JP2002192599A - 熱可塑性樹脂シートの成形方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂シートの成形方法

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JP2002192599A
JP2002192599A JP2000392304A JP2000392304A JP2002192599A JP 2002192599 A JP2002192599 A JP 2002192599A JP 2000392304 A JP2000392304 A JP 2000392304A JP 2000392304 A JP2000392304 A JP 2000392304A JP 2002192599 A JP2002192599 A JP 2002192599A
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resin sheet
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Norio Takagi
憲男 高木
Toshifumi Osawa
利文 大澤
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑性に優れた高品質のシートまたはフ
ィルムを高速で生産できる熱可塑性樹脂シートの成形方
法を提供する。 【解決手段】 オリフィス状の口金から押出された熱可
塑性樹脂の溶融シートを冷却ロール表面に密着させ固化
させるシートの成形方法において、該冷却ロール表面の
濡れ指数が40mN/m以上であり、且つ中心線平均粗
さが0.01〜0.35μmの範囲であることを特徴と
する熱可塑性樹脂シートの成形方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂シート
の成形方法に関し、更に詳しくは熱可塑性樹脂の溶融シ
ートを冷却ロール表面に密着させ固化させるシートの成
形方法において、特定の表面特性の冷却ロールを用いる
ことによって、平滑性に優れた良好な品質のシートを高
速で生産できる熱可塑性樹脂シートの成形方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂シートを成形する方法とし
て、熱可塑性樹脂の溶融シートをオリフィス状の口金か
ら押出し、冷却ロール表面に密着させ固化させる方法が
従来から知られている。この方法では、冷却ロール表面
への溶融シートの密着力を増加させるため、溶融シート
に静電荷を付与する方法(静電密着法)を併用すること
も知られている。そして、この方法では、冷却ロールと
して表面が平滑に仕上げられている(鏡面仕上)ものが
通常用いられるが、溶融シートを冷却ロール面に密着さ
せる際に、冷却ロール面と溶融シートとの間に巻込まれ
る空気の排出が必要となる。
【0003】巻込まれる空気の排出は、シートの成形速
度が高速化するに伴って困難になり、その結果種々の問
題が生じる。即ち、静電密着法を併用した場合は、巻込
まれた空気が泡状に介在するため、シート表面欠陥の原
因になりシートの平滑性が低下する問題が生じる。この
ため、表面欠陥の無いシートを成形するには速度に限界
がある。
【0004】また、静電密着法を併用したシートの成形
方法では、速度限界を改良する目的で、ポリマー中にア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Pまたはそれら
の化合物を含有させることにより溶融ポリマーの比抵抗
を低下させ、或いは初期蓄積電荷量を増加させて前記密
着力を向上させる方法が多数提案されている(例えば特
公昭53−40231号公報、特公昭56−15730
号公報、特公昭59−62627号公報、特開昭62−
187724号公報、特開昭62−189133号公報
等)。
【0005】しかし速度限界を更に高めるために前記金
属化合物を多量に含有させると、これらの化合物はポリ
マーに不溶性の金属塩となって析出する。析出した金属
塩は、シートを延伸して得られる二軸延伸フィルムでは
粗大な突起となる。これらの粗大な突起は、フィルムを
磁気記録材料のベースフィルムに用いた際には磁気記録
信号のドロップアウトの原因になり、また、フィルムを
光学用途に用いた際には光の不均一透過の原因になる。
その他、前記金属化合物を多量に含有させると、ポリマ
ーの熱安定性が低下して、フィルムの変色の原因やポリ
マーの重合度低下に伴う種々の支障の原因となる。
【0006】このため、ポリマー中へアルカリ金属化合
物等を添加してシートの生産速度を向上させる方法には
問題がある。
【0007】シートの成形速度限界を改良する他の方法
として、冷却ロール表面を粗面化し、その連結した通路
を通じて溶融シートと冷却ロール面との間に巻込まれた
空気を排出する方法(特開昭46−439号公報には)
