JP4571340B2 - 自動車の車体後部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体後部構造に関し、特に左右のリヤサイドフレーム間にクロスメンバが架設された自動車の車体後部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体後部構造は、例えば実開平6−74582号公報に開示され、かつ図5に要部平面図を示し、図6に要部側面図を示すように、左右の車体側方に沿って対向して延在するサイドシル101、102の後部に、各々前後方向に延在するリヤサイドフレーム103、104の前部が接合されている。各リヤサイドフレーム103、104の前端近傍及び中間位置に各々前側クロスメンバ105及び後側クロスメンバ106が掛け渡されて略梯子状に形成されている。リヤサイドフレーム103、104の後端側面には、船舶やトレーラ等に搭載して自動車を輸送する際にロープ等の固縛手段を係止するタイダウンフック108が結合されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記実開平6−74582号公報によると、リヤサイドフレーム103、104の後端が後側クロスメンバ106の後方に突出するように延在して配設されることから、後方から衝撃荷重が入力、特に一方に偏倚したオフセット衝撃荷重が入力されると、一方のリヤサイドフレーム103或いは104に偏在して衝撃荷重が入力され、車体全体に有効的に分散伝達されないおそれがある。
【0004】
また、リヤサイドフレーム103、104の後端側部に配設されるタイダウンフック108によって、リヤサイドフレーム103及び104の後端近傍の剛性が増大すると共に、一般にリヤサイドフレーム103、104にはリヤサスペンション等からの入力荷重やその他の各種荷重が作用することから、リンフォースが配設されている。従って、車体後方から過大な衝撃荷重が入力された際の有効クラッシュストロークは、図7に概略を示すようにリンフォース107の後端からタイダウンフック108の前端までの範囲Lに制限されて十分な衝撃荷重の吸収が達成できないことが懸念される。また、リンフォース107とタイダウンフック108の間においてリヤサイドフレーム103、104に結合される後側クロスメンバ106があると、該部が後側クロスメンバ106によって局部的に剛性が増大して後方から順次押し潰される円滑な潰れ変化が阻害されるおそれがある。これは、特に衝撃荷重がリヤサイドフレーム103或いは104の一方に偏在するオフセット衝撃荷重が入力される場合に顕著である。
【0005】
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、後方から衝撃荷重が作用した際リヤサイドフレームから車体全体に有効的に分散伝達でき、かつ効率的な衝撃荷重の吸収が得られる安全性に優れた自動車の車体後部構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載の自動車の車体後部構造の発明は、前後方向に延在する左右のリヤサイドフレーム及び車幅方向に延在して上記左右のリヤサイドフレームの前部間に架設されたクロスメンバを備えた自動車の車体後部構造において、後端が一方のリヤサイドフレームの前後方向の中間位置に結合されて前方に移行するに従って次第に車体幅方向中央側に変移して前端が車体幅方向中央部に達する第1の傾斜フレームと、後端が他方のリヤサイドフレームの前後方向の中間位置に結合されて前方に移行するに従って次第に車体幅方向中央側に変移して前端が車体幅方向中央部に達する第2の傾斜フレームと、車体幅方向中央で前後方向に延在して前端が上記クロスメンバに結合しかつ後端が上記第1及び第2の傾斜フレームの前端に連結されたメインフレームとによって平面視略Y字状に形成された補剛フレームを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によると、左右のリヤサイドフレームとクロスメンバを連結する平面視略Y字状の補剛フレームを配設することによって、車体中央部に後方から衝撃荷重が作用すると、その衝撃荷重は左右のリヤサイドフレーム及び補剛フレームを介してクロスメンバや、リヤサイドフレームの前部が結合されるサイドシル等を介して車体全体に効率的に分散伝達される。また、過大な衝撃荷重が作用した際には、車体全体に分散伝達されずに残存する衝撃荷重によて補剛フレームが結合された中間位置より後方の後部範囲が潰れ変形することによって有効的に衝撃荷重が吸収され、衝撃が緩和されて安全性が確保される。
