JP3654268B2 - 鍵盤楽器 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は鍵盤楽器に関し、打弦音を発生させない非打弦演奏と、打弦音を発生させる通常演奏とを実現できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、打弦による発音を変化させた鍵盤楽器として、実開昭51−67732号公報に記載されたものが提案されている。この鍵盤楽器は、グランドピアノであって、弦とハンマーアセンブリのハンマーシャンクとの間において、ハンマーシャンクと対向する面に弾性体を有したストッパを設けており、回動するハンマーシャンクを弾性体を介してストッパで受け止めるものである。そして、このグランドピアノは、ハンマーの回動による運動エネルギを弾性体で吸収することにより、この運動エネルギを弱めて、音質、弦の響き等を阻害することなく打弦による音量を効果的に減少させるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなグランドピアノにあっては、打弦による発音を完全に生じさせないようにしたとき、鍵のタッチをある程度犠牲にしなければならない等の課題があった。すなわち、打弦音を発生させないようにするためには、ストッパをハンマーシャンク側にさらに近づける必要がある。このとき、通常の接近は、2mm程度のままである。この接近の値においては、ハンマーアセンブリのハンマーローラーがジャックから離れる前に、ジャックおよびストッパによってハンマーシャンクが挟み込まれて止まってしまい、連打ができ難くなる等、従来のピアノのような演奏ができなくなる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、打弦音を発生させない非打弦演奏と、通常演奏とを切替ることができ、非打弦演奏と通常演奏の双方において、アコースティックピアノに近い連打性を有する鍵盤楽器を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、張設された弦と、ピアノのアクション部とを備えた鍵盤楽器であって、上記アクション部は、少なくとも鍵の操作に応じて上昇するジャックと、このジャックの突き上げに応じて回動するハンマーアセンブリと、上記弦を上記ハンマーアセンブリが打弦する通常演奏時と、上記弦を上記ハンマーアセンブリが打弦しない非打弦演 奏時とを切り替える切替手段と、上記ハンマーアセンブリと上記弦との間に位置し、上記非打弦演奏時に、打鍵に応じて回動するハンマーアセンブリの一部が当接するハンマーストッパとを有し、打鍵に応じてセンサからの演奏情報に基づいて電子音源から発音可能とし、上記非打弦演奏時、上記ジャックは、上記ハンマーアセンブリの一部が上記ハンマーストッパに当接する前に上昇を阻止されることを特徴とする鍵盤楽器である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、上記上昇を阻止するタイミングを全鍵一括して変更可能とした請求項1に記載の鍵盤楽器である。
【0007】
【作用】
本発明に係る鍵盤楽器にあっては、通常演奏と非打弦演奏とを切り替えることができる。非打弦演奏時、ハンマーアセンブリがハンマーストッパに当接する前に、ジャックの上昇を阻止する。また、ハンマーアセンブリが弦を打撃する直前に、その一部がハンマーストッパに当接する。よって、ハンマーアセンブリ(ハンマーヘッド)は打弦せず、ハンマーストップ状態に移動する。したがって、弦から発音することがない。また、打鍵に応じて、センサからの演奏情報に基づいて電子音源から発音させる。
一方、切替手段(ペダル操作)により、通常演奏時は、ハンマーストッパは例えばハンマーアセンブリの回動範囲外に移動してハンマーアセンブリの打弦を阻止しない。すなわち、打鍵に応じてジャックが押し上げられ、通常演奏での脱進が行われる。ハンマーアセンブリは弦を通常演奏通り打撃する。
このように、ピアノのアクションにおいて、切替手段により切り替えることにより、打弦音を発生させない非打弦演奏と、通常演奏とをアコースティックピアノに近い連打性を有して実現できる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明に係る鍵盤楽器の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の鍵盤楽器の第1実施例に係るアップライトピアノの弦およびアクションの休止状態を示す側面図である。
