JP4581498B2 - 生体高分子分析チップ - Google Patents

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Description

本発明は、生体高分子の構造を特定するために用いる生体高分子分析チップに関する。
近年、医療分野、農業分野等の幅広い分野で生物の遺伝子情報が利用されるようになってきているが、遺伝子の利用に際しては、DNAの構造解明が不可欠である。DNAは螺旋状によじれあった2本のポリヌクレオチド鎖を有し、それぞれのポリヌクレオチド鎖は4種の塩基(アデニン:A、グアニン:G、シトシン:C、チミン:T)が一次元的に並んだ塩基配列を有し、アデニンとチミン、グアニンとシトシンという相補性に基づいて一方のポリヌクレオチド鎖の塩基が他方のポリヌクレオチド鎖の塩基に結合している。
DNAの構造解明とは、塩基配列を特定することであり、DNAの塩基配列を特定するためにDNAマイクロアレイ及びその読取装置が開発されており(特許文献1)、DNAマイクロアレイ及びその読取装置を用いて次のようにしてサンプルDNAの塩基配列を特定する。
まず、既知の塩基配列を有した複数種類のcDNAをスライドガラス等の固体担体に整列固定させたDNAマイクロアレイを準備する。次に、被検出物であるサンプルDNAを一本鎖のDNAに変性して、変性したサンプルDNAに蛍光物質等を結合させる。
次に、サンプルDNAをDNAマイクロアレイ上に添加すると、サンプルDNAがハイブリダイゼーションによってDNAマイクロアレイ上に固定される。つまり、サンプルDNAが複数種類のcDNAのうち相補的なcDNAと結合し、二本鎖が生じる。一方、サンプルDNAは、相補性を有しないcDNAとは結合しない。サンプルDNAに蛍光物質でマーキングを施しているため、サンプルDNAと結合したcDNAが蛍光を発することになる。例えば、TCGGGAAと塩基配列を有するサンプルDNAは、AGCCCTTという塩基配列を有するcDNAと結合し、そのcDNAが蛍光を発する。
次いで、DNAマイクロアレイを読取装置にセッティングし、読取装置にて分析する。読取装置は、光源から発した励起光をコリメーターレンズによりビームとして収束し、ビームをDNAマイクロアレイに対して二次元走査し、ビームの二次元走査と共に集光レンズ及びフォトマルも二次元走査し、ビームにより発した蛍光を集光レンズでフォトマルに集光させ、蛍光強度をフォトマルで計測し、二次元走査によってDNAマイクロアレイの面内の蛍光強度分布を計測するようになっている。これにより、DNAマイクロアレイ上の蛍光強度分布が二次元の画像として出力される。出力された画像内で蛍光強度が大きい部分には、サンプルDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有したcDNAが含まれていることを表している。従って、二次元画像中のどの部分の蛍光強度が大きいかによってサンプルDNAの塩基配列を特定することができる。
特開2000−131237号公報
ところが、従来のDNAマイクロアレイを用いてDNAを分析するには、DNAマイクロアレイに対してビーム及びフォトマル等を走査する機構を必要とし、場合によっては読取装置全体が大きいという問題がある。また生体高分子に限らず、このようなフォトセンサは感度が高い方が好ましいが、小型になればなるほど十分な感度を得にくいといった問題を抱えていた。
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決しようとしてなされたものであり、感度の良好な生体高分子分析チップを提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の生体高分子分析チップは、受光部で受光した光量を電気信号に変換する複数の光電変換素子を受光面下において二次元アレイ状に配列してなる固体撮像デバイスと、前記複数の光電変換素子の受光部それぞれと受光面との間において形成された複数のマイクロレンズと、前記複数のマイクロレンズを被覆する被覆膜と、一方の面側で前記複数の光電変換素子と当接し、他方の面側が前記受光面である保護絶縁膜と、前記受光面に配置され、生体高分子で構成される複数種のスポットと、を有することを特徴とする。
上記発明によれば、マイクロレンズを固体撮像デバイスの内部に設けたので、従来のように励起光を走査するための微細な動作制御を行う機構を用いずとも感度が向上するように光を集光できる。
請求項2に記載の生体高分子分析チップは、前記複数の光電変換素子が、前記マイクロレンズの下に形成された前記受光部としての半導体膜と、ボトムゲート絶縁膜を前記半導体膜との間に挟んで前記半導体膜の下に形成されたボトムゲート電極と、前記マイクロレンズを前記半導体膜との間に挟んで前記マイクロレンズの上に形成された光透過性のトップゲート電極と、を有することを特徴とする。
請求項3に記載の生体高分子分析チップは、前記複数の光電変換素子のトップゲート電極が前記被覆膜上に形成され、前記複数の光電変換素子のトップゲート電極がまとめて保護絶縁膜によって被覆されていることを特徴とする。
請求項に記載の生体高分子分析チップは、前記被覆膜の屈折率は前記マイクロレンズの屈折率よりも小さいことを特徴とする。
以上の生体高分子分析チップとして、上記撮像装置を用いる際には、蛍光標識されたサンプル(例えばDNA)を固体撮像デバイスの受光面に添加する。そうすると、サンプルが特異的な(例えば、塩基配列が相補的な)スポットには結合し、特異的でないスポットには結合しない。そのため、固体撮像デバイスの受光面に向けて励起光を照射した状態で固体撮像デバイスで撮像を行えば、サンプルに結合したスポットが付いた部分では閾値を越えた蛍光を感知し、サンプルに結合したスポットが付いていない部分では閾値を越えた光量を感知しない。
