JP2015518723A - トリコデルマ(Trichoderma)ヒドロホビン産生 - Google Patents

トリコデルマ(Trichoderma)ヒドロホビン産生 Download PDF

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Abstract

本発明は、微生物、特にトリコデルマ(Trichoderma)産生宿主において、ヒドロホビンなどの生物系界面活性剤の発現を最大化させる方法に関する。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願特許第61/649,654号(2012年5月21日出願)に対する優先権を請求し、この出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
国際出願公開第WO 2009/152176号(2009年12月17日)として公開された国際出願第PCT/US2009/046783号(2009年6月9日出願)、国際出願公開第WO 2011/019686号(2011年2月17日)として公開された国際出願第PCT/US2010/044964号(2010年8月10日出願)、国際出願第PCT/US2010/044964号(2010年8月10日出願)、国際出願第PCT/US12/31104号(2012年3月29日出願)並びに国際出願第PCT/US12/33728号(2012年4月16日出願)、並びに米国特許第13/433,036号(2012年3月28日出願)を参照とする。
前述の出願、並びにそこに又はそれらの審査中に引用されるすべての文書(「出願引用文献」)及びその出願引用文献において引用又は参照されるすべての文書、そして本明細書において引用又は参照されるすべての文書(「本明細書で引用される文書」)及び本明細書で引用される文書において引用又は参照されるすべての文書は、本明細書若しくは参照することにより本明細書に援用される任意の文書において言及される任意の製品の任意の製造者の指示、説明、製品仕様書、及び製品シートと一緒に、参照することにより本明細書に援用され、発明の実施において用いられてもよい。より詳細には、全ての参照文書は個々の各文書が特に、かつ個々に、参照することにより本明細書に援用されると示されるものと同一の範囲で、参照することにより本明細書に援用される。
(発明の分野)
本発明は、トリコデルマ(Trichoderma)産生宿主においてヒドロホビンを産生する方法に関する。
ヒドロホビン類(HBF)は、約70〜150個のアミノ酸からなる小型の分泌タンパク質であり、糸状菌、例えば、スエヒロタケ(Schizophyllum commune)で生じる。これらは、通常、システイン残基を8つ有する。ヒドロホビンは、天然源から分離することができるが、遺伝子工学的な方法によっても得ることができる(例えば、国際公開第2006/082251号及び国際出願公開第2006/131564号を参照)。
ヒドロホビン類は、例えば、気菌糸、胞子、子実体などの様々な真菌構造体の表面で、非水溶性形態で構築される。ヒドロホビンの遺伝子は、子嚢菌類、不完全菌類、及び担子菌類から単離することができる。例えば、スエヒロタケ(Schizophyllum commune)、ネナガヒトヨタケコプリナス(Coprinus cinereus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)等のいくつかの菌類は、1つを超えるヒドロホビン遺伝子を有する。異なるヒドロホビンが、真菌の発達の異なる段階において明白に関与している。これらの段階において、ヒドロホビン類は、恐らく異なる機能を担う(van Wetter et al.,2000,Mol.Microbiol.,36,201〜210;Kershaw et al.1998,Fungal Genet.Biol,1998,23,18〜33)。
今までに同定されたヒドロホビンは、概ね、クラスI又はクラスIIとして分類される。両タイプは、疎水性(hydrophobilic)界面で両親媒性フィルムに自己集合する分泌タンパク質として菌類において同定されている。クラスIのヒドロホビンの集合体は、通常、比較的不溶性である一方で、クラスIIのヒドロホビン(HBF II)の集合体は、様々な溶媒中に容易に溶解する。
ヒドロホビンに関する生物学的機能として、気中菌糸の生成のための水の表面張力の低下に加えて、胞子への疎水性の付与も記載されている(Wosten et al.1999,Curr.Biol.,19,1985〜88、Bell et al.1992,Genes Dev.,6,2382〜2394)。更に、ヒドロホビンは、地衣類の子実体のガスチャネルを内張りし、菌類病原体により植物表面の認識システムにおける構成成分として機能する(Lugones et al.1999,Mycol.Res.,103,635〜640、Hamer & Talbot 1998,Curr.Opinion Microbiol.,volume 1,693〜697)。
