JP4576147B2 - ポリエステル系フィルム被覆金属板、ポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法、及びポリエステル系フィルム被覆金属缶 - Google Patents

ポリエステル系フィルム被覆金属板、ポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法、及びポリエステル系フィルム被覆金属缶 Download PDF

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Description

本発明はポリエステル系フィルム被覆金属板、ポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法及びポリエステル系フィルム被覆金属板を成形して得られるポリエステル系フィルム被覆金属缶に関するものである。
更に詳細には、成形性、特に、シームレス缶の製缶性(例えば、絞り・しごき加工性)に優れたポリエステル系フィルム被覆金属板に関するもので、そのポリエステル系フィルム被覆金属板は従来の製造方法に比べ安価な方法で得られ、更に、得られる缶は耐食性や耐デント性に優れているため内容物の保存性に優れ、また、内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理といった熱水処理やパストロ殺菌処理といった温水処理が施された後にも缶の外面フィルムは透明感を失わないため、良好な印刷外観の保持性に優れたポリエステル系フィルム被覆金属缶に関するものである。
スチールやアルミニウムを素材とした金属缶・容器は、その形状からスリーピース缶とツーピース缶とに大別される。
スリーピース缶は、地蓋、缶胴、天蓋から成るためスリーピース缶と呼ばれており、製胴方法が現在はシーム溶接や接着が主であることから、価格の安いスチールが使用されている。
一方、ツーピース缶は、地蓋と缶胴とが一体となったもので、それに天蓋とから成るためツーピース缶、又は、缶胴部に接合部がないことからシームレス缶とも呼ばれ、絞り加工や、絞り・しごき加工で製缶され、スチールとアルミニウムが使用されている。
従来、金属缶の場合、内面は内容物による腐食防止の点から塗装が施され、一方、外面は内容物の提示や商標デザインの提示等の点から塗装・印刷が施されている。こうした塗装にはエポキシ系、フェノール系といった各種の熱硬化性塗料が使用され、該熱硬化性塗料は熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解したものや分散させたものを塗布・乾燥して金属を被覆するもので、一般に広く使用されている。しかしながら、こうした熱硬化性樹脂による被覆方法は乾燥時間が長くかかって生産性が低下したり、多量の有機溶剤による環境汚染など、種々の問題を発生させることが多い、といった欠点があった。
こうした種々の問題を解消するため、近年、熱可塑性樹脂フィルムを積層した被覆金属缶が開発され、市場に出回っており、樹脂フィルムを金属板に被覆させる技術は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3等、数多く提案され、開示されている。
しかし、こうした開示されている技術では、下記の数式1で表される缶壁部の加工度(板厚減少率とも呼ばれる)が高い絞り・しごき加工に耐えるフィルムは、内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理といった熱水処理やパストロ殺菌処理といった温水処理でフィルムの白化(フィルムが白くなる現象)が起こり易く、缶の外観を損ねることになり、一方、白化が起こり難いフィルムは高加工性に劣る、といった状況で、両立できる樹脂フィルムがなかなか無く、高加工性と耐白化性の両立できるフィルム被覆缶が所望されている。
加工度(%)=((元板厚−缶壁部板厚)/元板厚))×100 …… 数式1
又、フィルム被覆金属板の製造技術の面からは、被覆金属板の製缶性は前述したようにツーピース缶の場合、熱可塑性樹脂フィルム被覆金属板の加工度(又は変形度合)が大きいので成形時に缶内面側の樹脂フィルムに傷が入り易く、その場合、缶内面の品質確保ができなくなるため、缶の品質検査を厳重に行う必要性が生じ、製品歩留まりが現行の塗装缶に比べて劣る、といった欠点が挙げられている。
又、内容物が充填・密封された缶体を落とした場合、その部位に衝撃が加わり材料が変形するばかりでなく、同時にその衝撃と変形で被覆されているフィルムや塗膜にクラックが入り、激しい場合にはそこが缶の金属の腐食起点となる、といった現象があり、内容物によっては金属腐食が孔食となり缶に孔が開くといった穿孔缶となる場合があることから、耐食性は内容物の保存の点から重要な特性となっている。
従って、塗膜やフィルムは缶体が落下させられてもクラックが入り難いことが重要で、こうした缶特性は、塗膜やフィルム面からは「耐デント性」と呼ばれているが、耐デント性は、特に、前述したレトルト殺菌処理といった熱水処理やパストロ殺菌処理といった温水処理によって、特に結晶性ポリエステルの場合では著しく低下するため、充填する内容物に制約があった。
こうした背景もあって、成形技術の改善や同時に廉価な被覆金属板の製造方法の検討がなされてきている。
例えば、低価格の被覆金属板を得る方法としては、熱可塑性樹脂を溶融押出法で被覆する方法が、例えば特許文献4等で開示されている。
しかし、該方法ではTダイから金属板までの距離を短くすることが困難であり、その結果、両端部の厚みが非常に厚くなるため、厚みが均一な中央部分(実質的に金属板に被覆できる部分)が狭くなり、且つ切断除去した両端部を再利用できないため材料ロスが多くなる、といった欠点を有する被覆方法であった。
前記欠点を回避するため、溶融押出後に冷却固化して得たポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートの未配向フィルムを加熱された金属板に圧着させる方法が、特許文献5等で開示されている。
該方法では、Tダイから金属板までの距離を短くすることが可能であり、その結果、厚みが均一な中央部分(実質的に金属板に被覆できる部分)が前記した方法より広がり、且つ切断除去した両端部を再利用できるため、材料ロスを少なくすることができる方法である。
しかしながら、該方法は両端部を切断する際、フィルムが破断し易く、又、原料ポリエステルとして、ポリブチレンテレフタレートの含有率が多くなると(例えば40重量%以上)、ポリエステル製膜用として公知のクロムメッキの鏡面ロールを用いて30m/分以上の高速で製膜した場合、フィルム表面に微細な凹凸が発生し易く、このフィルムを被覆させた場合、金属板とフィルムの間に気泡が存在する状態となり、製缶時にこの気泡を起点とした微細なフィルム破れが発生し易い、と言う欠点があった。
又、絞り加工や絞り・しごき加工等の製缶加工に優れたポリエステルフィルムとして、例えば特許文献6に、2,6−ナフタレンジカルボン酸80〜95モル%、脂肪族ジカルボン酸5〜20モル%からなる酸成分と、主としてエチレングリコールからなるグリコール成分よりなり、平均粒径2.5μm以下の滑剤(好ましくはシリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリコーン樹脂粒子)を含有したポリエステル二軸延伸フィルムが開示されている。
更に、前述した耐デント性について言えば、耐デント性が良好なポリエステル被覆積層体として、特許文献7等に、(I):ポリエチレンテレフタレート・セグメント、(II):ブチレングリコールと芳香族二塩基酸から誘導されたポリエステル・セグメント、(III):ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸から誘導されたポリエステル・セグメントを(I):(II):(III)=10〜70:12〜81:3〜54の重量比で含有し、更にヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.01〜1.5重量%含有するポリエステルよりなる積層体が開示されている。
しかしながら、該積層体を被覆した金属板を、例えば80缶/分以上の高速で絞り・しごき加工して金属缶を得ようとした場合、缶内面側ではパンチの離型性が劣るため、缶の開口部が坐屈したりして正常な缶が得られない場合があることや、缶の外面側はフィルムが缶の高さ方向にダイスによる縦傷が入る、通称「カジリ」と呼ばれる現象が発生して外観を著しく損ねた缶となり易く、従ってポリエステル被覆金属板として未だ十分に満足できるものは得られていないのが現状である。
特開平7−2241号公報 特開平7−195619号公報 特開平8−244750号公報 特開昭57−203545号公報 特開2001−1447号公報 特開平7−82391号公報 特開平10−119183号公報
そこで、本発明の目的は、高速・高加工度での製缶性(例えば、絞り・しごき加工性)に優れた、ポリエステル系フィルム被覆金属板を提供することである。
又、本発明の別の目的は、得られるフィルムの厚みが均一な中央部分(実質的に金属板に被覆できる部分)が広く、且つ切断除去した両端部を再利用できるため材料ロスを少なくすることができ、更に両端部を切断除去する際に、フィルムが切断し易く、高速で溶融樹脂膜を冷却して固化した場合にもフィルムに微細な凹凸が発生し難い、といった利点を有し、生産効率の高い、低価格のポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法を提供することである。
更に、本発明の別の目的は、耐食性や、缶体が落下させられた時に起こるフィルムのマイクロクラックが発生し難い、といった良好な耐デント性を、特にレトルト殺菌処理といった熱水処理を経た後でも有しており、内容物の保存性に優れ、又、レトルト殺菌処理といった熱水処理やパストロ殺菌処理といった温水処理を経てもフィルムの白化現象が起こらないため、缶の外観は美麗観を確保されるなど、従来にない優れた特徴を有するポリエステル系フィルム被覆金属缶を提供するものである。