【0008】
一方、車体中央部から偏倚したいわゆるオフセットした位置に後方から衝撃荷重が作用した際には、主に衝撃荷重が入力される一方のリヤサイドフレームから補剛フレームを介してクロスメンバ及び他方のリヤサイドフレームにも衝撃荷重が分散伝達され、効率的に車体全体に分散伝達される。また、過大な衝撃荷重が作用した際には、車体全体に分散伝達されずに残存する衝撃荷重によて、補剛フレームが結合された中間位置より後方の後部範囲が潰れ変形することによって有効的に衝撃荷重を吸収することができ、衝撃が緩和される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1の自動車の車体後部構造において、上記各リヤサイドフレームは、リヤサイドフレームの前部から補剛フレームが結合される中間位置を含む前部範囲の板厚が、該前部範囲の後方に連続する後部範囲の板厚に比較して大であることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によると、補剛フレームによって補剛されるリヤサイドフレームの前部範囲の板厚を大きくすることによって前部範囲の剛性が確保されてより有効的な衝撃荷重の分散伝達が得られ、かつ後部範囲の板厚を小さくすることによって過大な衝撃荷重による潰れ変形が確保できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の自動車の車体後部構造において、上記左右のリヤサイドフレームの後端が互いに車幅方向に延在する中空状の閉断面形状部材を介して連結されたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明によると、左右のリヤサイドフレームの後端を閉断面形状部材で連結することによって、左右のリヤサイドフレームの口開き等の挙動が防止されて車体後部の変形を抑制されると共に、閉断面形状部材を介して衝撃荷重を左右のリヤサイドフレームに有効的に分散伝達できる。これにより、より効率的な衝撃荷重の吸収が得られる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3の自動車の車体後部構造において、上記閉断面形状部材は、上記左右のリヤサイドフレームの後端が結合されるリヤスカートと、該リヤスカートの後面に車幅方向に延在して結合すると共にリヤスカートと協働して車幅方向に連続する中空閉断面形状を形成するバンパビームとによって形成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明によると、リヤスカートとバンパビームにより閉断面形状部材が構成され、かつ比較的小さな衝撃荷重によりバンパビームが変形した際には、バンパビームの交換によって容易に閉断面形状部材が再現でき、修復が容易に行える。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明による自動車の車体後部構造の実施の形態を図1乃至図4によって説明する。なお、図中矢印Fは車体前方方向を示し、矢印UPは上方方向を示している。
【0016】
車体後部は、図1に要部平面図を示すように、左右の車体側方に沿って対向して延在するサイドシル1、2の後部に、各々前後方向に延在するリヤサイドフレーム3、4の前部が接合されている。各リヤサイドフレーム3、4は、上方が開放された断面略コ字状でフロアパネル(図示せず)と協働して車体前後方向に延在する中空状の閉断面形状を形成している。
【0017】
リヤサイドフレーム3は、前端部から中間位置までの前部範囲3Aの板厚が比較的大きく、前部範囲3Aの後端に連続する後部範囲3Bは前部範囲3Aに対して板厚が小さく設定され、更に後部範囲3Bの前側範囲3Baより後側範囲3Bbの板厚が小さく設定されている。即ち、前部範囲3Aの剛性が比較的高く、後部範囲3Bの前側範囲3Ba、後側範囲3Bbに移行するに従って剛性が順次低くなるように設定される。また、剛性の比較的高い前部範囲3Aと比較的剛性の低い後部範囲3Bの前側範囲3Baを後側範囲3Bbより剛性を高くすることによって、急激に剛性が変化する急変部分の発生を抑制している。同様に、リヤサイドフレーム4は、前部範囲4Aの板厚が比較的大きく、後部範囲4Bの前側範囲3Ba、後側範囲3Bbに移行するに従って板厚が減少するように設定され、前部範囲4Aの剛性が比較的高く、後部範囲4Bの前側範囲4Ba、後側範囲4Bbに移行するに従って剛性が順次低くなるように設定されている。なお、リヤサスペンション等からの入力荷重が作用するリヤサイドフレーム3、4の前部範囲3A、4Aの板厚を比較的厚くして剛性を確保することによって、リンフォースの配設を省略している。
