JP4337369B2 - Dna分析装置、dna分析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基数の異なるDNAを分析するために用いられるDNA分析装置、DNA分析装置を用いたDNA分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療分野、農業分野等の幅広い分野で生物の遺伝子情報が利用されるようになってきているが、遺伝子情報の利用に際しては、DNAの構造解明が不可欠である。DNAは螺旋状によじれあった二本のポリヌクレオチド鎖を有し、それぞれのポリヌクレオチド鎖は4種の塩基(アデニン:A、グアニン:G、シトシン:C、チミン:T)が一次元的に並んだ塩基配列(ヌクレオチド配列)を有し、アデニンとチミン、グアニンとシトシンという相補性に基づいて一方のポリヌクレオチド鎖の塩基が他方のポリヌクレオチド鎖の塩基に結合している。
【0003】
DNAの構造解明とは、塩基配列を特定することであるが、DNAの塩基配列を特定するためにDNAマイクロアレイ及びその読取装置が開発されている。従来では、DNAマイクロアレイ及びその読取装置を用いて次のようにしてサンプルDNAの塩基配列を特定する。
【0004】
まず、既知の塩基配列を有した一本鎖のプローブDNA断片を複数種類調製し、複数種のプローブDNA断片をスポットとしてスライドガラス等の固体担体に整列固定させる。得られたDNAマイクロアレイ上には、複数のスポットがアレイ上に配列されるが、一つのスポットは一種類のプローブDNA断片の群集であり、スポットごとにプローブDNA断片の塩基配列が異なる。
【0005】
次に、検体から採取したサンプルDNAを一本鎖のサンプルDNA断片に変性して、変性したサンプルDNA断片に蛍光物質等を結合させる。一般的にサンプルDNA断片は複数種ある。
【0006】
次に、複数種のサンプルDNA断片をDNAマイクロアレイ上に添加すると、複数種のサンプルDNA断片はそれぞれの相補的なプローブDNA断片とハイブリダイズする。つまり、或る種類のサンプルDNA断片は、複数種類のプローブDNA断片のうち相補性を有するプローブDNA断片とハイブリダイズするが、相補性を有しないプローブDNA断片とはハイブリダイズしない。サンプルDNA断片に蛍光物質でマーキングを施しているため、サンプルDNA断片と結合したプローブDNA断片が蛍光を発することになる。
例えば、TCGGGAAという塩基配列を有するサンプルDNA断片は、AGCCCTTという塩基配列を有するプローブDNA断片とのみ結合し、そのプローブDNA断片からなるスポットから蛍光が発する。
【0007】
次いで、DNAマイクロアレイを読取装置にセッティングして、読取装置にて解析する。読取装置は、DNAマイクロアレイ上の蛍光強度分布を計測するものである。DNAマイクロアレイ上の蛍光強度分布は二次元の画像として出力される。出力された画像内で蛍光強度が大きいスポットには、サンプルDNA断片の塩基配列と相補的な塩基配列を有したプローブDNA断片が含まれていることを表している。従って、二次元画像中のどのスポットの蛍光強度が大きいかによってサンプルDNA断片の塩基配列を確定することができる。
【0008】
ところが、上記DNAマイクロアレイでは、単にサンプルDNA断片をDNAマイクロアレイ上に添加するだけであるため、サンプルDNA断片の分布が不均一である。つまり、DNAマイクロアレイ上の一部のスポット上ではサンプルDNA断片が高濃度になるが、別のスポットではサンプルDNA断片が低濃度となる場合がある。従って、スポットのプローブDNA断片が複数種のサンプルDNA断片のうちの何れかと相補性を有する場合、そのスポット上のサンプルDNA断片の濃度によって蛍光の発光輝度が異なってしまう恐れがある。
【0009】
以上の問題を解決するために、特許文献1では、基板上に電極をマトリクス状に配列し、それぞれの電極上にプローブDNA断片からなるスポットを固定し、分散媒をこれら電極及びスポットを全て被覆するように基板一面に塗布してなるDNAマイクロアレイについて記載されている。
【0010】
特許文献1に記載されたDNAマイクロアレイを用いた同定方法は以下のようになる。まず、分散媒にサンプルDNA断片を注入する。そして、電極一つずつに順次正電圧を印加していくことによって、点走査を行う。複数の電極のうち正電圧を印加されて選択されている電極に向かって、分散媒中のサンプルDNA断片が泳動していくから、選択されている電極のスポットではサンプルDNA断片が高濃度になる。このような点走査が行われることによって、スポットは一つずつ順次サンプルDNA断片が高濃度な状態となる。従って、サンプルDNA断片と相補性を有するスポットはどれも蛍光強度がほぼ等しくなる。以上のように、特許文献1に記載されている技術では、サンプルDNA断片が分散媒中を電気泳動することを利用している。
【0011】
【特許文献1】
特表平11−512605号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のDNAマイクロアレイは、複数種のサンプルDNA断片の何れもが同じ塩基数であることを想定して開発されている。つまり、スポットごとにプローブDNA断片の塩基配列の種類が異なっているが、どのスポットもプローブDNA断片の塩基数が等しい。そのため、検体のサンプルDNAを変性することで得られたサンプルDNA断片を抽出する際には、同じ塩基数のサンプルDNA断片のみを抽出する必要がある。従って、同じ塩基数のサンプルDNA断片を抽出するための処理、サンプルDNAを同じ塩基数のサンプルDNA断片に変性する処理を必要としているため、その手間がかかってしまい、短時間にサンプルDNAの構造解析を行うことが難しかった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片の塩基配列を速やかに特定することができるDNA分析装置、DNA分析装置を用いたDNA分析方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明のDNA分析装置は、例えば図1、図2に示すように
電気泳動媒体が注入される浴槽(例えば、浴槽71)と、
前記浴槽中に配置され、前記浴槽の幅方向に対向している第一電極(例えば、第一電極74)及び第二電極(例えば、第二電極75)と
記浴槽の幅方向に並んだ複数のプローブ電極(例えば、プローブ電極35,35,…)と、
既知の塩基配列を有したプローブDNA断片からなるとともに、前記複数のプローブ電極上に配列された複数のスポット(例えば、スポット60,60,…)と、
前記浴槽中の前記プローブ電極の下面側に配置されるとともに、前記浴槽の幅方向に見た場合に前記第一電極及び前記第二電極と異なる高さの位置に配置され、前記浴槽の高さ方向に見た場合に前記第一電極と前記第二電極との間に配置され、前記第一電極側から前記電気泳動媒体に注入された、塩基数が互いに異なる複数種類のサンプルDNA断片が、前記プローブDNA断片とハイブリダイゼーションをしていることを光検知する光検知デバイス(例えば、光検知デバイス2)と、
を備え、
前記複数のプローブ電極は、一つのプローブ電極又は隣り合う幾つかのプローブ電極からなる複数の電極組に分けられ、
前記第一電極側に近い前記スポットほど、その前記プローブDNA断片の塩基数が大きくなるように、前記複数のスポットの前記プローブDNA断片が前記第一電極及び前記第二電極の間に配置され、
前記第一電極,前記第二電極には、複数種類のサンプルDNA断片が前記電気泳動媒体中を前記第一電極側から前記第二電極側に向かって泳動するような電圧が印加されることを特徴とする。
【0016】
DNA断片は塩基数が少なくなるにつれて体積が小さくなるので流体抵抗が低くなるため電気泳動移動度が大きくなる。そのため、電気泳動媒体の第一電極側に塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片を注入すると、塩基数の少ないサンプルDNA断片は第二電極側に泳動しやすく、塩基数の多いサンプルDNA断片は第二電極側に泳動しにくい。ここで、複数のスポットは、電極組が第二電極に近づくにつれてプローブDNA断片の塩基数が小さくなるから、サンプルDNA断片は塩基数の同じプローブDNA断片のある電極組の上へと泳動する。複数のプローブ電極及び複数のスポットが第一電極及び第二電極よりも深い位置に配置されているため、サンプルDNA断片が第一電極から第二電極に向けて泳動している時には、サンプルDNA断片がスポットにまで至らないが、プローブ電極に電圧が印加されると、サンプルDNA断片は深さ方向にも泳動する。
従って、サンプルDNA断片は、塩基数の同じ或いは近似したプローブDNA断片のスポットまで泳動する。そのため、容易にプローブDNA断片と同じ塩基数のサンプルDNA断片を抽出できるから、互いに相補的なサンプルDNA断片及びプローブDNA断片を速やかにハイブリダイズさせることができ、塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片それぞれの塩基配列を迅速に分析することができる。また光検知デバイスを用いることで塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片それぞれの塩基配列をほぼ同時に分析することができる。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のDNA分析装置において、
前記電圧制御回路は、電圧印加工程のそれぞれの後に、前記複数の電極組のうち前記第二電極から近い順に一つの電極組を選択して、その選択した電極組中の一又は複数のプローブ電極の電位が前記第一電極の電位及び第二電極の電位よりも高くなるように、又は、その選択した電極組中の一又は複数のプローブ電極の電位が前記第一電極の電位及び第二電極の電位のうちの高い方と同等となるように電圧を印加する(例えば図10、図11に示すようなステップS4、ステップS9、ステップS14)ことを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明では、電圧印加工程においてサンプルDNA断片が第一電極から第二電極に向けて泳動するが、泳動距離はサンプルDNA断片の塩基数が小さくなるにつれて長くなる。例えば、塩基数の少ないサンプルDNA断片は最初の電圧印加工程では第二電極に最も近い電極組に最も近く泳動しているから、その後に電極組が選択されるとその電極組中のプローブ電極の電位が第一電極の電位及び第二電極の電位よりも高い、或いは、前記第一電極の電位及び第二電極のうちの電位の高い方と同等となるからその塩基数の少ないサンプルDNA断片は選択された電極組へと深さ方向に容易に泳動する。
このように、電圧印加工程が繰り返され、電圧印加工程のそれぞれの間に前記複数の電極組のうち前記第二電極から近い順に一つの電極組を選択すると、サンプルDNA断片は、第二電極に近い電極組になるにつれて塩基数が少なくなるように、各電極組に振り分けられる。
従って、サンプルDNA断片は、塩基数の同じプローブDNA断片のスポットまで泳動する。そのため、サンプルDNA断片を同じ塩基数の相補的なプローブDNA断片のみとハイブリダイゼーションすることができるから、塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片それぞれの塩基配列をほぼ同時に分析することができる。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のDNA分析装置において、
前記電圧制御回路は、全ての電極組を選択した後に前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方の電位が前記複数のプローブ電極の電位よりも高くなるように電圧を印加する(例えば図12に示すようなステップS26)ことを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明では、全ての電極組を選択した後に第一電極及び第二電極の少なくとも一方の電位が複数のプローブ電極の電位よりも高くなるように電圧を印加することによって、ハイブリダイズしていないサンプルDNA断片がスポットから離れて、第一電極及び第二電極へと泳動する。しかし、相補的なプローブDNA断片とハイブリダイズしたサンプルDNA断片はスポットから離れない。
従って、サンプルDNA断片は相補的なプローブDNA断片のスポットにのみ分布している。
【0021】
請求項13に記載の発明は、例えば図5に示すように、請求項12に記載のDNA分析装置において、
前記電圧制御回路が前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方の電位が前記複数のプローブ電極の電位よりも高くなるように電圧を印加した後に、前記光検知デバイスを駆動するドライバ回路(例えば、ドライバ回路76)を具備することを特徴とする。
【0022】
請求項13に記載の発明では、サンプルDNA断片は相補的なプローブDNA断片のスポットにのみ分布しており、ドライバ回路によって光検知デバイスが駆動されることによって、光検知デバイスによって蛍光強度分布強度が検出され、サンプルDNA断片の分布がわかる。そのため、サンプルDNA断片の塩基配列がわかる。
【0023】
請求項18に記載の発明のDNA分析方法は、例えば、図1に示すように、
DNA分析装置を用いたDNA分析方法において、
前記DNA分析装置は、電気泳動媒体が注入される浴槽(例えば、浴槽71)と、前記浴槽中に配置され、前記浴槽の幅方向に対向している第一電極(例えば、第一電極74)及び第二電極(例えば、第二電極75)と、前記浴槽の幅方向に並んだ複数のプローブ電極(例えば、プローブ電極35,35,…)と、既知の塩基配列を有したプローブDNA断片からなるとともに、前記複数のプローブ電極上に配列された複数のスポット(例えば、スポット60,60,…)と、前記浴槽中の前記プローブ電極の下面側に配置されるとともに、前記浴槽の幅方向に見た場合に前記第一電極及び前記第二電極と異なる高さの位置に配置され、前記浴槽の高さ方向に見た場合に前記第一電極と前記第二電極との間に配置され、前記第一電極側から前記電気泳動媒体に注入された、塩基数が互いに異なる複数種類のサンプルDNA断片が、前記プローブDNA断片とハイブリダイゼーションをしていることを光検知する光検知デバイスと(例えば、光検知デバイス2)、を備え、前記複数のプローブ電極は、一つのプローブ電極又は隣り合う幾つかのプローブ電極からなる複数の電極組に分けられ、前記DNA分析装置の分析方法は、前記第一電極側に近い前記スポットほど、その前記プローブDNA断片の塩基数が大きくなるように、前記複数のスポットの前記プローブDNA断片が前記第一電極及び前記第二電極の間に配置され、
前記第一電極,前記第二電極には、複数種類のサンプルDNA断片が前記電気泳動媒体中を前記第一電極側から前記第二電極側に向かって泳動するような電圧が印加される電圧印加ステップを有することを特徴とする。
【0024】
請求項18に記載の発明では、サンプルDNA断片は、第一電極及び第二電極間の電界により電気泳動する際に、サンプルDNA断片の塩基数の増大に従って増加する流体抵抗により速度が減速するので、塩基数に応じてサンプルDNA断片の位置をばらつかせることができる。このため、第一電極及び第二電極への印加電圧やプローブDNA断片を塩基数に応じて配置させることで速やかにプローブDNA断片とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片を抽出できるから、互いに相補的なサンプルDNA断片及びプローブDNA断片を速やかにハイブリダイズさせることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の具体的な態様について説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
