JP4574025B2 - 配線モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や、コンデンサ等の各種電子部品が搭載され、且つ印刷抵抗体が被着形成された混成集積回路基板を基にした配線モジュールに関するもので、特に各種電子部品の高密度実装化を実現した配線モジュールに関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、配線モジュールは、回路基板の表面に、半導体素子などの半導体部品や、コンデンサ素子などの電子部品を実装するとともに、回路基板の表面には印刷抵抗体等が被着形成されている。これらの半導体部品や電子部品および印刷抵抗体などは、例えば、図2のように配置される。図2の配線モジュールによれば、回路基板11の表面側に、半導体部品12や電子部品13が実装搭載されており、回路基板11の裏面側に、印刷抵抗体14が塗布形成されている。また、この印刷抵抗体14は、その回路基板11裏面に設けられたトリミングパッド15によって所定の抵抗値に調整された後に例えばガラス層(図示せず)が形成され、さらに回路基板11の裏面側全体を覆うように保護樹脂層17が設けられている。場合によっては、保護樹脂層17の表面にはヒートシンクが取り付けられる場合もある。
【0003】
また、この図2の配線モジュールによれば、各種部品や抵抗体などを実装した完成品に対して電気特性を測定するためのテストパッドが形成されるが、一般には、このテストパッド18は、完成品の段階で露出していることが必要であるために、保護樹脂層17が設けられていない回路基板11の表面側に一般に形成されている。また、このテストパッド18の表面は、一般に酸化防止と好接点性の確保を目的として表面にNi/Auによってめっき処理されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回路基板11の表面には、このテストパッド18と各種部品や抵抗体とを電気的に接続するための配線層を引き回す必要があり、部品点数等が増加するに従い、その配線の引回し部の面積も次第に大きくなり、各種部品の実装面積が大きく制約されるという問題があった。
【0005】
そこで、図3に示すように、このテストパッド18を回路基板11の裏面側の保護樹脂層17の周囲に設けることによって、回路基板11の表面側における各種部品の実装面積を大きくすることも行われている。
【0006】
しかしながら、テストパッド18を印刷抵抗体14が形成された回路基板11の裏面側に形成した場合においても、保護樹脂層17の周囲にまで配線を引き回す必要があるために、印刷抵抗体14を形成する領域が制約されるなどの弊害があった。
【0007】
そこでさらに、図4に示すように、テストパッド18を回路基板11の裏面側に形成するにあたり、配線の引回しによらず、テストパッド18の形成部分には保護樹脂層17を形成しない開口19を形成してテストパッド18を開口19から露出させることも行われているが、導体が酸化し電気テスト時の導通不良を引き起こす場合があった。また、かかる構造も配線の引回しの必要は低減されるものの、各種部品の実装密度を高めるには至っていない。
【0008】
また、最近の各種電気部品の小型化に伴い、配線モジュールの更なる高密度実装化が求められているが、図2や図3の構造では自ずと限界があった。
【0009】
なお、小型高密度化を目的として、例えば、特開平11−204914号、特開平10−70351号、特開平9−214097号のように、回路基板に搭載された部品の上にさらに別の部品を実装した階層構造が提案されているが、かかる構造を形成するには、別の部品を実装するために、保持体、カバー、副プリント基板等が必要となり、部品点数、工数共に増加してコストが高くなるという問題があった。また、導電ペーストで印刷抵抗を形成したプリント基板にフラットパッケージICを実装する構造も特開平11−177205号で提案されているが、静電破壊防止用抵抗以外の印刷抵抗体への適用性について記載されておらず、またテストパッドなどの配置などについても記載されていない。
【0010】
つまり、これらの先行技術には、部品の高密度実装の形態について記載されているものの、配線モジュール全体として、回路基板の両面をいかに有効に使用して高密度配線化を実現するかについては論じられていない。
【0011】
また、リード付きの大型の表面実装部品を多く使用する場合、表面実装部品を両面に実装、あるいは表面実装部品を片面に実装し、もう一方の面に印刷抵抗を形成したとしても、大型表面実装部品の投影面積の総和で多層の回路基板の面積がほぼ決まるため、混成回路基板の小型高密度化に制限を与えていた。
【0012】
