JP4573008B2 - ソレノイド駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソレノイドに流す励磁電流を目標値に保つように制御するソレノイド駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
所定の制御対象に機械的な変位を生じさせる場合にソレノイドが用いられている。ソレノイドは、可動鉄心と励磁コイルとを備えた電磁石で、励磁コイルに励磁電流を流すことにより、該励磁電流にほぼ比例した変位を可動鉄心に生じさせるものである。
【0003】
例えば、内燃機関の回転速度を指示速度に保つように制御する速度制御装置においては、内燃機関への燃料の供給量を調節する燃料供給量調節部材を操作する駆動源としてソレノイドを用いることが多い。
【0004】
ソレノイドは、その動作特性にヒステリシスを有していて、励磁電流の値をある値から一旦増加させた後減少させて同じ値に戻したときに、可動鉄心の位置が元の位置に戻らないという性質がある。そのため、ソレノイドを制御する場合には、そのヒステリシスを除去するために、所定の振幅を持って変化するディザ電流を励磁電流に重畳する必要がある。
【0005】
図8はソレノイドに流す励磁電流を目標値に保つように制御する従来のソレノイド駆動制御装置を示したもので、同図において1はソレノイド、2はソレノイド1に励磁電流を供給する直流電源としてのバッテリ、3はバッテリ2の電圧が電源スイッチ4を通して入力された定電圧電源回路である。定電圧電源回路3は、バッテリ2が出力する12[V]の電圧を8[V]の定電圧に変換する。
【0006】
5はpチャンネル形のMOSFET F1 からなる主スイッチ素子5aと、PNPトランジスタTR1 からなる制御用スイッチ5bとを備えたソレノイド駆動用スイッチ回路で、バッテリ2の出力電圧が電源スイッチ4とスイッチ回路5の主スイッチ素子5aとを通してソレノイド1に印加されている。スイッチ回路5の主スイッチ素子5aを構成するMOSFET F1 は、制御用スイッチ5bを構成するトランジスタTR1 がオフ状態にあるときにオン状態にあり、トランジスタTR1 がオン状態になったときにオフ状態になる。
【0007】
またRsはソレノイド1を流れる励磁電流Isを検出するために該ソレノイド1に対して直列に接続された電流検出用抵抗で、この電流検出用抵抗の両端には、励磁電流Isに比例した電圧値を有する電流検出信号Vsが得られる。この電流検出信号Vsは、定電圧電源回路3の出力電圧を電源電圧として動作する非反転増幅器7´に入力されている。
【0008】
増幅器7´は、演算増幅器OP1 と抵抗Ra,Rb及びR1 とコンデンサC1 とからなっていて、電流検出信号Vsを入力としてソレノイドの励磁電流に比例した大きさの電流検出信号Vs´を出力する。
【0009】
抵抗Ri,Ra及びRbの抵抗値をこれらの抵抗を示す符号と同じ符号で示し、乗算記号を*とすると、電流検出信号Vs´は、下記の式で与えられる。ここで電流検出用抵抗Rsの抵抗値は、0.1Ω程度の充分に小さい値に設定されている。
【0010】
Vs´={1+(Rb/Ra)}*(Rs*Is) …(1)
この電流検出信号Vs´を励磁電流Isに対して図示すると図9に示すようになり、電流検出信号Vs´は、励磁電流Isに対して直線的に変化する。電流検出信号Vo は加減算を行う演算器8の減算入力端子に与えられている。
【0011】
9はソレノイドの励磁電流Isの目標値を与える電圧値を有する指示信号Vinが入力される指示信号入力端子である。図示の例では、所定のPWM周波数(例えば5KHz)のパルスからなるPWM信号Vpが入力される端子9´が設けられていて、該PWM信号のデューティ比Df が励磁電流Isの目標値に比例するようになっている。
【0012】
PWM信号Vpは、低域通過フィルタ(LPF)10により直流電圧からなる指示信号Vinに変換されて指示信号入力端子9に与えられている。指示信号Vinは、演算器8の加算入力端子に入力されている。PWM信号Vpのデューティ比Df [%]とフィルタ10から出力される指示信号Vinとの関係を図示すると図10に示す通りであり、指示信号VinはPWM信号のデューティ比Df に対して直線的に変化する。
【0013】
11は三角波形のディザ信号Vdを出力するディザ信号発生回路(発振回路)で、この回路が出力する三角波形のディザ信号Vdは演算器8の減算入力端子に入力されている。演算器8のバランスをとるため、ディザ信号Vdの三角波の平均値に相当する電圧Vaが該演算器8の加算入力端子に入力されている。
【0014】
また指示信号Vinが零のときに、ディザ信号Vdの平均値Vaが目標値として残るのを防ぐため、指示信号Vinが零になったときに演算器8の出力を遮断する演算器出力遮断回路12が設けられている。
【0015】
演算器8は、ディザ信号Vdが重畳された指示信号Vinと電流検出信号Vo との偏差信号を出力する。この偏差信号は比例積分演算回路(PI演算回路)13に入力されて比例積分演算が施された後、PWM回路14に入力される。PWM回路14は、駆動回路5の制御用トランジスタ5bのベースに所定のデューティ比で断続するPWM周波数のパルス信号を与えて制御用トランジスタ5bをPWM周波数でオンオフさせ、これにより主スイッチ素子5aを構成するFETをオンオフさせて、電流検出信号Vo を直流指示信号Vinに一致させるように制御する。
【0016】
図8の制御装置において、指示信号(PWM信号)Vpのデューティ比Df とソレノイド1の励磁電流Isとの関係を示すと図11のようになる。
【0017】
図8の制御装置においては、ディザ信号Vdの振幅分だけ電流検出信号Vo が増減させられるため、ソレノイド1の励磁電流にディザ電流Idが重畳される。
ディザ回路から図12(A)に示すようなディザ信号Vdが与えられた場合、励磁電流Isは、図12(B)に示すように、ディザ信号Vdの上昇に伴って下降し、ディザ信号の下降に伴って上昇する波形となる。即ち、励磁電流Isの波形は、その目標値Ipに対してディザ信号Vdと逆位相の波形のディザ電流Idが重畳された波形となる。
【0018】
なお図8に示した例では、デューティ比が励磁電流の目標値に等しいPWM信号Vpの形で励磁電流の目標値を与えて、該PWM信号を直流電圧に変換することにより指示信号を得るようにしているが、指示信号Vinを初めから直流電圧の形で指示信号入力端子9に与えるようにしても良い。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示した従来のソレノイド駆動制御装置においては、ディザ信号Vdの周波数及び振幅が一定であったため、ソレノイドのコイルのインダクタンスや、励磁電流Isの目標値によっては、目標とするディザ電流Idを流すことができないという問題があった。
【0020】
図13(A)は、ディザ回路から与えられるディザ信号Vdを示し、同図(B)は、ソレノイドのコイルのインダクタンスが大きく、励磁電流の目標値Ipが小さいときの励磁電流Isの波形を示している。このように、ソレノイドのコイルのインダクタンスが大きく、励磁電流の目標値が小さい場合には、ディザ信号Vdの下降に追従して励磁電流Isを上昇させる過程では駆動回路のスイッチ素子5aを所定のデューティ比でオンオフ制御して励磁電流をPWM制御するが、ディザ信号の上昇に追従して励磁電流を減少させる過程では、ソレノイドのコイルの大きなインダクタンスのために、励磁電流がなかなか減少しないため、PWM制御回路は、デューティ比を0%として、駆動回路の主スイッチ素子5aをオフ状態に保持する。PWM制御のデューティ比が0%となる過程では、駆動回路の主スイッチ素子5aがオフ状態に保たれるため、ソレノイド1の励磁電流は制御されず、ソレノイドのコイルのインダクタンスと回路の抵抗とにより決まる減衰定数にしたがって減衰していく。
【0021】
また図13(C)は、励磁電流の目標値が定格値よりも大きな値に設定された場合を示している。この場合には、励磁電流が定格値に達すると、それ以上は励磁電流を流すことができないため、PWM回路は、デューティ比を100%として励磁電流を増加させようとするが、励磁電流は飽和してしまう。ディザ信号の上昇に追従して励磁電流を減少させる過程では、励磁電流のPWM制御が行われる。ディザ周波数を高くし、ディザ電流を大きくした場合には、制御できない励磁電流の範囲が更に広くなる。
【0022】
図14は、従来の定電流制御装置によりソレノイドを制御した場合の、励磁電流Isとディザ電流Idとの関係を示したもので、励磁電流Isの目標値がIs1〜Is2の範囲にあるときには、目標とするディザ電流Id1を流すことができるが、励磁電流の目標値が臨界値Is1未満のとき及びIs2を超えるときには、目標とするディザ電流Id1を流すことができない。またディザ電流の目標値を図示のId2(>Id1)のように増大させると、目標とするディザ電流を流すことができる励磁電流の範囲が大電流域に移行し、励磁電流の目標値がIs1´(>Is1)以上にならないと、目標とするディザ電流を流すことができなくなる。
【0023】
上記のように、従来の定電流制御装置では、励磁電流の目標値が極めて小さいときや、定格値よりも大きいときに、ディザ信号に応答して励磁電流が制御できない期間が生じるため、ディザ電流が不足し、ソレノイドのヒステリシス特性を除去することができなくなるという問題があった。
【0024】