【0018】
リヤサイドフレーム3及び4の各前部間は、車幅方向に延在するクロスメンバ6によって互いに連結されている。また、このリヤサイドフレーム3と4の間に架設されたクロスメンバ6によって低床のフロントフロアパネル(図示せず)と高床でリヤサイドフレーム3及び4上に配設されるリヤフロアパネル(図示せず)との間を連結し、かつクロスメンバ6の中央部にフロントフロアパネルに前後方向に延在して形成されたトンネル部の後端が接合されている。
【0019】
リヤサイドフレーム3及び4の後端は、図2に図1のA部側面図を示し、かつ図3に要部分解斜視図を示すように、対向する側面及び下面の後端に亘って連続する取付フランジ3a、4aが折曲形成され、各フランジ3a、4aが各々リヤスカート7に接合している。更に、リヤスカート7の後面に断面略コ字形で車幅方向に延在するバンパビーム8の下縁に折曲形成された下側フランジ8aの両端近傍が各々リヤサイドフレーム3及び4の下面後端に折曲形成された取付フランジ3a及び4aと対応して接面し、上縁に折曲形成された上側フランジ8bがリヤフレーム3及び4の上縁に略対応してリヤスカート7の後面に接面して配置され、互いに重なり合うリヤサイドフレーム3、4の各取付フランジ3a、4aと、リヤスカート7と、バンパビーム8の下側フランジ8aの両端近傍が共に溶接結合され、上側フランジ8bとリヤスカート7が溶接結合される。即ち、リヤサイドフレーム3の後端とリヤサイドフレーム4の後端は、各々リヤスカート7とバンパビーム8によって形成された車幅方向に延在する中空状で剛性が確保された閉断面形状部材9によって強固に連結される。
【0020】
左右のリヤサイドフレーム3と4及びクロスメンバ6は、補剛フレーム10によって互いに連結されている。補剛フレーム10は、図1に示すように後端がリヤサイドフレーム3の前部範囲3Aの後部部分に結合されて前方に移行するに従って次第に車体幅方向中央側に変移する略直線状に延在して前端が車体幅方向中央部に達する第1の傾斜フレーム11と、後端がリヤサイドフレーム4の前部範囲4Aの後部部分に結合されて前方に移行するに従って次第に車体幅方向中央側に変移する略直線状に延在して前端が車体幅方向中央部に達する第2の傾斜フレーム12と、車体幅方向中央で前後方向に延在して前端がクロスメンバ6に結合しかつ後端が第1及び第2の傾斜フレーム11、12の前端に連結されたメインフレーム13によって平面視略Y字状に形成されている。また、第1及び第2の傾斜フレーム11、12、メインフレーム13は、各々上方が開放された断面略コ字状でリヤフロアパネルと協働して各々の延在方向に連続する中空状の閉断面形状を形成して剛性が確保されている。
【0021】
この補剛フレーム10の配置によりリヤサイドフレーム3及び4の各前部範囲3Aと4Aとクロスメンバ6と補剛フレーム10によって十分剛性が確保された抗力領域が形成され、この抗力領域の後方にリヤサイドフレーム3及び4の後部範囲3B、4Bによって比較的剛性が低い衝撃力吸収領域が形成される。
【0022】
一方、タイダウンフック15は、図4に図1のI−I線断面図を示すようにリヤサイドフレーム4の前部範囲4Aの前部にタイダウン穴4cを穿設し、基端がリヤサイドフレーム4の内面に結合され、タイダウン穴4cから下方に突出するように配設されている。同様にリヤサイドフレーム3の前部範囲3Aの前部にもタイダウンフック(図示せず)が取り付けられ、リヤサイドフレーム3及び4の後部範囲3B、4Bにはタイダウンフック等は配設されていない。なお、図中符号20は車幅方向に延在してバンパビーム8を被覆する樹脂製のリヤバンパである。
【0023】
また、板厚が比較的大でかつ補剛フレーム10によって補剛された剛性が高いリヤサイドフレーム3の前部範囲3Aとリヤサイドフレーム4の前部範囲4Aとの間に形成される抗力領域に燃料タンク(図示せず)が配置される。
【0024】
次に、このように構成された車体後部構造の作用について主に図1によって説明する。
【0025】
