JP4584041B2 - 車両の放熱装置 - Google Patents

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Description

この発明は、不整地走行車両等の車両における放熱装置に関する。
従来、上記装置において、ラジエータ(放熱部)の外周に設けたフランジ(締結部)に支持ステーを介して冷却ファンを取り付けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−313386号公報
ところで、上記従来の技術においては、支持ステーにおける三箇所の被締結部をそれぞれ放熱部外周の締結部に締結する構成であり、その締結作業時には各被締結部や工具等が放熱部(ラジエータコア)に接触しないよう十分に注意する必要があるため、冷却ファンの取り付け工数を増加させることがあった。
そこでこの発明は、冷却ファン用の支持ステーの改良により該冷却ファンの放熱部への取り付け工数を低減できる車両の放熱装置を提供する。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車体フレーム(例えば実施例の車体フレーム4)に支持される放熱部(例えば実施例のラジエータ60)と、該放熱部の放熱性を高める冷却ファン(例えば実施例の冷却ファン61)と、該冷却ファンを支持すると共に前記放熱部に取り付けられる支持ステー(例えば実施例の支持ステー62)とを備える車両の放熱装置において、前記支持ステーが複数の腕部(例えば実施例の各アーム部84,85,86)を有してなり、該各腕部の少なくとも一つが、前記放熱部の外周に設けた締結部(例えば実施例の上段フランジ78)に締結される一方、この腕部における被締結部(例えば実施例の締結孔形成部105)が、前記放熱部の放熱面に沿って複数設けられ、前記放熱部における前記締結部を設けた外周を覆うシュラウド(例えば実施例のシュラウド63)に、前記締結部及び被締結部を貫通させる貫通部(例えば実施例の上部貫通孔108)が設けられることを特徴とする。
この構成によれば、放熱部の放熱面積に応じて腕部の各被締結部を使い分けることが可能となり、放熱面積が異なる放熱部間においても支持ステーを共用することができる。
また、締結部が放熱部の外周から突出するような場合にも、締結部及び被締結部がシュラウドを貫通可能となり、放熱面積の異なる放熱部間で支持ステーを共用可能とした上でシュラウドをも共用することができる。
請求項2に記載した発明は、前記各腕部の内の前記締結部を設けたもの以外の腕部の少なくとも一つが、前記放熱部の外周を挟みつつ保持する保持腕部であることを特徴とする。
この構成によれば、冷却ファンを放熱部に取り付ける際、その支持ステーの各腕部の内、放熱部の外周を挟みつつ保持する保持腕部を放熱部に取り付けた状態で、他の腕部を放熱部に締結により取り付けることが可能となる。すなわち、冷却ファン取り付け時に作業者が支持ステーを支持する頻度を少なくし、支持ステーや工具の放熱部への接触を効果的に防止することが可能となり、冷却ファンの放熱部への取り付けを容易にしてその工数を低減できる。
請求項3に記載した発明は、前記保持腕部が、前記放熱部を下方から支持することを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記車体フレームが、前記支持ステーを介して前記放熱部を支持することを特徴とする。
この構成によれば、車体フレームが放熱部を支持するためのステーを支持ステーが兼ねることとなり、放熱部支持部品を削減することができる。
この発明によれば、支持ステーの締結作業を容易にして冷却ファンのラジエータへの取り付け工数を低減できる。
この発明によれば、放熱面積が異なる放熱部間においても支持ステーを共用することができる。
この発明によれば、放熱面積の異なる放熱部間においてもシュラウドを共用することができる。
この発明によれば、放熱部支持用の部品点数を削減することができる。

以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
図1に示す鞍乗り型四輪車(不整地走行車両)1は、小型軽量に構成された車体の前後に、比較的大径の低圧バルーンタイヤである左右の前輪2及び後輪3を備え、最低地上高を大きく確保して主に不整地での走破性を高めた所謂ATV(All Terrain Vehicle)である。