が提案されている。この方法では空気の排出作用を高め
るため冷却ロール表面の粗度を粗くする必要がある。し
かしながら、この方法では、ロール表面の凹凸模様がシ
ート表面にレプリカしたように転写して、オレンジ肌様
の欠点がシートや延伸したフィルムに生じる問題があ
る。また、この方法では、冷却ロール表面での空気排出
路が浅く狭いため、溶融シートから昇華する低分子化合
物により空気の排出路が閉塞し易く、その結果成形速度
の向上効果が短時間で低下する欠点がある。
【0008】シートの成形速度限界を改良する更に他の
方法として、冷却ロールにマイクロクラック表面のもの
を用いる方法(特開昭58−183220号公報)が提
案されている。この方法では、冷却ロール表面に微細な
溝を設け、溝幅に対して溝深さの大きい溝が存在するの
で、冷却ロール表面を粗面化する方法に比べればシート
や延伸フィルムへの凹凸の転写欠点は改善される。ま
た、昇華物による空気排出路の閉塞も軽減できる。
【0009】しかしこの方法も、マイクロクラックの溝
幅が広い場合、或いは単位面積当たりの溝の数(溝密
度)が過剰な場合には、マイクロクラックのシートへの
転写がオレンジ肌様欠点の要因になる場合がある。逆に
マイクロクラックの溝幅が狭い場合、或いは単位面積当
たりの溝の数(溝密度)が余りに少ない場合には、マイ
クロクラックの高速化効果が充分発現しない。
【0010】更に、冷却ロール表面にマイクロクラック
を形成させる際に、溝幅、溝密度などマイクロクラック
の基本的特性を任意に制御する技術は未だ知られておら
ず、まして大きな冷却ロールの広い面に、最適な形状の
マイクロクラックを均一に形成させることは極めて困難
であり、マイクロクラックの形状改良による問題解決は
困難である。
【0011】冷却ロール表面にマイクロクラックを形成
させる際に、溝幅や溝密度に特段の制約を設けない場合
でも、シートへの転写欠点になるピンホールを発生した
り、局部的に表面が粗面化する等の問題があり、マイク
ロクラックの製作コストは通常の鏡面クロム鍍金に比し
て極めて高価になる問題がある。
【0012】特開昭64−53820号公報には、マイ
クロクラックに加えて表面が親水化処理された冷却表面
にキャストする方法が提案されているが、マイクロクラ
ックに付随する種々の困難と問題点の上に、更に親水化
処理の新たな工程が加わり、冷却ロールの加工コストは
一層高価なものとなる。
【0013】一方、フィルム品質に対する要求は近年ま
すます高度化し、光学用途では光線透過率の高度な均一
性が、磁気記録用途、特に真空蒸着薄膜等のように厚さ
がオングストロームレベルの極薄膜を記録層とする高密
度記録等ではベースフィルムの高度な表面平滑性が要求
されるが、上述の従来の技術ではこれらの要求を満たす
ことができない。
【0014】このように光学的均一性や表面の平滑性
等、高度な品質のフィルムを高速かつ高稼働率で生産す
ることができるシートの成形方法が望まれている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記の問
題を解消でき、光学的均一性や表面の平滑性に優れた、
即ち冷却ロール表面の転写欠点が無く、且つ高い速度で
シートや延伸フィルムを生産できる方策を検討した結
果、特定な表面特性の冷却ロールを用いれば目的を達成
できることを見出し本発明に到達した。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、オリフィス状の口金から押出された熱可塑性
樹脂の溶融シートを冷却ロール表面に密着させ固化させ
るシートの成形方法において、該冷却ロール表面の濡れ
指数が40mN/m以上であり、且つ中心線平均粗さが
0.01〜0.35μmの範囲であることを特徴とする
熱可塑性樹脂シートの成形方法により達成できる。
【0017】本発明の好ましい態様として、オリフィス
状の口金から押出された熱可塑性樹脂の溶融シートを、
表面の濡れ指数が40mN/m以上であり、且つ中心線
平均粗さが0.01〜0.35μmの範囲である冷却ロ
ール表面に密着させ固化させるシートの成形方法におい
て、冷却ロール表面の真空漏洩法によって測定される通
気抵抗が、500〜10000秒の範囲である熱可塑性
樹脂シートの成形方法、冷却ロール表面がクロム鍍金を
化学的又は電気化学的エッチングして製作された熱可塑
性樹脂シートの成形方法、熱可塑性樹脂がテレフタル酸
を主たる酸成分とし、溶融時の比抵抗が3×106〜1
×108Ω・cmの範囲のポリエステルである熱可塑性
樹脂シートの成形方法、熱可塑性樹脂の溶融シートを冷
却ロールの表面に密着させる際に、静電密着法を併用す
る熱可塑性樹脂シートの成形方法を挙げることができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】(冷却ロール)本発明では、シートの成形
に表面の濡れ指数が40mN/m以上で、且つ表面の中
心線平均粗さが0.01〜0.35μmのものを用い
る。このような表面の冷却ロールを用い、特に静電密着
