JP2002205328A - ポリエステルシートおよびフィルムの成形方法 - Google Patents

ポリエステルシートおよびフィルムの成形方法

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JP2002205328A
JP2002205328A JP2001003676A JP2001003676A JP2002205328A JP 2002205328 A JP2002205328 A JP 2002205328A JP 2001003676 A JP2001003676 A JP 2001003676A JP 2001003676 A JP2001003676 A JP 2001003676A JP 2002205328 A JP2002205328 A JP 2002205328A
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Japan
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sheet
polyester
cooling roll
forming
film
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JP2001003676A
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Norio Takagi
憲男 高木
Toshifumi Osawa
利文 大澤
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑性に優れた高品質のシートまたはフ
ィルムを高速で生産できるポリエステルシートの成形方
法を提供する。 【解決手段】 ポリエステルの溶融シートをオリフィス
状の口金から押出し、冷却ロール表面に密着させ固化さ
せるシートの成形方法において、該ポリエステルの溶融
状態での初期蓄積電荷量が2.2〜8.5μc/mm2
の範囲であり、該冷却ロール表面が濡れ指数40mN/
m以上、中心線平均粗さ0.01〜0.35μmの範囲
であることを特徴とするポリエステルシートの成形方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステルシート
およびフィルムの成形方法に関し、更に詳しくは、平滑
性に優れ、良好な品質のポリエステルシートまたはフィ
ルムを、長時間高速で安定して生産することができるポ
リエステルシートおよびフィルムの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルシートを成形する方法とし
て、ポリエステルの溶融シートをオリフィス状の口金か
ら押出し、冷却ロール表面に密着させ固化させる(キャ
ストする)方法が従来から知られている。この方法で
は、冷却ロール表面への溶融シートの密着力を増加させ
るため、溶融シートに静電荷を付与する方法(静電密着
法)を併用することも知られている。そして、この方法
では、冷却ロールとして表面が平滑に仕上げられている
(鏡面仕上)ものが通常用いられるが、溶融シートを冷
却ロール面に密着させる際に、冷却ロール面と溶融シー
トとの間に巻込まれる空気の排出が必要となる。
【0003】巻込まれる空気の排出は、シートの成形速
度が高速化するに伴って困難になり、その結果種々の問
題が生じる。即ち、静電密着法を併用した場合は、巻込
まれた空気が泡状に介在するため、シート表面欠陥の原
因になりシートの平滑性が低下する問題が生じる。この
ため、表面欠陥の無いシートを成形するには速度に限界
がある。
【0004】また、静電密着法を併用したシートの成形
方法では、シート成形の速度限界を改良する目的で、ポ
リマー中にアルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、P
またはそれらの化合物を含有させることにより溶融ポリ
マーの比抵抗を低下させ、或いは初期蓄積電荷量を増加
させて前記密着力を向上させる方法が多数提案されてい
る(例えば特公昭53−40231号公報、特公昭56