この図において、各音高に対応して、弦11はほぼ鉛直にそれぞれ張設されている。図では、その一つを取り出して示している。この弦11に対応してハンマーアセンブリは配設されている。このハンマーアセンブリは、図中時計回り方向に回動して弦11を打撃するハンマーヘッド13と、このハンマーヘッド13に連設されたハンマーシャンク14と、このハンマーシャンク14の基端に固定されたバット15と、このバット15の右端に取り付けられバットスプリング16と、バット15の左端に突出して連結されたキャッチャーシャンク18と、このキャッチャーシャンク18の先端に固設されたキャッチャー19と、を備えている。
【0009】
そして、ハンマーアセンブリのバット15を揺動自在にセンターピン17が支持している。バットスプリング16は、常時、図中反時計回り方向にバット15を付勢し続けるものである。28は、弦11に対応して配設される88個の鍵全体にわたって共通に横断延設されたセンターレールである。このセンターレール28の上端部にバットフレンジ29を介して上記バット15が、センターピン17を支点として回動自在に取り付けられている。一方、センターレール28の下端部にはウイペン26が回動自在に取り付けられている。このウイペン26は、センターレール28から水平方向に突出するように設けられている。
【0010】
このウイペン26の上面においてセンターレール28の左方には、ジャックフレンジ32を介してL字状のジャック33が揺動自在に立設されている。このジャック33のジャック大33Aの先端(頂端)は、上記バット15の下端面に当接している。ジャック33は、打鍵に応じた図中時計回り方向への回動力をバット15に伝達するものである。このバット15の当接面にはバットスキン15Aが貼着されている。ジャックフレンジ32の左方において、ジャック小33Bの下面とウイペン26の上面とにジャックスプリング34の両端がそれぞれ係止している。このジャックスプリング34は、ピン36を中心にジャック33を図中時計回り方向に付勢するものである。
【0011】
また、35はレギュレチングボタンであって、上記ジャック小33Bの上面が当接可能な位置に配設されている。くわしくは、弦11に対応して配設される88個の鍵全体にわたって、低音域、中音域、高音域毎に3分割されて横断延設されたレギュレチングレール100の下部にねじ込まれてレギュレチングボタン35は保持されている。このレギュレチングレール100はレギュレチングブラケット101の一端にネジ102によって固定されている(図2参照)。このレギュレチングブラケット101の他端は上記センターレール28にねじ込まれて保持されている。レギュレチングスクリュー103は、調整ツール(図示略)を用いて回転し、レギュレチングレール100からレギュレチングボタン35が突出する距離を各鍵毎独立して微調整するものである。このレギュレチングボタン35の当接面にも皮革等のレギュレチングボタンパンチング35Aが貼着されている。
【0012】
そして、図2には接近を変更する機構が示されている。この図に示すように、中音域用ワイヤ105の一端の孔を通ってビス104がレギュレチングレール100の両端にそれぞれねじ込まれている。これらの中音域用ワイヤ105は、定滑車106の溝にそれぞれ掛かって方向を変えている。そして、これらの中音域用ワイヤ105の他端は、引張バネ107の一端にそれぞれ係止している。これらの引張バネ107の他端には、接続ワイヤ108の一端がそれぞれ係止している。これらの接続ワイヤ108の他端は、係止ピン109の輪にそれぞれ係止している。なお、低音域用ワイヤ112、高音域用ワイヤ113も上記と同じ様な構成で係止ピン109にそれぞれ係止している。この係止ピン109は周知の中央ペダル110に植設されている。この中央ペダル110は、前土台111からその踏板部が突出している。この前土台111には、演奏者が中央ペダル110の踏板部を下に踏んで左に移動させて保持させるためのL字形状のラッチ孔110Aが形成されている。
【0013】