後方から車体車幅方向の中央部或いは全面に亘って比較的小さな衝撃荷重P1が作用すると、その衝撃荷重P1は、リヤスカート7とバンパビーム8によって車幅方向に延在する中空状に形成されて剛性が確保された閉断面形状部材9を介して左右のリヤサイドフレーム3、4の各後端に分散伝達される。この左右のリヤサイドフレーム3及び4への荷重伝達は、両リヤサイドフレーム3と4の後端が閉断面形状部材9によって互いに連結されてリヤサイドフレーム3、4の後端が離反する、いわゆるフレーム開きが防止されて各リヤサイドフレーム3、4に効率的に分散伝達される。
【0026】
リヤサイドフレーム3の後端に入力された衝撃荷重は、リヤサイドフレーム3からリヤサイドフレーム3の前部が結合されたサイドシル1及びクロスメンバ6に分散伝達されると共に、一部が補剛フレーム10の第1の傾斜フレーム11及びメインフレーム13を介してクロスメンバ6の中央部に荷重伝達され、クロスメンバからトンネル部及び左右のリヤサイドフレーム3、4の前部に分散伝達されて車体全体に分散伝達される。一方、リヤサイドフレーム4の後端に入力された衝撃荷重はリヤサイドフレーム4の前部からサイドシル2及びクロスメンバ6に分散伝達されると共に、一部が第2の傾斜フレーム12及びメインフレーム13を介してクロスメンバ6に荷重伝達されてトンネル部や左右のリヤサイドフレーム3、4の前部に分散伝達される。従って、衝撃荷重P1はこれら左右のサイドフレーム3、4、サイドシル1、2、クロスメンバ6及び補剛フレーム10等によって車体全体に分散されて効率的に受け止められる。
【0027】
また、車体幅方向中央部或いは全面に亘って過大な衝撃荷重P1が作用すると、その衝撃荷重P1は、剛性が確保された閉断面形状部材9を介して左右のリヤサイドフレーム3、4の各後端に分散伝達される。このリヤサイドフレーム3、4の後端に分散して入力される荷重は、両リヤサイドフレーム3と4の後端が閉断面形状部材9によって連結されてフレーム開き等の挙動が防止されて各サイドフレーム3、4に効率的に分散伝達されて左右のリヤサイドフレーム3、4、サイドシル1、2、クロスメンバ6及び補剛フレーム10等によって車体全体に分散される。
【0028】
一方、この際、車体全体に分散伝達されずに残存するリヤサイドフレーム3に入力された衝撃荷重は、リヤサイドフレーム3を潰れ変形させ、リヤサイドフレーム3の潰れ変形によって吸収される。
【0029】
ここで、リヤサイドフレーム3の前部範囲3Aは板厚が比較的大きく、かつ補剛フレーム10の第1の傾斜フレーム11及びメインフレーム13によって前後方向の荷重に対する剛性、即ち抗力が確保される一方、後部範囲3Bが比較的板厚が小さく剛性が比較的低く設定されていることから、リヤサイドフレーム3の後端に入力された衝撃荷重によって、リヤサイドフレーム3の後部範囲3Bが押し潰されて衝撃荷重が吸収される。この潰れ変形の範囲、即ちクラッシュストロークLは、タイダウンフックやクロスメンバ等の取付によって剛性が増大部分がなく、後部範囲3Bの略全範囲が有効に使用でき、かつ剛性上の急変部が回避されていることから後端側から順次円滑に押し潰される円滑な潰れ変形が確保されて効率的な衝撃荷重の吸収が得られる。
【0030】
同様にリヤサイドフレーム4においても、前部範囲4Aは、板厚が比較的大きく、かつ第2の傾斜フレーム12及び前後方向フレーム13によって剛性が確保される一方、後部範囲4Bは剛性が比較的低く設定されていることから、リヤサイドフレーム4の後端に入力され、衝撃荷重によって後部範囲4Bが押し潰されて衝撃荷重を吸収する。この潰れ変形の範囲となるクラッシュストロークLとして後部範囲4Bの略全範囲が有効に使用でき、かつ後端側から順次押し潰される潰れ変形が確保されて効率的な衝撃荷重の吸収が得られる。
【0031】
従って、後方から車体幅方向中央部或いは全面に亘って過大な衝撃荷重P1が作用した際には、その衝撃荷重P1は、剛性が確保された閉断面形状部材9によって左右のリヤサイドフレーム3、4に確実に分散伝達され、クラッシュストロークが確保されたリヤサイドフレーム3の後部範囲3Bとリヤサイドフレーム4の後部範囲4Bの円滑な潰れ変形によって効率的に吸収され、衝撃が緩和されて乗員の安全性が確保される。
【0032】
また、後方から車体車幅方向の一方に偏倚した比較的小さなオフセット衝撃荷重、例えば図1に示すようにリヤサイドフレーム3側に偏倚した衝撃荷重P2が作用すると、その衝撃荷重P2は、主にリヤサイドフレーム3の後端に入力されると共に、衝撃荷重P2の一部は閉断面形状部材9を介して他方のリヤサイドフレーム4の後端に分散伝達される。
【0033】
