JP4583830B2 - 不飽和モノカルボン酸エステルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの触媒、例えばテトラアルキルチタネート、スズ化合物およびジルコニウム化合物などでは、触媒残さが残存していてもブレンステッド酸のような腐食の問題がない。
本発明の課題は、触媒活性が高く、かつエステル化時に不飽和基の重合が抑制できる触媒を用いて得られ、且つ腐食問題のない、不飽和モノカルボン酸エステルを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、モノオール(A)と不飽和モノカルボン酸またはその低級アルキルエステル(B)とをリン化合物のアルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種のアルミニウム含有触媒(α)の存在下に反応させて得られる不飽和モノカルボン酸エステル、およびリン化合物のアルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種のアルミニウム含有触媒(α)の存在下に、モノオール(A)と不飽和モノカルボン酸またはその低級アルキルエステル(B)とを反応させることを特徴とする不飽和モノカルボン酸エステルの製造方法、である。
本発明において、モノオール(A)としては下記のものが挙げられる。
(A1)飽和脂肪族1価アルコール[炭素数1〜36の直鎖もしくは分岐のアルコール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール、2-デシルテトラデシルアルコール、2-テトラデシルオクタデシルアルコールなど];
(A2)不飽和脂肪族1価アルコール[炭素数2〜36の直鎖もしくは分岐のアルコール、例えばビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、オクテニルアルコール、デセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、オレイルアルコール、ガドレイルアルコール、リノレイルアルコールなど];
(A3)脂環式1価アルコール[脂環基を有する総炭素数6〜36のアルコール、例えばエチルシクロヘキシルアルコール、プロピルシクロヘキシルアルコール、オクチルシクロヘキシルアルコール、ノニルシクロヘキシルアルコール、アダマンチルアルコールなど];
(A4)1価フェノール類[フェノール環を有する総炭素数6〜36のフェノール類、例えばフェノール、クレゾール、t-ブチルフェノール、スチレン化フェノール、ブロモフェノールなど];
(A5)窒素原子、硫黄原子および/またはハロゲン原子を有する1価アルコール[上記の(A1)〜(A4)の一部を窒素原子、硫黄原子および/またはハロゲン原子含有基で置換したアルコール、例えばジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、モルホリノエタノール、2-クロロエタノールなど];
(A6)前記アルコール(A1)〜(A5)のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2-または2,3-ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイドなど)付加物(付加モル数1〜100);
が挙げられる。
(A)のうち好ましいものは、(A1)、(A2)、(A5)およびそれらのアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものは、(A1)のうちの炭素数8〜32の飽和脂肪族1価アルコールおよびそのエチレンオキサイド付加物である。
(B)のうち、好ましいものは(メタ)アクリル酸であり、特に好ましいものはメタアクリル酸である。
(α)としてホスホン酸系化合物のアルミニウム塩を用いると触媒活性が高く、かつ重合抑制効果が大きい点が好ましい。
本発明で言うホスホン酸系化合物とは、下記式(2)で表される構造を有する化合物を意味する。
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると、重合抑制効果が大きく好ましい。
R1のうちの水酸基もしくはハロゲン基もしくはアルコキシル基もしくはアミノ基を有する炭素数1〜50の炭化水素基としては、前記炭化水素基の一部が水酸基、ハロゲン基、アルコキシル基もしくはアミノ基で置換されたものであり、具体的には、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、メトキシフェニル基、クロルフェニル基、ブロモフェニル基、アミノフェニル基およびアミノナフチル基などが挙げられる。
これらR1のうち好ましいものは、芳香環含有炭化水素基、および水酸基、ハロゲン基、アルコキシル基もしくはアミノ基で置換された芳香環含有炭化水素基であり、特に好ましいものは、フェニル基およびナフチル基である。
R2のうちの水酸基もしくはアルコキシル基を有する炭素数1〜50の炭化水素基は、前記炭化水素基の一部が水酸基もしくはアルコキシル基で置換されたものであり、具体的には、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、メトキシフェニル基などが挙げられる。
これらR2のうち好ましいものは、水素、炭素数1〜18のアルキル基および炭素数6〜10の芳香環含有炭化水素基であり、特に好ましいものは、水素、メチル基、エチル基およびフェニル基である。