これまでに、ヒドロホビン類は、時間を消費するタンパク質の化学的な精製法(分子ふるい又はイオン交換カラム精製又はHPLCなど)及び単離法(塩析及び結晶化)を使用し、並程度の収率及び純度でのみ調製されていた。遺伝子法を用いてより多量のヒドロホビン類を生成しようという試みは必ずしも成功しているわけではない。トリコデルマ(Trichoderma)におけるHFB IIの収率は、例えば、約0.24g/L又は更にはそれ未満である。
したがって、当該技術分野では、ヒドロホビン類、特に、HFB IIにより有効な産生法が必要とされている。
本出願におけるいずれの文書の言及又は識別も、そのような文書が本発明の先行技術として利用できることを承認するものではない。
本発明は、cbh1プロモーターの調節下、グルコース及びソホロースを添加した培地中で、トリコデルマ(Trichoderma)産生宿主においてヒドロホビンを発現させることで、これまでに観察されているよりも高収率でヒドロホビンが得られるという、出願者らの驚くべき及び予想外の発見に一部由来するものである。グルコースはcbh1発現を下方調節することが知られており、ラクトースはcbh1発現を誘導することが知られていることから、これまでに、ラクトースはhfb2産生を誘導する際に使用されていた(例えば、Bailey et al.,Appl Microbiol Biotechnol.2002 May;58(6):721〜7を参照されたい)。
本発明は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)においてヒドロホビンIIを産生する方法に関する。方法は、ヒドロホビンII(hfb2)コード配列を発現プラスミドにクローニングする工程、並びにトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を発現プラスミドにより形質転換させる工程を含み得る。有利なことに、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)において、cbh1コード配列は欠失又は破壊してもよい。
方法には、ヒドロホビンIIを発現している安定な形質転換体を選別する工程を更に含ませることもできる。安定な形質転換体は、グルコース/ソホロースを含有しているブロスで発酵させることもできる。所望により、消泡剤を加えることもできる。
ヒドロホビンIIは、溶解及び/又は濾過により細胞から回収することで単離することもできる。
有利なことに、ヒドロホビンIIは、ブロスの2g/L超又は5g/L超の濃度で産生させることができる。
特に、「から本質的になる」の使用により、当該技術分野において入手可能な任意の程度で、米国特許出願公開第7,713,725号及び、例えば、主題及び/又は特許法によりこれに相当する任意の文書(例えば、国際公開第2004/035070号であり又は該特許の優先権を主張し又は該特許と同一のファミリーに属することにより)、並びに米国特許第7,883,872号を区別して言及する。特に、「から本質的になる」の使用により、当該技術分野において入手可能な任意の程度で、特に、VTT Biotechnologyによる、限定するものではないが、Nakari−Setala et al.,Eur J Biochem.1997 Sep 1;248(2):415〜23;Ilmen et al.,Appl Environ Microbiol.1997 Apr;63(4):1298〜306、並びにBailey et al.,Appl Microbiol Biotechnol.2002 May;58(6):721〜7などの出版を区別して言及する。
一実施形態は、誘導型プロモーターの調節下の遺伝子によりコードされるヒドロホビンの産生方法であって、該方法は(a)約5%〜約75%グルコース及びセルラーゼ製剤を含む第1の混合物を生成する工程、(b)2g/L〜25g/Lの範囲の濃度のソホロース、35g/L〜60g/Lの範囲の濃度のゲンチオビオース、及びグルコースを含む誘導栄養組成物を製造するための温度にて、十分な時間にわたって第1の混合物をインキュベートする工程、並びに(c)ヒドロホビンの産生を誘導するのに有効な量の前記誘導栄養組成物を用い、ソホロース誘導型プロモーター又はゲンチオビオース誘導型プロモーターの調節下にヒドロホビンをコードしているヌクレオチド配列を含む宿主細胞を培養する工程、を包含する。