−15730号公報、特公昭59−62627号公報、
特開昭62−187724号公報、特開昭62−189
133号公報等)。
【0005】しかしシート成形の速度限界を更に高める
ために前記金属化合物を多量に含有させると、これらの
化合物はポリマーに不溶性の金属塩となって析出し、析
出物がシートを延伸して得られる二軸延伸フィルムでは
表面の粗大な突起となる。これらの粗大な突起は、フィ
ルムを磁気記録材料のベースフィルムに用いた際には磁
気記録信号のドロップアウトの原因になり、また、フィ
ルムを光学用途に用いた際には光の不均一透過の原因に
なる。その他、前記金属化合物を多量に含有させると、
ポリマーの熱安定性が低下して、フィルムの変色の原因
やポリマーの重合度低下に伴う種々の支障の原因とな
る。このため、ポリマー中へアルカリ金属化合物やM
g、Pまたはそれらの化合物等を多量添加してシートの
生産速度を向上させる方法には問題がある。
【0006】シートの成形速度限界を改良する他の方法
として、冷却ロール表面を粗面化し、その連結した通路
を通じて溶融シートと冷却ロール面との間に巻込まれた
空気を排出する方法(特開昭46−439号公報には)
が提案されている。この方法では空気の排出作用を高め
るため冷却ロール表面の粗度を粗くする必要がある。し
かしながら、この方法では、ロール表面の凹凸模様がシ
ート表面にレプリカしたように転写して、オレンジ肌様
の欠点がシートや延伸したフィルムに生じる問題があ
る。また、この方法では、冷却ロール表面での空気排出
路が浅く狭いため、溶融シートから昇華する低分子化合
物により空気の排出路が閉塞し易く、その結果成形速度
の向上効果が短時間で低下する欠点がある。
【0007】シートの成形速度限界を改良する更に他の
方法として、冷却ロールにマイクロクラック表面のもの
を用いる方法(特開昭58−183220号公報)が提
案されている。この方法では、冷却ロール表面に微細な
溝を設け、溝幅に対して溝深さの大きい溝が存在するの
で、冷却ロール表面を粗面化する方法に比べればシート
や延伸フィルムへの凹凸の転写欠点は改善される。ま
た、昇華物による空気排出路の閉塞も軽減できる。
【0008】しかしこの方法も、マイクロクラックの溝
幅が広い場合、或いは単位面積当たりの溝の数(溝密
度)が過剰な場合には、マイクロクラックのシートへの
転写がオレンジ肌様欠点の要因になる場合がある。逆に
マイクロクラックの溝幅が狭い場合、或いは単位面積当
たりの溝の数(溝密度)が余りに少ない場合には、マイ
クロクラックの高速化効果が充分発現しない。
【0009】更に、冷却ロール表面にマイクロクラック
を形成させる際に、溝幅、溝密度などマイクロクラック
の基本的特性を任意に制御する技術は未だ知られておら
ず、まして大きな冷却ロールの広い面に、最適な形状の
マイクロクラックを均一に形成させることは極めて困難
であり、マイクロクラックの形状改良による問題解決は
困難である。
【0010】冷却ロール表面にマイクロクラックを形成
させる際に、溝幅や溝密度に特段の制約を設けない場合
でも、シートへの転写欠点になるピンホールを発生した
り、局部的に表面が粗面化する等の問題があり、マイク
ロクラックの製作コストは通常の鏡面クロム鍍金に比し
て極めて高価になる問題がある。
【0011】特開昭64−53820号公報には、マイ
クロクラックに加えて表面が親水化処理された冷却表面
にキャストする方法が提案されているが、マイクロクラ
ックに付随する種々の困難と問題点の上に、更に親水化
処理の新たな工程が加わり、冷却ロールの加工コストは
一層高価なものとなる。
【0012】一方、フィルム品質に対する要求は近年ま
すます高度化し、光学用途では光線透過率の高度な均一
性が、磁気記録用途、特に真空蒸着薄膜等のように厚さ
がオングストロームレベルの極薄膜を記録層とする高密
度記録等ではベースフィルムの高度な表面平滑性が要求
されるが、上述の従来の技術ではこれらの要求を満たす
ことができない。
【0013】このように光学的均一性や表面の平滑性
等、高度な品質のフィルムを高速かつ高稼働率で生産す
