JP4576707B2 - 鍵盤楽器の消音装置および鍵盤楽器の弱音装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鍵盤楽器の消音装置および鍵盤楽器の弱音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピアノ等の鍵盤楽器においては、通常の演奏と押鍵しても打弦しない消音演奏とを切換可能にする消音装置を搭載したものがある。消音装置を搭載した鍵盤楽器の消音演奏時においては、押鍵に応動して回動したハンマが弦に当たる直前にハンマシャンクをストッパに当接させて打弦音の発生を抑止すると共に、鍵等の動作をセンサで検知し、押鍵に対応した音高及び強弱でなる楽音を電子的に発生させるようになっている。
【0003】
ところで、上述した消音演奏可能な鍵盤楽器においては、単にストッパを配置しただけでは、鍵盤の連打性の悪化を招くことがある。これは通常のピアノでは、接近(鍵を非常に低速で押し下げた場合のハンマーと弦との最小距離)が2mm程度であり、この値に接近を設定して打弦を阻止すると、ジャックがハンマシャンクから脱進する前に打弦を阻止することとなり、ハンマシャンクがジャックとストッパとの間に挟み込まれることがあるからである。これを防止するためには、ジャックがハンマシャンクから脱進するタイミングを早くして接近を大きくする必要がある。このように、鍵盤の連打性の悪化を防止するためにハンマシャンクからジャックが脱進するタイミングを早くすると、通常演奏時の鍵盤のタッチ感が変化してしまう。
【0004】
そこで、通常演奏時と消音演奏時とでジャックがハンマシャンクから脱進するタイミングを変更する技術が提案されている。この技術では、ジャックとレギュレーチングボタンとの間に進退可能なスペーサを設け、消音演奏時にこのスペーサを電磁アクチュエータ等でジャックとレギュレーチングボタンとの間に移動させることにより、ジャックが運動方向を変えるタイミング、つまりハンマシャンクからジャックが脱進するタイミングを変更できるようにしている。
【0005】
上記のようにストッパによってハンマによる打弦を阻止する機構と、脱進タイミングを変更する機構とを備えた消音装置を搭載したピアノでは、通常演奏時とほとんど変わらない演奏感を維持しつつ、消音演奏を行うことができる。
【0006】
ところで、通常のアコースティックピアノを所持しているユーザは、上記のように優れた消音機能を実現できる消音装置を搭載したいと思う場合がある。この場合、上記消音装置が予め組み込まれているピアノを新たに購入することも考えられるが、新しく購入する場合には費用がかかるといった問題があり、また慣れ親しんだピアノを買い換えることに抵抗を感じるユーザもいる。
【0007】
そこで、ユーザが既に所持しているピアノに、上記構成の消音装置を後から取り付ける(以下、後付けという)サービスが実施されており、このサービスを利用することによりユーザは所持している通常のアコースティックピアノに上記構成の消音装置を搭載することができる。
【0008】
しかしながら、従来の消音装置は、ハンマによる打弦を阻止するためのピアノの横方向に延在するストッパを有しており、上記のような後付けサービスでは、長尺のストッパを、スペースに制限の多いピアノのアクション機構近傍に取り付けるといった煩雑な作業を行わなくてはならない。
【0009】
また、図12に示すように、グランドピアノには、金属製の中框3aよりもアクション機構側(演奏者側)に突出する突起3が設けられている機種が多く存在している。この突起3は、天狗の鼻と呼ばれており、ピアノのフレーム1に加わる弦の張力によるねじれ力を受ける補強部材としての機能を有している。この突起3は、上記のように横方向に延在する長尺のストッパ4と干渉する部分まで突出しており、ストッパ4を取り付ける場合、天狗の鼻と呼ばれる突起3に貫通孔を設け、この貫通孔にストッパ4を挿通させるといった大がかりな作業を行わなくてはならない。
【0010】
また、一般的に使用されているピアノでは、弦高(棚板上面から弦の下面までの寸法)が設計値として規定されているが、実際には弦の張力によって生じるフレーム1の歪み等に起因して弦高にばらつきが生じているのが通常である。したがって、1本の長尺のストッパを用いた消音装置では、このような弦高のばらつきに対応することができず、各音域において適切な位置にストッパを配置できないことがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような弦高のばらつきに対応するために、高音側ストッパと低音側ストッパといったように2本のストッパを設けるといった技術が提案されており、この技術では、上記天狗の鼻と呼ばれる突起3に貫通孔を設けなくてもよいといった作業性の向上といった効果も得られる。しかしながら、従来の2本のストッパを用いる構成では、各ストッパ毎に駆動源および駆動機構を設けたり、もしくは駆動源が1つとする場合にも、当該駆動源の駆動力を各々のストッパに伝達するための専用の駆動機構を設けている。したがって、構成部品数が大幅に増加し、また限られたスペースの中に多数の部品を配置するため、結果として後付け作業が煩雑となってしまう。
【0012】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、優れた消音機能を実現することが可能であり、かつ鍵盤楽器への後付け作業を容易に行うことができる鍵盤楽器の消音装置および鍵盤楽器の弱音装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の鍵盤楽器の消音装置は、複数の鍵が配列された鍵盤と、前記鍵に対応して設けられる弦と、前記鍵に対応して設けられる前記弦を打撃する打弦部材、前記鍵の動きに応じて前記打弦部材を突き上げるジャック、前記ジャックの一端部に当接して、前記ジャックの運動方向を変えるレギュレーチングボタンを有するアクション機構とを備えた鍵盤楽器の消音装置であって、
当該消音装置が搭載される鍵盤楽器の前記鍵の配列方向における第1の所定の範囲に沿って延在し、前記打弦部材の移動範囲に進退自在に設けられる部材であって、前記打弦部材の移動範囲に侵入させた時に前記打弦部材による前記弦の打撃を阻止する第1のストッパ部材と、
当該消音装置が搭載される鍵盤楽器の前記鍵の配列方向における前記第1の所定の範囲と異なる第2の所定の範囲に沿って延在し、前記打弦部材の移動範囲に進退自在に設けられる部材であって、前記打弦部材の移動範囲に侵入させた時に前記打弦部材による前記弦の打撃を阻止する第2のストッパ部材と、
前記ジャックの移動範囲に進退自在に設けられ、前記ジャックの移動範囲に侵入した時に前記ジャックが脱進するタイミングを変える脱進変更部材と、
ユーザの指示に応じて駆動力を発生する駆動力発生手段と、
前記駆動力発生手段が発生した駆動力により前記第1のストッパ部材を移動させる第1のストッパ駆動機構と、
前記駆動力発生手段が発生した駆動力により前記脱進変更部材を移動させる脱進変更部材駆動機構と、
前記脱進変更部材駆動機構が作動した場合に、当該作動した脱進変更部材駆動機構に機械的に連動して前記第2のストッパ部材を移動させる第2のストッパ駆動機構とを具備することを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の鍵盤楽器の消音装置は、請求項1に記載の鍵盤楽器の消音装置において、
前記脱進変更部材駆動機構は、前記鍵の配列方向に延在する部材であって、前記第1のストッパ駆動機構が作動した場合に前記第1のストッパ駆動機構に連動してその延在方向を軸として回転する回転軸部材と、当該回転軸部材の回転運動に連動して前記脱進変更部材を移動させる連動部とを有しており、
