JP4570787B2 - タンパク質を分離する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
産業上の利用分野
本発明は水性二相系(Aqueous Two Phase System, ATPS)を用いたタンパク質の単離及び精製に関する。特に本発明は、水性二相系の中で、自らに結合した分子を二相のいずれか一相に移動させることができるターゲッティングタンパク質に目的分子を融合することにより、該分子を分離する方法を提供する。
【0002】
従来の技術
水性二相系における液−液抽出はタンパク質の単離と精製に有力な技術を提供する。液−液抽出による巨大分子や粒子の分離はよく知られている(Albertson, 1986; Walter et al., 1985; Kula, 1990)。液−液抽出においては主としてポリエチレングリコール(PEG)−塩系、PEG−デキストラン系およびPEG−でんぷん系が使用されてきた。近年、巨大分子の分離、特にタンパク質の分離に相応しい方法として、界面活性剤および逆溶解性の界面活性剤を用いる方法が見出された。
【0003】
水性二相系の利点は、特に、微生物のタンパク質の大量処理に適する点であり、微生物の培養上清液のみならず、微生物細胞や細胞の残渣を含む粗細胞抽出物からのタンパク質の精製に適している(Kula, 1979; Kula, 1985)。生体由来の液体及びその懸濁液の典型的な特徴は、そこに含まれる粒子のサイズが比較的小さく、液体と懸濁した固体との密度の差が小さく、そこに含まれる抽出物の粘度が高く、また、固体の圧縮性が高いことである(Hustedt et al., 1985; Bender and Koglin, 1986)。従来から用いられている遠心やろ過などのタンパク質回収工程の早い段階で行われる固−液分離法の精度が低いのは、これらの特徴に起因する。水性二相系を用いることにより、固体の除去工程を液−液分離工程に統合することができるので、細胞除去 (clarification) も初期精製工程に組み込まれる(Kula, 1979; Kula, 1985)。
【0004】
抽出工程の後、相分離は遠心のみならず重力による沈降によっても行うことができる(Kula, 1985)。水性二相系は非常に小さい実験室規模から大きな工業規模にまで適用可能であり、従って種々のタンパク質、目的および必要性に準じた使用が可能である。工業用目的では、分離時間を短縮化するために市販の遠心分離機を使用することができる。大容量の水性二相系を処理できるような様々な設計の遠心分離機の可能性について研究されている(Kula, 1979; Kula et al., 1981; Kula et al., 1982; Kula, 1985)。このような研究においては、ポリマー/ポリマー系またはポリマー/塩系を使用し、これらの結果は遠心分離機による水性二相系の連続分離の実現化の可能性を示した。
【0005】
標準的なポリマー/ポリマー系またはポリマー/塩系を用いた抽出系の代替法として非イオン系界面活性剤を用いる抽出系が報告されている。相を形成する界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレン型非イオン系界面活性剤が挙げられる。このタイプの水性二相系の原理は、極性エチレンオキシドのヘッド基が温度に依存して可逆的に水和されることにある。相分離が生ずる温度を曇点(曇点抽出)と称する。この種の水性二相系は特に両親媒性生体分子の抽出に適している。このような水性二相系を利用して細胞質や膜周辺タンパク質から膜結合タンパク質を分離する可能性については、Bordier(1981)によって初めて示された。Heusch および Kopp (1981)は、ポリグリコールエーテル/水系における混和性の不均衡によって形成されるラメラ構造によって疎水性物質が選択的に抽出できることを報告した。
【0006】
近年、界面活性剤を主成分とする水性二相系を用いた、グラム陽性菌Nocardia rhodochrousの菌体を含む培養液から膜に結合したタンパク質(コレステロールオキシダーゼ)の実験室規模での抽出に関する成功例が報告された(Minuth et al., 1995)。この例においては、菌体を含む培養液に化学物質を1種類のみ加えることで、均一相において細胞を可溶化して目的タンパク質を放出させ、第2工程においては、菌体の除去のみならず初期精製が、界面活性剤に富んだ相が分離する高温における抽出工程によって達成される。更に、界面活性剤を用いた抽出、有機溶媒抽出および陰イオン交換クロマトグラフィーによって膜に結合した酵素を製造するための新しい方法も開発され、分析に用いることができる酵素が得られた(Minuth et al., 1996)。
【0007】
水性二相系においては、目的物質、例えばタンパク質など、は選択的に一つの相(好ましくは軽い相)に分配され、他の物質はもう一方の相(好ましくは重い相)に分配されるべきである。PEG/塩、PEG/デキストランや同様の系では、物質の移動に関与する力として、電荷、物質の疎水性または親水性、あるいは物質の立体構造やリガンドとの相互作用が挙げられる(Albertsson, 1986)。界面活性剤を主成分とする水性二相系において分離を導く力は本質的に疎水性である(Terstappen et al., 1993)。水性二相系における物質の移動を予見するための研究がなされたとしても、どのようなモデルも実際の相の動態を示すことができず、予測することすらほとんど不可能である(Johansson et al., 1998)。
【0008】
水性二相系における分配係数は、上相中の目的タンパク質の濃度(酵素の場合は活性)を下相中の目的タンパク質の濃度(酵素の場合は活性)で割った数値として定義される。水性二相系における分配係数は通常1未満から100未満の範囲である(Terstappen et al., 1992; Terstappen et al., 1993)。
Figure 0004570787
収率は上相中の目的物質の総量を下相中の目的物質の総量で割った数として定義される。これにより、次の式が導かれる。
Figure 0004570787
仮に目的物質が重い相に移動する場合(Tritonを用いた場合に生じ得る)、収率は次の式で定義される。
Figure 0004570787
二つの同時に存在する相の容量の比は、軽い相の容量を重い相の容量で割った値として定義される。
Figure 0004570787
【0009】
精製の費用効率に問題がある有用なタンパク質の例としては、生物触媒として用いられる一般的な工業用酵素、即ち真菌類や細菌類によって生産されるグリコシルヒドロラーゼ、プロテアーゼおよびリパーゼなどがある。これらは、例えば、クリーニング業、織物、製紙、食品および飼料などの各産業で用いられている。微生物が生育中に多くの異なった酵素を産生すること、また、用途によっては好ましくない酵素が含まれていることを踏まえると、培養液中の活性成分を増量させる必要性が生ずる。このような活性成分の増量は、適当な生育条件の選択、遺伝子工学および/または生産工程における処理(例えば、活性成分の精製)によって達成することができる。
【0010】
一般にタンパク質の精製はクロマトグラフィーによって行われる。通常、ゲルクロマトグラフィ法はイオン交換、疎水性相互作用、アフィニティクロマトグラフィおよび分子篩いに基づいて行われる。また、電気泳動や晶析などの方法も利用できる。これらの方法はこの技術分野ではよく知られており、市場価値の高いタンパク質には相応しいものである。しかし、これらの方法による酵素のバルク生産は、最終製品を適正な価格レベルで維持するためにはあまりにも高価である。複数の酵素が同様の性質を有することから、いくつかの精製工程を経て相互にタンパク質を分離する必要がある。これにより、収量の低下が頻繁におこり、従って、回収する生産物のロスが多くなる。
【0011】
糸状菌であるトリコデルマ(Trichoderma)属によって生産される細胞外ヒドロラーゼは現在異なった産業分野で大量に使用されている。これらのヒドロラーゼとしては、例えば、ヘミセルラーゼ(キシラナーゼおよびマンナナーゼなど)、セルラーゼ(エンドグルカナーゼおよびセロビオヒドロラーゼ)およびプロテアーゼが挙げられる。これらの精製法はこの技術分野ではよく知られているが(Bhikhabhai et al.,1984; Pere et al., 1995)、大規模な工業用の精製に用いるにはあまりにも高価である。このような方法の代わりにヒドロラーゼ量を増加させる方法が用いられており、具体的には、遺伝子工学により不要な遺伝子を除去する方法が用いられてきた(Suominen et al., 1992)。しかし、広範な遺伝子工学的手法を凝らしてもいくつかの目的としない副次的な活性が最終製品に残ることがある。
【0012】
T. reeseiのセルラーゼの精製について水性二相系が研究され、エンドグルカナーゼIIIの精製では、上相に高濃度のタンパク質が得られるなど、いくつかの有望な結果が示された(米国特許番号 5,139,943)。また、リパーゼ、エンドキシラナーゼおよびナタマイシンの精製においても水性二相系が研究された(欧州特許番号 0 574 050 A1)が、しかし、K値やY値については述べられてはいない。
【0013】
タンパク質の他の精製法と同じように、水性二相系においても1つの生物由来の複数のタンパク質が共に類似した性質を有することは精製の障害となる。例えば、1つのタンパク質の選択的分離が至適値に達しなくなる。精製における選択性を得るために、特に、分析目的や高価格製品の精製ではアフィニティークロマトグラフィーが用いられる。具体例としては、免疫アフィニティクロマトグラフィーおよびこの技術分野ではよく報告されている様々な融合タンパク質を用いる手法が挙げられる。融合タンパク質を用いる手法としては、目的タンパク質を他のタンパク質(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)、タンパク質ドメイン(例えば、プロテインAのZZドメイン)または小ペプチド(例えば、His−タグ)等の固体担体と選択的に結合するタンパク質と融合させると、目的タンパク質も共に回収することができる。融合タンパク質は上記の目的には相応しいものではあるが、結合させたタンパク質を目的タンパク質から切離す工程が必要な場合もある。この技術分野では、融合させたタンパク質を融合相手のタンパク質から切離すための方法が知られており、例えば、X因子、トロンビンまたはパパインなどのプロテアーゼによる切断、プロテアーゼ切断部位(例えば、Kex2部位)や自己プロセッシング型ドメイン(例えばIntein, New England Biolabs製)等を遺伝子工学的手法に導入する方法、又は化学的切断(例えば、CNBrによる処理)などが挙げられる。
【0014】
固体担体を用いる分離系、例えば、アフィニティカラムに関連した技術と比べ、水性二相系は優れた利点を提供する。具体的には、酵素の大量抽出を通常、化学工業で用いられている市販の装置や機器を用いて比較的簡単に行うことができる。さらに、水性二相系は連続工程で使用することができ、少ない費用での大量処理が可能である。また、細胞分離、濃縮および精製を単一工程として実施できる。水性二相系による分離は、精製開始工程として使用できるが、バルク生産においては、さらにそれ以上の精製を必要としないのが常である。
【0015】
最近、二相系における選択的分離を促進するために、精製されるタンパク質にアミノ酸12個からなる小さいペプチドタグを融合する方法に関する報告がなされた。このような溶解性ペプチドの中でも最も選択的分離に適したものはトリプトファンを含むペプチドである。今のところ、この手法は主にブドウ球菌のプロテインAから誘導されたZZT0のような非常に小さい分子の精製に用いられている(Berggren et al., 1999; Hassinen et al., 1994; Koehler et al., 1991)。
【0016】
これまで水性二相系の使用は特定の目的物質に限られていた。タンパク質の分離、精製および局在化における水性二相系の利点に基き、高い選択性を示す、有効な方法が開発されるべきである。水性二相系は通常非常に安価であることから、最初の分離工程として、または、精製、細胞分離および濃縮を行うための単一工程として大規模なタンパク質の生産においては特に重要である。この水性二相系は、原理的には目的物質の大きさや生化学的な特性とはかかわりなく、目的物質を所望の相へ分離させるのに十分な威力をもった普遍的な系であるべきである。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明においては、水性二相系の中の所望の相に目的分子又は粒子を運搬し、必要な場合にはその相に留めておくことができるターゲッティングタンパク質に目的とする分子や粒子を融合し、目的とする分子や粒子を選択的に分離及び分配する方法について説明する。本発明はすべての生物工学的生産物に適用可能な水性二相系に関する。遺伝子工学によるタグ配列の付加、化学的結合、接着または他の技術を用いて選択されるべき産物にターゲッティングタンパク質を付加することにより、水性二相系における分離により適した形態に目的分子を転化することができる。水性二相系を用いると、生産物またはある特定の成分を一方の相へと移動させることができ、生産物以外の成分や副産物は他方の相へと移動させることができる。
【0018】
更に発明者等は、水性二相系においてターゲッティングタンパク質を使用することにより有効な分離ができることについても述べる。そのターゲッティングタンパク質は、前述した小さい水溶性の12アミノ酸以下の合成ペプチドタグよりも大きい(又は大きくすることができる)。これらのターゲッティング分子は小さい分子だけではなく大きなタンパク質や粒子の分離も促進することができる。このターゲッティング分子は小さいペプチドタグとは異なり、トリプトファン残基を含む必要性はないが、含んでいてもよい。また、ターゲッティング分子は、単量体又は凝集体のいずれかの形態において、疎水性であるか、或は適度の疎水性及び/又は両親媒性である。このようなタンパク質は天然のものでも、合成されたもの、例えばこの技術分野で知られている突然変異体の作成、遺伝子シャッフリングまたは特異的進化の誘導(directed evolution)などの方法で得られるものを用いることができる。好ましいターゲッティング分子のスクリーニングは、例えば天然の配列や変異した配列からなるライブラリーの配列に目的産物に融合し、水性二相系における融合分子の分離を指標としてスクリーニングすることができる。
【0019】