R2のうちの水酸基、アルコキシル基もしくはカルボニルを有する炭素数1〜50の炭化水素基としては、前記炭化水素基の一部が水酸基、アルコキシル基もしくはカルボニルで置換されたものであり、具体的には、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、アセチル基、メトキシフェニル基などが挙げられる。
これらR2のうち好ましいものは、水素、炭素数1〜12のアルキル基および水酸基もしくはカルボニルを有する炭化水素基であり、特に好ましいものは、水素、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基およびアセチル基である。
R3O-の具体例としては、水酸イオン、アルコラートイオン、エチレングリコラートイオン、アセテートイオンおよびアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
mは0、1または2、好ましくは0または1であり、p+mは3である。
nは1以上の整数であり、好ましくは1〜4、特に好ましくは1である。
これらの中で、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、およびベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩がとくに好ましい。
(A)か(B)のうち除去が容易なほうを過剰に用い、反応完了後、過剰の(A)または(B)を除去するのが反応率向上の観点で有利である。
また、(α)の触媒効果を損なわない範囲で他のエステル化触媒を併用することもできる。他のエステル化触媒の例としては、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒(例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、およびテレフタル酸チタン)、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、ゲルマニウム含有触媒、アルカリ(土類)金属触媒(例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のカルボン酸塩:酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、および安息香酸カリウムなど)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。
併用の場合の(α)の重量と他の触媒の重量比は、通常100:50以下、好ましくは100:20以下である。
バッチ法の場合、(α)、(A)と(B)を反応槽の中に仕込み、生成する水または低級アルコールを除去しながら反応を進行させる。(A)または(B)を過剰に用いた場合は、過剰の原料を除去することで、不飽和モノカルボン酸エステルを得る。
反応時間は、通常10分〜24時間、好ましくは30分〜10時間、特に好ましくは1〜5時間である。
水または低級アルコールを除去する方法としては、常圧または減圧下に溜去させる方法、分液や遠心分離する方法、モレキュラシーブス、硫酸マグネシウムなどの脱水剤と接触させる方法、水分離膜などの選択膜により膜分離する方法などが挙げられる。これらのうち、常圧または減圧下に溜去させる方法が好ましい。
80℃以上が反応速度の観点から好ましく、250℃以下が副反応を抑制するの観点から好ましい。
重合禁止剤としては、フェノール系重合禁止剤(ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、クレゾール、ジ-t-ブチルクレゾール、ジ-t-ブチルフェノール、トリ-t-ブチルフェノールなど)、アミン系重合禁止剤(フェノチアジン、ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンなど)などが挙げられる。これらのうち好ましいものはフェノール系重合禁止剤である。
重合禁止剤は、反応時に添加したものをそのまま生成物中に残存させることでできるが、反応終了後一旦除去し、その後保管安定性を確保するのに必要な添加量だけ追加することもできる。
重合禁止剤の添加量は、エステル化反応中は通常0〜0.5%、好ましくは0.001〜0.3%、さらに好ましくは0.005〜0.2%である。保管中の不飽和モノカルボン酸エステル中の重合禁止剤の含有量は、通常0〜0.1%、好ましくは0.001〜0.05%、さらに好ましくは0.003〜0.03%である。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、部はいずれも重量部を表す。
攪拌装置、加熱冷却装置、温度計、分水管を備えた反応容器に、ラウリルアルコール1,800部とメタクリル酸1,100部を仕込み(モル比1:1.3)、これに触媒として(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩を9部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.3部加えた。反応温度125〜135にて生成水を分水管により連続的に系外へ除去しながら常圧で2時間エステル化反応させた。さらに250〜300Torrの減圧下に1時間反応させ、次いで10〜20Torrで過剰のメタクリル酸を溜去することで、本発明のメタクリル酸エステル(1)を得た。