また、上記レギュレチングブラケット101はバネ材で作製され、周知のレギュレチングブラケットと同じ強度であるけれども、1mm程度の可撓性を有している。この可撓性によってレギュレチングレール100は1mm程度の範囲で昇降するものである。このレギュレチングレール100の両端側の下にはストッパ114がそれぞれ配設されている。これらのストッパ114はネジ115によってセンターレール28にそれぞれ固定されている。このストッパ114の固定位置は、所定範囲で上下できるものである。なお、図2には示していないが、レギュレチングレール100の下部にレギュレチングボタン35がそれぞれねじ込まれているものである。
【0014】
そして、レギュレチングレール100の昇降の切替は、中央ペダル110によって行われる。すなわち、この中央ペダル110がラッチ孔110Aの右側に位置するときは、中央ペダル110はラッチ孔110Aの上側に位置しているものである。このため、係止ピン109は接続ワイヤ108、引張バネ107、中音域用ワイヤ105を引っ張り下げることもない。レギュレチングレール100は通常演奏状態の位置にある。一方、中央ペダル110が演奏者により踏み込まれてラッチ孔110Aの下側に位置するときは、中央ペダル110は一定距離だけ下がっている。このため、係止ピン109は接続ワイヤ108、引張バネ107、中音域用ワイヤ105を引っ張り下げる。そして、レギュレチングレール100はストッパ114に当接するまで下降する。すなわち、予め設定しておいた1mm程度だけ下降するものである。このレギュレチングレール100に保持されたレギュレチングボタン35は通常演奏位置から1mmだけ下に位置することになる。この結果、ジャック小33Bがこのレギュレチングボタン35に当接する位置も1mm程度だけ下がるものである(図1参照)。
【0015】
また、ハンマーシャンク14と弦11の間には、ハンマーストッパ120が配設されている。このハンマーストッパ120は、紙面に垂直方向に延設された回動自在な軸120Aと、その軸120Aに固着されたクッション120B、120C等を備えている。軸120Aの一端はモータ(未図示)の回動軸に固着されている。ハンマーストッパ120のクッション120Bがハンマーシャンク14に対向する位置において、軸120Aの回動が停止したとする。この場合には、打鍵によりハンマーシャンク14が弦11の方向に回動すると、ハンマーシャンク14はハンマーストッパ120のクッション120Bに当接し、ハンマーヘッド13が打弦する直前にハンマーシャンク14は停止する。よって、ハンマーヘッド13が打弦するのを阻止できるものである。また、ダンパーワイヤーはクッション120Cに当接する。ハンマーストッパ120の軸120Aを回動させるモータにはモータ駆動回路が接続されている。このモータ駆動回路は、中央ペダル110の切替に対応した出力信号をモータに印加し、ハンマーストッパ120を所定の位置まで回動させるものである。
【0016】
以上の構成に係るアップライトピアノの作用について、中央ペダル110の上下の切替に分けて、以下説明する。
【0017】
中央ペダル110を下側に位置させたときは、レギュレチングレバー100が下降し、レギュレチングボタン35も1mm程度下降するものである。なお、中央ペダル110を踏み込んで下側に位置させた後、中央ペダル110を側方にずらして(水平方向に移動する)、その踏み込み状態を保持しておいてもよい。これと連動して、ハンマーストッパ120のクッション120Bはハンマーシャンク14に対向する位置に停止する(図1中の破線)。
【0018】
そして、打鍵すると、この打鍵に応じてジャック33が押し上げられる。このとき、ダンパー43が弦11から離間する。ジャック33の上昇は、バット15を突き上げて、図中時計回り方向にセンターピン17を中心にバット15を回動させる。このため、バット15に設けられたハンマーヘッド13およびハンマーシャンク14は図中時計回り方向に回動する。ただし、ジャック33は通常演奏のときより1mm程度下方の位置まで上昇すると、ジャック小33Bがレギュレーティングボタン35に当接する。この結果、ジャック33の上昇は、通常演奏のときより早く阻止されるとともに、ジャック33はバット15を突き放す。このときの接近の値は、5〜7mm程度である。この後もハンマーヘッド13およびハンマーシャンク14はその慣性により、なおも図中時計回り方向に回動し続けて、弦11を打撃しようとする。