精製したタンパク質に対応する遺伝子を単離するための技術を利用して、水性二相系に適したターゲッティング分子をコードする遺伝子を検出することができる。適切なタンパク質またはポリペプチドをそれらの特性に基づいて精製する。具体的には、細胞、細胞抽出物又は培養液を水性二相系による分離に付し、疎水性の相形成化学物質を含む相へと分離されたタンパク質又はペプチドを回収する。また、適切なターゲッティング分子は、例えば、微生物の培養中に形成された泡沫や、培養液にガスを吹きこんで形成した泡沫からも回収することができる。さらに、ターゲッティング分子として適切なタンパク質やペプチドは培養液の凍結によって生じるる凝集塊からも回収することができる。このターゲッティング分子を精製した後、その分子に対応する遺伝子を当業者が熟知した技法で単離する。これらの技術として、例えば、精製したポリペプチドまたはペプチドに対する抗体を用いた発現遺伝子ライブラリーのスクリーニング、およびPCRを用いたクローニング並びにN−末端配列または内部タンパク質配列を基に設計したオリゴヌクレオチドを用いたゲノムおよび/またはcDNAライブラリーのスクリーニングが挙げられる。
【0020】
水性二相系に用いるターゲッティングタンパク質として相応しい天然の分子としては、ヒドロフォビン様の小タンパク質が挙げられる。ヒドロフォビン類は、近年糸状菌で発見された興味深い物理化学的特性を備えた分泌性のタンパク質である(Wessels, 1994; Woesten and Wessels, 1997; Kershaw and Talbot, 1998)。これらは通常約70から160のアミノ酸からなる小さいタンパク質で、保存性の高い8個のシステイン残基を有し、通常トリプトファンを含まない。しかし、1つまたは複数のヒドロフォビンドメインと、例えばプロリンに富む配列やアスパラギン/グリシンの繰り返し配列を有するマルチモジュールタンパク質、或はシステイン残基が8個未満であるヒドロフォビンについても特徴付けが行なわれている(Lora et al., 1994; Lora et al., 1995; Arnts and Tudzynski, 1997)。ヒドロフォビンはそのヒドロパシー分析(hydropathy profile)の結果に基づいて2つのクラスに分類されている(Wessels, 1994)。
【0021】
今日、ヒドロフォビンに関する30以上の遺伝子配列が報告されている、タンパク質に関するデータの大部分が存在するのはSchizophyllum communeのSc3p(クラスI)、Ophiostoma ulmiのセラトウルミン(cerato-ulmin)およびCryponectria parasiticaのクリパリン(cryparin)(クラスII)のみである(Woesten and Wessels, 1997)。HFB遺伝子は生来よく発現される遺伝子であるが、培養に必要な特殊な条件およびこのタンパク質の生化学的特性によって大規模なHFBの精製は難しかった。例えば、Sc3ヒドロフォビンの静置培養においては、1リットルあたり数mgという比較的少ない産生レベルしか達成されない(Han Woesten, 個人的情報に基く)。既に報告されている精製法には、例えば、有機溶媒を用いた複数工程による菌体の細胞壁からの抽出や、培養ろ液にガスを吹きこむか凍結する方法が含まれる(Wessels, 1994)。ヒドロフォビン生産の成功例は報告されていない。例えば、得られたセラトウルミンのレベルは、他の真菌類で生産された天然のセラトウルミンの単離レベルより高くはなかった(Temple et al., 1997)。
【0022】
ヒドロフォビンを含む溶液を振とうすると、このタンパク質の単量体は小棹状の凝集体を形成する。これらの構造は気中構造の表面にみられる構造と同様である。精製されたSc3ヒドロフォビンは、親水性の相と疎水性の相の表面に厚さ10nmの両親媒性の層として自己集合することが報告されている(Woesten et al., 1994a; Woesten et al., 1994b)。このフィルムは相の表面に非常に強固に結合しており、例えば、熱い界面活性剤を用いても壊れない。親水性の相の表面に形成された層の疎水性の側はテフロンと同様な特性を示す(Wessels, 1994)。Sc3集合体は、セラトウルミンやクリパリンの集合体と同様に、気−液または気−空気の界面で形成され、水中の気泡または油滴を安定化させている。
【0023】
一般にタンパク質の表面活性は低いが、ヒドロフォビンは表面活性の高い分子に属し、これらの界面活性能力は少なくとも伝統的な生物界面活性剤である糖脂質、リポペプチド/リポタンパク質、リン脂質、中性脂肪および脂肪酸と同等である(Woesten and Wessels, 1997)。実際、Sc3ヒドロフォビンは知られている中で最も活性の高い生物界面活性剤である。Sc3は単量体の両親媒性フィルムへの自己集合による立体構造の変化によって50μg/リットルの濃度で、表面張力を24 mJm2へと下げる(Woesten and Wessels, 1997)。
【0024】
ヒドロフォビン様分子には様々な特性がある。例えば、小棹状−凝集体形成能力はすべてのヒドロフォビンに(例えばクラスIIの数種には)与えられているわけではなく、また安定した凝集体を造る傾向に乏しいものもある(Ruso et al., 1992; Carpenter et al., 1992)。他の真菌類由来の両親媒性タンパク質としてははっ水剤(repellant)が挙げられる(Woesten et al., 1996(Ustilago), Kershaw and Talbot, 1998参照)。従って、水性二相系のターゲッティングタンパク質として相応しい他のタンパク質は、ヒドロフォビン類に与えられた特徴のいくつかだけを持っている。他の好ましいタンパク質としては、例えば、リパーゼ、コレステロールオキシダーゼ、膜結合タンパク質、ナイシン等の小ペプチド薬、凝集性の細胞壁タンパク質、リポペプチドまたはこれらタンパク質の部分ペプチドやこれらタンパク質の混合物、並びにタンパク質やペプチドと結合した糖脂質、リン脂質、中性脂肪および脂肪酸などが挙げられる。
【0025】
本発明では、ヒドロフォビン様タンパク質またはその部分ペプチドなどのターゲッティングタンパク質は、分離すべき生産目的分子または成分と結合している。最初に相形成化学物質と、可能な場合には最終的に加えることになる塩とを融合分子または成分と、場合によっては不純物も含む水溶液に加える。加えた物質の溶解性を高めるためにそれらを混合する。それらが混合されるとすぐに重力による沈降かまたは遠心分離によって二相を形成させる。分離工程においては、ターゲッティングタンパク質は生産物を、例えば、上相または下相のいずれかの相のうち、界面活性剤に富む相へと移動させる。この方法は目的の生産物の精製に役立つばかりではなく、生物触媒などの目的の生産物や成分を有用な生化学的反応を行うための特定の相に維持するためにも有効である。
【0026】
本発明の実施に適した水性二相系がいくつか存在する。このような系にはPEGを含む系、界面活性剤を主成分とする系および新規な熱分離性ポリマー系が挙げられる。界面活性剤を主成分とする系としては非イオン性、両性イオン性、陰イオン性または陽イオン性のものを使用することができる。この系は両親媒性の重合性界面活性剤、ミセル形成ポリマーを主成分とすることもできる。新規のポリマー系としては、プルロニックブロック共重合体、ブリジ系界面活性剤、非エステル化体にポリオキシエチレン鎖を加えて造る脂肪酸を部分エステル化したポリオキシエチレン誘導体およびポリオキシエチレン誘導体などのポリエチレン−ポリプロピレン共重合体を主成分とする系が挙げられる。よく知られているPEG/塩系、PEG/デキストラン系、PEG/でんぷん系(またはレパール(Reppal))、ヒドロキシプロピルでんぷんなどの誘導体)においては、PEGと水が上相を形成し、デキストラン/でんぷん/塩と水が下相を形成している。塩としてはリン酸塩、クエン酸塩、硫酸塩または他の塩が用いられる。本発明の方法では、不純物のほとんどが主に下相に分配される一方、目的物は主として上相に分配される。いくつかの疎水性の不純物は上相に分配されることがある。界面活性剤を主成分とする系においては、1種の相形成性の界面活性剤のみを加えなければならない。任意に塩と他の化学物質も加えることができる。これらの化学物質を加えたら溶液を混合する。混合後、遠心力か重力による沈降で相分離を行う。二相に分離させるためには、溶液の温度は界面活性剤の曇点よりも高くしなくてはならない。溶液の温度が曇点に到達していない場合には加熱する必要がある。必要な場合には、第一の抽出工程の後に、目的物に富んだ相をさらに第二の分離工程において精製することができる。また、目的物をあまり含まない相や副産物に富んだ相の再抽出もできる。以上により、非常によいK値が得られ、高い収率および濃度係数が達成される。
【0027】
本発明の方法は、実験室規模でも有利に使用することができるが、特に、大規模な分離に適している。この方法は大量培養物からタンパク質や成分を分離する際に有意に使用することができる。この方法では、遺伝学的修飾を用いて、セルラーゼおよびヘミセルラーゼなどの細胞外酵素やタンパク質などのいかなるタンパク質も、例えば1リットルあたり数グラムのタンパク質を含むような大量の混合物から精製することができる。さらに、この分離法では、特にセルロースや麦芽かす(spent grain)等の特別な物質を含む様々な工業溶媒地からの目的物質の分離が可能である。また、この方法は、内因性ヒドロフォビン類を産生しないように修飾した菌株の培養液から目的物を精製するために使用することができる。目的物質の分離は、菌体を含む培養液、例え菌体が粘性のある糸状菌の場合でも、培養液から直接行うことができる。実施例9で説明する通り、この方法は菌体量のレベルが高い場合であっても実施することが可能である。例えば、クラス2のHFBIをタグとして付加することが可能な真菌Trichoderma reeseiの細胞外エンドグルカナーゼIを、例えば、非イオン系ポリエチレンC12−C18EO5を用いて分離することができる。このような例においては、界面活性剤に富む相は軽い相であり、タグを付したグルカナーゼの大部分が含まれている。その一方、セルラーゼ、プロテアーゼおよび他の酵素は主に重い相中に残る。菌糸体も同様に下相へと分離される。分離は25℃を超える温度でなされる。この温度は、NaClやK2SO4のような塩が加えられた場合には低下する。
【0028】
本発明は細菌、酵母および糸状菌などの様々な異なった微生物が産生する分子の分離法について述べるものである。本発明は、細胞壁に結合した分子も含め、細胞内または細胞外に局在する産生された分子の精製に適した方法である。本発明は融合分子がどのようにしてこれらの異なった微生物から分泌されるかを例示するのみならず、どのようにして細胞内で融合タンパク質が産生されるのかにつても例示する。
【0029】
本発明は、さらに、いくつかのドメインからなる融合分子がいかにして構築され、首尾よく発現され、且つ、産生されるかについても述べるものである。本発明は、ターゲッティング分子として小さいタンパク質(CBD)、中程度の大きさのタンパク質(EGI)及びグリコシル化した巨大タンパク質(FloI)と、種々のドメインとの融合について述べるものである。これらの分子は、例えば生物工学の分野においてすぐにでも使用できるものである。一方、産生物は、例えばトロンビン、X因子、パパインなどのプロテアーゼによる切断や化学的切断など、この技術分野で知られている方法によってターゲッティングタンパク質から容易に切離すことができる。さらに、生産物をターゲッティングタンパク質から分割した後には水性二相系を用いて分離することが好ましいが、この技術分野で知られている他の方法で分離することもできる。
【0030】
ターゲッティングタンパク質は大きな粒子でさえも水性二相系の希望する相へと運搬できることは驚くべき特徴である。これは、真菌類の胞子や分生子などの粒子が既にターゲッティングに適したタンパク質を含む場合になし得る。ターゲッティングタンパク質は、また、in vivoで粒子や複合物に結合することができる。細胞が分離される場合、ターゲッティングタンパク質は組換え体細胞の細胞表面に存在するように発現され、水性二相系において細胞の分離を仲介する。これがどのようになされるかについては実施例22に示す。ターゲッティング分子を細胞表面に存在せしめるその他の分子については、例えば、細菌の膜外タンパク質や脂質タンパク質(Stahl and Uhlen, 1997)および酵母タンパク質α−アグルチニンおよびフロクリンに関する文献(Schreuder et al., 1996; Klis et al., (1994) WO 94/01567; Frenken (1994) WO 94/18330)を参照することができる。
【0031】
この系のさらなる利点は、水性二相系と本発明を組合わせることで、生産物または目的の成分を他の不必要なタンパク質または目的としないタンパク質のみならず、実施例6に示すようにプロテアーゼのような有害なタンパク質と分離する方法を提供することである。このように、本発明は、例えば、異種の宿主中では通常は限られた量しか産生されることのない哺乳類の感受性の高いタンパク質などの、特に異種タンパク質の生成と精製に適している。このようなタンパク質は、例えば、抗体またはそれらの断片、インターフェロン、インターロイキン、酸化的酵素および宿主の中で生成される何らかの外来性タンパク質である。生成物の例えば培養液からの分離は、順次または準連続的に行うことができ、これにより、培養液中に存在するプロテアーゼや他の有害なタンパク質の影響を最少にすることができる。本発明は、目的産物が細胞内で生成された場合、例えば、内包体が形成されているような場合、細胞抽出物から異種産物を分離する方法も提供する。
【0032】
本発明は、ヒドロフォビン様分子の非常に独特な特性にもかかわらず、ヒドロフォビン様分子を含む融合タンパク質の大量生産について初めて記載するものである。重要なことに、本発明は、また、ヒドロフォビン様のタンパク質などのタンパク質を大量に産生する組換え体の製造方法についても記載する。このような方法によって、in vitroで生産物や粒子に結合しているターゲッティングタンパク質を得るために必要なターゲッティングタンパク質の製造方法を提供し、
さらに水性二相形を用いた分子や粒子の分離を可能にする。
【0033】
重要なことであるが、本発明は、高いK値を達成して効率よくヒドロフォビン様分子を水性二相系の中で精製する方法についても記載する。このヒドロフォビン様分子は、上述した融合分子と同様に、例えば、PEG系や界面活性剤を主成分とする系により分離することができる。分離は培養液または培養細胞を用いて行なうことができる。本発明は、その特性により精製が非常に複雑で、上述の通り以前の報告ではロスが生じていたヒドロフォビン様分子を含む精製物を得るための、著しく改善された方法を提供する。
【0034】
以下に挙げる本発明の融合タンパク質の構築、及び本発明の方法を用いた目的分子の分離に関する実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
【0035】