このように、従来のように固体撮像デバイスと別体のレンズ等の光学系で集光させるために、励起光の走査のための微細な動作制御を行わずとも容易に二次元の画像データが得られ、得られた画像データからサンプルの分析を行うことができる。
本発明によれば、励起光の走査のための微細な動作制御を行わずとも感度の高い撮像を行うことができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
〔1〕生体高分子分析チップの全体構成
図1は、本発明を適用した実施形態における生体高分子分析チップ1の概略平面図であり、図2は、図1の生体高分子分析チップ1を厚さ方向に切断した切断面IIを矢印方向に見た断面図である。
この生体高分子分析チップ1は、透明基板17と、画素としての複数の光電変換素子を透明基板17上に二次元アレイ状に配列してなる固体撮像デバイス3と、固体撮像デバイス3の層間に設けられた複数のマイクロレンズ35,35,…と、固体撮像デバイス3の受光面上においてマトリクス状に点在したスポット60,60,…と、を具備する。固体撮像デバイス3の層間にマイクロレンズ35,35,…を設けたものに、本発明の撮像装置を適用した実施形態の撮像装置である。
〔2〕固体撮像デバイス及びマイクロレンズ35
図1〜図4を用いて固体撮像デバイス3及びマイクロレンズ35について詳細に説明する。ここで、図3は、固体撮像デバイス3の画素である光電変換素子の電極構造を示した平面図であり、図4は、図3における固体撮像デバイス3の光電変換素子を厚さ方向に切断した切断面IVを矢印方向に見た断面図である。
この固体撮像デバイス3は透明基板17上に設けられている。透明基板17は、光を透過する性質(以下、光透過性という。)を有するとともに絶縁性を有し、石英ガラス等といったガラス基板又はポリカーボネート、PMMA等といったプラスチック基板である。
この固体撮像デバイス3においては、光電変換素子としてダブルゲート型電界効果トランジスタ(以下、ダブルゲートトランジスタという。)20が利用され、複数のダブルゲートトランジスタ20,20,…が固体撮像デバイス3の受光面の下において二次元アレイ状に特にマトリクス状に配列されている。
ダブルゲートトランジスタ20,20,…は何れも、受光部である半導体膜23と、ボトムゲート絶縁膜22を挟んで半導体膜23の下に形成されたボトムゲート電極21と、トップゲート絶縁膜29を挟んで半導体膜23の上に形成されたトップゲート電極30と、半導体膜23の一部に重なるよう形成された不純物半導体膜25と、半導体膜23の別の部分に重なるよう形成された不純物半導体膜26と、不純物半導体膜25にかさなったソース電極27と、不純物半導体膜25に重なったドレイン電極28と、を備え、半導体膜23において受光した光量に従ったレベルの電気信号に変換するものである。
ボトムゲート電極21は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに透明基板17上に形成されている。また、透明基板17上には横方向に延在する複数本のボトムゲートライン41,41,…が形成されており、横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれのボトムゲート電極21は共通のボトムゲートライン41と一体となって形成されている。ボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41は、導電性及び遮光性を有し、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
ダブルゲートトランジスタ20,20,…のボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41,41,…はボトムゲート絶縁膜22によってまとめて被覆されている。すなわち、ボトムゲート絶縁膜22は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。ボトムゲート絶縁膜22は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン(SiN)又は酸化シリコン(SiO2)からなる。
ボトムゲート絶縁膜22上には、複数の半導体膜23がマトリクス状に配列するよう形成されている。半導体膜23は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立して形成されており、それぞれのダブルゲートトランジスタ20においてボトムゲート電極21に対して対向配置され、ボトムゲート電極21との間にボトムゲート絶縁膜22を挟んでいる。半導体膜23は、平面視して略矩形状を呈しており、受光した蛍光の光量に応じた量の電子−正孔対を生成するアモルファスシリコン又はポリシリコンで形成された層である。
半導体膜23上には、チャネル保護膜24が形成されている。チャネル保護膜24は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立してパターニングされており、それぞれのダブルゲートトランジスタ20において半導体膜23の中央部上に形成されている。チャネル保護膜24は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。チャネル保護膜24は、パターニングに用いられるエッチャントから半導体膜23の界面を保護するものである。半導体膜23に光が入射すると、入射した光量に従った量の電子−正孔対がチャネル保護膜24と半導体膜23との界面付近を中心に発生するようになっている。この場合、半導体膜23側にはキャリアとして正孔が発生し、チャネル保護膜24側には電子が発生する。