車体フレーム4の略中央部には、鞍乗り型四輪車1の原動機としてのエンジン5が搭載される。エンジン5は水冷式の単気筒エンジンであり、クランクシャフトの回転軸を車両前後方向に沿わせた所謂縦置きレイアウトとされる。エンジン5の下部を構成するクランクケース6は変速機ケースも兼ねており、該クランクケース6の前部及び後部からは、前方又は後方に向けてそれぞれ前後プロペラシャフト8,9が導出される。
各プロペラシャフト8,9は、車体フレーム4の前部下側又は後部下側において、前後減速機構11,12等を介して、各前輪2又は後輪3に動力伝達可能に接続される。各前輪2及び後輪3は、車体フレーム4の前部又は後部において、独立懸架式(ダブルウィッシュボーン式)のフロントサスペンション13、又はスイングアーム15を介した車軸懸架式のリアサスペンション14を介してそれぞれ懸架される。
図2を併せて参照して説明すると、エンジン5において、クランクケース6上に立設されるシリンダ部7の後部にはスロットルボディ17が接続されると共に、該スロットルボディ17の後部にはエアクリーナケース18が接続される。一方、シリンダ部7の前部には排気管19の基端部が接続される。該排気管19は、シリンダ部7の前方に延びた後に後方に向けて折り返し、シリンダ部7の左方を後方に延びた後にその先端部が車体後部のサイレンサ21に接続される。なお、図1中符号16は、スロットルボディ17のインジェクタに燃料を圧送する燃料ポンプを示す。
鞍乗り型四輪車1の車体上部における車幅方向中央部には、前側から順にステアリングシャフト25、燃料タンク22、及び鞍乗り型のシート23がそれぞれ配設される。ステアリングシャフト25の上端部には、燃料タンク22の斜め上前方に位置するバー型のハンドル24が取り付けられる。ステアリングシャフト25の下端部は、不図示の前輪操舵機構に連結される。ステアリングシャフト25の下部前方には、エンジン5の放熱装置としてのラジエータ(放熱部)60等が配設されている。
車体フレーム4の前部には、車体前部を適宜覆う樹脂製の車体カバー31、及び各前輪2をその上方から後方に渡って覆う同じく樹脂製のフロントフェンダ32、並びに主に鋼材からなるフロントプロテクタ33及びフロントキャリア34が取り付けられる。また、車体フレーム4の後部には、各後輪3をその上方から前方に渡って覆う樹脂製のリアフェンダ35、並びに主に鋼材からなるリアキャリア36が取り付けられる。
図3を併せて参照して説明すると、車体フレーム4は、複数種の鋼材を溶接等により一体的に結合してなるもので、より具体的には、左右のアッパパイプ41及びロアパイプ42を主として左右一対の閉ループ構造体を形成し、これらを複数のクロスメンバを介して結合することで、車幅方向中央部において前後に長いボックス構造を形成してなるものである。以下、特に記載が無ければ図3に示す車体フレーム4左側について説明する。なお、車体フレーム4右側は前記左側の左右対称であるものとしてその説明は省略する。
アッパパイプ41は、車体フレーム4の上部外側においてやや後下がりに傾斜して配される上部傾斜部41aと、該上部傾斜部41aの前端部からこれに対して鋭角となるように斜め後下側に向けて延びる前部傾斜部41bと、上部傾斜部41aの後端部からこれに対して鈍角となるように斜め後下側に向けて延びる後部傾斜部41cとを、一本の鋼管に曲げ加工を施すことで一体に形成してなる。さらに、アッパパイプ41における上部傾斜部41aと前部傾斜部41bとの間には前側屈曲部41dを形成し、上部傾斜部41aと後部傾斜部41cとの間には後側屈曲部41eを形成する。また、前部傾斜部41bの略中央部には前方に向けて凸状となる中段屈曲部41fを形成する。
一方、ロアパイプ42は、車体フレーム4の下部外側において略水平に配される下部水平部42aと、該下部水平部42aの後端部からこれに対して鈍角となるように斜め後上側に向けて延びる後部傾斜部42bとを、一本の鋼管に曲げ加工を施すことで一体に形成してなる。また、左右ロアパイプ42は、その前端部(下部水平部42aの前端部)が車体上面視で前方に向けて凸状となる円弧状部42c(図2参照)を介して連続するように、すなわち左右で一体の構造体となるように設けられている。さらに、ロアパイプ42における下部水平部42aと後部傾斜部42bとの間には下段屈曲部42dを形成する。