法を併用することにより平滑性に優れた良好な品質の熱
可塑性樹脂シートを、高速で生産することができる。
【0020】本発明において、濡れ指数とはロール表面
の親水性の程度を定量的に表す尺度として用いるもの
で、JIS K6768に「ポリエチレンおよびポリプ
ロピレンフィルムのぬれ試験法」として用いられている
方法であるが、本発明における金属表面のぬれ特性を評
価する方法として都合良く転用できる。即ち、上記の方
法は表面張力(mN/m)の数値をもって表すもので、
この数値を濡れ指数と称する。この濡れ指数は「臨界表
面張力(critical surface tens
ion)」として表面科学の領域でも知られている。し
かしJIS K6768は濡れ指数が30〜56mN/
mの範囲を規定するもので、この範囲を超える評価は出
来ない。
【0021】一般に清浄にされた平滑なクロム鍍金の表
面は、濡れ指数が約35mN/mで、かかる表面では水
の薄い(約1μm)塗膜は撥水性が強く安定に存在する
ことは出来ないが、金属表面の濡れ指数が少なくとも4
0mN/m以上では薄い水塗膜は安定に存在できる。
【0022】このような親水性表面は、特開昭58−6
3415号公報で紹介されている冷却ロールの表面と同
等で、当該公報では口金から押し出された溶融シート
を、親水性ロール表面に薄い水塗膜を介して密着させる
シートの成形方法である。
【0023】一方、本発明では口金から押し出された溶
融シートを、水塗膜を介せずに親水性ロール表面に直接
密着させるものであって、冷却ロール表面の濡れ指数が
高くなるほどシート成形の上限速度が上昇する現象を見
出し、特に溶融時の比抵抗が3×106〜1×108Ω・
cmのポリエステルと組み合わせることによって、シー
トの成形速度向上効果が更に顕著となることを知見して
本願に至った。シートの成形速度を高めるには、冷却ロ
ール表面の濡れ指数は少なくとも40mN/m以上、望
ましくは45mN/m以上、特に好ましくは48mN/
m以上である。
【0024】濡れ指数の高い親水性表面は、例えば一旦
形成されたクロム鍍金の表層部を化学的にエッチングす
る方法、或いは電気化学的に僅かにエッチングする方法
等によって、濡れ指数が40mN/m以上あるいは50
mN/m以上の親水性クロム鍍金表面として形成させる
ことができる。
【0025】本発明における冷却ロール表面の中心線平
均粗さは0.01〜0.3μmのものである。平均粗さ
が0.01μm未満では目的の高品質のシートを高速で
生産することができない。一方、平均粗さが0.3μm
を超えると鍍金が脆くなり、加えてシートに転写欠点を
生じるため好ましくない。冷却ロール表面の中心線平均
粗さの上限は0.27μm、特に0.24μmであるこ
とが好ましく、下限は0.2μm、特に0.18μmで
あることが好ましい。
【0026】また、本発明における冷却ロールの表面
は、真空漏洩法によって測定される通気抵抗が500〜
10000秒であることが好ましく、600〜8000
秒であることが特に好ましい。通気抵抗が500秒未満
ではマイクロクラック様の欠点が存在したり、鍍金が破
壊し易くなる問題がある。
【0027】冷却ロール表面を前記エッチング処理によ
り親水性化すると、何故シート成形の上限速度が上昇す
るか定かではないが、親水性表面を観察した結果から次
のことが推察される。即ち、鏡面クロム鍍金に対して極
薄く乳白色の色を呈して粗面化しており、表面の顕微鏡
観察によれば粗面化に加えて、時として極めて溝幅の狭
い(約0.2μm)チャンネル型マイクロクラックが認
められる場合もあるが、これに類似のマイクロクラック
はしばしば鏡面クロム鍍金でも観察されるものであっ
て、マイクロクラックで親水性が上がるとは考え難い。
しかし本発明の親水性ロール表面には特異な現象があっ
て、水を塗布するとロール表面から小さな泡が多数浮き
上がってくる現象があり、又濡れ指数が大きくなるよう
にエッチング処理を過度に実施すると、めっきが衝撃で
破壊し易くなって部分的欠落を生じる等の現象がある。
【0028】濡れ指数が高くなることはロール表面の保
水容積が大きくなることと仮定し、これらの諸現象を考
え合わせると、鍍金層内部がポーラス構造になっている
ことが推定される。この推論に基づけば、溶融シートを
静電密着する際生じる巻込み空気は、鍍金層内部のこの
ポーラス構造に一時的に吸収されたり、或いはポーラス
構造を通して拡散排出される等の作用が働いて、その結
果シート成形の上限速度が上昇すると推定される。
【0029】尚、本発明において通気抵抗とは、粗面の
表面上に特定容積の密封空間を設け、この空間を所定の
真空度にした後、粗面の溝を通じて流入する空気により
空間の真空度が所定の真空度まで低下するのに要する時
間をいう。即ち、上記特定容積の密封空間中の空気を真
空ポンプなどにより排出して所定真空度の真空領域とし
た後空気の排出を停止し、粗面の溝を通じて流入する空
気により空間の真空度が所定の値まで低下するのに要す
る時間を測定する。