半導体膜23の一端部上には、不純物半導体膜25が一部チャネル保護膜24に重なるようにして形成されており、半導体膜23の他端部上には、不純物半導体膜26が一部チャネル保護膜24に重なるようにして形成されている。不純物半導体膜25,26は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立してパターニングされている。不純物半導体膜25,26は、n型の不純物イオンを含むアモルファスシリコン(n+シリコン)からなる。
不純物半導体膜25上には、ソース電極27が形成され、不純物半導体膜26上には、ドレイン電極28が形成されている。ソース電極27及びドレイン電極28はダブルゲートトランジスタ20ごとに形成されている。縦方向に延在する複数本のソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…がボトムゲート絶縁膜22上に形成されている。縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…のソース電極27は共通のソースライン42と一体に形成されており、縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…のドレイン電極28は共通のドレインライン43と一体に形成されている。ソース電極27、ドレイン電極28、ソースライン42及びドレインライン43は、導電性及び遮光性を有しており、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
ダブルゲートトランジスタ20,20,…のソース電極27及びドレイン電極28並びにソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…は、トップゲート絶縁膜29によってまとめて被覆されている。すなわち、トップゲート絶縁膜29は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。トップゲート絶縁膜29は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
トップゲート絶縁膜29上には、複数のマイクロレンズ35,35,…がマトリクス状に配列するよう形成されている。マイクロレンズ35は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立して形成されており、それぞれのダブルゲートトランジスタ20において半導体膜23に対して対向配置され、半導体膜23との間にチャネル保護膜24及びトップゲート絶縁膜29を挟んでいる。マイクロレンズ35は高屈折率樹脂で形成され、上に凸となるよう略半球状に設けられている。これら複数のマイクロレンズ35によって、トップゲート絶縁膜29上に凹凸部が形成されている。
これらマイクロレンズ35,35,…は被覆膜としての平坦化膜34によってまとめて被覆され、マイクロレンズ35,35,…によって形成された凹凸部が平坦化膜34によって平坦化されている。平坦化膜34は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。平坦化膜34は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン、酸化シリコン又は合成樹脂からなる。また、平坦化膜34の屈折率はマイクロレンズ35の屈折率よりも小さい方が好ましく、このような屈折率の条件をもったマイクロレンズ35は上方から入射した光をマイクロレンズ35と平坦化膜34との間の界面における屈折作用によって半導体膜23に効率よく集光する性質を有する。
平坦化膜34上には、複数のトップゲート電極30がダブルゲートトランジスタ20ごとに形成されている。トップゲート電極30は、それぞれのダブルゲートトランジスタ20においてマイクロレンズ35及び半導体膜23に対して対向配置され、マイクロレンズ35との間に平坦化膜34を挟んでいる。また、平坦化膜34上には横方向に延在する複数本のトップゲートライン44,44,…が形成されており、横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20,…のトップゲート電極30は共通のトップゲートライン44と一体に形成されている。トップゲート電極30及びトップゲートライン44は、導電性及び光透過性を有し、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム)で形成されている。
ダブルゲートトランジスタ20,20,…のトップゲート電極30及びトップゲートライン44,44,…は保護絶縁膜31によってまとめて被覆され、保護絶縁膜31は全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成された膜である。保護絶縁膜31は、絶縁性及び光透過性を有し、窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
以上のように構成された固体撮像デバイス3は、保護絶縁膜31の表面を受光面としており、それぞれのダブルゲートトランジスタ20の半導体膜23に入射した光量を電気信号のレベルに変換するように設けられている。
なお、保護絶縁膜31の表面に、励起光を遮蔽するとともに可視光を透過する励起光遮蔽膜を成膜し、その励起光遮蔽膜の表面を固体撮像デバイス3の受光面としても良い。励起光遮蔽膜は例えばTiO2からなり、励起光として特に紫外線を遮蔽する性質を有するものである。また、保護絶縁膜31の表面に励起光遮蔽膜を成膜する代わりに、保護絶縁膜31とトップゲート電極30の層間に、トップゲート電極30と平坦化膜34の層間に、又は、平坦化膜34とトップゲート絶縁膜29の層間に励起光遮蔽膜を成膜しても良い。また、励起光遮蔽膜を成膜する代わりに、マイクロレンズ35自体を励起光を遮蔽するとともに可視光を透過する材料としても良い。
〔3〕スポット