また従来の定電流制御装置では、PWM制御を採用していたため、PI演算回路や、PWM回路を必要とする上に、ディザ回路11、平均電圧Vaを与える回路、及び演算器出力遮断回路12を設ける必要があったため、回路構成が複雑になるという問題があった。
【0025】
本発明の目的は、ソレノイドの励磁電流の全範囲で必要とするディザ電流を流すことができるようにしてソレノイドのヒステリシスを除去することができるようにしたソレノイド駆動制御回路を提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、簡単な回路構成で、ソレノイドの励磁電流を制御してヒステリシスがない制御特性を得ることができるようにしたソレノイド駆動制御回路を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は、オン指令信号が与えられているとき及びオフ指令信号が与えられているときにそれぞれオン状態及びオフ状態になるスイッチ素子を有して直流電源からスイッチ素子を通してソレノイドに励磁電流を流すソレノイド駆動用スイッチ回路と、ソレノイドの励磁電流の目標値(平均値)を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、ソレノイドを通して流れる励磁電流を検出して検出した励磁電流に比例した電圧を電流検出信号として出力する電流検出手段と、この電流検出手段により検出される励磁電流と指示信号により与えられる励磁電流の目標値との偏差を零にするようにソレノイド駆動用スイッチ回路を制御するスイッチ制御回路とを備えたソレノイド駆動制御装置を対象とする。
本発明においては、上記スイッチ制御回路が、電流検出信号を入力として該電流検出信号に相応した平均値を有する電圧信号を演算出力信号として出力する演算器と、指示信号と演算出力信号とを比較して、演算出力信号のレベルが指示信号のレベル以下のときにスイッチ回路にオン指令信号を与え、演算出力信号のレベルが指示信号のレベルを超えているときにスイッチ回路にオフ指令信号を与える比較器と、該比較器がオフ指令信号を発生したときに、ソレノイドのヒステリシスを除去するために励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相当する分だけ演算出力信号を上昇させ、比較器がオン指令信号を発生したときに、ディザ電流の振幅の1/2に相当する分だけ演算出力信号を下降させるべく、比較器の出力に応じて電圧レベルが変化するディザ成分生成用信号を発生して、該ディザ成分生成用信号を演算器に入力するディザ成分生成用信号発生回路とを備えている。
上記のように構成すると、励磁電流の平均値が目標値以下のときに比較器がスイッチ回路にオン指令信号を与えるため、スイッチ回路がオン状態になって、ソレノイドに励磁電流を流す。また励磁電流の平均値が目標値を超えると、比較器がスイッチ回路にオフ指令信号を与えるため、該スイッチ回路がオフ状態になって、励磁電流を減衰させる。これらの動作の繰り返しにより、励磁電流がほぼ目標値に保たれる。このように、本発明では、PI演算回路や、PWM回路を必要とせず、また、平均電圧Vaを与える回路や演算器出力遮断回路を設ける必要がないため、装置の構成を簡単にすることができる。
【0028】
また上記のように、比較器の出力の変化に応じて電圧レベルが変化するディザ成分生成用信号を演算器に入力することにより比較器に入力する演算出力信号を変化させて、ディザ成分を生成するようにすると、外部から与えられるディザ信号に追従して励磁電流を変化させる必要がないため、励磁電流を制御し得る範囲の全領域で、励磁電流の目標値がいかなる場合でも、またソレノイドのコイルのインダクタンスが大きい場合でも、常に所定の振幅のディザ電流を流すことができる。
【0029】
また、上記のように、比較器の出力の変化に応じて電圧レベルが変化するディザ成分生成用信号を演算器に入力することにより比較器に入力する演算出力信号を変化させて、ディザ成分を生成するようにした場合には、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2以下になると、比較器がオフ指令信号を発生したままの状態になり、励磁電流が遮断される。したがって、励磁電流の目標値を零にしたときに励磁電流が残留するのを防ぐために従来必要とした電流遮断回路を省略することができる。
【0030】
上記演算器としては、第1の加算入力端子と第2の加算入力端子と減算入力端子とを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力するものを用いるのが好ましい。
【0031】
この場合、比較器がオフ指令信号を出力しているときに一定レベルの直流電圧からなるディザ成分生成用信号を発生し、比較器がオン指令信号を出力しているときにディザ成分生成用信号の発生を停止するディザ成分生成用信号発生回路を設けて、演算器の第1の加算入力端子及び第2の加算入力端子にそれぞれ電流検出信号及びディザ成分生成用信号を入力し、減算入力端子に一定の直流電圧を入力する構成とするのが好ましい。
【0032】
上記ディザ成分生成用信号発生回路は、比較器の出力を反転させる反転回路(インバータ回路)により構成することができる。
【0033】
上記のように、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2以下になったときに励磁電流を遮断するように構成した場合には、ディザ電流の振幅を大きく設定したときに、励磁電流を制御できる範囲の下限値が大きくなって、励磁電流を小電流域で制御することができなくなるという問題が生じる。
【0034】
このような問題を解消するためには、コンデンサと、比較器がオフ指令信号を出力しているときに定電圧電源回路の出力電圧でコンデンサを一定の時定数で充電する充電回路と、比較器がオン指令信号を発生しているときにコンデンサの電荷を放電させる放電回路とを備えて、比較器がオフ指令信号を出力しているときにはコンデンサの両端の電圧に相応したレベルを示し、比較器がオン指令信号を出力しているときには定電圧電源回路の出力電圧とほぼ等しいレベルを示す制御用電圧を出力する制御用電圧発生回路と、制御用電圧を入力として、該制御用電圧が定電圧電源回路の出力電圧よりも低い値に設定されたしきい値未満のときに高レベルを示し、制御用電圧がしきい値に達したときに零レベルに立ち下がるディザ成分生成用信号を出力するディザ成分生成用信号発生回路とを設けて、加減演算器の第1の加算入力端子及び第2の加算入力端子にそれぞれ電流検出信号及びディザ成分生成用信号を入力するとともに、減算入力端子に定電圧電源回路の出力電圧を入力する構成とするのが好ましい。
【0035】
この場合、コンデンサの充電時定数は、コンデンサを該時定数で充電したときに制御用電圧がしきい値に達するまでの時間を、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2に等しいときに励磁電流が目標値まで減衰するのに要する時間よりも僅かに長くするように設定する。
【0036】
このように構成すると、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2以下になった場合でも、制御用電圧がしきい値に達した時点でディザ成分生成用信号を零レベルにして、演算出力信号のレベルを指示信号よりも低いレベルに低下させることができるため、比較器からオン指令信号を発生させて、励磁電流を流すことができる。したがって、励磁電流を小電流域まで制御できるようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係わるソレノイド駆動制御装置の構成例を示したもので、同図において、1は励磁コイル1aと可動鉄心1bとを備えて、可動鉄心が励磁コイルに流れる励磁電流に比例して変位するソレノイド、2は直流電源としてのバッテリー、3はバッテリ2の出力電圧がスイッチ4を通して入力された定電圧電源回路である。この例では、ソレノイド1が、内燃機関の回転速度を指示速度に保つように制御するために機関の燃料供給量調節部材(例えばスロットルレバー)を操作するアクチュエータとして用いられることを想定している。
【0038】
ソレノイドが内燃機関の付属機器を操作するために用いられる場合、バッテリ2は、機関に取り付けられた磁石発電機の出力により充電回路を通して充電される。そのため、バッテリ2の出力電圧は定格電圧(この例では12V)を中心にしてある程度変動する。定電圧電源回路3は、バッテリー1の出力電圧を定電圧VE (図示の例では8V)に変換して、制御回路の各部に供給する。定電圧電源回路3の入力端子間及び出力端子間にはそれぞれツェナーダイオードZD1 及び電源コンデンサC2 が接続されている。
【0039】
なおスイッチ4は手動スイッチでもよく、キースイッチ等の手動スイッチが閉じられたときに励磁されるリレーの常開接点等であってもよい。
【0040】
5はバッテリ2からソレノイド1のコイル1aに流れる電流をオンオフするソレノイド駆動用スイッチ回路で、このスイッチ回路は、励磁電流をオンオフする主スイッチ素子5aと、該主スイッチ素子をオンオフ制御する制御用スイッチ5bとを備えている。図示の主スイッチ素子5aは、pチャンネル形のMOSFET F1 からなっていて、そのソースがバッテリ2の正極側出力端子にスイッチ4を通して接続され、ドレインはソレノイドの励磁コイル1aの一端に接続されている。FET F1 のソースゲート間には、該FETのソースゲート間電圧を制限するための保護用ツェナーダイオードZD2 がそのアノードをFETのゲート側に向けて接続されている。制御用スイッチ素子5bはPNPトランジスタTR1 からなっていて、該トランジスタTR1 のエミッタがFET F1 のソースに接続され、コレクタが抵抗R2 を通してFET F1 のゲートに接続されている。トランジスタTR1 のコレクタは抵抗R3 を通して接地されている。このスイッチ回路5においては、トランジスタTR1 がオフになっている状態で、FET F1 のソースドレイン間にバッテリの電圧が印加されたときに、該FET(主スイッチ素子)がオン状態になり、トランジスタTR1 がオン状態になったときにFET F1 がオフ状態になる。
