JP4430921B2 - ポリエステルフィルム被覆金属板及び金属缶 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステルフィルム被覆金属板、及びポリエステルフィルム被覆金属板を成形して得られるポリエステルフィルム被覆金属缶に関するものである。
更に詳細には、製缶性(例えば、絞り・しごき加工性)に優れたポリエステルフィルム被覆金属板に関するもので、特に、缶の外面側のフィルムがしごき加工の際に発生する、通称「カジリ」と呼ばれる缶高さ方向の疵が付き難く、更に得られる缶は耐食性に優れているために内容物の保存性に優れ、また、内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理が施された後にも缶の外面フィルムは透明感を失わないため、良好な印刷外観の保持性に優れたポリエステルフィルム被覆金属缶に関するものである。
スチールやアルミニウムを素材とした金属缶・容器は、その形状からスリーピース缶とツーピース缶とに大別される。
スリーピース缶は、地蓋、缶胴、天蓋からなるためスリーピース缶と呼ばれており、製胴方法が現在はシーム溶接や接着が主であることから価格の安いスチールが使用されている。
一方、ツーピース缶は、地蓋と缶胴が一体となったもので、それに天蓋を被せる形であるためにツーピース缶、又は、缶胴部に接合部がないことからシームレス缶とも呼ばれ、絞り加工や絞り・しごき加工で製缶され、スチールとアルミニウムが使用されている。
金属缶の場合、内面は内容物による腐食防止の点から塗装が施され、一方外面は内容物の提示や商標デザインの提示等の点から塗装・印刷が施されている。こうした塗装はエポキシ系、フェノール系と言った各種の熱硬化性塗料が使用され、該熱硬化性塗料は熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解したものや分散させたものを塗布・乾燥して金属を被覆するもので、一般に広く使用されている。しかしながら、こうした熱硬化性樹脂の被覆方法は乾燥時間が長くかかり生産性が低下したり、多量の有機溶剤による環境汚染など、種々の問題を発生させることが多い、と言った欠点があった。
こうした種々の問題を解消するため、近年、熱可塑性樹脂フィルムを積層した、熱可塑性樹脂フィルム被覆金属缶が開発され市場に出回っており、樹脂フィルムを金属板に被覆した技術は、特許文献1、特許文献2、特許文献3等、数多く提案され、開示されている。
しかし、こうした開示されている技術では、金属缶の内面側を被覆するフィルムとして使用した場合、下記数式1で表される缶壁部の加工度(板厚減少率とも呼ばれる)が高い絞り・しごき加工に耐えるフィルムは、内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理でフィルムの白化(フィルムが白くなる現象)が起こり易く、缶の外観を損ねることになり、一方、白化が起こり難いフィルムは高加工を行うとフィルムにマイクロクラックが入り易く、激しい場合はフィルム破断に繋がる場合があり、高加工性に劣る、と言った欠点を有している。
加工度(%)=((元板厚−缶壁部板厚)/元板厚))×100 …… 数式1
同様に、缶の外面側用フィルムとして適用した場合、前述した数式1で表される缶壁部の加工度(板厚減少率とも呼ばれる)が高い絞り・しごき加工に耐えるフィルムは、内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理でフィルムの白化(フィルムが白くなる現象)が起こり易く、缶の外観を損ねることになり、一方、白化が起こり難いフィルムは、特にしごき加工の際、通称「カジリ」と呼ばれている、缶の高さ方向にフィルムが削られる現象が起こり易い、と言った欠点を有している。
即ち、高加工性のものは耐白化性が劣り、逆に耐白化性に優れているものは高加工性に劣る、と言った状態で、高加工性と耐白化性の両立が難しいのが現状である。
又、フィルムラミネート材の製造技術の面からは、ラミネート金属板の製缶性は前述したようにツーピース缶の場合、熱可塑性樹脂フィルム被覆金属板の加工度(又は変形度合)が大きいので、前述したように成形時に缶内面側の樹脂フィルムに傷が入ったりした場合、缶内面の品質確保ができなくなるため、缶の品質検査を厳重に行う必要があることから、製品歩留まりが現行の塗装缶に比べて劣るといった点が挙げられている。
又、内容物が充填・密封された缶を落とした場合、その部位に衝撃が加わり材料が変形するばかりでなく、同時にその衝撃と変形で被覆されているフィルムや塗膜にクラックが入り、激しい場合はそこが缶の金属の腐食起点となる、と言った現象があり、内容物によっては金属腐食が孔食となり缶に孔が開くと言った穿孔缶となる場合があることから、内容物の保存の点から重要な特性となっている。
従って、塗膜やフィルムは缶が落下させられてもクラックが入り難いことが重要で、こうした缶特性は塗膜やフィルム面からは「耐デント性」と呼ばれているが、耐デント性は、特に、前述したレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理によって、特に結晶性ポリエステルから形成されたフィルムの場合には著しく低下するため、充填する内容物に制約があった。
こうした背景もあって、成形技術の改善や同時に廉価なフィルム被覆金属板の製造方法の検討がなされてきている。
例えば、低価格のフィルム被覆金属板を得る方法としては、熱可塑性樹脂を溶融押出法で被覆する方法が、例えば特許文献4等で開示されている。
しかし、該方法ではTダイから金属板までの距離を短くすることが困難であり、その結果、両端部の厚みが非常に厚くなるため、厚みが均一な中央部分(実質的に金属板に被覆できる部分)が狭くなり、かつ切断除去した両端部を再利用できないため材料ロスが大きい、と言った欠点を有していた。
かかる欠点を回避するため、溶融押出後に冷却固化して得たポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートからなる未配向フィルムを加熱された金属板に圧着させる方法が、特許文献5等で開示されている(例えば、特許文献5参照)。
該方法では、Tダイから金属板までの距離を短くすることが可能であり、その結果、厚みが均一な中央部分(実質的に金属板に被覆できる部分)が前記に示した方法より広がり、かつ切断除去した両端部を再利用できるため、材料ロスを少なくすることができる方法である。
しかしながら、該方法は両端部を切断する際、フィルムが破断しやすく、また、原料ポリエステルとして、ポリブチレンテレフタレートの含有率が多くなると(例えば、40重量%以上)、該原料ポリエステルからなるポリエステル製膜で公知のクロムメッキの鏡面ロールを用いて30m/分以上の高速で製膜した場合、フィルム表面に微細な凹凸を発生させ易く、このフィルムをラミネートした場合、金属板とフィルムの間に気泡が存在する状態となり、製缶時にこの気泡を起点とした微細なフィルム破れが発生しやすい、と言う欠点がある。
又、前述した耐デント性について言えば、耐デント性が良好なポリエステル被覆積層体として、特許文献6等に、(I):ポリエチレンテレフタレート・セグメント、(II):ブチレングリコールと芳香族二塩基酸から誘導されたポリエステル・セグメント、(III):ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸から誘導されたポリエステル・セグメントを(I):(II):(III)=10〜70:12〜81:3〜54の重量%で含有し、更にヒンダードフェノール系酸化防止剤を 0.01〜1.5重量%含有するポリエステルよりなる積層体が開示されている。