実施例1
トリコデルマ属菌のcbh1プロモーターとgpdh1プロモーター、並びにアスペルギルス属菌のgpdAプロモーターのそれぞれの制御下でEGI−HFBI融合タンパク質とEGIコア−HFBI融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築
【0036】
EGI−HFBI融合タンパク質を構築するために、hfb1遺伝子(配列番号1)のコード領域(23番目のSerから終始コドンまで)とその上流に位置するペプチドリンカー(Val Pro Arg Gly Ser Ser Ser Gly Thr Ala Pro Gly Gly)をPCRで増幅した。テンプレートとしてpTNS9、5’プライマーとして[TCG GGC ACT ACG TGC CAG TAT AGC AAC GAC TAC TAC TCG CAA TGC (CTT] GTT CCG CGT GGC TCT) AGT TCT GGA ACC GCA(配列番号2)、3’プライマーとしてTCG TAC GGA TCC TCA AGC ACC GAC GGC GGT(配列番号3)を用いた。pTNS9の詳細については実施例19で説明する。5’プライマーにおいて大カッコで囲った配列はEGIのC末の16アミノ酸残基をコードし、小カッコで囲った配列はトロンビン切断部位であり、下線したCACTACGTGはDraIIIサイトである。3’プライマーの下線したGGATCCはBamHIサイトである。280bpのPCR断片をアガロースゲルから精製し、pGEM-T T/Aベクター(Promega製)に連結してpMQ102を得た。
【0037】
EGIコア−HFBI融合タンパク質を構築するために、hfb1遺伝子のコード領域(上記と同じ)をPCRで増幅した。テンプレートとしてpTNS9、5’プライマーとして[ACT ACA CGG AGG AGC TCG ACG ACT TCG AGC AGC CCG AGC TGC ACG CAG] AGC AAC GGC AAC GGC(配列番号4)、3’プライマーとして配列番号3の配列を用いた。5’プライマーにおいて大カッコで囲った配列はEGIの410〜425アミノ酸をコードし、下線したGAGCTCはSacIサイトである。260bpのPCR断片をアガロースゲルから精製し、pPCRII T/Aベクター(Invitrogen製)に連結してpMQ111を得た。
【0038】
次に、EGI−HFBI融合タンパク質とEGI領域−HFBI融合タンパク質をそれぞれトリコデルマ属菌のcbh1プロモーターとターミネーターの存在下で発現させるためのトリコデルマ属用発現ベクターを構築した。構築物の骨格となる発現ベクターとしては、pPLE3(Nakari et al. (1994) WO 94/04673)を用いた。pPLE3はpUC18を骨格として有し、EcoRIサイトに挿入したcbh1プロモーター(配列番号5)を含んでいる。cbh1プロモーターは、全長egl1cDNA(配列番号6)コード領域とcbh1転写ターミネーター(配列番号7)に発現可能な状態で連結している。プラスミドpMQ102をDraIII及びBamHIで消化してhfb1遺伝子及びリンカー配列を含む280bpの断片を得、アガロースゲルから精製し、DraIII及びBamHIで消化したpPLE3に連結した。プラスミドpMQ111はSacI及びBamHIで消化し、そこからhfb1遺伝子を含む260bpの断片を得、得られた断片をSacI及びBamHIで消化したpPLE3に連結した。この様にして得られたプラスミドpMQ103(図1)は、ペプチドリンカーを介してHFBIに連結した全長EGIのコード領域を有し、プラスミドpMQ13(図2)は自らのリンカー領域を介してHFBIに連結したEGIコアのコード領域を有している。いずれのプラスミドにおいても、挿入した遺伝子はcbh1プロモーター配列及びターミネータ配列の制御下にある。
【0039】
EGI−HFBI融合タンパク質とEGIコア−HFBI融合タンパク質を、トリコデルマ属菌のgpdh1プロモーターとターミネーターの存在下で発現させるためのトリコデルマ属用発現ベクター及びアスペルギルス属菌のgpdh1プロモーターとtrpCターミネーターの存在下で発現させるためのトリコデルマ属用発現ベクターを以下のようにして構築した。アダプター配列をアニーリングして得たプライマー TAA CCG CGG T(配列番号8)とCTA GAC CGC GGT TAA T(配列番号9)を用いてpMV4のXbaIサイトとPacIサイトの間にSacIIサイトを挿入した。その結果、プラスミドpMVQを得た。pMV4はpNEB193(New England Biolabs製)を骨格として有し、SalI-XbaIサイト及びBamHI-AscIサイトにそれぞれ1.2kbのトリコデルマ属のgpdh1プロモーター(配列番号10)と1.1kbのgpdh1ターミネーター(配列番号11)が挿入されている。EGI−HFBI発現カセット及びEGIコア−HFBI発現カセットをそれぞれSacIIとBamHIを用いてpMQ103とpMQ113から切り出し、アガロースゲルで精製し、SacIIとBamHIで消化したpMVQに連結した。その結果として得られたプラスミドpMQ104(図3)はEGI−HFBI発現カセットを有し、プラスミドpMQ114(図4)はEGIコア−HFBI発現カセットを有している。いずれのプラスミドもトリコデルマ属の転写制御配列の制御下にある。EGI−HFBI発現カセットがアスペルギルス属菌のgpdh1プロモーターとtrpCターミネーターに発現可能な状態で連結している発現プラスミドpMQ105(図5)及びEGIコア−HFBI発現カセットがアスペルギルス属菌のgpdh1プロモーターとtrpCターミネーターに発現可能な状態で連結している発現プラスミドpMQ115(図6)をそれぞれ構築した。EGI−HFBI発現カセット及びEGIコア−HFBI発現カセットをそれぞれXbaIとBamHIを用いてpMQ104とpMQ114から切り出し、T4 DNAポリメラーゼを用いて末端を平滑化し、NcoIで消化した後にT4 DNAポリメラーゼで処理したpAN52-1(配列番号12)に連結した。pAN52-1はpUC18を骨格として有し、A. nidulansの2.3kbのgpdAプロモーターと0.7kbのtrpCターミネーターを有している。
【0040】
実施例2
セルラーゼ誘発培地およびセルラーゼ抑制培地でHFBIを過剰産生させるためのベクターの構築
【0041】
cbh1プロモーターの制御下でHFBIを過剰発現させるために、テンプレートとしてpEA10(Nakari-Setala et al.)を用いてhfb1遺伝子のタンパク質コード領域をPCRで増幅した。pEA10はhfb1コード配列とそれに隣接する配列を含む、ゲノム由来の5.8kbのSalI断片を有する。PCRには5’プライマーとして [GTC AAC CGC GGA CTG CGC ATC] ATG AAG TTC TTC GCC ATC(配列番号13)、3’プライマーとして配列番号3の配列を用いた。5’プライマーの大カッコ内の配列は、対応する遺伝子の翻訳開始サイトに隣接する21bpのcbh1プロモーターであり、下線したC CGC GGはKpsIサイトである。得られた430bpの断片をKspIおよびBamHIで消化し、KspIおよびBamHIで消化したpMQ103に連結した。その結果として得られたpMQ121(図7)は,cbh1の転写制御配列と発現可能な状態で連結しているhfb1のコード配列を有する。pEA10プラスミドはセルラーゼ抑制状態における、HFBIの過剰産生に用いられる。
【0042】
実施例3
Trichoderma属菌の形質転換並びにEGI-HFBI融合タンパク質産生クローン、EGIコア-HFBI融合タンパク質産生クローン及びHFBI過剰産生クローンの精製
【0043】
Trichoderma reeseiのQM9414株(VTT-D-74075)とRut-C30株(VTT-D-86271)をそれぞれ3〜13μgのプラスミドと1〜3μgの選択用のプラスミドでコトランスフェクトした。プラスミドとしてはpMQ103, pMQ113, pMQ104, pMQ1114, pMQ105, pMQ1115, pMQ121及びpEA10を用い、選択用のプラスミドとしてはpToC202, p3SR2またはpARO21を用いた。pToC202(骨格はpUC19)及びp3SR2(骨格はpBR322)はamdS遺伝子 (Hynes et al, 1983; Tilburn et al, 1983) を含むA. nidulansゲノム断片である、2.7kbのXbaI断片と5kbのEcoRI-SalI断片をそれぞれ含んでいる。pARO21は実質的にpRLMex30(Mach et al, 1994)と同じであり、T. reeseiの730bpのpki1プロモーターと1kbのcbh2ターミネーターに発現可能な状態で連結しているE. coli のhph遺伝子を含んでいる。Amd+及びHyg+の形質転換体を得、それをアセトアミド含有培地及びヒグロマイシン含有培地のプレートにそれぞれ3回づつストリークした(Pentitila et al, 1987)。その後、ポテトデキストロースアガー(Difco製)で形質転換体を培養し、そこから胞子懸濁液を調製した。
【0044】
EGI-HFBI融合タンパク質、EGIコア-HFBI融合タンパク質及びHFBIの産生をスロットブロッティング又はウエスタンブロッティングで検出した。検出には、グルコース、ラクトース、またはソルカフロックセルロース(Solka flock cellulose)及び/又は麦芽かす (spent grain) 及び/又はホエーを添加した最少培地を用いた振とう培養液又はマイクロプレート培養液から抽出した、EGI特異的抗体及びHFBI特異的抗体を用いた。融合タンパク質産生クローンの胞子懸濁液は選択培地(アセトアミド又はヒグロマイシン含有)を用いて単一胞子となるまで精製した。上記のようにして融合タンパク質の産生を分析し、最も多量に融合タンパク質を産生するクローンを決定した。
【0045】
更なる大量培養に用いるT. reesei株としては、VTT-D-98692 (pEA10), VTT-D-98492 (pMQ121), VTT-D-98693 (pMQ103), VTT-D-98691 (pMQ113), VTT-D-98681 (pMQ105)及びVTT-D-98682 (pMQ115) を選択した。いずれも親株がQM9414株である菌株である。VTT-D-99702 (pMQ113) の親株はRut-C30株である。
【0046】
実施例4
EGI-HFBI融合タンパク質産生株、EGIコア-HFBI融合タンパク質産生株及びHFBI過剰産生株の培養
【0047】
cbh1プロモーターの制御下で産生されるEGI-HFBI融合タンパク質及びEGIコア-HFBI融合タンパク質を、それぞれT. reesei株である VTT-D-98693 (pMQ103)とVTT-D-98691 (pMQ113)を15リットルのファーメンターで培養して産生した。各株は4%のソルカフロックセルロース(ドイツ国、ベルリン、James River Corporation製)と2%の麦芽かす(フィンランド国、コスケンコルバ、 Primalco製)を添加した最少培地(Penttila et al, 1987)を用いて5日間培養した。EGIコア-HFBI融合タンパク質については、Rut-C30株である VTT-D-99702 (pMQ113)を4%のラクトースを含有する培地を用いてファーメンター(15リットル)での培養でも産生した。AspergillusのgpdAプロモーターの制御下におけるEGI-HFBI融合タンパク質及びEGIコア-HFBI融合タンパク質の産生を誘導するために、それぞれT. reesei株である VTT-D-98681 (pMQ105)とVTT-D-98682 (pMQ115)を15リットルのファーメンターで培養した。各株は2%のグルコース、0.2%のペプトン及び0.1%イーストエキスを添加した最少培地(Penttila et al, 1987)を用いて3〜5日間培養し、その間、培地のグルコース濃度が1〜3%の範囲内に保たれるようにグルコースを供給した。HFBI過剰産生株である VTT-D-98692 (pEA10)も同様に15リットルのグルコース含有培地で培養し、cbh1プロモーターの制御下でHFBIを過剰産生する株であるVTT-D-98492 (pMQ121)は4%のソルカフロックセルロースと2%の麦芽かすを含有する培地を用い、15リットルのファーメンターで7日間培養した。対照としては、形質転換体の親株であるQM9414 (VTT-D-74075)とRut-C30 (VTT-D-86271)をそれぞれ上記と同様に (i) ソルカフロックセルロースと麦芽かすを含有する培地、(ii) ラクトース含有培地、又は(iii) グルコース含有培地で培養した。
【0048】
適切な場合には、T. reeseiの形質転換体及びその親株のうちの何株かを3%のソルカフロックセルロースと1%の麦芽かすを含有するTricoderma最少培地(Penttila et al., 1987)又は3〜4%のグルコースを添加したTricoderma最少培地を50〜150mlを用いてフラスコで振とう培養した。尚、グルコース添加培地を用いた場合には、グルコースを供給しながら培養した。
【0049】
実施例5
標準的な分離アッセイおよび分析
【0050】
以下の実施例においては特に断りのない限り、標準的な水性二相系による分離及びそれに続く分析や計算は、本実施例で説明する方法で実施した。
【0051】
標準的な方法として、培養液全体、上清(遠心または濾過で菌体を除去)または精製したタンパク質を含む緩衝液を10mlの目盛付き試験管に移した。最初に、試験管に界面活性剤を加え、そこに全体の容量が10mlとなるようにタンパク質を含む溶液を加えた。試験管中の界面活性剤の量は界面活性剤の重量パーセントで計算した。オーバーヘッドシェーカーで完全に混合した後、ウォーターバスで温度を一定に保ちながら重力によって相分離を行うか、または、一定温度で遠心して相分離を促した。分離は通常30℃で行ない、使用した界面活性剤の量は2〜5% (v/v)であった。分離後、両相の容量の比を記録し、軽い相および重い相の各々から分析用試料を採取した。
【0052】
分離した2つの相をSDS−PAGEゲルを用いて定性的に分析し、融合タンパク質をクーマシーブリリアントブルーR−250(Sigma社製)またはウェスタンブロッティング法で可視化した。ウェスタンブロッティング法では、EGIコア−HFBI、EGI−HFBIおよびdCBD−HFBIの各タンパク質を検出するために、HFBIポリクローナル抗体をアルカリホスファターゼ結合抗ウサギIgG(Bio-Rad社製)と供に使用した。アルカリホスファターゼ活性はNTB(ニトロブルーテトラゾリウム)(Promega社製)と共にBCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸)を使用して比色定量した。