本発明のポリエステル系フィルム被覆金属板は、エチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(PET)とブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(PBT)との混合比が60:40〜30:70重量%の混合ポリエステルからなるポリエステル系フィルムを金属板の両面に被覆させてなるポリエステル系フィルム被覆金属板であって、該ポリエステル系フィルム被覆金属板を成形して金属缶とする場合の少なくとも缶の内面側に相当する面に被覆されている該ポリエステル系フィルムが、前記混合物とオレフィン系ポリマーが70:30〜99:1重量%の混合比で混合された、PET/PBT/オレフィン系ポリマーの3元系組成物よりなり、密度が1.320g/cm以下であることを特徴とする。
本発明のポリエステル系フィルム被覆金属板は、前記オレフィン系ポリマーが、ポリエチレンおよび/またはエチレン共重合体であることが好ましい。
又、本発明のポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法は、エチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(PET)とブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(PBT)との混合比が60:40〜30:70重量%の混合ポリエステルと、オレフィン系ポリマーを70:30〜99:1重量%の混合比で混合されたPET/PBT/オレフィン系ポリマーの3元系組成物を、Tダイから層状に溶融押出して、押出した溶融樹脂膜を表面粗度(Ra)が0.2μm以上〜4.0μm未満の冷却ロールで冷却固化させた後、少なくとも縦方向に1軸延伸を行った、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下のポリエステル系フィルムとし、次いで両端部を切断除去した該ポリエステル系フィルムを、該ポリエステル系フィルムのブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点−10℃から融点+50℃に加熱された金属板の少なくとも片面に圧着させて金属板を被覆した後、更に該ポリエステル系フィルム被覆金属板の板温度を該ポリエステル系フィルムのエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点以上に加熱した後に急冷することを特徴とする。
本発明のポリエステル系フィルム被覆金属板は、上記のポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法によって製造されてなるものであることが好ましい。
更に、本発明のポリエステル系フィルム被覆金属缶は、前記のポリエステル系フィルム被覆金属板から成形して得られる金属缶であって、少なくとも該金属缶の内面側に被覆されているポリエステル系フィルムの密度が1.320g/cm以下であることが好ましい。
本発明のポリエステル系フィルム被覆金属板は、良好な製缶性を有するだけでなく、良好な耐食性や耐デント性に優れている等、品質面からも優れた缶が得られる。更に、内容物を充填・密封した後に行われるレトルト殺菌処理で、フィルムの白化といった外観を大きく損ねることがないため、優れた印刷外観が保持・確保できるなど、多くの利点を有している。
更に、本発明のポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法は、材料ロス率が大幅に改善されだけでなく、生産性も向上することができるため、経済的メリットもあることから、極めて有用な方法であると言える。
つまり、得られるフィルムの厚みが均一な中央部分(実質的に金属板に被覆できる部分)が広く、且つ、切断除去した両端部を再利用できるため材料ロスが少なく、更に両端部を切断除去する際に、フィルムが切断し易く、また高速で溶融樹脂膜を冷却固化した場合にもフィルムに微細な凹凸が発生し難い、といった利点を有しており、生産効率も高いため低価格のポリエステル系フィルム被覆金属板が提供できる。
本発明を実施することで得られる缶は、前述したように、内容物が充填・密封された後に施されるレトルト殺菌処理といった熱水処理やパストロ殺菌処理といった温水処理を経てもフィルムの白化現象が発生し難いため、例えば、缶の外観は美麗観を確保でき、更には、レトルト殺菌処理といった熱水処理後においても良好な耐デント性を有する、といった優れた特徴を有するポリエステル系フィルム被覆金属缶が得られる。
先ず、本発明で使用されるポリエステル系フィルムについて述べる。
本発明で使用されるポリエステル系フィルムは、製缶性と、内容物を充填・密封した後に施される殺菌処理時の白化の問題から、エチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(PET)とブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(PBT)の混合比が60:40〜30:70重量%の混合ポリエステルを主成分とするポリエステル系フィルムであることが必要である。
上記混合ポリエステル中で、ブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルが40重量%未満では、内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理といった熱水処理や、パストロ殺菌処理といった温水処理でフィルムの白化現象が起こり、特に缶の外面・外観を損ねるため、好ましくない。
一方、ブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルが70重量%を超えると製缶性に問題が発生し易く、特に缶外面側のフィルムが、しごき加工で缶高さ方向に縦疵が入る、通称、「カジリ」と呼ばれている現象が起こり、印刷外観を損ねるため、製品にならず好ましくない。
カジリは、特にしごき加工の加工度が高くなると発生しやすく、生産歩留まりが低下するだけでなく、場合によっては製造ラインをストップして金型の手入れを行う必要があり、生産性を著しく低下させる原因となるため、極力、回避しなければならない問題である。
本発明では、被覆材や成形缶に被覆されているポリエステル系フィルムの、少なくとも缶の内面側に相当する面に被覆されるポリエステル系フィルムとしては、PET/PBTの混合ポリエステル100重量部に対して亜リン酸エステル系安定剤を、0.01〜3重量部配合させた混合物に、オレフィン系ポリマーを配合させてなるPET/PBT/オレフィン系ポリマーの3元系組成物を用いることが、フィルムの耐デント性を確保する上で好ましい。
亜リン酸エステル系安定剤が0.01重量部未満の場合、特に80缶/分の高速製缶加工になると、カジリが起こり易く正常な缶が得られなくなる場合があり、又、耐デント性も低下するなど、好ましくない現象が発生する場合が多い。
一方、亜リン酸エステル系安定剤が3重量部を超えても耐カジリ性や耐デント性といった特性はさほど向上せず、配合による効果は飽和してくるだけでなく、フィルムの透明性が局部的に劣る透明欠陥が発生し易くなったり、また気泡の発生が起こることがあり、逆効果となってしまい、好ましくない場合が多い。
なお、フィルムに配合される亜リン酸エステル系安定剤の組成は、特に限定されるものではないが、好ましい例としては、ビス(2,4−ジ−第三ブチル)フェニルHスファイト、ビス(2,6−ジ−第三ブチル−4メチル)フェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジメチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトール−ジホスファイト等が挙げられる。
又、ポリエステル系フィルムへの亜リン酸エステル系安定剤の配合方法も、特に限定するものでなく、ポリエステル製造時に亜リン酸エステル系安定剤を配合したポリマーを用いてフィルムを製膜する方法、ポリエステルと亜リン酸エステル系安定剤を溶融混練して得たポリマーを用いてフィルムを製膜する方法、ポリエステルと亜リン酸エステル系安定剤との混合物を用いてフィルムを製膜する方法等の、いずれの方法も可能で、設備に合った方法を採用することができる。
更に、亜リン酸エステル系安定剤とその他の安定剤を併用することも可能である。併用する安定剤は特に限定されるものではないが、例えば、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−第三−ブチルフェニル)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−第三ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール酸化防止剤が挙げられる。
極限粘度(IV)は、樹脂の平均分子量を示す指標であり、本発明において特に限定するものではないが、極限粘度(IV)は0.70dl/g以上であることが望ましい。
極限粘度(IV)が0.70dl/g以下では樹脂フィルムの衝撃破壊強度が小さく、内容物が充填・密封された缶を落としたりした場合、その部位に衝撃が加わり材料が変形するだけでなく、同時に、その衝撃と変形で樹脂フィルムにクラックが入り、激しい場合はそこが缶の金属の腐食起点となる場合がある。
こうした状況に対する特性を耐デント性と呼ぶが、腐食性の激しい内容物の場合には穿孔缶となることもあり、耐デント性が劣ることは、重大な問題となる要因を有しており、好ましくない場合が多い。
又、極限粘度が0.70dl/g以下ではフィルムの機械的強度が小さく、前述したように缶の内面側ではパンチの離型性、缶の外面側では耐カジリ性の点で、特に成形速度の高速化や高加工度化に対応するためには不十分な場合が多い。
従って、耐デント性や成形性の点で極限粘度が0.70dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.75dl/g以上、更に好ましくは0.80dl/g以上がよい。
本発明におけるポリエステルの製造方法については特に限定しない。即ち、エステル交換法又は直接重合法のいずれの方法で製造されたものであっても使用できる。又、分子量を高めるために固相重合法で製造されたものであってもかまわない。更に、缶に内容物を充填・密封後に実施されるレトルト殺菌処理、パストロ殺菌処理等でのポリエステル樹脂からの溶出オリゴマー量を少なくする点から、減圧固相重合法で製造されたオリゴマー含有量が低いポリエステルを使用することは好ましい。