しかしながら、該積層体を、例えば80缶/分の速い速度で絞り・しごき加工して金属缶を得ようとした場合、加工パンチまたはダイスとの離型性が悪く、フィルムの破れやカジリの発生が起こり易く、ポリエステル被覆積層体として満足できるものではなかった。
特開平7−2241号公報 特開平7−195619号公報 特開平8−244750号公報 特開昭57−203545号公報 特開2001−1447号公報 特開平10−119183号公報
本発明のポリエステルフィルム被覆金属板は、高速・高加工度での製缶性(例えば、絞り・しごき加工性)に優れた、ポリエステルフィルム被覆金属板を提供するものである。
又、本発明の目的は、高速・高加工の絞り・しごき加工性と内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理を経てもフィルムの白化が起こり難い、と言った特性を兼備するポリエステルフィルム被覆金属板を提供することにある。
本発明は、耐食性や缶が落下させられた時に起こるフィルムのマイクロクラックが発生し難い、と言った良好な耐デント性を有し、特にレトルト殺菌処理と言った熱水処理を経た後でも、内容物の保存性に優れ、また、レトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理を経てもフィルムの白化現象が発生しにくい、美麗な外観を確保でき、従来にない優れた特徴を有するポリエステルフィルム被覆金属缶を提供するものである。
上記目的を達成するために、本発明のポリエステルフィルム被覆金属板は、エチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとの混合比が60:40〜30:70重量%のポリエステルからなるポリエステルフィルムを金属板の両面に被覆させた金属板であって、少なくとも缶の外面側に相当する金属面に被覆されている該ポリエステルフィルムは、亜リン酸エステル系安定剤が含有されていると共に、極限粘度(IV)が0.70dl(デシリットル)/g以上、密度が1.320g/cm以下であり、且つ、TMA(熱機械分析)で測定されるプローブ侵入開始温度が35〜55℃であることを特徴とするポリエステルフィルム被覆金属板としている。
更に、上記目的を達成するために、本発明のポリエステルフィルム被覆金属板は、金属板に被覆されている該ポリエステルフィルムが、亜リン酸エステル系安定剤をポリエステル100重量部に対して0.01〜3重量部含むポリエステルフィルムを被覆させた金属板としている。
又、上記目的を達成するために、本発明の金属缶は、上記ポリエステルフィルム被覆金属板から成形して得られる金属缶であって、少なくとも缶の内面側に被覆されている該ポリエステルフィルムの密度が1.320g/cm以下であるポリエステルフィルム被覆金属缶としている。
本発明のポリエステルフィルム被覆金属板は、エチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとの混合比が60:40〜30:70重量%のポリエステルからなるポリエステルフィルムを金属板の両面に被覆させた金属板であって、少なくとも缶の外面側に相当する金属面に被覆されている該ポリエステルフィルムは、亜リン酸エステル系安定剤が含有されていると共に、極限粘度(IV)が0.70dl(デシリットル)/g以上、密度が1.320g/cm以下であり、且つ、TMA(熱機械分析)で測定されるプローブ侵入開始温度が35〜55℃であるポリエステルフィルム被覆金属板としたことにより、製缶性(例えば、絞り・しごき加工性)、特に高速・高加工度の製缶性に優れており、缶の外面側のフィルムは高速・高加工度の絞り・しごき加工を行っても、フィルムには前述したカジリが入り難いため、良好な外観が確保できる、と言った利点を有する。
又、本発明を実施することで得られる缶は、前述したように、内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理を経てもフィルムの白化現象が発生しにくいため、例えば、缶の外観は美麗観を確保でき、更には、レトルト殺菌処理と言った熱水処理後においても良好な耐デント性を有すると言った、優れた効果を有する。
又、本発明のポリエステルフィルム被覆金属板は、亜リン酸エステル系安定剤を混合ポリエステル100重量部に対して0.01〜3重量部配合させることにより、上記効果に加えて、被覆されているポリエステルフィルムを非晶質にするために加熱する時の熱による分子量の低下を防止することができ、良好な耐デント性に優れている等、品質面からも優れた缶を得ることができた。
更に、本発明のポリエステルフィルム被覆金属缶は、上記ポリエステルフィルム被覆金属板から成形して得られる金属缶であって、少なくとも缶の内面側に被覆されている該ポリエステルフィルムの密度が1.320g/cm以下であるポリエステルフィルム被覆金属缶としたことにより、内容物を充填・密封した後に行われるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理を経てもフィルムの白化等の外観を大きく損ねる現象が発生せず、優れた印刷外観が保持・確保できるなど、多くの利点を有している。
まず、本発明で適用されるポリエステルフィルムについて述べる。
本発明で適用されるポリエステルフィルムは、結晶性のポリエステルフィルムで、融点(結晶融解温度)は180℃以上であることが好ましい。
特に、絞り・しごき加工においては、缶外面側は耐カジリ性の確保の点から結晶性であるのがよい。「カジリ」とは樹脂被膜が缶高さ方向に縦疵が入る現象で、この特性をフィルム面から見た場合耐カジリ性と呼ぶ。
結晶性でない、非晶質性のポリエステルフィルムの場合、特殊なポリエステル樹脂を除いて軟質でありフィルム自身のヤング率は小さいものが一般的である。
こうした軟質のポリエステルフィルムでは、成形加工時に発生する加工熱の影響で、缶の外面側のフィルムが、ダイスの作用点で削られ易くなり、耐カジリ性は低下してくる。
特に、加工度が大きくなると、一回の成形で発生する熱量は大きくなり、又、加工速度が速くなると、ダイスへの蓄熱が大きくなるため、缶外面側は耐カジリ性の確保は一層難しくなる。
それに対し、結晶性のポリエステルフィルムの場合、前述した成形加工時に発生する加工熱の影響で結晶化が起こってきて、この結晶状態がフィルムのヤング率を高めにシフトさせると同時に、フィルム自身に融点を持たせることにより耐熱性が向上し、その結果、缶外面側は耐カジリ性を確保できようになる、と考えられる。
一方、結晶状態のポリエステルフィルムは、同一樹脂の非晶質状態のポリエステルフィルムに比べ、伸び特性が著しく劣るため、高加工度の成形には追随できず、フィルム破断が起こり易くなる。従って、結晶性のポリエステルフィルムで、その結晶状態をどう管理するかがポイントとなる。かかる意味において、成形加工時に発生する加工熱は、缶外面側の耐カジリ性に直接影響する。
本発明の結晶性のポリエステルフィルムは、融点(結晶融解温度)が180℃以上であれば、良好な成形が可能となるが、加工速度と加工度との関係から、適宜選択することが望ましい。
かかる意味において、ポリエステルの融点は、好ましくは200℃以上が、更に好ましくは220℃以上が耐カジリの観点からは良く、安心である。
又、本発明では、金属板に被覆されているポリエステルフィルムは、TMA(熱機械分析)で測定されるプローブ侵入開始温度が35〜55℃である。
即ち、高速・加工度の高い缶を得るためには、特に、しごき加工を複数回行って成形することが、缶胴部の加工破断を避けるために必要となる。