【0053】
上相に混在する内因性のEGI、CBHIおよびEGIIIの各タンパク質は適当な抗体を用いて試験した。上相および下相の酸性プロテアーゼ活性は、基質のヘモグロビンが30分間でどれだけ酵素的に加水分解されるかに基づくSAP法(Food Chemicals Codex, p. 496-497, 1981)で試験した。すべての反応はpH4.7、40℃で行なった。加水分解されなかった基質は14%のTCAで沈殿させ、濾過により除去した。遊離したチロシンとトリプトファンは分光光度計で定量した。全タンパク質濃度はNon-Interfering Protein AssayTM(Geno Technology, Inc社製)で定量した。
【0054】
EGI活性は基質として4−メチルウンベリフェリル−β−D−セロビオシド(MUC)(Sigma M6018、 Sigma社製)を用いて測定した(Van Tilbeurgh H. and Caeyssens M., 1985; Van Tilbeurgh et. al., 1982)。EGIはβ−グリコシド結合を加水分解して蛍光性の4−メチルウンベフェロンを遊離するので、360nmの励起フィルターと455nmの発光フィルターとを備えた蛍光計で測定することができる。CBHIも基質を加水分解するが、セロビオース(C-7252、 Sigma社製)の添加により阻害される。EGIを含む液体に50mMの酢酸ナトリウム、0.6mMのMUCおよび4.6mMのセロビオースを含む緩衝液(pH5)を加えて希釈した。次に混合液を50℃に加熱した。反応開始から10分後に2%のNa2CO3溶液(pH10)を用いて反応を停止した。精製したCBHIについては、阻害剤であるセロビオースを加えずにEGIのアッセイと同じ方法で検出した。
【0055】
分配係数Kは上相のタンパク質濃度または活性と下相のタンパク質濃度または活性との比と定義した。
収率Yは次の式で定義した:
Figure 0004570787
式中、YTは上相の収率を示し、VBおよびVTはそれぞれ下相および上相の容量を示す。下相の収率(YB)も同様に記述される。
【0056】
実験の完全性を保つために、質量の収支(例えば、加えたすべてのタンパク質の回収率)を常にチェックし、(例えば、下相の酵素タンパク質の不活性化による)人為的に高い収率量とならないよう注意した。この数値は、通常全酵素活性(EGIタンパク質重量とEGI融合タンパク質重量の合計)に基づいて計算したので、実施例16に示したように、融合タンパク質の分離に関するこれらの数値は過少数値であった。
【0057】
実施例6
小規模のATPSによる分離とゲルを用いた分析
【0058】
cbh1プロモーターの制御下で産生されるEGI-HFBI融合タンパク質及びEGIコア-HFBI融合タンパク質は、実施例4に記載された通り、それぞれT. reesei VTT-D-98693 (pMQ103)株とVTT-D-98691 (pMQ113)株をソルカフロックセルロース及び麦芽かすを添加した培地を用いて15リットルのファーメンターで培養して産生し、上述したように小規模の水性二相系を用いて分離した。
【0059】
分離した2つの相をSDS−PAGEゲルを用いて定性的に分析し、融合タンパク質をクーマシーブリリアントブルーまたはウェスタンブロッティング法で可視化した。クーマシー染色したSDS−PAGEゲル(10%)を図8に示した。抽出を行っていない培養液のレーン(試料を水で1/10希釈)では、近接した3本のはっきりとしたバンドがみられた。一番上のバンドはCBHIに相当し、中間のバンドはEGIコア−HFBI融合タンパク質、下のバンドは内因性のEGIのバンドである。水性二相系で分離された試料では、下相の試料からは2つのバンド(CBHI及びEGI)のみがみられ、また、上相の試料からはEGIコア−HFBI融合タンパク質を示す1つのバンドがみられた。
【0060】
HFBI抗体を用いたウェスタンブロッティングの結果では、上相からは濃いバンドが検出されたが、下相からは弱いバンドしか検出されず、融合タンパク質が界面活性剤を含む上相へと顕著に分離されることを示した。図9は、セルロース培地で産生されたEGIコア−HFBI融合タンパク質が上相へと分離されることを示している。上相に混在する内因性のEGIおよびEGIIIについて抗体で試験したところ、何も検出されなかった。
【0061】
CBHI抗体を用いてウェスタンブロッティングを行ったところ、上相に少量の内因性CBHIが検出された。上相からはEGI、EGIII及びプロテアーゼは検出されなかった。上相をに混在するCBHIを除去するために2%の界面活性剤で再抽出した。図10は、再抽出後の上相にはもうCBHIは存在せず、精製された融合タンパク質が回収されたことを示している。
【0062】
EGIコア-HFBI融合タンパク質は、4%ラクトース含有培地を用いてRut-C30 VTT-D-99702 (pMQ113) 株をファーメンター(15リットル)で培養し産生した。標準の手順で実施した水性二相系による分離ではセルロース培地を用いた際の結果と実質的に同じ結果であり、本発明分離方法は複数の培地から大量にタンパク質を精製する必要がある工業使用が可能であることが示された。
【0063】
上相中の酸性プロテアーゼ活性を下相と比較すると、上相は下相のたった1/15であった(表参照)。
【表1】
Figure 0004570787
【0064】
1:VTT-D-98691倍溶液の濾液を2%界面活性剤で分離した下相の1/10希釈液
2:VTT-D-98691倍溶液の濾液を2%界面活性剤で分離した下相の1/100希釈液
3:1HUTとは、この反応条件で1分間にヘモグロビンを加水分解し、形成された加水分解物の275nmにおける吸光度が0.006N塩酸溶液1mlあたり1.10μgのチロシンに相当する酵素濃度
【0065】
これらの結果は、本発明の方法で融合タンパク質が非常に有効に精製できること、また、得られた調製物がプロテアーゼなどの菌類によって産生される他のタンパク質を含まないことを示している。
【0066】
実施例7
トロンビンによる消化で得られる未修飾EGIの、水性二相系を用いた回収
【0067】
VTT-D-98693株によって産生されたEGI−HFBIタンパク質はEGI CBDとHFBIとの間に位置するリンカー領域にトロンビン切断部位(LVPRGS)を有しており、トロンビンでの消化によって未修飾EGIが容易に回収できるように設計されている。EGI−HFBI融合タンパク質は、実施例4に記載された通り、VTT-D-98693株を4%のソルカフロックセルロースおよび2%の麦芽かすを添加した培地を用いて培養した培養液の濾液(100ml)から水性二相系(5%界面活性剤)を用いて精製した。下相を除去した後、界面活性剤相をイソブタノールで抽出した。得られた水相(19ml以下)をエッペンドルフ管(eppendorf tube)に分注し、高速真空乾燥機で液体を蒸発させた。残留した乾固物は50mlのTris−Cl(pH8)で希釈した。トロンビンによる切断を試験するために、1mgのEGI−HFBI融合タンパク質に9単位のトロンビン(Sigma社製)を加え、36℃で24時間以上インキュベートした。SDS−PAGEゲル(10%)をクーマシー染色してタンパク質を検出した。
【0068】
このような条件で48時間処理しても僅かな切断しか認められず(図11)、これは、リンカー配列中のO−グリコシル化された部位による立体構造の阻害に起因するものであると考えられる。
【0069】
実施例8
低濃度のEGIコア−HFBIの水性二相系による分離
【0070】
界面活性剤を主成分とする水性二相系は、実施例4と同様にソルカフロックセルロースおよび麦芽かすを添加した15リットルの培地を用いてT. reesei VTT-D-98691 (pMQ113)によってcbh1プロモーターの制御下で産生したEGIコア−HFBI融合タンパク質の、非常に低濃度(希釈したもの)の分離にも首尾よく適用することができた。
【0071】
上清のタンパク質濃度は7.0mg/mlであった。この上清を脱イオン水でそれぞれ100および1000倍希釈した。融合タンパク質は2%C12−C18EO5界面活性剤を用い、分配係数5以上で分離することができる。これは次の表に希釈しない上清の実験結果とともに示されている。分配係数は全EGI活性(野生型および融合タンパク質の合計)について測定した活性に基づいて計算した。
【表2】
Figure 0004570787
【0072】
実施例9
培養液を含む菌体からのEGIコア−HFBIの分離
【0073】
実施例4と同様に、ソルカフロックセルロースおよび麦芽かすを添加した培地を用いてT. reesei VTT-D-98691 (pMQ113-2)を培養し(250mlのフラスコに50mlの培養液を入れて振とう培養)、EGIコア−HFBI融合タンパク質を産生させた。培養の後、全培養液の一部を3000rpmで30分間遠心し、上清をデカンテーションし、遠心で沈殿したした菌糸体を上清を加えて菌体量の異なる人工的な完全培養液を得た。
【0074】
最大50%の湿性菌体(湿性菌体の重量を湿性菌体の重量と上清の重量との和で割った数値)を含む10gの試料は5%のC12−C18EO5を用いて問題なくさらに分離することができた。収率は61から64%であり、従って、上清のみ(菌体を含まない)(次表参照)との比較では、有意な差はみられなかった。融合タンパク質の合計収率はむしろ高かった。これは、水性二相系で抽出された細胞に結合した酵素がEGI総量を増加させることによると考えられる。分配係数は全EGI(野生型および融合タンパク質の合計)について測定した活性に基づいて計算した。
【表3】
Figure 0004570787
【0075】
実施例10
水性二相系によるEGI−HFBIの分離
【0076】
実施例4と同様に、ソルカフロックセルロースおよび麦芽かすを添加した15リットルの培地を用いてTrichoderma. reesei VTT-D-98693株 (pMQ103)を培養してタンパク質を産生させた。産生されたEGI−HFBI融合タンパク質について、異なった量の界面活性剤C12−C18E05を用いて、10gの実験系でタンパク質の分離を行った。分配係数を下記の表に示す。分配係数は全EGI(野生型および融合タンパク質の合計)について測定した活性に基づいて計算した。先の実施例のように分配係数には内因性のEGIも含まれる。
【表4】
Figure 0004570787
【0077】
実施例11
50mlの実験系における、水性二相系によるEGIコア−HFBIの分離
【0078】
実施例4と同様に、ソルカフロックセルロースおよび麦芽かすを添加した15リットルの培地を用いてT. reesei VTT-D-98691株 (pMQ113)を培養し、EGIコア−HFBI融合タンパク質を産生させた。産生された誘導タンパク質について、5%C12−C18E05を用いた、ファルコンチューブ中での50gの実験系で分離を行った。相分離は30℃で3000rpm、30分間の遠心により行なった。分配係数は2.52であり、収率は51%だった。これらの数値は全EGI(野生型および融合タンパク質の合計)について測定した活性に基づいて計算した。
【0079】
実施例12
種々の界面活性剤を用いた水性二相系におけるEGIコア−HFBIの分離
【0080】
実施例4と同様に、ソルカフロックセルロースおよび麦芽かすを添加した15リットルの培地を用いてT. reesei VTT-D-98691株 (pMQ113)を培養し、EGIコア−HFBI融合タンパク質を産生させた。産生された融合タンパク質について、2%の界面活性剤を用いた10gの実験系で分離を行った。この実施例では次の界面活性剤を試験した:C10EO5、C12EO5、C14EO6(いずれも日本国、Nikko Chemicals製)、C12−C18EO5(‘Agrimul NRE 1205’、ドイツ国、Henkel社製)、C12/14 5EO、C12/14 6EO(ドイツ国、Clariant社製)、C9/11 EO5.5(‘Berrol 266’、ドイツ国、Akzo Nobel社製)、Triton X‐114(ドイツ国、Sigma製)。分配係数および収率を以下に示した。数値は内因性EGIを含む全EGI(野生型および融合タンパク質の合計)について測定した活性に基づいて計算した。
【表5】
Figure 0004570787
【0081】
実施例13
グルコース含有培地で生育した菌体からの水性二相系によるEGIコア−HFBIの分離
【0082】
実施例4と同様に、グルコースを添加した培地を用いてTrichoderma. reesei VTT-D-98682株 (pMQ115)を培養してたEGIコア−HFBI融合タンパク質を産生し、それを分離した。具体的には、上清から2%の界面活性剤C12−C18 EO5を用いてタンパク質を分離した。融合タンパク質が分配した際のK値は2.4であった。また、精製したEGIを用いて、融合タンパク質と同様に未修飾のEGIのK値を測定したところ、K値は0.3であった。
【0083】
実施例14
異なった濃度の界面活性剤を用いたEGIコア−HFBIの分離
【0084】
実施例4と同様に、ソルカフロックセルロースおよび麦芽かすを添加した15リットルの培地を用いてT. reesei VTT-D-98691株 (pMQ113)を培養し、EGIコア−HFBI融合タンパク質を産生させた。細胞を含まない上清から、異なった濃度の界面活性剤C12−C18E05を含む水性二相系を用いて産生された融合タンパク質を分離した。分配係数は以下の表に示した。対応する電気泳動ゲルおよびウェスタンブロット(抗体を用いたブロティング)をそれぞれ図8および9に示した。
下記の表の数値は全EGI活性に基づくものである。
【表6】
Figure 0004570787
【0085】
実施例15
界面活性剤相の再抽出
【0086】
VTT-D-98691株 (pMQ113)の振とう培養液上清に含まれるEGIコア‐HFBI融合タンパク質を界面活性剤を主成分とする水性二相系で分離した。C12−C18E05を用いて標準条件で実施した最初の抽出では分配係数が16であり、収率が72%であった(野生型EGIの活性も、融合タンパク質の活性と共に測定した)。相分離で得られた上相を2%の界面活性剤を含む10mlの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)を用いて再抽出した。この時の分配係数は52であり、収率は89%であった。下相の再抽出試験では、EGIの収率は7.5%、K値は0.8と小さいものであった。分配係数は全EGI(野生型および融合タンパク質の合計)について測定した活性に基づいて計算した。最初の抽出での収率は少なくとも72%、分配係数は少なくとも16%であった。1回目の抽出及び再抽出をSDS−PAGEゲル電気泳動で分析した結果を図10に示した。