本発明におけるポリエステルには、必要に応じて紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤、無機又は有機粒子よりなる滑剤等を配合させてもよい。
本発明に適用されるポリエステル系フィルムは、ジカルボン酸とジオールの重縮合で得られるポリエステルを主成分とする。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、P−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が使用できる。
又、ジオールとしては、エチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコールが使用できる。
本発明ではエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(PET)とブチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル(PBT)の特性を損なわない範囲で、前述したジカルボン酸とジオールからなる成分を使用することは可能である。
ポリエステルにオレフィン系ポリマーを混合することで、前述したフィルムの耐デント性は大幅に改善される。この理由は、缶を落とした時の衝撃エネルギーをオレフィン系ポリマーが吸収するためと推定される。
この、衝撃エネルギーを吸収する能力は、使用する樹脂組成やその含有量等に影響されると考えられる。
ポリエステルに混合するオレフィン系ポリマーとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、エチレンエチルアクリレート無水マレイン酸共重合体、アイオノマー、エチレン無水マレイン酸グラフト共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等が使用できる。
本発明のオレフィン系ポリマーは、上記の中から選択された1種の樹脂を単独で使用することも、また2種類以上の樹脂を使用することも可能であり、好ましくは、ポリエステルと混合されるオレフィン系ポリマーは、ポリエチレンおよび/またはエチレン共重合体である。
本発明では、ポリエステルとオレフィン系ポリマーを混合して使用するが、混合比率はポリエステルとオレフィン系ポリマーが70:30〜99:1重量%であることが必要である。
オレフィン系ポリマーが1重量%未満では、前述した耐デント性の改善効果が見られず不十分であり、好ましくない。
一方、30重量%を超えても、耐デント性の改善効果は飽和し、不経済であるだけでなく、オレフィン系ポリマーの特性が現れてきてフィルム全体が軟化するため、しごき加工で缶の内面側ではポンチの離型性が劣ってきたり、また缶の外面側ではカジリの発生が起こったりして、製缶性の点でかえって悪くなり、特に、缶壁部の加工率が高くなると上記不具合が起こり易くなるため好ましくない。
従って、混合ポリエステルとオレフィン系ポリマーの混合比率は、製缶加工の加工条件との関係で決める必要があるが、混合ポリエステルとオレフィン系ポリマーの混合比率としては、上記に記載したように70:30〜99:1重量%であることが必要で、より好ましくは混合ポリエステルとオレフィン系ポリマーの混合比率としては、70:30〜93:7重量%が良い。
本発明のポリエステル系フィルム被覆金属板に被覆するフィルムの厚みは、8μm〜40μmが好ましい。フィルム厚みは、缶の内面側に適用する場合は内容物に対する金属の耐食性確保を、缶の外面側に適用する場合は耐カジリ性や加工による肌荒れ等の外観の点から規定するものである。
缶の内面側に適用する場合、8μm未満では、前述した缶壁部の加工度及び内容物の腐食性にもよるが、金属板の内容物に対する防食性を確保するのは難しく、一方、40μmを超えても防食性は飽和し、経済的でない。缶の内面側に相当する金属板に被覆するフィルム厚みとしては、10μm〜40μmが好ましい。
又、缶の外面側に適用する場合、これも缶壁部の加工度によるが、基本的にはフィルムの耐カジリ性は薄い方が良好であるが、8μm未満では高加工度の場合、フィルムにカジリは発生しないが加工による肌荒れが発生し、外観が劣ってくるので好ましくない。缶の外面側に相当する金属板に被覆するフィルム厚みとしては、8μm〜20μm、更に好ましくは8μm〜16μmが良い。
次に、本発明の金属板に被覆されるポリエステル系フィルムの製造について述べる。
本発明の製造方法では、前述したエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルが60:40〜30:70重量%の混合ポリエステルと、オレフィン系ポリマーを70:30〜99:1重量%の混合比で混合した3元系組成物を、公知の1軸又は2軸押出機内で溶融させた後、Tダイから層状に押出した溶融樹脂膜を冷却ロールで冷却固化させる。冷却ロールの表面粗度(Ra)は、Tダイから層状に押出す速度との関係で、フィルム製造の重要な要件となっており、本発明の方法では、冷却ロールの表面粗度(Ra)が0.2μm以上〜4.0μm未満であることが必要である。
冷却ロールの表面粗度(Ra)が0.2μm未満の場合、Tダイから層状に押出した溶融樹脂膜の冷却固化速度を30m/分以上の速度で冷却固化した場合、冷却ロールに沿って流れる空気が高速になる程逃げにくくなるため、フィルムに微細な凹凸を発生させ易くなる。こうした状態のフィルムを被覆させた場合、金属板とフィルムの間に気泡を巻き込んだ被覆金属板となり、成形でこの気泡を起点とした微細な破れがフィルムに発生するため、好ましくない。
一方、冷却ロールの表面粗度(Ra)が4.0μmを超えると、冷却ロールに沿って流れる空気は逃げ易くなるが、Tダイから層状に押出した溶融樹脂膜の冷却固化が不十分な場合が起こったり、更には、ロール表面の粗度プロフィルがフィルム面に転写し易くなる。
特に、ロール表面の粗度プロフィルがフィルム面に転写した状態のフィルムを被覆した場合、フィルム表面が斑状の外観になり、特に缶外面側で使用するフィルムの場合は外観不良となり易く商品価値を低下させる原因となり、好ましくない。
冷却ロールの表面粗度(Ra)は、溶融樹脂膜の冷却固化速度や得られるフィルムの表面外観から最適範囲を選定することが必要であるが、好ましくは0.2μm〜3.5μmの範囲、更に好ましくは0.2μm〜2.5μmの範囲が最適である。
本発明では、ポリエステル系フィルムの表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であることが製缶性を確保し、得られた缶の商品価値を高めるために必要であり、0.02〜0.1μmであることが、フィルムのブロッキングによる巻き出し性の低下を抑制し、金属板とのラミネート性を確保するために更に好ましい。このポリエステル系フィルムの表面粗さ(Ra)を得るために冷却ロールの表面粗度(Ra)が上記範囲であることが重要となる。
冷却ロールの表面粗度(Ra)は、後述するロール表面温度、更には冷却ロール径等の関係からも、最適範囲が決まってくるが、基本的には冷却固化速度が速い場合は冷却ロールの表面粗度(Ra)は大きく、ロール表面温度は低めで、ロール径は大きくした方が良い。
冷却ロール表面に形成する表面粗さの形状は特に限定するものではなく、スパイラル状の溝に仕上げたもの、ダイヤカット状の溝に仕上げたもの、梨地状に溝を仕上げたもの等が使用できるが、特に梨地状の形状の粗度プロフィルを有するものが空気の流れ問題、及びロール表面粗度プロフィルのフィルム面への転写問題の両立面から、バランス良く両立する範囲が広く、最適である。
なお、本発明における冷却ロールの表面粗度(Ra)は、冷却ロールの幅方向に測定した値を示すものである。
又、層状に押出した溶融樹脂膜を冷却固化するに際し、冷却ロールの表面温度は50℃以下にすることが好ましい。冷却ロールの表面温度が50℃を超えると、製膜性には直接影響を及ぼすことはないが、後述する、その後に行う縦方向の延伸でフィルムに微細なクラックが入る場合がある。特に、縦方向の延伸倍率を大きくするとフィルムに微細なクラックが入り易くなる傾向が見られるため、好ましくない場合が多い。冷却ロールの表面温度は45℃以下がより好適である。
なお、冷却ロールの表面温度が低すぎると、冷却ロール表面が結露する場合があり、水滴がフィルムに触れると表面状態や結晶状態が変わるため好ましくない場合が多い。
本発明では溶融樹脂を冷却ロールに接触させる際、静電気で密着させる方法を採用することが好ましい。又、静電密着法において層状樹脂の両端部と中央部を独立させて実施する方法がより好ましい。更に、溶融樹脂が冷却ロールに接触する際、 反対側を減圧して随伴流を低減させる方策(例えば、バキュームチャンバー、バキュームボックス等の装置)を併用することがより好ましい。
冷却固化後のフィルムの中央部の平均厚みは250μm以下とすることが、延伸性が良好となり好ましい。
本発明では冷却固化させた後、少なくとも縦方向に1軸延伸することが必要で、次いで両端部を切断除去してポリエステル系フィルムを得る。縦延伸条件としては、ポリエステルのガラス転移温度以上の温度で縦方向に1.3〜6.0倍延伸することが好ましい。
縦延伸を実施しない場合、フィルムの両端部を切断除去する際にフィルムの破断が起こり易く、好ましくない。又、フィルムの両端部を切断・除去しなければ、金属板に被覆させた際に被覆金属板の両端部のフィルム厚みが厚くなり、その部位は成形に供することができなくなるため、材料ロスが増大し経済的に好ましくない。
本発明では、両端部を含む樹脂をポリエステル系フィルムで再利用する場合、再使用率は特に限定しないが、5〜60重量%の範囲に留めることが好ましい。
本発明では、ポリエステル系フィルムの生産性を向上させるために、縦延伸後に横延伸を実施することは、勿論可能である。又、縦延伸フィルムもしくは縦横延伸フィルムは、一般的に熱収縮率が大きい特性を有しており、被覆した際にフィルム収縮が起こり易く、必要とする被覆幅が得難い場合がある。こうした場合には、必要に応じて延伸後のポリエステル系フィルムを緊張下で50℃以上〜ポリエステルの融点−20℃の温度範囲で1〜20秒間熱処理を行い、フィルムの延伸後の熱収縮率を制御することも可能である。
次に、本発明の、ポリエステル系フィルム被覆金属板について述べる。
