JP4023372B2 - マイクロスイッチ及び送受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロスイッチ及び送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
第2.5世代以降の携帯電話システムやIEEE802.11xで規定される無線LAN、あるいは高度交通情報システム(ITS)等で利用が期待されるミリ波無線等の無線通信分野においては、いつでもどこでも途切れることなく情報通信が可能ないわゆるユビキタスネットワークの形成が近い将来の技術として期待されている。
【0003】
このような、複数の周波数帯の信号を、一台の端末で処理するためには、端末内に、それぞれの異なる周波数帯の信号を送受信するRF回路を複数個用意したパッケージを用いるのが一般的であった。しかしながらこの方法では周波数帯域ごとにRF回路を設けなければならないため、回路が占める面積が非常に大きくなり、一つの周波数帯域の信号処理に関してですら、静止画もしくは動画情報の送受信等により半導体デバイス数・機能が増大している端末における、RF回路実装面積低減の要請に対応することが困難である。
【0004】
このような背景の下、マイクロマシン技術を用いたスイッチや可変容量型コンデンサを用いたフィルタが、従来の半導体素子を用いたスイッチやいわゆるバリキャップ(可変容量方コンデンサ)に代わるものとして開発が進められている。これらはマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)スイッチ、フィルタ等と称され、ダイオードを用いた従来型のスイッチやバリキャップと比較して、絶縁性が高く小型・低消費電力のスイッチや、容量の可変領域が広く、かつ、誘電正接(tanδ)の逆数であるQ値(誘電体の損失を表す数値。Q値が高いほど損失が小さい)の高い可変容量型コンデンサ搭載フィルタを提供できるとして期待されている。このように、本明細書ではMEMS構造のデバイスとは、いわゆる半導体製造プロセスによって製造される、3次元的構造を有する構造体であって、電気的信号を扱う用途に供されるデバイスをいうものとする。
【0005】
このうち、上記のようなMEMS構造と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の半導体素子が混載された構造については、例えば特開平9−162462号公報や、Aleksander Decによる参考文献(Aleksander Dec, Ken Suyama, IEEE Transaction on Microwave Theory and Techniques, Vol.46, No.12, December 1998, pp. 2587 - 2596)等において開示されている。
【特許文献1】
特開平9−162462号公報
【非特許文献1】
Aleksander Dec, Ken Suyama, IEEE Transaction on Microwave Theory and Techniques, Vol.46, No.12, December 1998, pp. 2587 - 2596
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術においては、スイッチや可変容量コンデンサ等、電気的な信号等により機械的に動作することにより所定の機能を果たす構造となっており、
梁構成部材が、機械的に変形することにより所定の機能を実現する。一方、本発明者らは、使用環境温度が変化した場合に、構成部材の剛性のような、機械的物性値の温度依存性がその機能を確保する上で問題となるおそれがある場合があることを見出した。しかし、前記従来技術では使用環境温度変化に対してなんら考慮されていない。
【0007】
例えば、片持ち梁5の部分が仮に一種類の材料によって構成されている場合、一般に温度が低くなるとその剛性は高くなる。したがって、動作温度が高くなると、弱い静電引力でもスイッチがONとなり、動作温度が低くなると、強い静電引力を加えないとスイッチをONできなくなってしまうおそれがある。
【0008】
MEMSデバイスを有する携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)のような、いわゆる携帯情報端末において、このような製品に搭載される部品及び装置においては、幅広い動作環境温度(例えば-30℃から100℃までなど)を保証することが求められる。いいかえれば厳冬期の高緯度地域の屋外から、真夏の自動車のコンソールパネル上までの広い温度範囲で安定した特性を有することが求められる。
【0009】
そこで、本発明は、幅広い動作環境温度においても機能することができる高性能のマイクロスイッチ及び送受信装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、MEMSデバイスを備えた送受信装置中のMEMSデバイスの近傍に、動作温度を所定の範囲内に保つための温度制御機能を設けることにより解決を図る。