次に、スポット60について説明する。図1、図2、図4に示すように、複数種のスポット60,60,…は互いに離間し、固体撮像デバイス3の受光面(保護絶縁膜31の表面)上においてマトリクス状に配列されている。1つのスポット60は一本鎖プローブDNA61が多数集まった群集であり、1つのスポット60に含まれる多数の一本鎖プローブDNA61は同じ塩基配列(ヌクレオチド配列)を有する。また、スポット60ごとに一本鎖プローブDNA61の塩基配列が異なる配列となっている。何れのスポット60も、塩基配列が既知のものである。
1つのスポット60につき1つのダブルゲートトランジスタ20が重なるように、スポット60,60,…が配列されている。なお、1つのスポット60につき隣り合う幾つかのダブルゲートトランジスタ20,20,…が重なっても良いが、この場合には何れのスポット60でも重なったダブルゲートトランジスタ20の数が同じである。
〔4〕DNA分析方法及び分析支援装置
次に、生体高分子分析チップ1を用いてDNAの塩基配列を分析する方法について説明する。
生体高分子分析チップ1を分析支援装置にセッティングして生体高分子分析チップ1を用いるので、まず分析支援装置について図5、図6を用いて説明する。図5は、分析支援装置70の回路構成を示したブロック図であり、図6は、分析支援装置70に生体高分子分析チップ1をセッティングした場合の側面図である。図6において、生体高分子分析チップ1は破断して示されている。
分析支援装置70は、生体高分子分析チップ1がセッティングされる分析台71と、固体撮像デバイス3の受光面の上から受光面に向けて励起光を照射する励起光照射装置72と、固体撮像デバイス3を駆動するトップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76と、励起光照射装置72、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76を制御するコントローラ73と、コントローラ73から出力された信号により出力(表示又はプリント)を行う出力装置77と、から構成されている。
生体高分子分析チップ1は分析台71に対して着脱自在になっている。生体高分子分析チップ1が分析台71にセッティングされた場合には、固体撮像デバイス3のトップゲートライン44,44,…がトップゲートドライバ74の端子にそれぞれ接続されるようになっている。同様に、固体撮像デバイス3のボトムゲートライン41,41,…がボトムゲートドライバ75の端子にそれぞれ接続されるようになっており、固体撮像デバイス3のドレインライン43,43,…がドレインドライバ76の端子にそれぞれ接続されるようになっている。また、生体高分子分析チップ1が分析台71にセッティングされた場合、固体撮像デバイス3のソースライン42,42,…が一定電圧源に接続され、この例ではソースライン42,42,…が接地されるようになっている。
励起光照射装置72は分析台71に対向しており、分析台71に生体高分子分析チップ1がセッティングされた場合に、励起光照射装置72から面状に出射した励起光が生体高分子分析チップ1に照射されるようになっている。励起光照射装置72が照射する励起光は紫外線波長域の光である。なお、励起光照射装置72は、出射する励起光の波長域を可変可能に設けられていても良い。
出力装置77はプロッタ、プリンタ又はディスプレイである。
トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76は、協同して固体撮像デバイス3を駆動するものである。トップゲートドライバ74は、シフトレジスタである。つまり、図7に示すように、トップゲートドライバ74はトップゲートライン44,44,…にリセットパルスを順次出力するようになっている。リセットパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルである。一方、トップゲートドライバ74は、リセットパルスを出力しない時にローレベルの−20〔V〕の電位をそれぞれのトップゲートライン44に印加するようになっている。
ボトムゲートドライバ75は、シフトレジスタである。つまり、図7に示すように、ボトムゲートライン41,41,…にリードパルスを順次出力するようになっている。リードパルスのレベルは+10〔V〕のハイレベルであり、リードパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のローレベルである。
トップゲートドライバ74が何れかの行のトップゲートライン44にリセットパルスを出力した後にキャリア蓄積期間を経てボトムゲートドライバ75が同じ行のボトムゲートライン41にリードパルスを出力するように、トップゲートドライバ74及びボトムゲートドライバ75が出力信号をシフトする。つまり、各行では、リードパルスが出力されるタイミングは、リセットパルスが出力されるタイミングより遅れている。また、何れかの行のトップゲートライン44へのリセットパルスの入力が開始してから、同じ行のボトムゲートライン41へのリードパルスの入力が終了するまでの期間は、その行の選択期間である。リセットパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルであり、リセットパルスが出力されていない時のレベルは−20〔V〕のローレベルである。
図7に示すように、ドレインドライバ76は、それぞれの行の選択期間において、リセットパルスが出力されてからリードパルスが出力されるまでの間に、全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力するようになっている。プリチャージパルスのレベルは+10〔V〕のハイレベルであり、プリチャージパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のローレベルである。また、ドレインドライバ76は、プリチャージパルスの出力後にドレインライン43,43,…の電圧を増幅してコントローラ73に出力するようになっている。