前記第2ストッパ駆動機構は、前記回転軸部材の回転運動に連動して前記第2のストッパ部材を移動させることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の鍵盤楽器は、請求項1または2に記載の鍵盤楽器の消音装置において、
前記第1のストッパ駆動機構と前記脱進変更部材駆動機構とを連結する第1の連結部材と、
前記脱進変更部材駆動機構と前記第2のストッパ駆動機構とを連結する第2の連結部材とをさらに具備することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の鍵盤楽器の弱音装置は、複数の鍵が配列された鍵盤と、前記鍵に対応して設けられる弦と、前記鍵に対応して設けられる前記弦を打撃する打弦部材、前記鍵の動きに応じて前記打弦部材を突き上げるジャック、前記ジャックの一端部に当接して、前記ジャックの運動方向を変えるレギュレーチングボタンを有するアクション機構とを備えた鍵盤楽器の弱音装置であって、
当該弱音装置が搭載される鍵盤楽器の前記鍵の配列方向における第1の所定の範囲に沿って延在し、前記打弦部材の移動範囲に進退自在に設けられる部材であって、前記打弦部材の移動範囲に侵入させた時に前記打弦部材による前記弦の打撃力を弱める第1の弱音部材と、
当該弱音装置が搭載される鍵盤楽器の前記鍵の配列方向における前記第1の所定の範囲と異なる第2の所定の範囲に沿って延在し、前記打弦部材の移動範囲に進退自在に設けられる部材であって、前記打弦部材の移動範囲に侵入させた時に前記打弦部材による前記弦の打撃力を弱める第2の弱音部材と、
前記ジャックの移動範囲に進退自在に設けられ、前記ジャックの移動範囲に侵入した時に前記ジャックが脱進するタイミングを変える脱進変更部材と、
ユーザの指示に応じて駆動力を発生する駆動力発生手段と、
前記駆動力発生手段が発生した駆動力により前記第1の弱音部材を移動させる第1の弱音駆動機構と、
前記駆動力発生手段が発生した駆動力により前記脱進変更部材を移動させる脱進変更部材駆動機構と、
前記脱進変更部材駆動機構が作動した場合に、当該作動した脱進変更部材駆動機構に機械的に連動して前記第2の弱音部材を移動させる第2の弱音駆動機構とを具備することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
A.グランドピアノの主要部構成
まず、図1は本発明の一実施形態に係る消音装置を備えたグランドピアノの最も高音側から見たアクション機構を示す側断面図である。同図に示すように、このアクション機構は、鍵10と、この鍵10の動作により駆動されるウイペン11と、このウイペン11の動作により駆動されるジャック12と、このジャック12により駆動されて弦を打撃するハンマアセンブリ(打弦部材)13とを備えている。そして押鍵により鍵10の後端側(図の右端側)が上昇し、そこに固定されたキャプスタン14がウイペン11を押し上げるようになっている。
【0018】
鍵10は、図示せぬバランスピンによって回動自在に支持されており、このような鍵10の複数が図の紙面垂直方向である左右方向に並設され鍵盤が構成される。演奏者により鍵10の前端部(図の左側)が押下されると、鍵10はバランスピンを支点として図中反時計回りの方向に回動するようになっている。符号15は、サポートレールであり、サポートレール15の端部(図の右端部)には、ウイペン11の右端部が回動自在に支持されている。ウイペン11の自由端(図の右端)には、略L字形状のジャック12がその屈曲部分近傍で回動自在に取り付けられている。ここでジャック12は、斜め上方に向けて延在するジャック大12Aと、このジャック大12Aに対してほぼ直交するジャック小12Bとから構成されている。ジャック小12Bの先端には、レギュレーチングボタン23と当接する突起12Baが設けられている。
【0019】
また、ウイペン11の中央部には、支柱16が取り付けられ、支柱16の上端部にはレペティションレバー17の中間部が回転自在に取り付けられている。レペティションレバー17の左端部には、上下方向に向けて貫通する長孔17Aが形成され、長孔17Aには、ジャック大12Aの上端部が挿入されている。
【0020】
符号18は、鍵盤の配列方向に亘って延在するシャンクレールであり、シャンクレール18には、ハンマアセンブリ13の基部を構成するハンマフレンジ19が固定されている。ハンマフレンジ19の右端部には、先端部にハンマヘッド20が固定されたハンマシャンク21が上下方向に回動自在に取り付けられている。ハンマシャンク21の基端部下面には、ローラー22が取り付けられている。
ローラー22の下面は、レペティションレバー17の長孔17Aに挿入されたジャック大12Aの上端面と僅かな隙間を持った状態でレペティションレバー17の上面に当接させられている。
【0021】
シャンクレール18には、複数の鍵10の配列方向に亘って延在するレギュレーチングレール119が支持されている。レギュレーチングレール119の下部には、ジャック12に対応してレギュレーチングボタン23が設けられている。
【0022】
B.消音装置の構成
上述した構成は、従来知られたグランドピアノとほぼ同様であるが、本実施形態では、このような一般的な構成を備えたグランドピアノに搭載することが可能な消音装置に特徴を有しており、以下、この消音装置の構成について図1〜図4を参照しながら説明する。なお、図2〜図4においては、この消音装置の構造をより明確に示すために、ハンマアクション機構等のグランドピアノを構成する各部材を適宜省略している。
【0023】
図1、図3に示すように、本実施形態に係る消音装置は、グランドピアノの中高音側(第1の所定の範囲)に設けられるストッパ部材(第1のストッパ部材)30aを有している。また、図4に示すように、低音側(第2の所定の範囲)に設けられるストッパ部材(第2のストッパ部材)30bとを有している。
【0024】
ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bは、それぞれ鍵10の配列方向に延在する部材であり、各々鍵10の配列方向を軸方向とする回転軸33a,33bに取り付けられている。これにより、回転軸33aが回動させられると、ストッパ部材30aは回転軸33aの回動に伴って回動させられるようになっている。すなわち、ストッパ部材30aは、このような回転軸33aの回動に伴う回動によって、押鍵された場合に作動するハンマシャンク21の移動範囲の位置と、当該移動範囲から待避した位置との間で変位することができるようになっている。同様に、ストッパ部材30bも回転軸33bが回動させられると、これに伴って回動させられるようになっている。すなわち、ストッパ部材30aは、このような回転軸33aの回動に伴う回動によって、押鍵された場合に作動するハンマシャンク21の移動範囲の位置と、当該移動範囲から待避した位置との間で変位することができるようになっている。
【0025】
ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bがハンマシャンク21の移動範囲にある場合は、演奏者が鍵10を押下しても、ハンマヘッド20が打弦する直前にハンマシャンク21の動きがストップさせられ、消音演奏が実現される。この状態が消音演奏状態である。一方、ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bがハンマシャンク21の移動範囲から待避した位置にある場合は、演奏者が鍵10を押下すると、ハンマアクション機構が通常のアコースティックピアノと同様に作動し、ハンマヘッド20が打弦して楽音が発生させられる。この状態が通常演奏状態であり、この消音装置を備えたグランドピアノでは、ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bを変位させることにより、消音演奏状態と通常演奏状態とを選択的に造り出すことができるようになっている。
【0026】