【0026】
図1は、DNAを分析するDNA同定装置100を破断して示した正面図であり、図2は、DNA同定装置100の上面図である。
【0027】
このDNA同定装置100は、浴槽71と、浴槽71の上方に配置された紫外線照射器77と、浴槽71の内側の上部で且つ浴槽71の幅方向に水平対向配置された第一電極74及び第二電極75と、浴槽71の底に対して着脱自在なDNAセンサ1と、を備える。
【0028】
DNAセンサ1について図3及び図4を参照して説明する。図3は、DNAセンサ1の平面図であり、図4(a)は、DNAセンサ1の一画素を示した平面図であり、図4(b)は、図4(a)の破断線II−IIで破断して示した断面図である。
DNAセンサ1は、撮像デバイスである光検知デバイス2と、光検知デバイス2の表面全体に成膜された電磁シールド層32と、電磁シールド層32上に形成されたオーバコート層33と、オーバコート層33上に成膜された紫外線遮蔽層34と、紫外線遮蔽層34の表面に配列された複数のプローブ電極35,35,…と、それぞれが一本鎖プローブDNA断片61の群集であるとともにプローブ電極35,35,…上に配列されて固定された複数のスポット60,60,…と、を備える。
【0029】
光検知デバイス2は、略平板状の透明基板17と、透明基板17の表面上にn行m列(m、nともに2以上の整数である。)のマトリクス状に配列された複数のダブルゲート型電界効果トランジスタで構成されたフォトセンサ素子20,20,…と、を備える。なお、行とは、後述するソースライン42、ドレインライン43に沿って横方向に一直線に並んだm個のフォトセンサ素子20,20,…の並びをいう。列とは、後述するトップゲートライン44、ボトムゲートライン41に沿って縦方向に一直線に並んだn個のフォトセンサ素子20,20,…の並びをいう。
【0030】
透明基板17は、光に対して透過性(以下、単に透光性という。)を有するとともに絶縁性を有し、石英ガラス等といったガラス基板又はポリカーボネート等といったプラスチック基板である。この透明基板17の裏面が、光検知デバイス2の裏面を成している。なお、透光性を有した透明基板17の代わりに、遮光性を有した基板であっても良い。
【0031】
これらフォトセンサ素子20,20,…は、画素となる光電変換素子である。フォトセンサ素子20は、透明基板17上に形成されたボトムゲート電極21と、ボトムゲート電極21上に形成されたボトムゲート絶縁膜22と、ボトムゲート電極21との間にボトムゲート絶縁膜22を挟むとともにボトムゲート電極21に対向した半導体膜23と、半導体膜23の中央部上に形成されたチャネル保護膜24と、半導体膜23の両端部上に互いに離間して形成された不純物半導体膜25,26と、一方の不純物半導体膜25上に形成されたソース電極27と、他方の不純物半導体膜26上に形成されたドレイン電極28と、ソース電極27及びドレイン電極28上に形成されたトップゲート絶縁膜29と、半導体膜23との間にトップゲート絶縁膜29及びチャネル保護膜24を挟むとともに半導体膜23に対向したトップゲート電極30と、を具備する。
【0032】
透明基板17上には、ボトムゲート電極21がフォトセンサ素子20ごとに形成されている。また、透明基板17上には、縦方向に延在するm本のボトムゲートライン41,41,…が一列につき一本ずつ形成されており、縦方向に配列された同じ列の各フォトセンサ素子20のボトムゲート電極21は共通のボトムゲートライン41と一体となって形成されている。ボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41は、導電性及び遮光性を有し、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
【0033】
ボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41上には、全てのフォトセンサ素子20,20,…に共通したボトムゲート絶縁膜22が形成されている。ボトムゲート絶縁膜22は、絶縁性及び透光性を有し、例えば窒化シリコン(SiN)又は酸化シリコン(SiO2)からなる。
【0034】
ボトムゲート絶縁膜22上には、半導体膜23がフォトセンサ素子20ごとに形成されている。半導体膜23は、平面視して略矩形状を呈しており、アモルファスシリコン又はポリシリコンで形成された層である。半導体膜23上には、チャネル保護膜24が形成されている。チャネル保護膜24は、パターニングに用いられるエッチャントから半導体膜23の界面を保護する機能を有し、絶縁性及び透光性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。半導体膜23は光に対して感度を示し、半導体膜23に光が入射すると、入射した光量に従った量の電子−正孔対がチャネル保護膜24と半導体膜23との界面付近を中心に発生するようになっている。この場合、半導体膜23側にはキャリアとして正孔が発生し、チャネル保護膜24側には電子が発生するようになっている。
【0035】
半導体膜23の一端部上には、不純物半導体膜25が一部チャネル保護膜24に重なるようにして形成されており、半導体膜23の他端部上には、不純物半導体膜26が一部チャネル保護膜24に重なるようにして形成されている。不純物半導体膜25,26は、フォトセンサ素子20ごとにパターニングされている。不純物半導体膜25,26は、n型の不純物イオンを含むアモルファスシリコン(n+シリコン)からなる。
【0036】
不純物半導体膜25上には、フォトセンサ素子20ごとにパターニングされたソース電極27が形成されている。不純物半導体膜26上には、フォトセンサ素子20ごとにパターニングされたドレイン電極28が形成されている。また、ボトムゲート絶縁膜22上には、横方向に延在するm本のソースライン42,42,…が一行につき一本ずつ形成されているとともに、横方向に延在するm本のドレインライン43,43,…が一行につき一本ずつ形成されている。そして、横方向に配列された同じ行の各フォトセンサ素子20のソース電極27は共通のソースライン42と一体に形成されており、横方向に配列された同じ行の各フォトセンサ素子20のドレイン電極28は共通のドレインライン43と一体に形成されている。ソース電極27、ドレイン電極28、ソースライン42及びドレインライン43は、導電性及び遮光性を有しており、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
【0037】
チャネル保護膜24、ソース電極27及びドレイン電極28並びにソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…上には、全てのフォトセンサ素子20,20,…に共通したトップゲート絶縁膜29が形成されている。トップゲート絶縁膜29は、絶縁性及び透光性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
【0038】
トップゲート絶縁膜29上には、フォトセンサ素子20ごとにパターニングされたトップゲート電極30が形成されている。また、トップゲート絶縁膜29上には縦方向に延在するn本のトップゲートライン44が一列につき一本ずつ形成されており、縦方向に配列された同じ列の各フォトセンサ素子20のトップゲート電極30は共通のトップゲートライン44と一体に形成されている。トップゲート電極30及びトップゲートライン44は、導電性及び透光性を有し、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム)で形成されている。
以上のように構成されたフォトセンサ素子20は、半導体膜23を受光部とした光電変換素子である。これらフォトセンサ素子20,20,…は共通の保護絶縁膜31によってまとめて被覆されており、保護絶縁膜31はトップゲート電極30及びトップゲートライン44上に形成されている。この保護絶縁膜31は、絶縁性及び透光性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
【0039】
保護絶縁膜31上には、電磁シールド層32が全てのフォトセンサ素子20,20,…に共通して一面に形成されている。電磁シールド層32は、導電性及び透光性を有し、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物で形成されている。
【0040】
電磁シールド層32上には、オーバコート層33が全てのフォトセンサ素子20,20,…に共通して一面に形成されている。オーバコート層33は、絶縁性及び透光性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
【0041】
オーバコート層33上には、紫外線遮蔽層34が全てのフォトセンサ素子20,20,…に共通して一面に形成されている。紫外線遮蔽層34は、後述する蛍光物質を励起させる紫外線を遮光し、紫外線によって励起される蛍光物質から発する蛍光(主に、可視光線)を透過する性質を有する。紫外線遮蔽層34としては、アナターゼ型又はルチル型の酸化チタンからなる層が挙げられる。その他に、高屈折率の誘電体H層と、誘電体H層より低屈折率の誘電体L層とが紫外線波長の1/4の光学膜厚で交互に積層された誘電体多層膜が挙げられる。
【0042】
紫外線遮蔽層34上には、縦方向に延在するm本のプローブ電極35,35,…が一列につき一本ずつ形成されている。これらプローブ電極35は長手方向が互いに平行となるように配列されている。また、それぞれのプローブ電極35は同じ列のn個のフォトセンサ素子20,20,…をまとめて被覆するように形成されている。
【0043】
プローブ電極35,35,…上には、プローブ電極35一つにつきn種類のスポット60が列になって固定されており、全体で(m×n)種類のスポット60がマトリクス状になって配列されている。そして、平面視して一つのフォトセンサ素子20に一種類のスポット60が重なるようにして、一つのフォトセンサ素子20につき一種類のスポット60が配列されている。一つのスポット60は一本鎖プローブDNA断片61が多数集まった群集であり、一つのスポット60に含まれる多数の一本鎖プローブDNA断片61は同じ塩基配列(ヌクレオチド配列)を有し、スポット60ごとに一本鎖プローブDNA断片61の塩基配列は異なっている。何れのスポット60も、塩基配列が既知のものである。
【0044】
更には、同じ列のn種類のスポット60は互いに異なる塩基配列の一本鎖プローブDNA断片61からなるが、互いにほぼ同じ塩基数の一本鎖DNA断片61となっている。つまり、同じ列のn種類のスポット60の一本鎖DNA断片61は、何れも塩基の数がほぼ同じである。スポット60の一本鎖プローブDNA断片61の塩基数が列ごとに大幅に異なっても良いが、m列のうち幾つかの隣接しあった列はほぼ同じ塩基数の一本鎖DNA断片61とされていても良い。また、スポット60,60,…のm列のうち一列又は隣り合う幾つかの列から成る列組は、ほぼ同じ塩基数の一本鎖DNA断片61とされており、ほぼ同じ塩基数の一本鎖DNA断片61とされた列組が幾つかある。ほぼ同じ塩基数の一本鎖プローブDNA断片61とされた列組が左に寄るにつれてその塩基数が増えるように、且つ、ほぼ同じ塩基数一本鎖プローブDNA断片61とされた列組が右に寄るにつれて塩基数が減るようにスポット60,60,…が配列されている。
従って、複数のプローブ電極35,35,…もプローブDNA断片61の塩基数の数によって分別される。つまり、複数のプローブ電極35,35,…は一つのプローブ電極35又は隣り合う幾つかのプローブ電極35からなる電極組に分けられ、共通の電極組に配列されたスポット60,60,…はそれぞれ一本鎖プローブDNA断片61の塩基数がほぼ同じであるが、塩基配列が異なる。ここで、「ほぼ同じ」とは、複数の電極組のうちの所定の電極組に配列された複数のスポット同士において、一本のプローブDNA断片の塩基数が、互いに同一であるか又はこの所定の電極組以外のプローブ電極に配列されたスポットの一本のプローブDNA断片の塩基数よりも互いに近似していることを意味する。
【0045】
以下では、説明を簡単にするために、81個のフォトセンサ素子20,20,…が9行9列にマトリクス状に配列されており、9列のプローブ電極35,35,…が互いに平行となって形成されており、それぞれのプローブ電極35上には9種類のスポット60,60,…が配列されているものとする。また、左側3列のプローブ電極35,35,35からなる電極組上に形成されているスポット60,60,…のプローブDNA断片61は、スポット60ごとに互いに異なる塩基配列であるが、ほぼ同じ塩基数である。中央3列のプローブ電極35,35,35からなる電極組上に形成されているスポット60,60,…のプローブDNA断片61は、スポット60ごとに互いに異なる塩基配列であるが、ほぼ同じ塩基数である。右側3列のプローブ電極35,35,35からなる電極組上に形成されているスポット60,60,…のプローブDNA断片61は、スポット60ごとに互いに異なる塩基配列であるが、ほぼ同じ塩基数である。また、左側3列のプローブ電極35,35,35からなる電極組上に形成されているスポット60,60,…のプローブDNA断片61の塩基数は、中央3列のプローブ電極35,35,35の電極組上に形成されているスポット60,60,…のプローブDNA断片61の塩基数より多く、中央3列のプローブ電極35,35,35からなる電極組上に形成されているスポット60,60,…のプローブDNA断片61の塩基数は、右側3列のプローブ電極35,35,35からなる電極組上に形成されているスポット60,60,…のプローブDNA断片61の塩基数より多い。また、最も左の列プローブ電極35を第1列目とし、最も右の列のプローブ電極35を第9列目とし、プローブ電極35の順番を左から順とする。つまり、第1列目〜第3列目が一つの共通の電極組となり、第4列目〜第6列目が一つの共通の電極組となり、第7列目〜第9列目が一つの共通の電極組となり、各電極組内では、一本鎖プローブDNA断片61の塩基数が同一であるか又は当該電極組以外の電極組に配列されたスポットの一本のプローブDNA断片の塩基数よりも互いに近似している。
【0046】
スポット60,60,…をプローブ電極35に固定する方法としては、予め調製したプローブDNA断片を、ポリ陽イオン(ポリ−L−リシン、ポリエチレンイミン等)で表面処理したプローブ電極35に分注装置を用いて点着して、DNAの荷電を利用して光検知デバイス2の表面に静電結合させる方法が適用される。
その他の固定方法として、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤を用いる方法も利用されている。この場合には、アミノ基、アルデヒド基等は、共有結合によりプローブ電極35の表面に導入されるため、ポリ陽イオンによる場合と比較して安定にプローブ電極35に存在する。
その他の固定方法として、反応活性基を導入したオリゴヌクレオチドを合成し、表面処理したプローブ電極35に該オリゴヌクレオチドを点着し、共有結合させる方法もある。
【0047】
以上のようなDNAセンサ1は、スポット60,60,…を上側にしてDNA読取装置100の浴槽71の底に対して着脱自在となっている。なお、浴槽71の深さ方向は、水平方向に対して直交する。
【0048】
この浴槽71の上が開放しており、浴槽71内に所定の粘度の電気泳動媒体82を注入できるようになっている。電気泳動媒体82としては、粒子が分散媒に分散してなるコロイド溶液(ゾル)、ゲルを含有した電解溶液、その他の電解溶液等である。
【0049】
この浴槽71は振とう器83の上に載置されており、振とう器83によって浴槽71が振とうされることによって電気泳動媒体82が攪拌されるようになっている。振とう器83は超音波によって浴槽71を振とうするものであっても良いし、ロータリー式で浴槽71を振とうするものであっても良いし、往復式で浴槽71を振とうするものであっても良い。
【0050】