コントローラ73は励起光照射装置72を点灯させる機能を有する。また、コントローラ73は、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76に制御信号を出力することによって、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76に固体撮像デバイス3の駆動動作を行わせる機能を有する。また、コントローラ73はドレインドライバ76から入力した電気信号をA/D変換することで、固体撮像デバイス3の受光面に沿った光強度分布を二次元の画像データとして取得する機能を有する。また、コントローラ73は入力した二次元の画像データ画像データに従った画像を出力装置77に出力させる機能を有する。
生体高分子分析チップ1及び分析支援装置70の動作並びにDNAの分析方法(同定方法)について説明する。
まず、作業者が検体からDNAを採取して、採取した二本鎖DNAを一本鎖DNAに変性してから場合によってPCR増幅を行い、得られた一本鎖DNAに蛍光物質、燐光材料又は光共鳴散乱物質を結合させ、一本鎖DNAを蛍光物質、燐光材料又は光共鳴散乱物質で標識する。蛍光物質、燐光材料又は光共鳴散乱物質は、分析支援装置の励起光照射装置から出射される励起光で励起されるものを選択するが、蛍光物質としては、例えばCyDyeのCy2(アマシャム社製)がある。得られた一本鎖DNAは、溶液中に含まれている。以下では、この一本鎖DNAをサンプルDNAという。
次いで、作業者が、サンプルDNAを含有した溶液を固体撮像デバイス3の受光面に塗布する。ここで、固体撮像デバイス3の受光面にサンプルDNAを分布させるために、サンプルDNAを電気泳動させても良い。なお、サンプルDNAを含有した溶液を固体撮像デバイス3の受光面に塗布するのではなく、サンプルDNAを含有した溶液をスポット60,60,…に順次又は同時に滴下しても良い。このとき、一本鎖が二本鎖とならないようにサンプルDNAを含有した溶液は加熱されている。
その後、サンプルDNAのハイブリダイゼーションを引き起こすために、生体高分子分析チップ1を所定の温度に冷却する。これにより、スポット60,60,…のなかにサンプルDNAと相補的なものがあれば、サンプルDNAが相補的なスポット60のプローブDNA61とハイブリダイゼーションにより結合する。一方、スポット60,60,…のなかにサンプルDNAと相補的なものがなければ、サンプルDNAはどのスポット60,60,…にも結合しない。
その後、固体撮像デバイス3の受光面に塗布したサンプルDNAのうちハイブリダイゼーションしなかったものは洗い流す際に除去され、ハイブリダイゼーションしたものは、固体撮像デバイス3上に残存する。
次いで、作業者が固体撮像デバイス3を分析台71にセッティングし、励起光照射装置72を固体撮像デバイス3の受光面に対向させ、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76をコントローラ73に接続する。
その後、コントローラ73を起動すると、コントローラ73が励起光照射装置72を制御して励起光照射装置72を点灯させると、励起光照射装置72から固体撮像デバイス3の受光面に向けて励起光が出射する。
サンプルDNAが標識されているので、スポット60,60,…のうちサンプルDNAとハイブリダイゼーションしたスポット60からは蛍光(主に可視光波長域)が発し、サンプルDNAと結合しなかったスポット60からは蛍光が発しない。そのため、サンプルDNAと結合したスポット60に対応したダブルゲートトランジスタ20の半導体膜23には高強度の蛍光が入射し、サンプルDNAと結合していないスポット60に対応したダブルゲートトランジスタ20には殆ど蛍光が入射しない。固体撮像デバイス3の受光面にスポット60,60,…が固定されているため、サンプルDNAと結合したスポット60から発した蛍光はあまり減衰せずに、そのスポット60に対応したダブルゲートトランジスタ20の半導体膜23に入射して電子−正孔対を発生させる。特に、半導体膜23の上にマイクロレンズ35が形成されているので、スポット60から発した蛍光がそのスポット60に対応したダブルゲートトランジスタ20の半導体膜23に集光される。従って、ダブルゲートトランジスタ20,20,…の感度が低くても、十分に強度を検知することができる。なお、サンプルDNAに燐光材料を結合させた場合、励起光照射装置72が消灯しても、サンプルDNAとハイブリダイゼーションしたスポット60からは燐光(主に可視光波長域)が発し続ける。
その後、蛍光物質又は光共鳴散乱物質をサンプルDNAに結合した場合には励起光照射装置72が点灯した状態で、燐光材料をサンプルDNAに結合した場合には励起光照射装置72が点灯後に消灯した状態で、コントローラ73がトップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76を制御することにより、固体撮像デバイス3に撮像動作を行わせる。これにより、固体撮像デバイス3がダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれで光強度又は光量を検知し、受光面に沿った光強度分布を二次元の画像データとして取得する。コントローラ73は、固体撮像デバイス3で取得された画像データを入力し、その画像を出力装置に出力する。そして、コントローラの処理が終了する。
作業者は、出力装置により出力された画像データからハイブリダイゼーションの有無を確認し、ハイブリダイゼーションが起きていればサンプルDNAの塩基配列を特定する。即ち、サンプルDNAの塩基配列は、画像の中でハイブリダイゼーションによって蛍光を発した画素に重なったスポット60と相補的な配列であるので、出力された画像データ中のどの部分が蛍光を発したかによってサンプルDNAの塩基配列を特定することができる。