アッパパイプ41の前部傾斜部41bの下端部は、ロアパイプ42の下部水平部42aの前端部近傍に接合される。また、アッパパイプ41の後部傾斜部41cの下端部は、ロアパイプ42の後部傾斜部42bの長手方向略中央部に接合される。アッパパイプ41の後部傾斜部41cの下部後側には、三角形状をなすピボットブラケット49が一体的に設けられる。該ピボットブラケット49は、リアサスペンション14におけるスイングアーム15の前端部を支持するためのものである。
アッパパイプ41の後側屈曲部41eには、略水平に配されたシートレールとしてのリアアッパパイプ43の前端部が接合される。該リアアッパパイプ43の長手方向略中央部には、ロアパイプ42の後部傾斜部42bの上端部が接合される。ロアパイプ42の後部傾斜部42bの長手方向略中央部とリアアッパパイプ43の後端部との間には、後上がりに傾斜して配されるリアサブパイプ44が渡設される。ここで、リアアッパパイプ43の長手方向略中央部間に渡設されるクロスメンバをリアクロスパイプ57とする。
ロアパイプ42の下部水平部42aの前端部近傍には、略水平に配されたフロントロアパイプ45の後端部が接合される。フロントロアパイプ45は、車体側面視において前輪2の車軸近傍となる位置にて斜め上前方に向けて屈曲し、その前端部にはフロントプロテクタ34の下端部が連結される。下部水平部42aにはステップバー58が設けられ、該ステップバー58がステップボード58aと共に乗員用ステップを構成する。
アッパパイプ41の前側屈曲部41dには、該屈曲部41dからフロントロアパイプ45の前端部近傍に渡るフロントクッションパイプ46の上端部が接合される。フロントクッションパイプ46は、アッパパイプ41の上段屈曲部41dから前方に延びて間もなく斜め前下方に向けて屈曲し、かつその上部に対して下部が前方に位置するように緩やかなクランク状に屈曲し、その下端部がフロントロアパイプ45の前端部近傍にそれぞれ接合される。フロントクッションパイプ46の上下方向略中央部とアッパパイプ41の中段屈曲部41fとの間には、やや前上がりに傾斜して配されるフロントサブパイプ47が渡設される。
ここで、左右フロントクッションパイプ46間には、左右方向に沿って延びる中段前側クロスビーム51及び上段クロスビーム55がそれぞれ渡設される。以下同様に、左右フロントロアパイプ45間には下段前側クロスビーム53及び下段後側クロスビーム54が渡設され、左右フロントサブパイプ47間には中段後側クロスビーム52が渡設される。
中段前側及び後側クロスビーム51,52の両側部には、フロントサスペンション13の左右アッパアーム(不図示)の基端側が揺動可能に軸支され、下段前側及び後側クロスビーム53,54の両側部には、左右ロアアーム(不図示)の基端側が揺動可能に軸支される。前記左右アッパアーム及びロアアームの先端側には、ナックルを介して左右前輪2のハブ部が回転自在に支持される。なお、図1中符号13aは、前記左右アッパアームと上段クロスビーム55の両側部との間に介設されるフロントクッションユニットを示す。
リアサスペンション14は、スイングアーム15及びリアクッションユニット14aを主としてなる。スイングアーム15の前端部はピボットブラケット49に上下に揺動可能に軸支される一方、その後端部は左右後輪3のハブ部間に渡るリアアクスルシャフトを軸支する。スイングアーム15の後端部近傍と車体フレーム4のリアクロスパイプ57との間には、前記リアクッションユニット14aが介設される。
ここで、図4,7に示すように、鞍乗り型四輪車1におけるエンジン5の放熱装置は、前輪2のアクスル位置よりも前方に配置されるラジエータ60と、該ラジエータ60の直ぐ後方に配置される電動式の冷却ファン61と、該冷却ファン61を支持する支持ステー62と、ラジエータ60の両側を覆うシュラウド(導風板)63と、ラジエータ60の直前を覆うグリル64とを主としてなる。
ラジエータ60は、やや前上がりの軸線に直交するように配置された正面視略正方形の板状をなすラジエータコア65と、該ラジエータコア65の上辺及び下辺に沿ってこれと一体に設けられる上部及び下部タンク66,67とを有してなる。すなわち、ラジエータ60はダウンフロー型(縦流れ型)であり、側面視でその上部が後方に位置するようにやや傾斜して配置されている。
ラジエータコア65の略中央背面側には、これに沿うように冷却ファン61が配置される。該冷却ファン61は、支持ステー62を介してラジエータ60に取り付けられる。ラジエータコア65の左右両側には、車幅方向に略直交する板状のシュラウド63が配置され、該各シュラウド63がラジエータコア65の左右両側にそれぞれ取り付けられる。ラジエータコア65の直ぐ前方には、これに沿うように傾斜する例えば網状のグリル64が配置され、該グリル64の両側が左右シュラウド63と共にラジエータコア65の左右両側にそれぞれ取り付けられる。