【0019】
しかし、ハンマーヘッド13が弦11を打撃する直前に、ハンマーシャンク14がハンマーストッパ120のクッション120Bに当接する。この当接後、バットスプリング16の付勢力により、ハンマーヘッド13は弦11を打撃することなく跳ね返される。この結果、バット15はセンターピン17を中心に図中反時計回り方向に回動する。そして、キャッチャースキン19Aは、バックチェックフェルト27Aに当接する。すなわち、中央ペダル110を下側へ移動させたときには、ハンマーヘッド13は打弦せず、ハンマーストップ状態に移動するものである。したがって、この時は、弦11から発音することがない。
【0020】
なお、この状態では、打鍵に応じて、自動ピアノ等に用いられるキーセンサ、ハンマーセンサ等の演奏情報に基づいた電子音源から発音させてもよい。この発音をヘッドホーン等で聴いたり、スピーカの音量を低減して聞いてもよい。または、響板ドライバを用いて、響板から小さな音量で発音させてもよい。すなわち、夜、日中であっても、アップライトピアノの生音を出したくないときは、弦から発音させずにアップライトピアノの演奏を楽しむことができるものである。
【0021】
一方、中央ペダル110をラッチ孔110Aの右側の上に位置させたときは、レギュレチングレバー100が通常演奏状態の位置に移動し、レギュレチングボタン35も通常演奏状態の位置に移動するものである。これと連動して、ハンマーストッパ120の軸120Aは弦11に平行する位置に停止する(図1中の実線)。
【0022】
そして、打鍵に応じてジャック33が押し上げられ、ダンパー43が弦11から離間する。ジャック33はバット15を回動し、さらに、バット15はジャック33から通常演奏の位置で脱進し、接近の値も通常演奏と同じ2mm程度である。その後もハンマーヘッド13およびハンマーシャンク14はその慣性により、図中時計回り方向に回動し続けて、弦11を打撃しようとする。ハンマーヘッド13は、ハンマーストッパ120に回動運動を遮断されないので、弦11を通常演奏通り打撃する。この打弦後も通常演奏通り、ハンマーヘッド13は弦11の反発力、および、バットスプリング16の付勢力により跳ね返される。この結果、バット15はセンターピン17を中心に図中反時計回り方向に回動する。そして、キャッチャースキン19Aは、バックチェックフェルト27Aに当接する。すなわち、中央ペダル110が右側の上に位置している時には、ハンマーヘッド13は通常演奏通りに打弦して、ハンマーストップ状態に移動するものである。
【0023】
したがって、アップライトピアノにおいては、接近の値を変更可能にすることにより、打弦音を発生させない非打弦演奏と、鍵のタッチが阻害されない通常演奏を実現できるものである。また、ハンマーストッパ120を図1に実線と破線とで示す位置の中間部に位置させると、弱音打弦演奏を行うこともできる。
【0024】
なお、上記ハンマーストッパ120の代わりに、図3に示されるハンマーストッパ130を用いてもよい。このハンマーストッパ130は、鍵盤配列方向に沿って延設された所定の長さ、幅、厚さを有する長板130Aを備えている。この長板130Aの一方の面(ハンマーシャンク14側の面)はハンマーシャンク14が面により当接するように所定角度だけ傾斜して形成され、この面にはハンマーシャンク14用のクッション130Bが固着されている。長板130Aの他方の面にはダンパーワイヤ用のクッション130Cが固着されている。また、この長板130Aの一端はシャフト(図示外)を介してアップライトピアノ下部に配設された中央ペダル110(図2参照)に連結されている。演奏者が中央ペダル110を踏み込むことにより、このストッパ130は下方に移動し(図中破線)、ハンマーヘッド13の非打弦を実現するものである。
【0025】
次に、図4を用いて、本発明の鍵盤楽器の第2実施例に係るグランドピアノを説明する。この図は、グランドピアノの弦およびアクションの休止状態を示す側面図である。
【0026】
この図において、各音高に対応して弦200は、ほぼ水平にそれぞれ張設されている。この弦200に対応してハンマーアセンブリは配設されている。このハンマーアセンブリは、図中時計回り方向に回動して弦200を打撃するハンマーヘッド201と、このハンマーヘッド201に連設されたハンマーシャンク202と、このハンマーシャンク202の基端においてピン204を中心にして回動自在にハンマーシャンク202を支持したハンマーシャンクフレンジ203と、ハンマーシャンク202の基端側に設けられたハンマーローラー205と、を備えている。