【0030】通気抵抗の具体的な測定法は、第1図にそ
の概略図を示すように、真空計2の付いた真空容器1の
一端に真空コック3を介して真空ポンプ4を接続し、他
端に真空ホース5を介してゴムの吸盤6(例えば株式会
社妙徳製FPM.PFYK−40)を取り付ける。吸盤
部分は、第2図の拡大断面模式図に示すように、直径4
0mmの吸盤(6,12)を冷却ロール表面14に押し
当て、吸盤の外周面が粗面の表面上に密着するように直
径30mmのポーラスなシート(例えば日本精線株式会
社製ナスロン低密度焼結体8−L−500)13を吸盤
の中央に置いて押し当てる。この時、真空コック3から
吸盤6までの空間容積が100ccとなるよう調整す
る。次いで、この100ccの空間の真空度が−93.
1kPa(−700mmHg)となるまで真空ポンプ4
により空間の空気を排出した後真空コック3を閉じ、直
ちに時間の測定を開始する。吸盤部分の粗面の溝を通じ
て真空系に空気が流入するため真空度が低下するが、こ
の時真空度が−93.1kPaから−86.45kPa
(−700mmHgから−650mmHg)に低下する
のに要する時間を測定し、この所要時間を通気抵抗と定
義する。なお、通気抵抗の測定に先立って測定器の真空
漏れをチェックするために、磨かれたガラス板の通気抵
抗が20000秒以上であることを確認する。
【0031】(熱可塑性樹脂)本発明における熱可塑性
樹脂とは、延伸可能な熱可塑性ポリマーを主成分とする
樹脂であり、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートのような芳香族ポリエステル、ポリエチレン、
ポリプロピレンのようなポリオレフイン、ポリスチレン
のようなポリビニル、ナイロン6(ポリカプロラクタ
ム)、ナイロン66(ポリ(ヘキサメチレンジアミン−
co−アジピン酸))のようなポリアミド、ビスフェノ
ールAポリカーボネートのような芳香族ポリカーボネー
ト、ポリスルフォン等の単独重合体或いはこれらの共重
合体を主成分とする樹脂を挙げることができる。
【0032】上記熱可塑性ポリマーの中では、延伸によ
る分子配向が可能な芳香族ポリエステル、ポリオレフィ
ン、ポリアミドが好ましく、分子が二軸配向した際に光
学的、機械的、熱的特性が優れたものになる芳香族ポリ
エステルが特に好ましい。
【0033】本発明における熱可塑性樹脂には、本発明
の効果を損なわない範囲で、有機もしくは無機の滑剤、
酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤など
の添加剤を含むことができる。
【0034】(ポリエステル)本発明において、熱可塑
性樹脂はテレフタル酸を主たる酸成分とするポリエステ
ルが好ましく、繰返し単位の50モル%以上がエチレン
テレフタレートであるポリエチレンテレフタレート単独
重合体または共重合体であることが特に好ましい。或い
は、ポリエチレンテレフタレート単独重合体または共重
合体が50重量%以上のポリエステル混合物であっても
よい。
【0035】本発明においてポリエステルは、溶融時の
比抵抗が3×106〜1×108Ω・cmの範囲のポリエ
ステルであることが好ましい。溶融ポリエステルの比抵
抗の上限値は5×107Ω・cm、下限値は5×106
あることが特に好ましい。溶融ポリエステルの比抵抗が
3×106Ω・cm未満の場合は、粗大な粒子や異物が
多かったり、ポリマーの熱安定性が低く黄色に着色する
などの問題が生じることがある。一方比抵抗が1×10
8Ω・cmを超える場合は静電密着法による成形で高速
化効果が得られ難い。溶融ポリエステルの比抵抗はアル
カリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Pまたはそれらの
化合物等、それら金属化合物の種類と添加量によって調
整することができる。
【0036】尚、溶融時の比抵抗とは、ブリッティシュ
・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Br
it.J.Appl.Phys.)第17巻、第114
9〜1154頁(1966年)に記載の方法に従って測
定される値である。但し、ポリマーの溶融温度は290
℃で、直流3000Vの電圧を印加した直後の値を溶融
ポリエステルの比抵抗とした。
【0037】(シートの成形)本発明では、オリフィス
状の口金から押出された熱可塑性樹脂の溶融シートを冷
却ロール表面に密着させ固化させることによりシートを
成形するが、オリフィス状の口金とは、例えばTダイ、
フィッシュテールダイ、Iダイ等で、直線状の開口部を
有する口金である。また、本発明において成形されたシ
ートの厚さは10〜1000μmが好適である。本発明
で成形されたシートは引き続き二軸延伸工程において延
伸し二軸延伸フィルムとすることができる。尚、本発明
におけるシートの成形速度の上限は、溶融ポリエステル
の比抵抗やシートの厚さ、冷却ロールの濡れ指数に依存
