JP4574960B2 - 車両用電源制御装置及び制御チップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用電源制御装置及び制御チップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両が備える負荷、すなわち、例えばモータやランプ等のアクチュエータに対する電源供給を制御するためのパワーIC(車両用電源制御装置)としては、例えば図8に示す構成のものがある。
【0003】
すなわち、図8に示す従来のパワーICは、バッテリ(車載電源)101から負荷102への電源供給をON状態とOFF状態とに切り替えるパワーチップ103と、このパワーチップ103のON/OFF切替を制御する制御チップ104と、の2つのICを備えて構成されている。
【0004】
このうちパワーチップ103は、トランジスタ1031を備え、このトランジスタ1031のゲート端子1031aは制御チップ104の出力端子104aに接続され、ソース端子1031bは負荷102に接続されている。また、トランジスタ1031のドレイン端子1031cは、バッテリ101に接続されるようになっている。
【0005】
他方、制御チップ104は、パワーチップ103のON/OFF切替制御を行う内部回路(制御回路)105を備えている。この内部回路105は、寄生ダイオード106を含んでいる。さらに、制御チップ104は、内部回路105と当該制御チップ104の電源端子107との間に直列に接続されたポリシリコン抵抗109を備えている。
【0006】
これら制御チップ104及びパワーチップ103は、図8に示すようにバッテリ101に対し並列に接続された状態で使用され、制御チップ104が備える内部回路105によりパワーチップ103を制御することによって、負荷102への電源供給を制御するようになっている。
【0007】
ここで、図8に示すように、制御チップ104の電源端子107をバッテリ101に接続した状態が正常な接続状態であるが、誤ってグランド端子108がバッテリ101に接続(逆接)されてしまう可能性もある。このように誤って逆接されてしまった場合、寄生ダイオード106では電流制限を行うことができない。
【0008】
このため、従来のパワーICにおける制御チップ104は、ポリシリコン抵抗109を備えている。そして、正常な接続状態では、このポリシリコン抵抗109を介して内部回路106へ電源を供給する一方で、逆接時には、内部回路105に流れる電流をポリシリコン抵抗109により制限するようにしている。つまり、逆接時において内部回路105に電流が無制限に流れてしまい、発熱のために内部回路105の機能が損なわれてしまうことを、ポリシリコン抵抗109により防止している(例えば、非特許文献1参照)。
【0009】
なお、内部回路の具体的な構成の例としては、例えば、特許文献1に示すようなものがある。
【0010】
また、従来の他の技術としては、ショットキーダイオードを負荷に直列接続した技術(例えば、特許文献2の第3頁参照)、パワーMOSFETを用いる技術(例えば、特許文献3参照)及びデプレッション型MOSFETを用いる技術(例えば、特許文献2の請求項1参照)がある。
【0011】
【特許文献1】
特開平5−146049号公報(第1図)
【0012】
【特許文献2】
特開平8−213619号公報(第3頁、請求項1)
【0013】
【特許文献3】
米国特許第5517379号明細書(第2図)
【0014】
【非特許文献1】
Smart Highside Power Switch(PROFET Data Sheet BTS 6143D)、第1頁(全16頁中)の図、[online]、2002年8月7日、Infineon TechnologiesAG、ドイツ、[2003年6月10日検索]、インターネット<URL:http://www.infineon.com/cmc#upload/documents/014/444/BTS6143D#1.pdf>
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術(非特許文献1)では、逆接時に内部回路105に流れる電流をポリシリコン抵抗109により制限するようにしているが、このポリシリコン抵抗109は、制御チップ104に内蔵する(ICに内蔵する)ためには必然的に小さなものとなってしまい、その抵抗値を大きい値に設定することができなかった。
【0016】
すなわち、例えば、バッテリ101の電圧を12V、ポリシリコン抵抗109の抵抗値を100Ω、寄生ダイオード106による電圧降下を1Vとした場合、逆接時には、{(12−1)/100}=約110mAの電流が内部回路105に流れてしまう。
