JP4471519B2 - 配膳カート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、病院や老人ホーム等において給食の加熱及び配膳を行うのに用いる配膳カートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
病院の入院患者用食事は、それぞれの患者の病状に合わせて多彩なメニューを用意する必要があるが、従来は、それぞれの病院内に厨房を設け、そこで病院自らが調理して提供するか、調理を外部の調理会社に依頼して提供するかしていた。
【0003】
しかし、そのように、それぞれの病院毎に調理を行うには、設備的及び人的に無駄が大きく非効率的である。そこで、それを解決するため、特許第2644187号公報(A47B 31/02)には、図5に示すような給食システムが提案されている。
【0004】
調理センター21では、複数の病院からの注文に応じて種々の料理が調理され、クックチル処理が施された後、食器と共にパックされる。それらパックされた料理は、クールワゴン24に収納された状態で配送用冷蔵冷凍車23に載せられて、それぞれの病院22に配送される。
【0005】
クールワゴン24が納品されたら、病院22では、クールワゴン24を引き続き冷蔵状態に保持しながら給食時刻まで待つ。そして、給食時刻が近づいたら、各患者に対応するメニューに従って、クールワゴン24から料理を取り出して、それぞれの患者毎にトレー27の上に配置し、それぞれ配膳カート25の所定の区画室26に収納する。
【0006】
配膳カート25では、それぞれの区画室26の中に、トレー27の上の各料理28に対応した位置に遠赤外線ヒータ29が設けられていて、それぞれのヒータがタイマーにより所定時間通電され、それぞれの料理28が最適な状態に加熱される。その状態で各病室に運んで行き、それぞれの患者に提供される。
【0007】
このようにすれば、それぞれの患者に合った料理を、設備的及び人的な無駄を削減しながら効率的に提供できる。しかし、料理の加熱を遠赤外線ヒータ29で行うのでは、料理をある程度温めることはできても、調理を行うことはできず、できたての料理を提供できない。
【0008】
そこで、本出願人は、先に、特願2001-18228として、誘導加熱を利用した配膳カートを提案した。その配膳カートは、各被給食者に対応するように複数の区画室を設け、各区画室の底面に誘導加熱コイルを埋設する。また、用いる食器の底部には導電層を設け、その食器に料理を盛り付け、それらをトレーに載せて上記区画室に収納する。その際、トレーを区画室内の所定の位置に保持するとともに、トレーの上面に位置決め部材を設けて、常に誘導加熱コイルに対向する位置に食器が配置されるようにする。そして、所定の時刻になったら前記誘導加熱コイルをオンにして前記導電層を発熱させて食器内の料理の調理を行うというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記配膳カートでは、各区画室に、それぞれトレー上の食器に対応した数の誘導加熱コイルがあり、カート全体では誘導加熱コイルが非常に大きな数になる。それらを一つのドライブ回路で同時に作動させると、一度に大量の電流がながれて電源設備の負担が大きくなりすぎ、また、各誘導加熱コイルに連続して電流を流すと食器の温度が急激に上昇して焦げ付きの原因になるという問題点があった。
【0010】
本発明は、そのような問題点を解決すること、すなわち、電源設備の負担を軽減するとともに、料理の焦げ付きを防止できるようにすることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の配膳カートは、各被給食者に対応するように設けられた複数の区画室と、各区画室の底面に埋設した誘導加熱コイルと、底部に導電層を有し、料理が盛り付けられて前記区画室に収納される食器と、前記誘導加熱コイルを作動させるドライブ回路と、前記ドライブ回路をオンオフさせて、一度に流れる電流を低く抑えて電源設備の負担を軽減させるコントロールユニットとを有する配膳カートであって、前記誘導加熱コイルを複数のグループにグループ分けし、それぞれのグループ毎にドライブ回路を設け、前記コントロールユニットは、それぞれのドライブ回路を交互にオンオフさせることを特徴とする。このようにすると、電源設備の負担が軽減されるとともに、食器の温度上昇が緩やかになって料理の焦げ付きを防止できる。