ここで、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76による固体撮像デバイス3の動作について説明する。
トップゲートドライバ74が1行目のトップゲートライン44から最終行目のトップゲートライン44へと順次リセットパルスを出力し、ボトムゲートドライバ75がボトムゲートライン41,41,41,…に順次リードパルスを出力する。その際、ドレインドライバ76が各行でリセットパルスが出力されているリセット期間と各行でリードパルスが出力されている期間との間に、プリチャージパルスを全てのドレインライン43,43,…に出力する。
i行目の各ダブルゲートトランジスタ20の動作について詳細に説明する。図7に示すように、トップゲートドライバ74がi行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力すると、i行目のトップゲートライン44がハイレベルになる。i行目のトップゲートライン44がハイレベルになっている間(この期間をリセット期間という。)、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20では、半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積されたキャリア(ここでは、正孔である。)が、トップゲート電極30の電圧により反発して吐出される。
次に、トップゲートドライバ74がi行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力することを終了する。i行目のトップゲートライン44のリセットパルスが終了してから、i行目のボトムゲートライン41にリードパルスが出力されるまでの間(この期間をキャリア蓄積期間という。)、光量に従った量の電子−正孔対が半導体膜23内で生成されるが、そのうちの正孔がトップゲート電極30の電界により半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積される。
次に、キャリア蓄積期間中に、ドレインドライバ76が全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力する。プリチャージパルスが出力されている間(プリチャージ期間という。)では、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20においては、トップゲート電極30に印加されている電位が−20〔V〕であり、ボトムゲート電極21に印加されている電位が±0〔V〕であるため、たとえ半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積された正孔の電荷だけではゲート−ソース間電位が低いので半導体膜23にはチャネルが形成されず、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流は流れない。プリチャージ期間において、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流が流れないため、ドレインライン43,43,…に出力されたプリチャージパルスによってi行目の各ダブルゲートトランジスタ20のドレイン電極28に電荷がチャージされる。
次に、ドレインドライバ76がプリチャージパルスの出力を終了するとともに、ボトムゲートドライバ75がi行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力する。ボトムゲートドライバ75がi行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力している間(この期間を、リード期間という。)では、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20のボトムゲート電極21に+10〔V〕の電位が印加されているため、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20がオン状態になる。
リード期間においては、キャリア蓄積期間において蓄積されたキャリアがトップゲート電極30の負電界を緩和するように働くため、ボトムゲート電極21の正電界により半導体膜23にnチャネルが形成されて、ドレイン電極28からソース電極27に電流が流れるようになる。従って、リード期間では、ドレインライン43,43,…の電圧は、ドレイン−ソース間電流によって時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
ここで、キャリア蓄積期間において半導体膜23に入射した光量が多くなるにつれて、蓄積されるキャリアも多くなり、蓄積されるキャリアが多くなるにつれて、リード期間においてドレイン電極28からソース電極27に流れる電流のレベルも大きくなる。従って、リード期間におけるドレインライン43,43,…の電圧の変化傾向は、キャリア蓄積期間で半導体膜23に入射した光量に深く関連する。そして、i行目のリード期間から次の(i+1)行目のプリチャージ期間までの間に、ドレインドライバ76を介して、リード期間が開始してから所定の時間経過後のドレインライン43,43,…の電圧を検出してA/D変換する。これにより、光の強度に換算される。なお、i行目のリード期間から次の(i+1)行目のプリチャージ期間までの間に、ドレインドライバ76を介して、所定の閾値電圧に至るまでの時間を検出しても良い。この場合でも、光の強度に換算される。また、図7では、トップゲートドライバ74の(i+1)行目のリセットパルスの立ち上がり時期は、ボトムゲートドライバ75のi行目のリードパルスが立ち下がってからであるが、これに限らず、トップゲートドライバ74の(i+1)行目のリセットパルスの立ち上がり時期は、トップゲートドライバ74のi行目のリセットパルスの立ち下がり直後からボトムゲートドライバ75のi行目のリードパルスの立ち下がりまでの間であってもよい。ただし、(i+1)行目のダブルゲートトランジスタ20のためにドレインライン43,43,…に出力されたプリチャージパルスの出力は、ボトムゲートドライバ75のi行目のリードパルスの立ち下がり以降になるように設定されている。
