JP2002187194A - ポリエステルシートの成形方法 - Google Patents

ポリエステルシートの成形方法

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JP2002187194A
JP2002187194A JP2000388722A JP2000388722A JP2002187194A JP 2002187194 A JP2002187194 A JP 2002187194A JP 2000388722 A JP2000388722 A JP 2000388722A JP 2000388722 A JP2000388722 A JP 2000388722A JP 2002187194 A JP2002187194 A JP 2002187194A
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sheet
cooling roll
polyester
forming
film
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Norio Takagi
憲男 高木
Toshifumi Osawa
利文 大澤
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平滑性に優れ、良好な品質のポリエステルシ
ートまたはフィルムを長時間にわたって高い生産性で製
造できるポリエステルシートの成形方法を提供する。 【解決手段】 2,6−ナレフタレンジカルボン酸を主
たる酸成分とするポリエステルの溶融シートをオリフィ
ス状の口金から押出し静電密着法により冷却ロールに密
着させ固化させるシートの成形方法において、ポリエス
テルの溶融状態での比抵抗が1×107〜5×108Ω・
cmであり、冷却ロールの表面が親水性表面であること
を特徴とするポリエステルシートの成形方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステルシート
の成形方法に関し、更に詳しくは、平滑性に優れ、良好
な品質のポリエステルシートまたはフィルムを長時間高
速で安定して生産することができるポリエステルシート
の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重合体シートを高速で成形する方法とし
て、重合体の溶融シートをオリフィス状の口金から押出
し冷却ロール面に密着させ固化させる(キャストする)
方法が従来から知られている。この方法では、溶融シー
トの冷却ロールへの密着を促進させるため、静電密着法
を併用することも種々提案されている。
【0003】また、フィルムを製造する方法として、重
合体の溶融シートをオリフィス状の口金から押出し、冷
却ロールに密着させ固化(キャスト)させて未延伸シー
トを成形し、これを更に縦方向と横方向に延伸して二軸
延伸フィルムとする方法も従来から知られている。
【0004】これらの成形方法では、冷却ロールとして
表面が平滑に仕上げられている(鏡面仕上)ものが通常
用いられるが、冷却ロール面に重合体の溶融シートを密
着させる際に、冷却ロール面と溶融シートとの間に介在
する空気の排出が必要となる。ところが、空気の排出
は、キャスト速度が高速化するに伴って困難になり、そ
の結果種々の問題が生じる。例えば、キャスト速度が高
速化すると介在する空気が泡状に残存するため、シート
表面欠陥の原因になりシートの平滑性が低下する問題が
生じる。このシート表面欠陥は、シートを延伸して得ら
れるフィルムの表面平滑性にも悪影響を及ぼす。このた
め、従来の静電密着法によるシートの成形方法はシート
の成形速度に限界がある。
【0005】この静電密着法によるシートの成形で、成
形速度限界を改良する方法が種々提案されている。例え
ば、重合体にアルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、
Pまたはそれらの化合物を配合し、溶融ポリマーの比抵
抗を低下させることにより、或いは初期蓄積電荷量を上
げることにより、溶融シートと冷却ロールとの密着力を
向上させる方法(例えば特公昭53−40231号公
報、特公昭56−15730号公報、特公昭59−62
627号公報、特開昭62−187724号公報、特開
昭62−189133号公報等)が提案されている。
【0006】しかしこれらの方法では、成形速度限界を
高めるために金属化合物を多量に含有させることが必要
であるが、添加された金属化合物がポリマー中で金属単
体や金属塩になって析出し、これがシートやフィルム中
の異物となる問題がある。析出した金属(塩)が異物に
なって表面に粗大な突起を形成し、フィルムを磁気記録
材料のベースフィルムに用いた場合には、これが磁気記