【0041】
このスイッチ回路5においては、トランジスタTR1 のベースにつながる端子5A が制御入力端子となっていて、該制御入力端子にオン指令信号が与えられたとき及びオフ指令信号が与えられたときにそれぞれ主スイッチ素子5aがオン状態及びオフ状態になる。
【0042】
図示の例では、制御用スイッチ5bを構成するトランジスタTR1 としてPNP形のものが用いられているため、該トランジスタはそのベースの電位が零レベル(アース電位)にあるときにオン状態になり、そのベースの電位がアースに対して高レベルにされたときにオフ状態になる。したがって、この例では、制御入力端子5A に与えるオン指令信号を零レベルの信号とし、オフ指令信号を高レベルの信号とする。
【0043】
ソレノイドの励磁コイル1aの他端は電流検出用抵抗Rsを通して接地され、励磁コイル1aと電流検出用抵抗Rsとの直列回路に対して並列に、アノードを接地側に向けたフライホイールダイオードD1 が接続されている。
【0044】
電流検出用抵抗Rsは0.1Ω程度の十分小さな抵抗値を有する抵抗器からなっていて、その両端にはソレノイドの励磁電流Isに比例した電流検出信号(電圧信号)Vsが発生する。この例では、電流検出用抵抗Rsにより、ソレノイド1を通して流れる励磁電流を検出して、検出した励磁電流に比例した電圧を電流検出信号として出力する電流検出手段が構成されている。
【0045】
電流検出信号Vsは、演算器7に入力されている。演算器7は、演算増幅器OP1 と抵抗R1 及びRa〜RdとコンデンサC1 とからなる加減演算器で、第1の加算入力端子7aと、第2の加算入力端子7bと、一つの減算入力端子7cと、一つの出力端子7dとを有している。図示の演算器7において、同じ符号が付けられた抵抗(例えばRaとRa)は同一の抵抗値を有している。
【0046】
なお図においては、演算器の構成を分かり易くするために、抵抗RaとRc及びRbとRdを分けて図示しているが、互いに並列に接続された抵抗RaとRcは、実際の回路では、両抵抗の並列合成値に等しい抵抗値を有する1つの抵抗で置き換えられる。同様に、互いに並列に接続された抵抗RbとRdも両抵抗の並列合成値に等しい抵抗値を有する1つの抵抗で置き換えられる。
【0047】
図示の演算器7は、第1の加算入力端子7aに入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子7bに入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から減算入力端子7cに入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号Vo として出力する。
【0048】
演算器7の第1の加算入力端子7aには電流検出信号Vsが入力され、第2の加算入力端子7bには後記するディザ成分生成用信号Vbが入力されている。また減算入力端子7cには定電圧回路3が出力する定電圧VE が入力され、演算器の出力端子7dから得られる演算出力信号Vo は電圧比較器CP1 の反転入力端子に入力されている。
【0049】
この例でも、デューティ比が励磁電流の目標値に等しいPWM信号Vpが入力される入力端子9´が設けられていて、この入力端子に与えられるPWM信号が低域通過フィルタ10により指示信号(直流電圧)Vinに変換される。この指示信号Vinは、指示信号入力端子9を通して比較器CP1 の非反転入力端子に入力されている。
【0050】
比較器CP1 の出力端子は、スイッチ回路5の制御入力端子5A に接続されるとともに、反転回路(インバータ)INV1 の入力端子に接続され、該インバータINV1 から出力されるディザ成分生成用信号Vbが演算器7の第2の加算入力端子7bに入力されている。
【0051】
比較器CP1 の図示しない電源端子には、定電圧電源回路3から定電圧VE が印加されている。比較器CP1 の出力端子の電位Vcは、演算出力信号Vo のレベルが指示信号Vinのレベル以下のときに高レベル(=定電圧VE )を示し、演算出力信号Vo のレベルが指示信号Vinのレベルを超えたときに零レベル(アース電位)を示す。反転回路INV1 の出力Vbは、比較器CP1 の出力がVE のときに0となり、比較器CP1 の出力が0のときにVE となる。
【0052】
本発明においては、この反転回路INV1 の出力Vbをディザ成分生成用信号として演算器7に入力することにより、信号Vbのレベル変化に応じて演算出力信号Vo を変化させ、これにより励磁電流Isを変化させて、該励磁電流にディザ電流を重畳する。
【0053】
図1に示したソレノイド駆動制御装置において、演算器7の抵抗Ra〜Rdの抵抗値をそれぞれの抵抗を示す符号と同じ符号で表すと、演算器7が出力する演算出力信号Vo は下記の式で与えられる。
【0054】
Vo =(Rb/Ra)*Vs+(Rb/Rc)*Vb−(Rb/Rd)*VE
…(2)
前記第1の電圧は、(2)式の右辺の第1項(Rb/Ra)*Vsであり、Rb/Raが第1の係数である。この第1の電圧(Rb/Ra)*Vsは電流検出信号Vsに相応した成分である。
【0055】
また前述の第2の電圧及び第3の電圧はそれぞれ、(2)式の右辺の第2項及び第3項であり、Rb/Rc及びRb/Rdがそれぞれ第2の係数及び第3の係数である。
【0056】
ここで、第2の電圧と第3の電圧との差(Rb/Rc)*Vb−(Rb/Rd)*VE は、比較器CP1 の出力レベルの変化(VE または0)に応じて、励磁電流に重畳されるディザ電流の振幅Idの1/2に相当するディザ成分である。
本発明においては、上記第2の電圧と第3の電圧との差の電圧がソレノイドの励磁電流に重畳するディザ電流の振幅Idの1/2に相応する大きさとなるように、第2の係数Rb/Rc及び第3の係数Rb/Rdを設定する。
【0057】
第2の電圧と第3の電圧との差の電圧は、Vb=VE のときに(Rb/Rc)*VE −(Rb/Rd)*VE となり、Vb=0のときに−(Rb/Rd)*VE になる。ここで(Rb/Rc)=2(Rb/Rd)となるように抵抗値を設定すると、第2の電圧と第3の電圧との差の電圧は、Vb=VE のとき及びVb=0のときに、それぞれ+(Rb/Rd)*VE 及び−(Rb/Rd)*VE となり、第2の電圧と第3の電圧との差の絶対値がディザ電流の振幅の1/2に相当する値になる。ここでディザ成分をVD /2=(Rb/Rd)*VE とおくと、演算出力信号Vo は、電流検出信号に相応した値(Rb/Ra)*Vsを平均値として、±VD /2だけ上下に変化する信号となる。
【0058】
図2(A)は励磁電流Isが目標値Ii (指示信号Vinにより与えられる。)に一致しているときの演算出力信号Vo を時間tに対して示し、同図(B)は比較器CP1 の出力電圧Vcの変化を示している。また図2(C)及び(D)はそれぞれディザ成分生成用信号Vb及び励磁電流Isの変化を示している。
【0059】
これらの図から明らかなように、励磁電流Isが目標値Ii よりもId/2(VD /2に相当する値)だけ増加して、演算出力信号Vo が指示信号Vinのレベルを超えたときに比較器CP1 の出力電圧Vcが0になり、ディザ成分生成用信号VbがVE に立ち上がる。ディザ成分生成用信号VbがVE に立ち上がることにより、演算出力信号Vo が+VD /2だけ上昇する。このときスイッチ回路5のスイッチ素子5aはオフ状態にされるため、ソレノイド1が電源から切り離される。そのためソレノイドの励磁電流IsはフライホイールダイオードD1 を通して流れ、一定の割合で減衰していく。この励磁電流Isの減少に伴って演算出力信号Vo も減少していく。励磁電流Isが目標値Ii (指示信号Vinにより与えられる。)よりも更にId/2だけ減少すると、比較器CP1 の出力電圧VcがVE に上昇するため、トランジスタTR1 がオフ状態になり、FET F1 がオン状態になってバッテリ2からソレノイド1に励磁電流が供給される。またこのときディザ成分生成用信号Vbが0になるため、演算出力信号Vo は演算出力信号Vo に対して−VD /2だけ変化する。これらの動作により、励磁電流Isは、目標値Ii を中心にしてディザ成分Id/2だけ上下に変化することになり、該励磁電流に振幅Idのディザ電流が重畳される。
【0060】
図1の制御装置においては、反転回路INV1 により、比較器CP1 がオフ指令信号を発生したときに、ソレノイド1のヒステリシスを除去するために励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相当する分だけ演算出力信号Vo を上昇させ、比較器CP1 がオン指令信号を発生したときに、ディザ電流の振幅の1/2に相当する分だけ演算出力信号を下降させるべく、比較器CP1 の出力に応じて電圧レベルが変化するディザ成分生成用信号を発生して、該ディザ成分生成用信号を演算器7に入力するディザ成分生成用信号発生回路が構成されている。
【0061】