【0017】
このため、逆接状態がある程度(例えば1分程度)以上継続すると、やはり内部回路105の機能が損なわれてしまう。
【0018】
また、ショットキーダイオードを負荷に直列接続する技術は、先ず、内部回路を保護するための技術ではない。しかも、ショットキーダイオードをICに内蔵することは、製造プロセスが複雑となるため非常に困難であるので、ショットキーダイオードを外付け部品として接続する必要がある。よって、コスト高を招くという問題がある。
【0019】
また、パワーMOSFETを用いる技術の場合、このパワーMOSFETはICに内蔵可能であるが、パワーMOSFETを制御するための回路が追加で必要となり、やはりコスト高を招く。
【0020】
また、特許文献2に記載のデプレッション型MOSFETを用いる技術は、負荷を保護するための保護回路にすぎず、内部回路を保護するための技術ではない。しかも、デプレッション型MOSFETが負荷に対して直接的に直列に接続されている。このため、デプレッション型MOSFETを含む回路による電圧降下が生じてしまい、この電圧降下に起因して、正常な接続状態の際に電源から負荷に対して供給可能な電流が小さい値に制限されてしまい、負荷に大電流を供給することが困難であるという問題がある。
【0021】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、逆接時における内部回路(制御回路)の保護をより好適になし得るとともに、電源から負荷に対して供給可能な電流は比較的大きな値に設定することが可能な車両用電源制御装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の車両用電源制御装置は、車載電源から負荷への電源供給をON状態とOFF状態とに切り替える切替チップと、前記切替チップのON/OFF切替を制御する制御回路を有し、前記切替チップとは別体に構成された制御チップと、を備え、前記車載電源に対し、前記制御チップ及び前記切替チップを相互に並列に接続した状態で、該切替チップを前記制御チップの前記制御回路により制御することによって、前記負荷への電源供給を制御することが可能な車両用電源制御装置であって、前記制御チップは、デプレッション型MOSFETを備え、該デプレッション型MOSFETのソース端子は前記制御チップの電源端子又はグランド端子の何れか一方に接続され、ドレイン端子は前記制御回路に接続されていることを特徴としている。
【0023】
ここで、電源端子とは、車載電源への接続端子(正常接続の際に車載電源に接続される端子)であり、グランド端子とは、グランドへの接続端子(正常接続の際にグランドに接続される端子)である。なお、誤ってグランド端子を車載電源に接続することを逆接するという。
【0024】
また、本発明の車両用電源制御装置においては、前記デプレッション型MOSFETのドレイン端子は、前記制御チップの基板にも接続され、該ドレイン端子より前記制御チップの基板電位を付与するようにしたことが好ましい。
【0025】
本発明の車両用電源制御装置においては、前記デプレッション型MOSFETの前記ソース端子は、該デプレッション型MOSFETのソースドレイン構造における両端子のうち、該デプレッション型MOSFETのウェル領域と電気的に接続されている方の端子であり、前記ドレイン端子は、前記両端子のうち前記ウェル領域とは絶縁されている方の端子であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の車両用電源制御装置においては、前記デプレッション型MOSFETのウェル領域の導電型は、前記制御チップの基板とは異なる導電型に設定されていることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明の車両用電源制御装置においては、前記切替チップの総抵抗は、前記制御チップよりも小さい値に設定されていることが好ましい。
【0028】
また、本発明の制御チップは、車載電源から負荷への電源供給をON状態とOFF状態とに切り替える切替チップのON/OFF切替を制御する制御回路を有し、前記切替チップとは別体に構成され、前記車載電源に対し、前記切替チップと並列に接続された状態で、該切替チップを前記制御回路により制御することによって、前記負荷への電源供給を制御することが可能な制御チップであって、デプレッション型MOSFETを備え、該デプレッション型MOSFETのソース端子は当該制御チップの電源端子又はグランド端子の何れか一方に接続され、ドレイン端子は前記制御回路に接続されていることを特徴としている。
