセスにおいては、犠牲層をエッチング除去する前にリン(P)含有多結晶シリコン膜の活性化処理などの熱処理工程が入る。この熱処理の過程で、リン(P)が犠牲層であるシリコン酸化膜側へ偏析し、その結果、多結晶シリコン膜の表面にリン(P)が偏析してしまう。この偏析したリン(P)は、高濃度のフッ酸溶液による犠牲層エッチングの際に同時に除去されることが判明した。偏析したリン(P)が除去されることは、電極として機能する多結晶シリコン膜が高抵抗化し、ビーム9に印加する直流バイアス電圧の増大を招くことになる。
一方、図12に示すように、下部電極7は絶縁膜のシリコン窒化膜4上に単層で形成されるが、ビーム9は厚膜(例えば1μm)であるので、例えば2層構造で形成することが考えられる。このとき、2層のリン(P)含有多結晶シリコン膜の界面15には製造上酸化膜が介在されることになる。この状態で熱処理を行うと、下部電極7では基板6表面の絶縁膜との界面にリン(P)が偏析し、ビーム9では中間の界面15にリン(P)が偏析する。15A,15Bはリン(P)の偏析が残る領域である。この結果、実効的な電極間のギャップ長d2は、両電極(すなわち下部電極7とビーム9)におけるリン(P)の偏析が残る領域15Aと15B間の間隔となり、実効的なギャップ長が大きくなる。これにより、両電極間の静電力が低下するので、その分直流バイアス電圧の増大を招くことになり、駆動電力が増大する。
本発明は、上述の点に鑑み、実効的な電極間のギャップ長を小さくし、直流バイアス電圧が効率よく印加できるようにした、電気機械素子及びその製造方法を提供するものである。
本発明に係る電気機械素子は、空間を介して下部電極と上部電極を有する可動子とを備え、下部電極及び上部電極のいずれか一方、又は両方を積層構造で形成して成ることを特徴とする。
本発明の電気機械素子では、下部電極及び上部電極の少なくとも一方を積層構造で形成するので、不純物含有半導体膜で積層構造を形成したとき、不純物が積層構造内の界面に偏析する。この不純物の偏析が残る領域が実効的な電極位置となることにより、実効的な電極間のギャップ長が小さくなる。
本発明に係る電気機械素子の製造方法は、基板上に下部電極を形成する工程と、下部電極上を含んで犠牲層を形成する工程と、犠牲層上に上部電極を有する可動子を形成する工程と、犠牲層を除去して下部電極と可動子との間に空間を形成する工程とを有し、下部電極及び上部電極のいずれか一方、又は両方を積層構造で形成することを特徴とする。
本発明の電気機械素子の製造方法では、下部電極及び上部電極の少なくとも一方を積層構造で形成するので、不純物含有半導体膜で積層構造を形成したとき、犠牲層の除去と同時に犠牲層との界面に偏析した不純物は除去されるが、積層構造内の界面に偏析した不純物は残る。この不純物の偏析が残る領域が実効的な電極位置となるので、実効的な電極間のギャップ長が小さくなる。
本発明に係る電気機械素子によれば、実効的な電極間のギャップ長が小さくなるので、直流バイアス電圧を効率よく印加することができる。この結果、駆動電力の低減を図ることができる。
本発明に係る電気機械素子の製造方法によれば、実効的な電極間のギャップ長を小さくし、直流バイアス電圧を効率良く印加できるようにした電気機械素子を製造することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態で対象とする電気機械素子は、マイクロスケール、ナノスケールの素子である。
図1に、本発明に係る電気機械素子の代表的な一実施の形態の概略構成を示す。本実施の形態に係る電気機械素子21は、基板22上に下部電極となる出力電極23と、この出力電極23に空間24を介して対向する上部電極を有する可動子、すなわち帯状のビーム(梁)25とを備えて構成される。本例ではビーム25が上部電極のみにて形成される。
基板22は、例えば半導体基板上に絶縁膜を形成した基板、石英基板やガラス基板のような絶縁性基板を用いることができる。本例では、単結晶シリコンからなる半導体基板31上にシリコン酸化(SiO)膜32及びシリコン窒化(SiN)膜33の積層膜による絶縁膜34を形成した基板を用いる。