こうした、しごき加工を複数回行って成形する方法の場合、ポリエステルフィルムの結晶状態が、非晶質化度が極めて高い状態から成形すると、フィルムが軟質であるため、フィルムが加工金型に密着し易くなり、又、理由は不明であるが、加工熱と成形による延伸によって、かえって結晶化度が上がり、缶の外面フィルムはカジリが発生し易くなる。
逆に、結晶化度が高い状態から成形すると、フィルムの伸び特性が確保できず、その結果加工に追随できず、やはり缶の外面フィルムはカジリが発生し易くなる。
本発明では、金属板被覆されているポリエステルフィルムのうち、少なくとも缶外面側に相当する面に被覆されているフィルムのTMA(熱機械分析)で測定されるプローブ侵入開始温度が35〜55℃であることが必要である。
プローブ侵入開始温度が35℃未満では、フィルムは非晶質化度が高く、又、軟質過ぎるため、缶の外面側に被覆されたフィルムでは耐カジリ性が共に劣ってきて、正常なポリエステルフィルム被覆缶が得られない場合が多発するので好ましくない。
一方、プローブ侵入開始温度が55℃を超えると、逆にフィルム自身の結晶化が進んでいる状態か、若しくはフィルムが硬質であるため、特に高速・高加工度の成形に追随できず、缶の外面側のフィルムにカジリが発生し易くなり、良好な外観を確保できない原因となる。
本発明は、前述したように、製缶性確保と良好な外観性確保を兼備することを目的に発明されたものである。高速・高加工の絞り・しごき加工性の確保と内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理を経てもフィルムの白化が起こり難い、と言った特性確保、この両者の兼備、と言った点から、ポリエステルフィルムとしては、エチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとの混合比が60:40〜30:70重量%の混合ポリエステルからなるフィルムを用いることが必要である。
即ち、ブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルが、重量%で40%未満では、内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理でフィルムの白化現象が起こり、特に缶の外面外観を損ねるため、好ましくない。
一方、ブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルが重量%で70%を超えると、製缶性、特に缶外面側のフィルムが、しごき加工でカジリが入り易く、印刷外観を損ねるため製品にならず好ましくない。
カジリは、特にしごき加工の加工度が高くなると発生しやすく、生産歩留まりが低下するだけでなく、場合によっては製造ラインをストップして金型の手入れを行う必要があり、生産性を著しく低下させる原因となる。
本発明ではエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとブチレンテレフタレートを主成分とする混合ポリエステルの特性を損なわない範囲でテレフタル酸以外のジカルボン酸成分とエチレングリコール及びブタンジオール以外のグリコール成分を使用できる。
例えば、ジカルボン酸として、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、P−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が使用できる。又、エチレングリコール及びブタンジオール以外の成分として、プロパンジオール、ペンタンジオール、へキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコールが使用できる。
更に、本発明では金属板や金属缶に被覆されているポリエステルフィルムを非晶質にするために加熱する時の熱による分子量の低下を防止するため、上記混合ポリエステル100重量部に対し、亜リン酸エステル系安定剤を0.01〜3重量部配合させることが高速製缶性を図る上で特に好ましい。
亜リン酸エステル系安定剤が0.01重量部未満の場合、特に80缶/分の高速製缶加工になると、カジリが起こり易く正常な缶が得られなくなり、また、耐デント性も低下し、好ましくない。
一方、3重量部を超えても、耐カジリ性や耐デント性と言った特性は差ほど向上せず、配合による効果は飽和してくるだけでなく、場合によってはフィルムの透明性が局部的に劣る透明欠点が生じ易くなることがあり好ましくない。
なお、フィルムに配合される亜リン酸エステル系安定剤の組成は、特に限定されるものではないが、好ましい一例としては、ビス(2,4−ジ−第三ブチル)フェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−第三ブチル−4メチル)フェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジメチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等が挙げられる。
又、混合ポリエステルフィルムへの亜リン酸エステル系安定剤の配合方法も、特に限定するものでなく、ポリエステル製造時に亜リン酸エステル系安定剤を配合したポリマーを用いてフィルムを作製する方法、ポリエステルと亜リン酸エステル系安定剤を溶融混練して得たポリマーを用いてフィルムを作製する方法、混合ポリエステルと亜リン酸エステル系安定剤との混合物を用いてフィルムを作製する方法等の、いずれの方法も可能で、設備に合った方法を採用することができる。
更に、亜リン酸エステル系安定剤と、それ以外の安定剤または酸化防止剤とを併用することも可能である。
なお、本発明におけるポリエステルには、必要に応じて紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核形成剤、無機又は有機粒子よりなる滑剤等を配合させてもよい。
本発明のポリエステルフィルム被覆金属板に被覆されるフィルムは、缶の外面側だけでなく缶の内面側にも適用でき、フィルム厚みは、8μm〜40μmであるのが好ましい。フィルム厚みは缶の内面側に適用する場合の内容物に対する金属の耐食性確保を、缶の外面側に適用する場合は耐カジリ性や加工による肌荒れ等の外観の点から適宜選択される。缶の内面側に適用する場合、8μm未満では、前述した缶壁部の加工度及び内容物の腐食性にもよるが、金属板の内容物に対する防食性を確保するのは難しく、一方、40μm超の場合、防食性は飽和し、経済的でない。
缶の内面側に相当する金属板に被覆させるフィルム厚みとしては、12μm〜40μmが好ましい。
又、缶の外面側に適用する場合、これも缶壁部の加工度によるが、基本的にはフィルムの耐カジリ性は薄い方が良好であるが、下限値の8μm未満では高加工度の場合、フィルムにカジリは発生しないが加工による肌荒れが発生し外観が劣ってくるので好ましくない。
缶の外面側に相当する金属板に被覆させるフィルム厚みとしては、8μm〜16μmが好ましい。
極限粘度(IV)は、樹脂の平均分子量を示す指標であるが、極限粘度が 0.70dl(デシリットル)/g以下ではフィルムの機械的強度が小さく、前述したように、缶の外面側では耐カジリ性の点で、特に成形速度が少なくとも80缶/分以上の高速化や高加工度化に対応するためには不十分で、好ましくは0.75dl/g以上、更に好ましくは0.80dl/g以上が良い。
本発明において、金属板に被覆されているポリエステルフィルムの密度は、1.320g/cm以下であることが必要である。
密度が1.320g/cm以下であると言うことは、実質的に非晶質状態、或いは非晶質状態に極めて近い結晶状態であることを意味している。