従って、本発明は、このような半導体部品や電子部品などの各種部品が実装搭載され、また回路基板の表面に印刷抵抗体を形成してなる配線モジュールにおいて、回路基板の両面を有効に用いて各種部品を高密度に実装することが可能であり小型化が可能な配線モジュールを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の配線モジュールは、回路基板の少なくとも一方の表面に電気部品実装されており前記回路基板の他方の表面の複数箇所に印刷抵抗体被着形成されているとともに、該印刷抵抗体の表面に保護樹脂層形成されるものであって、複数の前記保護樹脂層前記回路基板の前記他方の表面の複数の領域に分割して形成されているとともに、回路検査用の複数のテストパッドが、前記回路基板の前記他方の表面の、前記複数の保護樹脂層の各形成領域の周囲に配設されていることを特徴とするものである。
【0014】
なお、前記テストパッドの表面に金属めっきされていることによって、電気テスト時の好接点性を向上することができる。
【0015】
また、上記の配線モジュールにおいて、前記回路基板の前記他方の表面における前記複数の保護樹脂層形成領域以外の領域に前記電気部品実装されているようにすることができる。また、前記回路基板の前記他方の表面における前記保護樹脂層を跨ぐようにして前記電気部品実装されているようにすることができ、これによってさらなる電気部品を実装、搭載することができる。
【0016】
また、前記保護樹脂層が、耐めっき性を有する熱硬化性樹脂からなるようにすることによって、テストパッドの表面に金属めっきを施す場合において、保護樹脂層がめっき液によって腐食されることがないために、保護樹脂層をめっき処理前に形成することが可能となる。
【0017】
また、前記回路基板を構成している絶縁基板は、セラミックスで形成されていることがモジュールの強度向上の上で望ましい。
【0018】
本発明の配線モジュールによれば、印刷抵抗体を回路基板の他方の表面側に一括して被着形成しているために、印刷抵抗体の印刷工程を簡略化することができる。
【0019】
また、被着形成された印刷抵抗体を保護する複数の保護樹脂層複数の領域に分割して形成されており複数の保護樹脂層各形成領域の周囲に回路検査用のテストパッド配設されているために、回路基板の主として電気部品が実装される一方の表面側でテストパッドと電気部品間を接続するための配線の引回しが短縮あるいは不要となるために、一方の表面側を電気部品実装用として有効に活用することができる。
【0020】
また、印刷抵抗体形成面側においても、テストパッドから電気部品や抵抗体との接続のための配線の引回しを短縮することができる結果、回路基板の印刷抵抗体形成面側を有効に活用することができ、保護樹脂層形成領域以外の領域に電気部品を実装したり、保護樹脂層形成領域が分割されたことによって小さくなったために、種々の電気部品を保護樹脂層形成領域を跨ぐようにして実装することが可能となる。
【0021】
その結果、配線モジュールにおける電気部品の実装密度を高めることができるとともに配線モジュールの小型化を図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の配線モジュールを図1を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の配線モジュールの概略断面図(a)と、印刷抵抗体形成面側の平面図である。
【0023】
図1の配線モジュールAは、絶縁基板1の表面あるいは裏面に配線層2が形成された回路基板3を具備する。この回路基板3の一方の表面(以下、単に表面という。)には、IC素子やコンデンサなどの小型表面実装部品などの電気部品5が回路基板3の配線層2に半田等の接合剤によって実装されている。
【0024】
一方、回路基板3の他方の表面(以下、単に裏面という。)には、複数の印刷抵抗体6が被着形成されている。この印刷抵抗体6は、回路基板3の裏面のみに形成することによって印刷抵抗体6の形成工程を簡略化できる。つまり、印刷抵抗体6は、その抵抗値に応じて複数種の抵抗体材料を印刷塗布するが、その場合、抵抗体6を印刷する表面を回路基板3の一方のみとすることによって工程を簡略化できる。
【0025】
また、この印刷された抵抗体6の近傍には、トリミングパッド7が形成されており、印刷抵抗体6の表面には印刷抵抗体を保護するためにオーバーガラス(図示せず)を被着形成する。このオーバーガラスは、ホウケイ酸鉛などのガラスからなるものであって、印刷抵抗体6を形成後に表面に塗布し、500〜650℃で焼き付け形成されるものである。その後、印刷抵抗体6の抵抗値をトリミングパッド7によって所定の抵抗値に調整される。
【0026】
所定の抵抗値に調整された印刷抵抗体6は、トリミングパッド7およびオーバーガラスとともに、保護樹脂層8によって被覆されている。
【0027】
本発明によれば、この保護樹脂層8による被覆領域が、回路基板3の裏面において複数の領域に分割されていることが重要である。これによって保護樹脂層8による無駄な被覆を省略することができる。