また、演算器7と、比較器CP1 と、ディザ成分生成用信号発生回路(INV1 )とによって、電流検出手段(抵抗Rs)により検出される励磁電流と指示信号Vinにより与えられる励磁電流の目標値との偏差を零にするようにソレノイド駆動用スイッチ回路を制御するスイッチ制御回路が構成されている。
【0062】
図1に示した制御装置によれば、比較器の出力の変化を検出してディザ電流を発生させるため、図3に示すように、比較器による制御動作が行われる全領域において目標値Id1に等しいディザ電流Idを流して、ソレノイドのヒステリシスを除去することができる。なお図3において破線で示した特性は、図14に示した従来の制御装置の特性を示している。
【0063】
また本発明によれば、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2に相当する大きさ以下のときには、比較器CP1 がオン指令信号を発生しないので、従来の制御装置で必要とした電流遮断回路12は不要になる。
【0064】
上記のように、図1に示した制御装置では、励磁電流の目標値がディザ信号の振幅の1/2以下になる範囲で、励磁電流を流すことができない。ディザ電流の振幅が小さい場合には、これでも問題がないが、励磁電流の目標値がディザ信号の振幅の1/2以下になったときに励磁電流を流すことができないと、ディザ電流の目標値が大きい場合に制御し得る励磁電流の下限値が大きくなり、制御できる励磁電流の範囲が狭くなり過ぎるおそれがある。この問題を解決できる本発明の実施形態を図4に示した。
【0065】
図4に示した制御装置では、比較器CP1 の出力端子にダイオードD2 のカソードが接続され、該ダイオードD2 のアノードにコンデンサC3 の一端と、定電圧電源回路3の正極性側の出力端子に一端が接続された抵抗R5 の他端とが接続されている。コンデンサC3 の他端と定電圧電源回路3の正極性側の出力端子との間に抵抗R6 とアノードをコンデンサC3 側に向けたダイオードD3 とが並列に接続されている。またコンデンサC3 の他端とアース間の電圧が制御用電圧Vtとしてディザ成分生成用信号発生回路を構成する反転回路INV1 に入力され、該反転回路の出力が演算器7の第2の加算入力端子7bに入力されている。その他の構成は図1に示した制御装置と同様である。
【0066】
図4に示したソレノイド駆動制御装置において、演算出力信号Vo のレベルが指示信号Vinのレベルを超えて、比較器CP1 の出力端子の電位がアース電位になる(オフ指令信号が発生する)と、定電圧電源回路3の出力で抵抗R6 とコンデンサC3 とダイオードD2 と比較器CP1 の出力段とを通して電流が流れ、コンデンサC3 が一定の時定数で充電される。このときコンデンサC3 の電荷の一部は、ダイオードD3 と抵抗R5 とを通して放電する。演算出力信号Vo のレベルが指示信号Vinのレベル以下になって比較器CP1 の出力が高レベルになる(オン指令信号が発生する)と、コンデンサC3 の充電が停止し、該コンデンサC3 の電荷は、ダイオードD3 と抵抗R5 とを通して放電していく。そのため、コンデンサC3 の他端とアース間に得られる制御用電圧Vtは、比較器CP1 がオフ指令信号を出力しているときにコンデンサC3 の両端の電圧に相応したレベルを示し、比較器CP1 がオン指令信号を出力しているときに定電圧電源回路3の出力電圧とほぼ等しいレベルを示す電圧となる。
【0067】
反転回路INV1 は、上記制御用電圧Vtを入力として、制御用電圧Vtが定電圧電源回路の出力電圧よりも低い値に設定されたしきい値Vth未満のときに高レベルを示し、制御用電圧がしきい値に達したときに零レベルに立ち下がるディザ成分生成用信号を出力する。
【0068】
コンデンサC3 の充電時定数は、コンデンサC3 を該時定数で充電したときに制御用電圧Vtがしきい値Vthに達するまでの時間を、励磁電流Isの目標値がディザ電流の振幅の1/2に等しいときに、スイッチ回路5がオン状態になって励磁電流Isが流れ始めた後該励磁電流が目標値Ii まで減衰するのに要する時間(図5の時間Ti)よりも僅かに長くするように設定する。
【0069】
図4に示した制御装置において、図5(A)に示すように、指示信号Vi のレベルを時間tの経過に伴って暫減させたとする。このとき、演算出力信号Vo 、比較器CP1 の出力Vc、制御用電圧Vt、ディザ成分生成用信号Vb及び励磁電流Isの波形はそれぞれ図5(B)ないし(F)のようになる。
【0070】
図5に示した例では、時刻t2 で指示信号Vinのレベルが励磁電流のディザ電流の振幅Idの1/2に相当する値Vi1以下になっている。励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2よりも小さくなると、比較器CP1 の出力Vcが零レベルを保持したまま(オフ指令信号を発生したまま)となるが、このときコンデンサC3 の両端の電圧の上昇により時刻t3 で制御用電圧Vtが反転回路INV1 のしきい値Vthに達するため、該反転回路INV1 が反転動作をしてその出力を零レベルにし、ディザ成分生成用信号Vbを零レベルにする。これにより比較器CP1 の出力Vcが高レベルになるため、スイッチ回路の主スイッチ素子5aがオン状態になり、バッテリ2からソレノイド1に励磁電流が供給される。
【0071】
このように、図4に示した構成によれば、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2以下になった場合でも、制御用電圧Vtがしきい値に達した時点でディザ成分生成用信号Vbを零レベルにして、演算出力信号Vo のレベルを指示信号Vinよりも低いレベルに低下させることができるため、比較器からオン指令信号を発生させて、励磁電流Isを流すことができ、ディザ電流の振幅の1/2以下の小電流域まで励磁電流を制御することができる。
【0072】
図4に示した例では、定電圧電源回路3−抵抗R5 −コンデンサC3 −ダイオードD2 −比較器CP1 の出力段−アース回路−定電圧電源回路3の回路により、比較器CP1 がオフ指令信号を出力しているとき(比較器の出力端子の電位がアース電位にあるとき)に定電圧電源回路3の出力電圧でコンデンサC3 を一定の時定数で充電する充電回路が構成されている。またコンデンサC3 −ダイオードD3 −抵抗R5 −コンデンサC3 の回路により、比較器が前記オン指令信号を発生しているときに前記コンデンサの電荷を放電させる放電回路が構成され、コンデンサC3 と、上記充電回路及び放電回路とにより、比較器CP1 がオフ指令信号を出力しているときにコンデンサC3 の両端の電圧に相応したレベルを示し、比較器CP1 がオン指令信号を出力しているときに定電圧電源回路3の出力電圧とほぼ等しいレベルを示す制御用電圧Vtを出力する制御用電圧発生回路が構成されている。
【0073】
図1に示した例では、制御用スイッチ5bをPNPトランジスタTR1 により構成したが、図6に示すように、NPNトランジスタTR1 ´により制御用スイッチ5bを構成することもできる。この場合には、指示信号Vinを比較器CP1 の反転入力端子に入力し、演算出力信号Vo を比較器CP1 の非反転入力端子に入力する。また演算器7の第1の加算入力端子7aに電流検出信号Vsを入力し、第2の加算入力端子7b及び減算入力端子7cにそれぞれ定電圧電源回路の出力電圧VE 及びディザ成分生成用信号Vbを入力する。
【0074】
同様に、図4に示した制御装置においても、NPNトランジスタにより制御用スイッチ5bを構成することができる。図4に示した制御装置において、制御用スイッチ5bとしてNPNトランジスタTR1 ´を用いた場合の構成を図7に示した。
【0075】
上記の各実施形態では、ソレノイド駆動用スイッチ回路5の主スイッチ素子5aとしてpチャンネル形のMOSFETを用いたが、該主スイッチ素子5aをオンオフ制御が可能な他のスイッチ素子により構成することもできる。
【0076】
図1に示したソレノイド駆動制御装置において、主スイッチ素子5aとしてPNPトランジスタTRo を用いた場合の制御装置の構成を図15に示し、図4に示したソレノイド駆動制御装置において、主スイッチ素子5aとしてPNPトランジスタを用いた場合の構成を図16に示した。図15及び図16に示したソレノイド駆動制御装置の動作は、それぞれ図1及び図4に示した制御装置の動作と同様である。
【0077】
更に、図15及び図16に示した制御装置において、トランジスタTR1 をNPNトランジスタで置き換えることもできる。
【0078】
ここで、図1,図6に示した制御装置、図4,図7に示した制御装置、及び図15,図16に示した制御装置の構成を要約すると下記の通りである。
【0079】