【0027】
そして、ハンマーアセンブリのハンマーローラー205にはレペティションレバー206が当接している。このレペティションレバー206はサポート207に回動自在に支持されている。このサポート207の右端にはジャック208が回動自在に支持されている。このジャック208のジャック大208Aの先端(頂端)は、レペティションレバー206の長孔206Aを通ってハンマーローラー205の下面に当接している。ジャック208は、打鍵に応じた図中時計回り方向への回動力をハンマーアセンブリに伝達するものである。また、ジャック小208Bの上面が当接可能な位置には、レギュレチングボタン209が配設されている。
【0028】
くわしくは、ハンマーシャンクフレンジ203の下面において、弦200に対応して配設される88個の鍵全体にわたって、シャンクレール210が横断延設されている。このシャンクレール210には、図5に示すように、上レギュレチングレール211がネジ212によって固定されている。この上レギュレチングレール211の下面には、スライドくさび214を介して下レギュレチングレール215が保持されている。この下レギュレチングレール215は、引張バネ218によって、常時、上レギュレチングレール211に接近する方向に付勢されている。また、下レギュレチングレール215の下部には、レギュレチングボタン209がねじ込まれているものである。このレギュレチングボタン209の下面にも皮革等のレギュレチングボタンパンチング209Aが貼着されている。
【0029】
また、スライドくさび214は低音域、中音域、高音域毎に3分割されて横断延設されたものである。このスライドくさび214は、弦200に対応して配設される88個の鍵全体にわたって横断延設された梁216に連設されている。この梁216の演奏者側の両端には2個のソレノイド217がそれぞれ当接している。これらのソレノイド217を、ペダル(図示外)等の切替手段によって、駆動させることによって、梁216を介して、スライドくさび214は水平方向に可動するものである。スライドくさび214と、上レギュレチングレール211,下レギュレチングレール215との当接面において、フッ素樹脂等のきわめて摩擦力の低いシートをそれぞれ介在させることによって、スライドくさび214の水平方向の可動が滑らかになっている。このスライドくさび214が水平方向に可動することによって、下レギュレチングレール215に取り付けられたレギュレチングボタン209は、1mm程度上下に可動するものである。
【0030】
さらに、サポート207の下面にはキャプスタン220が当接している。このキャプスタン220は鍵盤221の奥端部上面に突設されている。また、ハンマーシャンク202と弦200の間には、図1に示したハンマーストッパ120が配設されている。なお、このハンマーストッパ120の代わりに、図3中のハンマーストッパ130を用いてもよい。
【0031】
以上の構成に係るグランドピアノの作用について、ペダルの上下の切り替えに分けて、以下説明する。
【0032】
ペダルを下側に位置させたときは、ソレノイド217によってスライドくさび214が左(ジャック208に接近する方向)に移動する。このため、下レギュレチングレール215が下降し、レギュレチングボタン209も1mm程度下降するものである。これと連動して、ハンマーストッパ120はハンマーシャンク14に対向する位置に停止する(図4中の破線)。
【0033】
そして、打鍵すると、この打鍵に応じてジャック208が押し上げられる。このジャック208の上昇によって、ハンマーヘッド201およびハンマーシャンク202は図中時計回り方向に回動する。ただし、ジャック208は通常演奏のときより1mm程度下方の位置まで上昇すると、ジャック小208Bがレギュレーティングボタンパンチング209Aに当接する。この結果、ジャック208の上昇は、通常演奏のときより早く阻止されるとともに、ジャック208はハンマーローラー205を突き放す。このときの接近の値は、5〜7mm程度である。この後もハンマーヘッド201はその慣性により、なおも図中時計回り方向に回動し続けて、弦200を打撃しようとする。
