JP4952313B2 - 蛍光検出装置及び生体高分子分析装置 - Google Patents
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次に、標識DNAをDNAチップ上に添加すると、標識DNAが相補的なプローブDNAとハイブリダイズすることによりDNAチップ上に固定される。
請求項2に記載の発明は、光電変換素子を有し、受光面側に配置された蛍光体より放射される蛍光を検出する撮像装置と、前記光電変換素子が配置された範囲と範囲外との間で移動可能に設けられた受光面側冷却材と、前記撮像装置の裏側に配置され、前記撮像装置を冷却する裏側冷却材と、前記裏側冷却材と前記撮像装置との間に配置され、蛍光検出前に前記光電変換素子が配置された範囲に配置され、前記撮像装置を冷却するとともに、蛍光検出時に前記光電変換素子が配置された範囲外に退去される第二の裏側冷却材とを備えることを特徴とする蛍光検出装置である。
請求項3に記載の発明は、光電変換素子を有し、受光面側に配置された蛍光体より放射される蛍光を検出する撮像装置と、前記光電変換素子が配置された範囲と範囲外との間で移動可能に設けられた受光面側冷却材と、前記撮像装置の裏側に配置され、前記撮像装置を冷却する裏側冷却材とを備え、前記裏側冷却材には、前記光電変換素子が配置される範囲に開口が設けられていることを特徴とする蛍光検出装置である。
〔1〕生体高分子分析チップの全体構成
図1は、本発明の第1の実施形態に係る生体高分子分析チップ1の概略平面図であり、図2は、図1のII−II矢視断面図である。この生体高分子分析チップ1は、DNAを検出するDNAチップである。
この生体高分子分析チップ1は、図1、図2に示すように、固体撮像デバイス10と、隔壁40と、スポット60とを備える。
ここで、図1〜図4を用いて固体撮像デバイス10について説明する。図2に示すように、固体撮像デバイス10は、透明基板11と、ボトムゲート絶縁膜13と、トップゲート絶縁膜21と、保護絶縁膜23とを積層してなる。これらの層間に、複数のボトムゲートライン12a、ソースライン18a、ドレインライン19a、トップゲートライン22a、電極ライン24a及び、ダブルゲートトランジスタ20を形成するボトムゲート電極12、半導体膜14、チャネル保護膜15、不純物半導体膜16,17、ソース電極18、ドレイン電極19、トップゲート電極22が設けられている。
なお、図1では8行×8列の64個のダブルゲートトランジスタ20,20,…を備えるマトリクス状の二次元アレイを示すが、その数は任意であり、さらに多くの行及び列を有していてもよい。
隔壁40は保護絶縁膜23上に密着され、固体撮像デバイス10の受光面にウェル42を形成する。隔壁40は不透明であり、外部から光が入ることを防いでいる。
なお、固体撮像デバイス10の受光面に、各スポット60毎に複数のウェル42を形成してもよい。
図1、図3に示すように、ウェル42内にはスポット60が形成されている。各スポット60は、プローブとなる既知の塩基配列のcDNA(プローブDNA61)や抗体等の溶液をウェル42内に滴下し、乾燥して形成される。以下ではプローブとして既知の塩基配列のcDNAを用いた場合について説明する。
生体高分子分析チップ1を分析装置70にセッティングして用いるので、まず分析装置70について説明する。図5は分析装置70の構成を示すブロック図であり、図6は分析装置70の概略立面図である。
励起光照射装置73は、生体高分子分析チップ1の受光面側に配置され、後述する蛍光体を励起する励起光を生体高分子分析チップ1に照射する。励起光照射装置73の光源は面光源である。
冷却枠冷却装置92は冷却枠91を冷却することにより、生体高分子分析チップ1を冷却する。
冷却板冷却装置96とは受光面側冷却板95を冷却することにより、生体高分子分析チップ1を冷却する。
制御装置80は、励起光照射装置73、冷却枠冷却装置92、冷却板冷却装置96、冷却板移動装置97の駆動を制御する。
出力装置77はプロッタ、プリンタ又はディスプレイであり、制御装置80から出力された信号により出力(表示又はプリント)を行う。
上記生体高分子分析チップ1で分析する試料としては、DNAを用いることができる。試料となるDNAとしては、任意の細胞検体内で発現しているmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いるRT−PCR反応により得られたcDNAを用いることができる。cDNAは蛍光体で標識する。蛍光体は、励起光照射装置で制御される励起光源から出射される励起光で励起されるものであってその励起光によって蛍光を発するものを選択するが、蛍光体としては、例えばCyDyeのCy2(アマシャム社製)がある。