別の実施形態では、ヒドロホビンは異種ヒドロホビンである。別の実施形態では、ヒドロホビンはヒドロホビンI又はヒドロホビンIIである。別の実施形態では、細胞は、ソホロース誘導型プロモーター又はゲンチオビオース誘導型プロモーターの調節下のヒドロホビン遺伝子を発現するよう、遺伝子操作されている。一実施形態では、細胞は糸状菌細胞であり、好ましくはトリコデルマ(Trichoderma)、ヒュミコラ(Humicola)、フザリウム(Fusarium)、アスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、マイセリオフトラ(Myceliophthora)、サーモマイセス(Thermomyces)、クリソスポリウム(Chrysosporium)からなる群から選択され、より好ましくはトリコデルマ種(Trichoderma spp)であり、好ましくはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)である。一実施形態では、第1の混合物は約50℃〜約70℃で約8時間〜約7日間インキュベートする。一部の実施態様では、ヒドロホビン遺伝子は、cbh1、cbh2、egl1又はegl2プロモーターに操作可能なように連結され、これにより、ヒドロホビンの発現はcbh1、cbh2又はegl1、egl2プロモーターの調節下に置かれる。別の実施形態では、内在性セルラーゼ遺伝子は欠失又は破壊される。別の実施形態では、内在性egl5遺伝子は欠失又は破壊される。一部の実施形態では、グルコース及び/又はソホロース誘導型プロモーターの調節下の遺伝子によりコードされるヒドロホビンを産生するための方法が提供され、グルコースは約60重量/重量%を構成する量で誘導栄養組成物中に存在し、ソホロースは、約12g/Lを構成する量で誘導栄養組成物中に存在し、ヒドロホビンをコードする核酸分子はhfb2コード配列であり、hfb2コード配列がcbh1プロモーターに調節可能なように連結されることで、ヒドロホビンの発現はcbh1プロモーターの調節下に置かれ、トリコデルマ(Trichoderma)は、トリコデルマ(Trichoderma)のcbh1、cbh2、egl1、egl5、及びegl2をコードする配列のうち1つ以上が欠失又は破壊されたトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を含む。
これら及び他の実施形態は、開示されるか、又は以下の詳細な説明から明らかであり、それらによって包含される。
本明細書で使用するとき、「生物系界面活性剤」又は「生物学的に製造された界面活性剤」は、水及び疎水性液体間、又は水及び大気間の界面張力といった、表面張力を減少させ、かつ生物学的なシステムにより製造又は得られ得る物質に関係する。生物系界面活性剤又は生物学的に製造される界面活性剤は、タンパク質、有利にはヒドロホビンであってよい。生物系界面活性剤は、天然に存在し、又は天然に見出されない変異誘発された若しくは遺伝子組み換えされた変異体であってもよい。
本明細書で使用される「生物システム」は、微生物、植物、真菌、昆虫、脊椎動物、又は合成生物学により創造された生命形態などの生物を含み、又は該生物に由来する。生物は、伝統的な繁殖、クローン選択、突然変異誘発、及び遺伝的多様性を形成する同様の方法により得られる、天然に見出されない変異体であってもよく、又は組み換えDNA技術により得られる、遺伝子組み換えされた生物であってもよい。生物は、その全体が使用されてもよく、又は器官培養物、植物栽培品種、懸濁細胞培養物、細胞培養物、接着細胞培養物、若しくは細胞フリー調製物などの、構成成分の供給源であってもよい。
生物システムは、生物系界面活性剤を隔離する際、生細胞を含んでも又は含まなくてもよい。生物システムは、天然源から見出され若しくは収集されてもよく、又は飼育、栽培されてもよく、又は工業的条件下で増殖されてもよい。生物システムは、供給された前駆体若しくは栄養素から生物系界面活性剤を合成してもよく、又はその環境から生物系界面活性剤を富ませてもよい。
本明細書で使用される「生産」は、化学製品及び生物学的製品を生産するための製造方法に関し、回収、収集、圧縮、瀉血、解離、均質化、すり潰し、醸造、発酵、回収、固液分離、細胞分離、遠心分離、濾過(真空濾過など)、配合、保管又は輸送を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき、「発酵ブロス組成物」は、ヒドロホビン等の所望のタンパク質を含有する細胞増殖培地を指す。細胞増殖培地は、細胞及び/又は細胞残屑を含んでよく、濃縮されていてもよい。代表的な発酵ブロス組成物は、ヒドロホビンを含有する、限外濾過濃縮された発酵ブロスである。精密濾過は、従来、例えば細胞分離のために、細胞残屑を保有し、タンパク質を通過させるために使用されるが、一方、限外濾過は、従来、例えば、濃縮のためにタンパク質を保有し、溶質を通過させるために使用される。