【表7】
Figure 0004570787
【0087】
実施例16
水性二相系による精製されたセルラーゼの分離
【0088】
HFBIが融合タンパク質の分配および最終収率に与える影響は、EGIコア−HFBI融合タンパク質の抽出結果を野生型EGI及びEGIコアの抽出結果と比較することにより示すことができる。融合タンパク質は100倍以上よく界面活性相に分配される(下記の表を参照)。
【0089】
1回目の抽出における精製融合タンパク質の分配率よりも再抽出(実施例15を参照)における精製融合タンパク質の分配率の方が優れている理由は、以下の表から明らかな様に、精製された野生型EGIの分配によって説明することができる。1回目の抽出では、(EGI活性が上下両相で測定されるため)野生型EGIによって分配係数が下がるが、再抽出の際にはEGI活性は上相では測定されてないことから、EGIコア−HFBI融合タンパク質の分配係数が増加する。さらに、純度は精製されたCBHIの分配を解析することで示すことができる。CBHIはT. reeseiが分泌するタンパク質の約50%に相当する主要な混在タンパク質である。精製されたCBHIは分配係数が0.5で収率が3.6%であり、融合タンパク質とは分離されている。
【表8】
Figure 0004570787
【0090】
K値およびY値の定義および質量収支の計算を用いて、EGI融合タンパク質とEGI野生型タンパク質の量の比を計算することができる。‘真’の分配係数および収率はこれにより求めることができる。‘真’の値とは、野生型EGIの量を測定することなく、EGI融合タンパク質の量のみが測定された場合に得られる数値を意味する。
【0091】
計算の基となるデータは再抽出試験によって得られる。再抽出した上相は純粋であると考えられる。実施例4と同様に2つの条件で培養したVTT-D-98691株 (pMQ113)の培養液について、上述した測定値および算出した‘真’の値を以下の表に示した。
【表9】
Figure 0004570787
【0092】
実施例17
水性二相系によるHFBIおよびHFBIIの精製
【0093】
実施例4と同様にグルコース含有培地を用いてT. reesei VTT-D-98692株 (pEA10-103B)を培養し、HFBIを産生させた。HFBIは2%の界面活性剤C12−C18 EO5を用いて、上述した標準条件において20以上の分配係数で分離することができる。
【0094】
実施例4と同様に、ホエーと麦芽かすを含む培地を用いてT. reesei VTT-D-74075株 (QM9414)を培養し、HFBIIを産生させた。HFBIIは2%の界面活性剤C12−C18 EO5を用いて、上述した標準条件において10以上の分配係数で分離することができる。
【0095】
HFBIおよびHFBIIの両ヒドロフォビンはともに水性二相系の上相に十分に分配される。
【0096】
実施例18
NaClを添加した界面活性剤を主成分とする水性二相系
【0097】
T. reesei の培養で得られたEGIコア−HFBI融合タンパク質を5%のC12−C18 EO5を用いた10gの実験系で分離した。上清の分配係数は3.5で、容積比は0.2であった。1.1% (w/v) のNaClを更に用いた場合、分配係数は4.3に増加し、容積比は0.14に減少した。
【0098】
実施例19
ヒドロフォビンIおよび2つのセルロース結合ドメイン(CBD)を含有する融合タンパク質HFBI−dCBDを発現するE. coli株の構築
【0099】
修飾したcbh2リンカー領域とそのとなりにhfb1コード領域の23番目のSerから終始コドンまでの配列を有する280bpのDNA断片を、プラスミド pARO1 (Nakari-Setala et al., 1996) をテンプレートとして用いてPCRで増幅した。5’プライマーとしては、5’TCT AGC AAG CTT [GGC TCT AGT TCT GGA ACC GCA CCA GGC GGC] AGC AAC GGC AAC GGC AAT GTT TGC (配列番号14)、3’プライマーとしては、5’TCG TAC AAG CTT [TCA] AGC ACC GAC GGC GGT(配列番号15)を用いた。5’プライマーにおいて大カッコで囲った配列は修飾CBHIIリンカー(Gly Ser Ser Ser Gly Thr Ala Pro Gly Gly)をコードし、3’プライマーにおいて大カッコで囲った配列は翻訳終始コドンである。また、双方のプライマーの下線したAAGCCTはHindIIIサイトである。PCR断片はアガロースゲルを用いて精製し、HindIIIで消化し、HindIIIで消化した後にSAP(エビアルカリフォスファターゼ(shrimp alkaline phosphatase)、USB)で処理したpSP73に連結して、プラスミドpTNS9を得た。
【0100】
続いて、修飾CBHIIリンカー−HFBI断片をE. coliの発現ベクターにクローニングするために、pTNSをHindIIIで消化し、必要な断片をアガロースゲルから精製した。このHindIII断片を、HindIIIで消化してSAP(エビアルカリフォスファターゼ、USB)で処理したB599にクローニングし、pTNS13 (図12)を得た。E. coli発現ベクターB599は、タンパク質コード配列の末端の終始コドンを欠失している以外は、実質的にLinder et al.(1996)に記載のものと同一である。当該ベクターは、CBHIリンカー領域を介して連結したCBHII CBD(CBHIIのN末端側の41残基)とCBHI CBD(CBHIリンカーとCBHDとでCBHIのC末端の57残基である)を含有する。B599における融合タンパク質の発現および分泌は、tacプロモーターおよびpelBシグナル配列の制御下にある (Takkinen et al.,(1991))。pTNS13発現ベクターは、このようにして、2つのCBDとHFBIがGly-Ser-Ser-Ser-Gly-Thr-Ala-Pro-Gly-Glyペプチドを介して1つに連結した融合タンパク質のコード領域を有している。このベクターは、E. coliの形質転換体を選択するためのamp遺伝子も有している。pTNS13プラスミドをE. coli RV308(su-, ΔlacX74,galISII::OP308,strA)に形質転換し、この形質転換体を融合タンパク質の産生に用いた。
【0101】
実施例20
E. coliが発現したHFBI−dCDB分子のATPSによる分離
【0102】
上記のようにしてpTNS13プラスミドで形質転換したE. coli RV 308によってdCBD−HFBIを産生した。アンピシリン(0.1g/リットル)と1%のグルコースを含むLB培地に接種したRV308/pTNS13を指数増殖期まで培養した。次に、10リットルのファーメンターで、Pack et al.(1993)の無機塩培地(mineral salt medium)にグルコースを供給しながら培養した。培養中は温度を28℃に維持し、アンモニア水溶液でpHを6.8に調節した。細胞の増殖は、OD600およびバイオマス乾燥重量の計測により観測した。後期指数増殖期(OD600が50〜60)に到達した時点で50μM(最終濃度)のIPTG(イソプロピル− −D-チオガラクトピラノシド)で融合タンパク質の産生を誘導した。
【0103】
培養濾液と5%の界面活性剤からなる混合物40mlを用いて、dCBD−HFBI融合タンパク質の二相分離を分析した。ウェスタンブロットの結果によると、5%の界面活性剤を用いた標準的な操作による二相分離でもdCBD−HFBI融合タンパク質の非常に特異的な分離が可能であることが判明した。図13に見られるように、下相のサンプルと比較し、界面活性剤相のサンプルから強いシグナルが認められた。
【0104】
実施例21
細胞表面にHFBI−FloI融合タンパク質を発現する酵母株の構築
【0105】
HFBI−FLO1融合タンパク質の発現カセットを構築するために、hfb1遺伝子(配列番号1)のコード領域(23番目のSerから終始コドンまで)をPCRで増幅した。テンプレートとしてpARO1(Nakari-Setala et al., 1996)、5’プライマーとしてTCT AGC TCT AGA AGC AAC GGC AAC GGC AAT GTT(配列番号16)、3’プライマーとしてTGC TAG TCG ACC TGC TAG CAG CAC CGA CGG CGG TCT G(配列番号17)を用いた。5’プライマーの下線部の配列は、XbaIサイト、3’プライマーの下線部の配列は、NheIサイトである.0.255bpのPCR断片をアガロースゲルで精製し、pGEM‐Tベクター(Promega製)に連結してpTNS15を得た。hfb1断片をXbaIおよびNheIでpTNS10から切り出し、同じ制限酵素で処理したpTNS15に連結した。プラスミドpTNS15(図14)は、pBR322骨格中のNheIサイトがBglIIサイトに置換えられていることと、推定されるシグナル配列の切断部位の前に位置する固有のAocIサイトにリンカーのクローニングによって導入した固有のXbaIが存在すること以外は、実質的にWatari et al., 1994に記載のプラスミドpBR-ADH1-FLO1Lと同一である。結果として得られたプラスミドpTNS18(図15)は、酵母のフロキュリン(flocculin)FLO1(配列番号18)のレクチンドメインと推定される26番目のSerから319番目のSerがHFBIの配列で置換されてなる、HFBI−FLO1融合タンパク質を発現する完全な発現カセットを含んでいる。
【0106】
次に、HFBI−FLO1融合タンパク質の発現のための酵母発現ベクターを構築した。構築物の骨格となる発現ベクターとしては、pYES2(Invitrogen製) (配列番号19)を用いた。このベクターは、S.cerevisiaeにおいて組み換えタンパク質の発現を誘導することを意図して設計された、コピー数の高いエピソームベクターである。pYES2は転写を調節するGAL1プロモーターおよびCYC1ターミネーターを有し、2マイクロの複製開始点と、菌体の培養及び親株との選別に必要なURA3遺伝子を有する。プラスミドpTNS18をHindIIIで消化し、切り出されたHFBI−FLO1発現カセットを含む3.95kbの断片をアガロースゲルで精製し、HindIIIで消化したpYES2に連結した。この連結物を含む混合物を一般的なエタノール沈殿法により濃縮した。混合物には未連結の断片や誤った連結をした断片の他に、プラスミドと挿入物が正しく連結し、GAL1ターミネーターおよびCYC1ターミネーターに発現可能な状態で連結したHFBI−FLO1の発現カセットを有するプラスミドpTNS23(図16)も含まれるはずである。
【0107】
上記の混合物を、Gietz et al. (1992)のLiAc法により、実験用のS.cerevisiae H452株(野生型 W303-1A; Thomas and Rothstein, 1989)に形質転換した。SC−URA培地上に生育した形質転換体のコロニーを採取し、選択培地にストリークした。このプレートからニトロセルロースに菌体を写し、Sherman et al.(1983)に従ってコロニーハイブリダイゼーションを行った。pTNS23プラスミドを含む酵母のコロニーを検出するために、ジゴキシゲニンで標識したhfb1をコードする断片を用いてハイブリダイゼーションを行い、製造社(Boehringer Mannheim)の方法に従って免疫反応を検出した。陽性のハイブリダイゼーションシグナルを示した酵母のコロニーから全DNAを回収してプラスミドを得、得られたプラスミドをE. coliのエレクトロポレーションに用いた。更なる研究のためにpTNS23プラスミドを有する形質転換体を一つ選び、VTT-C-99315と命名した。この株の対照となる株は、H452が基であるプラスミドpYES2を有する酵母 H2155株である。
【0108】
実施例22
ATPSを用いた、HFBI−Flo1融合タンパク質発現酵母細胞の分離
【0109】
Saccharomyces cerevisiae VTT-C-99315(ベクターはpTNS23)とその対照株となるH2155(ベクターはpYES2)を、ウラシルを含まない合成完全培地(SCURA)(Sherman,1991)に炭素原として2%ガラクトースを添加したものを用い、A600が4となるまで培養した。培地から約6.3×108の細胞を取りだし、7% (w/v) の界面活性剤C12−18EO5(Agrimu NRE、Henkel製)を用いたATPSに加えて総容量を5mlにした。次に、標準的なプロトコルに従って水性2相系による分離を行った。重力によって2相に分離すると、VTT-C-99315株の場合は、上相の界面活性剤相は明らかに混濁していたが、対照株の場合は、界面活性剤相は透明であった(図17)。上相からサンプルを採取し、0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いて10-1から10-5までの段階希釈液を調製し、YPD培地に接種した。30℃で培養した後に計算した酵母のコロニー数は、YPD培地上のVTT-C-99318株においては、対象の70倍になった。このことは、細胞が過剰に存在する系においても、細胞表面にヒドロフォビンを発現する細胞を界面活性剤相に分離させることが可能である。
【0110】
実施例23
ヒドロフォビン含有系およびヒドロフォビン非含有系におけるEGIコア−HFBI融合タンパク質の分配
【0111】
遊離HFBIヒドロフォビンおよび遊離HFBIIヒドロフォビンがEGIコア−HFBI融合タンパク質の分配に与える影響について、精製HFBIが存在又は不在な状態、或は精製HFBIが存在又は不在な状態において、pH5.0酢酸緩衝液中の精製したEGIコア−HFBI融合タンパク質がどのような効率で界面活性剤相に抽出されるかを比較検討した。融合タンパク質の抽出後に、抽出前と抽出後の水相中に含まれるメチルウンベリフェリルセルビオシドのような水溶性基質の加水分解活性の低下を計測した。0.7g/リットルの上記のいずれかの精製ヒドロフォビンの存在下で、30℃にて、2%のC12−18EO5を用いて0.02g/リットルのEGIコア−HFBIの分離を行うと、以下の結果が得られた:ヒドロフォビンを加えなかったは時には93%のタンパク質が抽出されたが、HFBIIが存在するときには82%が抽出され、HFBIが存在するときには88%が抽出された。
【0112】
実施例24
ATPSによる分離において、改善された分配を達成するEGIコア-HFBI融合タンパク質のT.reesei Δhfb2株によるの産生
【0113】