するが、220m/分、望ましくは180m/分であ
る。尚、本発明では、溶融シートに静電荷を付加してク
ーロン力で冷却ロール面に密着する静電密着法を併用す
ることが好ましい。
【0038】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに説明す
る。
【0039】[実施例1]マグネシウム化合物、リン化
合物、アンチモン化合物を含有し、溶融時の比抵抗が8
×106Ω・cmのポリエチレンテレフタレートを、口
金から厚さ160μmのシート状に押出して、表面粗さ
が0.08μm、濡れ指数が52mN/m、通気抵抗が
3200秒である親水性表面の冷却ロールに静電密着さ
せた。シート成形の最高速度は152m/分であった。
得られたシートを一旦巻取り、次いで縦方向に3.6
倍、横方向に3.9倍に二軸延伸して、215℃で熱処
理をした。得られた成形シートには冷却ロール表面の転
写模様は認められず、二軸延伸フィルムにもオレンジ肌
様欠点は認められず、また粗大異物もなく、フィルムの
表面平滑性についてビデオ用磁気記録材料のベース材料
としての品質基準を満たしていた。
【0040】[実施例2]溶融ポリエステルの比抵抗が
3×107Ω・cmである以外、実施例1と同一の装置
及び条件でシートを成形した。最高成形速度は92m/
分であった。
【0041】[比較例1]冷却ロールに、その表面が、
粗さが0.01μm、濡れ指数が35mN/m、通気抵
抗が20000秒以上の従来の鏡面クロム鍍金のものを
用いた以外は実施例1と同様にシート及び二軸延伸フィ
ルムを成形した。最高成形速度は68m/分であった
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、表面平滑性に優れた高
品質のシートまたはフィルムを高速で生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却ロール表面の通気抵抗を測定する装置の模
式図。
【図2】通気抵抗測定装置の吸盤部分の拡大断面を示す
模式図。
【符号の説明】
1:真空容器 2:真空計 3:真空コック 4:真空ポンプ 5、11:真空ホース 6、12:吸盤 13:ポーラスなシート 14:冷却ロール表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA45 AA46 AH14 AH19 BB08 BC01 BC16 BC17 4F207 AA24D AF16 AG01 AJ08 KA01 KA17 KK65 KK66

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オリフィス状の口金から押出された熱可
    塑性樹脂の溶融シートを冷却ロール表面に密着させ固化
    させるシートの成形方法において、該冷却ロール表面の
    濡れ指数が40mN/m以上であり、且つ中心線平均粗
    さが0.01〜0.35μmの範囲であることを特徴と
    する熱可塑性樹脂シートの成形方法。
  2. 【請求項2】 冷却ロール表面の真空漏洩法によって測
    定される通気抵抗が500〜10000秒の範囲である
    請求項1に記載の熱可塑性樹脂シートの成形方法。
  3. 【請求項3】 冷却ロール表面がクロム鍍金を化学的又
    は電気化学的エッチングして製作された請求項1または
    2に記載の熱可塑性樹脂シートの成形方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂がテレフタル酸を主たる酸
    成分とし、溶融時の比抵抗が3×106〜1×108Ω・
    cmの範囲のポリエステルである請求項1に記載の熱可
    塑性樹脂シートの成形方法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂の溶融シートを冷却ロール
    の表面に密着させる際に、静電密着法を併用する請求項
    1に記載の熱可塑性樹脂シートの成形方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005238834A (ja) * 2004-01-26 2005-09-08 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、及びポリビニルアルコール系フィルム、それを用いた偏光フィルム

Cited By (2)

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JP2005238834A (ja) * 2004-01-26 2005-09-08 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、及びポリビニルアルコール系フィルム、それを用いた偏光フィルム
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