ビーム25は入力側の電極となる。ビーム25は、基板22上に形成した下部配線26〔26A,26B〕に支持部(アンカー部)27〔27A,27B〕を介して支持され、いわゆる両持ち梁構造に形成される。下部配線、例えば一方の下部配線26A上には、下部配線26Aと電気的に接続された外部配線28が形成される。
そして、下部電極となる出力電極23及び上部電極となるビーム25の少なくとも一方の電極、すなわち出力電極23及びビーム25のいずれか一方又は両方が2層以上の複数層の膜からなる積層構造で形成される。この積層構造としては、例えば導電性を付与する不純物を含有した半導体膜、好ましくはシリコン膜で形成することができる。本例では、リン(P)を含有した2層膜の多結晶シリコン膜からなる積層構造で出力電極23及びビーム25が形成される。すなわち、出力電極23は2層膜の多結晶シリコン膜41〔41A,41B〕からなる積層構造で形成される。ビーム25は2層膜の多結晶シリコン膜45〔45A,45B〕からなる積層構造で形成される。出力電極23と同時に形成される下部配線26〔26A,26B〕もリン(P)含有多結晶膜41A,41Bによる積層構造で形成される。
この積層構造では、その多結晶シリコン膜41A及び41B間の界面38、及び多結晶シリコン膜45A及び45B間の界面38に絶縁膜、例えば自然酸化膜等の酸化膜(図示ぜず)が介在される。ここで、積層構造の界面38の位置が後述するように、出力電極23とビーム25間の実効的な電極間のギャップ長を決定する。このため、ビーム25側では、出来るだけ空間24に近い位置に界面38が存するような積層構造とし、出力電極23側では、同様に出来るだけ空間24に近い位置に界面38が存するような積層構造とする。
界面38の位置を上記のようにするため、ビーム25に関しては第1層の多結晶シリコン膜45Aの膜厚を第2層の多結晶シリコン膜45Bの膜厚より薄くして積層構造を形成する。出力電極23に関しては第2層の多結晶シリコン膜41Bの膜厚を第1層の多結晶シリコン膜41Aの膜厚より薄くして積層構造を形成する。
それぞれ例えばリン(P)含有多結晶シリコン膜41及び45で形成した出力電極23及びビーム25に対しては、製造過程で活性化処理などの熱処理が施される。この熱処理で図1C及び図2の模式図に示すように、ビーム25の不純物のリン(P)は積層構造内の界面38の酸化膜側へ偏析され、出力電極23の不純物のリン(P)は積層構造内の界面38の酸化膜側と基板22の絶縁膜(本例ではシリコン窒化膜33)側へ偏析される。39、40はリン(P)の偏析が残った領域である。
一方、後述するように、空間24を形成するために、犠牲層を除去したときに、出力電極23及びビーム25の犠牲層側に偏析されたリン(P)は犠牲層のエッチングと共に除去される。しかし、界面38が空間24に近い位置に存するので、結果として、リン(P)の偏析が残る領域39、40は、空間24に近接することになる。
本実施の形態の電気機械素子21は、例えば帯域フィルタなどの共振器として用いることができる。このときの動作は、前述の図13の場合と同様である。すなわち、ビーム25には直流バイアス電圧が印加されると共に、特定の周波数信号が印加されると、ビーム25が固有振動周波数で共振し、出力電極23とビーム25との間の空間で形成されるキャパシタの容量が変化し、出力電極23から特定の周波数信号が出力される。
上述の本実施の形態に係る電気機械素子21によれば、空間24を挟んで対向する出力電極23とビーム25が、不純物含有、例えばリン(P)含有多結晶シリコン膜41及び45による上述した積層構造で形成され、その2層の多結晶シリコン膜41A,41B、及び2層の多結晶シリコン膜45A,45Bとの界面38が空間24近くに存するので、それぞれのリン(P)の偏析が残る領域39、40が空間24に近くなる。すなわちこの領域39,40は限りなく空間24に対面するようになる。従って、リン(P)の偏析が残る領域39、40が実効的な電極位置となることから、図2に示す実効的な電極間隔d1が小さくなり、電気機械素子21を静電駆動する際の静電力が向上する。逆に、直流バイアス電圧を低減することができ、電気機械素子21の駆動電力の低減を図ることができる。