上述した一連の画像読み取り動作を1サイクルとして、全ての行の各ダブルゲートトランジスタ20にも同等の処理手順を繰り返すことにより、生体高分子分析チップ1上の光の強度分布が画像として取得される。そして、光強度分布を表した画像は、コントローラに入力される。
以上のように、本実施形態によれば、固体撮像デバイス3の受光面上にスポット60,60,…が点在しているから、走査を行わずとも固体撮像デバイス3で撮像を行うだけで二次元の画像が得られる。更に、分析支援装置70にレンズを設けなくとも、固体撮像デバイス3で鮮明な像を得ることができるので、分析支援装置70の小型化を図ることができる。更に、スポット60から発した光が殆ど減衰せずに固体撮像デバイス3の受光面に入射するので、固体撮像デバイス3の感度が高くなくても済む。
また、受光面(保護絶縁膜31の表面)と半導体膜23との間にマイクロレンズ35が配置され、平坦化膜34から入射された光がマイクロレンズ35によって半導体膜23に効率よく集光される。そのため、ダブルゲートトランジスタ20が小さくても、ダブルゲートトランジスタ20に十分の光量が入射するので、光をダブルゲートトランジスタ20で検知することができる。すなわち、ダブルゲートトランジスタ20の感度が低くとも、光をダブルゲートトランジスタ20で検知することができる。
また、マイクロレンズ35によって集光されるから、1つのダブルゲートトランジスタ20当たりで光の検知することができる面積はマイクロレンズ35がない場合よりも広くなる。そのため、固体撮像デバイス3のS/N比が向上する。
また、1つのダブルゲートトランジスタ20当たりで光の検知することができる面積が広いから、1つのスポット60に含まれるプローブDNA61が少なく、結合するサンプルDNAの量が少なくとも、ダブルゲートトランジスタ20で光を検知することができる。そのため、1つのスポット60に含まれるプローブDNA61が少なくすることができる。
そして、平坦化膜34がマイクロレンズ35による段差を抑えるために受光面を平坦にできるのでプローブDNA61を受光面に固定しやすく、又マイクロレンズによる段差がもたらす立体障害がないためにサンプルDNAも受光面上を移動しやすくなるので効率的にハイブリダイズできる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。以下、生体高分子分析チップ1の変形例について説明する。
〔変形例1〕
上記実施形態における固体撮像デバイス3では、マイクロレンズ35がトップゲート絶縁膜29と別層で形成されていたが、図8に示された固体撮像デバイス103のように、マイクロレンズ35がトップゲート絶縁膜29と一体形成されていても良い。ここで、図8は、変形例の生体高分子分析チップの固体撮像デバイス103において1つの画素の断面図である。
図8に示すように、トップゲート絶縁膜29が各ダブルゲートトランジスタ20の半導体膜23と重なる箇所において上に向かって略半球状に突出することで、その突出した半球がマイクロレンズ35となり、マイクロレンズ35上の曲面状のトップゲート電極30がマイクロレンズとして機能する。また、この固体撮像デバイス103には上記固体撮像デバイス3における平坦化膜34が形成されていない。そのため、トップゲート電極30は半導体膜23に相対する位置においてマイクロレンズ35を被覆するように形成されており、複数本のトップゲートライン44,44,…がトップゲート絶縁膜29上に形成されている。なお、トップゲート電極30は上記平坦化膜34に比較して十分に薄いため、トップゲート電極30の表面はマイクロレンズ35の形状に沿って略半球状に設けられている。
また、この固体撮像デバイス103では、保護絶縁膜31が上記平坦化膜34の代わりに平坦化膜として機能する。すなわち、保護絶縁膜31は、ダブルゲートトランジスタ20,20,…のトップゲート電極30及びトップゲートライン44,44,…をまとめて被覆し、マイクロレンズ35,35,…によって形成された凹凸部が保護絶縁膜31によって平坦化されている。また、保護絶縁膜31はマイクロレンズ35よりも低屈折率である方が好ましく、またトップゲート電極30よりも屈折率であることが好ましい。
この固体撮像デバイス103は保護絶縁膜31の表面を受光面としている。そして、保護絶縁膜31の表面、すなわち、固体撮像デバイス103の受光面には、上記固体撮像デバイス3の場合と同様に、複数種のスポット60,60,…が点着されている。この場合、マイクロレンズ35が励起光遮蔽性を有する。一方、マイクロレンズ35が励起光遮蔽性を有しない場合には、保護絶縁膜31の表面に励起光遮蔽膜を成膜し、その励起光遮蔽膜の表面を固体撮像デバイス103の受光面とし、その励起光遮蔽膜の表面に複数種のスポット60,60,…が点在している。なお、図8の固体撮像デバイス103については、図2の固体撮像デバイス3のいずれかの部分と同一の部分に対しては同一の符号を付し、同一の部分についての説明は省略する。
〔変形例2〕