リヤサイドフレーム3の後端に入力された衝撃荷重は、リヤサイドフレーム3を介してリヤサイドフレーム3の前端からサイドシル1及びクロスメンバ6に分散伝達されると共に、一部がリヤサイドフレーム3から補剛フレーム10の第1の傾斜フレーム11に分散伝達され、第1の傾斜フレーム11の前端からメインフレーム13を介してクロスメンバ6の中央部に荷重伝達されてクロスメンバ6からトンネル部や左右のリヤサイドフレーム3、4の前部に分散伝達される。更に、衝撃荷重の一部は第1の傾斜フレーム11の前端から第2の傾斜フレーム12を介してリヤサイドフレーム4にも分散伝達される。
【0034】
一方、閉断面形状部材9を介してリヤサイドフレーム4の後端に入力された衝撃荷重は、リヤサイドフレーム4を介してその前部からサイドシル2及びクロスメンバ6に分散伝達され、かつリヤサイドフレーム4に入力された衝撃荷重の一部は第2の傾斜フレーム12からメインフレーム13を介してクロスメンバ6や第1の傾斜フレーム11を経由してリヤサイドフレーム3に分散伝達される。従って、衝撃荷重P2は、これら左右のリヤサイドフレーム3、4、サイドシル1、2、クロスメンバ6及び補剛フレーム10等によって車体全体に分散されて効率的に受け止められる。
【0035】
また、後方からリヤサイドフレーム3側に偏倚して過大な衝撃荷重P2が作用すると、その衝撃荷重P2は、主にリヤサイドフレーム3の後端に入力され、かつ一部は閉断面形状部材9を介して他方のリヤサイドフレーム4の後端に分散伝達され、両リヤサイドフレーム3と4の後端が閉断面形状部材9によって連結されてフレーム開き等の挙動が防止されて各リヤサイドフレーム3、4に効率的に分散伝達されて左右のリヤサイドフレーム3、4、サイドシル1、2、クロスメンバ6及び補剛フレーム10等によって車体全体に分散される。
【0036】
この車体全体に分散伝達されずに残存するリヤサイドフレーム3に入力された衝撃荷重は、リヤサイドフレーム3を潰れ変形させ、リヤサイドフレーム3の潰れ変形によって吸収される。
【0037】
ここで、主に衝撃荷重P2が入力されるリヤサイドフレーム3の前部範囲3Aは板厚が比較的大きく、第1の傾斜フレーム11及びメインフレーム13によって保護されて前後方向の荷重に対する剛性が確保され、後部範囲3Bの剛性が比較的低く設定されていることから、リヤサイドフレーム3の後端に入力された衝撃荷重によって、リヤサイドフレーム3の後部範囲3Bが押し潰されて衝撃荷重を吸収する。この潰れ変形の範囲となるクラッシュストロークLが後部範囲3Bの略全範囲が有効に使用でき、後端側から順次押し潰される円滑な潰れ変形が確保されて効率的な衝撃荷重の吸収が得られる。
【0038】
同様に、車体全体に分散伝達されずに残存するリヤサイドフレーム4に入力された衝撃荷重は、リヤサイドフレーム4を潰れ変形させ、リヤサイドフレーム4の潰れ変形によって吸収される。
【0039】
リヤサイドフレーム4においても、前部範囲4Aの板厚が比較的大きく、かつ第2の傾斜フレーム12及びメインフレーム13によって剛性が確保される一方、後部範囲4Bは剛性が比較的低く設定されていることから、リヤサイドフレーム4の後端に入力された衝撃荷重によって後部範囲4Bが押し潰されて衝撃荷重を吸収する。この潰れ変形においてもクラッシュストロークLが確保されて後部範囲4Bの略全範囲が有効に使用でき、かつ後端側から順次押し潰される円滑な潰れ変形が確保されて効率的な衝撃荷重の吸収が得られる。
【0040】
従って、リヤサイドフレーム3側に偏倚して過大な衝撃荷重P2が作用した際には、その衝撃荷重P2は、衝撃荷重P2が主に入力されるリヤサイドフレーム3の後部範囲3Bの円滑な潰れ変形によって吸収されると共に、閉断面形状部材9によってリヤサイドフレーム4にも分散伝達され、クラッシュストロークが確保されたリヤサイドフレーム4の後部範囲4Bの潰れ変形によっても吸収され、効率的に衝撃が緩和されて乗員の安全性が確保される。
【0041】
また、詳細な説明は省略するが、リヤサイドフレーム4側に偏倚して車体後方から衝撃荷重が作用した際にも同様に衝撃荷重を車体全体に分散伝達でき、かつクラッシュストロークが確保された左右のリヤサイドフレーム3及び4の後部範囲3B、4Bの円滑な潰れ変形によって効率的な衝撃荷重の吸収が得られ、乗員の安全性が確保できる。
【0042】
更に、リヤサイドフレーム3と4の後端を剛性を有する閉断面形状部材9によって互いに連結することによって、後方から衝撃荷重を受けた際、リヤサイドフレーム3及び4の後端が口開きする等の挙動が防止されることから、車体後部の変形が抑制されてその修復が容易になる。特に、衝撃荷重が比較的小さく、バンパビーム8が変形した際には、バンパビーム8の交換によって左右のリヤサイドフレーム3及び4の後端を連結する閉断面形状部材9を容易に再現できる。