録信号のドロップアウトの原因になる。フィルムを光学
用途に用いた場合には、異物が光の均一透過性に支障を
生じる。その他ポリマーの熱安定性が低下するので、溶
融工程でポリマーが着色する問題や、粘度が大きく低下
することによる問題が生じる。従って、金属化合物をポ
リマーに添加する方法は、その添加量に制約があり、シ
ートやフィルムの生産速度を大幅に向上させることは困
難である。
【0007】また、静電密着法によるシートの成形で、
成形速度限界を改良するための、別の方法も提案されて
いる。例えば、特開昭46−439号公報にはロール表
面を粗面化し、その連結した間隙を通じてシートと冷却
ロール面との間の介在する空気の排出を促進する方法が
提案されている。しかし、この方法で介在する空気の排
出作用を高めるためには、冷却ロール表面の粗さを粗く
する必要があるが、この結果冷却ロール表面の凹凸模様
がシート表面にレプリカしたように転写し、オレンジ肌
様の欠点が生じる。この欠点はシートを延伸して得られ
るフィルムの表面欠陥の原因となる。また、ロール表面
をサンドブラスト加工により粗面化した方法では、空気
の排出路となる連結した通路が浅く狭いため、溶融シー
トから昇華する低分子化合物が通路の表面に付着堆積し
て、空気の排出路を閉塞し易く、その結果成形速度の向
上作用が短時間で低下する欠点がある。
【0008】静電密着法によるシートの成形で、成形速
度限界を改良する別の提案としてマイクロクラック表面
の冷却ロールを用いる方法(特開昭58−183220
号公報)がある。この方法によれば、溶融シートと冷却
ロールの間に介在する空気がマイクロクラックの溝を通
じて散逸するので、成形速度を大幅に高速化できる。
【0009】このマイクロクラック表面は、平坦面に微
細な溝を設けた構造からなり、溝幅に対して溝深さの大
きい溝が存在するので、冷却ロール面の平滑性を低下さ
せることなく空気の排出路を確保できる。また、低分子
化合物の昇華による空気排出路の目詰まりも大幅に軽減
でき、シートや延伸フィルム表面への転写欠点が改善で
きる。
【0010】しかしながら、近年シート或いはフィルム
の成形速度を従来よりも大幅に向上させる必要が生じ、
更にシートやフィルムの品質に対する要求もますます高
度化したため、マイクロクラック表面の冷却ロールを用
いてこれを達成しようとするには、新たな課題が生じ
る。即ち、高速化のためには溶融シートと冷却ロールの
間に介在する空気をより速やかに散逸させる必要である
が、このためには溝幅の広いマイクロクラック表面の冷
却ロールを用いることが必要となる。ところが、このよ
うなマイクロクラックでは溝の形状がシート表面に転写
して網目模様の欠点が生じ、シートを引き続いて二軸延
伸したフィルムにはオレンジ肌様欠陥が生じる。この欠
陥は、光学用途ではフィルムの光線透過率の均一性不足
となり、磁気記録用途(例えば、真空蒸着薄膜等のよう
に厚さがオングストロームレベルの極薄膜を記録層とす
る高密度記録等)ではベースフィルムの表面平滑性不足
となる。
【0011】このように光学的均一性や表面の平滑性
等、フィルム品質に対して益々厳しくなるユーザーの高
度化要求とは裏腹に、フィルムの生産性向上(高速化や
稼働率の向上)はフィルムメーカの重要な命題である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記の問
題を解消して、光学的均一性や表面の平滑性に優れた、
即ちマイクロクラック等の転写欠点が無く、且つ高い速
度でシートや延伸フィルムを生産する方策を検討した結
果、溶融状態での比抵抗が特定範囲のポリエステルを特
定の成形速度で親水性表面の冷却ロールを用いて成形す
れば、転写欠点が弱く、且つ高い速度でシート成形が出
来ることを知見して本発明に到達した。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、2,6−
ナレフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とするポリエ
ステルの溶融シートをオリフィス状の口金から押出し静
電密着法により冷却ロールに密着させ固化させるシート
の成形方法において、ポリエステルの溶融状態での比抵
抗が1×107〜5×108Ω・cmであり、冷却ロール
の表面が親水性表面であることを特徴とするポリエステ
ルシートの成形方法である。
【0014】更に本発明は、好ましい態様として、冷却
ロール表面の濡れ指数が400μN/cm以上であり、
且つ中心線平均粗さが0.01〜0.35μmであるポ
リエステルシートの成形方法、冷却ロール表面の真空漏
洩法によって測定される通気抵抗が1000〜1000
0秒であるポリエステルシートの成形方法、却ロール表
面がクロム鍍金を化学的又は電気化学的エッチングによ
り製作されたポリエステルシートの成形方法を包含す