【0011】
これにより、幅広い動作環境温度においても機能することができる高性能の送受信装置を提供することができる。そして、全体装置を小型化できる。具体的には以下の形態を有することができる。
(1)マイクロスイッチとしては、基板と、基板上に間隔を介して形成された第一配線層と第二配線層と、前記基板に支持され導電性の接合部を有する梁と、前記接合部と前記第一配線層或は前記第二配線層と電気的な接合を図る駆動機構と、前記梁の温度を制御する温度制御機構を備えることを特徴とする。
(2)送受信装置としては、周波数に対応した複数のアンテナと、前記アンテナを切替えるアンテナ切替えスイッチと、前記アンテナ切替えスイッチを経て前記アンテナで受信した信号が導入されるアンプと、前記アンプを経た信号が導入され出力信号を出す制御ICと、を備え、前記アンテナ切替スイッチは、
基板と、基板上に間隔を介して形成された第一配線層と第二配線層と、前記基板に支持され、前記第一配線層或は前記第二配線層と電気的な接合を図る電極を有する梁と、を有し、前記アンテナ切替えスイッチの温度を制御する温度制御機構を備えることを特徴とする。
(3)或は、少なくとも前記アンテナスイッチ或は前記フィルタとは第一の基板に設置され、前記制御ICは第二の基板に設置されることを特徴とする受信装置である。好ましくは、請求項5において、前記第一の基板には温度制御機構を有する。なお、第二の基板には第一の基板に設置したのと同じ温度制御機構を非設置にすることも構成の簡素化の点では好ましい。
(4)或は、前記制御ICで発生した熱を前記アンテナスイッチ或は前記フィルタに輸送する熱輸送機構を備えることを特徴とする送受信装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図1、3、4を用いて説明する。なお、本発明は明細書に開示した形態に限定されるのではなく、公知技術や今後公知技術となる形態に基づく変更を阻止するものではない。
図1は、本発明における温度制御機能を有するMEMSデバイスの一例の概略構造を示す断面図である。図1は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術によって形成されるデバイスであるマイクロスイッチに関し、梁(一例として片持ち梁を記載)の撓みにより動作するMEMSスイッチを一例として示した。
【0013】
基板1と、基板1の上に絶縁膜2が形成され、絶縁膜2の上にサーフェスプロセス等の工程により各構成が形成される。基板に支持される梁5が基板1に対して3次元的に形成されている。スイッチの本体構造となるこの片持ち梁5は、その内部に絶縁膜2の上に形成された電極膜3と電気的に接続された導電性部を含む構造を有し、梁の駆動機構を構成する。この電極膜3と絶縁膜2の上に形成された電極膜4の間にバイアス電圧を印加すると、電極間に発生した静電引力により片持ち梁が撓み、導電性の膜で形成された接点7と電極膜6が接続されることにより、電気的信号を流すことができる。なお電極膜6は絶縁膜2上に間隔を介して配置された2本の配線を備え、接点7との接触により両配線が電気的に接続するよう構成されている。そして、本実施形態における半導体製造プロセスによって製造される、3次元的構造を有する構造体であって、電気的信号を扱う用途に供されるMEMSデバイスにおいては、基板1の上に、温度制御機能8を梁5に対応する領域に設けたことを特徴とする。
【0014】
温度制御機能8を構成する温度制御手段としては、例えば熱電素子膜などのヒータ膜を薄膜成長プロセスにより形成することが考えられる。上記スイッチの動作温度を所定の範囲に制御できる方法であれば、他の形態を用いることもできる。
【0015】
このように電気的信号により機械的に動作する構造を有するマイクロスイッチが基板上に構成された形態にすることにより、図2に示した前記温度制御機能8を備えない比較例のマイクロスイッチ構造に比べても、可動部分のあるMEMS構造の動作温度が、周囲環境温度や混載される半導体素子から生じる熱の影響を受けることなく一定の範囲内で安定するため、例えばスイッチを動作させるための駆動電圧などの動作特性を、常時ほぼ一定に保つことができる。このため、信頼性設計や動作制御条件等に観点から、より優れたMEMSデバイス及びそれを備えた装置を提供することが可能である。
【0016】
MEMSデバイスでは温度によって特性が変わるので、同じ作業のために必要な印加電圧は変化し、低温ほど高電圧にしなければならない。このため、本構造を備えることにより、バッテリが残り少なくなったときにスイッチの駆動電圧以下になってしまうと動作不能に陥ることを効果的に防止することができる。携帯端末のように使用温度環境が変化する場合とくに効果的である。例えば、その中のRF回路に用いることにより、さらに小型化した端末を構成することができる。その場合、多波長に対応できるRF回路であることが効果的である。なお、前述したバッテリ残量小の場合には温度制御手段で用いる熱の出入りはバッテリ以外により行うことが好ましい。このようなマイクロスイッチを用いることにより、半導体スイッチでは高周波数帯でリーク電流増加のおそれ(数GHz以上)が大きくなるのに対して、本発明により環境温度変化があっても高周波数帯対応できる装置を構成することができる。