本明細書で使用するとき、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、ペプチド結合により連結されたアミノ酸残基を含む任意の長さのポリマーを指すために互換的に使用される。アミノ酸残基について、本明細書では従来の1文字コード又は3文字コードが使用される。ポリマーは直鎖又は分枝鎖であってよく、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断され得る。この用語は、自然に、又は介在によって、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは修飾、例えば、標識成分との共役によって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含有するポリペプチド、並びに当該技術分野において既知の他の修飾物も定義内に含まれる。
本明細書で使用されるとき、「培養液」は、生物系界面活性剤並びに所望の生物系界面活性剤が回収されるように意図される他の可溶性及び不溶性成分を含む液体である。そのような構成成分には、他のタンパク質、例えば、細胞又は細胞残屑、核酸、多糖、脂質、消泡剤などの化学物質、凝集剤、塩、糖、ビタミン、増殖因子、沈殿剤などの非タンパク質性不純物が挙げられる。「培養溶液」は、「タンパク質溶液」、「液体培地」、「透析濾過(diafiltered)ブロス」、「透明化ブロス」、「濃縮物」、「調整培地」、「発酵ブロス」、「溶菌ブロス」、「溶菌液」、「細胞ブロス」、又は単に「ブロス」とも称され得る。存在する場合、細胞は、細菌性、真菌性、植物、動物、ヒト、昆虫、合成性などであってもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「回収」とは、生物系界面活性剤及び1つ以上の望ましくない成分を含む液体培養が、細胞及び細胞残屑、他のタンパク質、アミノ酸、多糖類、糖類、ポリオール、無機又は有機塩、酸及び塩基、並びに微粒子材料等の望ましくない成分の少なくともいくつかから生物系界面活性剤を分離するためのプロセスに供される、プロセスを指す。
本明細書で使用される「生物系界面活性剤製品」は、消費者などのエンドユーザに提供するのに好適な生物界面活性調製物を指す。生物系界面活性剤製品には、機能上の貯蔵寿命を延長させる目的で、あるいは生物系界面活性剤の最終用途を容易にする目的で加えられ又は保持される緩衝剤、塩、防腐剤、還元剤、糖類、ポリオール、及び界面活性剤などの配合賦形剤を含有させることもできる。
本明細書で使用されるように、機能的に及び/又は構造的に類似する生物系界面活性剤は、「関連する生物系界面活性剤」であると見なされる。そのような生物系界面活性剤は、異なる属及び/若しくは種の生物に由来してもよく、又は更には、異なる生物の綱(例えば、細菌及び真菌)に由来してもよい。関連生物系界面活性剤は、一次配列分析によって決定されるか、三次構造分析によって決定されるか、又は免疫学的交差反応性によって決定される、相同体も包含する。
本明細書で使用されるとき、用語「誘導生物系界面活性剤」は、N末端及びC末端のいずれか若しくは両方に1つ以上のアミノ酸を付加することにより、アミノ酸配列中の1つ若しくは多数の異なる部位で1つ以上のアミノ酸を置換することにより、並びに/あるいはタンパク質のいずれか若しくは両方の末端で又はアミノ酸配列中の1つ以上の部位で1つ以上のアミノ酸を欠失させることにより、並びに/あるいは、アミノ酸配列中の1つ以上の部位で1つ以上のアミノ酸を挿入することにより、生物系界面活性剤から誘導されるタンパク質系の生物系界面活性剤を指す。生物系界面活性剤誘導体の調製は、天然タンパク質をコードするDNA配列を改変し、このDNA配列により好適な宿主を形質転換させ、改変されたDNA配列を発現させてタンパク質誘導体を形成することにより、達成されてもよい。
関連する生物系界面活性剤(及び誘導体)には、「生物系界面活性剤変異体」が含まれる。変異体タンパク質系生物系界面活性剤は、少数のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は挿入により、参照/親生物系界面活性剤、例えば、野生型生物系界面活性剤とは異なる。異なるアミノ酸残基の数は、1つ以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、又はそれ以上のアミノ酸残基であり得る。変異性生物系界面活性剤は、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は更には、少なくとも約99%、又はそれ以上のアミノ酸配列同一性を野生型生物系界面活性剤と共有する。変異性生物系界面活性剤は、選択したモチーフ、ドメイン、エピトープ、保存領域などにおいても参照生物系界面活性剤とは異なり得る。