(1)図1に示した制御装置は、直流電源2の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路3と、ソースが直流電源2の正極性側の出力端子に接続されドレインがソレノイドのコイルの一端に接続されたpチャンネル形のMOSFETF1 と、FETのソース及びゲートにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたPNPトランジスタと、ソレノイド1のコイルの他端と直流電源の負極性側の出力端子との間に接続された電流検出用抵抗Rsと、ソレノイド1のコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードD1 と、目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子9と、第1の加算入力端子7aと第2の加算入力端子7bと減算入力端子7cとを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器7と、非反転入力端子及び反転入力端子にそれぞれ前記指示信号及び演算出力信号が入力され、出力端子が前記PNPトランジスタのベースに接続された電圧比較器CP1 と、電圧比較器CP1 の出力端子と接地間の電圧を反転する反転回路INV1 とを備えている。そして、演算器7の第1の加算入力端子7a及び第2の加算入力端子7bにそれぞれ電流検出用抵抗Rsの両端に得られる電流検出信号Vs及び反転回路の出力信号Vbが入力されるとともに、減算入力端子7cに定電圧電源回路3の出力電圧VE が入力され、第2の電圧と第3の電圧との差の電圧がソレノイド1のヒステリシスを除去するために励磁電流Isに重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、第2の係数と第3の係数とが設定されている。
【0080】
(2)図6に示したソレノイド駆動制御装置は、直流電源(バッテリ)2の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路3と、ソースが直流電源の正極性側の出力端子に接続されドレインがソレノイドのコイルの一端に接続されたpチャンネル形のMOSFET F1 と、FET F1 のソース及びゲートにそれぞれコレクタ及びエミッタが接続されたNPNトランジスタTR1 ´と、ソレノイド1のコイルの他端と直流電源の負極性側出力端子との間に接続された電流検出用抵抗Rsと、ソレノイドのコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードD1 と、目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、第1の加算入力端子7aと第2の加算入力端子7bと減算入力端子7cとを有して、第1の加算入力端子7aに入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子7bに入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から減算入力端子7cに入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号Vo として出力する演算器7と、反転入力端子及び非反転入力端子にそれぞれ指示信号Vin及び演算出力信号Vo が入力され、出力端子がNPNトランジスタTR1 のベースに接続された電圧比較器と、電圧比較器CP1 の出力端子と接地間の電圧を反転する反転回路INV1 とを備えている。そして、演算器7の第1の加算入力端子7a及び第2の加算入力端子7bにそれぞれ電流検出用抵抗Rsの両端に得られる電流検出信号Vs及び定電圧電源回路の出力電圧VE が入力されるとともに、減算入力端子7cに反転回路INV1 の出力信号が入力され、第2の電圧と第3の電圧との差の電圧がソレノイドのヒステリシスを除去するために前記励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、第2の係数と第3の係数とが設定されている。
【0081】
(3)図4に示した制御装置は、直流電源の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路3と、ソースが直流電源の正極性側の出力端子に接続されドレインがソレノイドのコイルの一端に接続されたpチャンネル形のMOSFET F1 と、FETのソース及びゲートにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたPNPトランジスタTR1 と、ソレノイドのコイルの他端と前記直流電源の負極性側の出力端子との間に接続された電流検出用抵抗Rsと、ソレノイド1のコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードD1 と、目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子9と、第1の加算入力端子7aと第2の加算入力端子7bと減算入力端子7cとを有して、第1の加算入力端子7aに入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子7bに入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から減算入力端子7cに入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号Vo として出力する演算器7と、非反転入力端子及び反転入力端子に指示信号Vin及び演算出力信号Vo が入力されるとともに、出力端子がPNPトランジスタTR1 のベースに接続された電圧比較器CP1 と、定電圧電源回路3の正極性側の出力端子に充電用抵抗R6 を通して一端が接続されるとともに、他端が比較器の出力端子にダイオードD2 を通して接続されて、比較器CP1 の出力端子の電位が接地電位にあるときに定電圧電源回路3の出力電圧により一定の時定数で充電されるコンデンサC3 と、コンデンサC3 の一端と接地間の電圧が入力されて、入力電圧が所定のしきい値を超えたときに反転動作を行う反転回路とを備えている。そして、演算器7の第1の加算入力端子7a及び第2の加算入力端子7bにそれぞれ電流検出用抵抗の両端に得られる電流検出信号Vs及び反転回路INV1 の出力電圧Vbが入力されるとともに、減算入力端子7cに定電圧電源回路3の出力電圧VE が入力され、第2の電圧と第3の電圧との差の電圧がソレノイドのヒステリシスを除去するために励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、第2の係数と第3の係数とが設定される。 またコンデンサC3 の充電時定数は、コンデンサC3 を該時定数で充電したときにコンデンサの一端と接地間の電圧が反転回路INV1 のしきい値に達するまでの時間を、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2に等しいときに励磁電流が目標値まで減衰するのに要する時間よりも僅かに長くするように設定される。
【0082】
(4)図7に示した制御装置は、直流電源の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路3と、ソースが直流電源の正極性側の出力端子に接続されドレインがソレノイドのコイルの一端に接続されたpチャンネル形のMOSFET F1 と、FETのソース及びゲートにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたNPNトランジスタTR1 ´と、ソレノイド1のコイルの他端と直流電源の負極性側の出力端子との間に接続された電流検出用抵抗Rsと、ソレノイド1のコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードD1 と、目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子9と、第1の加算入力端子7aと第2の加算入力端子7bと減算入力端子7cとを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から前記減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器7と、反転入力端子及び非反転入力端子に前記指示信号及び演算出力信号が入力されるとともに、出力端子が前記NPNトランジスタのベースに接続された電圧比較器CP1 と、定電圧電源回路の正極性側の出力端子に充電用抵抗R6 を通して一端が接続されるとともに、他端が比較器CP1 の出力端子にダイオードD2 を介して接続されて、比較器CP1 の出力端子の電位がほぼ接地電位にあるときに定電圧電源回路の出力電圧により一定の時定数で充電されるコンデンサC3 と、コンデンサC3 の一端と接地間の電圧が入力されて、入力電圧が所定のしきい値を超えたときに反転動作を行う反転回路INV1 とを備えている。そして、演算器7の第1の加算入力端子7a及び第2の加算入力端子7bにそれぞれ電流検出用抵抗Rsの両端に得られる電流検出信号Vs及び定電圧電源回路の出力電圧VE が入力されるとともに、減算入力端子7cに反転回路INV1 の出力電圧が入力され、第2の電圧と第3の電圧との差の電圧がソレノイドのヒステリシスを除去するために励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、第2の係数と第3の係数とが設定される。またコンデンサC3 の充電時定数は、コンデンサを該時定数で充電したときにコンデンサC3 の一端と接地間の電圧がしきい値に達するまでの時間を、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2に等しいときにスイッチ回路がオン状態になった後励磁電流が目標値まで減衰するのに要する時間よりも僅かに長くするように設定されている。
【0083】