このように本実施形態に係る消音装置は、中高音側のハンマシャンク21をストップさせるストッパ部材30aと、低音側のハンマシャンク21をストップさせるストッパ部材30bといった2つのストッパ部材を有している。さらに、本実施形態に係る消音装置では、消音演奏時にはレギュレーチングボタン23とジャック小12Bとの間の位置にスペーサ部材(脱進変更部材)250を侵入させ、通常演奏時にはスペーサ部材250を上記位置から待避させるといったスペーサ部材250の駆動を行うことにより脱進タイミングを変更する脱進タイミング変更機構260を備えている。
【0027】
ここで、図2にストッパ部材30a、ストッパ部材30b、これらを駆動する機構、および脱進タイミング変更機構260を備える当該消音装置の全体概略構成を示す。同図に示すように、この消音装置は、大別すると、このグランドピアノの高音側の腕木(不図示)近傍に配置される電動モータ150およびストッパ部材30aを駆動する中高音側ストッパ駆動機構160と、このグランドピアノのほぼ全幅に沿って延在する脱進タイミング変更機構(脱進変更部材駆動機構)260と、このグランドピアノの低音側の腕木(不図示)近傍に配置される低音側ストッパ駆動機構170とから構成されている。これらの各機構は、単一の駆動源である電動モータ150の発生する駆動力によって中高音側ストッパ駆動機構160がストッパ部材30aを駆動し、また中高音側ストッパ駆動機構160の動作に連動してスペーサ部材250や低音側ストッパ駆動機構170が駆動されるようになっている。以下、各機構の詳細構成と、各機構が機械的に連動するための構造等について説明する。
【0028】
まず、図3は通常演奏時における中高音側ストッパ駆動機構160と、これに関連する周辺構成を示す図である。図1および図3に示すように、電動モータ150は、グランドピアノの奥筐351に固定された支持部材305によって、棚板上方における鍵10の後端側(図1の右側)に配置されている。電動モータ150の回転軸301aの軸方向は鍵10の配列方向である図1および図3の紙面垂直方向となっている。
【0029】
中高音側ストッパ駆動機構160は、上述した電動モータ150の回転軸301aに取り付けられる回動アーム310と、リンク部材311と、回動アーム312と、リンク部材313と、回動アーム314とを有している。
【0030】
回動アーム310は、電動モータ301の回転軸301aに取り付けられており、当該回転軸301aが電動モータ301により回動させられた場合、この回転軸301aを中心として回動させられる。この回動アーム310の回動端側に、ほぼ上下方向に延びるリンク部材311の下端が回転自在に結合されており、リンク部材311の上端は、回動アーム312に回転自在に結合されている。
【0031】
回動アーム312は、回動軸320を中心として回動自在に軸支されており、この回動軸320から三方に延びる部分312a,312b,312cを有している。上述したリンク部材311の上端は、回動軸320から図の右上側に延びる部分312aに回転自在に結合されている。回動アーム312の回動軸320から図の左斜め上方側に延びる部分312bには、リンク部材313の一端が回転自在に結合されている。回動アーム312の回動軸320から図のほぼ下側に延びる部分312cと上記部分312bとのほぼ中央部分には、脱進タイミング変更機構260に電動モータ150からの駆動力を伝達するための長尺棒状の伝達部材240の一端が回転自在に結合されている。
【0032】
リンク部材313は、上述したように一端が回動アーム312の部分312bに結合されており、その他端は回動アーム314の一端に回転自在に結合されている。回動アーム314は、上述したように一端にリンク部材313が結合されており、その他端側には回転軸33aが取り付けられている。また、回動アーム314の他端は、回転軸33aに取り付けられるとともに、この回転軸33aの位置を中心として回動自在になされている。図2に示すように、この回転軸33aの高音側の端部は、高音側の腕木に固定された支持部材350aによって回転自在に軸支され、他端部は当該グランドピアノのフレームに設けられた天狗の鼻と呼ばれる突起部130に取り付けられた軸支部131によって回転自在に軸支されている。したがって、回動アーム314が回動させられると、回転軸33aは、その位置において回転させられる。なお、突起部130には、回転軸33aの端部が軸支する軸支部131が取り付けられるとともに、回転軸33bの端部も軸支される軸支部132が取り付けられているが、これらの詳細構造については後述する。
【0033】
上述した伝達部材240の他端(図1および図3の左端)は、脱進タイミング変更機構260の回動アーム261の下端側に設けられた当接部261aに当接している。脱進タイミング変更機構260は、回動アーム261の上端側に取り付けられた回転軸262を有している。図2に示すように、回転軸262は、鍵10の配列方向にこのグランドピアノのほぼ全幅にわたって延在する軸部材であり、この回転軸262の高音側の端部に回動アーム261が取り付けられている。一方、回転軸262の低音側の端部には、回動アーム261と同形状の回動アーム266が取り付けられいてる。
【0034】
図1および図3に示すように、回転軸262は、シャンクレール18に複数箇所に取り付けられた支持部材263によってレギュレーチングレール119の上方側に回転自在に軸支されている。支持部材263は、シャンクレール18の演奏者側(図1および図3の左側)の面に沿って配置される取付面263aと、シャンクレール18の上面に沿って配置される支持面263bとを有する断面L字状の部材であり、取付面263aがネジ263cによってシャンクレール18にネジ止めされることにより、支持部材263がシャンクレール18に取付固定されている。支持面263bの上面には、回転軸262を回転自在に軸支するための軸支部263dが設けられている。このような構成の支持部材263によって、回転軸262はその延在方向である鍵10の配列方向を軸方向として回転自在に支持されている。
【0035】
このように回転軸262が回転自在になされているということは、回転軸262の一端が上端に取り付けられた回動アーム261は、回転軸262と一体となって回転軸262を中心として回動することができるようになっている。ここで、回動アーム261は図示せぬバネの一端(腕木等の固定部に取り付けられる)が取り付けられており、このバネによって常時演奏者と反対側に付勢されている。一方、回動アーム261の当接部261aには中高音側ストッパ駆動機構160と連結された伝達部材240の端部が当接している。すなわち、中高音側ストッパ駆動機構160の動作に連動して伝達部材240の端部が演奏者側に移動した場合には、回動アーム261の当接部261aはバネの付勢力に抗して演奏者側に移動させられる、つまり回動アーム261が回転軸262を中心として図1中時計回りに回動させられる。一方、中高音側ストッパ駆動機構160の動作に連動して伝達部材240が演奏者と反対側に移動した場合には、当接部261aはバネの付勢力によって演奏者と反対側に移動させられる、つまり回動アーム261が回転軸262を中心として図1中反時計回りに回動させられる。このように回動アーム261が回動させられると、回動アーム261の上端に取り付けられた回転軸262が回動動作に伴って回転させられることになる。
【0036】
図1〜図3に示すように、回転軸262の複数箇所(図2では2箇所)には、略L字状のアーム部材264が取り付けられている。アーム部材264は、回転軸262に一端が取り付けられる取付部262aと、取付部262aの演奏者側に延びる他端から下方側に延出するアーム部264bとから構成されている。アーム部材264は、回転軸262の回転に伴って回転軸262を中心として回動するようになっている。
【0037】