本明細書で使用するとき、「キメラ」又は「キメラの」は、単一組成物、有利には異なる生物に由来するものであってよい複数の成分を保有するポリペプチドを指す。本明細書で使用するとき、「キメラの」は、各タンパク質部分の機能又は活性に対応する領域を保有する融合タンパク質が得られるように遺伝子操作された、生物系界面活性剤又はそれらの変異型生物系界面活性剤を含む、直列型に配置された部分を指すために使用される。
本明細書で使用される用語「類似配列」は、生物系界面活性剤と類似する機能、三次構造、及び/又は保存残基を提供する、タンパク質ベースの生物系界面活性剤中の配列を指す。例えば、α−立体らせん又はβ−シート構造を含むエピトープ領域において、類似配列における置き換えアミノ酸は、好ましくは同一の特定構造を維持する。この用語は、ヌクレオチド配列並びにアミノ酸配列も指す。いくつかの実施形態では、類似配列は、置き換えアミノ酸が、類似する機能又は改善された機能を示す変異酵素を生じるように開発される。いくつかの実施形態では、生物系界面活性剤におけるアミノ酸の三次構造及び/又は保存残基は、所望のセグメント若しくは断片に位置するか、又はその付近に位置する。したがって、所望のセグメント又は断片が、α−立体らせん又はβ−シート構造を含む場合、置き換えアミノ酸は、好ましくはその特定の構造を維持する。
本明細書で使用される用語「相同性生物系界面活性剤」は、参照生物系界面活性剤に類似する活性及び/又は構造を有する生物系界面活性剤を指す。相同体が必ず進化的に関連することは意図しない。それ故、この用語は、異なる生物から得られる同一の、類似する、又は対応する生物系界面活性剤(すなわち、構造及び機能の点で)を包含することが意図される。いくつかの実施形態では、参照生物系界面活性剤に類似する四次、三次、及び/又は一次構造を有する相同体を同定することが望ましい。
配列間の相同性の度合いは、当該技術分野において既知である任意の好適な手法を使用して求めることもできる(例えば、Smith and Waterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482;Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.,48:443;Pearson and Lipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444;Wisconsin Geneticsソフトウェア・パッケージ中のGAP,BESTFIT,FASTA、及びTFASTAなどのプログラム(Genetics Computer Group,Madison,WI);並びにDevereux et al.(1984)Nucleic Acids Res.12:387〜395を参照されたい)。
例えば、PILEUPは、配列相同性レベルを決定する有用なプログラムである。PILEUPは、ペアワイズアラインメントのプログレッシブ法を用いて、一群の関連する配列から複数の配列のアラインメントを行う。PILEUPは、アラインメントを行うのに使用されるクラスタリング関係を示す系統樹をプロットすることもできる。PILEUPは、Feng及びDoolittleの累進アライメント法を単純化したものを使用する(Feng及びDoolittle(1987)J.Mol.Evol.35:351〜60)。この方法は、Higgins及びSharpにより記載されるものと類似している(Higgins and Sharp(1989)CABIOS 5:151〜153)。有用なPILEUPパラメーターとしては、3.00のデフォルトギャップ重みづけ(default gap weight)、0.10のデフォルトギャップ伸長重みづけ(default gap length weight)及び重みつき末端ギャップ(weighted end gaps)が挙げられる。Altschul et al.により報告されているBLASTアルゴリズムもその他の有用なアルゴリズムの例である(Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410;and Karlin et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5787)。1つの特に有用なBLASTプログラムは、WU−BLAST−2プログラムである(Altschul et al.(1996)Meth.Enzyml.266:460〜480)パラメーター「W」、「T」及び「X」は、アライメントの感度及び速度を決定する。BLASTプログラムは、ワード長(W):11、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照されたい)アラインメント(B):50、期待値(E):10、M’5、N’−4)並びに両鎖の比較をデフォルトとする。