すなわち、図3に示すように、下部電極103及び上部電極105を間隔dを保持して配置し、両電極103及び105間に直流バイアス電圧Vを印加したときの、両電極103及び105間に作用する静電力Fは、次式で表される。
F=1/2(ε・S/d2 )V2
但し、Sは電極の面積、dは電極間隔、Vは両電極間に印加した電圧、εは誘電率。
この式から、実効電極間隔dが小さくなることで静電力Fが向上する。従って、上述の実施の形態の電気機械素子21においては、リン(P)の偏析を積極的に利用すると共に、積層構造によりリン(P)の偏析をコントロールすることができるので、実効的な出力電極23及びビーム25間の間隔(実効的な電極間のギャップ長)d1が小さくなる。その結果、静電力が向上する。
また、実効的な間隔d1が小さくなるので、直流バイアス電圧が効率良くビーム25に印加することができ、例えば電気機械素子21を帯域フィルタに適用したときには、最大の透過特性が得られる。
また、電気機械素子21を並列化したときにも、ばらつきを最小限に抑えることができる。すなわち、電気機械素子21を並列化したときに周辺と内部(中心)での素子特性(静電力、共振周波数)がばらつくと考えられるが、リンの偏析が起こることにより、この特性のばらつきを最小限に抑えることができる。
次に、図4〜図5を参照して本発明に係る電気機械素子の製造方法の一実施の形態を説明する。本実施の形態の製造方法は、図1に示す電気機械素子21の製造に適用した場合である。
先ず、図4Aに示すように、基板、本例では単結晶シリコンによる半導体基板31上に、絶縁膜34としてシリコン酸化膜32及びシリコン窒化膜33を減圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法により積層形成してなる基板22を用意する。
次に、図4Bに示すように、減圧CVD法により導電性を付与する所要の不純物、本例ではリン(P)を含有した多結晶シリコン膜41を2回に分けて形成する。すなわち、第1層の多結晶シリコン膜41Aとその上の第2層の多結晶シリコン膜41Bを成膜する。このとき、第1層の多結晶シリコン膜41Aの膜厚t1を厚く、第2層の多結晶シリコン膜41Bの膜厚t2を薄くする(t1>t2)。成膜では、第1層の多結晶シリコン膜41Aを形成した後、炉から取り出し、再度炉に入れて第2層の多結晶シリコン膜41Bを形成する。第1層の多結晶シリコン膜41Aを形成した後、表面酸化膜をフッ酸溶液で除去するが、再度炉に入れるまでに自然酸化されるので、結果として第1層の多結晶シリコン膜41Aと第2層の多結晶シリコン膜41Bとの界面38に酸化膜42が介在することになる。表面酸化膜を積極的に利用するときは、表面酸化膜を除去しない。
次に、積層構造の多結晶シリコン膜41を、周知のリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を利用してパターニングし、下部電極となる出力電極23と下部配線26〔26A,26B〕を形成する。
次に、図4Cに示すように、出力電極23及び下部配線26〔26A,26B〕を含む全面に犠牲層43となる例えばシリコン酸化(SiO)膜を減圧CVD法により形成し、その後、平坦化技術を用いて出力電極23上に所要の膜厚t3が残るようにして、出力電極23及び下部電極26〔26A,26B〕を犠牲層43で埋め込む。
次に、図4Dに示すように、周知のリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を利用して下部配線26A,26B上の犠牲層43を一部パターニングして開口部44を形成する。この開口部44は後工程のビーム形成のときにビームの支持部の形成に供される。