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】[ポリエステル]本発明においてポリエス
テルとは、酸成分とグリコール成分からなる熱可塑性樹
脂ポリエステルであって、酸成分の50モル%以上が
2,6−ナレフタレンジカルボン酸からなり、かつ溶融
状態での比抵抗が1×107〜5×108Ω・cmの範囲
のポリエステルである。
【0017】このポリエステルのグリコール成分として
は、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げること
ができ、このうちエチレングリコール、1,3−プロパ
ンジオール、1,4−ブタンジオールが好ましく、特に
エチレングリコールがポリエステルフィルムの機械的特
性や熱的特性等に優れるため好ましい。
【0018】本発明におけるポリエステルとしては、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレートを好ましく例示する
ことができる。ポリエチレン−2,6−ナフタレート
は、50モル%以下、特に20モル%以下の割合で2,
6−ナレフタレンジカルボン酸及びエチレングリコール
以外の成分が共重合されたものであってもよい。共重合
成分としては、酸成分ではテレフタル酸、イソフタル
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4−ジフェニルジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカル
ボン酸等を挙げることができ、グリコール成分ではジエ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエ
チレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を
挙げることができる。また、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートには50重量%以下の割合で他の重合体、例
えばポリエチレンテレフタレートなどが混合されていて
もよい。
【0019】本発明におけるポリエステルは、溶融状態
での比抵抗が1×107〜5×108Ω・cmの範囲のポ
リエステルである。この比抵抗の下限は2×107Ω・
cmであることが好ましく、上限は3×108Ω・cm
であることが好ましい。比抵抗が1×107Ω・cm未
満であるとフィルム中の粗大な粒子や異物が多くなる問
題が生じ、或いはポリマーの熱安定性が不足してフィル
ムが黄色に着色するなどの問題が生じる。一方、比抵抗
が5×108Ω・cmを超える場合は静電密着法による
成形で高速効果が得られない。
【0020】溶融状態での比抵抗が本発明の範囲となる
ポリエステルは、上記ポリエステルにアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、Mg、Pまたはそれらの化合物等、そ
れら金属化合物を少なくとも1種以上を配合することに
より調整することができる。これらの金属化合物のう
ち、Mg化合物(例えば酢酸マグネシウム)が好まし
く、P化合物と併用することが特に好ましい。
【0021】金属化合物の配合割合は、例えばポリエス
テル中に金属原子として20〜2000ppmであるこ
とが好ましく、更に50〜1000ppm、特に100
〜500ppmであることが好ましい。
【0022】[比抵抗]本発明において、ポリエステル
の溶融状態での比抵抗は、ブリッティシュ・ジャーナル
・オブ・アプライド・フィジックス(Brit.J.A
ppl.Phys.)第17巻,第1149〜1154
頁(1966年)に記載の方法に従って測定した値であ
る。但し、ポリマーの溶融温度は295℃で、直流10
00Vの電圧を印加した直後の値を溶融状態でのポリエ
ステルの比抵抗とした。
【0023】[冷却ロール]本発明では、親水性表面と
は、濡れ指数が400μN/cm以上で、且つ表面の中
心線平均粗さが0.01〜0.35μmの表面で、濡れ
指数とはロール表面の親水性の程度を定量的に表す尺度
として用いるもので、JIS K6768に「ポリエチ
レンおよびポリプロピレンフィルムのぬれ試験法」とし
て用いられている方法であるが、本発明における金属表
面のぬれ特性を評価する方法として都合良く転用でき
る。即ち、該方法は表面張力(10μN/cm)の数値
をもって表すもので、この数値を濡れ指数と称する。こ
の濡れ指数は「臨界表面張力(critical su
rface tension)」として表面科学の領域
でも知られている。しかし該JISは濡れ指数が300
〜560μN/cmの範囲を規定するもので、この範囲
を越える評価は出来ない。
【0024】一般に清浄にされた平滑なクロム鍍金の表