【0012】
また、請求項2に記載の配膳カートは、前記誘導加熱コイルのグループ分けを、前記区画室を単位にして行うことを特徴とする。このようにすると、同じドライブ回路を使って、その数を増減するだけで異なる区画数を有する配膳カートを簡単に設計できるようになる。
【0013】
また、請求項3に記載の配膳カートは、前記誘導加熱コイルのグループ分けを、前記区画室における誘導加熱コイルの位置に基づいて行うことを特徴とする。このようにすると、食材毎に加熱時間を調整することが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、配膳カートを示す図であり、図2は、その水平断面図である。図1,図2において、1はコントロールユニット収納部、2はコントロールパネル、3はヒンジ、4は扉、5は加熱プレート、6はトレー、7はキャスター、8はハンドル、9は側壁、10は中仕切、11はストッパ、12は通気溝、13はルーバである。
【0015】
扉4は、側壁9に接する位置まで大きく回転でき、トレー6の出し入れをし易くしている。観音開きの扉4,4は、カートの前面と後面に設けられていて、前後からトレー6を出し入れできるようにしている。
【0016】
配膳カートの庫室は、中仕切10により左右に二分されており、また、加熱プレート5により複数の区画室に区切られており、さらに、加熱プレート5の前後方向中央上面にストッパ11が突出するように設けられていて、1段に、食材を盛り付けた食器を載せたトレー6が4枚収納されるようにしている。図3に、トレーを取り出した状態の配膳カートの水平断面を示すように、加熱プレート5には、複数の誘導加熱コイル14が埋め込まれている。そして、各トレー6は、ストッパ11と扉4により前後方向の位置が決められ、側壁9と中仕切10とにより左右方向の位置が決められて、加熱プレート5の誘導加熱コイル14に対して常に一定の位置に載置される。
【0017】
庫室の上のコントロールユニット収納部1には、誘導加熱コイル14のオンオフを制御するコントロールユニット(図示せず)が収納されており、コントロールユニットは、コントロールパネル2により操作される。加熱する食材を盛り付ける食器には、底に銀ペーストの層が設けられており、誘導加熱コイルによりその銀ペーストに渦電流を誘起させて発熱させ、その熱で食器及びその中の食材を加熱する。
【0018】
調理センターで調理した各種料理を個人別にトレーに配置し、それらを配膳カートに収納して冷蔵車に積み込んで冷却しながら病院まで配送する。病院では、食事の時間になるまで冷蔵室に収納し、そこで冷却しながら保管しておき、時間になったら、誘導加熱コイルをオンにして料理を加熱する。加熱が完了した後、カートごと病室まで運んで配膳を行う。
【0019】
この配膳カートでは、冷蔵車の中、及び、冷蔵室の中では、配膳カートの中に冷蔵車や冷蔵室の冷気を直接取り込むことにより中の食材を冷却する。そのため、扉4は、庫室の周壁との間にパッキングを介在させずに当接させ、扉4を閉じた状態でも外部から庫室内に空気が流入できるようにしている。また、側壁9の内側に各区画室を縦に連通させる通気溝12を設け、さらに、中仕切10を中空にし、かつ、その壁にルーバ13を設けて、各区画室内に冷蔵庫の冷気が流れ易くしている。
【0020】
図4は、配膳カート内の制御システム図である。コントロールパネル2は、各種表示ランプ加熱時間を設定するための入力装置、設定時間を表示する表示器、及び、各種表示ランプ等を具えている。コントロールユニット15は、プログラムにより動作するタイマを内蔵しており、電源が投入された時からコントロールパネル2で設定された時間だけドライブ回路16〜19を作動させて、前記誘導加熱コイル16を加熱モードで稼動させ、その後、保温モードに切り換える。なお、ドライブ回路16〜19は、図2に示したように、それぞれ、各段四つに分かれている配膳カートの各縦一列の区画室の誘導加熱コイルを分担している。
【0021】