【0028】
それに伴い、本発明によれば、この保護樹脂層8の形成領域の周辺に配線モジュールの回路検査用のテストパッド9を配設する。このテストパッド9は、回路検査のために、回路基板3表面に実装された電気部品5と回路基板3の配線層2やビアホール導体などを経由して電気的に接続されたり、また印刷抵抗体6や、後述するように、回路基板3の裏面に実装される各種電気部品5等と電気的に接続される。
【0029】
本発明によれば、このテストパッド9と各種電気部品5や印刷抵抗体6と電気的に接続するために配線層2を引き回す必要があるが、本発明のように、電気部品5が主として実装された回路基板3表面の反対側にテストパッド9を形成しているために引き回す配線層2の長さを短縮することができる。また、回路基板3の裏面側においては、テストパッド9が、保護樹脂層8形成領域の周囲に配設されているために、印刷抵抗体6との接続のための配線層2の引回しも短縮できる。
【0030】
このように、テストパッド9と各種電気部品4、5や印刷抵抗体6との接続のための配線層2の引回しが短縮できるために、回路基板3表面および裏面における配線層2の引回しを縮小することができ、回路基板3表面および裏面を有効に活用することができる。
【0031】
また、本発明によれば、回路基板3裏面の保護樹脂層8を分割して形成し、さらには保護樹脂層8を印刷抵抗体6形成領域に対して最小限の領域に形成することによって形成された余剰部分に新たな電気部品10を実装することが可能となる。
【0032】
さらに、回路基板3裏面における電気部品10の実装方法として、保護樹脂層8が分割されたことによって、保護樹脂層8の周囲あるいは隣接する保護樹脂層8間の隙間領域に、電気部品10を実装する実装用パッド10aを配設して、図1(b)に示すように、電気部品10を保護樹脂層8を跨ぐように実装することによって、さらに電気部品を高密度に実装することが可能となる。その場合、電気部品としては、リードを有する部品であることが跨ぎやすさの点で望ましい。
【0033】
また、本発明においては、上記テストパッド9の表面を含む回路基板3の配線層2の表面には、電極の酸化防止と好接点性の確保のために、Ni/Auなどの金属めっき(図示せず)が施されるが、この金属めっきの形成にあたっては、めっき液中に配線モジュールを浸漬する必要がある。その際、印刷抵抗体6を保護する保護樹脂層8を通常のエポキシ等の紫外線硬化型樹脂によって形成する場合には、めっき液によって腐食してしまうために、形成した印刷抵抗体6をポリエステル系のマスキングテープ等によってマスキングしてめっき液に浸漬した後、マスキングを剥離し、その後、保護樹脂層8を形成することが必要になる。しかしながら、保護樹脂層8として耐めっき性を有する熱硬化性樹脂によって形成することによってこの保護樹脂層8がめっき液中でも浸食されることがないために、上記のマスキングを形成、剥離する工程が省略できる結果、テストパッド9への金属めっきの形成を簡略化できる。用いられる耐めっき性熱硬化性樹脂としては、エポキシ系、テフロン系、ウレタン系の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0034】
なお、本発明における配線モジュールの回路基板を形成する絶縁基板としてはAl23、AlN、Si34、ムライト、ガラスセラミックスの群から選ばれる少なくとも1種の周知のセラミック絶縁材料からなることがモジュールの信頼性を高める上で望ましい。特にモジュールの強度を高める上では、Al23、AlN、Si34、ムライトの群から選ばれる少なくとも1種が望ましい。
【0035】
【実施例】
所定の厚さのアルミナグリーンシートの所定の位置に打ち抜き加工を施してビアホールとなる孔を形成した。そしてこのビアホールにタングステン(W)を主たる成分とする導体ペーストを埋め込むとともにグリーンシートの表面に、電気部品を実装するための電極、配線層、およびテストパッドとなるパターンをスクリーン印刷した。同様にして作製した6層のアルミナグリーンシートを積層し、1600℃で焼結して多層の回路基板を作製した。
【0036】
次に、回路基板の裏面に、銅厚膜導体ペーストを用いて所定の配線とともに抵抗体の抵抗値調整用のトリミングパッドをスクリーン印刷にて印刷塗布後、900℃の非酸化性雰囲気中で熱処理後、LaB6を主体とする抵抗ペーストをスクリーン印刷によって所定の抵抗回路を成すように銅厚膜導体のターミナル部の一部に重なるように印刷塗布し、900℃の非酸化性雰囲気中で熱処理した。また、その際、抵抗体の印刷箇所を、抵抗体を跨いで実装する電気部品(例えば、リード付きICパッケージ)の大きさに合わせて、複数の領域に別けて形成した。
【0037】