ることができるシートの成形方法が望まれている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記の問
題を解消でき、光学的均一性や表面の平滑性に優れた、
即ち冷却ロール表面の転写欠点が無く、且つ高い速度で
シートや延伸フィルムを生産できる方策を検討した結
果、特定な表面特性の冷却ロールを用いれば目的を達成
できることを見出し本発明に到達した。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、ポリエステルの溶融シートをオリフィス状の
口金から押出し、冷却ロール表面に密着させ固化させる
シートの成形方法において、該ポリエステルの溶融状態
での初期蓄積電荷量が2.2〜8.5μc/mm2の範
囲であり、該冷却ロール表面が濡れ指数40mN/m以
上、中心線平均粗さ0.01〜0.35μmの範囲であ
ることを特徴とするポリエステルシートの成形方法によ
り達成できる。
【0016】また、本発明の目的は、本発明によれば、
ポリエステルの溶融シートをオリフィス状の口金から押
出し、冷却ロール表面に密着させ固化させてシートを成
形し、次いで該シートを縦方向及び横方向に二軸延伸す
るフィルムの成形方法において、該ポリエステルの溶融
状態での初期蓄積電荷量が2.2〜8.5μc/mm 2
の範囲であり、該冷却ロール表面が濡れ指数40mN/
m以上、中心線平均粗さ0.01〜0.35μmの範囲
であることを特徴とするポリエステルフィルムの成形方
法により達成できる。
【0017】更に、本発明の好ましい態様として、溶融
状態での初期蓄積電荷量が2.2〜8.5μc/mm2
の範囲のポリエステルの溶融シートをオリフィス状の口
金から押出し、表面の濡れ指数が40mN/m以上、中
心線平均粗さが0.01〜0.35μmの範囲の冷却ロ
ール表面に密着させ固化させるシートの成形方法におい
て、真空漏洩法により測定した冷却ロール表面の通気抵
抗が500〜10000秒の範囲であるポリエステルシ
ートの成形方法、冷却ロール表面がクロム鍍金を化学的
又は電気化学的エッチングして製作されたポリエステル
シートの成形方法、ポリエステルの溶融シートを冷却ロ
ールの表面に密着させる際に、静電密着法を併用するポ
リエステルシートの成形方法を挙げることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】(冷却ロール)本発明では、シートの成形
に表面の濡れ指数が40mN/m以上で、且つ表面の中
心線平均粗さが0.01〜0.35μmのものを用い
る。このような表面の冷却ロールを用い、特に静電密着
法を併用することにより平滑性に優れた良好な品質のポ
リエステルシートを、高速で生産することができる。
【0020】本発明において、濡れ指数とはロール表面
の親水性の程度を定量的に表す尺度として用いるもの
で、JIS K6768に「ポリエチレンおよびポリプ
ロピレンフィルムのぬれ試験法」として用いられている
方法であるが、本発明における金属表面のぬれ特性を評
価する方法として都合良く転用できる。即ち、上記の方
法は表面張力(mN/m)の数値をもって表すもので、
この数値を濡れ指数と称する。この濡れ指数は「臨界表
面張力(critical surface tens
ion)」として表面科学の領域でも知られている。し
かしJIS K6768は濡れ指数が30〜56mN/
mの範囲を規定するもので、この範囲を超える評価は出
来ない。
【0021】一般に清浄にされた平滑なクロム鍍金の表
面は、濡れ指数が約35mN/mで、かかる表面では水
の薄い(約1μm)塗膜は撥水性が強く安定に存在する
ことは出来ないが、金属表面の濡れ指数が少なくとも4
0mN/m以上では薄い水塗膜は安定に存在できる。
【0022】このような親水性表面は、特開昭58−6
3415号公報で紹介されている冷却ロールの表面と同
等で、当該公報では口金から押し出された溶融シート
を、親水性ロール表面に薄い水塗膜を介して密着させる
シートの成形方法である。
【0023】一方、本発明では口金から押し出された溶
融シートを、水塗膜を介せずに親水性ロール表面に直接
密着させるものであって、冷却ロール表面の濡れ指数が
高くなるほどシート成形の上限速度が上昇する現象を見