【0034】
しかし、ハンマーヘッド201が弦200を打撃する直前に、ハンマーシャンク202がハンマーストッパ120のクッション120Bに当接する。この当接後、ハンマーヘッド201は弦200を打撃することなく跳ね返される。この結果、ハンマーシャンク202は、ハンマーシャンクストップフェルト222に当接する。すなわち、ペダルを下側へ移動させたときには、ハンマーヘッド201は打弦せず、ハンマーストップ状態に移動するものである。したがって、この時は、弦200から発音することがない。
【0035】
なお、この状態でも、打鍵に基づく電子音源から発音させてもよい。夜、日中であっても、グランドピアノの音を出したくないときは、弦から発音させずにグランドピアノの演奏を楽しむことができるものである。
【0036】
一方、ペダルを上に位置させたときは、ソレノイド217によってスライドくさび214が右(ジャック208から遠ざかるする方向)に移動する。このため、下レギュレチングレバー215が通常演奏状態の位置に移動し、レギュレチングボタン209も通常演奏状態の位置に移動するものである。これと連動して、ハンマーストッパ120の軸120Aは弦200に平行する位置に停止する(図中の実線)。
【0037】
そして、打鍵に応じてジャック208が押し上げられ、ハンマーローラー205はジャック208から通常演奏の位置で脱進し、接近の値も通常演奏と同じ2mm程度である。その後もハンマーヘッド201はその慣性により、図中時計回り方向に回動し続けて、ハンマーストッパ120に回動運動を遮断されることなく弦200を通常演奏通り打撃する。この打弦後も通常演奏通り、ハンマーヘッド201は弦200の反発力により跳ね返される。そして、ハンマーシャンク202は、ハンマーシャンクストップフェルト222に当接する。すなわち、ペダルが上に位置している時には、ハンマーヘッド201は通常演奏通りに打弦して、ハンマーストップ状態に移動するものである。
【0038】
したがって、グランドピアノにおいても、接近の値を変更可能にすることにより、打弦音を発生させない非打弦演奏と、鍵のタッチが阻害されない通常演奏を実現できるものである。
【0039】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、打弦音を発生させない非打弦演奏と、通常演奏をアコースティックピアノに近い連打性を有して実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係るアップライトピアノの弦およびアクションの休止状態を示す側面図である。
【図2】 本発明の第1実施例に係るストッパを示す斜視図である。
【図3】 本発明の第1実施例に係るアップライトピアノの弦およびアクションの休止状態を示す側面図である。
【図4】 本発明の第2実施例に係るグランドピアノの弦およびアクションの休止状態を示す側面図である。
【図5】 本発明の第2実施例に係るレギュレチングレールを示す斜視図である。
【符号の説明】
11 弦、
13,14,15,16,18,19 ハンマーアセンブリ、
33 ジャック、
100 レギュレチングレール(変更手段)、
120 ハンマーストッパ(阻止手段)。

Claims (2)

  1. 張設された弦と、ピアノのアクション部とを備えた鍵盤楽器であって、
    上記アクション部は、
    少なくとも鍵の操作に応じて上昇するジャックと、
    このジャックの突き上げに応じて回動するハンマーアセンブリと、
    上記弦を上記ハンマーアセンブリが打弦する通常演奏時と、上記弦を上記ハンマーアセンブリが打弦しない非打弦演奏時とを切り替える切替手段と
    上記ハンマーアセンブリと上記弦との間に位置し、上記非打弦演奏時に、打鍵に応じて回動するハンマーアセンブリの一部が当接するハンマーストッパとを有し、
    打鍵に応じてセンサからの演奏情報に基づいて電子音源から発音可能とし、
    上記非打弦演奏時、上記ジャックは、上記ハンマーアセンブリの一部が上記ハンマーストッパに当接する前に上昇を阻止されることを特徴とする鍵盤楽器。
  2. 上記上昇を阻止するタイミングを全鍵一括して変更可能とした請求項1に記載の鍵盤楽器。
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