上記のように回転軸262の回転に伴って回動するアーム部材264のアーム部264bの下端には、図2に示すように、回転軸262と同様に鍵10の配列方向にこのグランドピアノのほぼ全幅にわたって延在するスペーサ部材250を保持するスペーサ保持部267がネジ268によって取り付けられている。図1〜図3に示すように、スペーサ保持部267は、アーム部264bにネジ止めされる取付部267aと、取付部267aの下端から演奏者と反対側に延出する保持部267bとを有しており、当該保持部267bの下面側にスペーサ部材250が接着等により固定されている。スペーサ部材250としては、ゴム、フェルト、クロス等の可撓性を有する材料のものが用いられ、通常演奏時には図1および図3に示す位置にあるが、消音演奏時にはレギュレーチングボタン23と突起12Baとの間に侵入させられ、押鍵操作がなされた場合にはこの押鍵に応じて動くジャック小12Bの突起12Baに、レギュレーチングボタン23の代わりに当接することになる。
【0038】
次に、グランドピアノの低音側に配置される当該消音装置の構成について図2および図4を参照しながら説明する。上述したようにグランドピアノの全幅にわたって延在する回転軸262の低音側の端部には回動アーム266が取り付けられている。回転軸262の端部は回動アーム266の上端側に取り付けられており、これにより回動アーム266は回転軸262の回転に伴って回転軸262を中心として回動するようになされている。回動アーム266の下端側における演奏者側と反対側には当接部266aが設けられており、この当接部266aには、低音側ストッパ駆動機構170に連結される伝達部材180の一端部が当接している。
【0039】
ここで、回動アーム266は、回転軸262の回転に伴って回転軸262を中心として回動することになる。このため、回転軸262が図4中時計回りに回転した場合には、回動アーム266は回転軸262を中心として時計回りに回動させられ、回動アーム266の下端側にある当接部266aは演奏者と反対側へ移動させられることになる。このように当接部266aが移動させられると、これに当接する伝達部材180は演奏者と反対側に移動させられ、この伝達部材180の移動によって低音側ストッパ駆動機構170が動作するようになされている。
【0040】
低音側ストッパ駆動機構170は、回動アーム412と、リンク部材413と、回動アーム414とを有している。回動アーム412は、回動軸420を中心として回動自在に軸支されている。回動アーム412は、高音側に設けられた回動アーム312と同形状であり、回動軸420から三方に延びる部分412a,412b,412cを有している。回動アーム412の回動軸420から図の右斜め上方側に延びる部分412bには、リンク部材413の一端が回転自在に結合されている。回動アーム412の回動軸420から図のほぼ下側に延びる部分412cと上記部分412bとのほぼ中央部分には、上述した伝達部材180の他端部が回転自在に結合されている。したがって、伝達部材180が図4中左側である演奏者と反対側に移動させられると、回動アーム412は、回動軸420を中心として図4中反時計回りに回動させられることになる。
【0041】
リンク部材413は、上述したように一端が回動アーム412の部分412bに結合されており、その他端は回動アーム414の一端に回転自在に結合されている。
【0042】
回動アーム414は、高音側に設けられる回動アーム314と同形状であり、上述したように一端にリンク部材413が結合されており、その他端側には回転軸33bが取り付けられている。また、回動アーム414の他端は、回転軸33bに取り付けられるとともに、この回転軸33bの位置を中心として回動自在になされている。図2に示すように、この回転軸33aの一端部は、低音側の腕木(不図示)に固定された図示せぬ支持部材によって回転自在に軸支され、他端部は突起部130に取り付けられた軸支部132によって回転自在に軸支されている。したがって、回動アーム414が回動させられると、回転軸33bは、その位置において回転させられるようになっている。
【0043】
また、回動アーム414には図示せぬバネの一端(他端は腕木等の固定部に取り付けられる)が取り付けられており、このバネによって常時演奏者側に付勢されている。すなわち、回動アーム414は、常時図4中反時計回りの方向に付勢されている。上述したように図4に示す状態から伝達部材180が演奏者と反対側に移動させられると、回動アーム412が反時計回りに回動させられる。このように回動アーム412が回動させられると、回動アーム414は上記バネの付勢力に抗して回転軸33aを中心として時計回りに回動させられることになる。
一方、伝達部材180が図4に示す状態に戻ると、バネの付勢力によって回動アーム414が反時計回りに回動させられ、これに伴って回動アーム412は時計回りに回動させられる。この結果、伝達部材180は回動アーム266の当接部266aと当接した状態で演奏者側に押し戻されることになる。
【0044】
上述したようにストッパ部材30aおよびストッパ部材30bの各々が取り付けられた回転軸33aおよび回転軸33bは、それぞれ高音側の腕木および低音側の腕木に支持部材を介して軸支されるとともに、そのピアノの中央側の端部は突起部130に取り付けられた軸支部131および軸支部132に軸支されている。図5および図6を参照しながら、回転軸33aおよび回転軸33bピアノ中央部側の端部の軸支構造について説明する。
【0045】
図5および図6に示すように、天狗の鼻と呼ばれるフレームから演奏者側に突出している突起部130が設けられているグランドピアノが多数存在している。
本実施形態では、この突起部130を利用し、突起部130の両側面に各々軸支部131および軸支部132を取り付け、これらが回転軸33aおよび回転軸33bを軸支する構成としている。軸支部131および軸支部132は、演奏者側から見ると(図6参照)、L字状の部材であり、突起部130の側面部に沿うように配置される取付部131a,132aと、取付部131a,132aの上端から各々突起部130の側面部と反対側に延出する軸受取付部131c,132cとを有している。取付部131a,132aは、一部分のみが突起部130の側面部と接触するようになされており、他の部分(例えば、図5の手前側の部分)においては取付部131a,132aの互いの面が向き合うようになされている。このように互いの面が向き合う部分には、ボルト孔が形成されており、当該ボルト孔に挿通させられたボルト136とナット137とによって軸支部131および軸支部132は締結されている。ここで、図6に示すように、軸支部131と軸支部132との間に突起部130を挟み込んだ状態で両者を締結することにより、軸支部131および軸支部132を突起部130に取り付けて固定している。
【0046】
このように突起部130に取り付け固定された軸支部131および軸支部132の軸受取付部131c,132cの上面には、各々自動調心型軸受131b,132bが取り付けられている。これらの自動調心型軸受131b,132bに回転軸33aおよび回転軸33bのピアノ中央部側の端部が軸支されるようになっている。ここで、本実施形態では、自動調心型軸受131b,132bを用いることにより、消音装置をグランドピアノに後付けするときの作業を簡易にしている。
【0047】
次に、本実施形態に係る消音装置の制御構成について図7を参照しながら説明する。同図に示すように、この消音装置の制御構成は、通常演奏/消音演奏切替スイッチ41と、制御部42と、モータドライブ(Motor Drive)ユニット43と、電動モータ150と、リミットスイッチ44a,44bとを備えている。
【0048】