本発明におけるポリエステル系フィルム被覆金属板は、ポリエステル系フィルムのブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点近くの温度に加熱された金属板の片面あるいは両面に、ポリエステル系フィルムを圧着させて被覆し、更に該金属板の板温度をポリエステル系フィルムのエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点以上の温度に加熱した後、急冷する方法で製造される。
本発明におけるポリエステル系フィルムを金属板に被覆させる方法は、前述したように、第1の要件であるポリエステル系フィルムのブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点−10℃から融点+50℃に加熱された金属板の片面あるいは両面に、ポリエステル系フィルムを圧着して被覆させること、及び第2の要件であるポリエステル系フィルムを被覆させた後、金属板の板温度をポリエステル系フィルムのエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点以上の温度に加熱した後、急冷すること、の2要件から成っている。
通常、第1の要件は、金属板の温度をポリエステル系フィルムの融点以上の温度に加熱して、ポリエステル系フィルムを被覆させるのが一般的に行われている方法であるが、本発明では、前述したポリエステル系フィルムの縦方向への延伸により、延伸する程度(延伸倍率)にもよるが、ポリエステルの融点−10℃からの被覆が可能となり、本発明の効果として現れている。
金属板にフィルムを被覆する手段としては、圧着ロールを用いてフィルムを同時あるいは逐次に被覆させる方法、等の周知の方法が適用できる。
ポリエステル系フィルムを金属板へ被覆させるためのフィルム供給方法としては、フィルム製造設備と被覆設備が一貫ラインとしてある場合は、製膜後のフィルムをインラインで被覆させることができる。
フィルム製造設備と被覆設備が別ラインの場合は、製膜したフィルムを一度巻き取り、被覆設備で巻ほどいて金属板に被覆させることができる。どの方法を採用するかは、設備との関係で適宜選択することが可能である。
金属板の加熱方法としては、電気炉中で加熱する方法、熱風による加熱方法、加熱ロールに接触させて加熱する方法、高周波で誘導加熱する方法、等の加熱方法が採用できる。
又、急冷する方法としては加圧空気(または圧縮空気)や冷却された加圧空気(または圧縮空気)を吹きかけて冷却する方法等が採用できる。又、状況によっては水等に浸漬して冷却する方法ことも可能である。
本発明において、金属板に被覆されているポリエステル系フィルムのうち、該フィルム被覆金属板を成形して金属缶とする場合の少なくとも缶の内面側に相当する面に被覆されているフィルムの密度は、1.320g/cm以下であることが必要である。
ポリエステル系フィルムの密度は、それが結晶性であるか否かで変化し、密度が1.320g/cm以下であると言うことは実質的に非晶質状態、或いは非晶質状態に極めて近い結晶状態であることを意味している。このことは、金属板に被覆されているポリエステル系フィルムを非晶質にすることで密度1.320g/cm以下を達成できることを示している。
本発明では、金属板に被覆されているポリエステル系フィルムの密度は1.320g/cm以下であるので、フィルムを絞り・しごき加工に追随させることができる。
金属板に被覆されているポリエステル系フィルムの密度が1.320g/cmを超えると、即ちフィルムが結晶化するとフィルムの伸び特性が落ちてくるため、特に缶壁部の板厚減少率が大きい高加工度に追随できず、局部的フィルム破断が起こり、缶の内外面フィルムの健全性が確保できないことがある。
缶の内面側のフィルムの健全性が確保できなくなると、素地金属の腐食に発展するため、内容物の保存性の点で大きな問題となり、好ましくない。従って、缶の内面側に相当するポリエステル系フィルムを非晶質にし、その密度を1.320g/cm以下にすることで、耐食性の優れたポリエステル系フィルム被覆金属缶の成形が達成できる。
金属板に被覆されているポリエステル系フィルムを非晶質にし、その密度を1.320g/cm以下にする方法としては、圧着ロールを用いてフィルムを被覆させた金属板を、ポリエステル系フィルムのエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点以上に加熱した後、水冷及び/又は空冷(空気を吹き付けて冷却する)等で急冷する方法、等が適用できる。
次に、本発明における金属板について述べる。
本発明では金属板は限定されるものではなく、鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板が使用される。
鋼板は、板厚や引張破断強度等の機械的特性は特に限定するものでなく、通常製缶用鋼板として使用されているもの、具体的には絞り缶用、絞り・しごき缶用、蓋用のそれぞれの用途に用いられている鋼板が使用される。
鋼板表面に施される表面処理も同様で、通称TFS−CTと呼ばれている電解クロム酸処理鋼板、Niめっき皮膜の上層に電解クロム酸処理を施した鋼板、等が使用される。
アルミニウム板やアルミニウム合金板も同様で、板厚や引張破断強度等の機械的特性は特に限定するものでなく、通常製缶用アルミニウム板として使用されているもの、具体的には絞り・しごき缶用、蓋用のそれぞれの用途に用いられているアルミニウム板が使用される。
アルミニウム板やアルミニウム合金板の表面処理については、リン酸クロム処理やその他の化成処理が施されたアルミニウム板やアルミニウム合金板が適用される。
次に、本発明のポリエステル系フィルム被覆金属缶について述べる。
本発明の金属缶の缶胴は前述したしたように絞り加工や絞り・しごき加工によって得られる。
特に、本発明の缶は絞り・しごき加工を行った後、開口部を正規の缶高さにトリミングし、開口部を更に絞り加工を行い、開口部を缶胴の径に比べ小径に加工(ネックイン加工)した後、缶蓋を巻締められるようにフランジを加工(フランジ加工)し形成するシームレス缶であり、又、絞り・しごき加工によりシームレス缶を作成し、その後、シームレス缶開口部あるいは缶底部に絞り加工を行って、肩部を形成すると共にキャップで密封出来る径にまで縮径し、更にキャップで閉缶することが出来るようにネジ切り加工を行った、再栓可能なボトル型缶等の金属缶である。
従って、本発明の金属缶においては、最終的にどの形状の缶を得るかによって前述した数式1で示される缶壁部の加工度は異なるが、加工度としては25%〜65%の範囲が最適である。
本発明における金属缶の、少なくとも内面側に被覆されているポリエステル系フィルムの密度は、1.320g/cm以下であることが好ましい。密度が1.320g/cm以下であると言うことは、前述したように実質的に非晶質状態、或いは非晶質状態に極めて近い状態であることを意味している。本発明における金属缶に被覆されているポリエステル系フィルムの密度を1.320g/cm以下にする理由は、次行程の成形加工性を確保するためである。
即ち、ポリエステル系フィルム被覆金属板を絞り・しごき加工を経て作成されたシームレス缶は、前述したように開口部を更に絞り加工を行い、開口部を缶胴の径に比べ小径に加工(この加工はネックイン加工と呼ばれている)した後、蓋を巻締めるためのフランジ出し加工(この加工はフランジ加工と呼ばれている)をするのが、アルミ製の易開缶蓋(イージーオープンエンド、通称EOEと呼ばれている)の低コスト化を図る観点から一般的である。
このネックイン加工、及びフランジ加工は、口部の小径化が大きいほど加工が厳しく、この部位でフィルム剥離が起こり易い。ポリエステル系フィルム被覆金属板から絞り・しごき加工を経て形成された缶の被覆フィルムは、その加工の熱履歴によって再度、結晶化している場合があり、そこが起点となって問題が発生し易い。勿論、フィルム剥離が起こった缶は、剥離部が内容物に曝されるため下地金属の腐食に繋がり、製品としては使用できない。
こうした問題を回避するためには、被覆されているフィルムの伸び特性と下地金属との密着性が良好である必要があり、そのためには、被覆されているポリエステル系フィルムは実質的に非晶質状態、或いは非晶質状態に極めて近い状態であることが必要で、それは密度を1.320g/cm以下にすることで達成される。
又、前述した再栓可能なボトル型缶の場合は、成形加工が通常のシームレス缶の加工に比べ、肩成形加工、ネジ切り加工等の、一層厳しい加工を受けることになるため、ポリエステル系フィルムの密度は1.320g/cm以下にすることが必要となる。
絞り・しごき加工で得られた金属缶に被覆されているポリエステル系フィルムを実質的に非晶質にし、密度を確実に1.320g/cm以下にするには、缶をもう一度ポリエステル系フィルムのエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点以上に加熱し再溶融した後、急冷する方法をとることで実現できる。
金属缶の加熱により被覆されているポリエステル系フィルムを非晶質にする工程としては、(1)絞り・しごき加工で得られた金属缶の開口部をトリミングする前に脱脂剤で潤滑剤を脱脂後、少なくともトリミングされる開口部を非晶質にする、(2)絞り・しごき加工で得られた金属缶を加熱して潤滑剤を揮発させると同時に非晶質にする、(3)トリミング後、シームレス缶であればネックイン・フランジ加工前に、再栓可能なボトル型缶であればネジ切り加工前に、少なくとも加工該当個所を非晶質にする、等があり、どの工程で、どのような手段で行うかは設備との関係で適宜選択することができる。
金属缶の加熱方法としては電気炉中で加熱する方法、熱風による加熱方法、高周波で誘導加熱する方法、等の加熱方法が採用できる。
従って、金属缶の外面に施す塗装・印刷工程の熱を利用して金属缶を加熱することも可能である。
又、急冷する方法としては加圧空気(あるいは圧縮空気)や冷却された加圧空気(あるいは圧縮空気)を吹きかけて冷却する方法等が採用できる。又、状況によっては水等に浸漬して冷却する方法も可能である。
以下、実施例にて、本発明の方法の効果を具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なお、本実施例で行った評価法は以下の通りである。
(1)ポリエステル系フィルムの融点(Tm)及び結晶化温度(Tc1)
ポリエステル系フィルムを300℃で3分間加熱・溶融した後、液体窒素で急冷して得たポリエステル系フィルム10mgを用い、窒素気流中、示差走査熱量計(DSC)で、10℃/分の昇温速度で発熱・吸熱曲線(DSC曲線)を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点Tm(℃)とし、結晶化に伴う発熱ピークの頂点温度を結晶化温度Tc1(℃)とした。