本発明では、金属板に被覆されているポリエステルフィルムの密度は1.320g/cm以下であるので、フィルムを絞り・しごき加工に追随させることができる。
金属板に被覆されているポリエステルフィルムの密度が1.320g/cm超えると、フィルムの伸び特性が落ちてくるため、特に缶壁部の板厚減少率が大きい、高加工度に追随できず、局部的フィルム破断が起こり、缶の外面フィルムの健全性は確保できなくなることがある。また、腐食性の強い内容物を充填・密封する場合には、缶の内面側のフィルムの健全性が確保できなくなると、素地金属の腐食に発展するため、内容物の保存性の点で大きな問題となり、好ましくない。
その場合には、製缶後、缶の内面に被覆されているポリエステルフィルムの密度を1.320g/cm以下にすることで、耐食性の優れた金属缶が得られる。
本発明における混合ポリエステルの製造方法については特に限定しない。即ち、エステル交換法、又は直接重合法のいずれの方法で製造されたものであっても使用できる。又、分子量を高めるために固相重合法で製造されたものであってもかまわない。更に、缶に内容物を充填・密封した後に実施されるレトルト殺菌処理、パストロ殺菌処理等でのポリエステル樹脂からの溶出オリゴマー量を少なくする点から、減圧固相重合法で製造されたオリゴマー含有量が低いポリエステルを使用することは好ましい。
次に、本発明の金属板について述べる。
本発明では、金属板は特に限定されるものではなく、通常ツーピース缶として使用されているアルミニウム板、アルミニウム合金板、鋼板等が適用される。
特に、アルミニウム板やアルミニウム合金板は本発明では好適であるが、板厚や引張破断強度等の機械的特性は特に限定するものでなく、前述したように通常製缶用アルミニウム板として使用されているもの、具体的には絞り・しごき缶用、蓋用のそれぞれの用途に用いられているアルミニウム板が適用される。
アルミニウム板やアルミニウム合金板の表面処理については、リン酸クロム処理やその他の化成処理が施されたアルミニウム板やアルミニウム合金板が適用される。
鋼板についても、板厚や引張破断強度等の機械的特性は特に限定するものでなく、通常製缶用鋼板として使用されているもの、具体的には絞り缶用、絞り・しごき缶用、蓋用のそれぞれの用途に用いられている鋼板が適用される。
鋼板表面の施される表面処理も同様で、通称TFS−CTと呼ばれている電解クロム酸処理鋼板、Niめっき皮膜の上層に電解クロム酸処理を施した鋼板、等が適用される。
金属板にポリエステルフィルムを被覆させる方法としては、ラミネートロールを用いてフィルムを被覆した金属板をポリブチレンテレフタレートの融点以上の温度に加熱した後、ラミネートロールでフィルムを同時あるいは逐次に被覆させる方法、等の周知の方法が挙げられる。そうして金属板の片面あるいは両面に、ポリエステルフィルムを圧着させて被覆した一次接着を行った後、続けてポリエチレンテレフタレートの融点以上の温度に板温として加熱した後急冷する、等の手段によって得られる。
TMA(熱機械分析)で測定されるプローブ侵入開始温度が35〜55℃の範囲にするためには、金属板にポリエステルフィルムを被覆させる方法で、特に、急冷の条件は重要で、前述したポリエステル表面での熱伝達係数が0.0005〜0.005cal/cm・sec・℃の条件で冷却することにより得られる。
金属板の加熱方法としては、電気炉中で加熱する方法、熱風による加熱方法、加熱ロールに接触させて加熱する方法、高周波で誘導加熱する方法、等の加熱方法が採用できる。
又、急冷する方法としては加圧空気(または圧縮空気)や冷却された加圧空気(または圧縮空気)を吹きかけて冷却する方法等が採用できる。また状況によっては、一旦、加圧空気で冷却しその後、水に浸漬して冷却する方法ことも可能である。しかし、冷却手段として溶融されたポリエステルフィルムを直接水等に浸漬して冷却する方法は避けた方が良く、この場合、前述したTMAで測定されるプローブ侵入開始温度が35℃未満となる危険性が高く、前述したように良好な製缶性を確保できない場合がある。
次に、本発明のポリエステルフィルム被覆金属缶について述べる。
本発明の金属缶の缶胴は前述したしたように絞り加工や絞り・しごき加工によって得られる。
特に、本発明の缶は絞り・しごき加工を行った後、開口部を正規の缶高さにトリミングした後、開口部を更に絞り加工を行い口部を缶胴の径に比べ小径に加工(ネックイン加工)した後、缶蓋を巻締められるようにフランジを加工(フランジ加工)し形成するシームレス缶や、絞り・しごき加工によりシームレス缶作成し、その後、シームレス缶開口部あるいは缶底部に絞り加工を行って、肩部を形成すると共にキャップで密封することが出来る径にまで縮径し、更にキャップで閉缶することが出来るようにネジ切り加工を行った、再栓可能なボトル型缶等の金属缶である。
従って、本発明の金属缶は最終的にどの形状の缶を得るかによって、前述した数式1で示される缶壁部の加工度は異なるが、加工度としては25%〜65%の範囲が最適である。
本発明における金属缶の、少なくとも内面側に被覆されているポリエステルフィルムの密度は、1.320g/cm以下である。密度が1.320g/cm以下であると言うことは、前述したように実質的に非晶質状態、或いは非晶質状態に極めて近い状態であることを意味している。本発明における金属缶に被覆されているポリエステルフィルムの密度を、1.320g/cm以下にする理由は、次行程の成形加工性を確保するためである。
即ち、ポリエステルフィルム被覆金属板を絞り・しごき加工を経て作成された缶は、前述したように開口部を更に絞り加工を行い口部を缶胴の径に比べ小径に加工(この加工をネックイン加工と呼ばれている)した後、蓋を巻き締めるためのフランジ出し加工(この加工はフランジ加工と呼ばれている)をする。この方法は、アルミニウム製の易開缶蓋(イージーオープンエンド、通称EOEと呼ばれている)の低コスト化の観点から一般的である。
このネックイン加工、及びフランジ加工は、口部の小径化が大きいほど加工が厳しく、この部位でフィルム剥離が起こり易い。勿論、フィルム剥離が起こった缶は、剥離部が内容物に曝されるため下地金属の腐食に繋がり、問題が起こることがある。
こうした問題を回避するためには、被覆されているフィルムの伸び特性と下地金属との密着性が良好である必要があり、そのためには、被覆されているポリエステルフィルムは実質的に非晶質状態、或いは非晶質状態に極めて近い状態であることが好ましく、密度を1.320g/cm以下にすることで達成される。
又、前述した再栓可能なボトル型缶の場合は、成形加工が通常のシームレス缶の加工に比べ、一層厳しい加工を受けることになるため、ポリエステルフィルムの密度は1.320g/cm以下にする必要がある。
絞り・しごき加工で得られた金属缶に被覆されているポリエステルフィルムを実質的に非晶質化し、密度を1.320g/cm以下にする方法としては、金属缶をポリエステルフィルムのエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルの融点以上に加熱し再溶融した後、急冷することで得られる。
金属缶を加熱することにより被覆されているポリエステルフィルムを非晶質にする工程としては、(1)絞り・しごき加工で得られた金属缶の開口部をトリミングする前に脱脂剤で潤滑剤を脱脂後、少なくともトリミングされる開口部を非晶質にする、(2)絞り・しごき加工で得られた金属缶を加熱して潤滑剤を揮散させると同時に非晶質にする、(3)トリミング後、シームレス缶であればネック・フランジ加工前に、再栓可能なボトル型缶であればネジ切り加工前に、少なくとも加工該当個所を非晶質にする、等の工程によって行うことが可能である。どの工程で、どのような手段で行うかは、設備との関係で適宜選択することができる。