次に、図5Eに示すように、減圧CVD法により所要の不純物、本例ではリン(P)を含有した多結晶シリコン膜45を2回に分けて形成する。すなわち、第1層の多結晶シリコン膜45Aとその上の第2層の多結晶シリコン膜45Bを成膜する。このとき、犠牲層43上において、第1層の多結晶シリコン膜45Aの膜厚t4を薄く、第2層の多結晶シリコン膜45Bの膜厚t5を厚くする(t4>t5)。この多結晶シリコン膜45による積層構造は、図4Bで説明したと同様に形成することができる。この結果、第1層及び第2層の多結晶シリコン膜45A及び45B間の界面38に酸化膜42が介在する。その後、多結晶シリコン膜45による積層構造を、周知のリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を利用してパターニングして、可動子となるビーム25を形成すると共に、開口部44内に下部配線26A,26Bに接続してビーム25を支持する支持部(アンカー部)27〔27A,27B〕を形成する。支持部27〔27A,27B〕は第1層の多結晶シリコン膜45Aで形成される。
次に、図5Fに示すように、熱処理を施してリン(P)含有多結晶シリコン膜41、45の活性化を行う。この熱処理により、多結晶シリコン膜41、45内のリン(P)が積層構造内の界面38の酸化膜42側及び犠牲層43に接す側へ偏析される。また、下部側の多結晶シリコン膜41では基板22の絶縁膜34側へもリン(P)が偏析される。すなわち、リン(P)の偏析が残る領域39、40が形成される。
次に、図5Gに示すように、例えばDHF溶液などのシリコン酸化膜のエッチング溶液により、犠牲層43であるシリコン酸化膜を選択的にエッチング除去し、ビーム25と下部電極23との間に空間24を形成する。この犠牲層43のエッチングでは、犠牲層43側に偏析したリン(P)もエッチング除去される。これにより、いわゆる中空構造が形成される。空間24が形成されるが、実効的な電極間隔d1は、積層構造のビーム25の界面38のリン(P)の偏析が残った領域39と、積層構造の出力電極23の界面38のリン(P)の偏析が残った領域40との間の間隔となる。
次に、図5Hに示すように、例えばAl−Cu、Al−Siによるスパッタ膜を形成した後、このスパッタ膜を周知のリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を利用してパターニングし、下部配線26Aに接続した外部配線28を形成する。このようにして、目的の電気機械素子21を得る。
本実施の形態に係る電気機械素子の製造方法によれば、リン(P)含有多結晶シリコン膜41及び45による夫々の積層構造で出力電極23及び可動子であるビーム25を形成することにより、リン(P)が積層構造内の界面38の酸化膜42側に偏析し、実効的な電極を形成する。このリン(P)が偏析する界面38を空間24に近づけるように積層構造を形成することにより、実効的な電極間のギャップ長d1が小さい電気機械素子21を製造することができる。
従って、静電駆動の際の静電力を向上し、また駆動電力の低減を図った電気機械素子を精度よく製造することができる。また、本実施の形態のビームの製造方法は、直流バイアス電圧を効率良くビームに印加できるので、最大の透過特性が得られる帯域フィルタの製造を可能にする。さらに、素子特性(静電力、共振周波数)のばらつきを最小限に抑えた並列化した電気機械素子を製造することができる。
次に、リン(P)の偏析と希フッ酸処理の影響について説明する。ここでは、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて分析した結果を示す。試料90としては、図6に示すように、シリコン基板91上にシリコン酸化(SiO)膜92を成膜し、その上に第1層のリン(P)をドープしたアモルファスシリコン(P−DAS)膜93、第2層のリン(P)をドープしたアモルファスシリコン(P−DAS)膜94及びタングステン膜95を順次成膜した試料を用いる。なお、第2層のP−DAS膜94とタングステン膜95との間には酸化膜(図示せず)が介在している。
測定ポイントAはシリコン酸化膜92と第1層のP−DAS膜93との界面である。測定ポイントBは第1層のP−DAS膜93内の中間部である。測定ポイントCは第1層のP−DAS膜93と第2層のP−DAS膜94との界面である。測定ポイントDは第2層のP−DAS膜94内の中間部である。測定ポイントEは第2層のP−DAS膜94と酸化膜(図示せず)との界面である。
図7A,Bに、試料90の熱処理前の拡大図とリン(P)偏析の分析結果を示す。図8A,Bに、試料90の熱処理後の拡大図とリン(P)偏析の分析結果を示す。図9A,Bに、試料90の希フッ酸処理後の拡大図とリン(P)偏析の分析結果を示す。