図1を併せて参照して説明すると、ラジエータ60の上部タンク66には、シリンダ部7前側のサーモスタット68から延びる流入側ホース69が接続され、下部タンク67には、クランクケース6前側のウォータポンプ71から延びる流出側ホース72が接続される。
そして、エンジン5の運転に伴いウォータポンプ71が駆動すると、該ウォータポンプ71、エンジン5内の冷却水通路、サーモスタット68、流入側ホース69、ラジエータ60、及び流出側ホース72の順で冷却水が循環し、該冷却水を媒体としてエンジン5の熱がラジエータコア65にて放熱される。なお、エンジン5の低温状態における運転時には、サーモスタット68が冷却水の循環通路を切り替えてラジエータ60をバイパスさせることで暖機運転を促進する。また、エンジン5の高温状態における運転時には、冷却ファン61が駆動してラジエータ60の放熱性を高める。
上部タンク66の給水口にはラジエータキャップ73が装着されると共に、車体後部のリザーバタンク74から延びるブリーザホース75が接続される。ラジエータキャップ73には加圧弁及び負圧弁が内蔵され、エンジン5及びラジエータ60内を循環する冷却水の圧力を所定範囲に保つべくその水量を調整可能である。
図4,5に示すように、ラジエータ60の上部(ラジエータコア65の上部)は、支持ステー62の上部を介して車体フレーム4の上段クロスビーム55に支持され、ラジエータ60の下部(下部タンク67)は、車体フレーム4の中段前側クロスビーム51に支持される。
冷却ファン61は、ラジエータコア65の略中央の背面側にこれに沿うように配置されるもので、ラジエータコア65と略直交するやや前上がりの回転軸線を有する扁平状のファンモータ76と、該ファンモータ76の前側に突出する回転軸に固定されるファン本体77とを有してなる。ファンモータ76は支持ステー62の略中央に取り付けられ、かつ該支持ステー62の各アーム部(腕部)84,85,86を介してラジエータ60に支持される。
図6,7を併せて参照して説明すると、ラジエータコア65の左右両側における車幅方向と略直交する板状の外枠には、その後縁からラジエータコア65の放熱面(前後面)に沿って車幅方向外側に延びる上段フランジ(締結部)78、中段フランジ79、及び下段フランジ81がそれぞれ設けられる。また、外枠の中間部前縁からは、車幅方向と略直交する二つのサポートフランジ82が、側面視山形をなすように前方に突設される。
支持ステー62は、冷却ファン61のファンモータ76が取り付けられる正面視円環状の環状部83と、該環状部83の外周から斜め上左右及び下方に向けて正面視略放射状に延びる左右アーム部84,85及び下アーム部(保持腕部)86とを有し、これらが例えば樹脂成形により一体に形成されてなる。環状部83及び各アーム部84,85,86は、概ね後方に開放する中空状の断面を有している。
支持ステー62の左右アーム部84,85の先端側には、ラジエータ60左右の上段フランジ78に後方から当接するフランジ対向部87がそれぞれ設けられる。各上段フランジ78には例えばクリップナット等が装着され、該ナットに上段フランジ78及びフランジ対向部87を後方から貫通するボルト88を螺着し締め込むことで、ラジエータコア65の上部両側と支持ステー62の左右アーム部84,85の先端側とが一体に締結される。なお、図6中符号89aは、冷却ファン61から延びる給電ハーネス89(図7参照)を保持するハーネスクリップを、符号89bは給電ハーネス89先端のコネクタ用の固定部をそれぞれ示す。
各フランジ対向部87の車幅方向内側には、後方に向けて延びる後方延出部91が設けられ、該後方延出部91の後端側には、車幅方向に略直行する被支持部92が設けられる。被支持部92の直後には車体フレーム4の上段クロスビーム55が位置し、該上段クロスビーム55の両側には、被支持部92に車幅方向内側から当接する支持部93aを有する支持ブラケット93が設けられる。
被支持部92にはラバーマウント94が装着され、かつ該ラバーマウント94を車幅方向で貫通するカラー95及びボルト96が支持部93aのナット孔に締結されることで、これらボルト96、カラー95、及びラバーマウント94を介して、支持ステー62(ラジエータ60)の上部両側が車体フレーム4に弾性的に支持される。なお、各支持ブラケット93の上部には、フロントキャリア34の後端部を支持するキャリア支持部93bが一体に形成されている。