金属缶の加熱方法としては電気炉中で加熱する方法、熱風による加熱方法、高周波で誘導加熱する方法、等の加熱方法が採用できる。
従って、金属缶の外面に施す塗装・印刷工程の熱を利用して金属缶を加熱することも可能である。
又、急冷する方法としては加圧空気(または圧縮空気)や冷却された加圧空気(または圧縮空気)を吹きかけて冷却する方法等が採用できる。また状況によっては水等に浸漬して冷却する方法も可能である。
以下、実施例にて本発明の方法の効果を具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なお、実施例1〜3(テスト1〜テスト8)、比較例1〜7(テスト9〜テスト15)で行った評価法は以下の通りである。
(1)ポリエステルフィルムの融点(Tm)は、ポリエステルフィルム10mgを用い、窒素気流中、示差走査熱量計(DSC)で、10℃/分の昇温速度で発熱・吸熱曲線(DSC曲線)を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点Tm(℃)とした。
(2)ポリエステルの極限粘度(IV)は、ウベローデ粘度計でオルトクロルフェノール溶液中にポリエステルフィルムを0.100±0.003g溶解し、25.0±0.1℃で測定した。
(3)樹脂フィルムの密度は、密度勾配管法にて測定した。
(4)TMA(熱機械分析)によるプローブ侵入開始温度は、セイコー電子工業株式会社製のTMA−SS100で、昇温条件:5℃/分、荷重:3g、プローブ:1mmフラット(石英製)の条件で測定した。
(5)缶内面のフィルムと加工パンチの離型性は、成形缶上部に起こる缶の坐屈程度を観察し評価した。離型性の評価は、次のように評価基準を設定し、行った。
○:缶開口部の坐屈なく良好
□:軽微な缶開口部の坐屈あり
△:開口部円周の1/3程度坐屈
×:開口部円周の1/3以上坐屈
(6)缶外面のフィルムの耐カジリ性は、成形した缶の胴壁部外面のカジリ発生程度を観察して次のように評価基準を設定し、行った。
○:カジリなく良好
□:フィルム表面に浅い軽微なカジリ発生
△:フィルム表面に円周の1/3程度にカジリ発生
×:フィルム表面に円周の1/3以上に激しいカジリ発生
(7)缶内面のフィルムの健全性(傷付き程度)については、1.0%食塩水に界面活性剤を0.1%添加した電解液を缶内に注入し、注入した電解液中に銅製棒電極を挿入して、缶を陽極、銅製棒電極を陰極とし印加電圧6Vで3秒後の電流値(mA/缶)を測定し、被覆フィルムの健全性の評価とした。(以降、この評価法をQTV試験と称する。)
(8)缶内面のフィルムの耐デント性については、缶にお茶を充填してから開口部を缶蓋で密封し、125℃で30分レトルト殺菌処理を行った後、4℃の保冷庫に保存し、缶の温度が4℃になった時点で、高さ45cmの位置から60°の角度で缶底部を下にして落下させ、その後、缶蓋のパネル部を切断除去して缶を開缶した後、落下によって変形した部位以外を絶縁物でシールし、前記QTV試験と同様に、缶内に電解液と棒電極とを入れて、缶を陽極、銅製棒電極を陰極とし、印加電圧6Vで30秒後の電流値(mA)を測定し、デント部フィルムの健全性の評価とした。(以降、この評価法を耐デント性評価と称する。)
(9)内容物を充填・密封した後に施される殺菌処理時のフィルム耐白化性の評価は、125℃で30分レトルト殺菌処理を行った後のフィルムの白化程度を観察して次のように評価基準を設定し、行った。
◎:白化なく良好
○:ごく僅かな白化で実用レベルにある
×:明確に白化しており実用レベルにない
なお、実施例及び比較例に用いたポリエステルの略号と内容、安定剤は次の通りである。
[1]PET−A:ポリエチレンテレフタレート(IV:0.75)
[2]PET−B:ポリエチレンテレフタレート(IV:0.58)
[3]PBT−A:ポリブチレンテレフタレート(IV:1.20)
[4]PBT−B:ポリブチレンテレフタレート(IV:1.00)
[5]亜リン酸エステル系安定剤:ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化製、商品名:アデカ・スタブPEP−45)
[実施例1]
PET−A/PBT−A=35/65重量%の混合比で混合した混合ポリエステル樹脂に、該混合ポリエステル100重量部に対して安定剤を0.7重量部配合したポリエステル樹脂からなる厚みが9μm(フィルム1)、15μm(フィルム2)、25μm(フィルム3)、36μm(フィルム4)のフィルムを用いて、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板の一方の面にフィルム1を他の面にフィルム2の組み合わせ(テスト1)で、同様にフィルム1とフィルム3の組み合わせ(テスト2)、同様にフィルム1とフィルム4の組み合わせ(テスト3)、同様にフィルム2とフィルム3の組み合わせ(テスト4)で、各フィルムをそれぞれロール圧着させた後、続いて板温が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、加圧空気で平均熱伝達係数0.0015cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却してテスト1〜テスト4の被覆アルミニウム合金板を得た。
得られたテスト1〜テスト4の被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの極限粘度(IV)の測定結果は表1に、TMA(熱機械分析)の測定結果は表2に、密度は表2に示した。
こうして得たテスト1〜テスト4の被覆アルミニウム合金板の両面に潤滑剤を塗布後、90缶/分の加工速度でカップ絞り加工、再絞り加工及びしごき加工を行って、缶壁部の加工度が62%の、350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、パンチの離型性および耐カジリ性を調べた。その結果は表2に示した。
更に、開口部をトリミングし、缶の金属板温度が272℃になるよう熱風炉中を通過させて加熱し、その後、直ちに加圧空気で急冷し、ポリエステルフィルムを非晶質にした後、ネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズ缶を作成した。缶の内外面共フィルム剥離はなく、良好な缶が得られた。得られた缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得た缶について内面のQTV試験、耐デント性を調べた。また、内面及び外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、実施例1(テスト1〜テスト4)の被覆アルミニウム合金板は、良好なパンチ離型性や耐カジリ性を示し、製缶性に優れていることが判る。また、得られる缶はレトルト殺菌処理で白化なく良好であり、内面品質や耐デント性は良好なものが得られていることが判る。
[実施例2]
PET−A/PBT−A=55/45重量%の混合比で混合した混合ポリエステルに、該混合ポリエステル100重量部に対して安定剤を0.7重量部配合したポリエステル樹脂からなる、厚みが12μm(フィルム5)、及び25μm(フィルム6)を用いて、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mm、3004系アルミニウム合金板の一方の面にフィルム5を他の面にフィルム6の組み合わせ(テスト5)で、各フィルムをそれぞれロール圧着させた後、続いて板温が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、圧縮空気で平均熱伝達係数0.0015cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却してテスト5の被覆アルミニウム合金板を得た。