以下、蛍光標識DNAをプローブDNA61とハイブリダイゼーションさせる方法について説明する。まず、作業者が、図7に示すように、蛍光体64で標識した蛍光標識DNA62を含有した溶液65(以下、蛍光標識DNA溶液65という)をウェル42内に注入する。なお、蛍光標識DNA溶液65をウェル42内のスポット60,60,…に順次又は同時に滴下してもよい。このとき、蛍光標識DNA62及びプローブDNA61が一本鎖となるように蛍光標識DNA溶液65は加熱されている。
その後、ウェル42内の蛍光標識DNA溶液65を洗浄用バッファー溶液で洗い流し、蛍光標識DNA62のうちプローブDNA61とハイブリダイズしなかったものをウェル42内から除去する。
上記処理を行った生体高分子分析チップ1を分析装置70にセッティングし、冷却を行う。
まず、起動された制御装置80が冷却板移動装置97を駆動して、図9(a)に示すように、受光面側冷却板95を水平方向に移動させ、支持枠71の上部から退去させる。その後、生体高分子分析チップ1を支持枠71の保持穴71aにセッティングする。
その後、制御装置80は冷却板移動装置97を駆動して、図9(b)に示すように、受光面側冷却板95を水平方向に移動させ、支持枠71の上部に配置させた後、受光面側冷却板95を支持枠71及び生体高分子分析チップ1の上に載置する。
固体撮像デバイス10が充分に冷却されたら、蛍光標識DNA62の検出を行うために、制御装置80により冷却板移動装置97を駆動して、図6に示すように、受光面側冷却板95を水平方向に移動させ、支持枠71の上部から退去させる。これにより、励起光照射装置73が励起光を受光面に照射することが可能となる。
次に、制御装置80により励起光照射装置73を制御し、生体高分子分析チップ1に励起光を照射する。
蛍光標識DNA62がプローブDNA61に結合したスポット60からは、励起光により励起された蛍光体64が励起状態から基底状態に遷移するときに蛍光(主に可視光波長域)が放出される。放出された蛍光はダブルゲートトランジスタ20の半導体膜14に入射する。
なお、励起光のうち、蛍光体64の励起に用いられないものは、保護絶縁膜23、トップゲート絶縁膜21、ボトムゲート絶縁膜13、透明基板11を透過し、開口91aを通過して分析装置70の下部に放射される。このため、励起光が反射するのを防ぐことができる。
その後、制御装置80は、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76に制御信号を出力することによって、ドレインライン19aから各ダブルゲートトランジスタ20の電子−正孔対に応じた出力信号を得て、この信号をA/D変換する。その後、制御装置80は、各ダブルゲートトランジスタ20の出力値を得て、固体撮像デバイス10の受光面に沿った光強度分布を二次元の画像データとして記憶装置82に記憶する。また、制御装置80は画像データを出力装置77により出力する。
次に、本実施形態の変形例に係る分析装置170について説明する。図10は分析装置170の構成を示すブロック図であり、図11は分析装置170の概略立面図である。
本変形例に係る分析装置170は、図10、図11に示すように、生体高分子分析チップ1と、生体高分子分析チップ1の外周部を保持する支持枠171と、励起光照射装置173と、支持枠171に設けられ固体撮像デバイス10と接続されるトップゲートドライバ174、ボトムゲートドライバ175、ドレインドライバ176と、出力装置177と、冷却枠191と、冷却枠冷却装置192と、裏側冷却板193と、裏側冷却板冷却装置194と、受光面側冷却板195と、受光面側冷却板冷却装置196と、冷却板移動装置197と、冷却枠移動装置198と、これらを制御する制御装置180と、記憶装置182とを備える。なお、第1実施形態と同様の構成については、下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
まず、図12(a)に示すように、起動された制御装置180が冷却枠移動装置198を駆動して冷却枠191を下降させる。次いで、制御装置180が冷却板移動装置197を駆動して裏側冷却板193、受光面側冷却板195を水平方向に移動させ、支持枠171の下部及び上部から退去させる。その後、〔7〕ハイブリダイゼーションの処理を行った生体高分子分析チップ1を支持枠171の保持穴171aにセッティングする。
その後、制御装置180は、冷却装置194,196を駆動し、裏側冷却板193及び受光面側冷却板195を冷却することで、生体高分子分析チップ1を上下面より冷却する。
なお、冷却枠191を上下に移動させる代わりに、支持枠171を上下に移動させてもよい。
次に、本発明の第2実施形態に係る生体高分子分析チップ101について図13を用いて説明する。図13は生体高分子分析チップ101を示す断面図である。この生体高分子分析チップ101は、抗原タンパクを検出する抗体チップである。なお、生体高分子分析チップ1と同様の構成については下2桁に同符号を付して説明を割愛する。