本明細書で使用するとき、少なくとも2つの核酸又はポリペプチドの文脈における語句「実質的に同様である」及び「実質的に同一である」は典型的には、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが、参照(すなわち、野生型)配列と比較して、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約91%の同一性、少なくとも約92%の同一性、少なくとも約93%の同一性、少なくとも約94%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約96%の同一性、少なくとも約97%の同一性、少なくとも約98%の同一性、又は更には少なくとも約99%の同一性又はそれ以上の同一性を有する配列を含むことを意味する。配列同一性は、標準パラメーターを用いた、BLAST、ALIGN、及びCLUSTALなどの既知のプログラムを使用して決定され得る(例えば、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410;Henikoff et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915;Karin et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:5873;並びにHiggins et al.(1988)Gene 73:237〜244を参照されたい)。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)より公的に入手可能である。同様に、データベースはFASTAを使用して検索することもできる(Pearson et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444〜2448)。2つのポリペプチドが実質的に同一である一つの印は、第一のポリペプチドが第二のポリペプチドと免疫学的に交差反応することである。典型的には、保存アミノ酸置換によって異なるポリペプチドは免疫学的に交差反応する。したがって、例えば、2つのポリペプチドが保存置換のみが異なるポリペプチド場合は実質的に第二ポリペプチドと同一である。2つの核酸配列が実質的に同一である他の印は、2つの分子がお互いに厳格な条件(例えば、中程度から高度に厳格な条件の範囲内)においてお互いにハイブリッドすることである。
本明細書で使用される「野生型」及び「天然」生物系界面活性剤は、天然に見出されるものである。用語「野生型配列」及び「野生型遺伝子」は、本明細書で交換可能に使用されて、宿主細胞において天然又は自然発生する配列を指す。いくつかの実施形態では、野生型配列は、タンパク質設計計画の出発地点である所望の配列を指す。天然に存在するタンパク質をコードする遺伝子は、当業者に既知の一般的な方法に従って得ることができる。この方法は一般に、生物系界面活性剤の領域をコードする推定配列を有する標識プローブを合成する工程と、タンパク質を発現する生物からゲノムライブラリーを調製する工程と、プローブに対するハイブリダイゼーションにより、所望の遺伝子に関してライブラリーをスクリーニングする工程と、を含む。次いで、ポジティブにハイブリダイズするクローンをマッピング及び配列する。
本発明の方法は、培養液から生物系界面活性剤を単離するために適用することができる。有利には、生物系界面活性剤は、微生物によって分泌される可溶性細胞外生物系界面活性剤である。
一連の代表的な生物系界面活性剤は、糸状菌によって発現されるシステインリッチなポリペプチドの類であるヒドロホビンである。ヒドロホビンは、細胞及び人工材料を含む物体の表面上に疎水性コーティングを形成する能力で既知の小(〜100アミノ酸)ポリぺプチドである。1991年にスエヒロタケコミューン(Schizophyllum commune)において最初に発見されたヒドロホビンは、現在多数の糸状菌において認識されている。疎水性親水性指標(ハイドロパシー)及び他の生物物理学的特性における差異に基づいて、ヒドロホビンは、クラスI又はクラスIIとして分類される。