(5)図15に示した制御装置は、直流電源2の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路3と、エミッタが直流電源2の正極性側の出力端子に接続されコレクタがソレノイドのコイルの一端に接続されたPNP形トランジスタTRo と、PNPトランジスタTRo のエミッタ及びベースにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたPNPトランジスタTR1 と、ソレノイド1のコイルの他端と直流電源の負極性側の出力端子との間に接続された電流検出用抵抗Rsと、ソレノイド1のコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードD1 と、目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子9と、第1の加算入力端子7aと第2の加算入力端子7bと減算入力端子7cとを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器7と、非反転入力端子及び反転入力端子にそれぞれ前記指示信号及び演算出力信号が入力され、出力端子が前記PNPトランジスタのベースに接続された電圧比較器CP1 と、電圧比較器CP1 の出力端子と接地間の電圧を反転する反転回路INV1 とを備えている。そして、演算器7の第1の加算入力端子7a及び第2の加算入力端子7bにそれぞれ電流検出用抵抗Rsの両端に得られる電流検出信号Vs及び反転回路の出力信号Vbが入力されるとともに、減算入力端子7cに定電圧電源回路3の出力電圧VE が入力され、第2の電圧と第3の電圧との差の電圧がソレノイド1のヒステリシスを除去するために励磁電流Isに重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、第2の係数と第3の係数とが設定されている。
【0084】
(6)図16に示した制御装置は、直流電源の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路3と、エミッタが直流電源の正極性側の出力端子に接続されコレクタがソレノイドのコイルの一端に接続されたPNPトランジスタTRo と、トランジスタTRo のエミッタ及びベースにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたPNPトランジスタTR1 と、ソレノイドのコイルの他端と前記直流電源の負極性側の出力端子との間に接続された電流検出用抵抗Rsと、ソレノイド1のコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードD1 と、目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子9と、第1の加算入力端子7aと第2の加算入力端子7bと減算入力端子7cとを有して、第1の加算入力端子7aに入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子7bに入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から減算入力端子7cに入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号Vo として出力する演算器7と、非反転入力端子及び反転入力端子に指示信号Vin及び演算出力信号Vo が入力されるとともに、出力端子がPNPトランジスタTR1 のベースに接続された電圧比較器CP1 と、定電圧電源回路3の正極性側の出力端子に充電用抵抗R6 を通して一端が接続されるとともに、他端が比較器の出力端子にダイオードD2 を通して接続されて、比較器CP1 の出力端子の電位が接地電位にあるときに定電圧電源回路3の出力電圧により一定の時定数で充電されるコンデンサC3 と、コンデンサC3 の一端と接地間の電圧が入力されて、入力電圧が所定のしきい値を超えたときに反転動作を行う反転回路とを備えている。そして、演算器7の第1の加算入力端子7a及び第2の加算入力端子7bにそれぞれ電流検出用抵抗の両端に得られる電流検出信号Vs及び反転回路INV1 の出力電圧Vbが入力されるとともに、減算入力端子7cに定電圧電源回路3の出力電圧VE が入力され、第2の電圧と第3の電圧との差の電圧がソレノイドのヒステリシスを除去するために励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、第2の係数と第3の係数とが設定される。
【0085】
またコンデンサC3 の充電時定数は、コンデンサC3 を該時定数で充電したときにコンデンサの一端と接地間の電圧が反転回路INV1 のしきい値に達するまでの時間を、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2に等しいときに励磁電流が目標値まで減衰するのに要する時間よりも僅かに長くするように設定される。
【0086】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、外部から与えられるディザ信号に追従して励磁電流を変化させるのではなく、励磁電流の目標値を与える指示信号と励磁電流の検出値を与える演算出力信号とを比較する比較器の出力の変化に応じて電圧レベルが変化するディザ成分生成用信号を演算器に入力することにより比較器に入力する演算出力信号を変化させてディザ成分を生成するようにしたので、励磁電流を制御し得る範囲の全領域で、励磁電流の目標値がいかなる場合でも、またソレノイドのコイルのインダクタンスが大きい場合でも、常に所定の振幅のディザ電流を流すことができる利点がある。
【0087】
また本発明において、比較器の出力の変化に応じて電圧レベルが変化するディザ成分生成用信号を演算器に入力することにより比較器に入力する演算出力信号を変化させて、ディザ成分を生成するようにした場合には、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2以下になると、比較器がオフ指令信号を発生したままの状態になって励磁電流が遮断されるため、励磁電流の目標値を零にしたときに励磁電流が残留するのを防ぐために従来必要とした電流遮断回路を省略して、制御装置の構成を簡単にすることができる。
【0088】
また本発明において、比較器がオフ指令信号を出力しているときに一定の時定数により充電されるコンデンサの両端の電圧に相応したレベルを示し、比較器がオン指令信号を出力しているときには定電圧電源回路の出力電圧とほぼ等しいレベルを示す制御用電圧を発生させるとともに、この制御用電圧がしきい値に達したときに高レベルから零レベルに立ち下がるディザ成分生成用信号を発生させるようにした場合には、励磁電流の目標値がディザ電流の振幅の1/2以下になった場合でも、制御用電圧がしきい値に達した時点でディザ成分生成用信号を零レベルにして演算出力信号のレベルを指示信号よりも低いレベルに低下させることができるため、比較器からオン指令信号を発生させて、励磁電流を流すことができ、励磁電流を小電流域まで制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる制御装置の構成例を示した回路図である。
【図2】図1の制御装置の各部の信号波形を示した線図である。
【図3】図1の制御装置のディザ電流対励磁電流特性の一例を示した線図である。
【図4】本発明に係わる制御装置の他の構成例を示した回路図である。
【図5】図4の制御装置の各部の信号波形を示した線図である。
【図6】本発明に係わる制御装置の更に他の構成例を示した回路図である。
【図7】本発明に係わる制御装置の更に他の構成例を示した回路図である。
【図8】従来の制御装置の構成例を示した回路図である。
【図9】図8の制御装置の演算器の出力電圧対励磁電流特性を示した線図である。
【図10】図8の制御装置のフィルタ回路の出力電圧とPWM信号のデューティ比との関係を示した線図である。
【図11】図8の制御装置の励磁電流対デューティ比特性を示した線図である。
【図12】図8の制御装置で用いるディザ信号の波形及び励磁電流の波形を示した波形図である。
【図13】図8の制御装置で用いるディザ信号の波形と、励磁電流が低いときの励磁電流波形と、励磁電流が大きいときの励磁電流波形とを示した波形図である。
【図14】図8の制御装置のディザ電流対励磁電流特性を示した線図である。
【図15】本発明に係わるソレノイド駆動制御装置の更に他の構成例を示した回路図である。
【図16】本発明に係わるソレノイド駆動制御装置の更に他の構成例を示した回路図である。
【符号の説明】
1…ソレノイド、2…バッテリ、3…定電圧電源回路、5…ソレノイド駆動用スイッチ回路、7…演算器、7a…第1の加算入力端子、7b…第2の加算入力端子、7c…減算入力端子、9…指示信号入力端子、CP1 …電圧比較器、INV1 …反転回路、C3 …コンデンサ、R6 …充電用抵抗、D1 …フライホイールダイオード、D2 …ダイオード、R5 …放電用抵抗。
Claims (8)
- オン指令信号が与えられているとき及びオフ指令信号が与えられているときにそれぞれオン状態及びオフ状態になるスイッチ素子を有して直流電源から前記スイッチ素子を通してソレノイドに励磁電流を流すソレノイド駆動用スイッチ回路と、前記ソレノイドの励磁電流の目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、前記ソレノイドを通して流れる励磁電流を検出して検出した励磁電流に比例した電圧を電流検出信号として出力する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出される励磁電流と前記指示信号により与えられる前記励磁電流の目標値との偏差を零にするように前記ソレノイド駆動用スイッチ回路を制御するスイッチ制御回路とを備えたソレノイド駆動制御装置において、