通常演奏/消音演奏切替スイッチ41は、使用者により操作されるスイッチであり、通常演奏状態と消音演奏状態とを切り替えるためのスイッチである。ここで、通常演奏/消音演奏切替スイッチ41は、このグランドピアノの棚板の使用者側の面などの操作しやすい部位に取り付けたりすることが好ましい。また、リモートコントロール端末等や、当該グランドピアノに設けられた接続端子等にケーブルを介して接続される外部の装置であってもよい。
【0049】
制御部42は、CPU(中央処理装置)ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等を有しており、通常演奏/消音演奏切替スイッチ41の設定状態に応じてモータドライブユニット43に駆動電流を供給する。モータドライブユニット43は、制御部42からの駆動電流により電動モータ150を回転駆動する。リミットスイッチ44a,44bは、電動モータ150の回転軸301aに取り付けられた回動アーム310の位置に応じて動作するスイッチであり、具体的にはリミットスイッチ44aは回動アーム310が通常演奏状態の位置にあるときに動作し、リミットスイッチ44bは回動アーム310が消音演奏状態の位置にあるときに動作する。これらのリミットスイッチ44a,44bからの信号により制御部42は、回動アーム310が消音演奏状態の位置に達しているか、通常演奏状態の位置に達しているかといった情報を取得することができる。
【0050】
C.消音装置の動作
次に、上記構成の消音装置の動作について説明する。上述した図1、図3および図4に示す状態は、通常演奏状態にある場合の消音装置の様子を示しており、まず、この通常演奏状態から消音演奏状態に移行する際の当該消音装置の動作について説明する。
【0051】
ユーザによって通常演奏/消音演奏切替スイッチ41が操作されて消音演奏状態に移行するといった指示を受けると、制御部42からモータドライブユニット43に駆動電流が供給される。ここで、制御部42からモータドライブユニット43に供給される駆動電流は、電動モータ301を図1および図3中反時計回りに回転させようとする電流であり、これにより電動モータ150の回転軸301aは反時計回りに回転を開始する。このように電動モータ150が回転を開始すると、この回転に伴って回動アーム310が回動させられる。そして、回動アーム310が消音演奏状態の位置に達することがリミットスイッチ44bからの信号により制御部42で検知されるまで、制御部42は駆動電流の供給を続ける。
【0052】
このように電動モータ150が駆動されると、回転軸301aが回転させられ、これに伴って回転軸301aを中心として回動アーム310が図中反時計回りに回動させられる。この回動アーム310の回動によりリンク部材313がほぼ下方側に移動させられ、これにより回動アーム312が回動軸320を中心として図中時計回りに回動させられる。
【0053】
このように回動アーム312が図中時計回りに回動させられると、リンク部材313は図中ほぼ右側に移動させられ、回動アーム314が回転軸33aを中心として図中反時計回りに回動させられる。この回動アーム314の回動に伴って回転軸33aは、その位置において反時計回りに回転し、この回転軸33aに固定されたストッパ部材30も反時計回りに回動させられる。この結果、図8に示すように、ストッパ部材30aが回転軸33aの下方側に延出するように配置され、ストッパ部材30aがハンマシャンク21の移動範囲に侵入した消音演奏状態となる。
【0054】
また、上記のようにストッパ部材30aが消音演奏状態の位置に移動させられるとともに、回動アーム312の時計回りの回動動作によって伝達部材240は演奏者と反対側(図1および図3の右側)に移動させられることになる。上述したように回動アーム261は図示せぬバネにより常時演奏者と反対側方向へ付勢されているため、伝達部材240が演奏者の反対側方向へ移動すると、当接部261aが伝達部材240の端部と当接した状態を維持しながら、回動アーム261は図1および図3中反時計回りに回動させられる。図8に示すように、回動アーム261が反時計回りに回動させられると、この回動に伴って回転軸262が図中反時計回りに回転させられ、これに取り付けられたアーム部材264が回転軸262を中心として反時計回りに回動させられる。この結果、アーム部材264にスペーサ保持部267を介して保持されるスペーサ部材250がレギュレーチングボタン23と突起12Baとの間の位置に挿入される。
【0055】
さらに、上記のように回転軸262が回動させられ、これに伴って回転軸262が図1および図3中反時計回りに回動させられると、図9に示すように、回転軸262の低音側の端部に取り付けられた回動アーム266が図9中時計回りに回動させられる。この回動アーム266の回動動作によって当接部266aに当接している伝達部材180は、演奏者と反対側(図9の左側)に押し下げられることになる。
【0056】
図4に示す通常演奏状態から、上記のように伝達部材180が演奏者と反対側に押し下げられると、図9に示すように、伝達部材180が連結されている回動アーム412は、回動軸420を中心として図9中反時計回りに回動させられる。このように回動アーム412が反時計回りに回動させられると、部分412bに一端が連結されたリンク部材413が演奏者と反対側の方向へ移動させられ、これにより回動アーム414は回転軸33bを中心として時計回りに回動させられる。このような回動アーム414の回動に伴って回転軸33bは時計回りに回転させられる。この結果、回転軸33bに取り付けられたストッパ部材30bが下方側に延出するように配置され、ストッパ部材30bがハンマシャンク21の移動範囲に侵入した消音演奏状態となる。
【0057】
一方、図8および図9に示す消音演奏状態から、図1、図3および図4に示す通常演奏状態に切り替える場合にも、使用者は通常演奏/消音演奏切替スイッチ41を操作して通常演奏状態に切り替えるように指示する。そして、この指示を受けた制御部42からモータドライブユニット43に駆動電流が供給される。ここで、制御部42からモータドライブユニット43に供給される駆動電流は、電動モータ301を図8中時計回りに回転させようとする電流であり、これにより電動モータ150の回転軸301aは時計回りに回転を開始する。この回転軸301aの回転に伴って回動アーム310が回動させられ、回動アーム310が通常演奏状態の位置に達したことがリミットスイッチ44aからの信号により制御部42で検知されるまで制御部42は駆動電流の供給を続ける。
【0058】
このように電動モータ150が駆動されると、回転軸301aが回転させられ、これに伴って回転軸301aを中心として回動アーム310が図8中時計回りに回動させられる。この回動アーム310の回動によりリンク部材313がほぼ上方側に移動させられ、これにより回動アーム312が回動軸320を中心として図中反時計回りに回動させられる。
【0059】
このように回動アーム312が図8中反時計回りに回動させられると、リンク部材313は図8中ほぼ左側に移動させられ、回動アーム314が回転軸33aを中心として時計回りに回動させられる。この回動アーム314の回動に伴って回転軸33aは、その位置において時計回りに回転し、この回転軸33aに固定されたストッパ部材30も時計回りに回動させられる。この結果、図1および図3に示すように、ストッパ部材30aが水平方向に延出するように配置され、ストッパ部材30aがハンマシャンク21の移動範囲から待避した位置にある通常演奏状態となる。
【0060】
また、上記のようにストッパ部材30aが通常演奏状態の位置に移動させられるとともに、回動アーム312の反時計回りの回動動作によって伝達部材240は演奏者側(図8の左側)に移動させられることになる。上述したように回動アーム261は図示せぬバネにより常時演奏者と反対側方向へ付勢されているが、伝達部材240が演奏者側方向へ移動すると、このバネの付勢力に抗して当接部261aが伝達部材240の端部と当接した状態を維持しながら、回動アーム261は図8中時計回りに回動させられる。図1および図3に示すように、回動アーム261が時計回りに回動させられると、この回動に伴って回転軸262が図中時計回りに回転させられ、これに取り付けられたアーム部材264が回転軸262を中心として時計回りに回動させられる。この結果、アーム部材264にスペーサ保持部267を介して保持されるスペーサ部材250がレギュレーチングボタン23と突起12Baとの間から待避した位置に移動させられる。
