JP4573473B2 - 誘導加熱用トレー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、病院や老人ホーム等において給食の加熱及び配膳を行うための配膳カート用として利用可能な誘導加熱用トレーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
病院の入院患者用食事は、それぞれの患者の病状に合わせて多彩なメニューを用意する必要があるが、従来は、それぞれの病院内に厨房を設け、そこで病院自らが調理して提供するか、あるいは、調理を外部の調理会社に依頼して提供するようにしていた。
【0003】
しかし、そのように、それぞれの病院毎に調理を行うには、設備的及び人的に無駄が大きく非効率的である。そこで、それを解決するため、特許第2644187号公報(A47B 31/02)には、図7に示すような給食システムが提案されている。
【0004】
調理センター21では、複数の病院からの注文に応じて種々の料理が調理され、クックチル処理が施された後、食器と共にパックされる。それらパックされた料理は、クールワゴン24に収納された状態で配送用冷蔵冷凍車23に載せられて、それぞれの病院22に配送される。
【0005】
クールワゴン24が納品されたら、病院22では、クールワゴン24を引き続き冷蔵状態に保持しながら給食時刻まで待つ。そして、給食時刻が近づいたら、各患者に対応するメニューに従って、クールワゴン24から料理を取り出して、それぞれの患者毎にトレー27の上に配置し、それぞれ配膳カート25の所定の区画室26に収納する。
【0006】
配膳カート25では、それぞれの区画室26の中に、トレー27の上の各料理28に対応した位置に遠赤外線ヒータ29が設けられていて、それぞれのヒータがタイマにより所定時間通電され、それぞれの料理28が最適な状態に加熱される。その状態で各病室に運んで行き、それぞれの患者に提供される。
【0007】
このようにすれば、それぞれの患者に合った料理を、設備的及び人的な無駄を削減しながら効率的に提供できる。しかし、料理の加熱を遠赤外線ヒータ29で行うのでは、料理をある程度温めることはできても、調理を行うことはできず、できたての料理を提供できない。
【0008】
そこで、本出願人は、先に、特願2001-18228として、誘導加熱を利用した配膳カートを提案した。その配膳カートは、各被給食者に対応するように複数の区画室を設け、各区画室の底面に誘導加熱コイルを埋設する。また、それに用いる食器は、図8に断面図を示すように、食器30の浜底面に銀ペーストよりなる導電層31を設け、その食器に食材を盛り付け、それらをトレーに載せて上記区画室に収納する。その際、トレーを区画室内の所定の位置に保持するとともに、トレーの上面に位置決め部材を設けて、常に誘導加熱コイルに対向する位置に食器が配置されるようにする。
【0009】
そして、所定の時刻になったらそれらの誘導加熱コイルを一斉にオンにして前記導電層31の内部に渦電流を流し、導電層31を発熱させて食器30を加熱し、食材の調理を行い、それぞれの料理が同時にできあがるようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そのような配膳カートにおいては、トレー上の各食器に、それぞれ主菜,副菜,御飯,汁物等の食材を入れ、誘導加熱コイルに高周波電流を流し、食器30の浜底面に設けた導電層31を発熱させて加熱を行うが、その際、導電層31とトレーとが近接しているため、導電層31の熱がトレーにも伝わる。その結果、トレーの導電層31と対向している部分が熱膨張し、トレーが歪んでしまうという問題点があった。
【0011】
本発明は、そのような問題点を解決すること、すなわち、トレー上に食器を載せて加熱を行っても、トレー全体が歪まないようにすることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の誘導加熱用トレーは、底部に導電層が設けられ、それぞれ異なる食材が盛り付けられた複数の食器が所定の位置に載置され、前記食器の位置に対応して設けられた誘導加熱コイルの上に置かれて加熱が行われる誘導加熱用トレーであって、前記食器が載置される部分の肉厚を他の部分より薄くしたことを特徴とする。このようにすると、トレー上に食器を載せて加熱を行っても、トレー全体は歪まなくなる。
【0013】
また、請求項2に記載の誘導加熱用トレーは、前記食器が載置される部分の裏面をその周囲部分より上方に凹ませたことを特徴とする。このようにすると、食器載置部の温度が高くなって膨張しても、食器載置部が下方へ変形できるだけの余裕ができ、かつ、食器載置部が誘導加熱コイルの熱を受けることがなくなる。
【0014】
また、請求項3に記載の誘導加熱用トレーは、トレー底面の周囲、及び、前記食器が載置される部分の裏面周囲に同一高さの環状突部を設けたことを特徴とする。このようにすると、トレーを棚板上に置いたとき、トレーの底面と棚板との間に空隙ができて空気の移動が可能になる。
【0015】
また、請求項4に記載の誘導加熱用トレーは、前記環状突部に通風用の切欠部を設けたことを特徴とする。このようにすると、切欠部を通して空気が出入りできるようになって、棚板とトレーとの間に熱がこもらなくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、配膳カートを示す図であり、図2は、その水平断面図である。図1,図2において、1はコントロールユニット収納部、2はコントロールパネル、3はヒンジ、4は扉、5は棚板、6はトレー、7は食器、8は蓋、9は側壁、10は中仕切、11は通気溝、12はルーバである。
【0017】
扉4は、側壁9に接する位置まで大きく回転でき、トレー6の出し入れをし易くしている。観音開きの扉4,4は、カートの前面と後面に設けられていて、前後からトレー6を出し入れできるようにしている。
【0018】
配膳カートの庫室は、中仕切10により左右に二分されており、また、縦方向は棚板5により区切られていて、複数の区画室が形成されている。各区画室には、それぞれに食材を盛り付けた食器を載せたトレー6が収納されるようにしている。図3に、トレーを取り出した状態の配膳カートの水平断面を示すように、棚板5の左右両側縁と後端縁には、上方に延びる周壁13が設けられており、内部には誘導加熱コイル14が複数埋め込まれている。