【0043】
また、板厚が比較的大で補剛フレーム10によって補剛された剛性が高いリヤサイドフレーム3の前部範囲3Aとリヤサイドフレーム4の前部範囲4Aとの間に燃料タンクを配設することによって、衝撃荷重から燃料タンクが保護され、燃料タンクの破損が有効的に回避できる。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態ではバンパビーム8をリヤスカート7及びリヤサイドフレーム3、4の取付フランジ3a、4aに溶接して取り付けたが、リヤスカート7及びリヤサイドフレーム3、4の取付フランジ3a、4aに予めウエルディングナットを設け、バンパビーム8の上側フランジ8b及び下側フランジ8aをボルトによって取り付けるように構成することによって、修復作業をより容易にすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によると、前後方向に延在する左右のリヤサイドフレーム及びリヤサイドフレームの前部間に架設されたクロスメンバを備えた車体後部に、左右のリヤサイドフレームとクロスメンバとを連結する平面視略Y字状の補剛フレームを配設することによって、後方からの衝撃荷重を効率的に車体全体に分散伝達すると共に、過大な衝撃荷重が車体中央部に作用した際には、車体全体に分散伝達されずに残存する衝撃荷重によて補剛フレームが結合された中間位置より後方の後部範囲を円滑に潰れ変形させることによって有効的に衝撃荷重を吸収することができ、安全性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動車の車体後部構造の実施の形態の概要を示す車体後部の要部平面図である。
【図2】同じく、図1のA部側面図である。
【図3】同じく、要部分解斜視図である。
【図4】同じく、図1のI−I線断面図である。
【図5】従来の自動車の車体後部構造の概要を示す要部平面図である。
【図6】同じく、要部側面図である。
【図7】同じく、要部側面図である。
【符号の説明】
1 サイドシル
2 サイドシル
3 リヤサイドフレーム
3A 前部範囲
3B 後端部範囲
4 リヤサイドフレーム
4A 前部範囲
4B 後端部範囲
6 クロスメンバ
8 バンパビーム
9 閉断面形状部材
10 補剛フレーム
11 第1の傾斜フレーム
12 第2の傾斜フレーム
13 メインフレーム
20 リヤバンパ
P1 衝撃荷重
P2 衝撃荷重
Claims (4)
- 前後方向に延在する左右のリヤサイドフレーム及び車幅方向に延在して上記左右のリヤサイドフレームの前部間に架設されたクロスメンバを備えた自動車の車体後部構造において、
後端が一方のリヤサイドフレームの前後方向の中間位置に結合されて前方に移行するに従って次第に車体幅方向中央側に変移して前端が車体幅方向中央部に達する第1の傾斜フレームと、
後端が他方のリヤサイドフレームの前後方向の中間位置に結合されて前方に移行するに従って次第に車体幅方向中央側に変移して前端が車体幅方向中央部に達する第2の傾斜フレームと、
車体幅方向中央で前後方向に延在して前端が上記クロスメンバに結合しかつ後端が上記第1及び第2の傾斜フレームの前端に連結されたメインフレームとによって平面視略Y字状に形成された補剛フレームを備えたことを特徴とする自動車の車体後部構造。 - 上記各リヤサイドフレームは、リヤサイドフレームの前部から補剛フレームが結合される中間位置を含む前部範囲の板厚が、該前部範囲の後方に連続する後部範囲の板厚に比較して大であることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体後部構造。
- 上記左右のリヤサイドフレームの後端が互いに車幅方向に延在する中空状の閉断面形状部材を介して連結されたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の車体後部構造。
- 上記閉断面形状部材は、上記左右のリヤサイドフレームの後端が結合されるリヤスカートと、該リヤスカートの後面に車幅方向に延在して結合すると共にリヤスカートと協働して車幅方向に連続する中空閉断面形状を形成するバンパビームとによって形成されたことを特徴とする請求項3に記載の自動車の車体後部構造。
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