ドライブ回路16〜19を、例えばドライブ回路16,18とドライブ回路17,19の二つのグループに分けて、コントロールユニット15は、それぞれを交互にオンオフさせる。そのようにして、一度に流れる電流を低く抑えて電源設備の負担を軽減させる。また、そのように、それぞれのドライブ回路16,18とドライブ回路17,19を交互にオンオフさせても、加熱に用いる食器は磁器製であるため熱容量が大きく、オン期間に蓄積した熱によりオフ期間にも温度を維持することができる。むしろ、温度の急激な上昇を防止して料理の焦げ付きを防止できる。
【0022】
なお、上記実施形態では、誘導加熱コイルのグループ分けを、区画室を単位にして行うようにしたが、誘導加熱コイルのグループ分けを、各区画室における誘導加熱コイルの位置に基づいて行うこともできる。そのようにすれば、食材毎に加熱時間を調整することが可能になる。
【0023】
また、ドライブ回路とそれに接続される誘導加熱コイルは、固定した関係を持たせる必要があり、同じドライブ回路に対して、接続する誘導加熱コイルの数や大きさを変えると、安定した加熱ができなくなる。すなわち、1台のドライブ回路では、接続する誘導加熱コイルの数や大きさが固定され、配膳カートの設計が限定される。したがって、収容数が異なる種々の配膳カートを設計するには、それぞれに個別のドライブ回路を用意する必要があって効率が悪い。
【0024】
それに対して、本発明の配膳カートのように、同じドライブ回路と誘導加熱コイルを組み合わせてブロック化し、複数のブロックで1台の配膳カートを構成するようにすれば、ドライブ回路は1種類のみでも、ブロック数を変えることにより様々な大きさの配膳カートを簡単に設計できるようになる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、次に記載するような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の配膳カートは、誘導加熱コイルを複数のグループにグループ分けし、それぞれのグループ毎にドライブ回路を設け、それぞれのドライブ回路を交互にオンオフさせさせて、一度に流れる電流を低く抑えて電源設備の負担を軽減させるようにした。その結果、電源設備の負担が軽減されるとともに、食器の温度上昇が緩やかになって料理の焦げ付きを防止できる。
【0026】
また、請求項2に記載の配膳カートは、誘導加熱コイルのグループ分けを、区画室を単位にして行うようにしたので、同じドライブ回路を使って、その数を増減するだけで異なる区画数を有する配膳カートを簡単に設計できるようになる。
【0027】
また、請求項3に記載の配膳カートは、誘導加熱コイルのグループ分けを、区画室における誘導加熱コイルの位置に基づいて行うようにしたので、食材毎に加熱時間を調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】配膳カートを示す図である。
【図2】配膳カートの水平断面図である。
【図3】トレーを取り出した状態の配膳カートの水平断面図である。
【図4】配膳カート内の制御システム図である。
【図5】従来の配膳カートを冷蔵庫内に収納した状態を示す図である。
【符号の説明】
1…コントロールユニット収納部
2…コントロールパネル
3…ヒンジ
4…扉
5…加熱プレート
6…トレー
9…側壁
10…中仕切
11…ストッパ
12…通気溝
13…ルーバ
14…誘導加熱コイル
Claims (3)
- 各被給食者に対応するように設けられた複数の区画室と、各区画室の底面に埋設した誘導加熱コイルと、底部に導電層を有し、料理が盛り付けられて前記区画室に収納される食器と、前記誘導加熱コイルを作動させるドライブ回路と、前記ドライブ回路をオンオフさせるコントロールユニットとを有する配膳カートであって、
前記誘導加熱コイルを複数のグループにグループ分けし、それぞれのグループ毎にドライブ回路を設け、前記コントロールユニットは、それぞれのドライブ回路を交互にオンオフさせて、一度に流れる電流を低く抑えて電源設備の負担を軽減させることを特徴とする配膳カート。 - 前記誘導加熱コイルのグループ分けを、前記区画室を単位にして行うことを特徴とする請求項1記載の配膳カート。
- 前記誘導加熱コイルのグループ分けを、前記区画室における誘導加熱コイルの位置に基づいて行うことを特徴とする請求項1記載の配膳カート。
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