Trichoderma reeseiのQM9414 Δhfb2(VTT-D-99726)株を実質的に公知の方法(Penttila et al., 1983)と実質的に同様に形質転換した。形質転換には10μgのpMQ113プラスミド(実施例1に記載)と、アセトアミダーゼをコードするAspergills nidulansのamdS遺伝子(Hynes et al., 1983)、(Tilburn et al., 1983)を含む選択プラスミドpTOC202を3μg用いて行った。pMQ113は、cbh1プロモーターおよびcbh1ターミネーターの制御下で、EGIコア−HFBI融合タンパク質を産生するための発現カセットを含んでいる。
【0114】
得られたAmd+の形質転換体をアセトアミドを含んだ培地上に2回ストリークした(Penttila et al., 1987)。その後は、ポテトデキストロースアガー(Difco製)上で培養した形質転換体から胞子懸濁液を調製した。EGIコア-HFBI融合タンパク質の産生をスロットブロティングまたはウェスタンブロッティングによって検出した。検出には、ソルカフロックセルロースを添加した最少培地を用いた振とう培養液又はマイクロプレート培養液から抽出した、EGI特異的抗体及びHFBI特異的抗体を用いた。融合タンパク質産生クローンの胞子懸濁液はアセトアミドを含有する選択培地を用いて単一胞子となるまで精製した。最も多量に融合タンパク質を産生するクローンを決定するために、上記のようにして再度融合タンパク質の産生を分析した。
【0115】
ポリオキシエチレン界面活性剤C12−18EO5を含有するATPSを用いたEGIコア-HFBI融合タンパク質の分配実験のために、上記の分析により得られた最も多量に融合タンパク質を産生するクローンとしてVTT-D-98691(EGIコア−HFBIを産生するQM9414株)と対照となるVTT-D-74075(QM9414)を、実施例4と同様にソルカフロックセルロースを含有する培地を用いてフラスコで振とう培養した。
【0116】
培養上清を用いて実施例5に記載した標準的な分配実験を行った。相分離の後に軽い相と重い相の容量比を求め、そこから融合タンパク質の濃度係数を算出した。また、軽い相と重い相からそれぞれサンプルを採取してSDS-PAGE、ウェスタンブロッティング、および実施例5に記載した方法による活性を計測した。分配係数(K)および収率(Y)を実施例5に記載した方法により算出した。
【0117】
実施例25
T. reeseiのcbh1プロモーターの制御下でEGIコア-HFBII融合タンパク質を発現するためのベクターおよびEGIコア-SC3融合タンパク質を発現するためのベクターの構築
【0118】
EGIコア-HFBII融合タンパク質発現ベクターを構築するために、hfb2(配列番号20)のコード領域(16番目のAlaから終始コドンまで)をPCRで増幅した。テンプレートとしてphfb2(Nakari-Setala et al., 1997)、5’プライマーとしてCGG [AGG AGC TCG ACG ACT TCG AGC AGC CCG AGC TGC ACG CAG] GCT GTC TGC CCT ACC GG(配列番号21)、3’プライマーとしてTCA TTG GAT CC[T TAG AAG GTG CCG ATG GC](配列番号22)を用いた。5’プライマーにおいて大カッコで囲った配列はEGIの413〜425アミノ酸をコードし、下線したGAGCTCはSacIサイトである。3’プライマーの下線したGGATCCはBamHIサイトである。増幅された断片を、SacIおよびBamHIで消化し、同じ制限酵素で処理したpMQ113に連結した。その結果として得られたプラスミドがpTNS32(図18)であり、それは,cbh1調節配列(配列番号5および配列番号7)の制御下にあるEGIコア-HFBII融合タンパク質のコード配列を有している。
【0119】
EGIコア-SC3融合タンパク質発現ベクターを構築するために、SC3のcDNA(配列番号23)をPCRで増幅した。テンプレートとしてcSC3/pUC20プラスミド、5’プライマーとしてACT ACA CGG [AGG AGC TCG ACG ACT TCG AGC AGC CCG AGC TGC ACG CAG] GGT GGC CAC CCG GGC(配列番号24)、3’プライマーとしてTCG TAC GGA TCC TCA GAG GAT GTT GAT GGG(配列番号25)を用いた。5’プライマーにおいて大カッコで囲った配列はEGIの413〜425アミノ酸をコードし、下線したGAGCTCはSacIサイトである。3’プライマーの下線したGGATCCはBamHIサイトである。増幅した断片をSacIおよびBamHIで消化し、同じ制限酵素で処理したpMQ103(実施例1に記載)に連結した。その結果としてpTH4(図19)が得られ、それはcbh1調節配列(配列番号5および配列番号7)の制御下にあるEGIコア-SC3融合タンパク質のコード配列を有している。
【0120】
cSC3/pUCプラスミドは、pUC20ベクターの中に含まれた、SC3cDNAの翻訳開始サイトから終始コドンまでの411bpの配列を有している。翻訳開始サイトはNcoIサイトに設けられ、BamHIサイトは翻訳終始コドンの後方に加えられた。
【0121】
実施例26
T. reeseiのcbh1プロモーターの制御下で、ヒドロフォビンIと2つのセルロース結合ドメイン(CBD)を含むHFBI−dCBD融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築
【0122】
cbh1プロモーターの制御下で、HFBI−dCBD融合タンパク質を産生するための発現カセットを構築するために、hfb1のタンパク質コード領域をPCRで増幅した。テンプレートとしてpEA10(Nakari-Setala et al. Eur.J.Biochem.(1996)235:248-255)、5’プライマーとしてGGA ATT [CCG CGG ACT GCG CAT C]AT GAA GTT CTT CGC CAT CGC C(配列番号26)、3’プライマーとしてTGA ATT CCA TAT GTT A[(GG TAC C]AC CGG GGC CCA TGC CGG TAG AAG TAG AAG CCC CGG G)AG CAC CGA CGG CGG TCT GGC AC(配列番号27)を用いた。5’プライマーにおいて大カッコで囲った配列は、対応する遺伝子の翻訳開始サイトに隣接する16bpのcbh1プロモーターであり、下線したCCGCGGはKspIサイトである。3’プライマーにおいて下線した配列はNdeIサイトであり、大カッコで囲った配列はAsp718サイトであり、小カッコで囲った配列はメチオニン含有リンカー配列(PGASTSTGMGPGG)をコードしている。得られた370bpの断片をKsplとNdeIで消化し、同じ制御酵素で処理したpAMH110(Nevalainen, K.M.H., Penttilat, M.E., Harkki, A.,Teeri, T.T. and Knoweles, J. (1991) In molecular Industrial Mycology. Eds. Leong, S.A. and Berka, R. Marcel Dekker, New York)に連結した。結果として得られたプラスミドはpTNS29-2Aspである。
【0123】
更にクローンニングを行うために、pTNS29-2AspポリリンカーからAsp718サイトを除去した。得られたベクターをSacI及びBamHIで消化し、開裂したベクターの末端をT4 DNAポリメラーゼで平滑化した後に連結した。その結果として得られたpTNS29ベクターは、pTNS29-2Aspに存在するSacIサイト、Asp718サイトおよびSmaIサイトを欠失している。
【0124】
次に、2つのセルロース結合ドメイン(dCBD)を、pTNS11をテンプレートとしたPCRで増幅した。pTNS11は、T. reeseiの CBHII CBD(CBHIIのN末端の41残基)とCBHI CBDがCBHIリンカー領域(CBHIリンカーとCBDは、CBHIのC末端の57残基である)を介してなる融合タンパク質のコード領域を含んでいる。このDNA配列は、E. coliの発現ベクターであるB599に由来し、B599は実質的にLinder et al.(J. Biol. Chem. (1996) 271:21268-21272)に記載されたものと同一である。PCRの5’プライマーとしてはTGA ATT CGG TAC CCA GGC TTG CTC AAG CGT C(配列番号28)、3’プライマーとしてはTGA ATT CCA TAT GTC ACA GGC ACT GAG AGT AGT A(配列番号29)を用いた。5’プライマーにおいて下線した配列はAsp718サイトであり、3’プライマーにおいて下線した配列はNdeIサイトである。増幅された断片をAsp718およびNdeIで消化し、Asp718およびNdeIで消化したpTNS29に連結し、pTNS30を得た。
【0125】
pTNS30 (図20)発現ベクターは、HFBIと二つのCBDがメチオニンリンカーペプチド(PGASTSTGMGPGG)を介して1つに連結された融合タンパク質のコード領域を有する。融合タンパク質の発現は、cbh1転写調節配列によって調節される。発現カセットは、EcoRIおよびSphIによってプラスミドから切り離すことができる。
【0126】
実施例27
T. reeseiのcbh1プロモーターの制御下でHFBI−単鎖抗体融合タンパク質を発現するためのベクターの構築
【0127】
T. reeseiの HFBIタンパク質をN末端に有し、C末端には低分子量のジアリールアルキルトリアゾール誘導体(ENA5ScFv)と結合する単鎖抗体を有する融合タンパク質の産生するための発現ベクターを構築した。融合タンパク質はcbh1調節配列の制御下にある。HFBI−ENA5ScFv融合タンパク質の構築のために、pENA5ScFvをNcoIおよびXbaIで消化した。ena5scfv遺伝子とヒスチジン末端を(6× His)を含む断片の末端を平滑化し、pTNS29にクローン化してpTH1(図21)を得た。pENA5ScFvベクターは、グリシンセリンリンカーを介して連結したH鎖及びL鎖の可変領域とC末端の6個のヒスチジンのタグからなるENA5単鎖抗体のコード領域を有する。単鎖抗体の転写はtacプロモーターの調節下にあり、分泌はpelBの調節下にある(Takkinen et al., 1991)。pTNS29ベクターは、cbh1プロモーター配列およびcbh1ターミネーター配列の制御下にあるT. reeseiのhfb1コード領域とそれに続くリンカー配列(Pro Gly Ala Ser Thr Ser Thr Gly Met Gly Pro Gly Gly)を有している。
【0128】
リンカーペプチド内にトロンビン切断部位を有する、HFBI−ENA5ScFv融合タンパクの構築のために、最初にena5scfv遺伝子のコード領域(23番目のAla〜終止コドン)とそれに続く、トロンビン分割サイト(Gly Thr Leu Val Pro Arg Gly Pro Ala Glu Val Asn Leu Val)を含むペプチドリンカーをPCRで増幅した。テンプレートとしてpENA5ScFvを用い、5’プライマーとしてGAA TTC (GGT ACC CTC GTC CCT CGC GGT) CCC [GCC GAA GTG AAC CTG GTG](配列番号30)、3’プライマーとしてTGA ATT CCA TAT GCT A[AC CCC GTT TCA TCT CCA G](配列番号31)を用いた。5’プライマーにおいて大カッコで囲った配列はENA5SCFVのN末端の6残基をコードし、小カッコで囲った配列はトロンビン切断部位、下線したGGT ACCはAsp718サイトである。3’プライマーにおいて大カッコで囲った配列はENA5SCFVのC末端側6残基をコードし、下線したCATATGはNdeIサイトである。790bpのPCR断片をアガロースゲルから精製し、pTNS29に連結して、pTH2を得た(図22)。
【0129】
実施例28
ATPSによって分離するための、Schizophyllum communeのクラスIヒドロフォビンSC3をTrichoderma reeseiで産生するためのベクターの構築
【0130】
S. communeのクラスIヒドロフォビンSC3を産生するT. reesei株を構築した。このために、T. reeseiのhfb2プロモーター及びhfb1ターミネーターの制御下にSC3 cDNAが存在する発現ベクターを構築した。
【0131】
hfb1ターミネーター(配列番号32)をPCRで増幅した。テンプレートとしてpEA10(Nakari-Setala et al. 1996)、PCRの5’プライマーとしてGAC CTC GAT GCC CGC CCG GGG TCA AG(配列番号33)、3’プライマーとしてGTC GAC ATT TCA TTT TAC CCC CCT CG(配列番号34)を用いた。5’プライマーにおいて下線した部分はSacIサイト、3’プライマーにおいて下線した配列はSalIサイトである。PCR断片をSacI及びSaclIで切断し、クレノウ酵素でSacIサイトを平滑化した。この断片を、SalI及びBamHIで消化し、BamHIサイトをクレノウで平滑化したcSc3/pUC20(実施例25に記載)ベクターにクローニングした。次に、 hfb2プロモーター(配列番号35)をPCRで増幅した。テンプレートとしてpTNS8(Nakari-Setala et al. 1997)、5’プライマーとしてAAG CTT GCA TGC CTG CAT CC(配列番号36)、3’プライマーとしてCCA TGG TGA AAG GTG GTG ATG GTT GG(配列番号37)を用いた。5’プライマーにおいて下線した部分はHindIIIサイト、3’プライマーにおいて下線した配列はNcoIサイトである。PCR断片をHindIII及びNcoIで消化し、前段階で得たプラスミド内のSC3 cDNAの手前にクローニングした。その、結果としてpKS2を得た(図23)。
【0132】
実施例29
EGIコア−HFBII融合タンパク質、EGIコア−SC3融合タンパク質、HFBI−dCBD融合タンパク質、及びHFBI−単鎖抗体融合タンパク質及びSC3ヒドロフォビンを産生するT. reesei株の構築
【0133】
Trichoderma reesei株であるのVTT-D74075(QM9414)、VTT-D86271(Rut-C30)、VTT-D99676(Rut-C30 Δhfb2)をそれぞれ3〜13μgのプラスミドと1〜3μgの選択用のプラスミドを用い、公知の方法(Pentitila et al, 1987)と同様にコトランスフォームした。プラスミドとしてはpTNS32、pTH1、pTH4p、TNS30及びpKS2を用い、選択用プラスミドとしてはpToC202、pAOR021を用いた。A. nidulansのamdS遺伝子(Hynes et al., 1983; Tilburn et al., 1983)を有するpToC202及びE. coliのhph遺伝子を有するpAOR021については実施例3に記載した。Amd+形質転換体はアセトアミドを含む培地に、Hyg+形質転換体はハイグロマイシンを含む培地にそれぞれ3回ストリークした(Penttila et al., 1987)。その後、ポテトデキストロースアガ−(Difco製)で形質転換体を培養し、そこから胞子の懸濁液を調製した。