(2)樹脂フィルムの密度は、密度勾配管法にて測定した。
(3)ポリエステルの極限粘度(IV)
ウベローデ粘度計でオルトクロールフェノール溶液中にポリエステル系フィルムを0.100±0.003g溶解し、25.0±0.1℃で測定した。
(4)缶内面のフィルムと加工パンチの離型性
成形缶上部に起こる缶体の坐屈程度を観察し評価した。離型性の評価は、次のように評価基準を設定し、行った。
○:缶開口部の坐屈なく良好/実用性あり
△:缶開口部に軽微であるが坐屈あり/実用性難しい
×:開口部円周の1/3以上の坐屈あり/実用性なし
(5)缶外面のフィルムの耐カジリ性
成形した缶の缶壁部外面のカジリ発生程度を観察して評価した。耐カジリ性の評価は、次のように評価基準を設定し、行った。
○:カジリなく良好/実用性あり
□:フィルム表面に浅い軽微なカジリ発生/実用性レベルにあり
△:フィルム表面に円周の1/3程度にカジリ発生/実用性なし
×:フィルム表面に円周の1/3以上に激しいカジリ発生/実用性なし
(6)缶内面のフィルムの健全性(傷付き程度)(QTV試験)
1.0%食塩水に界面活性剤を0.1%添加した電解液を、成形した缶内に注入し、注入した電解液中に銅製棒電極を挿入して、缶を陽極、銅製棒電極を陰極とし印加電圧6Vで3秒後の電流値(mA)(QTV値)を測定し、被覆フィルムの健全性の評価とした。(以降、この評価法をQTV試験と称する。)
(7)缶内面のフィルムの耐デント性
成形した缶にお茶を充填してから開口部を缶蓋で密封し、125℃で30分レトルト殺菌処理を行った後、4℃の保冷庫に保存し、缶の温度が4℃になった時点で、高さ45cmの位置から60°の角度で缶底部を下にして落下させ、その後、缶蓋のパネル部を切断除去して缶を開缶した後、落下によって変形した部位以外を絶縁物でシールし、前記QTV試験と同様に、缶内に電解液と銅製棒電極とを入れて、缶を陽極、銅製棒電極を陰極とし、印加電圧6Vで30秒後の電流値(mA)を測定し、デント部フィルムの健全性の評価とした。(以降、この評価法を耐デント性評価と称する。)
(8)内容物を充填・密封した後に施される殺菌処理時のフィルム耐白化性の評価
125℃で30分レトルト殺菌処理を行った後のフィルムの白化程度を観察して評価した。耐白化性の評価は、次のように評価基準を設定し、行った。
◎:白化なく良好
○:ごく僅かな白化で実用レベルにある
×:明確に白化しており実用レベルにない
実施例及び比較例に用いたポリエステル、オレフィンの略号と内容は次の通りである。
[1]PET−I :ポリエチレンテレフタレート(IV:0.75、平均粒子径1.5μmの凝集シリカを2000ppm配合)
[2]PET−II:ポリエチレンテレフタレート(IV:0.58、平均粒子径1.5μmの凝集シリカを2000ppm配合)
[3]PBT−I :ポリブチレンテレフタレート(IV:1.20)
[4]PBT−II:ポリブチレンテレフタレート(IV:1.00)
[5]オレフィンA:低密度ポリエチレン
(住友化学社製、商品名:スミカセンG401)
[6]オレフィンB:エチレンアクリル酸共重合体
(ダウ・ケミカル社製、商品名:プリマコール3440)
[7]オレフィンC:エチレンメタクリル酸共重合体
(三井デュポンポリケミカル社製、商品名:ニュクレルン1108C)
[8]オレフィンD:エチレンエチルアクリレート共重合体
(三井デュポンポリケミカル社製、商品名:エバフレックスA712)
[9]オレフィンE:エチレン1−ブテン共重合体
(日本合成ゴム社製、商品名:EBM2041P)
又、実施例及び比較例に用いた安定剤、酸化防止剤の内容は次の通りである。
[10]安定剤:ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト(旭電化製、商品名:アデカスタブPEP−45)
[11]酸化防止剤:テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
(日本チバガイギー製、商品名:irganox1010)
[実施例1]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−I/PBT−I=60/40重量%の混合比で混合した混合ポリエステル100重量部に対して安定剤を1.0重量部配合した混合物と、(II)オレフィンA/オレフィンB=50/50重量%の混合比で混合したオレフィン系ポリマーを、(I):(II)=90:10重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物1)を用い、該3元系組成物を280℃で溶融させ、Tダイを用いて、表面温度を35℃にした表面粗度(Ra)が1.5μmの梨地状の冷却ロール(周速:50m/分)へ層状にキャストし、Tダイと冷却ロールとの間隔2cm、中央部と両端部は別々の装置で静電密着させ(中央部:4.5kV、両端部:6kVの直流電源を印加)冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に4.5倍延伸した後両端部を切断して、厚みが9μm、15μm、25μm、31μm、38μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは全て両端部のフィルム割れや外観不良もなく、良好であった。
こうして得られたフィルムを、加熱ロール(ジャケットロール)で245℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板の両面に前記のフィルムを、テスト1では缶の内面側相当面に15μm/缶の外面側相当面に15μmの組合せ、テスト2では缶の内面側相当面に25μm/缶の外面側相当面に15μmの組合せ、テスト3では缶の内面側相当面に31μm/缶の外面側相当面に9μmの組合せ、テスト4では缶の内面側相当面に38μm/缶の外面側相当面に9μmの組合せで、それぞれロール圧着させて被覆金属板を得た。次いで板温度が275℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト1〜テスト4)を得た。
得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、100缶/分の加工速度でカップ絞り加工、再絞り加工及びしごき加工を行って、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側についてはパンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、前記の缶の開口部をトリミングした後、金属板温度が272℃になるように加熱後、直ちに急冷し、ポリエステル系フィルムを非晶質にした後、ネックイン加工およびフランジ加工を行い、開口部を絞った350mlサイズ缶を製造した。得られた缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。缶内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、テスト1〜4の被覆アルミニウム合金板は、良好なパンチ離型性や耐カジリ性を示し、製缶性に優れていることが判る。また、得られた缶はレトルト殺菌処理での白化はなく、内面品質や耐デント性も良好なものであることが判る。そして、フィルムの製膜方法や被覆金属板の製造方法にも優れた方法であることが判る。
[実施例2]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−I/PBT−I=40/60重量%の混合比で混合した混合ポリエステル100重量部に対して安定剤と酸化防止剤を安定剤/酸化防止剤=0.7/0.2重量部配合した混合物と、(II)オレフィンA/オレフィンB=50/50重量%の混合比で混合したオレフィン系ポリマーを、(I):(II)=90:10重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物2)を用い、実施例1の手順に従って、該3元系組成物を280℃で溶融させ、Tダイを用いて、表面温度を40℃にした表面粗度(Ra)が2.3μmの梨地状の冷却ロール(周速:50m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に5.0倍延伸した後両端部を切断して、厚みが12μm及び25μmのフィルムを作成した。
得られたフィルムは両端部のフィルム割れや外観不良もなく、良好であった。
こうして得られたフィルムを、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板の一方の面に25μmフィルムを、他の面に12μmフィルムを、それぞれロール圧着させて被覆した被覆金属板を得た。次いで板温度が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト5)を得た。
また、加熱ロール(ジャケットロール)で240℃に加熱された、板厚が0.19mmの片面の付着量としてNiを500mg/m、その上層に金属クロム換算で6mg/mの水和酸化クロム皮膜を有するNiメッキ鋼板の、一方の面に厚さ25μmフィルムを、他の面に厚さ12μmフィルムをそれぞれロール圧着させて被覆金属板を得た。次いで板温度が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆鋼板(テスト6)を得た。
なお、得られた被覆アルミニウム合金板及び被覆鋼板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板及び被覆鋼板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが25μmの面が缶の内面側になるように、100缶/分の加工速度でカップ絞り加工、再絞り加工及びしごき加工を行って、缶壁部の加工度が被覆アルミニウム合金板の場合は62%の、被覆鋼板の場合は56%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側についてはパンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、テスト5の被覆アルミニウム合金板及びテスト6の被覆鋼板は、良好なパンチ離型性や耐カジリ性を示し、製缶性に優れていることが判る。また、得られた缶はレトルト殺菌処理での白化はなく、内面品質や耐デント性も良好なものであることが判る。そして、フィルムの製膜方法や被覆金属板の製造方法にも優れた方法であることが判る。