【0019】
そして、各区画室に収納されるトレー6は、棚板5の後端縁の周壁13と扉4により前後方向の位置が決められ、棚板5の左右両側縁の周壁13により左右方向の位置が決められて、棚板5の誘導加熱コイル14に対して常に一定の位置に載置される。トレー6の上には食器が所定の位置に載せられており、結局、それぞれの食器は、常に、各誘導加熱コイル14に対応した位置に配置される。
【0020】
図4は、トレーの平面図であり、図5は、トレー裏面を示す図である。図4,図5において、6aは主菜用食器載置部、6bは副菜用食器載置部、6cは御飯用食器載置部、6dは汁物用食器載置部、6eは食器の位置決め突起、6f,6h,6jは環状突部、6iは環状突部6hの通風用切欠部、6gはトレーの縁部である。各食器載置部6a〜6dには、それぞれに載置する食器の底部形状に対応させて複数の位置決め突起6eを設けてあり、食器の底部をそれらの間に載置することにより食器が常に一定の位置に位置決めされるようにしている。
【0021】
ここで、御飯用食器載置部6cを例にして食器載置部の構造を説明する。図6に、図4のもののA−A断面図を示すように、食器載置部の肉厚は他の部分より薄くなっている。例えば、食器載置部以外の部分の厚さが3mmのとき、食器載置部の厚さは、0.8〜2mm程度にする。そのようにした結果、それらに食器を載置して加熱したとき、食器載置部の温度が高くなって膨張しても食器載置部だけが変形し、トレー全体が歪んでしまうようなことがなくなる。
【0022】
また、加熱中、食器載置部の温度が高くなって膨張しても、食器載置部が下方へ変形できるだけの余裕を与え、かつ、食器載置部が棚板5を介して誘導加熱コイルの熱を受けることがないようにするため、食器載置部の裏面をその周囲部分より上方に凹ませて、下側に空間ができるようにしている。
【0023】
また、トレー6の底面には、トレー6の坐りを良くし、かつ、剛性を高くするため、底面全周に連続して高さ一定の環状突部6hを設けている。また、各食器載置部の裏側周囲にも環状突部6hと同じ高さの環状突部6jを設け、トレー6を棚板5上に置いたとき、トレー6の底面と棚板5との間に空隙ができるようにしている。そして、環状突部6hの複数箇所に通風用切欠部6iを設け、それを通して空気が出入りできるようにして、棚板5とトレー6との間に熱がこもらないようにしている。
【0024】
さらに、裏面外周部に複数のリブ6kを設けて、トレー6を使用して洗浄後、複数のトレー6を重ねたとき、隣接するトレーの間に隙間ができるようにして、空気が流れて乾燥が早くできるようにしている。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、次に記載するような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の誘導加熱用トレーは、底部に導電層が設けられ、それぞれ異なる食材が盛り付けられた複数の食器が所定の位置に載置され、前記食器の位置に対応して設けられた誘導加熱コイルの上に置かれて加熱が行われる誘導加熱用トレーであって、前記食器が載置される部分の肉厚を他の部分より薄くした。その結果、トレー上に食器を載せて加熱を行っても、トレー全体は歪まなくなる。
【0026】
また、請求項2に記載の誘導加熱用トレーは、食器が載置される部分の裏面をその周囲部分より上方に凹ませたので、食器載置部の温度が高くなって膨張しても、食器載置部が下方へ変形できるだけの余裕ができ、かつ、食器載置部が誘導加熱コイルの熱を受けることがなくなる。
【0027】
また、請求項3に記載の誘導加熱用トレーは、トレー底面の周囲、及び、前記食器が載置される部分の裏面周囲に同一高さの環状突部を設けたので、トレーを棚板上に置いたとき、トレーの底面と棚板との間に空隙ができて空気の移動が可能になる。
【0028】
また、請求項4に記載の誘導加熱用トレーは、環状突部に通風用の切欠部を設けたので、切欠部を通して空気が出入りできるようになって、棚板とトレーとの間に熱がこもらなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】配膳カートを示す図である。
【図2】配膳カートの水平断面図である。
【図3】トレーを取り出した状態の配膳カートの水平断面図である。
【図4】トレーの平面図である。
【図5】トレー裏面を示す図である。
【図6】図4のもののA−A断面図である。
【図7】従来の給食システムを示す図である。
【図8】従来の配膳カート用食器の断面図である。
【符号の説明】
1…コントロールユニット収納部
2…コントロールパネル
3…ヒンジ
4…扉
5…棚板
6…トレー
9…側壁
10…中仕切
11…通気溝
12…ルーバ
13…周壁
14…誘導加熱コイル
Claims (4)
- 底部に導電層が設けられ、それぞれ異なる食材が盛り付けられた複数の食器が所定の位置に載置され、前記食器の位置に対応して設けられた誘導加熱コイルの上に置かれて加熱が行われる誘導加熱用トレーであって、
前記食器が載置される部分の肉厚を他の部分より薄くしたことを特徴とする誘導加熱用トレー。 - 前記食器が載置される部分の裏面をその周囲部分より上方に凹ませたことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱用トレー。
- トレー底面の周囲、及び、前記食器が載置される部分の裏面周囲に同一高さの環状突部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の誘導加熱用トレー。
- 前記環状突部に通風用の切欠部を設けたことを特徴とする請求項3記載の誘導加熱用トレー。
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JP2001015257A (ja) * | 1999-06-30 | 2001-01-19 | Hitachi Hometec Ltd | 電磁誘導加熱装置 |
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