また、浴槽71の底にDNAセンサ1が装着された場合、浴槽71を上から見ると複数のプローブ電極35,35,…は第一電極74と第二電極75との間で配列され、左端のプローブ電極35は、浴槽71の左壁に形成された第一電極74寄りに位置し、右端のプローブ電極35は、浴槽71の右壁に形成された第二電極75寄りに位置する。
【0051】
浴槽71内であって浴槽71の前壁面には、温度調節を行える温度調節素子72がプローブ電極35一つにつき一つ設けられている。温度調節素子72,72,…は、浴槽71の底にDNAセンサ1が装着された場合に、それぞれのプローブ電極35,35,…の端部に当接するように設けられており、それぞれのプローブ電極35,35,…を介してスポット60,60,…の温度を調節するものである。温度調節素子72としては、加熱・冷却を行えるペルチェ素子や、加熱を行えるヒータと冷却を行えるヒートシンクとを組み合わせたもの等が挙げられるが、発熱によりプローブ電極35,35,…を選択的に加熱するとともに吸熱によりプローブ電極35,35,…を選択的に冷却することによってプローブ電極35,35,…及びその近傍の温度を調節できるものであれば良い。なお、温度調節素子72は、発熱抵抗体、その他の発熱体といった単に加熱のみを行えるものでもよい。
【0052】
また、浴槽71内であって浴槽71の後ろ壁面には、電圧制御を行うための電圧制御回路73(図5に図示)の端子73a,73a,…が複数配設されている。そして、端子73a,73a,…は、浴槽71の底にDNAセンサ1が装着された場合に、プローブ電極35,35,…にそれぞれ接触するように設けられており、電圧制御回路73によってプローブ電極35,35,…に電圧が個別に印加されるようになっている。
【0053】
また、浴槽71内には、光検知デバイス2を駆動するためのドライバ回路76(図5に図示)の端子が複数配設されている。ドライバ回路76は、図6に示すように、トップゲートドライバ76A、ボトムゲートドライバ76B、ドレインドライバ76Cで構成される。そして、浴槽71の底にDNAセンサ1が装着された場合にトップゲートドライバ76A、ボトムゲートドライバ76B、及びドレインドライバ76Cの各端子がトップゲートライン44,44,…、ボトムゲートライン41,41,…及びドレインライン43,43,…にそれぞれ接続するように設けられており、ドライバ回路76によって電圧がトップゲートライン44,44,…、ボトムゲートライン41,41,…及びドレインライン43,43,…に適宜印加されるようになっている。また、ソースライン42は全て電位Vssに保持され、浴槽71の底にDNAセンサ1が装着された場合、ソースライン42,42,…及び電磁シールド層32の電位Vssが接地電位でもよい。
【0054】
ドライバ回路76によって適宜電圧が所定のタイミングでトップゲートライン44,44,…、ボトムゲートライン41,41,…及びドレインライン43,43,…に印加されることによって、光検知デバイス2が駆動される。光検知デバイス2が駆動されるとそれぞれのフォトセンサ素子20で入射した光量が電気信号に変換され、電気信号がドライバ回路76によって検知されることによって、撮像が行われるようになっている。
【0055】
上述したフォトセンサ素子20の駆動制御方法について、図面を参照して説明する。図7は、フォトセンサ素子20の基本的な駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートであり、図8は、フォトセンサ素子20の動作概念図であり、図9は、フォトセンサ素子20の出力電圧の光応答特性を示す図である。ここでは、上述したフォトセンサ素子20の構成(図1、図4)を適宜参照しながら説明する。
【0056】
まず、リセット動作(初期化動作)においては、図7、図8(a)に示すように、コントローラ78の制御により、任意のi列目(1≦i≦m)のトップゲートライン44を介して、i列目のフォトセンサ素子20のトップゲート電極30にパルス電圧(以下、「リセットパルス」と記す;例えば、Vtg=+15Vのハイレベル)φTiを印加して、半導体層23、及び、チャネル保護膜24における半導体層23との界面近傍に蓄積されているキャリア(ここでは、正孔)を放出する(リセット期間Trst)。
【0057】
次いで、光蓄積動作(電荷蓄積動作)においては、図7、図8(b)に示すように、i列目のトップゲートライン44を介して、i列目のフォトセンサ素子20のトップゲート電極30にローレベル(例えば、Vtg=−15V)のバイアス電圧φTiを印加することにより、リセット動作を終了し、キャリア蓄積動作による光蓄積期間Taがスタートする。光蓄積期間Taにおいては、トップゲート電極21側から入射した光量に応じて半導体層23の入射有効領域、すなわち、キャリア発生領域で電子−正孔対が生成され、生成された電子−正孔対のうちの正孔が、半導体層23、及び、チャネル保護膜24における半導体層23との界面近傍、すなわち、チャネル領域周辺に蓄積される。
【0058】
そして、プリチャージ動作においては、図7、図8(c)に示すように、光蓄積期間Taに並行して、プリチャージ信号φpgに基づいてi列目のフォトセンサ素子20のドレイン電極28に所定の電圧(プリチャージ電圧)Vpgを印加するために各ドレインライン43に電荷を保持させる(プリチャージ期間Tprch)。次いで、読み出し動作においては、図7、図8(d)に示すように、プリチャージ期間Tprchを経過した後、ボトムゲート電極21にハイレベル(例えば、Vbg=+10V)のバイアス電圧(読み出し選択信号;以下、「読み出しパルス」と記す)φBiを印加すること(選択状態)により、フォトセンサ素子20をON状態にする(読み出し期間Tread)。
【0059】
ここで、読み出し期間Treadにおいては、光が入射されたフォトセンサ素子20のチャネル領域に蓄積されたキャリア(正孔)が逆極性のトップゲート電極30に印加されたVtg(−15V)を緩和する方向に働くため、ボトムゲート電極21のVbg(+15V)によりnチャネルが形成され、ドレイン電流に応じてドレイン電極28及びドレインライン43の電圧(ドレイン電圧)VDは、図9(a)に示すように、プリチャージ電圧Vpgから時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
【0060】
すなわち、光蓄積期間Taにおける光蓄積状態が明状態の場合には、図8(d)に示すように、チャネル領域に入射光量に応じたキャリア(正孔)が捕獲されているため、トップゲート電極30の負バイアスを打ち消すように作用し、この打ち消された分だけボトムゲート電極21の正バイアスによって、フォトセンサ素子20はON状態となる。そして、この入射光量に応じたON抵抗に従って、図9(a)に示すように、ドレイン電圧VDは、低下することになる。
【0061】
一方、光蓄積状態が暗状態で、チャネル領域にキャリア(正孔)が蓄積されていない場合には、図8(e)に示すように、トップゲート電極30の負バイアスによって、ボトムゲート電極21の正バイアスが打ち消され、フォトセンサ素子20はOFF状態となり、図9(a)に示すように、ドレイン電圧VDが、ほぼそのまま保持されることになる。
【0062】
したがって、図9(a)に示したように、ドレイン電圧VDの変化傾向は、トップゲート電極30へのリセットパルスφTiの印加によるリセット動作の終了時点から、ボトムゲート電極21に読み出しパルスφBiが印加されるまでの時間(光蓄積期間Ta)に受光した光量に深く関連し、蓄積されたキャリアが多い場合(明状態)には急峻に低下する傾向を示し、また、蓄積されたキャリアが少ない場合(暗状態)には緩やかに低下する傾向を示す。そのため、読み出し期間Treadがスタートして、所定の時間経過後のドレイン電圧VD(=Vrd)を検出することにより、あるいは、所定のしきい値電圧を基準にして、その電圧に至るまでの時間を検出することにより、フォトセンサ素子20に入射した光(照射光)の光量が換算される。
【0063】
なお、図7に示したタイミングチャートにおいて、プリチャージ期間Tprchの経過後、図8(f)、(g)に示すように、ボトムゲート電極21にローレベル(例えば、Vbg=0V)を印加した状態(非選択状態)を継続すると、フォトセンサ素子20はOFF状態を持続し、図9(b)に示すように、ドレイン電圧VDは、プリチャージ電圧Vpgに近似する電圧を保持する。このように、ボトムゲート電極21への電圧の印加状態により、フォトセンサ素子20の読み出し状態を選択、非選択状態に切り替える選択機能が実現される。
【0064】
浴槽71内であって左壁面の上部には第一電極74が設けられており、右壁面の上部には第二電極75が設けられており、電極74,75は浴槽71の内側において露出している。また、電極74,75は、浴槽71の底に位置したプローブ電極35,35,…よりも上方に位置している。電極74,75も電圧制御回路73によって個別に電圧が印加されるようになっている。
【0065】
浴槽71の底にDNAセンサ1が装着された場合、図2のように浴槽71を上から見た(浴槽71の高さ方向に見た)とき、光検知デバイス2の配置位置は、第一電極74と第二電極75との間になる。浴槽71の底にDNAセンサ1が装着された場合、浴槽71を右又は左から見た(浴槽71の幅方向に見た)とき、光検知デバイス2の配置高さは、第一電極74及び第二電極75の配置高さより低い。
【0066】
浴槽71よりも上方には、下方に向けて光を照射する紫外線照射器77が設けられている。紫外線照射器77から発光される光は、紫外線の波長域を含み、蛍光の波長域を殆ど含まない。
【0067】
次に、DNA同定装置100の制御構成について図5を用いて説明する。
このDNA同定装置100は、表示装置81と、全体の制御を司るコントローラ78と、紫外線照射器77を駆動するための照射駆動回路79と、温度調節素子72,72,…を駆動するための温度制御回路80と、を備える。
【0068】
コントローラ78は、専用の論理回路であるか、又は、CPU(central processing unit)等を有する演算処理装置であり、所定のタイミングで電圧制御回路73、ドライバ回路76、照射駆動回路79、温度制御回路80、表示装置81及び振とう器83を動作させるものである。
【0069】
ドライバ回路76は、図6〜図9を用いて説明したように、コントローラ78からの指示によって光検知デバイス2を駆動して、光検知デバイス2に撮像動作を行わせるものである。光検知デバイス2によって撮像された画像は、ドライバ回路76によってA/D変換されて、ドライバ回路76からコントローラ78に画像データとして出力されるようになっている。
【0070】
照射駆動回路79は、コントローラ78からの指示によって紫外線照射器77を駆動して、紫外線照射器77に発光動作を行わせるものである。
【0071】
温度制御回路80は、コントローラ78からの指示によって温度調節素子72,72,…を駆動して、温度調節素子72,72,…に加熱・冷却動作を行わせるものである。なお、図5では、図面を簡略化するため、温度調節素子72は、一つのみを示す。
【0072】
電圧制御回路73は、コントローラ78からの指示によって端子73a,73a,…、第一電極74、第二電極75に個別に電圧を印加するものである。
【0073】
表示装置81は、コントローラ78からの指示によって光検知デバイス2で撮像された画像を表示するものである。
【0074】
次に、図10〜図12を用いてDNA同定装置100の動作について説明する。ここで、図10〜図12は、DNA同定装置100の動作の流れを示すフローチャートである。
【0075】
まず、検体からDNAを採取して変性し、塩基数が異なる複数種の一本鎖DNA断片を得るが、塩基数が同じで塩基配列の異なる一本鎖DNA断片が複数種含まれていても良い。一本鎖DNA断片に蛍光物質を結合させ一本鎖DNA断片を蛍光物質で標識する。得られた一本鎖DNA断片をサンプルDNA断片という。サンプルDNA断片に標識する蛍光物質としては、例えばCyDyeのCy2やCy3(アマシャム社製)がある。蛍光物質は、DNA同定装置100の紫外線照射器77から出射される紫外線の波長で励起されるものを選択する。蛍光物質は紫外線によって励起されることによって蛍光を発するが、その蛍光の波長は、フォトセンサ素子20の半導体膜23にキャリアを発生させる波長であり、紫外線に対してより長波長の光線が好ましい。
【0076】
次いで、DNAセンサ1を浴槽71の底に装着し、浴槽71内に電気泳動媒体82を注入する。
次いで、DNA同定装置100の電源を入れて、DNA同定装置100を起動させる。
【0077】
そして、DNA同定装置100のコントローラ78が温度制御回路80を制御し、これによって温度制御回路80がコントローラ78の指示に従って温度調節素子72,72,…を駆動し、温度調節素子72,72,…に加熱動作を行わせる。これにより、温度調節素子72,72,…が発熱し、温度調節素子72,72,…の熱がプローブ電極35,35,…に伝導する。温度調節素子72,72,…によってプローブ電極35,35,…が加熱されることによって、浴槽71内の電気泳動媒体82も95℃以上に加熱される。以降も温度制御回路80がコントローラ78の指示に従って温度調節素子72を制御することによって、電気泳動媒体82が95℃以上に保温される。電気泳動媒体82が95℃以上に加熱されることによって一つのスポット60中のプローブDNA断片61が一部ハイブリダイズすることがない。
【0078】
なお、電気泳動媒体82が保温される温度は95℃以上に限らず、一本鎖DNA断片が相補的に結合しないで一本鎖を維持するような温度であれば良い。また、浴槽71内に電気泳動媒体82の温度を検出する温度検出器を設け、温度検出器による検出温度をコントローラ78にフィードバックし、コントローラ78が検出温度に従って温度制御回路80を制御することによって、温度制御回路80が電気泳動媒体82を95℃以上に保温するように温度調節素子72,72,…を制御しても良い。
【0079】
そして、上述のように得られた複数種の一本鎖サンプルDNA断片を浴槽71の上から浴槽71内に入れる。但し、浴槽71全体にサンプルDNA断片を入れるのではなく、第一電極74寄りの平面視してプローブ電極35,35,…が無い部分にサンプルDNA断片を入れ(図1、図2を参照。)、特に第一電極74から離れた部分にサンプルDNA断片が拡散しないように静かに入れる。このとき、一本鎖サンプルDNA断片はPCR増幅に用いられる試薬を一部に含む溶液ごと浴槽71に注入されてもよい。なお、図1では、複数種の一本鎖サンプルDNA断片のうち、最も塩基数が少ない一本鎖サンプルDNA断片151、最も塩基数が多い一本鎖サンプルDNA断片153、一本鎖サンプルDNA断片151よりも塩基数が多く一本鎖サンプルDNA断片153よりも塩基数が少ない一本鎖サンプルDNA断片152を示す。
【0080】
温度調節素子72,72,…の発熱によって電気泳動媒体82が95℃以上に加熱されているため、サンプルDNA断片の中に一部に相補的な塩基配列を有しているものがあっても、サンプルDNA断片同士が一部ハイブリダイズして結合してしまうことはない。従って、サンプルDNA断片が完全に断片化した状態で電気泳動媒体82中を泳動する。
【0081】