[実施例3]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−I/PBT−I=40/60重量%の混合比で混合した混合ポリエステル100重量部に対して安定剤/酸化防止剤=0.5/0.5重量部配合した混合物と、(II)オレフィンA/オレフィンB=50/50重量%混合比で混合したのオレフィン系ポリマーを、
(I):(II)=95:5重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物3a)、
(I):(II)=90:10重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物3b)、(I):(II)=82:18重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物3c)、(I):(II)=72:28重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物3d)のそれぞれの3元系組成物を用い、実施例1の手順に従って、それぞれの3元系組成物を280℃で溶融させ、Tダイを用いて、表面温度35℃にした表面粗度(Ra)が0.3μmの梨地状の冷却ロール(周速:55m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に2.4倍延伸した後両端部を切断して、厚みが組成物3aは10μm及び25μmのフィルムを、組成物3bは26μmのフィルムを、組成物3cは24μmのフィルムを、組成物3dは26μmのフィルムをそれぞれ製膜した。
得られたフィルムは、全て両端部のフィルム割れや外観不良もなく、良好であった。
こうして組成物3a〜組成物3dから得られたそれぞれのフィルムを、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板に対して、一方の面に組成物3aから得た25μmのフィルム/他の面に組成物3aから得た10μmのフィルム、一方の面に組成物3bから得た26μmのフィルム/他の面に組成物3aから得た10μmのフィルム、一方の面に組成物3cから得た24μmのフィルム/他の面に組成物3aから得た10μmのフィルム、一方の面に組成物3dから得た26μmのフィルム/他の面に組成物3aから得た10μmのフィルムとなる組合せで、それぞれロール圧着させて被覆金属板を得た。次いで板温度が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト7〜テスト10)を得た。
得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが厚い方の面が缶の内面側になるように、実施例1の手順に従って、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側については加工パンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、テスト7〜テスト10の被覆アルミニウム合金板は、良好なパンチ離型性や耐カジリ性を示し、製缶性に優れていることが判る。また、得られた缶はレトルト殺菌処理での白化はなく、内面品質や耐デント性も良好なものであることが判る。そして、フィルムの製膜方法や被覆金属板の製造方法にも優れた方法であることが判る。
[実施例4]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−I/PBT−I=60/40重量%の混合比で混合した混合ポリエステル100重量部に対して安定剤を
1.0重量部配合した混合物と、(II)オレフィンA/オレフィンB=50/50重量%の混合比で混合したオレフィン系ポリマーを、(I):(II)=90:20重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物4)を用い、実施例1の手順に従って、該3元系組成物を280℃で溶融した後、Tダイを用いて、表面温度を35℃にした表面粗度(Ra)が1.0μmの梨地状の冷却ロール(周速:40m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に3.0倍延伸し、次いで予熱温度60℃、延伸温度100℃で横方向に3.0倍延伸した後両端部を切断して、厚みが30μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは両端部のフィルム割れや外観不良もなく、良好であった。
こうして得られたフィルムを、実施例1の手順に従い、215℃に加熱されたアルミニウム合金板の、一方の面に組成物4から得た30μmのフィルムを、他の面に実施例3(テスト7)の組成物3aから得た10μmフィルムをそれぞれ圧着させて被覆金属板を得た。次いで板温度が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト11)を得た。
得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが30μmの面が缶の内面側になるように、実施例1の手順に従い、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側ついてはパンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、テスト11の被覆アルミニウム合金板は、良好なパンチ離型性や耐カジリ性を示し、製缶性に優れていることが判る。また、得られた缶はレトルト殺菌処理で白化はなく、内面品質や耐デント性も良好なものであることが判る。そして、フィルムの製膜方法や被覆金属板の製造方法にも優れた方法であることが判る。
[実施例5]
ポリエステル系フィルムの原料として、実施例3の3元系組成物(組成物3b)を用い、実施例1の手順に従って、該3元系組成物を280℃で溶融させ、Tダイを用いて、表面温度を40℃にした表面粗度(Ra)が3.3μmの梨地状の冷却ロール(周速:55m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に3.6倍延伸した後、両端部を切断して、厚みが15μm及び25μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは透明観があったが、空気の巻き込み跡がごくわずかに残ったものであった。なお、両端部のフィルム割れはなかった。
こうして得られたフィルムを、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、実施例1で用いたアルミニウム合金板の一方の面に、厚さ25μmフィルムを、他方の面に厚さ15μmのフィルムを、それぞれロール圧着させて被覆金属板を得た。次いで板温度が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト12)を得た。
得られた被覆アルミニウム合金板は、外観は良好で、空気の巻き込み跡が極わずかに残った程度では、被覆外観には影響しなかった。
なお、得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが厚い方の面が缶の内面側になるように、実施例1の手順に従って、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側については加工パンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、テスト12の被覆アルミニウム合金板は、良好なパンチ離型性や耐カジリ性を示し、製缶性に優れていることが判る。また、得られた缶はレトルト殺菌処理での白化はなく、内面品質や耐デント性も良好なものであることが判る。そして、フィルムの製膜方法や被覆金属板の製造方法にも優れた方法であることが判る。
[比較例1]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−I単独のポリエステル(安定剤・酸化防止剤は無添加)と、(II)オレフィンA/オレフィンB=50/50重量%の混合比で混合したオレフィン系ポリマーを、(I):(II)=90:10重量%の混合比で混合した組成物(組成物5)を用い、実施例1の手順に従って、該組成物を280℃で溶融し、Tダイを用いて、表面温度を35℃にした表面粗度(Ra)が1.5μmの梨地状の冷却ロール(周速:40m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に4.5倍延伸した後両端部を切断して、厚みが15μm及び25μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは両端部のフィルム割れや外観不良もなく、良好であった。
こうして得られたフィルムを、実施例1の手順に従いアルミニウム合金板の、一方の面に厚さ25μmフィルムを、他方の面に厚さ15μmのフィルムをそれぞれロール圧着させて被覆アルミニウム合金板を得た。次いで板温度が275℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト13)を得た。
なお、得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが厚い方の面が缶の内面側になるように、実施例1の手順に従い、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側についてはパンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、テスト13の被覆アルミニウム合金板は、良好なパンチ離型性を示していたが、外面フィルムに若干のカジリが発生して製缶性が劣っていた。又、得られた缶はレトルト殺菌処理で激しく白化し、また、内面品質や耐デント性も実施例に比較して劣っていた。なお、製膜方法を含む被覆金属板の製造方法としては特に問題はなかった。