【0029】
本発明の制御チップにおいては、前記デプレッション型MOSFETのドレイン端子は、当該制御チップの基板にも接続され、該ドレイン端子より該制御チップの基板電位を付与するようにしたことが好ましい。
【0030】
本発明の制御チップにおいては、前記デプレッション型MOSFETの前記ソース端子は、該デプレッション型MOSFETのソースドレイン構造における両端子のうち、該デプレッション型MOSFETのウェル領域と電気的に接続されている方の端子であり、前記ドレイン端子は、前記両端子のうち前記ウェル領域とは絶縁されている方の端子であることが好ましい。
【0031】
本発明の制御チップにおいては、前記デプレッション型MOSFETのウェル領域の導電型は、当該制御チップの基板とは異なる導電型に設定されていることが好ましい。
【0032】
本発明によれば、制御チップは、デプレッション型MOSFETを備え、該デプレッション型MOSFETのソース端子は制御チップの電源端子又はグランド端子の何れか一方に接続され、ドレイン端子は制御チップの制御回路に接続されているので、逆接時に制御回路に流れてしまう電流をデプレッション型MOSFETにより抑制することができる。このため、逆接時における制御回路の発熱を抑制でき、該制御回路を好適に保護することができる。また、デプレッション型MOSFETを用いるので、長時間の逆接が発生したとしても好適に保護し続けることができる。
【0033】
また、切替チップと、この切替チップとは別体に構成された制御チップとを備え、車載電源に対し制御チップ及び切替チップを相互に並列に接続した状態で、該切替チップを制御チップの制御回路により制御することで負荷への電源供給を制御するので、正常接続時における負荷への供給電源は、デプレッション型MOSFET及び内部回路による電圧降下の影響を受けることが無い。このため、電源から負荷に対して供給可能な電流を比較的大きな値とすることが可能となる。
【0034】
さらに、デプレッション型MOSFETは、IC(制御チップ)に内蔵可能であるとともに、ショットキーダイオード或いはパワーMOSFETを用いる場合と比べて、ICの製造が容易となる。加えて、デプレッション型MOSFETを制御するための制御回路も不要である。このため、本発明の車両用電源制御装置は、低コストで製造することが可能である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0036】
〔第1の実施形態〕
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るパワーIC(車両用電源制御装置)10は、パワーチップ(切替チップ)1と、このパワーチップ1とは別体に構成された制御チップ2と、の各々独立な2つのICを備えている。
【0037】
このうちパワーチップ1は、バッテリ(車載電源)3から負荷4への電源供給をON状態とOFF状態とに切り替えるためのものである。なお、負荷4とは、例えば、車両が備えるモータ或いはランプなどのアクチュエータである。
【0038】
このパワーチップ1は、トランジスタ11を備え、このトランジスタ11のゲート端子11aは制御チップ2の出力端子25に接続され、ソース端子11bは負荷4に接続されている。また、トランジスタ11のドレイン端子11cは、(正常な接続状態では)バッテリ3に接続されるようになっている。
【0039】
他方、制御チップ2は、パワーチップ1のON/OFF切替を制御する内部回路(制御回路)5を有する。この内部回路5は、寄生ダイオード6を含んでいる。なお、内部回路5は、例えば、パワーチップ1を流れる電流を検出する電流検出手段やパワーチップ1の温度を検出する温度検出手段(何れも図示略)を備えていても良い。
【0040】
さらに、制御チップ2は、バッテリ3への接続端子である電源端子21と、グランドへの接続端子であるグランド端子22と、パワーチップ1への出力端子25と、を備えている。
【0041】
そして、パワーIC10は、制御チップ2の電源端子21をバッテリ3に接続するとともに、バッテリ3と負荷4との間にパワーチップ1を直列に接続した状態、つまり、バッテリ3に対し、パワーチップ1及び制御チップ2を相互に並列に接続した状態で使用される。すなわち、この状態で、制御チップ2の内部回路5によりパワーチップ1を制御(出力端子25より制御信号を出力)することによって、負荷4への電源供給をON/OFF制御することが可能となっている。
【0042】