熱処理前では、図7Aの試料90の全ポイント1A,1B,1C,1D,1Eで同じ傾向を有し、図7Bに示すように、リン(P)は偏析していないため検出されない。つまりリン(P)が全体に拡散している。
熱処理後では、図8Aの試料90の酸化膜に接する界面のポイント2A,2C,2Eにおいて偏析によりリン(P)が検出された。ポイント2B,2Dでのリン(P)の偏析は検出されない。
希フッ酸処理後では、希フッ酸処理により表面ポイント3Eの酸化膜が除去され、同時にリン(P)も除去された。ポイント3A,3Cのリン(P)の偏析は残る。ポイント3B,3Dのリン(P)の偏析は検出されない。
以上の分析結果から、熱処理することにより、酸化膜との界面にリン(P)が偏析し、希フッ酸処理で酸化膜が除去されるときに、リン(P)も除去されることが分かる。
上述の実施の形態では、電気機械素子として1つの下部電極と両持ち梁構造のビームを備えた構成の電気機械素子に適用したが、その他の構成の電気機械素子にも適用することができる。図10は、他の構成の電気機械素子の代表例を示す。この電気機械素子51は、基板22上に2つの下部電極、すなわち入力電極52と出力電極53を形成し、この入出力電極52、53に対向するように両持ち梁構造の可動子となるビーム54を配置して構成される。この入力電極52、出力電極53及びビーム54は前述と同様の2層の多結晶シリコン膜41〔41A,41B〕、2層の多結晶シリコン膜45〔45A,45B〕の積層構造で形成する。その他の構成は図1と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して重複説明を省略する。
本実施の形態の電気機械素子51は、例えば帯域フィルタなどの共振器として用いることができる。この電気機械素子51による共振器では、ビーム54に直流バイアス電圧が印加される。入力電極52に特定の周波数信号が印加されると、ビーム54が固有振動周波数で2次振動モードで共振し、入力電極52とビーム54との間の空間24で形成されるキャパシタの容量が変化し、出力電極53から特定の周波数信号が出力される。
その他の実施の形態の電気機械素子としては、図1及び図10のビーム25、54を一端で支持した片持ち梁構造とした電気機械素子、あるいは、図1、図10、あるいは片持ち梁構造としたものを並列化した電気機械素子にも適用できる。
本発明の各実施の形態の電気機械素子及びその製造方法は、高周波フィルタ等の共振器以外の、少なくとも下部電極及びビームを構成する電極のいずれか一方、あるいは両方を、不純物含有半導体膜、例えば不純物含有多結晶シリコン膜で形成される電気機械素子にも適用することができる。例えば、各種センサ、アクチュエータ、光学素子(光変調素子となるGLV素子を含む。この場合、ビームは電極兼光反射膜としての機能を有するためアルミニムなどで形成されるが、下部電極は多結晶シリコン膜で形成することができる)、その他等の様々な分野に用いられる電気機械素子に適用できる。
本発明に係る他の実施の形態としては、上述の実施の形態に係る電気機械素子を他の半導体デバイスとインレグレーションして成る半導体装置を構成することができる。例えば、本実施の形態の電気機械素子を含んで例えばSiP(システム・イン・パッケージ)デバイスモジュール、SoC(システム・オン・チップ)デバイスモジュール等の半導体装置を構成することができる。
上述した実施の形態の電気機械素子、例えば共振器は、高周波(RF)フィルタ、中間周波数(IF)フィルタなどの帯域信号フィルタとして用いることができる。
また、本発明の他の実施の形態として、このような電気機械素子によるフィルタを用いた通信装置を提供できる。すなわち、上述の実施の形態に係る電気機械素子によるフィルタを用いて構成される携帯電話、無線LAN機器、無線トランシーバ、テレビチューナ、ラジオチューナ等の電磁波を利用して通信する通信装置を提供することもできる。
次に、本例のフィルタを適用した通信装置の構成例を、図11を参照して説明する。