【0017】
なお、図3は他の一実施形態を示す。基本的には図1で説明した構成を備えることができるが、本実施形態では、温度制御手段3は、梁5が形成された基板1の面とは反対側面に形成されている。MEMS構造を搭載した基板1全体が温度制御手段8の上に載せられている形態になっている。あるいは図4に示すように基板1裏面にキャビティ9を形成し、その中に温度制御手段8を配置しても構わない。これらの場合、温度制御手段8としては、例えばペルチェ素子等の熱電素子でも搭載することができる。
【0018】
本発明の他の実施形態を、図5、6を用いて説明する。本実施例は、図1で説明した構成を送受信装置に適用した例を示す。図5は、携帯電話等など携帯機器の送受信信回路のシステムブロック図を模擬的に示した一例である。送受信回路はこれに限られるものではない。
図5に示すように、携帯電話等の送受信回路は、波長に対応した複数のアンテナ101と、アンテナ101を切替えるアンテナスイッチ102と、アンテナスイッチ102からの信号が入力されるフィルタとしてBPF103と、BPF103からの信号が入力されるアンプとしてLNA(Low Noise Amplifier)104と、アンプを経た信号が入力される直交復調器105と、直交復調器105を経た信号が入力されるA/D変換器107と、A/D変換器107を経た信号が入力される制御ICであるベースバンド信号処理回路108と、を備える。ベースバンド信号処理回路108は信号が入力され、信号が出力される。この制御ICから出力された信号は、例えば、D/A変換器106、直交復調器105、パワーアンプ109、BPF103、アンテナスイッチ102、所定のアンテナ101を経て送信されるようにしてもよい。
【0019】
また、本実施例では、前記構成装置が搭載される基板を複数備え、MEMS技術で製造した部品の適用が可能な装置を搭載した第一の基板10と、制御IC等のMEMS部品の適用が困難な装置を搭載した基板212を有している。このような送受信回路には、回路面積の低減するために、いわゆるSIP(System In Package)化やSOC(System On Chip)にすることが好ましい。
【0020】
このような送受信回路の一部に図1で概略を示したMEMS部品を適用する。一例としては、アンテナ切替えスイッチである。或は可変容量コンデンサを採用したフィルタ等に適用してもよい。これを少なくとも第一の基板10に形成する。これらの装置では上記動作温度による特性劣化の問題が存在する。一方、SIP化等により、パワーアンプ11やベースバンド信号処理回路等の制御ICのようにMEMS部品の適用が困難な半導体素子が、上記MEMS部品と同一パッケージ基板12上に混載されている。
【0021】
携帯電話等の無線通信に用いられる端末の送受信回路においては、パワーアンプ11の発熱損失が非常に大きいため、ここから発生した熱の影響がMEMS部品に及ばないようにするという観点では、パワーアンプ109は、第二の基板12に搭載されていることができる。一方、温度低下時はこの熱を効果的にMEMS部品に供給することができれば、MEMS部品の特性劣化を防止することができる。係る観点を重視する場合は、パワーアンプ109は、第一の基板10に搭載されていることができる。
【0022】
また、温度制御機構をフィルタに備えることにより、無線通信のトラフィックの増大があっても、限られた範囲の周波数帯域を有効に活用することができる高性能のフィルタ回路を備えた装置を構成することができる。
【0023】
図6は、本発明の他の一実施形態を示す。本実施形態におけるMEMS構造の概略を示す断面図で、基板1上に可動部分を有するかあるいは特性が動作温度により変化するMEMS部品13と半導体素子14が混載されている。図5で示した回路を用いる。図6は連結する配線などを簡略化して示したものである。MEMS部品13としては、前記アンテナスイッチ102或はフィルタ103であることができる。半導体素子14としては制御ICであることができる。或はパワーアンプであることもできる。なお、温度特性が動作温度により変化するMEMS部品13としては、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ等の受動素子を含めてもよい。図6において、MEMS部品13と半導体素子14は、基板上もしくは基板内に形成された熱輸送手段15により熱的に接続されている。この熱輸送手段15としては、金属膜・金属板等の板状の熱拡散板であることが好ましい。或はヒートパイプ、あるいは高熱伝導性のグラファイトシートやカーボンナノチューブを充填した熱拡散板など、半導体素子14で発生した熱を基板面方向、MEMS部品13側に効率よく拡散させることが可能なものを用いることもできる