[比較例2]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−I/PBT−I=60/40重量%の混合比で混合した混合ポリエステル100重量部に対して安定剤と酸化防止剤を、安定剤/酸化防止剤=0.5/0.5重量部配合した混合物(オレフィン系ポリマー無添加)(組成物6)を、実施例1の手順に従って、該組成物ロを280℃で溶融し、Tダイを用いて、表面温度を35℃にした表面粗度(Ra)が1.5μmの梨地状の冷却ロール(周速:40m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に4.5倍延伸した後両端部を切断して、厚みが26μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは両端部のフィルム割れや外観不良もなく、良好であった。
こうして得られたフィルムを、実施例1の手順に従いアルミニウム合金板の、一方の面に比較例2で得た厚さ26μmフィルムを、他方の面に実施例3の組成物3aから得た厚さ10μmのフィルムをそれぞれロール圧着させて被覆アルミニウム合金板を得た。次いで板温度が275℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト14)を得た。
得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが厚い方の面が缶の内面側になるように、実施例1の手順に従い、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側についてはパンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、テスト14の被覆アルミニウム合金板は、離型性や耐カジリ性といった製缶性は良好で、レトルト殺菌処理でフィルムの白化も起こっていなかったが、特に耐デント性が実施例のフィルムに比べ劣ったものであった。なお、製膜方法を含む被覆金属板の製造方法としては特に問題はなかった。
[比較例3]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−I/PBT−I=60/40重量%の混合比で混合した混合ポリエステル100重量部に対して安定剤/酸化防止剤=0.5/0.5重量部配合した混合物と、(II)オレフィンA/オレフィンB=50/50重量%の混合比で混合したオレフィン系ポリマーを(I):(II)=60:40重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物7)を用い、実施例1の手順に従って、該3元系組成物を280℃で溶融し、Tダイを用いて、表面温度を35℃にした表面粗度(Ra)が1.5μmの梨地状の冷却ロール(周速:40m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に4.5倍延伸した後、両端部を切断して、厚みが15μm及び24μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは両端部のフィルム割れや外観不良もなく、良好であった。
こうして得られたフィルムを、実施例1の手順に従いアルミニウム合金板の、一方の面に厚さ24μmフィルム、他方の面に厚さ15μmのフィルムをそれぞれロール圧着させて被覆アルミニウム合金板を得た。次いで板温度が275℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト5)を得た。
なお、得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、それぞれのテストのフィルム厚みが厚い方の面が缶の内面側になるように、実施例1の手順に従い、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
その結果、テスト15の被覆アルミニウム合金板は、パンチ離型性及び耐カジリ性共に不良で、成形缶上部の坐屈が激しく350mlサイズのシームレス缶が成形できなかった。そこで、60缶/分の製缶速度で缶壁部の加工度が52%で製缶加工を行ったが、パンチ離型性がやはり劣り成形缶上部に起こる缶の坐屈が散発し、カジリも発生していた。よって、以降の評価は行わなかった。
[比較例4]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−I/PBT−I=60/40重量%の混合比で混合した混合ポリエステル100重量部に対して安定剤と酸化防止剤を、安定剤/酸化防止剤=0.5/0.5重量部配合した混合物と、(II)オレフィンA/オレフィンB=50/50重量%の混合比で混合したオレフィン系ポリマーを、(I):(II)=90:10重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物8)を用いて、該3元系組成物を280℃で溶融させ、Tダイを用いて、表面温度を35℃にした表面粗度(Ra)が0.05μmの鏡面状の冷却ロール(周速:50m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に4.0倍延伸した後両端部を切断して、厚みが16μm及び25μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは両端部のフィルム割れはなかったが、空気の巻き込み跡が残り、若干透明観が劣ったフィルムであった。
こうして得られたフィルムを、実施例1の手順に従いアルミニウム合金板の、一方の面に厚さ25μmのフィルムを、他の面に厚さ16μmのフィルムをそれぞれ圧着させて被覆アルミニウム合金板を得た。次いで板温度が275℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト16)を得た。
得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが厚い方の面が缶の内面側になるように、実施例1の手順に従い、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側についてはパンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。得られた缶は、内外面とも缶胴部に局部的なフィルム剥離や破れが見られ、良好な缶とは言えないものであった。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
テスト16の被覆アルミニウム合金板は、しごき加工で気泡が原因と思われるフィルム破れが発生し、表2から判るように、特に内面フィルムの健全性が劣っていた。また外面フィルムにはカジリが発生しており、製缶性に劣り好ましくなかった。
[比較例5]
ポリエステル系フィルムの原料として、比較例4の3元系組成物(組成物8)を用いて、該3元系組成物を280℃で溶融させ、Tダイを用いて、表面温度を35℃にした表面粗度(Ra)が4.3μmの梨地状の冷却ロール(周速:50m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に4.0倍延伸した後、両端部を切断して、厚みが14μm及び26μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは両端部のフィルム割れはなかったが、梨地の跡型が斑状広がり、透明観の劣ったフィルムであった。
こうして得られたフィルムを、実施例1の手順に従いアルミニウム合金板の、一方の面に厚さ26μmのフィルムを、他の面に厚さ14μmのフィルムをそれぞれ圧着させて被覆アルミニウム合金板を得た。次いで板温度が275℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト17)を得た。
テスト17の被覆アルミニウム合金板は気泡の発生が見られ、外観が悪かった。なお、得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが厚い方の面が缶の内面側になるように、実施例1の手順に従い、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側についてはパンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。得られた缶は、梨地の跡型がそのまま残った外観を呈するものであった。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
テスト17の被覆アルミニウム合金板は、表2から判るように、しごき加工後の、特に外面外観が劣り、耐カジリ性も劣っていた。また缶の内面側のフィルムはQTV値、耐デント性何れも高く、健全性が実施例に比べ劣ったものであった。
[比較例6]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−II/PBT−II=40/60重量%の混合比で混合した混合ポリエステル100重量部に対して安定剤と酸化防止剤を、安定剤/酸化防止剤=0.7/0.2重量%配合した混合物と、(II)オレフィンA/オレフィンB=50/50重量%の混合比で混合したオレフィン系ポリマーを、(I):(II)=90:10重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物9)を用いて、該3元系組成物を実施例1の手順に従って280℃で溶融させ、Tダイを用いて、表面温度を40℃にした表面粗度(Ra)が1.5μmの梨地状の冷却ロール(周速:50m/分)へ層状にキャストし、冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に4.0倍延伸した後両端部を切断して、厚みが15μm及び25μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは両端部のフィルム割れや外観不良もなく、良好であった。
こうして得られたフィルムを、実施例1の手順に従い、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱されたアルミニウム合金板の一方の面に25μmフィルムを、他の面に15μmフィルムを、それぞれロール圧着して被覆金属板を得た。次いで板温度が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、直ちに水中に浸漬急冷し、被覆アルミニウム合金板(テスト18)を得た。