下部タンク67の下壁における車幅方向略中央部には、ラジエータ60の傾斜に沿って下方に突出する係止ピン97が設けられ、該係止ピン97がラバーマウント98を介して下部タンク67の直下に位置する車体フレーム4の中段前側クロスビーム51に係合することで、ラジエータ60の下部が車体フレーム4に弾性的に支持される。
支持ステー62の下アーム部86の先端側には、下部タンク67の車幅方向中央部に下方から係合する係止部101が設けられる。
この係止部101は、下部タンク67の後壁に沿う後部整合部102と、該後部整合部102の下端から分岐して下部タンク67の下壁に沿って延びる下部整合部103と、該下部整合部103の前端から下部タンク67の前壁に沿って立ち上がる前部整合部104とを有するフック状のもので、このような係止部101が下部タンク67を前後から挟み込むように保持している。なお、下部タンク67下壁から突出する係止ピン97は、係止部101の下部整合部103中央の間隙から下方に向けて突出する。
ここで、支持ステー62の各フランジ対向部87は、車幅方向に沿って延びるように形成されるもので、ラジエータ60の放熱面に沿って例えば車幅方向で並ぶ複数(二つ)の締結孔105を有してなる。換言すれば、各フランジ対向部87は、ラジエータ60の放熱面に沿って並ぶ複数(二つ)の締結孔形成部(被締結部)106を有してなり、この実施例においては、例えば車幅方向内側の締結孔形成部106を用いて上段フランジ78に締結されている。
シュラウド63は、車幅方向に略直交するシュラウド本体107と、下部タンク67の下壁に沿って車幅方向内側に延びる下壁部107aとを有してなる(図7参照)。
シュラウド本体107は、概ねラジエータコア65の上縁から下部タンク67の下縁に渡る上下幅を有し、かつその前後幅はラジエータ60よりも十分幅広とされるもので、その上部には上段フランジ78及びフランジ対向部87を車幅方向外側に貫通させる上部貫通孔108が設けられると共に、下部には中段フランジ79及び下段フランジ81に対応する下部貫通孔109が設けられる。
下壁部107aは、シュラウド本体107の下縁からこれと同等の前後幅を有して互いに車幅方向略中央まで延びることで、ラジエータ60にその下方からの泥水や飛石等が当たらないようにするカバーとして機能する。
各貫通孔108,109の形状は、シュラウド63が取り付くラジエータ60に対応して適宜決定されるものであるが、例えばこの実施例における上部貫通孔108は、上段フランジ78の上下幅に対応してやや上下に長く、かつフランジ対向部87に対応して上部の前後幅を広げるように設けられる。なお、上部貫通孔108の下部前側が切り欠かれているのは、車両に応じてラジエータ60の左右一側に配される冷却水のリザーバタンクを取り付ける際の工具スペースを確保するためである。また、この実施例における下部貫通孔109は、中段フランジ79及び下段フランジ81に跨るように上下に長く、かつその上側の前後幅をやや広げるように設けられる。
下部貫通孔109の上部前側には、シュラウド本体107を適宜切り残すことで中段フランジ79のスリットに係合可能な爪部111が形成され、この爪部111を中段フランジ79に係合させた状態で、シュラウド本体107の前部が各サポートフランジ82にクリップ112により固定される。なお、グリル64の両側には後方に延びるグリルフランジ113が設けられ、該グリルフランジ113の先端部がシュラウド63と共にサポートフランジ82にクリップ112により固定される。
以上説明したように、上記実施例における鞍乗り型四輪車1の放熱装置は、車体フレーム4に支持されるラジエータ60と、該ラジエータ60の放熱性を高める冷却ファン61と、該冷却ファン61を支持すると共にラジエータ60に取り付けられる支持ステー62とを備えるものであって、支持ステー62が複数のアーム部84,85,86を有してなり、これらの内の下アーム部86が、ラジエータ60の下部外周を挟みつつ保持するものである。
この構成によれば、冷却ファン61をラジエータ60に取り付ける際、その支持ステー62の下アーム部86をラジエータ60の外周を挟みつつ保持するように取り付けた状態で、他のアーム部84,85をラジエータ60に締結により取り付けることが可能となる。すなわち、冷却ファン61の取り付け時に作業者が支持ステー62を支持する頻度を少なくし、支持ステー62や工具のラジエータコア65への接触を効果的に防止することが可能となり、冷却ファン61のラジエータ60への取り付けを容易にしてその工数を低減できる。