前記スイッチ制御回路は、
前記電流検出信号を入力として該電流検出信号に相応した平均値を有する電圧信号を演算出力信号として出力する演算器と、
前記指示信号と前記演算出力信号とを比較して、前記演算出力信号のレベルが前記指示信号のレベル以下のときに前記スイッチ回路に前記オン指令信号を与え、前記演算出力信号のレベルが前記指示信号のレベルを超えているときに前記スイッチ回路に前記オフ指令信号を与える比較器と、
前記比較器が前記オフ指令信号を発生したときに、前記ソレノイドのヒステリシスを除去するために前記励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相当する分だけ前記演算出力信号を上昇させ、前記比較器がオン指令信号を発生したときに、前記ディザ電流の振幅の1/2に相当する分だけ前記演算出力信号を下降させるべく、前記比較器の出力に応じて電圧レベルが変化するディザ成分生成用信号を発生して、該ディザ成分生成用信号を前記演算器に入力するディザ成分生成用信号発生回路と、
を具備したことを特徴とするソレノイド駆動制御装置。 - オン指令信号が与えられているとき及びオフ指令信号が与えられているときにそれぞれオン状態及びオフ状態になるスイッチ素子を有して直流電源から前記スイッチ素子を通してソレノイドに励磁電流を流すソレノイド駆動用スイッチ回路と、前記ソレノイドの励磁電流の目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、前記ソレノイドを通して流れる励磁電流を検出して検出した励磁電流に比例した電圧を電流検出信号として出力する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出される励磁電流と前記指示信号により与えられる前記励磁電流の目標値との偏差を零にするように前記ソレノイド駆動用スイッチ回路を制御するスイッチ制御回路とを備えたソレノイド駆動制御装置において、
前記スイッチ制御回路は、
第1の加算入力端子と第2の加算入力端子と減算入力端子とを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から前記減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器と、
前記指示信号と前記演算出力信号とを比較して、前記演算出力信号のレベルが前記指示信号のレベル以下のときに前記ソレノイド駆動用スイッチ回路に前記オン指令信号を与え、前記演算出力信号のレベルが前記指示信号のレベルを超えたときに前記ソレノイド駆動用スイッチ回路にオフ指令信号を与える比較器と、
前記比較器がオフ指令信号を出力しているときに一定レベルの直流電圧からなるディザ成分生成用信号を発生し、前記比較器がオン指令信号を出力しているときに前記ディザ成分生成用信号の発生を停止するディザ成分生成用信号発生回路と、
を具備し、
前記演算器の第1の加算入力端子及び第2の加算入力端子にそれぞれ前記電流検出信号及び前記ディザ成分生成用信号が入力されるとともに、前記減算入力端子に一定の直流電圧が入力され、
前記第2の電圧と第3の電圧との差の電圧が前記ソレノイドのヒステリシスを除去するために前記励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、前記第2の係数と第3の係数とが設定されていることを特徴とするソレノイド駆動制御装置。 - オン指令信号が与えられているとき及びオフ指令信号が与えられているときにそれぞれオン状態及びオフ状態になるスイッチ素子を有して直流電源から前記スイッチ素子を通してソレノイドに励磁電流を流すソレノイド駆動用スイッチ回路と、前記ソレノイドの励磁電流の目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、前記ソレノイドを通して流れる励磁電流を検出して検出した励磁電流に比例した電圧を電流検出信号として出力する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出される励磁電流と前記指示信号により与えられる前記励磁電流の目標値との偏差を零にするように前記ソレノイド駆動用スイッチ回路を制御するスイッチ制御回路とを備えたソレノイド駆動制御装置において、
前記スイッチ制御回路は、
第1の加算入力端子と第2の加算入力端子と減算入力端子とを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から前記減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器と、
前記指示信号と前記演算出力信号とを比較して、前記演算出力信号のレベルが前記指示信号のレベル以下のときに出力端子の電位を高レベルにして前記ソレノイド駆動用スイッチ回路に前記オン指令信号を与え、前記演算出力信号のレベルが前記指示信号のレベルを超えたときに出力端子の電位を零レベルにして前記ソレノイド駆動用スイッチ回路に前記オフ指令信号を与える比較器と、
前記比較器の出力端子の電位が零レベルになっているときに一定レベルの出力電圧を発生し、前記比較器の出力端子の電位が高レベルになっているときに出力電圧を零にする反転回路と、
を具備し、
前記演算器の第1の加算入力端子及び第2の加算入力端子にそれぞれ前記電流検出信号及び前記反転回路の出力電圧が入力されるとともに、前記減算入力端子に一定の直流電圧が入力され、
前記第2の電圧と第3の電圧との差の電圧が前記ソレノイドのヒステリシスを除去するために前記励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、前記第2の係数と第3の係数とが設定されていることを特徴とするソレノイド駆動制御装置。 - 直流電源からソレノイドに流す励磁電流を目標値に保つように制御するソレノイド駆動制御装置であって、
前記直流電源の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路と、
ソースが前記直流電源の正極性側の出力端子に接続されドレインがソレノイドのコイルの一端に接続されたpチャンネル形のMOSFETと、
前記FETのソース及びゲートにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたPNPトランジスタと、
前記ソレノイドのコイルの他端と前記直流電源の負極性側の出力端子との間に接続された電流検出用抵抗と、
前記ソレノイドのコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードと、
前記目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、
第1の加算入力端子と第2の加算入力端子と減算入力端子とを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から前記減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器と、
非反転入力端子及び反転入力端子にそれぞれ前記指示信号及び演算出力信号が入力され、出力端子が前記PNPトランジスタのベースに接続された電圧比較器と、
前記電圧比較器の出力端子と接地間の電圧を反転する反転回路と、
を具備し、
前記演算器の第1の加算入力端子及び第2の加算入力端子にそれぞれ前記電流検出用抵抗の両端に得られる電流検出信号及び前記反転回路の出力信号が入力されるとともに、前記減算入力端子に前記定電圧電源回路の出力電圧が入力され、
前記第2の電圧と第3の電圧との差の電圧が前記ソレノイドのヒステリシスを除去するために前記励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、前記第2の係数と第3の係数とが設定されていることを特徴とするソレノイド駆動制御装置。 - 直流電源からソレノイドに流す励磁電流を目標値に保つように制御するソレノイド駆動制御装置であって、
前記直流電源の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路と、
ソースが前記直流電源の正極性側の出力端子に接続されドレインがソレノイドのコイルの一端に接続されたpチャンネル形のMOSFETと、
前記FETのソース及びゲートにそれぞれコレクタ及びエミッタが接続されたNPNトランジスタと、
前記ソレノイドのコイルの他端と前記直流電源の負極性側出力端子との間に接続された電流検出用抵抗と、
前記ソレノイドのコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードと、
前記目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、
第1の加算入力端子と第2の加算入力端子と減算入力端子とを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から前記減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器と、
反転入力端子及び非反転入力端子にそれぞれ前記指示信号及び演算出力信号が入力され、出力端子が前記NPNトランジスタのベースに接続された電圧比較器と、