面は、濡れ指数が約350μN/cmで、かかる表面で
は水の薄い(約1μm)塗膜は撥水性が強く安定に存在
することは出来ないが、金属表面の濡れ指数が少なくと
も400μN/cm以上では薄い水塗膜は安定に存在で
きる。
【0025】該親水性表面は特開昭58−63415号
公報で紹介されている表面と同等で、当該公報は口金か
ら押し出された溶融シートを、親水性ロール表面に薄い
水塗膜を介して密着させる装置に関する。
【0026】一方本願は口金から押し出された溶融シー
トを、水塗膜を介せずに親水性ロール表面に直接静電密
着させる方法に関し、濡れ指数が高くなるほどシート成
形の上限速度が上昇する現象を見出し、特に溶融時の比
抵抗が3*106〜1*108Ω・cmであるポリエステル
と組み合わせることによって、シートの成形速度が更に
向上することを知見して本願に至った。シートの成形速
度を高めるには、冷却ロール表面の濡れ指数は少なくと
も400μN/cm以上、望ましくは450μN/cm
以上、特に好ましくは480μN/cm以上である。
【0027】濡れ指数の高い親水性表面は、例えば次の
方法で製造できる。即ち第一の方法は一旦形成されたク
ロム鍍金の表層部を化学的にエッチングする方法、或い
は電気化学的に僅かにエッチングする方法等によって、
濡れ指数が400μN/cm以上あるいは500μN/
cm以上の親水性クロム鍍金表面を形成できる。
【0028】本発明における冷却ロール表面の中心線平
均粗さは0.01〜0.3μmのものが好ましい。平均
粗さが0.01μm未満では目的の高品質のシートを高
速で生産することができないことがある。一方、平均粗
さが0.3μmを超えると鍍金が脆くなり、加えてシー
トに転写欠点を生じるため好ましくない。冷却ロール表
面の中心線平均粗さの上限は0.27μm、特に0.2
4μmであることが好ましく、下限は0.2μm、特に
0.18μmであることが好ましい。
【0029】冷却ロール表面をエッチングにより親水性
化すると、何故シート成形の上限速度が上昇するか定か
ではないが、親水性表面を観察すると次のような現象が
ある。即ち、鏡面クロム鍍金に対して極薄く乳白色の色
を呈して粗面化しており、表面の顕微鏡観察によれば粗
面化に加えて、時として極めて溝幅の狭い(約0.1μ
m)チャンネル型マイクロクラックが認められる場合も
あるが、これに類似のマイクロクラックはしばしば鏡面
クロム鍍金でも観察されるものであって、マイクロクラ
ックで親水性が上がるとは考え難い。しかし本発明の親
水性ロール表面には特異な現象があって、水を塗布する
とロール表面から小さな泡が多数浮き上がってくる現象
があり、又濡れ指数が大きくなるようにエッチング処理
を過度に実施すると、鍍金が衝撃で破壊し易くなって部
分的欠落を生じる等の現象がある。
【0030】濡れ指数が高くなることはロール表面の保
水容積が大きくなることと仮定し、これらの諸現象を考
え合わせると、鍍金層内部がポーラス構造になっている
ことが推定される。この推論に基づけば、溶融シートを
静電密着する際生じる巻込み空気は、鍍金層内部のこの
ポーラス構造に一時的に吸収されたり、或いはポーラス
構造を通して拡散排出される等の作用が働いて、その結
果シート成形の上限速度が上昇すると推定される。
【0031】[通気抵抗]本発明における冷却ロールの
表面は、真空漏洩法によって測定される通気抵抗が、5
00〜10000秒であることが好ましく、600〜8
000秒であることが特に好ましい。通気抵抗が500
秒未満では時として望まないマイクロクラック様の欠点
が存在したり、鍍金が破壊し易くなる問題がある。
【0032】本発明において通気抵抗とは、粗面の表面
上に特定容積の密封空間を設け、この空間を所定の真空
度にした後、粗面の溝を通じて流入する空気により空間
の真空度が所定の真空度まで低下するのに要する時間を
いう。即ち、上記特定容積の密封空間中の空気を真空ポ
ンプなどにより排出して所定真空度の真空領域とした後
空気の排出を停止し、粗面の溝を通じて流入する空気に
より空間の真空度が所定の値まで低下するのに要する時
間を測定する。
【0033】通気抵抗の具体的な測定法は、第1図にそ
の概略図を示すように、真空計2の付いた真空容器1の
一端に真空コック3を介して真空ポンプ4を接続し、他
端に真空ホース5を介してゴムの吸盤6(例えば株式会
社妙徳製FPM.PFYK−40)を取り付ける。吸盤
部分は、第2図の拡大断面模式図に示すように、直径4
0mmの吸盤(6,12)を冷却ロール表面14に押し
当て、吸盤の外周面が粗面の表面上に密着するように直
径30mmのポーラスなシート(例えば日本精線株式会
社製ナスロン低密度焼結体8−L−500)13を吸盤
の中央に置いて押し当てる。この時、真空コック3から
吸盤6までの空間容積が100ccとなるよう調整す
る。次いで、この100ccの空間の真空度が−93.