ヒドロホビンを発現させるには、従来的に、発酵中に前述の剤(すなわち、消泡剤)を1つ以上加える必要がある。あるいは、ヒドロホビンポリペプチドにより産生される泡は、吸排気フィルタを詰まらせ、排気口を汚染し、圧力を上昇させ、タンパク質の収率を低下させる恐れがある。その結果、ヒドロホビンの粗濃縮物は、従来、特にヒドロホビンが食品添加剤として意図される場合、ヒドロホビン調製物中には望ましくない残留量の消泡剤、及び宿主細胞汚染物質を含む。有利に、消泡剤はシリコーン系ポリマー及び/又は非シリコーン系有機剤であってよい。
ヒドロホビンは、その実際の分子量を超える見かけ上の分子量を有する形態で可逆的に存在することができ、このことは、ヒドロホビンを本方法を用いた回収に非常に好適なものとする。ヒドロホビンを含む液体又は泡は、記載したように、タンパク質回収のために発酵槽から連続的に又は周期的に回収されてもよく、又は発酵操作の終わりに回分式に回収されてもよい。
ヒドロホビンは、当該技術分野にて既知の任意のクラスI又はクラスIIヒドロホビン、例えば、アガリクス属(例えば、アガリクスビスポラス)、アグロサイブ属(例えば、ポプラキノコ)、アジェロミセス属(例えば、アジェロミセスカプスラタス、アジェロミセスデルマティティディス)、アスペルギルス属(例えば、アスペルギルスアルビ、アスペルギルスブレビプス、アスペルギルスクラバタス、アスペルギルスデリカウリス、アスペルギルスエリプティカス、アスペルギルスフラバス、アスペルギルスフミガーツス、アスペルギルスフミシネマタス、アスペルギルスレンタス、アスペルギルスニゲル、アスペルギルスユニラテラリス、アスペルギルスビリジニュータンス)、ボーベリア属(例えば、ボーベリアバッシアーナ)、クラビセプス属(例えば、クラビセプスフシホルミス)、コクシジオイド属(例えば、コクシジオイドポサダシ)、コクリオボラス属(例えば、コクリボルスヘテロストロフス)、クリニペリス属(例えば、クリニペリスペルニキオサ(Crinipellis perniciosa))、クリフォネクトリア(Cryphonectria)属(例えば、クロフォネクトリアパラシティカ)、ダビディエラ属(例えば、ダビディエラタシアナ(Davidiella tassiana))、ディクチオネマ(Dictyonema)属(例えば、ディクチオネマグラブラタム(Dictyonema glabratum))、エメリセラ(Emericella)属(例えば、エメリセラニデュランス)、フランムリナ属(例えば、フランムリナベルティペス)、フサリウム属(例えば、フサリウムクルモラム(Fusarium culmorum))、ギベレラ(Gibberella)属(例えば、ギベレラモニリホルミス(Gibberella moniliformis))、グロメレラ(Glomerella)属(例えば、グロメレラグラミニコラ)、グリフォラ属(例えば、グリフォラフロンドサ)、ヘテロバシジオン属(例えば、ヘテロバシイオンアンノサム(Heterobasidion annosum))、ハイポクレア(Hypocrea)属(例えば、ハイポクレアジェコリナ、ハイポクレアリキシ、ハイポクレアビレンス)、ラッカリア属(例えば、ラッカリアビカラ)、レンチヌラ属(例えば、レンチヌラエドーデス)、マグナポルテ属(例えば、マグナポルテオリザエ(Magnaporthe oryzae))、マラスミウス(Marasmius)属(例えば、マラスミウスクラドフィラス)、モニリオフトラ属(例えば、モニリオフトラペルニシオサ(Moniliophthora perniciosa))、ネオサルトリア(Neosartorya)属(例えば、ネオサルトリアアウレオラ(Neosartorya aureola)、ネオサルトリアフェンネリア(Neosartorya fennelliae)、ネオサルトリアフィッシェリ(Neosartorya fischeri)、ネオサルトリアグラブラ(Neosartorya glabra)、ネオサルトリアヒラツカ(Neosartorya hiratsukae)、ネオサルトリアニシムラ(Neosartorya nishimurae)、ネオサルトリアオータニ(Neosartorya otanii)、ネオサルトリアスードフィッシェリ(Neosartorya pseudofischeri)、ネオサルトリアクアドリシンクタ(Neosartorya quadricincta)、ネオサルトリアスパスラタ(Neosartorya spathulata)、ネオサルトリアスピノサ(Neosartorya spinosa)、ネオサルトリアストラメニア(Neosartorya stramenia)、ネオサルトリアウダガワ(Neosartorya udagawae))、ニューロスポラ(Neurospora)属(例えば、ニューロスポラクラッサ(Neurospora crassa)、ニューロスポラジスクレタ(Neurospora