次に、図10のステップS1(一回目の電圧印加工程)に示すように、コントローラ78が電圧制御回路73を制御し、これにより電圧制御回路73はコントローラ78の指示に従って、第一電極74の電位が第二電極75の電位より低くなるように第一電極74と第二電極75との間に電圧を印加する。また、同時に、電圧制御回路73は、コントローラ78の指示に従って、全てのプローブ電極35,35,…の電位が第二電極75の電位以下望ましくは第一電極74の電位以下となるように、プローブ電極35,35,…に電圧を印加する。これにより、第一電極74が陰極となり、第二電極75が陽極となり、全てのプローブ電極35,35,…が第二電極75に対して負電圧又は等電圧となる。ここで、第一電極74の電位は接地電位とするのが望ましく、第一電極74に対する全てのプローブ電極35,35,…それぞれの電圧は等電圧又は負電圧であるのが望ましく、プローブDNA断片にミスハイブリダイズしたサンプルDNA断片がそのプローブDNA断片から分離するのに要する電圧以上であってプローブDNA断片に完全なハイブリダイズをしたサンプルDNA断片がそのプローブDNA断片から分離されない電圧以下である。ここでのミスハイブリダイズとは、部分的にハイブリダイズしたことを意味し、サンプルDNA断片とプローブDNA断片とのうちの一方の塩基配列の一部が他方の塩基配列の一部又は全体と相補的である場合に、サンプルDNA断片とプローブDNA断片が部分的に結合したことであり、完全なハイブリダイズとは、サンプルDNA断片の全ての塩基がプローブDNA断片の全ての塩基と相補的に結合されることを意味する。
【0082】
これにより、複数種のサンプルDNA断片が電気泳動媒体82中特に電気泳動媒体82の表層を第二電極75に向けて泳動する。ここで、電圧制御回路73は、以上のような電圧状態を所定時間維持するが、印加時間及び印加電圧は、最も短い第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のために第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61と同程度の体積の相対的に小さい体積のサンプルDNA断片が第7列目のプローブ電極35の上にまで泳動する程度である。従って、図13に示すように、塩基数の最も少ないサンプルDNA断片151が第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数であるとすると、サンプルDNA断片151が第7列目のプローブ電極35の上まで泳動する。しかしながら、サンプルDNA断片152,153はサンプルDNA断片151よりも体積が大きいためにサンプルDNA断片151よりも電気泳動中の流体抵抗が大きく、第7列目のプローブ電極35の上までは泳動しない。
ここで、プローブ電極35,35,…に電圧が印加されても、接地された電磁シールド層32がプローブ電極35とフォトセンサ素子20との間にあるため、プローブ電極35,35,…の電界がフォトセンサ素子20の動作に悪影響することはない。
【0083】
第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61と等しい塩基数のサンプルDNA断片が第7列目のプローブDNA断片61上方の電気泳動媒体82中に到達すると予想される所定時間経過後、コントローラ78が電圧制御回路73を制御し、電圧制御回路73が電圧印加状態を解除して第一電極74、第二電極75及び全てのプローブ電極35,35,…を等電圧にする。そして、コントローラ78がドライバ回路76及び照射駆動回路79を制御し、ドライバ回路76がコントローラ78の指示に従って光検知デバイス2を、上述したフォトセンサ素子20の駆動制御方法にしたがって駆動するとともに照射駆動回路79がコントローラ78の指示に従って紫外線照射器77を駆動する(ステップS2)。
【0084】
これにより紫外線照射器77が発光し、紫外線照射器77で発した紫外線が電気泳動媒体82の表面に面状に照射される。これによって、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61の上方の電気泳動媒体82中を浮遊するサンプルDNA断片に付着している蛍光物質に紫外線が入射することによって蛍光物質から蛍光が発し、紫外線遮蔽層34、オーバコート層33、電磁シールド層32、保護絶縁膜31、トップゲート電極30、トップゲート絶縁膜29及びチャネル保護膜24を透過して、半導体膜23に入射する。フォトセンサ素子20,20,…がそれぞれの半導体膜23に入射した蛍光の強度又は光量に応じて電気信号に光電変換することによって、光検知デバイス2は、それぞれのフォトセンサ素子20,20,…で蛍光の強度又は光量を検知し、二次元的な蛍光強度分布を二次元的な画像として取得する。光検知デバイス2で取得された画像は、ドライバ回路76によってA/D変換されて、画像データとしてドライバ回路76からコントローラ78に出力される。
ここで、紫外線遮蔽層34が設けられているため、紫外線照射器77から発した紫外線はフォトセンサ素子20,20,…に入射せず、フォトセンサ素子20,20,…は紫外線ではほとんど光電変換しない。
【0085】
そして、コントローラ78は上記ステップS2においてドライバ回路76から入力した画像データに基づいて第7列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したか否かを判定する(ステップS3)。
【0086】
ここで、複数種のサンプルDNA断片の中に第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片がある場合には、そのほぼ同じ塩基数の相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151が図13に示すように上記ステップS1において第7列目のプローブ電極35の上まで泳動していることになる。従って、複数種のサンプルDNA断片の中に第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片がある場合には、図14に示すようにそのサンプルDNA断片から発した蛍光が第7列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体膜23に高強度で入射するから、コントローラ78は上記ステップS3において第7列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したと判定し(ステップS3:Yes)、コントローラ78の処理はステップS4に移行する。一方、複数種のサンプルDNA断片の中に第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片がない場合には、ほぼ同じ塩基数のために相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151がほとんどないので第7列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体膜23には蛍光が低強度で入射するか又は殆ど入射しないため、コントローラ78は上記ステップS3において第7列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知しなかったので、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が存在しなかったと判定し(ステップS3:No)、コントローラ78の処理はステップS6に移行する。
なお、図13は、サンプルDNA断片151が第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に、上記ステップS1の時の相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151の泳動位置を表す図面である。図14は、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数の相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151が第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61が第7列目近傍まで電気泳動したときに光検知デバイス2で取得された画像の蛍光強度分布を表すグラフである。
【0087】
ステップS4においては、コントローラ78が電圧制御回路73を制御し、これにより電圧制御回路73はコントローラ78の指示に従って、第8列目のプローブ電極35の電位が他のプローブ電極35,35,…及び第一電極74より高くなるように電圧を印加する。ここでは、第8列目のプローブ電極35以外のプローブ電極35,35,…及び第一電極74を接地電位とし、第8列目のプローブ電極35を正電圧としている。第8列目のプローブ電極35以外のプローブ電極35,35,…、及び第一電極74の電位に対して第8列目のプローブ電極35を正電圧としている。このようにより高い電圧により、第7列目〜第9列目のプローブ電極35,35,35からなる電極組が選択され、この後の第一電極74と第二電極75との間の電圧に関わらず、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数の相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151を、第8列目のプローブ電極35近傍、つまり第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61近傍に保持することができる。ステップS4及び後述するステップS5では、第二電極75も第一電極74と等電位とする方が、第一電極74−第二電極75方向でのサンプルDNA断片の移動がないので好ましい。
【0088】
次いで、コントローラ78がドライバ回路76を制御し、これによりドライバ回路76が光検知デバイス2を駆動し、紫外線照射器77の発光中に光検知デバイス2が蛍光強度分布を表した画像を取得し、その画像データがドライバ回路76からコントローラ78に出力される。そして、コントローラ78はその画像データに基づいて第8列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したか否かを判定する(ステップS5)。
【0089】
ここで、上記ステップS4において第8列目のプローブ電極35に第一電極74の電圧より高電圧が印加されると、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片は図15に示すように第7列目のプローブ電極35の上方から第8列目のプローブ電極35に向けて沈むように泳動する。従って、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数の相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151が第8列目のプローブ電極35近傍まで泳動すると、図15に示すようにそのサンプルDNA断片から発した蛍光が第8列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体23に高強度で入射するから、上記ステップS5においてコントローラ78が第8列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したと判定し(ステップS5:Yes)、コントローラ78の処理がステップS6に移行する。ステップS4では、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のために相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151を、第8列目のプローブ電極35近傍に保持することが目的であって、この段階で第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61と相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151とが必ずしもハイブリダイズする必要はない。一方、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が第8列目のプローブ電極35まで泳動していない場合には、ステップS5においてコントローラ78が第8列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知しないと判定し(ステップS5:No)、コントローラ78の処理がステップS4に移行する。コントローラ78の処理がステップS5:No→ステップS4と繰り返されることによって、相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151が第8列目のプローブ電極35近傍まで泳動するまで第8列目のプローブ電極35に第一電極74の電圧より高電圧が印加され続ける。
なお、図15は、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のため相対的に小さい体積のサンプルDNA断片151が、上記ステップS4の時のサンプルDNA断片151の泳動位置を表す図面である。図16は、サンプルDNA断片151が第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に光検知デバイス2で取得された画像の蛍光強度分布を表すグラフである。
【0090】
ステップS6(二回目の電圧印加工程)では、電圧制御回路73は、コントローラ78の指示に従って第一電極74の電位が第二電極75の電位より低くなるように第一電圧74と第二電圧75との間に電圧を印加する。また、同時に、電圧制御回路73は、コントローラ78の指示に従って、ステップS16の直前まで、第8列目以外の列のプローブ電極35,35,…の電位が第二電極75の電位以下、望ましくは第一電極74の電位以下となるようにプローブ電極35,35,…に電圧を印加し、ステップS16の直前まで、第8列目のプローブ電極35,35,…の電位は、第一電極74の印加電圧以上第二電極75の印加電圧以下に設定されるが、サンプルDNA断片151保持の観点から第二電極75と等電位であることが望ましい。
【0091】
これにより、電気泳動媒体の表層にある相対的に中程度の体積のサンプルDNA152及び相対的に大きい体積のサンプルDNA断片153が電気泳動媒体82中を第二電極75に向けて泳動するが、相対的に中程度の体積のサンプルDNA断片152は相対的に大きい体積のサンプルDNA断片153よりも相対的に流体抵抗が低いので、相対的に大きい体積のサンプルDNA断片153よりも速い速度で泳動する。ここで、電圧制御回路73は、以上のような電圧状態を所定時間維持するが、印加時間及び印加電圧は第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のために相対的に中程度の体積のサンプルDNA断片152が第4列目のプローブ電極35の上にまで泳動する程度である。このとき、相対的に大きい体積のサンプルDNA断片153は第4列目のプローブ電極35の上にまで達していない。従って、図17に示すように、サンプルDNA断片152が第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数であるとすると、サンプルDNA断片152が第4列目の上まで泳動する。また、相対的に小さい体積サンプルDNA断片151は、以前のステップS4において浴槽71の底に沈むように第8列目のプローブ電極35の電界によりにより第8列目のプローブ電極35近傍に保持されているため、このステップS6においては殆ど泳動しない。なお、上記ステップS5からステップS6に移行した場合、ステップS6以降ステップS15までも第8列目のプローブ電極35にサンプルDNA断片151の保持のための第一電極74の電圧より高電圧が電圧制御回路73によって印加され続ける。
【0092】
相対的に中程度の体積のサンプルDNA断片が第4列目プローブDNA断片61の上方の電気泳動媒体82まで到達すると予想される所定時間経過後、電圧制御回路73が、コントローラ78の指示に従って電圧印加状態を解除して第一電極74、第二電極75及びプローブ電極35,35,…(但し、上記ステップS5からステップS6に移行した場合、第8列目のプローブ電極35を除く。)を等電圧にする。そして、コントローラ78がドライバ回路76及び照射駆動回路79を制御し、ドライバ回路76がコントローラ78の指示に従って光検知デバイス2を駆動するとともに照射駆動回路79がコントローラ78の指示に従って紫外線照射器77を駆動する(ステップS7)。これによりドライバ回路76が光検知デバイス2を駆動し、紫外線照射器77の発光中に光検知デバイス2が蛍光強度分布を表した画像を取得し、その画像データがドライバ回路76からコントローラ78に出力される。