出し、特に溶融状態での初期蓄積電荷量が、2.2〜
8.5μc/mm2の範囲のポリエステルと組み合わせ
ることによって、シートの成形速度向上効果が更に顕著
となることを知見して本願に至った。シートの成形速度
を高めるには、冷却ロール表面の濡れ指数は少なくとも
40mN/m以上、望ましくは45mN/m以上、特に
好ましくは48mN/m以上である。
【0024】濡れ指数の高い親水性表面は、例えば一旦
形成されたクロム鍍金の表層部を化学的にエッチングす
る方法、或いは電気化学的に僅かにエッチングする方法
等によって、濡れ指数が40mN/m以上あるいは50
mN/m以上の親水性クロム鍍金表面として形成させる
ことができる。
【0025】本発明における冷却ロール表面の中心線平
均粗さは0.01〜0.3μmの表面である。平均粗さ
が0.01μm未満では目的の高品質のシートを高速で
生産することが出来ない。一方、平均粗さが0.3μm
を超えると鍍金が脆くなり、加えてシートに転写欠点を
生じるため好ましくない。冷却ロール表面の中心線平均
粗さの上限は0.27μm、特に0.24μmであるこ
とが好ましく、下限は0.2μm、特に0.18μmで
あることが好ましい。
【0026】冷却ロール表面を前記エッチング処理によ
り親水性化すると、何故シート成形の上限速度が上昇す
るかは定かではないが、親水性表面を観察した結果から
次のことが推察される。即ち、鏡面クロム鍍金に対して
極薄く乳白色の色を呈して粗面化しており、表面の顕微
鏡観察によれば粗面化に加えて、時として極めて溝幅の
狭い(約0.2μm)チャンネル型マイクロクラックが
認められる場合もあるが、これに類似のマイクロクラッ
クはしばしば鏡面クロム鍍金でも観察されるものであっ
て、マイクロクラックで親水性が上がるとは考え難い。
しかし本発明の親水性ロール表面には特異な現象があっ
て、水を塗布するとロール表面から小さな泡が多数浮き
上がってくる現象があり、又濡れ指数が大きくなるよう
にエッチング処理を過度に実施すると、めっきが衝撃で
破壊し易くなって部分的欠落を生じる等の現象がある。
【0027】濡れ指数が高くなることはロール表面の保
水容積が大きくなることと仮定し、これらの諸現象を考
え合わせると、鍍金層内部がポーラス構造になっている
ことが推定される。この推論に基づけば、溶融シートを
静電密着する際生じる巻込み空気は、鍍金層内部のこの
ポーラス構造に一時的に吸収されたり、或いはポーラス
構造を通して拡散排出される等の作用が働いて、その結
果シート成形の上限速度が上昇すると推定される。
【0028】(通気抵抗)また、本発明における冷却ロ
ールの表面は、真空漏洩法により測定される通気抵抗が
500〜10000秒であることが好ましく、600〜
8000秒であることが特に好ましい。通気抵抗が50
0秒未満ではマイクロクラック様の欠点が存在したり、
鍍金が破壊し易くなる問題がある。
【0029】尚、本発明において通気抵抗とは、粗面の
表面上に特定容積の密封空間を設け、この空間を所定の
真空度にした後、粗面の溝を通じて流入する空気により
空間の真空度が所定の真空度まで低下するのに要する時
間をいう。即ち、上記特定容積の密封空間中の空気を真
空ポンプなどにより排出して所定真空度の真空領域とし
た後空気の排出を停止し、粗面の溝を通じて流入する空
気により空間の真空度が所定の値まで低下するのに要す
る時間を測定する。
【0030】通気抵抗の具体的な測定法は、第1図にそ
の概略図を示すように、真空計2の付いた真空容器1の
一端に真空コック3を介して真空ポンプ4を接続し、他
端に真空ホース5を介してゴムの吸盤6(例えば株式会
社妙徳製FPM.PFYK−40)を取り付ける。吸盤
部分は、第2図の拡大断面模式図に示すように、直径4
0mmの吸盤(6,12)を冷却ロール表面14に押し
当て、吸盤の外周面が粗面の表面上に密着するように直
径30mmのポーラスなシート(例えば日本精線株式会
社製ナスロン低密度焼結体8−L−500)13を吸盤
の中央に置いて押し当てる。この時、真空コック3から
吸盤6までの空間容積が100ccとなるよう調整す
る。次いで、この100ccの空間の真空度が−93.