NMR解析の結果、メタクリル酸エステル(1)は、メタクリル酸エスエルにのモル数に基づいて未反応アルコールを1.0モル%含有しており、アルコール由来の副反応生成物である脱離反応生成物(ドデセン)および、エーテル化物(ジドデシルエーテル)は検出限界以下(0.1モル%以下)であった。
また、メタクリル酸エステル(1)にイオン交換水を0.1重量%添加したものをガラス瓶に入れ、その中に鉄片を浸し室温にて保管した。1週間後の鉄片表面状態を目視にて観察し、腐食性試験とした。その結果、メタクリル酸エステル(1)に腐食性は見られなかった。
触媒としてテトライソプロポキシチタネート29部用いたこと以外は実施例1と同様にして反応を行い、比較メタクリル酸エステル(C1)を得た。
NMR解析の結果、メタクリル酸エステル(C1)は未反応アルコールを65.3モル%含有していた。また、(C1)は実施例1と同様な腐食性試験において、腐食性は見られなかった。
触媒として硫酸を7.2部用いたこと以外は実施例1と同様にして反応した後、さらに水酸化ナトリウム水溶液で中和・分液、水にて水洗・分液処理することにより、比較メタクリル酸エステル(C2)を得た。NMR解析の結果(C2)は、メタクリル酸エステル99.2モル%、未反応アルコール0.8モル%の混合物であり、脱離反応生成物およびエーテル化物は検出限界以下であった。触媒残さ量定量のために硫黄含量をICP測定装置ICPS−8000(島津製作所製)により測定した結果、S含量は100ppmであった。
また、実施例1と同様な腐食性試験を行った結果、鉄片表面が変色しており、わずかな腐食性が認められた。
攪拌装置、加熱冷却装置、温度計、精留塔を備えた反応容器に、炭素数14〜15のアルキルアルコールの混合物(ドバノール45:三菱化学株式会社製)2,196部とメタクリル酸メチル2,000部を仕込み(モル比1:2)、これに触媒として(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩)を10部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.6部加えた。反応温度95〜115にて生成したメタノールを精留塔から連続的に系外へ除去しながら常圧で4時間エステル交換反応させた。次いで10〜20Torrで過剰のメタクリル酸メチルを溜去することで、本発明のメタクリル酸エステル(2)を得た。
NMR解析の結果、メタクリル酸エステル(2)は、未反応アルコール1.3モル%を含有しており、脱離反応生成物、エーテル化物は検出限界以下であった。 また、実施例1と同様な腐食性試験において、腐食性は見られなかった。
触媒としてテトライソプロポキシチタネート29部用いたこと以外は実施例2と同様にして反応を行った。その結果、エステル化反応途中に重合が起こり増粘して撹拌不可能になり、メタクリル酸エステルは得られなかった。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であるアルミニウム含有触媒(α)の存在下に、モノオール(A)と不飽和モノカルボン酸またはその低級アルキルエステル(B)とを反応させることを特徴とする不飽和モノカルボン酸エステルの製造方法。
ン基もしくはアルコキシル基もしくはアミノ基を有する炭素数1〜50の炭化水素基;R 2 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、または、水酸基もしくはアルコキシル基を有する炭素数1〜50の炭化水素基;R 3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、または、水酸基もしくはアルコキシル基もしくはカルボニルを有する炭素数1〜50の炭化水素基;pは1〜3の整数、mは0、1または2であり、p+mは3であり、nは1以上の整数を表す。炭化水素基は脂環構造、分岐構造および/または芳香環構造を含んでいてもよい。] - (α)が、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、(1−ナフ
チル)メチルホスホン酸のアルミニウム塩、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸のアルミニウム塩、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、2−メチルベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、4−クロロベンジルホスホン酸フェニルのアルミニウム塩、4−アミノベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、およびフェニルホスホン酸エチルのアルミニウム塩からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の不飽和モノカルボン酸エステルの製造方法。 - (A)が炭素数8〜32の飽和脂肪族モノオールまたはそのアルキレンオキサイド付加物である請求項1又は2記載の不飽和モノカルボン酸エステルの製造方法。
- (B)が(メタ)アクリル酸である請求項1〜3のいずれかに記載の不飽和モノカルボン酸エステルの製造方法。
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