【0061】
さらに、上記のように回転軸262が回動させられ、これに伴って回転軸262が図8中時計回りに回動させられると、図4に示すように、回転軸262の低音側の端部に取り付けられた回動アーム266が図4中反時計回りに回動させられる。この回動アーム266の回動動作によって当接部266aに当接している伝達部材180は、演奏者側(図4の右側)に移動させられることになる。
【0062】
図9に示す消音演奏状態から、上記のように伝達部材180が演奏者側に移動させられると、図4に示すように、伝達部材180が連結されている回動アーム412は、回動軸420を中心として図4中時計回りに回動させられる。このように回動アーム412が時計回りに回動させられると、部分412bに一端が連結されたリンク部材413が演奏者側の方向へ移動させられ、これにより回動アーム414は回転軸33bを中心として反時計回りに回動させられる。このような回動アーム414の回動に伴って回転軸33bは反時計回りに回転させられる。この結果、回転軸33bに取り付けられたストッパ部材30bが水平方向に延出するように配置され、ストッパ部材30bがハンマシャンク21の移動範囲から待避した位置にある通常演奏状態となる。
【0063】
このように本実施形態に係る消音装置では、電動モータ150が予め設定された角度分だけ回転するといった駆動力を発生することにより、中高音側のハンマシャンク21をストップさせるストッパ部材30aと、低音側のハンマシャンク21をストップさせるストッパ部材30bと、スペーサ部材250とを消音演奏状態と通常演奏状態の位置との間で移動させることができるようになっている。
【0064】
D.グランドピアノの動作
次に、本実施形態に係る消音装置を搭載したグランドピアノの押鍵時の動作について、当該消音装置が通常演奏状態と消音演奏状態にある場合に分けて説明する。
【0065】
D−1.通常演奏状態の動作
まず、消音装置が通常演奏状態にある場合の押鍵時の動作について説明する。
通常演奏状態では、図1および図4に示すように、ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bは、ハンマシャンク21の移動範囲から待避した位置に配置され、スペーサ部材250は突起12Baとレギュレーチングボタン23との間の位置から待避した位置に配置される。
【0066】
この状態で、鍵10が押下されると、鍵10に取り付けられたキャプスタン14がウイペン11を突き上げ、ウイペン11を図1中時計回りに回動させる。これに伴い、このウイペン11の自由端に回動自在に取り付けられたジャック12のジャック大12Aがローラー22を突き上げ、ハンマシャンク21を反時計回りの方向へ回動させる。この後、ジャック小12Bの突起12Baがレギュレーチングボタン23に当接すると、ジャック大12Aが左方向に移動してハンマシャンク21に取り付けられたローラー22から離間する。ジャック12から離間したハンマシャンク21は、その慣性力により回動を続け、ハンマヘッド20が押鍵された鍵に対応する弦を打撃する。
【0067】
次に離鍵が行われると、押鍵時とは逆にウイペン11が反時計方向に回動し、ハンマシャンク21が時計方向へ回動することにより、ウイペン11の端部に取り付けられたクッション42にハンマシャンク21が当接して静止する。この動作に伴って、ジャック小12Bとレギュレーチングボタン23との係合状態が徐々に解除され、ジャック12が反時計方向に回動してジャック大12Aがローラー22の真下側に移動し、押鍵前の初期位置に戻る。なお、以上の動作は従来の一般的なグランドピアノと同様である。
【0068】
D−2.消音演奏状態の動作
次に、消音装置が消音演奏状態にある場合の押鍵時の動作について説明する。
消音演奏状態では、図8および図9に示すように、ストッパ部材30a,ストッパ部材30bはハンマシャンク21の移動範囲に侵入した位置に配置され、スペーサ部材250は、突起12Baとレギュレーチングボタン23との間に侵入した位置に配置される。
【0069】
この状態で鍵10が押下されると、通常演奏の場合と同様にキャプスタン14がウイペン11を時計回り(図1)に回動させ、ジャック大12Aが、ローラー22を突き上げ、ハンマシャンク21を反時計回りに回動させる。この後、ジャック小12Bの突起12Baが通常演奏状態においてレギュレーチングボタン23に当接するタイミングより前に、ジャック小12Bの突起12Bbがスペーサ部材250に当接し、通常演奏時より早いタイミングでジャック大12Aがローラ22の下面から抜ける。これによりジャック12は、通常演奏時より低い位置でハンマシャンク21に取り付けられたローラー22から離間する。つまり、通常演奏時よりも「脱進」するタイミングが早くなる。このように「脱進」した後、ジャック12から離間して回動を続けるハンマシャンク21は、ハンマヘッド20が弦に当たる手前でストッパ部材30aもしくはストッパ部材30bに当接し、反時計回り(図1)の方向に跳ね返される。その後の動作は通常演奏の場合と同様である。
【0070】
本実施形態に係る消音装置によれば、消音演奏時にスペーサ部材250がレギュレーチングボタン23と突起12Baとの間に挿入することにより、消音演奏時における脱進タイミングを通常演奏時よりも早くすることができる。したがって、ストッパ部材30aまたはストッパ部材30bがハンマシャンク21の回動動作を阻止する前に、ジャック12が脱進することが可能となり、ハンマシャンク21がジャック12とストッパ部材30aまたはストッパ部材30bとによって挟み込まれることを防止できる。これにより消音演奏時における鍵盤の連打性の悪化を招くことがなくなるとともに、ローラー22付近のアクション機構等が損傷を防止することができる。
【0071】
一方、通常演奏時にはレギュレーチングボタン23は通常のアコースティックピアノと同様の位置に配置され、脱進のタイミングを通常のアコースティックピアノと同一にでき、アコースティックピアノと同一のタッチ感を得ることが可能となる。すなわち、本実施形態に係る消音装置では、通常演奏時の鍵タッチ感を損なうことなく、消音演奏時のハンマシャンク21等のこじれやローラー22付近の機構の損傷を防止することができる。
【0072】
本実施形態に係る消音装置は、上記のように優れた消音機能の実現を可能とするとともに、通常のアコースティックグランドピアノに後付けする際の取り付け作業を簡易とするといった効果も得られる。上述したように現在市販されて流通しているグランドピアノには、上記のように天狗の鼻と呼ばれる突起部130が設けられている機種が多く存在している。このような突起部130は、ハンマシャンクをストップさせるストッパ部材を配置すべき位置を横切って存在するものである。従来、この種のグランドピアノに消音装置を後付けする場合には、上記突起部130に貫通孔を設けるといった孔あけ作業を行い、突起部130に設けた貫通孔に長尺の1本のストッパ部材を挿通させるといった煩雑な作業を行わなくてはならなかった。また、グランドピアノのフレーム強度等を考慮して設けられている突起部130に孔をあけるといった加工を行うと、グランドピアノとしての機能に支障を来す虞もある。
【0073】