又、同様に加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚が0.19mmの片面の付着量としてNiを500mg/m 、その上層に金属クロム換算で6mg/mの水和酸化クロムを有するNiめっき鋼板の一方の面にフィルム5を、他の面にフィルム6の組み合わせ(テスト6)で、各フィルムをそれぞれロール圧着させ、続いて板温が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、平均熱伝達係数0.003cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却してテスト6の被覆鋼板を得た。
得られたテスト5の被覆アルミニウム合金板とテスト6の被覆鋼板に被覆されているフィルムの極限粘度(IV)の測定結果は表1に、TMA(熱機械分析)密度は表2に示した。
こうして得たテスト5の被覆アルミニウム合金板、及びテスト6の被覆鋼板の両面に潤滑剤を塗布後、フィルム厚みが厚い面が缶の内面側(フィルム6が内面側)になるように、90缶/分の加工速度でカップ絞り加工、再絞り加工、及びしごき加工を行って、被覆アルミニウム合金板の場合は缶壁部の加工度が62%の、被覆鋼板の場合は缶壁部の加工度が52%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、パンチの離型性および耐カジリ性を調べた。その結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従ってネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズの缶を作成した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得た缶について内面に被覆されたフィルムのQTV試験、耐デント性を調べた。また、内面及び外面に被覆されたフィルムについてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、実施例2(テスト5)の被覆アルミニウム合金板、及び実施例2(テスト6)の被覆鋼板は、良好なパンチ離型性や耐カジリ性を示し、製缶性に優れていることが判る。また、得られる缶は、レトルト殺菌処理でごく僅かに白化はしていたが実用レベルであり、内面品質や耐デント性は良好なものが得られていることが判る。
[実施例3]
PET−A/PBT−A=40/60重量%の混合比で混合した混合ポリエステルに、該混合ポリエステル100重量部に対して安定剤を0.7重量部配合したポリエステル樹脂からなる、厚みが16μm(フィルム7)、及び25μm(フィルム8)を用いて、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板の一方の面にフィルム7を他の面にフィルム8の組み合わせで、各フィルムをそれぞれロール圧着させ、続いて板温が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、圧縮空気で平均熱伝達係数0.0040cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却して被覆アルミニウム合金板(テスト7)、及び圧縮空気で平均熱伝達係数0.001cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却して被覆アルミニウム合金板(テスト8)を得た。
得られたテスト7、テスト8の被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの極限粘度(IV)の測定結果は表1に、TMA(熱機械分析)、密度は表2に示した。
こうして得たテスト7、テスト8の被覆アルミニウム合金板を実施例1の手順に従って、潤滑剤を塗布後、フィルム8の面が缶の内面側になるようにして、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、パンチの離型性および耐カジリ性を調べた。その結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従ってネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズの缶を作成した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得た缶について内面のQTV試験、耐デント性を調べた。また、内面及び外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、実施例3のテスト7、及びテスト8の被覆アルミニウム合金板は、良好なパンチ離型性や耐カジリ性を示し、製缶性に優れていることが判る。また、得られる缶はレトルト殺菌処理でごく僅かに白化はしていたが実用レベルであり、内面品質や耐デント性は良好なものが得られていることが判る。
[比較例1]
PET−A/PBT−A=20/80重量%の混合比で混合した混合ポリエステルに、該混合ポリエステル100重量部に対して安定剤を0.7重量部配合したポリエステル樹脂からなる、厚みが16μm(フィルム9)及び25μm(フィルム10)を用いて、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板の一方の面にフィルム9を、他の面にフィルム10の組み合わせで、各フィルムをそれぞれロール圧着させ、続いて板温が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、圧縮空気で平均熱伝達係数0.0040cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却して被覆アルミニウム合金板(テスト9)を得た。
得られたテスト9の被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの極限粘度(IV)の測定結果は表1に、TMA(熱機械分析)の測定結果は表2に、密度は表2示した。
こうして得たテスト9の被覆アルミニウム合金板を実施例1の手順に従って、潤滑剤を塗布後、フィルム10の面が缶の内面側になるようにして、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、パンチの離型性および耐カジリ性を調べた。その結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従ってネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズの缶を作成した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得た缶について内面のQTV試験、耐デント性を調べた。また、内面及び外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、比較例1(テスト9)の被覆アルミニウム合金板は耐カジリ性に劣り、製缶性に問題がある。又、得られた缶の内面品質もQTV値、耐デント性において実施例に比べて劣ったものであった。