【0093】
そして、コントローラ78はその画像データに基づいて第4列目のフォトセンサ素子20,20,…で相対的に中程度の体積のサンプルDNA断片152による蛍光を検知したか否かを判定する(ステップS8)。
【0094】
ここで、電気泳動媒体82の表層に第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数の相対的に中程度の体積のサンプルDNA152がある場合には、そのほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が図17に示すように上記ステップS6において第4列目のプローブ電極35の上まで泳動していることになる。従って、複数種のサンプルDNA断片の中に第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数の相対的に中程度の体積のサンプルDNA152がある場合には、図18に示すようにそのサンプルDNA断片から発した蛍光が第4列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体23に高強度で入射するから、コントローラ78は上記ステップS8において第4列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したと判定し(ステップS8:Yes)、コントローラ78の処理はステップS9に移行する。一方、複数種のサンプルDNA断片の中に第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片152がない場合には、第4列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体膜23には蛍光が低強度で入射するか又は殆ど入射しないため、コントローラ78は上記ステップS8において第4列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知しなかったと判定し(ステップS8:No)、コントローラ78の処理はステップS11に移行する。
なお、図17は、サンプルDNA断片152が第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に、上記ステップS6の時のサンプルDNA断片152の泳動位置を表す図面である。図18は、サンプルDNA断片152が第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に光検知デバイス2で取得された画像の蛍光強度分布を表すグラフである。図17、図18においては最も塩基数の少ない相対的に体積の小さいサンプルDNA断片151が第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数であるものとしている。
【0095】
ステップS9においては、電圧制御回路73が、コントローラ78の指示に従って、第5列目のプローブ電極35の電位が他のプローブ電極35,35,…(但し、上記ステップS5からステップS6に移行した場合、ステップS9及び後述するステップS10における第5列目のプローブ電極35の電位及び第8列目のプローブ電極35の電位は互いに等しく且つ第5列目のプローブ電極35の電位と異なる。)、及び第一電極74より高くなるように電圧を印加する。ここでは、第5列目のプローブ電極35以外のプローブ電極35,35,…(但し、上記ステップS5からステップS6に移行した場合、第8列目のプローブ電極35を除く。)、及び第一電極74を接地電位とし、第5列目のプローブ電極35を接地電位に対して高電圧としている。このとき、第二電極75は第一電極74と等電位であることが望ましいが第一電極74の電圧より高くてもよい。これにより、第4列目〜第6列目のプローブ電極35,35,35からなる電極組が選択され、この後の第一電極74と第二電極75との間の電圧に関わらず、第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数の相対的に中程度の体積のサンプルDNA断片152を、第5列目のプローブ電極35近傍、つまり第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61近傍に保持することができる。ステップS9及び後述するステップS10では、第二電極75も第一電極74と等電位とする方が、第一電極74−第二電極75方向でのサンプルDNA断片の移動がないので好ましい。
【0096】
次いで、ドライバ回路76がコントローラ78の指示に従って光検知デバイス2を駆動し、紫外線照射器77の発光中に光検知デバイス2が蛍光強度分布を表した画像を取得し、その画像データがドライバ回路76からコントローラ78に出力される。そして、コントローラ78はその画像データに基づいて第5列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したか否かを判定する(ステップS10)。
【0097】
ここで、上記ステップS9において第5列目のプローブ電極35に第一電極75より高い電圧が印加されると、第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片は図19に示すように第4列目のプローブ電極35の上方から第5列目のプローブ電極35に向けて沈むように泳動する。第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が第5列目のプローブ電極35近傍まで泳動し、保持されると、図20に示すようにそのサンプルDNA断片から発した蛍光が第5列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体23に高強度で入射するから、上記ステップS10においてコントローラ78が第5列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したと判定し(ステップS10:Yes)、コントローラ78の処理がステップS11に移行する。一方、第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が第5列目のプローブ電極35まで泳動していない場合には、ステップS10においてコントローラ78が第5列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知しないと判定し(ステップS10:No)、コントローラ78の処理がステップS9に移行する。コントローラ78の処理がステップS9:No→ステップS10と繰り返されることによって、相対的に中程度の体積のサンプルDNA断片152が第5列目のプローブ電極35近傍まで泳動するまで第5列目のプローブ電極35に第一電極74より高い電圧が印加され続ける。
なお、図19は、サンプルDNA断片152が第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に、上記ステップS9の時のサンプルDNA断片152の泳動位置を表す図面である。図20は、サンプルDNA断片152が第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に光検知デバイス2で取得された画像の蛍光強度分布を表すグラフである。
【0098】
ステップS11(三回目の電圧印加工程)では、電圧制御回路73は、コントローラ78の指示に従って第一電極74の電位が第二電極75の電位より低くなるように第一電圧74と第二電圧75との間に電圧を印加する。また、同時に、電圧制御回路73は、コントローラ78の指示に従って、第5列目及び第8列目のプローブ電極35,35,…の電位をサンプルDNA断片が保持できる電圧に維持するとともに、それ以外の列のプローブ電極35,35,…の電位を第二電極75の電位以下、望ましくは第一電極74の電位以下となるようにプローブ電極35,35,…に電圧を印加する。第5列目及び第8列目のプローブ電極35,35,…の電位は、第一電極74の印加電圧以上第二電極75の印加電圧以下に設定されるが、それぞれサンプルDNA断片151、サンプルDNA断片152保持の観点から第二電極75と等電位であることが望ましい。
【0099】
これにより、電気泳動媒体の表層にある保持されずに残った相対的に大きい体積のサンプルDNA断片153が電気泳動媒体82中を第二電極75に向けて泳動する。ここで、電圧制御回路73は、以上のような電圧状態を所定時間維持するが、印加時間及び印加電圧は第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数の相対的に大きい体積のサンプルDNA断片が第1列目のプローブ電極35の上にまで泳動する程度である。従って、図21に示すように、サンプルDNA断片153が第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数であるとすると、サンプルDNA断片153が第1列目の上まで泳動する。しかしながら、サンプルDNA断片151,152は、それぞれ以前のステップS4,S9以降においてサンプルDNA断片の保持のための電圧がプローブ電極35に印加されて浴槽71の底に沈むように保持されているため、相対的に上方に位置する第一電極74及び第二電極75間の電界に影響されず、このステップS11においては殆ど泳動しない。なお、上記ステップS10からステップS11に移行した場合、ステップS11以降ステップS15までも第5列目のプローブ電極35に第一電極74より相対的に高い電圧が電圧制御回路73によって印加され続ける。
【0100】
相対的に大きい体積のサンプルDNA断片が第1列目プローブDNA断片61の上方の電気泳動媒体82まで到達すると予想される所定時間経過後、電圧制御回路73が、コントローラ78の指示に従って電圧印加状態を解除して第一電極74、及びプローブ電極35,35,…(但し、上記ステップS5からステップS6に移行した場合、第8列目のプローブ電極35を除き、上記ステップS10からステップS11に移行した場合、第5列目のプローブ電極35を除く。)を等電圧にする。なお、第二電極75も第一電極74と等電圧であることが望ましい。そして、コントローラ78がドライバ回路76及び照射駆動回路79を制御し、ドライバ回路76がコントローラ78の指示に従って光検知デバイス2を駆動するとともに照射駆動回路79がコントローラ78の指示に従って紫外線照射器77を駆動する(ステップS12)。これによりドライバ回路76が光検知デバイス2を駆動し、紫外線照射器77の発光中に光検知デバイス2が蛍光強度分布を表した画像を取得し、その画像データがドライバ回路76からコントローラ78に出力される。
【0101】
そして、コントローラ78はその画像データに基づいて第4列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したか否かを判定する(ステップS13)。
【0102】
ここで、電気泳動媒体82の表層に第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片がある場合には、そのほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が図21に示すように上記ステップS11において第1列目のプローブ電極35の上まで泳動していることになる。従って、複数種のサンプルDNA断片の中に第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片がある場合には、図22に示すようにそのサンプルDNA断片から発した蛍光が第1列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体23に高強度で入射するから、コントローラ78は上記ステップS13において第1列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したと判定し(ステップS13:Yes)、コントローラ78の処理はステップS14に移行する。一方、複数種のサンプルDNA断片153の中に第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片がない場合には、第1列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体膜23には蛍光が低強度で入射するか又は殆ど入射しないため、コントローラ78は上記ステップS13において第1列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知しなかったと判定し(ステップS13:No)、コントローラ78の処理は確認ステップSC1に移行する。
なお、図21は、サンプルDNA断片153が第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に、上記ステップS11の時のサンプルDNA断片152の泳動位置を表す図面である。図22は、サンプルDNA断片153が第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に光検知デバイス2で取得された画像の蛍光強度分布を表すグラフである。図21、図22においてはサンプルDNA断片151が第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数であるものとし、サンプルDNA断片152が第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数であるものとしている。
【0103】
ステップS14においては、電圧制御回路73が、コントローラ78の指示に従って、第2列目のプローブ電極35の電位が他のプローブ電極35,35,…(但し、上記ステップS5からステップS6に移行した場合、第8列目のプローブ電極35を除き、上記ステップS10からステップS11に移行した場合、第5列目のプローブ電極35を除く。)、及び第一電極74より高くなるように電圧を印加する。ここでは、第2列目のプローブ電極35以外のプローブ電極35,35,…、及び第一電極74を接地電位とし、第2列目のプローブ電極35を接地電位に対してより高い電圧としている。これにより、第1列目〜第3列目のプローブ電極35,35,35からなる電極組が選択され、この後の第一電極74と第二電極75との間の電圧に関わらず、第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数の相対的に大きい体積のサンプルDNA断片153を、第2列目のプローブ電極35近傍、つまり第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61近傍に保持することができる。ステップS14及び後述するステップS15では、第二電極75も第一電極74と等電位とする方が、第一電極74−第二電極75方向でのサンプルDNA断片の移動がないので好ましい。
【0104】
次いで、ドライバ回路76がコントローラ78の指示に従って光検知デバイス2を駆動し、紫外線照射器77の発光中に光検知デバイス2が蛍光強度分布を表した画像を取得し、その画像データがドライバ回路76からコントローラ78に出力される。そして、コントローラ78はその画像データに基づいて第2列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したか否かを判定する(ステップS15)。
【0105】