これに対し、本実施形態に係る消音装置は、ストッパ部材30aおよびストッパ部材30aといった2本のストッパ部材を使用するようにし、突起部130から高音側にストッパ部材30aを設け、突起部130から低音側にストッパ部材30bを設けるようにすることで、突起部130に孔あけ等の加工を行うことなく、突起部130を有するタイプのグランドピアノへの消音装置の後付けを可能としている。したがって、孔あけ等の大がかりな作業が不要であるとともに、元来からあるグランドピアノの部品である突起部130を加工するといった必要がなく、消音装置を取り付けることによってグランドピアノとしての機能に支障を来すこともない。
【0074】
また、アコースティックピアノの弦高は、弦の張力等に起因してばらつくことがあることは、従来の技術の欄で説明したが、本実施形態に係る消音装置では、中高音側用と低音側用といった2本のストッパ部材を用いているので、弦高のばらつき具合に応じて、ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bの取り付け位置を調整することもできる。したがって、1本のストッパ部材を用いる構成と比較して、弦高のばらつきに対してより柔軟に対応することができる。
【0075】
このように本実施形態では、中高音用のストッパ部材30aと、低音用のストッパ部材30bとを用いることにより、上述したような様々な効果を得ることができる。しかしながら、2本のストッパを採用した場合、これら2本のストッパを駆動する必要があり、駆動構成が大幅に複雑になってしまうことが考えられる。駆動構成が大幅に複雑になると、結果として取り付け作業の煩雑さを招くことにもなり得る。
【0076】
そこで、本実施形態に係る消音装置は、上述したように単一の電動モータ150をグランドピアノの一方側(この実施形態では高音側)に設け、この電動モータ150の発生する駆動力でストッパ部材30aおよびストッパ部材30bといった2本のストッパを駆動し、さらには脱進タイミング変更機構260も駆動する構成を採用している。このように電動モータ150の駆動力でストッパ部材30a、ストッパ部材30bおよびスペーサ部材250を駆動するために、ストッパ部材30aを駆動する中高音側ストッパ駆動機構160とスペーサ部材250を駆動する脱進タイミング変更機構260とが機械的に連動するようにし、さらに脱進タイミング変更機構260とストッパ部材30bを駆動する低音側ストッパ駆動機構170とが機械的に連動するようにしている。これにより、電動モータ150→中高音側ストッパ駆動機構160→脱進タイミング変更機構260→低音側ストッパ駆動機構170といった順序で駆動力が伝達され、電動モータ150の発生する駆動力が全ての機構を駆動することができるのである。
【0077】
また、ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bの両者を単一の駆動源で駆動する場合、高音側に駆動源を設けた場合には、その駆動源の発する駆動力を低音側に伝達するための伝達機構を設ける必要がある。このような伝達機構を個別に設ける場合、部品数の増加や設置スペース等の問題が生じることになるが、本実施形態では、上述したようにスペーサ部材250を駆動するための脱進タイミング変更機構260の一部である回転軸262を用いて高音側に設置された電動モータ150の駆動力を低音側に伝達している。すなわち、回転軸262が脱進タイミングを消音演奏時と通常演奏時とで変更するためにスペーサ部材250を駆動する機能に加え、高音側に設置された電動モータ150の駆動力を低音側に伝達する機能も兼ね備えるようにしているのである。このようにすることで、高音側から低音側に設置されたストッパ部材30bを駆動する低音側ストッパ駆動機構170に駆動力を伝達するために専用の駆動力伝達機構等を設ける必要がなく、構成の大幅な複雑化を招くことがない。
【0078】
E.変形例
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0079】
(変形例1)
上述した実施形態においては、伝達部材240と回動アーム261の当接部261a、および伝達部材180と回動アーム266の当接部266aが当接しており、バネにより回動アーム261や回動アーム414を一方向に常時付勢することにより、中高音側ストッパ駆動機構160から脱進タイミング変更機構260への動力伝達、および脱進タイミング変更機構260から低音側ストッパ駆動機構170への動力伝達を可能としていた。
【0080】
このように伝達部材240および伝達部材180と、当接部261aおよび当接部266aを当接させる構造に限らず、図10および図11に示すような構造を採用するようにしてもよい。これらの図に示す構成では、伝達部材(第1の連結部材)240’の一端部を回動アーム261’の下端に回転自在に結合し、リンク機構を構成するとともに、伝達部材(第2の連結部材)180’の一端部を回動アーム266’に回転自在に結合してリンク機構を構成している。このような構成とすることにより、上記のような一方向に付勢するバネを用いずに上記実施形態と同様に当該消音装置を消音演奏状態から通常演奏状態に移行させたり、通常演奏状態から消音演奏状態に移行させたりすることが可能となる。
【0081】
(変形例2)
また、上述した実施形態において、消音演奏状態では、図示しない光センサ等により鍵10やハンマアセンブリ13の運動を検出し、この検出結果に基づいて音源回路が楽音信号を生成するように構成してもよい。このようにすれば、演奏者は消音演奏状態であってもヘッドホンやスピーカ等から自身の演奏に応じた楽音を聴くことができる。
【0082】
(変形例3)
また、上述した実施形態においては、駆動源として電動モータ150を採用していたが、他の駆動源を採用するようにしてもよい。例えば、ソレノイドユニットのプランジャに回動アーム310を連結し、ソレノイドユニットに駆動電流を供給することによりプランジャを変位させて回動アーム310を回動させるようにしてもよい。
【0083】
また、上記電動モータ150やソレノイドユニットといった電気的に駆動する構成に限らず、例えばユーザが操作摘み等を移動させた場合に、その操作摘みの変位を機械的な伝達機構を介して回動アーム310に伝達し、回動アーム310を回動させるような構成であってもよい。
【0084】
(変形例4)
また、上述した実施形態では、ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bの各々を駆動する中高音側ストッパ駆動機構160および低音側ストッパ駆動機構170として、リンク機構を採用していたが、このようなリンク機構でストッパ部材30aおよびストッパ部材30bを駆動する機構に限らず、他の機構であってもよい。また、脱進タイミング変更機構260も上記実施形態のようにアーム部材264を回動させるといったような構成に限らず、他の構成であってもよい。要するに、中高音側ストッパ駆動機構160→脱進タイミング変更機構260→低音側ストッパ駆動機構170といった順序で駆動源の発生する駆動力を伝達することができる構成であればよい。
【0085】
(変形例5)
また、上述した実施形態では、脱進タイミング変更機構260は、スペーサ部材250を突起12Baとレギュレーチングボタン23との間に挿入させて脱進開始タイミングを早めることによりジャック12が脱進するタイミングを早めるようにしていたが、消音演奏時において、ジャック12が脱進(終了)するタイミングが通常演奏時よりも早くできるような構成であればよく、例えば、特開平7−319452号公報に記載されているように、ジャック小12Bの突起12Baよりも中心側(演奏者と反対側)に上方に突出する突起を設け、消音演奏時にのみこの突起に当接する位置に移動する第2レギュレーチングボタンを設けるといった脱進タイミング変更機構であってもよい。この場合、ストッパ部材30aを駆動する中高音側ストッパ駆動機構160から第2レギュレーチングボタンを駆動する第2レギュレーチングボタン駆動機構に動作に機械的に連動し、低音側ストッパ駆動機構170がストッパ部材30bを駆動するような構成にすればよい。