[比較例2]
PET−A/PBT−A=70/30重量%の混合比で混合した混合ポリエステルに、該混合ポリエステル100重量部に対して安定剤を0.7重量部配合したポリエステル樹脂からなる、厚みが16μm(フィルム11)、及び25μm(フィルム12)を用いて、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板の一方の面にフィルム9を他の面にフィルム10の組み合わせで、各フィルムをそれぞれロール圧着させ、続いて板温が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、加圧空気で平均熱伝達係数0.0040cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却して被覆アルミニウム合金板(テスト10)を得た。
得られたテスト10の被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの極限粘度(IV)の測定結果は表1に、密度、TMA(熱機械分析)の測定結果は表2に示した。
こうして得たテスト10の被覆アルミニウム合金板を実施例1の手順に従って、潤滑剤を塗布後、フィルム12の面が缶の内面側になるようにして、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、パンチの離型性および耐カジリ性を調べた。その結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従ってネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズの缶を作成した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表1に示した。
こうして得た、缶について内面のQTV試験、耐デント性を調べた。また、内面及び外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、比較例2(テスト10)の被覆アルミニウム合金板は、パンチ離型性や耐カジリ性と言った製缶性は良好であるが、耐デント性が劣り、又、レトルト殺菌処理でフィルムの白化が起こっており、好ましくない。
[比較例3]
PET−B/PBT−B=40/60重量%の混合比で混合した混合ポリエステル樹脂(安定剤の配合なし)からなる、厚みが16μm(フィルム13)、及び25μm(フィルム14)を用いて、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板の一方の面にフィルム9を他の面にフィルム10の組み合わせで、各フィルムをそれぞれロール圧着させ、続いて板温が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、加圧空気で平均熱伝達係数0.0040cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却して被覆アルミニウム合金板(テスト11)を得た。
得られたテスト11の被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの極限粘度(IV)の測定結果は表1に、密度、TMA(熱機械分析)の測定結果は表2に示した。
こうして得たテスト11の被覆アルミニウム合金板を、実施例1の手順に従って潤滑剤を塗布後、フィルム14の面が缶の内面側になるようにして、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、パンチの離型性および耐カジリ性を調べた。その結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従ってネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズの缶を作成した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得た缶について内面のQTV試験、耐デント性を調べた。また、内面及び外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、比較例3(テスト11)の被覆アルミニウム合金板は、離型性は良好であったが、耐カジリ性が実施例に比べ若干劣っていた。又、得られた缶は実施例に比べ、QTV値が劣り、耐デント性も劣っていた。レトルト殺菌処理でフィルムの耐白化性は良好であった。
[比較例4]
実施例3で用いた、厚みが16μm(フィルム7)、及び25μm(フィルム8)を用いて、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板の一方の面にフィルム7を他の面にフィルム8の組み合わせで、各フィルムをそれぞれロール圧着させ、続いて板温が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、25℃の水中に浸漬して急冷して被覆アルミニウム合金板(テスト12)を得た。
得られたテスト12の被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの極限粘度(IV)の測定結果は表1に、密度、TMA(熱機械分析)の測定結果は表2に示した。
こうして得たテスト12の被覆アルミニウム合金板を、実施例1の手順に従って潤滑剤を塗布後、フィルム8の面が缶の内面になるように、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、パンチの離型性および耐カジリ性を調べた。その結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従ってネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズの缶を作成した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得た、缶について内面のQTV試験、耐デント性を調べた。また、内面及び外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、比較例4(テスト12)の被覆アルミニウム合金板は、実施例に比べ、耐カジリ性が劣ったものであった。得られた缶については、耐デント性、レトルト殺菌処理でフィルムの耐白化性とも実施例と同等の特性を有していた。
[比較例5]
実施例3で用いた、厚みが16μm(フィルム7)、及び25μm(フィルム8)を用いて、加熱ロール(ジャケットロール)で240℃に加熱された、板厚0.28mmの3004系アルミニウム合金板の一方の面にフィルム7を他の面にフィルム8の組み合わせで、フィルムをロール圧着させ、続いて板温が250℃になるように熱風炉中で加熱した後、加圧空気で平均熱伝達係数0.0003cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却して被覆アルミニウム合金板(テスト13)を得た。
得られたテスト13の被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの極限粘度(IV)の測定結果は表1に、密度、TMA(熱機械分析)の測定結果は表2に示した。