1kPa(−700mmHg)となるまで真空ポンプ4
により空間の空気を排出した後真空コック3を閉じ、直
ちに時間の測定を開始する。吸盤部分の粗面の溝を通じ
て真空系に空気が流入するため真空度が低下するが、こ
の時真空度が−93.1kPaから−86.45kPa
(−700mmHgから−650mmHg)に低下するの
に要する時間を測定し、この所要時間を通気抵抗と定義
する。なお、通気抵抗の測定に先立って測定器の真空漏
れをチェックするために、磨かれたガラス板の通気抵抗
が20000秒以上であることを確認する。
【0034】[キャスト方法]本発明では、重合体の溶
融シートをオリフィス状の口金から押出し親水性表面の
冷却ロールに静電密着法を併用して密着させ固化させて
キャストすることによりシートを成形する。また、この
シートを延伸して二軸延伸フィルムとする。上記オリフ
ィス状の口金とは、例えばTダイ、フィッシュテールダ
イ、Iダイ等で、直線状の開口部を有する口金のことで
ある。
【0035】本発明の目的である、マイクロクラックの
ような冷却ロール表面の凹凸が転写して生じる転写欠点
を改善し、しかも高速でシートを生産するための方法
は、本発明の特定範囲の溶融状態での比抵抗を有するポ
リエステルを、親水性表面の冷却ロールを用い、静電密
着法を併用しながら成形することによって達成される。
【0036】冷却ロールの表面が鏡面の場合は静電密着
力が低下すると、介在する空気の残存によりシートに気
泡状の欠点を生じるが、鍍金層内部がポーラス構造の場
合は前述のようにポーラス構造に一時的に吸収された
り、或いはポーラス構造を通して拡散排出される等の作
用が働いて気泡状の欠点を生じることなく、表面平滑に
優れた良品質のシートを高速で生産することができる。
【0037】本発明において、シートの成形速度は40
〜200m/分の範囲であることが必要であり、好まし
くは45〜180m/分の範囲である。成形速度が40
m/分未満では本発明の目的の高速効果が無く、また2
00m/分を超える場合は気泡状の欠点に類似した欠点
が発生する場合がある。
【0038】[二軸延伸フィルム]本発明では、親水性
表面の冷却ロールを用いて静電密着法でキャストした未
延伸シートを、縦方向と横方向とに二軸延伸することに
よるポリエステルフィルムを成形する。
【0039】本発明において二軸延伸とは、未延伸シー
トを予熱して縦方向に延伸し、続いて横方向に延伸する
逐次二軸延伸すること、或いは縦方向と横方向の延伸を
同時に行う同時二軸延伸することである。特に逐次二軸
延伸の場合は種々の公知の延伸方法、例えば特開昭54
−8672号公報に提案されている延伸方法が都合よく
適用できる。例えば未延伸シートを、複数の区間で加熱
と延伸を繰り返して縦方向の合計倍率が2〜8倍になる
ように縦方向に多段階に延伸し、この複数の縦延伸区間
の間に、及び/又は縦延伸工程に続いて横方向の合計倍
率が2〜8倍になるように延伸して、縦横の延伸倍率の
積が4〜64倍にする方法等も本発明に用いることがで
きる。
【0040】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。なお、本発明における物性値は、以下の如く測定さ
れたものであり、かつ定義される。
【0041】(1)比抵抗 溶融状態での比抵抗は、ブリッティシュ・ジャーナル・
オブ・アプライド・フィジックス(Brit.J.Ap
pl.Phys.)第17巻,第1149〜1154頁
(1966年)に記載の方法に従って測定した値であ
る。但し、ポリマーの溶融温度は295℃で、直流10
00Vの電圧を印加した直後の値を溶融状態でのポリエ
ステルの比抵抗とした。
【0042】(2)シートおよびフィルム厚み マイクロメータで10点測定し、平均値を求めてシート
またはフィルムの厚みとした。
【0043】(3)金属化合物の配合割合 蛍光X線(理学電気工業株式会社 蛍光X線3270型)
によって所定の方法にてポリマー中の金属量(単位pp
m)を測定した。
【0044】[実施例1]マグネシウム化合物(80p
pm)、リン化合物(30ppm)、アンチモン化合物
(250ppm)を含有し、溶融時の比抵抗が4×10
7Ω・cmのポリエチレン−2,6−ナフタレートを、
押出機で溶融し、口金から厚さ180μmのシート状に
押出し、濡れ指数が500μN/cmで表面粗さが0.