本実施形態においては、半導体素子14から発生した熱がMEMS部品13搭載位置に効果的に伝えられるため、例えば動作環境温度が非常に低い状態になっても、MEMS部品を構成する材料の剛性が高くならず、所定のバイアス電圧でMEMS部品を駆動することができる。なお、ここでは共通する基板1の上に前記MEMS部品13と半導体素子14が搭載されている形態を示しているが、図5の説明で示したように複数の基板に分かれている形態であってもよい。
【0024】
本発明の他の実施形態を、図7、図8を用いて説明する。基本的には、図6で説明した形態を備えることができる。本実施形態では、半導体素子14と基板1裏面の間、つまり半導体素子14から発生した熱の放熱経路の途中には、熱電変換素子16等を配置し、半導体素子14から発生した熱の一部を電気的エネルギーとして回収する。上記電気的エネルギーは一旦蓄積された後、あるいは直接、MEMS部品13の温度制御手段8の駆動エネルギーとして利用する。
【0025】
本実施形態によれば、半導体素子14から発生した熱の一部を回収し、MEMS部品13の温度制御用エネルギーとして利用することができるため、MEMS部品13の特性を劣化させることなく製品として使用することができる。なお、回収したエネルギーが温度制御に不足する場合は、半導体素子14やMEMS部品13への電流供給源であるバッテリ等の電源を温度制御手段8にも適用すればよい。また、温度制御手段8の制御がなくても、MEMS部品13の動作温度が、その特性に影響を与えない範囲に収まっている場合は、熱電変換素子16で回収された電気的エネルギーは蓄電用コンデンサ等にチャージしておくことで、実際に温度制御が必要になった時の予備として蓄積することができる。
【0026】
なお、MEMS部品構成材料の剛性が高くなる、低温動作時の方が、温度制御のニーズは高い。したがって、動作温度が低温になる時だけ温度を上昇させてやるだけでも特性劣化対策となるので、温度制御手段8としては、薄膜抵抗体のようなヒータを用いても構わない。
【0027】
また、図8に示すように、半導体素子14と基板1裏面間の放熱経路における熱抵抗を低減し、半導体素子14から発生した熱を基板1内の所定の範囲で効率的に裏面方向に通過させるため、半導体素子14が設置された領域に放熱ビア等の熱拡散部材17を基板内に設けても構わない。その場合MEMS部品13が形成された領域にはビアなどの熱拡散部材17を非設置とするようにすることが好ましい。基板中の半導体素子を搭載した位置の周辺には損失として発生した熱を基板外部へ放熱するための熱輸送デバイスまたは熱拡散機能を持たせることにより、上記半導体素子の発熱によって生じる熱によって上記マイクロマシン構造の動作温度に及ぼされる影響が低減することができる。
【0028】
本発明の他の実施形態を、図9を用いて説明する。基本的には、図6で説明した形態を備えることができる。本実施形態においては、半導体素子14と基板1裏面を結ぶ放熱経路に熱エネルギー回収・拡散手段18を設け、MEMS部品13の温度制御手段8との間を、スイッチ19を介して接続したことを特徴とする。熱エネルギー回収・拡散手段18としては、図7に示した本発明の他の実施形態のように、熱電変換素子のようなものであっても構わないし、図6に示した本発明の他の実施形態のように熱拡散板であっても構わない。
【0029】
MEMS部品13の特性が劣化する場合、特に駆動電圧を高くしなければならなくなるのは、動作温度が低下してMEMS部品13構成材料の剛性が高くなる場合であるから、設計点温度より動作温度が高い場合は温度制御のニーズは比較的小さい。そこで、MEMS部品13の温度をモニタしておいて、動作温度が所定の値より低下した場合のみ、電気的、または熱的に温度制御手段8と熱エネルギー回収・拡散手段18を接続して、MEMS部品13の温度が極端に低下しないようにすることができる。半導体素子を動作させることにより損失として発生した熱の一部を熱電変換素子等の手段により電気的に回収し、上記回収した電気的エネルギーにより動作する加熱手段を上記マイクロマシン構造の昇温機能として配置し、上記マイクロマシン構造の動作温度が所定の温度より高い場合は上記昇温機能に通電せず、所定の温度より下がった場合は上記昇温機能に通電するよう構成できる。
【0030】
なお、本実施形態においても、図8のように、半導体素子14と基板1裏面間の放熱経路における熱抵抗を低減し、半導体素子14から発生した熱を基板1内の所定の範囲で効率的に裏面方向に通過させるため、放熱ビア等の熱拡散部材17を基板内に設けても構わない。
【0031】