【0134】
EGIコア-HFBII融合タンパク質、EGIコア−SC3融合タンパク質、HFBI−dCBD融合タンパク質、HFBI−ENA5ScFv融合タンパク質及びSC3ヒドロフォビンの産生をスロットブロティングまたはウェスタンブロッティングで検出した。検出には、ラクトース又はソルカフロックセルロースを添加した最少培地を用いた振とう培養液又はマイクロプレート培養液から抽出したEGI、SC3、CBD及びHFBIのそれぞれに特異的な抗体を用いた。融合タンパク質産生クローンの胞子懸濁液は選択培地(アセトアミド又はヒグロマイシン含有)を用いて単一胞子となるまで精製した。上記のようにして融合タンパク質の産生を分析し、最も多量に融合タンパク質を産生するクローンを決定した。
【0135】
更なる大量培養に用いるT. reesei株としては、X46A(pTNS32,親株はQM9414),VTT-D-00793(pTH4,親株はRut-C30 Δhfb1),VTT-D-99727(pTNS30,親株はQ Rut-C30 Δhfb2),VTT-D-00791(pTH1,親株はRut-C30)及びVTT-D-00792(pKS2,親株はRut-C30 Δhfb2)を選択した。これらの株を実施例4と同様に培養し、培養上清をATPSによる分離に付した。
【0136】
実施例30
水性二相系(ATPS)による分離で得られたタンパク質濃縮界面活性剤相からのイソブタノール又は他の溶媒によるタンパク質の回収
【0137】
相分離が起きてヒドロフォビン又はヒドロフォビン融合タンパク質が界面活性剤相(濃縮相)中に濃縮されたら、その相にイソブタノール又は他の溶媒を添加することによってタンパク質を水性緩衝液に回収することができる。例えば、0.05g/リットルのHFBIを含む50mM酢酸緩衝液中を2%のBerol 532を用いて抽出する操作を何度か繰り返して行ない、同一の水性二相系をいくつか調製した。イソブタノール、n−アミルアルコール、オクタノール及びオクタンを個別に試験管に最終濃度10%となるように加え、水相に回収されたヒドロフォビン画分を分析した。その結果、イソブタノールによる回収率は100%、n−アミルアルコールによる回収率は89%、オクタノールによる回収率は81%、そしてオクタンによる回収率は70%であることが分かった。画分の分析は実施例38と同様にしてHPLCで行なった。
【0138】
実施例31
水性二相系(ATPS)を用いたEGIコア−HFBII融合タンパク質の分離
【0139】
T. reeseiのX46A株を、実施例4と同様に3%ラクトース含有培地を用いてフラスコで振とう培養した。界面活性剤C12−18EO5を培養上清に最終濃度5%で加えた。混合してから系を静置し、タンパク質濃縮界面活性剤相を等容量のイソブタノールを用いた抽出に更に付した。Biogel P-6(米国、Bio-Rad製)ゲル濾過材を用いてバッファー交換した後、抽出したタンパク質について、15mM酢酸緩衝液で平衡化させたMono Qカラム (スエーデン国、Amersham Pharmacia製)を用い、NaClの直線濃度勾配で溶出するイオン交換クロマトグラフィーで分析した。EGIコア−HFBII融合タンパク質の界面活性剤相への分離の確認は、Mono Qクロマトグラフィーで得られた溶出ピーク画分の4-メチルウンベリフェリルセロビオシドに対する活性を分析することによって行なうか、ATPSを用いた再抽出によって行なった。
【0140】
実施例32
水性二相系(ATPS)を用いたEGIコア−SC3融合タンパク質の分離
【0141】
EGIコア−SC3融合タンパク質を生成するT. reeseiのVTT-D-00793株の培養瀘液に最終濃度5%のC12−18EO5を加えることによって水性二相系(ATPS)による分離を行なった。系を静置して相が分離してから、融合タンパク質が濃縮された界面活性剤相を等容量のイソブタノールで処理することにより、界面活性剤をイソブタノール中に移動させ、タンパク質を水相中に残した。得られた融合タンパク質濃縮水相を、Biogel P-6(米国Bio-Rad製)で脱塩処理した。融合タンパク質の界面活性剤相への分離の確認は、該界面活性剤相中のEGIコア融合パートナーの4-メチルウンベリフェリルセロビオシド(4-methylumbelliferyl cellobioside)に対する酵素活性を分析することによって行なった。
【0142】
実施例33
水性二相系(ATPS)を用いたHFBI−dCBD融合タンパク質の分離
【0143】
HFBI−dCBD融合タンパク質を生成するT. reeseiのVTT-D-99727株を、実施例4と同様にしてラクトース含有培地上で培養した。Berol 532を培養上清500mlに最終濃度2%で加えた。混合してから、系を静置し、分液漏斗中で相分離させた。濃縮された上相(10ml)を等容量のイソブタノールと50mM酢酸緩衝液(pH5)で抽出した。SDSゲル電気泳動(図24)で示されるように、融合タンパク質は相分離の際に緩衝液相に選択的に分配された。
【0144】
実施例34
HFBI−dCBD融合タンパク質の化学的切断、および切出したHFBI融合パートナーとdCBD融合パートナーの回収
【0145】
T. reeseiのVTT-D-99727株によって生成されたHFBI−dCBD融合タンパク質は、HFBIとdCBDの間のリンカー領域に位置するメチオニン(PGASTSTGMGPGG)を有しているので、HFBI−dCBD融合タンパク質をCNBrで化学的に切断させてから内因性HFBIとdCBDを回収することができる。
【0146】
HFBI−dCBD融合タンパク質を実施例33と同様にして精製した。得られた水相(最大で108ml)は、HFBI−dCBD融合タンパク質の他に、まだ少量のCBHIと遊離ヒドロフォビンを含んでいた(図24)。このサンプルをクロマトグラフィーで更に精製した。更に、このサンプルを、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で平衡化させたBiogel P-6カラムで脱塩処理し、サンプル1に対し水3で希釈してから(diluted 1 + 3 with water)、10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で平衡化させたCM−セファロースFFカラムにかけた。CBHIタンパク質はカラムに捕捉されずに流出し、精製されたHFBI−dCBD融合タンパク質は0.2M NaClで溶出された。
【0147】
精製されたHFBI−dCBD融合タンパク質のサンプルを高速真空装置にかけて水分を蒸発させてほぼ完全に乾燥させた。得られた乾燥サンプルに、CNBrの0.1M HCl溶液(5mg/ml)を5倍重量加えて、CNBrによる切断を行なった。反応は室温下(暗所)で24時間行なった。10倍容量の水を加えてから、サンプルを高速真空装置にかけて水分を蒸発させてほぼ完全に乾燥させた。得られた乾燥サンプルを50mM Tris−HCl(pH7)で希釈し、実施例37と同様にしてHPLCで切断を確認した。
【0148】
この処理を更に最適化するために、さまざまなHCl濃度とさまざまなインキュベーション時間を用いて行なった。最終的なCNBr処理サンプルについて、実施例33と同様にして水性二相系(ATPS)による分離を行なった。HFBIは上相に分配され、dCBDは下相に分配され、こうして両融合パートナーは分離された。
【0149】
実施例35
水性二相系(ATPS)を用いたHFBI−一本鎖抗体融合タンパク質の分離
【0150】
T. reeseiのVTT-D-00791株を、10g/リットルカリウムフタレート、15g/リットルのKH2PO4、5g/リットルの(NH42SO4、3%ラクトース、0.2%ペプトンを含有する培地上で7日間培養した。培養物30mlを、実施例5と同様にして4%C12−18−EO5界面活性剤を含む水性二相系(ATPS)による分離に付した。下相を除去した後、界面活性剤相をイソブタノールで抽出した。界面活性剤を抽出した後の水相に含まれるタンパク質とイソブタノール抽出界面活性剤相の下相に含まれるタンパク質を、トリクロロ酢酸(最終濃度10%)で沈殿させ、SDS−PAGEサンプルバッファーで再懸濁(その際イソブタノール抽出界面活性剤相の濃度係数を考慮する)した後、HFBI特異的抗体を用いるウエスタンブロッティングで分析した。融合タンパク質は、図25に示す条件でのSDS−PAGEでは2量体(約70kDa)として移動する。水相サンプルはまだ少量の融合タンパク質を含んでいた。しかし、融合タンパク質の分離をATPSで行なうことができる。
【0151】
実施例36
水性二相系(ATPS)におけるSC3ヒドロフォビンの分離
【0152】
SC3ヒドロフォビンを生成するT. reeseiのVTT-D-00792株を、実施例4と同様にしてラクトース含有培地を用いてフラスコで振とう培養した。この真菌が産生した可溶性分泌タンパク質をトリクロロ酢酸で沈殿させた。沈殿したタンパク質をトリフルオロ酢酸中で可溶化させてSC3凝集体を解離させた後、空気を流して酸を蒸発させた。処理したタンパク質を、界面活性剤C12−18EO5を2.5%含む水2ml中で可溶化させた。相分離を、実施例5と同様にして行なった。軽い相と重い相のそれぞれからサンプルを取って、SC3特異的抗体を用いるウエスタンブロッティングで分析した。この分析によると、SC3ヒドロフォビンは界面活性剤相に分配されることが分かる(図26)。
【0153】
実施例37
水性二相系(ATPS)におけるナイシンの分離
【0154】
1mgの精製されたナイシン(Sigma製)(1000 IUに相当)を含む50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)を2%の界面活性剤C12−18EO5を含む水性二相系(ATPS)を用いて30℃で分離に付し、系を静置して分離した相を安定させた。下相を取り除き、界面活性剤相をイソブタノールで抽出することにより、界面活性剤をイソブタノール中に移動して除去し、ナイシンを水性相に残した。ナイシンの濃縮水性相への分離の測定は、Qiao et al., 1996に記載の方法でナイシンの対生物活性を測定することにより行なった。濃縮水性相によってアッセイプレート上に形成されたかさ(halos)と対照となるナイシンによって形成されたかさとを比較すると、ナイシンは濃度係数5で界面活性剤相に分離したことが分かった。
【0155】
実施例38
水性二相系(ATPS)を用いたHFBIおよびHFBIIの調製的精製(preparative purification)
【0156】
実施例4に記載の方法でグルコースまたはセルロースを含む培地を用いて得られた培養上清の0.5リットルからHFBIおよびHFBIIを調製的目的で抽出した。2%(w/w)界面活性剤を培養上清に加えて混合し、分液漏斗中で静置し、その際の温度は、界面活性剤としてC11EO2(Berol 532)を用いた場合は20℃とし、界面活性剤としてC12−18EO5(Henkel)を用いた場合は30℃とした。界面活性剤相(濃縮相)を採取して等容量のイソブタノールと混合した。界面活性剤としてC11EO2を用いた場合は、更に、等容量の50mM酢酸緩衝液も添加した。残りの培養上清は、目的タンパク質の乏しい相(減損相、depleted phase)である。精製に続き、各工程からのサンプルについて分析的HPLCを行なった(図27と図28)。HPLC分析の結果によると、HFBIとHFBIIの両方がいずれの界面活性剤によっても良好に分離されたことが分かる。界面活性剤としてC11EO2を用いた場合は、HFBIのK値とHFBIIのK値は、それぞれ、>1000と>78であった。
【0157】
イソブタノール抽出後の水相を採取し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液で平衡化させた1×20cmのVydac製の半調製的C4カラム (米国、Vydac製)を用い、0.1%トリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液を用いた直線濃度勾配で溶出することによって更に精製した。次に、タンパク質を凍結乾燥させた。分析においては、4.6mm×20cmのVydac C4カラムを用いた。
【0158】
実施例39
精製したHFBIおよびHFBIIを用いる、分離条件のスクリーニング
【0159】
実施例38に記載されるように水性二相系(ATPS)を用いて培養上清から精製し、更に調製的HPLCで精製してから凍結乾燥させたHFBIおよびHFBIIを、水に溶解して0.5mg/ml濃度の水溶液とした。得られたストック溶液を、実験に適した緩衝液で希釈した。pHのスクリーニングには、50mM酢酸緩衝液(pH5)、50mMグリシン(pH3)、50mM HEPS(pH7)を用い、イオン強度の実験には、NaCl又は(NH42SO4の酢酸緩衝液溶液を用いた。界面活性剤に適当量のヒドロフォビン溶液を添加して、0℃、20℃、30℃、40℃の異なる温度でインキュベートし、目的タンパク質の乏しい相(depleted phase)のヒドロフォビンの量を決定した。分配係数は濃度と容量比の変化から計算し、下記の表に示す。
【表10】
Figure 0004570787
【表11】
Figure 0004570787
【表12】
Figure 0004570787
【0160】
実施例40
水性二相系(ATPS)による分離に基づきT. reeseiの新規なヒドロフォビンと推定されるタンパク質の精製、および対応する遺伝子のクローニング
【0161】
T. reeseiのVTT-D-99726株(QM9414 Δhfb2)を、実施例4と同様にしてラクトース含有培地を用いて15リットルのファーメンタ−で培養した。培養後、培養上清の1リットルを、5%ポリオキシエチレン含有C12−18EO5界面活性剤を用いて水性二相系(ATPS)による分離に付した。30℃で相分離させた後、界面活性剤相を、目的タンパク質の乏しい水相(depleted aqueous phase)から分離してSDS−PAGEで分析した。分析したサンプルは、約7.5kDaのタンパク質を含んでいた。また、それより大きなタンパク質をいくつか含んでいた。これらのタンパク質は、50mM酢酸ナトリウム−1M(NH42SO4緩衝液で平衡化したフェニルセファロースFFカラムを用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーで取り除いた。タンパク質は(NH42SO4塩の下降濃度勾配で溶出した。約7.5kDAのタンパク質を含む画分をプールして濃縮し、マススペクトル分析を行なった。この分析により、精製されたタンパク質は、ジスルフィド結合した3つのペプチド(2486、2586、2709Da)からなることが分かった。2486DaのペプチドのN末端のアミノ酸配列はANAFCPEGLLYTNPLCCDLLであり、これは、システインの位置及び既知のヒロドフォビン類のアミノ酸配列との比較からして、ヒロドフォビンに典型的な配列である。