007μm、表面の真空漏洩法によって測定される通気
抵抗が3500秒の親水性表面の冷却ロールに、静電密
着法を併用して密着させ固化させて未延伸シートを得
た。シート成形の最高速度は88m/分であった。この
未延伸シートを一旦巻取り、次いで縦方向に3.6倍、
横方向に3.9倍に二軸延伸した。
【0045】得られた成形シートにはマイクロクラック
等の転写模様は認められず、二軸延伸フィルムにもオレ
ンジ肌様欠点や粗大異物もなく、フィルムの表面平滑性
についてビデオ用磁気記録材料のベース材料としての品
質基準を満たしていた。
【0046】[比較例1]冷却ロール表面が従来の鏡面
である以外、実施例1と同様のポリマーを用い、同様の
成形条件でシートを成形した。シート成形の最高速度は
41m/分であった。
【0047】[比較例2]ポリエステルがマンガン化合
物(30mmol%)、リン化合物(40mmol
%)、アンチモン化合物(20mmol%)を含有し、
溶融時の比抵抗が1×108Ω・cmのポリエチレン−
2,6−ナフタレートである以外実施例1と同一の冷却
装置と条件でシートを成形した。シート成形の最高速度
は58m/分であった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、溶融時の比抵抗が特定
範囲のポリエチレン−2,6−ナフタレートを、静電密
着法により親水性表面の冷却ロールで高速成形すると、
表面平滑性に優れた高品質のフィルムを高速で生産でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却ロール表面の通気抵抗を測定する装置の模
式図。
【図2】通気抵抗測定装置の吸盤部分の拡大断面を示す
模式図。
【符号の説明】
1:真空容器 2:真空計 3:真空コック 4:真空ポンプ 5、11:真空ホース 6、12:吸盤 13:ポーラスなシート 14:冷却ロール表面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2,6−ナレフタレンジカルボン酸を主
    たる酸成分とするポリエステルの溶融シートをオリフィ
    ス状の口金から押出し静電密着法により冷却ロールに密
    着させ固化させるシートの成形方法において、ポリエス
    テルの溶融状態での比抵抗が1×107〜5×108Ω・
    cmであり、冷却ロールの表面が親水性表面であること
    を特徴とするポリエステルシートの成形方法。
  2. 【請求項2】 冷却ロール表面の濡れ指数が400μN
    /cm以上であり、且つ中心線平均粗さが0.01〜
    0.35μmである請求項1に記載のポリエステルシー
    トの成形方法。
  3. 【請求項3】 冷却ロール表面の真空漏洩法によって測
    定される通気抵抗が、500〜10000秒である請求
    項2に記載のポリエステルシートの成形方法。
  4. 【請求項4】 冷却ロール表面がクロム鍍金を化学的又
    は電気化学的エッチングにより製作された請求項1乃至
    3のいずれか1項に記載のポリエステルシートの成形方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011088339A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Mitsui Chemicals Inc 4−メチルペンテン−1(共)重合体を含む二軸延伸用樹脂フィルム、およびその製造方法

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