1kPa(−700mmHg)となるまで真空ポンプ4
により空間の空気を排出した後真空コック3を閉じ、直
ちに時間の測定を開始する。吸盤部分の粗面の溝を通じ
て真空系に空気が流入するため真空度が低下するが、こ
の時真空度が−93.1kPaから−86.45kPa
(−700mmHgから−650mmHg)に低下する
のに要する時間を測定し、この所要時間を通気抵抗と定
義する。なお、通気抵抗の測定に先立って測定器の真空
漏れをチェックするために、磨かれたガラス板の通気抵
抗が20000秒以上であることを確認する。
【0031】(ポリエステル)本発明におけるポリエス
テルとは、ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる
熱可塑性ポリエステルであって、溶融状態での初期蓄積
電荷量が2.2〜8.5μc/mm2の範囲のポリエス
テルである。
【0032】このポリエステルのジカルボン酸成分とし
ては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、
4,4´−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバ
シン酸、ドデカンジカルボン酸、等を例示することがで
きる。特にフィルムの機械的性質の点から、テレフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0033】また、ポリエステルのグリコール成分とし
ては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げること
ができ、このうちエチレングリコール、1,3−プロパ
ンジオール、1,4−ブタンジオールが好ましく、特に
エチレングリコールがポリエステルフィルムの機械的特
性や熱的特性等に優れるため好ましい。
【0034】本発明におけるポリエステルとしては、上
記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテ
レフタレートのような芳香族ポリエステルの単独重合体
或いはこれらの共重合体を主成分とするものが好まし
い。この中、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジ
カルボン酸を主たる酸成分とするポリエステルが好まし
く、繰返し単位の50モル%以上がエチレンテレフタレ
ートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートの単独
重合体または共重合体であることが特に好ましい。ま
た、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−
2,6−ナフタレートの単独重合体或いは共重合体が5
0重量%以上のポリエステル混合物であってもよい。
【0035】(初期蓄積電荷量)本発明において、溶融
状態での初期蓄積電荷量とは、特開昭62−18913
3号公報に記載の方法に従って測定した値である。但
し、テレフタル酸を主たる酸成分とするポリエステルで
は、溶融温度を275℃とし、直流1200Vの電圧を
3分間印加した時の電圧及び電流値から算出し、2,6
−ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とするポリエ
ステルでは、溶融温度を295℃とし、直流1200V
の電圧を3分間印加した時の電圧及び電流値から算出す
る。
【0036】本発明においてポリエステルの溶融状態で
の初期蓄積電荷量は2.2〜8.5μc/mm2の範囲
であることが好ましい。更に望ましくは2.8〜8.0
μc/mm2である。溶融状態での初期蓄積電荷量が
2.2μc/mm2未満の場合は静電密着法によるシー
ト成形で高速効果が得られない。一方、溶融状態での初
期蓄積電荷量が8.5μc/mm2を超える場合は粗大
な粒子や異物が多かったり、ポリマーの熱安定性が低く
黄色に着色するなどの問題がある。
【0037】溶融状態での初期蓄積電荷量が本発明の範
囲となるポリエステルは、上記ポリエステルにアルカリ
金属、アルカリ土類金属、Mg、Pまたはそれらの化合
物等、それら金属化合物を少なくとも1種以上を配合す
ることにより調整することができる。これらの金属化合
物のうち、Mg化合物(例えば酢酸マグネシウム)が好
ましく、P化合物と併用することが特に好ましい。
【0038】金属化合物の配合割合は、例えばポリエス
テル中に金属原子として20〜2000ppmであるこ