ここで、上記ステップS14において第2列目のプローブ電極35に第一電極七四に印加される電圧よりも高い電圧が印加されると、第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片は図23に示すように第1列目のプローブ電極35の上から第2列目のプローブ電極35に向けて沈むように泳動する。第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が第2列目のプローブ電極35に保持されると、図24に示すようにそのサンプルDNA断片から発した蛍光が第1列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体23に高強度で入射するから、上記ステップS15においてコントローラ78が第5列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したと判定し(ステップS15:Yes)、コントローラ78の処理が確認ステップSC1に移行する。一方、第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が第2列目のプローブ電極35まで泳動していない場合には、ステップS15においてコントローラ78が第2列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知しないと判定し(ステップS15:No)、コントローラ78の処理がステップS14に移行する。コントローラ78の処理がステップS15:No→ステップS14と繰り返されることによって、サンプルDNA断片が第2列目のプローブ電極35まで泳動するまで第2列目のプローブ電極35に正電圧が印加され続ける。
なお、図23は、相対的に体積の大きいサンプルDNA断片153が第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に、上記ステップS14の時のサンプルDNA断片153の泳動位置を表す図面である。図24は、サンプルDNA断片153が第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数である場合に光検知デバイス2で取得された画像の蛍光強度分布を表すグラフである。
確認ステップSC1では、コントローラ78が、ステップS3で第7列目のプローブ電極35近傍で蛍光を検知したか、或いはステップS5で第8列目のプローブ電極35近傍で蛍光を検知したかを確認する。ここで蛍光を検知したと確認したらステップS16に移行し、蛍光を検知していないと確認したら確認ステップSC2に移行する。
【0106】
ステップS16においては、コントローラ78が振とう器83を作動させ、振とう器83が第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片に最適な強度で浴槽71内の電気泳動媒体82を攪拌する。この時、電圧制御回路73は、コントローラ78の指示に従って、全てのプローブ電極35,35,…、第一電極74及び第二電極75の電圧を接地電位とし、全て等電圧にしてもよいが、撹拌によりサンプルDNA断片が必要以上に広く分散されてしまうようであれば、第7列目〜第9列目のプローブ電極35,35,…を第一電極74より高電圧にしてもよい。
【0107】
次いで、ドライバ回路76がコントローラ78の指示に従って光検知デバイス2を駆動し、紫外線照射器77の発光中に光検知デバイス2が蛍光強度分布を表した画像を取得し、その画像データがドライバ回路76からコントローラ78に出力される(ステップS17)。そして、コントローラ78はその画像データに基づいて第7列目〜第9列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したか否かを判定する(ステップS18)。
【0108】
ここで、上記ステップS16において電気泳動媒体82が攪拌されると、第8列目のプローブ電極35まで泳動したサンプルDNA断片が第7列目のプローブ電極35及び第9列目のプローブ電極35まで拡がる。第7列目のプローブ電極35及び第9列目のプローブ電極35までサンプルDNA断片が拡がると、図25に示すようにサンプルDNA断片から発した蛍光が第7列目〜第9列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体23に高強度で入射するから、上記ステップS18においてコントローラ78が第7列目〜第9列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したと判定し(ステップS18:Yes)、コントローラ78の処理が確認ステップSC2に移行する。一方、第7列目のプローブ電極35及び第9列目のプローブ電極35までサンプルDNA断片が拡がっていない場合には、ステップS18においてコントローラ78が7、第9列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知しないと判定し(ステップS18:No)、コントローラ78の処理がステップS16に移行する。コントローラ78の処理がステップS18:No→ステップS16→ステップS17と繰り返されることによって、サンプルDNA断片が7、第9列目のプローブ電極35まで拡がるまで振とう器83が攪拌動作を続ける。
確認ステップSC2では、コントローラ78が、ステップS8で第4列目のプローブ電極35近傍で蛍光を検知したか、或いはステップS10で第5列目のプローブ電極35近傍で蛍光を検知したかを確認する。ここで蛍光を検知したと確認したらステップS19に移行し、蛍光を検知していないと確認したら確認ステップSC3に移行する。
【0109】
ステップS19においては、コントローラ78が振とう器83を作動させ、振とう器83が第4列目〜第6列目のプローブDNA断片61に最適な強度で浴槽71内の電気泳動媒体82を攪拌する。この時、電圧制御回路73は、コントローラ78の指示に従って、第7列目〜第9列目のプローブ電極35,35,35の電位を他のプローブ電極35,35,…、第一電極74及び第二電極75の電位より高くするように電圧を印加するが、特に第7列目〜第9列目のプローブ電極35,35,35以外のプローブ電極35,35,…、第一電極74及び第二電極75を接地電位にする。
【0110】
次いで、ドライバ回路76がコントローラ78の指示に従って光検知デバイス2を駆動し、紫外線照射器77の発光中に光検知デバイス2が蛍光強度分布を表した画像を取得し、その画像データがドライバ回路76からコントローラ78に出力される(ステップS20)。そして、コントローラ78はその画像データに基づいて第4列目〜第6列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したか否かを判定する(ステップS21)。
【0111】
ここで、上記ステップS19において電気泳動媒体82が攪拌されると、第5列目のプローブ電極35まで泳動したサンプルDNA断片が第4列目のプローブ電極35及び第6列目のプローブ電極35まで拡がる。第4列目のプローブ電極35及び第6列目のプローブ電極35までサンプルDNA断片が拡がると、図26に示すようにサンプルDNA断片から発した蛍光が第4列目〜第6列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体23に高強度で入射するから、上記ステップS21においてコントローラ78が第4列目〜第6列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したと判定し(ステップS21:Yes)、コントローラ78の処理が確認ステップSC3に移行する。一方、第4列目のプローブ電極35及び第6列目のプローブ電極35までサンプルDNA断片が拡がっていない場合には、ステップS21においてコントローラ78が4、第6列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知しないと判定し(ステップS21:No)、コントローラ78の処理がステップS19に移行する。コントローラ78の処理がステップS21:No→ステップS19→ステップS20と繰り返されることによって、サンプルDNA断片が4、第6列目のプローブ電極35まで拡がるまで振とう器83が攪拌動作を続ける。振とう器83による攪拌の時には第7列目〜第9列目のプローブ電極35,35,35に第一電極74よりも高電圧が印加されているため、第7列目〜第9列目のプローブ電極35,35,35にまで泳動して拡散したサンプルDNA断片が第7列目〜第9列目のプローブ電極35,35,35からかなり離れたところまで拡がらない。
確認ステップSC3では、コントローラ78が、ステップS13で第1列目のプローブ電極35近傍で蛍光を検知したか、或いはステップS15で第2列目のプローブ電極35近傍で蛍光を検知したかを確認する。ここで蛍光を検知したと確認したらステップS22に移行し、蛍光を検知していないと確認したら確認ステップSC4に移行する。
【0112】
ステップS22においては、コントローラ78が振とう器83を作動させ、振とう器83が第1列目〜第3列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数の相対的に体積の大きいサンプルDNA断片に最適な強度で浴槽71内の電気泳動媒体82を攪拌する。この時、電圧制御回路73は、コントローラ78の指示に従って、第4列目〜第9列目のプローブ電極35,35,…の電位を第1列目〜第3列目のプローブ電極35,35,35、第一電極74及び第二電極75の電位より高くするように電圧を印加するが、特に第1列目〜第3列目のプローブ電極35,35,35、第一電極74及び第二電極75を接地電位にする。
【0113】
次いで、ドライバ回路76がコントローラ78の指示に従って光検知デバイス2を駆動し、紫外線照射器77の発光中に光検知デバイス2が蛍光強度分布を表した画像を取得し、その画像データがドライバ回路76からコントローラ78に出力される(ステップS23)。そして、コントローラ78はその画像データに基づいて第1列目〜第3列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したか否かを判定する(ステップS24)。
【0114】
ここで、上記ステップS22において電気泳動媒体82が攪拌されると、第2列目のプローブ電極35まで泳動したサンプルDNA断片が第1列目のプローブ電極35及び第3列目のプローブ電極35まで拡がる。第1列目のプローブ電極35及び第3列目のプローブ電極35までサンプルDNA断片が拡がると、図27に示すようにサンプルDNA断片から発した蛍光が第1列目〜第3列目のフォトセンサ素子20,20,…の半導体23に高強度で入射するから、上記ステップS24においてコントローラ78が第1列目〜第3列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知したと判定し(ステップS24:Yes)、コントローラ78の処理がステップS25に移行する。一方、第1列目のプローブ電極35及び第3列目のプローブ電極35までサンプルDNA断片が拡がっていない場合には、ステップS24においてコントローラ78が1、第3列目のフォトセンサ素子20,20,…で蛍光を検知しないと判定し(ステップS24:No)、コントローラ78の処理がステップS22に移行する。コントローラ78の処理がステップS24:No→ステップS22→ステップS23と繰り返されることによって、サンプルDNA断片が1、第3列目のプローブ電極35まで拡がるまで振とう器83が攪拌動作を続ける。振とう器83による攪拌の時には第4列目〜第9列目のプローブ電極35,35,…に第一電極74よりも高電圧が印加されているため、第4列目〜第9列目のプローブ電極35,35,…にまで泳動して拡散したサンプルDNA断片が第4列目〜第9列目のプローブ電極35,35,35からかなり離れたところまで拡がらない。
確認ステップSC4では、コントローラ78が、確認ステップSC1〜確認ステップSC3の少なくともいずれかで蛍光検知されたと確認したかどうかを確認する。ここで蛍光を検知を確認したと確認したらステップS25に移行し、蛍光を検知を確認していないと確認したら動作を終了する。
【0115】
以上のようにコントローラ78の処理がステップS25に移行した時点では、スポット60,60,…には、それぞれのプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が高濃度で到達しており、複数種のサンプルDNA断片が塩基数ごとに分別されている。つまり、例えば図28に示すように、サンプルDNA断片151の塩基数が第7列目〜第9列目のスポット60,60,…のプローブDNA断片61の塩基数と同じである場合には、サンプルDNA断片151が第7列目〜第9列目のスポット60,60,…まで高濃度で到達しており、サンプルDNA断片152の塩基数が第4列目〜第6列目のスポット60,60,…のプローブDNA断片61の塩基数と同じである場合には、サンプルDNA断片152が第4列目〜第6列目のスポット60,60,…まで高濃度で到達しており、サンプルDNA断片153の塩基数が第1列目〜第3列目のスポット60,60,…のプローブDNA断片61の塩基数と同じである場合には、サンプルDNA断片153が第1列目〜第3列目のスポット60,60,…まで高濃度で到達している。
【0116】
ステップS25においては、振とう器83による攪拌が終了し、電圧制御回路73が、コントローラ78の指示に従って全てのプローブ電極35,35,…、第一電極74及び第二電極75を等電圧にする。特に、電圧制御回路73は、プローブ電極35,35,…、第一電極74及び第二電極75を接地電位にすることが好ましい。そして、温度制御回路80がコントローラ78の指示に従って温度調節素子72,72,…を駆動し、温度調節素子72,72,…に冷却動作を行わせる。これにより、温度調節素子72,72,…が吸熱し、熱がプローブ電極35,35,…から温度調節素子72,72,…に伝導し、浴槽71内の電気泳動媒体82が45℃程度に冷却される。なお、温度調節素子72,72,…が単に加熱のみを行えるものである場合、温度制御回路80が温度調節素子72,72,…による発熱を停止し、これにより電気泳動媒体82が自然に冷却される。
【0117】
浴槽71内の電気泳動媒体82が冷却されると、サンプルDNA断片が到達したスポット60のプローブDNA断片61がそのサンプルDNA断片と相補的な場合にはそのサンプルDNA断片がそのプローブDNA断片61にハイブリダイズする。一方、サンプルDNA断片が到達したスポット60のプローブDNA断片61がそのサンプルDNA断片と相補的でない場合には、そのサンプルDNA断片がそのプローブDNA断片61にハイブリダイズしない。
【0118】
所定時間経過後、電圧制御回路73が、コントローラ78の指示に従って、第一電極74の電位及び第二電極75の電位が全てのプローブ電極35,35,…の電位よりも高くなるように所定の電圧を印加する(ステップS26)。特に、電圧制御回路73は、第一電極74及び第二電極75を接地電位とし、第一電極74及び第二電極75に対してプローブ電極35,35,…を負電圧とすることが好ましい。ここで、第一電極74に対するプローブ電極35,35,…それぞれの電圧は、プローブDNA断片にミスハイブリダイズしたサンプルDNA断片がそのプローブDNA断片から分離する電圧以上であってプローブDNA断片にハイブリダイズしたサンプルDNA断片がそのプローブDNA断片から分離されない電圧以下である。
【0119】
プローブ電極35,35,…に負電圧が印加されると、上記ステップS25において複数種のサンプルDNA断片のうちスポット60,60,…のプローブDNA断片61とミスハイブリダイズしたサンプルDNA断片又はプローブDNA断片61とハイブリダイズしていないサンプルDNA断片は、そのプローブDNA断片61と相補的でないため、そのプローブDNA断片61から分離して、第一電極74及び第二電極75まで泳動する。一方、複数種のサンプルDNA断片のうちスポット60,60,…のプローブDNA断片とハイブリダイズしたサンプルDNA断片は、そのプローブDNA断片61と相補的であるため、そのプローブDNA断片61から分離せずに結合した状態を維持する。