上記生体高分子分析チップ1では、光電変換素子としてダブルゲートトランジスタ20,20,…を画素として用いた固体撮像デバイス3を用いているが、別の種類の光電変換素子を画素として用いた固体撮像デバイスを生体高分子分析チップに用いても良い。例えば、画素としてのフォトダイオードを受光面下においてマトリクス状に配列してなるCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等といった固体撮像デバイスを用いても良い。CCDイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲には、フォトダイオードで光電変換された電気信号を転送するための垂直CCD、水平CCDが形成されている。CMOSイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲にはフォトダイオードで光電変換された電気信号を増幅するためのCMOS回路が設けられている。CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサの場合であっても、それぞれのフォトダイオードの受光部(PN接合部)の上に略半球状のマイクロレンズが形成され、透明な平坦化膜がこれらマイクロレンズをまとめて被覆することによってこれらマイクロレンズによって形成された凹凸部を平坦化する。平坦化膜はマイクロレンズよりも低屈折率である。また、平坦化膜の表面が受光面であり、その表面に複数種のスポットが点在するよう点着されている。
〔変形例3〕
上記分析支援装置70では、励起光照射装置72が固体撮像デバイス3の受光面の上から固体撮像デバイス3に向けて励起光を照射しているが、透明基板17の裏面(固体撮像デバイス3が形成された面と反対の面)に向けて励起光を照射しても良い。固体撮像デバイス3はボトムゲート電極21、ボトムゲートライン41、ソース電極27、ソースライン42、ドレイン電極28、ドレインライン43の部分を除いて光透過性であるから、励起光がダブルゲートトランジスタ20,20,…の間において固体撮像デバイス3の受光面から上へ出射する。なお、この場合には、生体高分子分析チップ1には、励起光遮蔽層を成膜しない。
〔変形例4〕
上記生体高分子分析チップ1では、スポット60が既知の塩基配列の一本鎖DNAからなるものであるが、その他の既知の生体高分子、例えば、既知のアミノ酸配列のタンパク質、既知の細胞等からなるものでも良い。
〔変形例5〕
また、上記実施形態では、励起光照射装置72から発する励起光を紫外線とし、励起光によってサンプルDNAから発する光を蛍光(可視光)としたが、このような光の波長域に限定されない。但し、励起光照射装置72から発する励起光がサンプルDNAに結合させた標識物質を励起させる波長域の光であること、励起光によって標識物質から発した光の波長域が励起光の波長域と異なることが必要である。また、固体撮像デバイス3が標識物質から発した光に対して感度を示すことが必要である。
〔変形例6〕
また、上記分析支援装置70では、コントローラ73が固体撮像デバイス3から入力した画像データに従った画像を出力装置77に出力し、作業者が出力された画像からサンプルDNAの配列を特定したが、コントローラ73がサンプルDNAの配列を特定しても良い。すなわち、コントローラが、特徴抽出処理によって画像データ中のどの部分が明るいかを特定し、明るい部分に対応するスポット60を特定し、その特定したスポット60に相補的な塩基配列を出力装置から出力する。
〔変形例7〕
また上記マイクロレンズ35は半球状であったが、これに限らず同心円状のフレネルレンズ等の非半球形状であってもよい。
〔変形例8〕
また上記実施形態では、撮像装置を生体高分子分析チップに用いたが、撮像装置を指紋センサとして用いても良い。すなわち、固体撮像デバイス3,103の受光面にスポット60を設けずに、その受光面に指を接触させ、指の指紋に沿った凹凸により変位する光の出射量を固体撮像デバイス3,103で検知する指紋センサに用いることもできる。
本発明の実施の形態における生体高分子分析チップ1の概略平面図である。 図1の切断面IIに沿った断面図である。 固体撮像デバイス3の1つの画素の平面図である。 図3の切断面IVに沿った断面図である。 分析支援装置70の回路構成を示したブロック図である。 分析支援装置70の概略側面図である。 ドライバによって固体撮像デバイス3に出力される電気信号のレベルの推移を示したタイミングチャートである。 変形例の生体高分子分析チップに備わる固体撮像デバイス103の1つの画素の断面図である。
符号の説明
1 … 生体高分子分析チップ
3 … 固体撮像デバイス
20 … ダブルゲートトランジスタ(光電変換素子)
23 … 半導体膜(受光部)
31 … 保護絶縁膜
34 … 平坦化膜(被覆膜)
35 … マイクロレンズ
60 … スポット
61 … 一本鎖プローブDNA(生体高分子)

Claims (4)

  1. 受光部で受光した光量を電気信号に変換する複数の光電変換素子を受光面下において二次元アレイ状に配列してなる固体撮像デバイスと、
    前記複数の光電変換素子の受光部それぞれと受光面との間において形成された複数のマイクロレンズと、
    前記複数のマイクロレンズを被覆する被覆膜と、
    一方の面側で前記複数の光電変換素子と当接し、他方の面側が前記受光面である保護絶縁膜と、
    前記受光面に配置され、生体高分子で構成される複数種のスポットと、を有することを特徴とする生体高分子分析チップ
  2. 前記複数の光電変換素子が、前記マイクロレンズの下に形成された前記受光部としての半導体膜と、ボトムゲート絶縁膜を前記半導体膜との間に挟んで前記半導体膜の下に形成されたボトムゲート電極と、前記マイクロレンズを前記半導体膜との間に挟んで前記マイクロレンズの上に形成された光透過性のトップゲート電極と、を有することを特徴とする請求項1に記載の生体高分子分析チップ
  3. 前記複数の光電変換素子のトップゲート電極が前記被覆膜上に形成され、前記複数の光電変換素子のトップゲート電極がまとめて前記保護絶縁膜によって被覆されていることを特徴とする請求項2に記載の生体高分子分析チップ
  4. 前記被覆膜の屈折率は前記マイクロレンズの屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の生体高分子分析チップ。
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