とが好ましく、更に50〜1000ppm、特に100
〜600ppmであることが好ましい。
【0039】本発明におけるポリエステルには、本発明
の効果を損なわない範囲で、有機もしくは無機の滑剤、
酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤など
の添加剤を含むことができる。
【0040】(シートの成形)本発明では、オリフィス
状の口金から押出されたポリエステルの溶融シートを冷
却ロール表面に密着させ固化させることによりシートを
成形するが、オリフィス状の口金とは、例えばTダイ、
フィッシュテールダイ、Iダイ等で、直線状の開口部を
有する口金である。また、本発明において成形されたシ
ートの厚さは10〜1000μmが好適である。本発明
で成形されたシートは引き続き二軸延伸工程において延
伸し二軸延伸フィルムとすることができる。尚、本発明
におけるシートの成形速度の上限は、溶融ポリエステル
の初期蓄積電荷量やシートの厚さ、冷却ロールの濡れ指
数に依存するが、220m/分、望ましくは180m/
分である。尚、本発明では、溶融シートに静電荷を付加
してクーロン力で冷却ロール面に密着する静電密着法を
併用することが好ましい。
【0041】(ポリエステルフィルム)本発明における
ポリエステルフィルムは、溶融状態での初期蓄積電荷量
が2.2〜8.5μc/mm2の範囲のポリエステルの
溶融シートをオリフィス状の口金から押出し、表面の濡
れ指数40mN/m以上、中心線平均粗さ0.01〜
0.35μmの範囲の冷却ロール表面に密着させ固化さ
せてシートを成形し、次いでこのシートを縦方向及び横
方向に二軸延伸することにより得ることができる。
【0042】本発明において二軸延伸とは、未延伸シー
トを予熱して縦方向に延伸し、続いて横方向に延伸する
逐次二軸延伸すること、或いは縦方向と横方向の延伸を
同時に行う同時二軸延伸することである。特に逐次二軸
延伸の場合は種々の公知の延伸方法、例えば特開昭54
−8672号公報や特開平11−188791号公報に
提案されている延伸方法が都合よく適用できる。例えば
未延伸シートを、複数の区間で加熱と延伸を繰り返して
縦方向の合計倍率が2〜8倍になるように縦方向に多段
階に延伸し、この複数の縦延伸区間の間に、及び/又は
縦延伸工程に続いて横方向の合計倍率が2〜8倍になる
ように延伸して、縦横の延伸倍率の積が4〜64倍にす
る方法等も本発明に用いることができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。なお、本発明における物性値は、以下の如く測定さ
れたものであり、かつ定義される。
【0044】(1)初期蓄積電荷量 溶融状態での初期蓄積電荷量は、特開昭62−1891
33号公報に記載の方法に従って測定した。但し、テレ
フタル酸を主たる酸成分とするポリエステルでは、溶融
温度を275℃とし、直流1200Vの電圧を3分間印
加した時の電圧及び電流値から算出し、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸を主たる酸成分とするポリエステルで
は、溶融温度を295℃とし、直流1200Vの電圧を
3分間印加した時の電圧及び電流値から算出した。
【0045】(2)シートおよびフィルム厚み マイクロメータで10点測定し、平均値を求めてシート
またはフィルムの厚みとした。
【0046】(3)ガラス転移温度(Tg) 試料10mgをパーキンエルマー社製のDSC装置(示
差走査熱量計)にセットし、試料を300℃の温度で5
分間溶融した後、液体窒素中で急冷し、この急冷試料を
10℃/分で昇温してガラス転移温度(Tg)を測定し
た。
【0047】(4)融点(Tm) 試料10mgをパーキンエルマー社製のDSC装置(示
差走査熱量計)にセットし、試料を300℃の温度で5
分間溶融した後、液体窒素中で急冷し、この急冷試料を
10℃/分で昇温して融点(Tm)を測定した。
【0048】(5)金属化合物の配合割合 蛍光X線(理学電気工業株式会社 蛍光X線3270型)
によって所定の方法にてポリマー中の金属量(単位pp
m)を測定した。
【0049】[実施例1]マグネシウム化合物(90p
pm)、リン化合物(40ppm)、アンチモン化合物
(300ppm)を含有し、溶融状態での初期蓄積電荷
量が7.2μc/mm2のポリエチレンテレフタレート
(Tg:79℃、Tm:253℃)を、口金から厚さ1
40μmのシート状に押出して、表面粗さが0.09μ