ここで、このように制御チップ2の電源端子21をバッテリ3に接続し、かつ、グランド端子22をグランドに接続した状態を、正常な接続状態といい、これとは逆に、誤って制御チップ2のグランド端子22をバッテリ3に接続し、かつ、電源端子21をグランドに接続した(逆接した)状態を逆接状態という。
【0043】
正常な接続状態では、内部回路5に流れる電流はあらかじめ回路定数で設定されているため抑制されるが(例えば1mA)、逆接時には寄生ダイオード6により電流を抑制することができない。
【0044】
このため、本実施形態に係るパワーIC10の制御チップ2は、デプレッション型MOSFET7(図2)を備えている。
【0045】
図3にドレイン−ソース間の電圧−電流特性を示すように、デプレッション型MOSFET7は、印加電圧が比較的低い場合には抵抗として機能し(図3の抵抗領域R1参照)、該デプレッション型MOSFET7に流れる電流値が印加電圧に対してリニアに変化する一方で、所定の飽和点を超える電圧が印加された場合には飽和状態となって電流値が一定となる(図3の飽和領域R2参照)。
【0046】
そこで、本実施形態に係るパワーIC10においては、例えば、デプレッション型MOSFET7のソース端子71は制御チップ2の電源端子21に接続し、デプレッション型MOSFET7のドレイン端子72は内部回路5に接続した構造とする。
【0047】
つまり、本実施形態の場合、正常な接続状態では、デプレッション型MOSFET7の特性のうち、例えば抵抗領域R1の一部領域R3(図3)を動作点として利用する一方で、逆接時には、飽和領域R2を動作点として利用する。
【0048】
これにより、誤って逆接してしまった場合に内部回路5に流れる電流を、デプレッション型MOSFET7により一定範囲内に抑制することができる。すなわち、図4に示すように、制御チップ2のグランド端子22をバッテリ3に、電源端子21をグランドに、それぞれ接続してしまった場合には、制御チップ2に印加される電圧のうちほとんどをデプレッション型MOSFET7が受けることとなり、内部回路5に流れる電流を抑制することができる。なお、逆接時には、パワーチップ1のゲート電位はハイレベルとなって、パワーチップ1はON状態となる。
【0049】
他方、正常な接続状態(図1)では、バッテリ3からの電源は、デプレッション型MOSFET7のドレイン端子72より内部回路5に供給される。
【0050】
次に、図5を参照して、制御チップ2の素子構造について説明する。
【0051】
本実施形態の場合、制御チップ2は、例えばN型基板23を備える。
【0052】
そして、図5に示すように、デプレッション型MOSFET7のドレイン端子72から内部回路5に接続された配線75(内部回路5への電源供給用の配線)は、制御チップ2のN型基板23のN+領域23aにも接続され、該ドレイン端子72より制御チップ2のサブ電位(基板電位)を付与するような構成となっている。
【0053】
また、デプレッション型MOSFET7のソース端子71は、該デプレッション型MOSFET71のソースドレイン構造における両端子71,72のうち、該デプレッション型MOSFET7のウェル領域73と電気的に接続されている方の端子である。他方、ドレイン端子72は、ソースドレイン構造における両端子71,72のうちウェル領域73とは絶縁されている方の端子である。
【0054】
さらに、デプレッション型MOSFET7のウェル領域73の導電型は、本実施形態の場合、P型となっている。すなわち、デプレッション型MOSFET7のウェル領域73の導電型は、制御チップ2の基板(N型基板23)とは異なる導電型に設定されている。
【0055】
なお、パワーチップ1の総抵抗は、制御チップ2の総抵抗よりも小さい値に設定されている。
【0056】
以上のような第1の実施形態によれば、制御チップ2は、デプレッション型MOSFET7を備え、このデプレッション型MOSFET7のソース端子71は制御チップ2の電源端子21又はグランド端子22の何れか一方に接続され、ドレイン端子72は制御チップ2の内部回路5に接続されているので、逆接時に内部回路5に流れてしまう電流をデプレッション型MOSFET7の定電流動作により抑制することができる(例えば、消費電力0.1W程度)。このため、逆接時における内部回路5の発熱を抑制でき、該内部回路5を好適に保護することができる。また、このようにデプレッション型MOSFET7を用いるので、長時間の逆接が発生したとしても好適に保護し続けることができる。
【0057】