また、上記放熱装置においては、ラジエータ60の左右外周に左右アーム部84,85が締結される上段フランジ78を設ける一方、左右アーム部84,85の締結孔形成部106をラジエータ60の放熱面に沿って並ぶように複数設けたことで、ラジエータ60の放熱面積に応じて左右アーム部84,85の各締結孔形成部106を使い分けることが可能となる。すなわち、放熱面積を広げるべく左右幅を拡大したラジエータコア65を採用した場合にも、支持ステー62の車幅方向外側の締結孔形成部106を用いての締結が可能となり、放熱面積の異なるラジエータ間においても支持ステー62を共用することができる。
さらに、上記放熱装置においては、ラジエータ60における上段フランジ78を設けた左右外周を覆うシュラウド63を備え、該シュラウド63に上段フランジ78及び締結孔形成部106を貫通させる上部貫通孔108を設けたことで、締結孔形成部106がラジエータ60の左右外周から突出するような場合にも、該上段フランジ78及び締結孔形成部106にシュラウド63を貫通させることが可能となり、上述の如く放熱面積の異なるラジエータ間で支持ステー62を共用可能とした上で、シュラウド63も共用することができる。
しかも、上記放熱装置においては、車体フレーム4が、支持ステー62を介してラジエータ60を支持することで、車体フレーム4がラジエータ60を支持するためのステーを支持ステー62が兼ねることとなり、ラジエータ支持部品を削減することができる。
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えばラジエータ60の上段フランジ78や支持ステー60の締結孔形成部106は、放熱面と平行ではなくこれと直交したり傾斜したりするものであってもよい。また、支持ステー62におけるラジエータ60外周への被締結部は、締結孔ではなく締結用の切り欠きを有するものであってもよい。さらに、左右アーム部84,85の何れかがラジエータ60外周に係合する保持腕部であってもよい。このとき、ラジエータ60がダウンフロー型かクロスフロー型(横流れ型)かは問わない。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、例えばオイルクーラにも適用できることはもちろん、該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
この発明の実施例における鞍乗り型四輪車の側面図である。 上記鞍乗り型四輪車の上面図である。 上記鞍乗り型四輪車の車体フレームの側面図である。 上記鞍乗り型四輪車の放熱装置周辺の側面図である。 上記放熱装置周辺の上面図である。 図4におけるA矢視図である。 上記放熱装置の分解斜視図である。
符号の説明
1 鞍乗り型四輪車(車両)
4 車体フレーム
60 ラジエータ(放熱部)
61 冷却ファン
62 支持ステー
63 シュラウド
78 上段フランジ(締結部)
84 左アーム部(腕部)
85 右アーム部(腕部)
86 下アーム部(腕部、保持腕部)
105 締結孔形成部(被締結部)
108 上部貫通孔(貫通部)

Claims (4)

  1. 車体フレームに支持される放熱部と、該放熱部の放熱性を高める冷却ファンと、該冷却ファンを支持すると共に前記放熱部に取り付けられる支持ステーとを備える車両の放熱装置において、
    前記支持ステーが複数の腕部を有してなり、該各腕部の少なくとも一つが、前記放熱部の外周に設けた締結部に締結される一方、この腕部における被締結部が、前記放熱部の放熱面に沿って複数設けられ、
    前記放熱部における前記締結部を設けた外周を覆うシュラウドに、前記締結部及び被締結部を貫通させる貫通部が設けられることを特徴とする車両の放熱装置。
  2. 前記各腕部の内の前記締結部を設けたもの以外の腕部の少なくとも一つが、前記放熱部の外周を挟みつつ保持する保持腕部であることを特徴とする請求項1に記載の車両の放熱装置。
  3. 前記保持腕部が、前記放熱部を下方から支持することを特徴とする請求項2に記載の車両の放熱装置。
  4. 前記車体フレームが、前記支持ステーを介して前記放熱部を支持することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の車両の放熱装置。
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