具体的には、生体高分子分析チップ101のウェル142にプローブ抗体161を含む溶液を滴下し、乾燥してスポット160を形成する。なお、ウェル142に滴下されるプローブ抗体161はそれぞれ異なるタンパク質を抗原とし、同じスポット160を形成するプローブ抗体161は同一の抗原決定基を認識する。プローブ抗体161となる抗体としては、モノクローナル抗体を用いることができる。
プローブ抗体161にサンプル溶液中の抗原162が結合するのに充分な時間が経過した後、ウェル142内のサンプル溶液をバッファー溶液で洗い流し、サンプル溶液とともに抗原162のうちプローブ抗体161と結合しなかったものをウェル142内から除去する。
プローブ抗体161に結合した抗原162と蛍光標識抗体163とが結合するのに充分な時間が経過した後、ウェル142内の蛍光標識抗体溶液をバッファー溶液で洗い流し、蛍光標識抗体溶液中の蛍光標識抗体163のうち抗原162と結合しなかったものをウェル142内から除去する。
以後、第1実施形態の〔8〕生体高分子分析チップの冷却、〔9〕サンプルの検出と同様にして、分析装置70または分析装置170による光量データの計測動作を行う。
例えば、上記実施の形態では、冷却材として受光面側冷却材、裏側冷却材、第二の裏側冷却材を用いたが、これらは一つの形態でありもちろんこれに限るものではなく、前記3つの冷却材のうちいずれか1つ以上を用いればよい。
例えば、プローブとして既知の塩基配列の一本鎖DNAや抗体を用いたが、その他の既知の生体高分子や低分子等を用いてもよい。
例えば、抗原となるペプチドやタンパク、糖鎖、低分子リガンド、既知の細胞等を用いてもよい。
20,120 ダブルゲートトランジスタ(光電変換素子)
61 プローブDNA(プローブ)
62 蛍光標識DNA(生体高分子)
64,164 蛍光体
70,170 分析装置(蛍光検出装置、生体高分子分析装置)
73,173 励起光照射装置
91,191 冷却枠
91a 開口
95,195 受光面側冷却板
161 プローブ抗体(プローブ)
162 抗原(生体高分子)
193 裏側冷却板
Claims (9)
- 光電変換素子を有し、受光面側に配置された蛍光体より放射される蛍光を検出する撮像装置と、
前記光電変換素子が配置された範囲と範囲外との間で移動可能に設けられた受光面側冷却材とを備え、
前記受光面側冷却材は、蛍光検出前に前記光電変換素子が配置された範囲に配置され、前記撮像装置を冷却するとともに前記光電変換素子の受光面を遮光し、
蛍光検出時に前記光電変換素子が配置された範囲外に退去されることを特徴とする蛍光検出装置。 - 光電変換素子を有し、受光面側に配置された蛍光体より放射される蛍光を検出する撮像装置と、
前記光電変換素子が配置された範囲と範囲外との間で移動可能に設けられた受光面側冷却材と、
前記撮像装置の裏側に配置され、前記撮像装置を冷却する裏側冷却材と、
前記裏側冷却材と前記撮像装置との間に配置され、蛍光検出前に前記光電変換素子が配置された範囲に配置され、前記撮像装置を冷却するとともに、蛍光検出時に前記光電変換素子が配置された範囲外に退去される第二の裏側冷却材とを備えることを特徴とする蛍光検出装置。 - 光電変換素子を有し、受光面側に配置された蛍光体より放射される蛍光を検出する撮像装置と、
前記光電変換素子が配置された範囲と範囲外との間で移動可能に設けられた受光面側冷却材と、
前記撮像装置の裏側に配置され、前記撮像装置を冷却する裏側冷却材とを備え、
前記裏側冷却材には、前記光電変換素子が配置される範囲に開口が設けられていることを特徴とする蛍光検出装置。 - 前記撮像装置の裏側に配置され、前記撮像装置を冷却する裏側冷却材を備えることを特徴とする請求項1に記載の蛍光検出装置。
- 前記裏側冷却材と前記撮像装置との間に配置され、蛍光検出前に前記光電変換素子が配置された範囲に配置され、前記撮像装置を冷却するとともに、蛍光検出時に前記光電変換素子が配置された範囲外に退去される第二の裏側冷却材をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の蛍光検出装置。
- 前記裏側冷却材には、前記光電変換素子が配置される範囲に開口が設けられていることを特徴とする請求項2、4又は5に記載の蛍光検出装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の蛍光検出装置と、
前記撮像装置の受光面に設けられ、特定の生体高分子と結合するプローブとを備えることを特徴とする生体高分子分析装置。 - 前記プローブは既知の塩基配列からなる一本鎖DNAを有することを特徴とする請求項7に記載の生体高分子分析装置。
- 前記プローブは特定の抗原と結合する抗体であることを特徴とする請求項7に記載の生体高分子分析装置。
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