m、濡れ指数が53mN/m、通気抵抗が2200秒で
ある親水性表面の冷却ロールに静電密着法を併用して密
着させ固化させてポリエステルシートを得た。シート成
形の最高速度は148m/分であった。次いで、ポリエ
ステルシートを縦方向に3.6倍、横方向に3.9倍二
軸延伸し、更に215℃で熱処理をしポリエステルフィ
ルムを得た。
【0050】得られたポリエステルシートには冷却ロー
ル表面の転写模様は認められなかった。またポリエステ
ルフィルムにもオレンジ肌様欠点は認められず、粗大異
物もなく、フィルムの表面平滑性についてビデオ用磁気
記録材料のベース材料としての品質基準を満たしてい
た。
【0051】[実施例2]ポリエステルとして、マグネ
シウム化合物(110ppm)、リン化合物(40pp
m)、アンチモン化合物(280ppm)を含有し、溶
融状態での初期蓄積電荷量が6.7μc/mm2のポリ
エチレン−2,6−ナフタレート(Tg:121℃、T
m:260℃)を押出機で溶融し、口金から厚さ140
μmのシート状に押出し、実施例1と同じ表面特性の冷
却ロールに静電密着法を併用して密着させ固化させてポ
リエステルシートを得た。シート成形の最高速度は12
2m/分であった。次いで、ポリエステルシートを縦方
向に3.6倍、横方向に3.9倍二軸延伸し、更に22
5℃で熱処理をしてポリエステルフィルムを得た。
【0052】得られたポリエステルシートには冷却ロー
ル表面の転写模様は認められず、ポリエステルフィルム
にもオレンジ肌様欠点は認められず、粗大異物もなく、
フィルムの表面平滑性についてビデオ用磁気記録材料の
ベース材料としての品質基準を満たしていた。
【0053】[比較例1]冷却ロールに、その表面が、
粗さが0.01μm、濡れ指数が35mN/m、通気抵
抗が20000秒以上の従来の鏡面クロム鍍金のものを
用いた以外は実施例1と同様にシート及び二軸延伸フィ
ルムを成形した。シートを成形する際の最高成形速度は
64m/分で、生産性が劣るものであった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、表面平滑性に優れた高
品質のシートまたはフィルムを高速で生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却ロール表面の通気抵抗を測定する装置の模
式図。
【図2】通気抵抗測定装置の吸盤部分の拡大断面を示す
模式図。
【符号の説明】
1:真空容器 2:真空計 3:真空コック 4:真空ポンプ 5、11:真空ホース 6、12:吸盤 13:ポーラスなシート 14:冷却ロール表面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルの溶融シートをオリフィス
    状の口金から押出し、冷却ロール表面に密着させ固化さ
    せるシートの成形方法において、該ポリエステルの溶融
    状態での初期蓄積電荷量が2.2〜8.5μc/mm2
    の範囲であり、該冷却ロール表面が濡れ指数40mN/
    m以上、中心線平均粗さ0.01〜0.35μmの範囲
    であることを特徴とするポリエステルシートの成形方
    法。
  2. 【請求項2】 真空漏洩法により測定した冷却ロール表
    面の通気抵抗が500〜10000秒の範囲である請求
    項1に記載のポリエステルシートの成形方法。
  3. 【請求項3】 冷却ロール表面がクロム鍍金を化学的又
    は電気化学的エッチングして製作された請求項1または
    2に記載のポリエステルシートの成形方法。
  4. 【請求項4】 ポリエステルの溶融シートを冷却ロール
    の表面に密着させる際に、静電密着法を併用する請求項
    1に記載のポリエステルシートの成形方法。
  5. 【請求項5】 ポリエステルの溶融シートをオリフィス
    状の口金から押出し、冷却ロール表面に密着させ固化さ
    せてシートを成形し、次いで該シートを縦方向及び横方
    向に二軸延伸するフィルムの成形方法において、該ポリ
    エステルの溶融状態での初期蓄積電荷量が2.2〜8.
    5μc/mm2の範囲であり、該冷却ロール表面が濡れ
    指数40mN/m以上、中心線平均粗さ0.01〜0.
    35μmの範囲であることを特徴とするポリエステルフ
    ィルムの成形方法。
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