【0120】
従って、ステップS26後では、複数種のサンプルDNA断片それぞれは、塩基数が同じであって相補的なプローブDNA断片61からなるスポット60にのみ残留する。そして、複数種のサンプルDNA断片それぞれは、塩基数が異なるプローブDNA断片61からなるスポット60に残留しないし、相補的でないプローブDNA断片61からなるスポット60にも残留しない。例えば図29に示すように、サンプルDNA断片151が第8列目の何れかのスポット60のプローブDNA断片61と同じ塩基数で且つ相補的である場合には、サンプルDNA断片151が第8列目の何れかのスポット60に残留する。同様に、サンプルDNA断片152が第5列目の何れかのスポット60のプローブDNA断片61と同じ塩基数で且つ相補的である場合には、サンプルDNA断片152が第5列目の何れかのスポット60に残留する。サンプルDNA断片153が第2列目の何れかのスポット60のプローブDNA断片61と同じ塩基数で且つ相補的である場合には、サンプルDNA断片153が第2列目の何れかのスポット60に残留する。サンプルDNA断片151,152,153が図29のように分布している場合には、画像中の行方向に沿った蛍光強度分布が図30のような蛍光強度分布となる。
【0121】
所定時間経過後、電圧制御回路73が、コントローラ78の指示に従って、第一電極74、第二電極75及び全てのプローブ電極35,35,…を等電圧、例えば、接地電位となるように印加する。そして、ドライバ回路76がコントローラ78の指示に従って、例えば、ステップS3又はステップS5で蛍光確認されていた場合、箇所に対応する列、つまり第7列目〜第9列目のフォトセンサ素子20,20,…を駆動させ、ステップS3又はステップS5、ステップS8又はステップS10、ステップS13又はステップS15、の全てのステップで蛍光確認されていた場合、第1列目〜第9列目のフォトセンサ素子20,20,…を駆動させ、紫外線照射器77の発光中に光検知デバイス2が蛍光強度分布を表した画像を取得し、その画像データがドライバ回路76からコントローラ78に出力される(ステップS27)。また、温度制御回路80は、上記ステップS25でこのステップS27まで温度調節素子72,72,…を駆動して温度調節素子72,72,…に冷却動作を行わせ、ドライバ回路76による光検知デバイス2の動作が終了した時点で温度調節素子72,72,…による冷却動作を終了する。また、浴槽71内に電気泳動媒体82の温度を検出する温度検出器を設け、温度検出器による検出温度をコントローラ78にフィードバックし、コントローラ78が検出温度に従って温度制御回路80を制御することによって、温度制御回路80がステップS25からステップS27まで電気泳動媒体82を45℃以上に保温するように温度調節素子72,72,…を制御しても良い。なお、ステップS25に移行することが確定したら、ステップS27では、どの列で蛍光を検知したか確認せずに第1列目〜第9列目のフォトセンサ素子20,20,…を駆動させてもよい。
【0122】
そして、コントローラ78が画像データを表示装置81に出力して、どのプローブDNA断片61に完全ハイブリッドが起こったかをフォトセンサ素子20,20,…の光検知した画像データから確認し、予め判っているプローブDNA断片61の塩基配列データからハイブリッドしたサンプルDNA断片の塩基配列をプローブDNA断片61の塩基配列から特定し(ステップS28)、DNA同定装置100の動作が終了する。なおステップS28では、コントローラ78に従って表示装置81がハイブリッドしたサンプルDNA断片の塩基配列を表示するようにしてもよい。
【0123】
以上のように、本実施形態では、スポット60,60,…は、第1列目〜第3列目のプローブ電極35,35,35の電極組、第4列目〜第6列目のプローブ電極35,35,35の電極組、第7列目〜第9列目のプローブ電極35,35,35の電極組に分別されている。そして、共通の電極組に配列されたスポット60,60,…は塩基数が同じであるが、塩基配列が異なっている。更に、電極組が第二電極75に向かうにつれてスポット60の塩基数が少なくなっている。
【0124】
以上のように構成された中で、第一電極74側にサンプルDNA断片が注入され、ステップS1、ステップS6、ステップS11のように第二電極75と第一電極74との間に電圧が印加されると、サンプルDNA断片が泳動していくが、塩基数の少ないサンプルDNA断片ほど体積が小さいために流体抵抗が低いので第二電極75寄りに泳動する。従って、複数種のサンプルDNA断片が塩基数ごとに分別される。そして、複数種のサンプルDNA断片から、ステップS1で第7列目〜第9列目のプローブDNA断片61とほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片を分別した後に、ステップS4においてそのサンプルDNA断片を第8列目のプローブ電極35側へと深さ方向に泳動させることによって、第8列目のプローブ電極35周辺ではほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が高濃度になる。ステップS6の後にも同様にステップS9が行われ、ステップS11の後にも同様にステップS14が行われる。
【0125】
その後、ステップS16、S19、S22においてそれぞれの塩基数に最適な攪拌が行われることによって、それぞれのスポット60にはほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が均等且つ高濃度に分布している。そのため、ステップS25において、サンプルDNA断片をほぼ同じ塩基数の相補的なプローブDNA断片61のみとハイブリダイズさせることができる。従って、塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片それぞれの塩基配列をほぼ同時に同定することができる。そのため、本DNA同定装置1を用いれば、検体のサンプルDNAから同一塩基数のサンプルDNA断片を抽出する処理を行わなくても良いため、サンプルDNAの構造をより早く解析することができる。
【0126】
また、処理がステップS25に移行した時点ではそれぞれのスポット60にはほぼ同じ塩基数のサンプルDNA断片が高濃度に分布しているから、その後のステップS25において相補的なプローブDNA断片と結合するサンプルDNA断片の数が多くなる。そのため、その後のステップS27において、サンプルDNA断片と相補的なスポット60から発する蛍光強度が大きくなり、光検知デバイス2によってより効率的に蛍光分布を検出することができる。
【0127】
また、ステップS26においてプローブ電極35,35,…に電極74及び電極75よりも低電圧を印加しているため、相補的でないスポット60に到達したサンプルDNA断片は負極性を有していることから、そのスポット60から離れて第一電極74及び第二電極75に至る。その後のステップS27においては、サンプルDNA断片に相補的でないスポット60から蛍光が発さず、サンプルDNA断片に相補的であるスポット60からは蛍光が発し、その強度がはっきりする。従って、光検知デバイス2によって取得される画像はコントラストの高く、画像中のどの部分が明るいかを容易に判断することができる。
【0128】
また、ステップS26において、サンプルDNA断片が相補的でないスポット60から離れるため、ハイブリダイゼーション後にDNAセンサ1の表面を洗浄する必要がなく、作業効率が向上する。なお、ステップS26では、第一電極74及び第二電極75ともにプローブ電極35,35,…より高い電圧が印加されるが、第一電極74及び第二電極75のいずれか一方のみにプローブ電極35,35,…より高い電圧が印加されてもよい。
【0129】
また、ステップS1〜ステップS24の間に温度制御回路80が温度調節素子72,72,…を制御することによって、電気泳動媒体82の温度が95℃程度となるため、サンプルDNA断片同士がハイブリダイズせずに変性した状態を維持でき、泳動しやすい。
【0130】
また、温度制御回路80が温度調節素子72,72,…を制御することによって、ステップS25において電気泳動媒体82の温度が45℃程度となるため、サンプルDNA断片が相補的なプローブDNA断片61とハイブリダイズしやすい。
【0131】
また、光検知デバイス2の表面に複数種のスポット60,60、…が配列されているため、レンズや顕微鏡が無くとも光検知デバイス2で鮮明な像を撮像することができ、更に走査機構が無くても二次元的な像を撮像することができる。従って、DNA同定装置100にレンズ、顕微鏡、走査機構を設けなくても済み、DNA同定装置100を小型化することができる。
また、光検知デバイス2の表面にスポット60,60,…が配列されているため、相補的なスポット60から発した蛍光が殆ど減衰せずに光検知デバイス2のフォトセンサ素子20に入射する。従って、光検知デバイス2の感度が高くなくても済む。
【0132】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態ではプローブ電極35,35,…は隣り合う三つずつからなる電極組に分けられていたが、一つからなる電極組に分けられていても良いし、二つからなる電極組に分けられていても良いし、四つ以上からなる電極組に分けられていても良い。また、電極組ごとにプローブ電極35の数が異なっていても良い。また、上記実施形態ではフォトセンサ素子20,20,…の縦の列一列につき一つのプローブ電極35が配列されているが、フォトセンサ素子20,20,…の縦の列二列又はそれ以上の列につき一つのプローブ電極35が配列されていても良い。また、上記実施形態では一つのスポット60に対して一つのフォトセンサ素子20が対応しているが、隣り合う二つ以上のフォトセンサ素子20に対応して一つのスポット60が対応していて良い。但し、何れの場合においても、同列に配列されたスポット60,60,…はプローブDNA断片61がほぼ同じ塩基数であり、スポット60ごとにプローブDNA断片61の塩基配列が異なっている。
ステップS4では、第8列目のプローブ電極35,35,…のみがそれ以外のプローブ電極35,35,…より高い電位になったが、これに限らず、共通する電極組、つまり、第7列目〜第9列目のプローブ電極35,35,…をそれ以外のプローブ電極35,35,…より高い電位にしてもよい。ステップS9では、第5列目のプローブ電極35,35,…のみがそれ以外のプローブ電極35,35,…より高い電位になったが、これに限らず、共通する電極組、つまり、第4列目〜第6列目のプローブ電極35,35,…をそれ以外のプローブ電極35,35,…より高い電位にしてもよい。ステップS14では、第2列目のプローブ電極35,35,…のみがそれ以外のプローブ電極35,35,…より高い電位になったが、これに限らず、共通する電極組、つまり、第1列目〜第3列目のプローブ電極35,35,…をそれ以外のプローブ電極35,35,…より高い電位にしてもよい。
【0133】
上記実施形態では、より塩基数が少ないプローブDNA断片61が設けられたプローブ電極35,35,…上方の電気泳動媒体82に、より塩基数が少ない一本鎖サンプルDNA断片を電気泳動して配置させた後に、より塩基数が多いプローブDNA断片61が設けられたプローブ電極35,35,…上方の電気泳動媒体82に、より塩基数が多い一本鎖サンプルDNA断片を電気泳動して配置させたが、より塩基数が多いプローブDNA断片61が設けられたプローブ電極35,35,…上方の電気泳動媒体82に、より塩基数が多い一本鎖サンプルDNA断片を電気泳動して配置させた後に、より塩基数が少ないプローブDNA断片61が設けられたプローブ電極35,35,…上方の電気泳動媒体82に、より塩基数が少ない一本鎖サンプルDNA断片を電気泳動して配置させるように、複数種のサンプルDNA断片が初期状態で注入される位置と、プローブ電極35,35,…の位置と、を調整してもよい。この場合、ステップS3〜ステップS5とステップS13〜ステップS15が順番を入れ代わり、ステップS16〜ステップS18とステップS22〜ステップS24が順番を入れ代わるように設定される。また塩基数に関わらずサンプルDNA断片が、サンプルDNA断片とほぼ同数の塩基数のプローブDNA断片61が設けられたプローブ電極35,35,…上方の電気泳動媒体82に、ほぼ同時に泳動されるようにしてもよい。このとき、コントローラ78は、ステップS3、ステップS8、ステップS13をほぼ同期してもよく、ステップS4、ステップS9、ステップS14をほぼ同期してもよく、ステップS5、ステップS10、ステップS15をほぼ同期してもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、画素の光電変換素子としてフォトセンサ素子20,20,…を用いた光検知デバイス2を例にして説明したが、光電変換素子としてフォトダイオードを用いた光検知デバイス(撮像デバイス)を用いても良い。フォトダイオードを用いた光検知デバイスとしては、ハイブリダイゼーションに要する温度が動作可能温度範囲内であれば、CCDイメージセンサ、ダブルゲートトランジスタ以外のCMOSイメージセンサがある。
CCDイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にn行m列のマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲には、フォトダイオードで光電変換された電気信号を転送するための垂直CCD、水平CCDが形成されている。CMOSイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にn行m列のマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲にはフォトダイオードで光電変換された電気信号を増幅するための画素回路が設けられている。
【0135】
また、上記実施形態では、DNA分析装置100が起動してからステップS25の開始までの間中、温度制御回路80が温度調節素子72,72,…を駆動して、電気泳動媒体82が95℃以上に保温されていたが、以下の(a)〜(d)のように温度調節素子72,72,…を制御しても良い。
【0136】
(a) 上記ステップS3でYesの場合、上記ステップS4からステップS16が開始するまでの間、温度制御回路80がコントローラ78の指示に従って第8列目の温度調節素子72を駆動し、第8列目の温度調節素子72に冷却動作を行わせる。これにより、第8列目の温度調節素子72が吸熱し、第8列目のプローブ電極35が冷却され、第8列目のスポット60,60,…が局所的に45℃程度に冷却される。これにより第8列目のスポット60,60,…のプローブDNA断片61がハイブリダイズすることができるようになる。更に、上記ステップS3でYesの場合、上記ステップS19からステップS27が終了するまでの間、温度制御回路80がコントローラ78の指示に従って第7〜9列目の温度調節素子72,72,72を駆動し、第7〜9列目の温度調節素子72,72,72に冷却動作を行わせる。
【0137】
(b) 上記ステップS8でYesの場合、上記ステップS9からステップS19が開始するまでの間、温度制御回路80がコントローラ78の指示に従って第5列目の温度調節素子72を駆動し、第5列目の温度調節素子72に冷却動作を行わせる。これにより、第5列目の温度調節素子72が吸熱し、第8列目のプローブ電極35が冷却され、第5列目のスポット60,60,…が局所的に45℃程度に冷却される。これにより第5列目のスポット60,60,…のプローブDNA断片61がハイブリダイズすることができるようになる。更に、上記ステップS8でYesの場合、上記ステップS22からステップS27が終了するまでの間、温度制御回路80がコントローラ78の指示に従って第4〜6列目の温度調節素子72,72,72を駆動し、第4〜6列目の温度調節素子72,72,72に冷却動作を行わせる。