【0162】
このアミノ酸配列、及び2586Daのペプチドから得られた配列に基づいてディジェネレイティヴプライマーを設計した。設計したプライマーとタンパク質を精製した際に用いた培養液から単離したRNAを用いてPT−PCR(RobutT RT-PCR Kit, Finnzymes製)を行った。RT−PCRによって140bpの断片が得られ、その配列を決定した。得られた配列はPCRプライマーの設計に用いた2486Daのペプチドの一部をコードしており、PCR産物が精製したタンパク質に対応することが確認された。
【0163】
実施例41
ATPSによるEGIコア−HFBI融合タンパクの、パイロットスケールでの精製
【0164】
cbh1プロモーターの下でEGIコア−HFBI融合タンパク質を産生するVTT-D-99702株をパイロットスケールのファーメンターを用い、1200リットルの最少培地(4%ラクトース、0.4%ペプトン、及び0.1%のイーストエキスを含有)で4日間培養した。培養温度は28℃又は27℃から22℃に段階的に変化させながら培養した。融合タンパク質の産生レベルは1リットルあたり数グラムだった。培養終了後に、Celite 535珪藻土をフィルター補助剤として用い、回転真空ドラムフィルターで菌子体を分離した。
【0165】
分離1においては、1100リットルの培養上清を洗浄済みのバイオリアクターに転送し、分離温度を24.7℃に調整し、塩と界面活性剤を混合して(NH4)H2PO4濃度が0.15M、界面活性剤C12−18EO5の濃度が4.1%の系を得た。得られた系を静置して重力で相分離させ、下のバルブを空けて重い相を除去した。この実験と並行して、10mlの系による実験も行い、系を拡大することによる融合タンパク質の分離に与える影響について検討した。分配係数と濃度係数は10mlの系と1200リットルの系で誤差範囲内で同じであった。分離した界面活性剤相の再抽出を、1回目の抽出で得た界面活性剤相の容量の半分を水道水に置換えて行った。更に塩濃度は(NH4)H2PO4濃度として0.25Mにして30℃で行った。これらの分離のK値とY値を下記の表に示した。
【0166】
また、分離2においては、ドラムフィルターの濾液サンプル10mlを25℃、4.1%界面活性剤C12−18EO5と1.15M(NH4)H2PO4からなるATPSによる分離に付した。一回の分離工程で得られたK値とY値を下記の表に示した。
【表13】
Figure 0004570787
【0167】
実施例42
粗(robust)ミセル/ポリマー系による、EGI、EGIコア−HFBI融合タンパクおよびHFBIヒドロフォビンの分離
【0168】
精製したタンパク質を用いて分離を行った。HFBIは実施例38と同様に二相分離及びHPLCで精製した。EGIコア−HFBIは実施例5と同様に二相分離した後、150mMのNaClを含む20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH6)で平衡化したBiogel P-6カラムで脱塩した。精製したタンパク質を種々のミセル/ポリマー系による分離に付した。
【0169】
下記の表は精製したEGI、HFBI及びEGIコア−HFBIの、種々の系における一定基準値(constant tie-line length)の分配係数を示す。具体的には、次の系を用いた:31.5℃のTriton X-114 /水系(4.1重量%)、21℃のTriton X-100 / Reppal /水系(8.1重量%/8.2重量%)及び21℃のTriton X-100 / Reppal /水系(5.0重量%/4.0重量%)。標準偏差をカッコ内に示した。各系は25mMの酢酸ナトリウム(pH4.0)で緩衝化した。K>1はミセルに富んだ相へのタンパク質の好ましい分配を意味する。
【表14】
Figure 0004570787
【0170】
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【0171】
配列表
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【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスミドpMQ103の遺伝子地図である。
【図2】 プラスミドpMQ113の遺伝子地図である。
【図3】 プラスミドpMQ104の遺伝子地図である。
【図4】 プラスミドpMQ114の遺伝子地図である。
【図5】 プラスミドpMQ105の遺伝子地図である。
【図6】 プラスミドpMQ115の遺伝子地図である。
【図7】 プラスミドpMQ121の遺伝子地図である。
【図8】 5%の界面活性剤C12−C18EO5を用いた水性2相系に付して分離したEGIコア−HFBI融合タンパク質の10%SDS−PAGEをクーマシー染色した結果である。レーン1,分子量マーカー;レーン2,精製したCBHI(4μg);レーン3,精製したEGI(4μg);レーン4,セルロース含有培地で培養したVTT-D-98691の培養濾液を1/10に希釈したもの;レーン5と6,VTT-D-98691の培養濾液を5%界面活性剤を用いて二相分離した際の下相及び界面活性剤相(上相)をそれぞれ1/10に希釈したもの;レーン7,希釈していない下相;レーン8,希釈していないVTT-D-98691のセルロース含有培地培養濾液。
【図9】 異なる濃度の界面活性剤C12−C18EO5を用いたEGIコア−HFBI融合タンパク質の2相分離をウエスタンブロッティングで分析した結果である。融合タンパク質は抗HFBI抗体で検出した。レーン1,分子量マーカー;レーン2,精製したEGI;レーン3,VTT-D-98691のセルロース含有培地の培養濾液;レーン4と5,VTT-D-98691の培養濾液を5%の界面活性剤を用いて二相分離した際の界面活性剤相(上相)及び下相;レーン6,界面活性剤濃度を2%とした以外はレーン3と同じ;レーン7,界面活性剤濃度を2%とした以外はレーン4と同じ;レーン8,精製したEGI;レーン9,精製したCBHI。
【図10】 内因性のCBHIから分離したEGIコア−HFBI融合タンパク質を含む上相を2%の界面活性剤で再抽出して得た融合タンパク質の10%SDS−PAGEをクーマシー染色した結果である。レーン1,分子量マーカー;レーン2,精製したCBHI(4μg);レーン3,精製したEGI(4μg);レーン4,1回目の抽出で得られた界面活性剤相(上相);レーン5,2回目の抽出で得られた界面活性剤相(上相)。
【図11】 トロンビンで処理したEGI−HFBI融合タンパク質の10%SDS−PAGEをクーマシー染色した結果である。レーン1,分子量マーカー;レーン2,EGI−HFBI(1mg/ml)を3Uのトロンビンで24℃、72時間処理したもの;レーン3,トロンビンを添加しないこと以外はレーン2と同じ;レーン4,EGI−HFBI(1mg/ml)を9Uのトロンビンで36℃、48時間処理したもの;レーン5,トロンビンを添加しないこと以外はレーン4と同じ;レーン6,処理時間が36時間であること以外はレーン5と同じ。
【図12】 プラスミドpTNS13の遺伝子地図である。
【図13】 5%の界面活性剤C12−C18EO5を用いたdCBD−HFBI融合タンパク質の2相分離をウエスタンブロッティングで分析した結果である。融合タンパク質は抗HFBI抗体で検出した。レーン1,4倍に濃縮した培養濾液;レーン2,4倍に濃縮した下相;レーン3,上相。
【図14】 プラスミドpTNS18の遺伝子地図であり、機能しない制限酵素部位をアステリスクで示す。
【図15】 プラスミドpTNS18の遺伝子地図である。
【図16】 プラスミドpTNS23の遺伝子地図である。
【図17】 ヒドロフォビンを細胞表面に発現した細胞が界面活性剤相に分配されることを示す。S. cerevisiae VTT-C-99315を分離した界面活性剤相は濁っているが、コントロールであるH2155株の分離を行った際の界面活性剤相は透明である。
【図18】 プラスミドpTNS32の遺伝子地図である。
【図19】 プラスミドpTH4の遺伝子地図である。
【図20】 プラスミドpTNS30の遺伝子地図である。
【図21】 プラスミドpTH1の遺伝子地図である。
【図22】 プラスミドpTH2の遺伝子地図である。
【図23】 プラスミドpKS2の遺伝子地図である。
【図24】 Berol 532を用いた水性二相系によるHFBI−dCBD融合タンパク質の精製を示すSDS−PAGEである。
【図25】 4%の界面活性剤C12−C18EO5を用いたHFBI−ENA5ScFv融合タンパク質の2相分離をウエスタンブロッティングで分析した結果である。レーンは左から(1)分子量マーカー、(2)VTT-D-00791を処理した際の上相(高含有相)、(3)VTT-D-00791株を処理した際の下相(低含有相)。
【図26】 SC3ヒドロフォビンの分離を、SC3特異的抗体を用いたウエスタンブロッティングで分析した結果である。レーン1,VTT-D-00791を処理した際の下相;レーン2,VTT-D-00791を処理した際の上相。
【図27】 2%のBerol 532を用いた系におけるHFBIの分配をHPLCでモニターした結果である。
【図28】 2%のBerol 532を用いた系におけるHFBIIの分配をHPLCでモニターした結果である。

Claims (23)

  1. タンパク質又は細胞を水性二相系(ATPS)を用いて分離する方法であって、
    a)目的タンパク質又は目的細胞にターゲッティングタンパク質を結合させて融合タンパク質又はターゲッティングタンパク質が結合している目的細胞を得、該ターゲッティングタンパク質は、水性二相系においていずれかの相に分配されうるヒドロフォビン及びヒドロフォビン様タンパク質からなる群から選ばれるタンパク質であって、結合したタンパク質又は細胞をいずれかの相に移動させうるタンパク質であり、そして
    b)該融合タンパク質又は該ターゲッティングタンパク質が結合している細胞を水性二相系による分離に付す
    ことを包含する分離方法。
  2. 該ヒドロフォビンがトリコデルマ(Trichoderma)属のヒドロフォビンであることを特徴とする、請求項1の分離方法。
  3. 該トリコデルマ属のヒドロフォビンがHFBI、HFBII又はSRHIであることを特徴とする、請求項2の分離方法。
  4. 該ヒドロフォビン又はヒドロフォビン様タンパク質が凝集物を形成することを特徴とする、請求項1の分離方法。
  5. 水性二相系による細胞の分離を目的とした分離方法であって、工程a)における目的細胞とターゲッティングタンパク質との結合が、該ターゲッティングタンパク質を目的細胞の細胞表面に存在させることを包含する、請求項1〜4のいずれかに記載の分離方法。
  6. 該細胞が酵母細胞であることを特徴とする、請求項5の分離方法。
  7. 該細胞が胞子であることを特徴とする、請求項5の分離方法。
  8. 細胞の表面にターゲッティングタンパク質を存在させるタンパク質にターゲッティングタンパク質を融合させることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の分離方法。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のヒドロフォビン又はヒドロフォビン様タンパク質が目的タンパク質に融合してなる融合タンパク質。
  10. 該目的タンパク質が細胞結合タンパク質又は該細胞結合タンパク質の部分ペプチドであることを特徴とする、請求項9の融合タンパク質。
  11. 該目的タンパク質が細胞外タンパク質又は該細胞外タンパク質の部分ペプチドであることを特徴とする、請求項9の融合タンパク質。
  12. 該細胞外タンパク質が、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ及びプロテアーゼからなる群より選ばれるトリコデルマ属の細胞外タンパク質であることを特徴とする、請求項11の融合タンパク質。
  13. 該目的タンパク質が、抗体タンパク質又は該抗体タンパク質の部分ペプチドであることを特徴とする、請求項9の融合タンパク質。
  14. 該ターゲッティングタンパク質と目的タンパク質が結合した融合タンパク質が、請求項9〜13のいずれかに記載の融合タンパク質であることを特徴とする、請求項1の分離方法。
  15. 請求項9〜13のいずれかに記載の融合タンパク質を生成するヒト以外の組換え生物。
  16. 請求項9〜13のいずれかに記載の融合タンパク質を生成しうるように遺伝子組換えされていることを特徴とする、請求項15ヒト以外の組換え生物。
  17. 請求項9〜13のいずれかに記載の融合タンパク質をコードする組換えDNA。
  18. ヒト以外の組換え生物を用いて請求項9〜13に記載の融合タンパク質を製造する方法であって、
    a)融合タンパク質を発現させることが可能な組換えDNAでヒト以外の生物を形質転換してヒト以外の組換え生物を得、そして
    b)培養した該ヒト以外の組換え生物から該融合タンパク質を回収する
    ことを包含する製造方法。
  19. 該水性二相系が、界面活性剤を主成分とする水性二相系及び熱分離性ポリマー系からなる群より選ばれる水性二相系であることを特徴とする、請求項1〜8及び14のいずれに記載の分離方法。
  20. 該界面活性剤を主成分とする水性二相系が、非イオン性又は両性イオン性の界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項19の分離方法。
  21. 該熱分離性ポリマーからなる系が、ポリエチレン−プロピレン共重合体からなる群より選ばれるポリマーを包含することを特徴とする、請求項19の分離方法。
  22. 細胞又細胞抽出物を含む分散液より目的タンパク質又は目的細胞を分離することを特徴とする、請求項1〜8及び14のいずれかに記載の分離方法。
  23. ヒドロフォビン又はヒドロフォビン様タンパク質を水性二相系を用いて分離する方法であって、
    a)ヒドロフォビン又はヒドロフォビン様タンパク質を含む溶液を相形成界面活性剤と混合して水性二相系を形成し、そして
    b)水性二相系による分離を行う
    ことを包含する分離方法
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