まず送信系の構成について説明すると、Iチャンネルの送信データとQチャンネルの送信データを、それぞれデジタル/アナログ変換器(DAC)201I及び201Qに供給してアナログ信号に変換する。変換された各チャンネルの信号は、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qに供給して、送信信号の帯域以外の信号成分を除去し、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qの出力を、変調器210に供給する。
変調器210では、各チャンネルごとにバッファアンプ211I及び211Qを介してミキサ212I及び212Qに供給して、送信用のPLL(phase-locked loop)回路203から供給される送信周波数に対応した周波数信号を混合して変調し、両混合信号を加算器214で加算して1系統の送信信号とする。この場合、ミキサ212Iに供給する周波数信号は、移相器213で信号位相を90°シフトさせてあり、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが直交変調されるようにしてある。
加算器214の出力は、バッファアンプ215を介して電力増幅器204に供給し、所定の送信電力となるように増幅する。電力増幅器204で増幅された信号は、送受信切換器205と高周波フィルタ206を介してアンテナ207に供給し、アンテナ207から無線送信させる。高周波フィルタ206は、この通信装置で送信及び受信する周波数帯域以外の信号成分を除去するバンド・パス・フィルタである。
受信系の構成としては、アンテナ207で受信した信号を、高周波フィルタ206及び送受信切換器205を介して高周波部220に供給する。高周波部220では、受信信号を低ノイズアンプ(LNA)221で増幅した後、バンド・パス・フィルタ222に供給して、受信周波数帯域以外の信号成分を除去し、除去された信号をバッファアンプ223を介してミキサ224に供給する。そして、チャンネル選択用PLL回路251から供給される周波数信号を混合して、所定の送信チャンネルの信号を中間周波信号とし、その中間周波信号をバッファアンプ225を介して中間周波回路230に供給する。
中間周波回路230では、供給される中間周波信号をバッファアンプ225を介してバンド・パス・フィルタ232に供給して、中間周波信号の帯域以外の信号成分を除去し、除去された信号を自動ゲイン調整回路(AGC回路)233に供給して、ほぼ一定のゲインの信号とする。自動ゲイン調整回路233でゲイン調整された中間周波信号は、バッファアンプ234を介して復調器240に供給する。
復調器240では、供給される中間周波信号をバッファアンプ241を介してミキサ242I及び242Qに供給して、中間周波用PLL回路252から供給される周波数信号を混合して、受信したIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。この場合、I信号用のミキサ242Iには、移相器243で信号位相を90°シフトさせた周波数信号を供給するようにしてあり、直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。
復調されたIチャンネルとQチャンネルの信号は、それぞれバッファアンプ244I及び244Qを介してバンド・パス・フィルタ253I及び253Qに供給して、Iチャンネル及びQチャンネルの信号以外の信号成分を除去し、除去された信号をアナログ/デジタル変換器(ADC)254I及び254Qに供給してサンプリングしてデジタルデータ化し、Iチャンネルの受信データ及びQチャンネルの受信データを得る。
ここまで説明した構成において、各バンド・パス・フィルタ202I,202Q,206,222,232,253I,253Qの一部又は全てとして、本例の構成のフィルタを適用して帯域制限することが可能である。図11の例では、各フィルタをバンド・パス・フィルタとして構成したが、所定の周波数よりも下の周波数帯域だけを通過させるロー・パス・フィルタや、所定の周波数よりも上の周波数帯域だけを通過させるハイ・パス・フィルタとして構成して、それらのフィルタに本例の構成のフィルタを適用してもよい。また、図11の例では、無線送信及び無線受信を行う通信装置としたが、有線の伝送路を介して送信及び受信を行う通信装置が備えるフィルタに適用してもよく、さらに送信処理だけを行う通信装置や受信処理だけを行う通信装置が備えるフィルタに、本例の構成のフィルタを適用してもよい。