また、パワーチップ1と、このパワーチップ1とは別体に構成された制御チップ2とを備え、バッテリ3に対しこれらパワーチップ1及び制御チップ2を相互に並列に接続した状態で、制御チップ2の内部回路5によりパワーチップ1を制御することによって負荷4への電源供給を制御するので、正常接続時における負荷4への供給電源は、デプレッション型MOSFET7及び内部回路5による電圧降下の影響を受けることが無い。このため、バッテリ3より負荷4に対して供給可能な電流を比較的大きな値とすることが可能となる。つまり、バッテリ3からの電源を、総抵抗の値が制御チップ2よりも小さく設定されたパワーチップ1のみを介して負荷4に供給するので、この供給電流を比較的大きな値に設定することができる。
【0058】
さらに、デプレッション型MOSFET7は、IC(制御チップ2)に内蔵可能であるとともに、そのICの製造が容易である。加えて、デプレッション型MOSFET7を制御するための制御回路は不要である。このため、本実施形態に係るパワーIC10は、低コストで製造することが可能である。
【0059】
〔第2の実施形態〕
次に、図6及び図7を参照して、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
【0060】
第2の実施形態に係るパワーIC20は、以下に説明する点でのみ上記の第1の実施形態に係るパワーIC10と異なり、その他の点ではパワーIC10と同様に構成されている。よって、同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
図6及び図7に示すように、第2の実施形態に係るパワーIC20では、デプレッション型MOSFET7のソース端子71が、制御チップ2のグランド端子22に接続されている。
【0062】
また、図7に示すように、第2の実施形態の場合、制御チップ2はP型基板24を備える。このため、本実施形態の場合、デプレッション型MOSFET7のウェル領域73の導電型はN型(制御チップ2の基板(P型基板24)とは異なる導電型)に設定する。
【0063】
また、配線75(内部回路5への電源供給用の配線)は、P型基板23のP+領域24aにも接続され、該ドレイン端子72より制御チップ2のサブ電位(基板電位)を付与するような構成となっている。
【0064】
以上のような第2の実施形態によっても、上記の第1の実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、逆接時に制御回路に流れてしまう電流をデプレッション型MOSFETにより抑制することができる。このため、長時間の逆接が発生したとしても制御回路を好適に保護し続けることができる。
【0066】
また、切替チップと、この切替チップとは別体に構成された制御チップとを備え、制御チップの制御回路により切替チップを制御することによって負荷への電源供給を制御するので、正常接続時における負荷への供給電源は、制御チップが備えるデプレッション型MOSFET及び内部回路による電圧降下の影響を受けることが無い。このため、電源から負荷への電源供給を、切替チップのみを介して行うので、負荷に対して供給可能な電流を比較的大きな値とすることが可能となる。
【0067】
さらに、デプレッション型MOSFETは、IC(制御チップ)に内蔵可能であるとともに、ショットキーダイオード或いはパワーMOSFETを用いる場合と比べて、ICの製造が容易となる。加えて、デプレッション型MOSFETを制御するための制御回路も不要である。このため、本発明の車両用電源制御装置及び制御チップは、低コストで製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用電源制御装置を示す回路図である。
【図2】デプレッション型MOSFETを示す図である。
【図3】デプレッション型MOSFETの電圧−電流特性を示す図である。
【図4】逆接時の動作を説明するための回路図である。
【図5】制御チップの素子構造を示す断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る車両用電源制御装置を示す回路図である。
【図7】図6の車両用電源制御装置における制御チップの素子構造を示す断面図である。
【図8】従来の車両用電源制御装置を示す回路図である。
【符号の説明】
10 パワーIC(車両用電源制御装置)
1 パワーチップ(切替チップ)
2 制御チップ
23 N型基板(制御チップの基板)
21 電源端子
22 グランド端子
3 バッテリ(車載電源)
4 負荷
5 内部回路(制御回路)
7 デプレッション型MOSFET
71 ソース端子
72 ドレイン端子
73 ウェル領域
20 パワーIC(車両用電源制御装置)
24 P型基板(制御チップの基板)

Claims (9)

  1. 車載電源から負荷への電源供給をON状態とOFF状態とに切り替える切替チップと、