【0086】
(変形例6)
また、上述した実施形態では、ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bがハンマヘッド20が弦を打撃する前にハンマシャンク21の動きを停止させて弦が打撃されないようにする消音装置に本発明を適用した場合について説明したが、ストッパ部材30aおよびストッパ部材30bに代えて、ハンマシャンク21の移動範囲に侵入した時にハンマシャンク21の速度を弱めて弦を打撃する力を弱めて弱音演奏を実現する弱音装置に本発明を適用することも可能である。
【0087】
(変形例7)
また、上述した実施形態では、中高音側と低音側といった2つのストッパ部材30a,30bを設けるようにしていたが、3つ以上のストッパ部材、例えば高音部、中音部および低音部といったように3つのストッパ部材を設けるようにしてもよい。このように3つのストッパ部材を設ける場合、高音部用のストッパ部材を上記実施形態と同様にモータに連結された駆動機構を用いて駆動すると共に、他の2つのストッパ部材を駆動する機構に、モータの駆動力を脱進タイミング変更機構260を介して伝達するようにすればよい。
【0088】
(変形例8)
また、上述した実施形態では、本発明に係る消音装置をグランドピアノに搭載した場合について説明したが、これに限らず、本発明に係る消音装置は他の鍵盤楽器に搭載することも可能である。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、優れた消音機能を実現することが可能であり、かつ鍵盤楽器への後付け作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る消音装置を搭載したグランドピアノの高音側から見たアクション機構を示す側断面図である。
【図2】前記消音装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】通常演奏状態にある前記消音装置をグランドピアノの高音側から見た側断面図である。
【図4】通常演奏状態にある前記消音装置をグランドピアノの低音側から見た側断面図である。
【図5】前記消音装置の構成要素である中高音側の回転軸および低音側の回転軸を軸支するグランドピアノのフレームの突起部周辺の構造を示す斜視図である。
【図6】前記消音装置の構成要素である中高音側の回転軸および低音側の回転軸を軸支するグランドピアノのフレームの突起部周辺を正面から見た図である。
【図7】前記消音装置の制御構成を示すブロック図である。
【図8】消音演奏状態にある前記消音装置をグランドピアノの高音側から見た側断面図である。
【図9】消音演奏状態にある前記消音装置をグランドピアノの低音側から見た側断面図である。
【図10】通常演奏状態にある前記消音装置の変形例をグランドピアノの高音側から見た側断面図である。
【図11】通常演奏状態にある前記消音装置の変形例をグランドピアノの低音側から見た図である。
【図12】一般的なグランドピアノのフレームに設けられる突起部を説明するための図である。
【符号の説明】
10……鍵、12……ジャック、12B……ジャック小、12Ba……突起13……ハンマアセンブリ、20……ハンマヘッド、21……ハンマシャンク、23……レギュレーチングボタン、150……電動モータ、160……中高音側ストッパ駆動機構、180……伝達部材、170……低音側ストッパ駆動機構、240……伝達部材、250……スペーサ部材、260……脱進タイミング変更機構、262……回転軸
Claims (4)
- 複数の鍵が配列された鍵盤と、前記鍵に対応して設けられる弦と、前記鍵に対応して設けられる前記弦を打撃する打弦部材、前記鍵の動きに応じて前記打弦部材を突き上げるジャック、前記ジャックの一端部に当接して、前記ジャックの運動方向を変えるレギュレーチングボタンを有するアクション機構とを備えた鍵盤楽器の消音装置であって、
当該消音装置が搭載される鍵盤楽器の前記鍵の配列方向における第1の所定の範囲に沿って延在し、前記打弦部材の移動範囲に進退自在に設けられる部材であって、前記打弦部材の移動範囲に侵入させた時に前記打弦部材による前記弦の打撃を阻止する第1のストッパ部材と、
当該消音装置が搭載される鍵盤楽器の前記鍵の配列方向における前記第1の所定の範囲と異なる第2の所定の範囲に沿って延在し、前記打弦部材の移動範囲に進退自在に設けられる部材であって、前記打弦部材の移動範囲に侵入させた時に前記打弦部材による前記弦の打撃を阻止する第2のストッパ部材と、
前記ジャックの移動範囲に進退自在に設けられ、前記ジャックの移動範囲に侵入した時に前記ジャックが脱進するタイミングを変える脱進変更部材と、
ユーザの指示に応じて駆動力を発生する駆動力発生手段と、
前記駆動力発生手段が発生した駆動力により前記第1のストッパ部材を移動させる第1のストッパ駆動機構と、
前記駆動力発生手段が発生した駆動力により前記脱進変更部材を移動させる脱進変更部材駆動機構と、
前記脱進変更部材駆動機構が作動した場合に、当該作動した脱進変更部材駆動機構に機械的に連動して前記第2のストッパ部材を移動させる第2のストッパ駆動機構と
を具備することを特徴とする鍵盤楽器の消音装置。 - 前記脱進変更部材駆動機構は、前記鍵の配列方向に延在する部材であって、前記第1のストッパ駆動機構が作動した場合に前記第1のストッパ駆動機構に連動してその延在方向を軸として回転する回転軸部材と、当該回転軸部材の回転運動に連動して前記脱進変更部材を移動させる連動部とを有しており、
前記第2ストッパ駆動機構は、前記回転軸部材の回転運動に連動して前記第2のストッパ部材を移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器の消音装置。 - 前記第1のストッパ駆動機構と前記脱進変更部材駆動機構とを連結する第1の連結部材と、
前記脱進変更部材駆動機構と前記第2のストッパ駆動機構とを連結する第2の連結部材と
をさらに具備することを特徴とする請求項1または2に記載の鍵盤楽器の消音装置。 - 複数の鍵が配列された鍵盤と、前記鍵に対応して設けられる弦と、前記鍵に対応して設けられる前記弦を打撃する打弦部材、前記鍵の動きに応じて前記打弦部材を突き上げるジャック、前記ジャックの一端部に当接して、前記ジャックの運動方向を変えるレギュレーチングボタンを有するアクション機構とを備えた鍵盤楽器の弱音装置であって、
当該弱音装置が搭載される鍵盤楽器の前記鍵の配列方向における第1の所定の範囲に沿って延在し、前記打弦部材の移動範囲に進退自在に設けられる部材であって、前記打弦部材の移動範囲に侵入させた時に前記打弦部材による前記弦の打撃力を弱める第1の弱音部材と、
当該弱音装置が搭載される鍵盤楽器の前記鍵の配列方向における前記第1の所定の範囲と異なる第2の所定の範囲に沿って延在し、前記打弦部材の移動範囲に進退自在に設けられる部材であって、前記打弦部材の移動範囲に侵入させた時に前記打弦部材による前記弦の打撃力を弱める第2の弱音部材と、
前記ジャックの移動範囲に進退自在に設けられ、前記ジャックの移動範囲に侵入した時に前記ジャックが脱進するタイミングを変える脱進変更部材と、
ユーザの指示に応じて駆動力を発生する駆動力発生手段と、
前記駆動力発生手段が発生した駆動力により前記第1の弱音部材を移動させる第1の弱音駆動機構と、
前記駆動力発生手段が発生した駆動力により前記脱進変更部材を移動させる脱進変更部材駆動機構と、
前記脱進変更部材駆動機構が作動した場合に、当該作動した脱進変更部材駆動機構に機械的に連動して前記第2の弱音部材を移動させる第2の弱音駆動機構と
を具備することを特徴とする鍵盤楽器の弱音装置。
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