上述の実施の形態による通信装置によれば、帯域フィルタに本発明の電気機械素子によるフィルタを用いることにより、フィルタの駆動電力の低減が図られ、全体として信頼性の高い、かつ低消費電力の通信装置を提供することができる。
A,B及びC 本発明に係る電気機械素子の一実施の形態を示す概略的平面図、そのA−A線上の断面図及び拡大断面図である。 本発明の電気機械素子の説明に供する模式図である。 本発明の電気機械素子の静電力の説明に供する説明図である。 A〜D 本発明に係る電気機械素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その1)である。 E〜H 本発明に係る電気機械素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その2)である。 リン(P)の偏析と希フッ酸処理の影響の分析に用いた試料の断面図である。 A,B 試料の熱処理前の拡大図と分析結果である。 A,B 試料の熱処理後の拡大図と分析結果である。 A,B 試料のフッ酸処理後の拡大図と分析結果である。 本発明に係る電気機械素子の他の実施の形態を示す概略的構成図である。 本発明の電気機械素子をフィルタに用いた通信装置の回路図である。 比較例の電気機械素子の説明に供する模式図である。 A,B及びC 従来の電気機械素子の例を示す概略的平面図、そのB−B線上の断面図及び拡大断面図である。
符号の説明
21・・電気機械素子、22・・基板、23・・下部電極(出力電極)、24・・空間、25・・ビーム(梁)、26〔26A,26B〕・・下部配線、27〔27A,27B〕・・支持部、28・・外部配線、38・・界面、39、40・・リンの偏析が残った領域、41〔41A,41B〕、45〔45A,45B〕・・不純物含有多結晶シリコン膜、42・・酸化膜、43・・犠牲層

Claims (9)

  1. 空間を介して下部電極と上部電極を有した可動子とを備え、
    前記下部電極及び前記上部電極のいずれか一方、又は両方が積層構造で形成されて成る
    ことを特徴とする電気機械素子。
  2. 前記積層構造が不純物含有半導体膜の積層膜からなり、
    前記積層膜の界面側に不純物が偏析されて成る
    ことを特徴とする請求項1記載の電気機械素子。
  3. 前記不純物含有半導体膜が多結晶シリコン膜で形成され、
    前記積層膜の界面に絶縁膜が介在して成る
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  4. 共振器として用いるようにした
    ことを特徴とする請求項1記載の電気機械素子。
  5. 共振器として用いるようにした
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  6. 共振器として用いるようにした
    ことを特徴とする請求項3記載の電気機械素子。
  7. 基板上に下部電極を形成する工程と、
    前記下部電極上を含んで犠牲層を形成する工程と、
    前記犠牲層上に上部電極を有した可動子を形成する工程と、
    前記犠牲層を除去して前記下部電極と前記可動子との間に空間を形成する工程とを有し、
    前記下部電極及び前記上部電極のいずれか一方、又は両方を積層構造で形成する
    ことを特徴とする電気機械素子の製造方法。
  8. 前記積層構造を不純物含有半導体膜の積層膜で形成し、
    熱処理して前記積層膜の界面側に不純物を偏析する
    ことを特徴とする請求項7記載の電気機械素子の製造方法。
  9. 前記不純物含有半導体膜を多結晶シリコン膜で形成し、
    前記多結晶シリコン膜の積層膜の界面に絶縁膜を介在させる
    ことを特徴とする請求項8記載の電気機械素子の製造方法。
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