回路基板裏面に形成された印刷抵抗体の表面に、ホウケイ酸鉛からなるオーバーガラスを塗布し、600℃で熱処理してオーバーガラス層を形成した。その後、抵抗値を合わせるためにトリミングパッドを用いてレーザートリミングを行った後、エポキシ樹脂からなる耐めっき性の熱硬化性樹脂を40μmの厚みで形成した。熱硬化性樹脂は、印刷抵抗体を形成した複数の領域に分割して形成し、150℃で加熱処理して熱硬化性樹脂を硬化させた。
【0038】
その後、この基板を無電解ニッケルめっきに浸漬し、Wメタライズからなる配線層およびテストパッドの表面にニッケルめっき層を形成した後、さらに無電解金めっき層に浸漬して最上面に金めっきを施した。なお、メッキ処理後の熱硬化樹脂で被覆した印刷抵抗体の部分を観察したが、何ら変化は認められなかった。
【0039】
次に、回路基板の裏面である印刷抵抗体形成面側の表面の保護樹脂層形成領域以外の部分に設けた電極に対して、リード付きの電気部品を保護樹脂層を跨ぐようにして配置し、リードと電極とを半田を用いて取り付けた。同時に、回路基板の表面側にも半導体素子、およびコンデンサなどの電子部品を回路基板表面の電極に対して半田実装して配線モジュールを作製した。
【0040】
作製した配線モジュールの両端部をシリコーン系樹脂を用いて、アルミニウムケースに接続固定し、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂性筐体で覆った。
【0041】
電気的接続の接続信頼性を評価するため、温度範囲−40℃〜125℃の気槽温度サイクル試験を行い、回路基板裏面に形成したテストパッドによって評価を行った結果、3000サイクルにおいても電気的な断線は生じでおらず、また、振動試験機を用いて半田実装部の接合強度の評価を行ったが、異常は認められなかった。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の配線モジュールによれば、回路基板の表面に主として電気部品を実装し、裏面に印刷抵抗体を形成するとともに、印刷抵抗体を保護する保護樹脂層を複数に分割形成するとともに、その分割された保護樹脂層の周囲にテストパッドを配設することによって、テストパッドと電気部品や印刷抵抗体との接続のための配線層の引回しを短縮、あるいは小さくできるために、回路基板の両面を有効に活用でき、特に裏面の保護樹脂層形成領域以外の領域に電気素子を実装したり、保護樹脂層を跨いで電気部品を実装することによって配線モジュールの電気部品の高密度実装化とともに配線モジュールの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による配線モジュールの一例を説明するための(a)概略断面図と、(b)裏面の平面図である。
【図2】従来の配線モジュールの一例を説明するための(a)概略断面図と、(b)裏面の平面図である。
【図3】従来の配線モジュールの他の例を説明するための(a)概略断面図と、(b)裏面の平面図である。
【図4】従来の配線モジュールのさらに他の例を説明するための(a)概略断面図と、(b)裏面の平面図である。
【符号の説明】
A 配線モジュール
1 絶縁基板
2 配線層
3 回路基板
5 電気部品
6 印刷抵抗体
7 トリミングパッド
8 保護樹脂層
9 テストパッド
10 電気部品

Claims (6)

  1. 回路基板の少なくとも一方の表面に電気部品実装されており前記回路基板の他方の表面の複数箇所に印刷抵抗体被着形成されているとともに、該印刷抵抗体の表面に保護樹脂層形成される配線モジュールであって、複数の前記保護樹脂層前記回路基板の前記他方の表面の複数の領域に分割して形成されているとともに、回路検査用の複数のテストパッドが、前記回路基板の前記他方の表面の、前記複数の保護樹脂層の各形成領域の周囲に配設されていることを特徴とする配線モジュール。
  2. 前記テストパッドの表面に金属めっきされていることを特徴とする請求項1記載の配線モジュール。
  3. 前記回路基板の前記他方の表面における前記複数の保護樹脂層形成領域以外の領域に前記電気部品実装されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の配線モジュール。
  4. 前記回路基板の前記他方の表面における前記保護樹脂層を跨ぐようにして前記電気部品実装されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の配線モジュール。
  5. 前記保護樹脂層が、耐めっき性を有する熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の配線モジュール。
  6. 前記回路基板を構成している絶縁基板が、セラミックスで形成されていことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか記載の配線モジュール。
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