こうして得たテスト13の被覆アルミニウム合金板を、実施例1の手順に従って潤滑剤を塗布後、フィルム8の面が缶の内面になるように、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、パンチの離型性および耐カジリ性を調べた。その結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従ってネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズの缶を作成した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得た缶について内面のQTV試験、耐デント性を調べた。また、内面及び外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、比較例5(テスト13)の被覆アルミニウム合金板は、実施例に比べQTV値や耐カジリ性が劣ったものであった。得られた缶については、耐デント性、レトルト殺菌処理でフィルムの耐白化性とも実施例と同等の特性を有していた。
[比較例6]
実施例3のテスト7から得た缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を用いて、開口部をトリミングした後、缶を板温が245℃になるよう熱風炉中を通過させて加熱し、その後、直ちに加圧空気で急冷した後、ネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズ缶を作成(テスト14)した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
得られた金属缶は、フランジ部端面からフィルム剥離が起こっており、缶としては劣ったものであった。従って、テスト14の比較例6は、他の評価は行わなかった。
[比較例7]
PET−B/PBT−B=40/60重量%の混合比で混合した混合ポリエステルに、該混合ポリエステル100重量部に対して安定剤を0.7重量部配合させたポリエステル樹脂からなる、厚みが16μm(フィルム15)、及び25μm(フィルム16)を用いて、加熱ロール(ジャケットロール)で250℃に加熱された、板厚0.28mm、3004系アルミニウム合金板の一方の面にフィルム15を他の面にフィルム16の組み合わせで、各フィルムをそれぞれロール圧着させ、続いて板温が270℃になるように熱風炉中で加熱した後、加圧空気で平均熱伝達係数0.0040cal/cm・sec・℃の条件で板温として40℃まで冷却して被覆アルミニウム合金板(テスト15)を得た。
得られたテスト15の被覆アルミニウム合金板に被覆されているフィルムの極限粘度(IV)の測定結果は表1に、密度、TMA(熱機械分析)の測定結果は表2に示した。
こうして得た被覆アルミニウム合金板を、実施例1の手順に従って潤滑剤を塗布後、フィルム16の面が缶の内面側になるようにして、缶壁部の加工度が62%の350mlサイズのシームレス缶を製缶した。
得られた缶について、パンチの離型性および耐カジリ性を調べた。その結果は表2に示した。
更に、実施例1の手順に従ってネック加工およびフランジ加工を行い、350mlサイズの缶を作成した。缶の内面側フィルムの密度の測定結果は表2に示した。
こうして得た缶について内面のQTV試験、耐デント性を調べた。また、内面及び外面についてレトルト殺菌処理での耐白化性を調べた。その結果は表2に示した。
表2から判るように、比較例7(テスト15)の被覆アルミニウム合金板は、得られた缶の離型性、耐カジリ性、及び耐デント性が実施例に比べ劣っていた。レトルト殺菌処理でフィルムの耐白化性は良好であった。












































Figure 0004430921

















Figure 0004430921
本発明のポリエステルフィルム被覆金属板は、エチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとの混合比が60:40〜30:70重量%のポリエステルからなるポリエステルフィルムを金属板の両面に被覆させた金属板であって、少なくとも缶の外面側に相当する金属面に被覆されている該ポリエステルフィルムは、亜リン酸エステル系安定剤が含有されていると共に、極限粘度(IV)が0.70dl(デシリットル)/g以上、密度が1.320g/cm以下であり、且つ、TMA(熱機械分析)で測定されるプローブ侵入開始温度が35〜55℃であるポリエステルフィルム被覆金属板としたことにより、製缶性(例えば、絞り・しごき加工性)、特に高速・高加工度の製缶性に優れており、缶の外面側のフィルムは高速・高加工度の絞り・しごき加工を行っても、フィルムには前述したカジリが入り難いため、良好な外観が確保できる、と言った利点を有する。
又、本発明を実施することで得られる缶は、前述したように、内容物を充填・密封した後に施されるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理を経てもフィルムの白化現象が発生しにくいため、例えば、缶の外観は美麗観を確保でき、更には、レトルト殺菌処理と言った熱水処理後においても良好な耐デント性を有する、と言った優れた効果を有する。
又、本発明のポリエステルフィルム被覆金属板は、亜リン酸エステル系安定剤を混合ポリエステル100重量部に対して0.01〜3重量部配合させることにより、上記効果に加えて、被覆されているポリエステルフィルムを非晶質にするために加熱する時の熱による分子量の低下を防止することができ、良好な耐デント性に優れている等、品質面からも優れた缶を得ることができた。
更に、本発明のポリエステルフィルム被覆金属缶は、上記ポリエステルフィルム被覆金属板から成形して得られる金属缶であって、少なくとも缶の内面側に被覆されている該ポリエステルフィルムの密度が1.320g/cm以下であるポリエステルフィルム被覆金属缶としたことにより、内容物を充填・密封した後に行われるレトルト殺菌処理と言った熱水処理やパストロ殺菌処理と言った温水処理を経てもフィルムの白化等の外観を大きく損ねる現象が発生せず、優れた印刷外観が保持・確保できるなど、多くの利点を有している。

Claims (3)

  1. エチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとブチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとの混合比が60:40〜30:70重量%のポリエステルからなるポリエステルフィルムを金属板の両面に被覆させた金属板であって、少なくとも缶の外面側に相当する金属面に被覆されている該ポリエステルフィルムは、亜リン酸エステル系安定剤が含有されていると共に、極限粘度(IV)が0.70dl(デシリットル)/g以上、密度が1.320g/cm以下であり、且つ、ポリエステル表面での熱伝達係数が0.0005〜0.005cal/cm ・sec・℃の条件で冷却することにより得られる、TMA(熱機械分析)で測定されるプローブ侵入開始温度が35〜55℃であることを特徴とするポリエステルフィルム被覆金属板。
  2. 前記亜リン酸エステル系安定剤が、該ポリエステル100重量部に対して0.01〜3重量部配合されていることを特徴とする請求項1記載のポリエステルフィルム被覆金属板。
  3. 請求項1乃至請求項2記載のポリエステルフィルム被覆金属板から成形して得られる缶であって、後加熱することによって少なくとも缶の内面側に被覆されている該ポリエステルフィルム密度1.320g/cm以下となっていることを特徴とするポリエステルフィルム被覆金属缶。
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