【0138】
(c) 上記ステップS13でYesの場合、上記ステップS14からステップS22が開始するまでの間、温度制御回路80がコントローラ78の指示に従って第2列目の温度調節素子72を駆動し、第2列目の温度調節素子72に冷却動作を行わせる。これにより、第2列目の温度調節素子72が吸熱し、第2列目のプローブ電極35が冷却され、第2列目のスポット60,60,…が局所的に45℃程度に冷却される。これにより第2列目のスポット60,60,…のプローブDNA断片61がハイブリダイズすることができるようになる。更に、上記ステップS13でYesの場合、上記ステップS25からステップS27が終了するまでの間、温度制御回路80がコントローラ78の指示に従って第1〜3列目の温度調節素子72,72,72を駆動し、第1〜3列目の温度調節素子72,72,72に冷却動作を行わせる。
【0139】
(d) 上記(a)〜(c)で冷却動作を行っていない温度調節素子72については、温度制御回路80によって駆動されて、加熱動作を行う。
【0140】
【発明の効果】
本発明によれば、電気泳動媒体の第一電極側に塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片を注入すると、塩基数の少ないサンプルDNA断片は第二電極側に泳動しやすく、塩基数の多いサンプルDNA断片は第二電極側に泳動しにくい。ここで、複数のスポットは、電極組が第二電極に近づくにつれてプローブDNA断片の塩基数が小さくなるから、サンプルDNA断片は塩基数の同じ程度のプローブDNA断片のある電極組の上へと泳動する。複数のプローブ電極及び複数のスポットが第一電極及び第二電極よりも深い位置に配置されているため、サンプルDNA断片が第一電極から第二電極に向けて泳動している時には、サンプルDNA断片がスポットにまで至らないが、プローブ電極に電圧が印加されると、サンプルDNA断片は深さ方向にも泳動する。
DNA断片は塩基数が少なくなるにつれて体積が小さくなるので流体抵抗が低くなるため電気泳動移動度が大きくなる。そのため、電気泳動媒体の第一電極側に塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片を注入すると、塩基数の少ないサンプルDNA断片は第二電極側に泳動しやすく、塩基数の多いサンプルDNA断片は第二電極側に泳動しにくい。ここで、複数のスポットは、電極組が第二電極に近づくにつれてプローブDNA断片の塩基数が小さくなるから、サンプルDNA断片は塩基数の同じプローブDNA断片のある電極組の上へと泳動する。複数のプローブ電極及び複数のスポットが第一電極及び第二電極よりも深い位置に配置されているため、サンプルDNA断片が第一電極から第二電極に向けて泳動している時には、サンプルDNA断片がスポットにまで至らないが、プローブ電極に電圧が印加されると、サンプルDNA断片は深さ方向にも泳動する。
従って、サンプルDNA断片は、塩基数の同じ或いは近似したプローブDNA断片のスポットまで泳動する。そのため、容易にプローブDNA断片と同じ塩基数のサンプルDNA断片を抽出できるから、互いに相補的なサンプルDNA断片及びプローブDNA断片を速やかにハイブリダイズさせることができ、塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片それぞれの塩基配列を迅速に同定することができる。また光検知デバイスを用いることで塩基数の異なる複数種のサンプルDNA断片それぞれの塩基配列をほぼ同時に同定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたDNA同定装置を一部破断して示した側面図である。
【図2】上記DNA同定装置を示した上面図である。
【図3】上記DNA同定装置に備わる光検知デバイスの幾つかの画素を示した平面図である。
【図4】図4(a)は上記光検知デバイスの一つの画素を示した平面図であり、図4(b)はII−II破断線で破断して示した断面図である。
【図5】上記DNA同定装置の制御構成を示したブロック図である。
【図6】上記DNA同定装置の光検知デバイス及びドライバ回路を示した回路構成図である。
【図7】フォトセンサ素子の基本的な駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】フォトセンサ素子の動作概念図である。
【図9】フォトセンサ素子の出力電圧の光応答特性を示す図である。
【図10】上記DNA同定装置の動作を示したフローチャートである。
【図11】図10の続きを示したフローチャートである。
【図12】図11の続きを示したフローチャートである。
【図13】上記DNA同定装置の動作中における浴槽中のサンプルDNA断片の分布状態を上記DNA同定装置とともに示した図面である。
【図14】図13のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【図15】上記DNA同定装置の動作中における浴槽中のサンプルDNA断片の分布状態を上記DNA同定装置とともに示した図面である。
【図16】図15のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【図17】上記DNA同定装置の動作中における浴槽中のサンプルDNA断片の分布状態を上記DNA同定装置とともに示した図面である。
【図18】図17のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【図19】上記DNA同定装置の動作中における浴槽中のサンプルDNA断片の分布状態を上記DNA同定装置とともに示した図面である。
【図20】図19のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【図21】上記DNA同定装置の動作中における浴槽中のサンプルDNA断片の分布状態を上記DNA同定装置とともに示した図面である。
【図22】図21のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【図23】上記DNA同定装置の動作中における浴槽中のサンプルDNA断片の分布状態を上記DNA同定装置とともに示した図面である。
【図24】図23のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【図25】一回目の攪拌後のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【図26】二回目の攪拌後のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【図27】三回目の攪拌後のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【図28】三回目の攪拌後のサンプルDNA断片の分布状態を上記DNA同定装置とともに示した図面である。
【図29】ハイブリダイズしていないサンプルDNA断片を第一電極及び第二電極に引き寄せた後のサンプルDNA断片の分布状態を上記DNA同定装置とともに示した図面である。
【図30】図29のサンプルDNA断片の分布状態による蛍光強度分布を表すグラフである。
【符号の説明】
1 DNAセンサ
2 光検知デバイス
20 フォトセンサ素子
34 紫外線遮蔽層
35 プローブ電極
60 スポット
61 プローブDNA断片
71 浴槽
72 温度調節素子
74 第一電極
75 第二電極
73 電圧制御回路
76 ドライバ回路
77 紫外線照射器
80 温度制御回路
82 電気泳動媒体
83 振とう器
100 DNA分析装置
151、152、153 サンプルDNA断片

Claims (20)

  1. 電気泳動媒体が注入される浴槽と、
    前記浴槽中に配置され、前記浴槽の幅方向に対向している第一電極及び第二電極と、
    前記浴槽の幅方向に並んだ複数のプローブ電極と、
    既知の塩基配列を有したプローブDNA断片からなるとともに、前記複数のプローブ電極上に配列された複数のスポットと、
    前記浴槽中の前記プローブ電極の下面側に配置されるとともに、前記浴槽の幅方向に見た場合に前記第一電極及び前記第二電極と異なる高さの位置に配置され、前記浴槽の高さ方向に見た場合に前記第一電極と前記第二電極との間に配置され、前記第一電極側から前記電気泳動媒体に注入された、塩基数が互いに異なる複数種類のサンプルDNA断片が、前記プローブDNA断片とハイブリダイゼーションをしていることを光検知する光検知デバイスと、
    を備え、
    前記複数のプローブ電極は、一つのプローブ電極又は隣り合う幾つかのプローブ電極からなる複数の電極組に分けられ、
    前記第一電極側に近い前記スポットほど、その前記プローブDNA断片の塩基数が大きくなるように、前記複数のスポットの前記プローブDNA断片が前記第一電極及び前記第二電極の間に配置され、
    前記第一電極,前記第二電極には、複数種類のサンプルDNA断片が前記電気泳動媒体中を前記第一電極側から前記第二電極側に向かって泳動するような電圧が印加されることを特徴とするDNA分析装置。
  2. 前記光検知デバイスがn行m列(但し、m、nともに2以上の整数である。)のマトリクス状に配列された複数の画素を有した平面型光検知デバイスであり、
    前記光検知デバイスの画素の列一列につき一つのプローブ電極が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のDNA分析装置。
  3. 前記光検知デバイスの画素一つにつき一つのスポットが配列されていることを特徴とする請求項2に記載のDNA分析装置。
  4. 前記浴槽上に配置され、前記浴槽中の電気泳動媒体に向けて紫外線を照射する紫外線照射器を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のDNA分析装置。
  5. 前記浴槽振とう器を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のDNA分析装置。
  6. 前記複数のプローブ電極が透明に形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のDNA分析装置。
  7. 前記複数のプローブ電極と前記光検知デバイスの表面との間に紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽層が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のDNA分析装置。
  8. 前記光検知デバイスが前記複数のプローブ電極及び前記複数のスポットと一体となって前記浴槽に対して着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のDNA分析装置。
  9. 前記複数のプローブ電極、前記第一電極及び前記第二電極のそれぞれに印加する電圧を制御する電圧制御回路を備えることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のDNA分析装置。
  10. 前記電圧制御回路は、前記第二電極の電位が前記第一電極の電位より高くなるように電圧を所定時間印加する電圧印加工程を繰り返すことを特徴とする請求項9に記載のDNA分析装置。
  11. 前記電圧制御回路は、電圧印加工程のそれぞれの後に、前記複数の電極組のうち前記第二電極から近い順に一つの電極組を選択して、その選択した電極組中の一又は複数のプローブ電極の電位が前記第一電極の電位又は第二電極の電位よりも高くなるように、又は、その選択した電極組中の一又は複数のプローブ電極の電位が前記第一電極の電位及び第二電極の電位のうち高い方と同等となるように電圧を印加することを特徴とする請求項10に記載のDNA分析装置。
  12. 前記電圧制御回路は、全ての電極組を選択した後に前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方の電位が前記複数のプローブ電極の電位よりも高くなるように電圧を印加することを特徴とする請求項11に記載のDNA分析装置。
  13. 前記電圧制御回路が前記第一電極及び前記第二電極の少なくとも一方の電位が前記複数のプローブ電極の電位よりも高くなるように電圧を印加した後に、前記光検知デバイスを駆動するドライバ回路を具備することを特徴とする請求項12に記載のDNA分析装置。
  14. 1つの前記スポット内の複数のプローブDNA断片は、塩基配列及び塩基数が互いに完全に一致していることを特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載のDNA分析装置。
  15. 前記複数の電極組のうちの所定の電極組に配列された複数のスポット同士は、一本のプローブDNA断片の塩基数が互いに同一であるか又は前記所定の電極組よりも互いにより近似していることを特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載のDNA分析装置。
  16. 前記複数のスポットのうち共通の電極組に配列されたスポット同士は、前記プローブDNA断片の塩基配列が互いに完全に一致しないことを特徴とする請求項1から15の何れか一項に記載のDNA分析装置。
  17. 前記複数のスポットは、電極組が前記第二電極に近づくにつれてプローブDNA断片オ塩基数が漸次少なくなることを特徴とする請求項1から16の何れか一項に記載のDNA分析装置。
  18. DNA分析装置を用いたDNA分析方法において、
    前記DNA分析装置は、電気泳動媒体が注入される浴槽と、前記浴槽中に配置され、前記浴槽の幅方向に対向している第一電極及び第二電極と、前記浴槽の幅方向に並んだ複数のプローブ電極と、既知の塩基配列を有したプローブDNA断片からなるとともに、前記複数のプローブ電極上に配列された複数のスポットと、前記浴槽中の前記プローブ電極の下面側に配置されるとともに、前記浴槽の幅方向に見た場合に前記第一電極及び前記第二電極と異なる高さの位置に配置され、前記浴槽の高さ方向に見た場合に前記第一電極と前記第二電極との間に配置され、前記第一電極側から前記電気泳動媒体に注入された、塩基数が互いに異なる複数種類のサンプルDNA断片が、前記プローブDNA断片とハイブリダイゼーションをしていることを光検知する光検知デバイスと、を備え、前記複数のプローブ電極は、一つのプローブ電極又は隣り合う幾つかのプローブ電極からなる複数の電極組に分けられ、前記第一電極側に近い前記スポットほど、その前記プローブDNA断片の塩基数が大きくなるように、前記複数のスポットの前記プローブDNA断片が前記第一電極及び前記第二電極の間に配置され、
    前記第一電極,前記第二電極には、複数種類のサンプルDNA断片が前記電気泳動媒体中を前記第一電極側から前記第二電極側に向かって泳動するような電圧が印加される電圧印加ステップを有することを特徴とするDNA分析方法。
  19. 前記等電圧印加ステップ後に、前記第一電極の電位及び第二電極の電位よりも高くなる電圧、或いは、前記第一電極の電位及び第二電極の電位のうちの高い方と同等となるような電圧を前記プローブ電極に印加して、前記サンプルDNA断片を前記プローブ電極に移動させる移動ステップを含むことを特徴とする請求項18記載のDNA分析方法。
  20. 前記移動ステップ後に、前記プローブ電極の前記スポットに設けられた前記プローブDNA断片にハイブリダイズされたサンプルDNA断片に設けられた蛍光体の蛍光を前記プローブ電極を介して複数の光検知素子が検知する検知ステップを含むことを特徴とする請求項19記載のDNA分析方法。
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