前記電圧比較器の出力端子と接地間の電圧を反転する反転回路と、
を具備し、
前記演算器の第1の加算入力端子及び第2の加算入力端子にそれぞれ前記電流検出用抵抗の両端に得られる電流検出信号及び前記定電圧電源回路の出力電圧が入力されるとともに、前記減算入力端子に前記反転回路の出力信号が入力され、
前記第2の電圧と第3の電圧との差の電圧が前記ソレノイドのヒステリシスを除去するために前記励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、前記第2の係数と第3の係数とが設定されていることを特徴とするソレノイド駆動制御装置。 - オン指令信号が与えられているとき及びオフ指令信号が与えられているときにそれぞれオン状態及びオフ状態になるスイッチ素子を有して直流電源から前記スイッチ素子を通してソレノイドに励磁電流を流すソレノイド駆動用スイッチ回路と、前記ソレノイドの励磁電流の目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、前記ソレノイドを通して流れる励磁電流を検出して検出した励磁電流に比例した電圧を電流検出信号として出力する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出される励磁電流と前記指示信号により与えられる前記励磁電流の目標値との偏差を零にするように前記ソレノイド駆動用スイッチ回路を制御するスイッチ制御回路とを備えたソレノイド駆動制御装置において、
前記スイッチ制御回路は、
前記直流電源の出力を入力として一定の電圧を出力する定電圧電源回路と、
第1の加算入力端子と第2の加算入力端子と減算入力端子とを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から前記減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器と、
前記指示信号と前記演算出力信号とを比較して、前記演算出力信号のレベルが前記指示信号のレベル以下のときに前記スイッチ回路に前記オン指令信号を与え、前記演算出力信号のレベルが前記指示信号のレベルを超えたときに前記スイッチ回路にオフ指令信号を与える比較器と、
コンデンサと、前記比較器がオフ指令信号を出力しているときに前記定電圧電源回路の出力電圧で前記コンデンサを一定の時定数で充電する充電回路と、前記比較器が前記オン指令信号を発生しているときに前記コンデンサの電荷を放電させる放電回路とを備えて、前記比較器がオフ指令信号を出力しているときには前記コンデンサの両端の電圧に相応したレベルを示し、前記比較器がオン指令信号を出力しているときには前記定電圧電源回路の出力電圧とほぼ等しいレベルを示す制御用電圧を出力する制御用電圧発生回路と、
前記制御用電圧を入力として、該制御用電圧が前記定電圧電源回路の出力電圧よりも低い値に設定されたしきい値未満のときに高レベルを示し、前記制御用電圧が前記しきい値に達したときに零レベルに立ち下がるディザ成分生成用信号を出力するディザ成分生成用信号発生回路と、
を具備し、
前記演算器の第1の加算入力端子及び第2の加算入力端子にそれぞれ前記電流検出信号及び前記ディザ成分生成用信号が入力されるとともに前記減算入力端子に前記定電圧電源回路の出力電圧が入力され、
前記第2の電圧と第3の電圧との差の電圧が前記ソレノイドのヒステリシスを除去するために前記励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、前記第2の係数と第3の係数とが設定され、
前記コンデンサの充電時定数は、前記コンデンサを該時定数で充電したときに前記制御用電圧が前記しきい値に達するまでの時間を、前記励磁電流の目標値が前記ディザ電流の振幅の1/2に等しいときに前記励磁電流が目標値まで減衰するのに要する時間よりも僅かに長くするように設定されている、
ことを特徴とするソレノイド駆動制御装置。 - 直流電源からソレノイドに流す励磁電流を目標値に保つように制御するソレノイド駆動制御装置であって、
前記直流電源の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路と、
ソースが前記直流電源の正極性側の出力端子に接続されドレインがソレノイドのコイルの一端に接続されたpチャンネル形のMOSFETと、
前記FETのソース及びゲートにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたPNPトランジスタと、
前記ソレノイドのコイルの他端と前記直流電源の負極性側の出力端子との間に接続された電流検出用抵抗と、
前記ソレノイドのコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードと、
前記目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、
第1の加算入力端子と第2の加算入力端子と減算入力端子とを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から前記減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器と、
非反転入力端子及び反転入力端子に前記指示信号及び演算出力信号が入力されるとともに、出力端子が前記PNPトランジスタのベースに接続された電圧比較器と、
前記定電圧電源回路の正極性側の出力端子に充電用抵抗を通して一端が接続されるとともに、他端が前記比較器の出力端子にダイオードを通して接続されて、前記比較器の出力端子の電位がほぼ接地電位にあるときに前記定電圧電源回路の出力電圧により一定の時定数で充電されるコンデンサと、
前記コンデンサの一端と接地間の電圧が入力されて、入力電圧が所定のしきい値を超えたときに反転動作を行う反転回路と、
を具備し、
前記演算器の第1の加算入力端子及び第2の加算入力端子にそれぞれ前記電流検出用抵抗の両端に得られる電流検出信号及び前記反転回路の出力電圧が入力されるとともに、前記減算入力端子に前記定電圧電源回路の出力電圧が入力され、前記第2の電圧と第3の電圧との差の電圧が前記ソレノイドのヒステリシスを除去するために前記励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、前記第2の係数と第3の係数とが設定され、
前記コンデンサの充電時定数は、前記コンデンサを該時定数で充電したときに前記コンデンサの一端と接地間の電圧が前記反転回路のしきい値に達するまでの時間を、前記励磁電流の目標値が前記ディザ電流の振幅の1/2に等しいときに前記励磁電流が目標値まで減衰するのに要する時間よりも僅かに長くするように設定されている、
ことを特徴とするソレノイド駆動制御装置。 - 直流電源からソレノイドに流す励磁電流を目標値に保つように制御するソレノイド駆動制御装置であって、
前記直流電源の出力を入力として定電圧を出力する定電圧電源回路と、
ソースが前記直流電源の正極性側の出力端子に接続されドレインがソレノイドのコイルの一端に接続されたpチャンネル形のMOSFETと、
前記FETのソース及びゲートにそれぞれエミッタ及びコレクタが接続されたNPNトランジスタと、
前記ソレノイドのコイルの他端と前記直流電源の負極性側の出力端子との間に接続された電流検出用抵抗と、
前記ソレノイドのコイルに対して並列に接続されたフライホイールダイオードと、
前記目標値を与える電圧値を有する指示信号が入力される指示信号入力端子と、
第1の加算入力端子と第2の加算入力端子と減算入力端子とを有して、第1の加算入力端子に入力された電圧の値に第1の係数を乗じた大きさを有する第1の電圧と第2の加算入力端子に入力された電圧の値に第2の係数を乗じた大きさを有する第2の電圧との和の電圧から前記減算入力端子に入力された電圧の値に第3の係数を乗じた大きさを有する第3の電圧を減じた大きさの電圧を演算出力信号として出力する演算器と、
反転入力端子及び非反転入力端子に前記指示信号及び演算出力信号が入力されるとともに、出力端子が前記NPNトランジスタのベースに接続された電圧比較器と、
前記定電圧電源回路の正極性側の出力端子に充電用抵抗を通して一端が接続されるとともに、他端が前記比較器の出力端子にダイオードを通して接続されて、前記比較器の出力端子の電位がほぼ接地電位にあるときに前記定電圧電源回路の出力電圧により一定の時定数で充電されるコンデンサと、
前記コンデンサの一端と接地間の電圧が入力されて、入力電圧が所定のしきい値を超えたときに反転動作を行う反転回路と、
を具備し、
前記演算器の第1の加算入力端子及び第2の加算入力端子にそれぞれ前記電流検出用抵抗の両端に得られる電流検出信号及び前記定電圧電源回路の出力電圧が入力されるとともに、前記減算入力端子に前記反転回路の出力電圧が入力され、
前記第2の電圧と第3の電圧との差の電圧が前記ソレノイドのヒステリシスを除去するために前記励磁電流に重畳するディザ電流の振幅の1/2に相応する大きさになるように、前記第2の係数と第3の係数とが設定され、
前記コンデンサの充電時定数は、前記コンデンサを該時定数で充電したときに前記コンデンサの一端と接地間の電圧が前記しきい値に達するまでの時間を、前記励磁電流の目標値が前記ディザ電流の振幅の1/2に等しいときに前記励磁電流が目標値まで減衰するのに要する時間よりも僅かに長くするように設定されている、
ことを特徴とするソレノイド駆動制御装置。
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