得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが25μmの面が缶の内面側になるように、90缶/分の加工速度でカップ絞り加工、再絞り加工及びしごき加工を行って、缶壁部の加工度が被覆アルミニウム合金板の場合は62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側についてはパンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
テスト18の被覆アルミニウム合金板は、表2から判るように、パンチ離型性や耐カジリ性が実施例に比べ若干ではあるが劣っていた。また、得られた缶はレトルト殺菌処理で白化はなかったが、耐デント性が劣ったものであった。
[比較例7]
ポリエステル系フィルムの原料として、(I)PET−I/PBT−I=20/80重量%の混合比で混合した混合ポリエステル100重量部に対して安定剤と酸化防止剤を、安定剤/酸化防止剤=0.5/0.5重量%配合した混合物と、(II)オレフィンA/オレフィンB=50/50重量%の混合比で混合したオレフィン系ポリマーを、(I):(II)=87:13重量%の混合比で混合した3元系組成物(組成物10)を用いて、該3元系組成物を280℃で溶融させ、Tダイを用いて、表面温度を35℃にした表面粗度(Ra)が1.5μmの梨地状の冷却ロール(周速:50m/分)へ層状にキャストし、Tダイと冷却ロールとの間隔2cm、中央部と両端部は別々の装置で静電密着させ(中央部:4.5kV、両端部:6kVの直流電源を印加)冷却固化させた後、予熱温度65℃、延伸温度100℃で縦方向に4.5倍延伸した後両端部を切断して、厚みが15μmと25μmのフィルムを製膜した。
得られたフィルムは両端部のフィルム割れや外観不良もなく、良好であった。
こうして得られたフィルムを、実施例1の手順に従いアルミニウム合金板の一方の面に25μmフィルムを、他の面に15μmフィルムを、それぞれロール圧着して被覆アルミニウム合金板を得た。次いで板温度が275℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬して急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト19)を得た。
得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが25μmの面が缶の内面側になるように、90缶/分の加工速度でカップ絞り加工、再絞り加工及びしごき加工を行って、缶壁部の加工度が被覆アルミニウム合金板の場合は62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、缶の内面側についてはパンチの離型性、缶の外面側については耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従って開口部を絞った350mlサイズの缶を製造した。缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
テスト19の被覆アルミニウム合金板は、表2から判るように、パンチ離型性は良好であったが、耐カジリ性が実施例に比べ劣っていた。また、得られた缶はレトルト殺菌処理で白化はなかったが、耐デント性は実施例に比べ若干劣ったものであった。
[比較例8]
実施例1のテスト2から得た缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を用いて、開口部をトリミングした後、缶を板温度が250℃になるよう熱風炉中を通過させて加熱し、その後、直ちに加圧空気で急冷した後、ネックイン加工およびフランジ加工を行い、開口部を絞った350mlサイズ缶を製造(テスト20)した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
テスト20の金属缶は、フランジ部でフィルム剥離が見られ、缶としては劣ったものであった。よって、テスト20は、その他の評価は行わなかった。
[比較例9]
実施例1で用いた3004系アルミニウム合金板を加熱ロール(ジャケットロール)で245℃に加熱し、実施例1のテスト2で得られた15μm及び25μmのフィルムを、アルミニウム合金板の一方の面に25μmフィルムを、他の面に15μmフィルムを、それぞれロール圧着させて被覆アルミニウム合金板を得た。次いで板温度が250℃になるように熱風炉中で加熱した後、水中に浸漬急冷し被覆アルミニウム合金板(テスト21)を得た。
得られた被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの融点、結晶化温度、極限粘度は表1に示した。又、密度の測定結果は表2に示した。
こうして得られた被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、実施例1の手順に従って、フィルム厚みが25μmの面が缶の内面側になるように、350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、内面フィルムのパンチ離型性および外面フィルムの耐カジリ性を調べた。結果は表2に示した。
得られた缶はフランジ部エッジから若干フィルムの収縮が見られ、剥離が起こっていた。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
更に、開口部をトリミングし、缶の金属板温度が272℃になるよう熱風炉中を通過させて加熱した後、加圧空気で急冷し、ポリエステル樹脂フィルムを非晶質にした後、ネックイン加工およびフランジ加工を行い、開口部を絞った350mlサイズ缶を製造した。
こうして得られた缶について、缶の内面についてはQTV試験及び耐デント性の評価を行った。結果は表2に示した。また、内外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
テスト21の被覆アルミニウム合金板は、表2に示されているように、QTV値が実施例に比べ高く、内面フィルムの健全性が劣っていることが判る。又、耐カジリ性も実施例に比べ若干劣っていた。但し、表2の、缶内面フィルムの密度のデータが示すように、耐デント性は実施例と同等の値が得られた。



Figure 0004576147
Figure 0004576147
以上、説明したように、本発明のポリエステル系フィルム被覆金属板は、良好な製缶性を有するだけでなく、良好な耐食性や耐デント性に優れている等、品質面からも優れた缶が得られる。更に、内容物を充填・密封した後に行われるレトルト殺菌処理で、フィルムの白化といった外観を大きく損ねることがないため、優れた印刷外観が保持・確保できるなど、多くの利点を有している。
更に、本発明のポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法は、材料ロス率が大幅に改善されだけでなく、生産性も向上することができるため、経済的メリットもあることから、極めて有用な方法であると言える。
つまり、得られるフィルムの厚みが均一な中央部分(実質的に金属板に被覆できる部分)が広く、且つ、切断除去した両端部を再利用できるため材料ロスが少なく、更に両端部を切断除去する際に、フィルムが切断し易く、また高速で溶融樹脂膜を冷却固化した場合にもフィルムに微細な凹凸が発生し難い、といった利点を有しており、生産効率も高いため低価格のポリエステル系フィルム被覆金属板が提供できる。
本発明を実施することで得られる缶は、前述したように、内容物が充填・密封された後に施されるレトルト殺菌処理といった熱水処理やパストロ殺菌処理といった温水処理を経てもフィルムの白化現象が発生し難いため、例えば、缶の外観は美麗観を確保でき、更には、レトルト殺菌処理といった熱水処理後においても良好な耐デント性を有する、といった優れた特徴を有するポリエステル系フィルム被覆金属缶が得られる。

Claims (2)

  1. エチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(PET)とブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル(PBT)との混合比が 60:40〜30:70重量%の混合ポリエステルと、オレフィン系ポリマーを70:30〜99:1重量%の混合比で混合されたPET/PBT/オレフィン系ポリマーの3元系組成物を、Tダイから層状に溶融押出して、押出した溶融樹脂膜を表面粗度(Ra)が0.2μm以上〜3.5μm以下の梨地状の冷却ロールに30m/分以上の速度で層状にキャストし、樹脂の両端部と中央部とを別々の静電気で独立密着させ、冷却固化させた後、縦方向に1軸延伸を行った、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下のポリエステル系フィルムとし、次いで両端部を切断除去した該ポリエステル系フィルムを、該ポリエステル系フィルムのブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点−10度から融点+50度に加熱された金属板の 少なくとも片面に圧着させて金属板を被覆した後、更に該ポリエステル系フィルム被覆金属板の板温度を該ポリエステル系フィルムのエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点以上に加熱した後に急冷して、前記ポリエステルフィルムの極限粘度を0.70dl/g以上、かつ、前記ポリエステルフィルムの密度が1.320g/cm以下になるようにすることを特徴とするポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法。
  2. 前記オレフィン系ポリマーが、ポリエチレンおよび/またはエチレン共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル系フィルム被覆金属板の製造方法。
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