本発明の他の実施形態を、図10を用いて説明する。基本的には、図6で説明した形態を備えることができる。本実施形態においては、MEMS部品13の温度制御手段8はバッテリ等の電源から直接供給される電流により制御し、半導体素子14から発生する熱は、熱拡散部材17を介して効率よく基板1裏面へ放熱することを特徴とする。本実施形態においては、発生した熱を効果的に放熱することが求められる半導体素子14と、動作温度を設計点付近で一定の範囲内に保つことが求められるMEMS部品13を、熱的に独立した形で同一基板1上に実装することができるため、別々に設計されたMEMS部品13と半導体素子14を比較的簡単に同一基板上に実装することができるという特徴がある。
【0032】
本発明の他の実施形態を、図11を用いて説明する。基本的には、図6で説明した形態を備えることができる。本実施形態においては、半導体素子14とMEMS部品13が基板面と垂直な方向に積層されていることを特徴とする。半導体素子14とMEMS部品13の間は、半導体素子14に対向した面の断熱構造と、温度制御構造を有する温度制御手段20を介在させることにより、半導体素子14と温度制御手段20で発生した熱は熱拡散部材17を介して基板1裏面に効率よく伝えられ、MEMS部品13の温度は、温度制御手段20により、設計値を中心とした所定の範囲に保つことが可能である。
【0033】
このように、これらの実施形態によれば、動作温度により特性が著しく劣化する可能性があるMEMS部品の温度を、設計点を中心とした所定の範囲もしくは所定の値以上に維持することができる。なお、本発明の各実子形態においては、全て、半導体素子14とMEMS部品13が基板1に対して同じ側に搭載された例を示したが、それぞれが異なる側に実装されたり、あるいは半導体素子14やMEMS部品13の一部が異なる側に実装されていても、可動部分もしくは動作温度により特性が大きく影響を受けるMEMS構造の温度が一定の範囲または一定の値以上に維持される構造であれば、全て本発明の実施形態に含まれる。
【0034】
【発明の効果】
本発明により、幅広い動作環境温度においても機能することができる高性能の送受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の概略構造を示す断面図
【図2】比較例の概略構造を示す断面図
【図3】本発明の一実施形態の概略構造を示す断面図
【図4】本発明の一実施形態の概略構造を示す断面図
【図5】本発明の一実施形態のシステムブロック図を模擬的に示した図
【図6】本発明の一実施形態の概略構造を示す断面図
【図7】本発明の一実施形態の概略構造を示す断面図
【図8】本発明の一実施形態の概略構造を示す断面図
【図9】本発明の一実施形態の概略構造を示す断面図
【図10】本発明の一実施形態の概略構造を示す断面図
【図11】本発明の一実施形態の概略構造を示す断面図
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁膜、3…電極、4…電極、5…片持ち梁、6…接点、7…電極、8…温度制御手段、9…キャビティ、10…MEMS技術で製造した部品の適用が可能な部分、11…パワーアンプ、12…MEMS部品の適用が困難な部分、13…MEMS部品、14…半導体素子、15…熱輸送手段、16…熱電変換素子、17…熱拡散部材、18…熱エネルギー回収・拡散手段、19…スイッチ、20…温度制御手段

Claims (3)

  1. 基板と、基板上に間隔を介して形成された第一配線層と第二配線層と、
    前記基板に支持され導電性の接合部を有する梁と、
    前記接合部と前記第一配線層或は前記第二配線層と電気的な接合を図る駆動機構と、
    前記梁の温度を制御する温度制御機構を備え、
    前記駆動機構により前記梁が変形されて前記接合部と前記第一配線層或は前記第二配線層と電気的な接合を図るよう形成され、
    前記温度制御機構は前記基板の前記梁が形成される面の裏面側に形成されることを特徴とするマイクロスイッチ。
  2. 基板と、基板上に間隔を介して形成された第一配線層と第二配線層と、
    前記基板に支持され導電性の接合部を有する梁と、
    前記接合部と前記第一配線層或は前記第二配線層と電気的な接合を図る駆動機構と、
    前記梁の温度を制御する温度制御機構を備え、
    前記駆動機構により前記梁が変形されて前記接合部と前記第一配線層或は前記第二配線層と電気的な接合を図るよう形成され、
    前記基板と前記第一配線層或は第二配線層との間に絶縁層が形成され、前記基板と前記絶縁層との間に前記温度制御機構を構成する膜が形成されることを特徴とするマイクロスイッチ。
  3. 周波数に対応する複数のアンテナと、
    前記アンテナからと電気的接続を切替えるアンテナスイッチと、
    前記アンテナスイッチを経て導入される前記アンテナからの信号のノイズを除去するフィルタと、
    前記フィルタを経た信号を増幅するアンプと、
    前記アンプを経た信号が導入され出力信号を出力する制御ICと、を有し、
    前記制御ICの形成された基板に熱電素子が配置されることを特徴とする送受信装置。
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