    前記切替チップのON/OFF切替を制御する制御回路を有し、前記切替チップとは別体に構成された制御チップと、
    を備え、
    前記車載電源に対し、前記制御チップ及び前記切替チップを相互に並列に接続した状態で、該切替チップを前記制御チップの前記制御回路により制御することによって、前記負荷への電源供給を制御することが可能な車両用電源制御装置であって、
    前記制御チップは、デプレッション型MOSFETを備え、該デプレッション型MOSFETのソース端子は前記制御チップの電源端子又はグランド端子の何れか一方に接続され、ドレイン端子は前記制御回路に接続され
    前記デプレッション型MOSFETのドレイン端子は、前記制御チップの基板にも接続され、該ドレイン端子より前記制御チップの基板電位を付与するようにしたことを特徴とする車両用電源制御装置。
  2. 前記デプレッション型MOSFETの前記ソース端子は、該デプレッション型MOSFETのソースドレイン構造における両端子のうち、該デプレッション型MOSFETのウェル領域と電気的に接続されている方の端子であり、前記ドレイン端子は、前記両端子のうち前記ウェル領域とは絶縁されている方の端子であることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源制御装置。
  3. 前記デプレッション型MOSFETのウェル領域の導電型は、前記制御チップの基板とは異なる導電型に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用電源制御装置。
  4. 前記切替チップの総抵抗は、前記制御チップよりも小さい値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の車両用電源制御装置。
  5. 車載電源から負荷への電源供給をON状態とOFF状態とに切り替える切替チップのON/OFF切替を制御する制御回路を有し、前記切替チップとは別体に構成され、前記車載電源に対し、前記切替チップと並列に接続された状態で、該切替チップを前記制御回路により制御することによって、前記負荷への電源供給を制御することが可能な制御チップであって、
    デプレッション型MOSFETを備え、該デプレッション型MOSFETのソース端子は当該制御チップの電源端子又はグランド端子の何れか一方に接続され、ドレイン端子は前記制御回路に接続され
    前記デプレッション型MOSFETのドレイン端子は、当該制御チップの基板にも接続され、該ドレイン端子より該制御チップの基板電位を付与するようにしたことを特徴とする制御チップ。
  6. 前記デプレッション型MOSFETの前記ソース端子は、該デプレッション型MOSFETのソースドレイン構造における両端子のうち、該デプレッション型MOSFETのウェル領域と電気的に接続されている方の端子であり、前記ドレイン端子は、前記両端子のうち前記ウェル領域とは絶縁されている方の端子であることを特徴とする請求項に記載の制御チップ。
  7. 前記デプレッション型MOSFETのウェル領域の導電型は、当該制御チップの基板とは異なる導電型に設定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の制御チップ。
  8. 車載電源から負荷への電源供給を制御する制御回路を有する制御チップを備え、
    前記車載電源に前記制御チップを接続した状態で、前記制御チップの前記制御回路によって前記負荷への電源供給を制御することが可能な車両用電源制御装置であって、
    前記制御チップは、デプレッション型MOSFETを備え、該デプレッション型MOSFETのソース端子は前記制御チップの電源端子又はグランド端子の何れか一方に接続され、ドレイン端子は前記制御回路に接続され、
    前記デプレッション型MOSFETのドレイン端子は、前記制御チップの基板にも接続され、該ドレイン端子より前記制御チップの基板電位を付与するようにしたことを特徴とする車両用電源制御装置。
  9. 車載電源から負荷への電源供給を制御する制御回路を有する制御チップであって、
    デプレッション型MOSFETを備え、該デプレッション型MOSFETのソース端子は当該制御チップの電源端子又はグランド端子の何れか一方に接続され、ドレイン端子は前記制御回路に接続され、
    前記デプレッション型MOSFETのドレイン端子は、当該制御チップの基板にも接続され、該ドレイン端子より該制御チップの基板電位を付与するようにしたことを特徴とする制御チップ。
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