discreta)、ニューロスポラインターメディア(Neurospora intermedia)、ニューロスポラシトフィラ(Neurospora sitophila)、ニューロスポラテトラスペルマ(Neurospora tetrasperma))、オフィオストマ(Ophiostoma)属(例えば、オフィオストマノボ−ウルミ(Ophiostoma novo-ulmi)、オフィオストマクエルカス(Ophiostoma quercus))、パラコクシジオイド(Paracoccidioides)属(例えば、パラコクシジオイドブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis))、パッサローラ(Passalora)属(例えば、パッサローラフルバ(Passalora fulva))、パキシルス(Paxillus)属(例えば、パキシルスフィラメントサス(Paxillus filamentosus)、パキシラスインボルタス(Paxillus involutus))、ペニシリウム(Penicillium)属(例えば、ペニシリウムカメンベルチ、ペニシリウムクリソゲナム、ペニシルムマルネッフェイ)、フレビオプシス属(例えば、フレビオプシスギガンテア)、ピソリタス(例えば、ピソリサスティンクトリウス)、プレウロタス属(例えば、プレウロタスオストレアタス))、ポドスポラ属(例えば、ポドスポラアンセリナ))、ポスティア(Podospora)属(例えば、ポスティアプラセンタ)、ピレノホラ属(例えば、ピレノホラトリティキ−レペンティス)、シゾフィリウム属(例えば、シゾフィリウムコミューン))、タラロマイセス属(例えば、タラロマイセススティピタタス)、トリコデルマ属(e.g., Trichoderma asperellum, Trichoderma atroviride, Trichoderma viride, Trichoderma reesei [Hypocrea jecorina]), トリコデルマ属(例えば、トリコロマテレウム(Tricholoma terreum))、ウンキノカルプス(Uncinocarpus)属(例えば、ウンキノカルプスリーゼイ)、ベルティシリウム属(例えば、ベルティシリウムダリア(Verticillium dahliae))、キサントダクチロン(Xanthodactylon)属(例えば、キサントダクチロンフランメウム(Xanthodactylon flammeum))、キサントリア(Xanthoria)属(例えば、キサントリアカルシコラ(Xanthoria calcicola)、キサントリアカペンシス(Xanthoria capensis)、キサントリアエクタネオイド(Xanthoria ectaneoides)、キサントリアフランメア(Xanthoria flammea)、キサントリアカロオエンシス(Xanthoria karrooensis)、キサントリアリグラタ(Xanthoria ligulata)、キサントリアパリエティナ(Xanthoria parietina)、キサントリアツルビナタ(Xanthoria turbinata))等からのヒドロホビンである。ヒドロホビンは、例えば、Sunde,M et al.(2008)Micron 39:773〜84、Linder,M.et al.(2005)FEMS Microbiol Rev.29:877〜96、及びWosten,H.et al.(2001)Ann.Rev.Microbiol.55:625〜46に総括される。
特に有利な実施形態では、ヒドロホビンは、トリコデルマ属(例えば、トリコデルマ・アスペレラム(Trichoderma asperellum)、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)(ヒポクレア・ジェコリナ(Hypocrea jecorina)))由来であり、有利にはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)である。
ヒドロホビン様タンパク質(例えば、「チャップリン」)は、アクチノマイセス(Actinomyces)及びストレプトミセス属(Streptomyces sp.)などの糸状菌でも同定されている(国際公開第01/74864号、Talbot,2003,Curr.Biol,13:R696〜R698)。これらの細菌タンパク質は、ヒドロホビンに比べると、2つのみのシステイン残基を有し得るため、1つまでのみのジスルフィド架橋を形成し得る。そのようなタンパク質は、ヒドロホビン、及び本明細書の方法の生物系界面活性剤の範囲内の他の種類の分子の機能的等価物の一例である。
生物系界面活性剤を生産させる発酵は、生物反応器又は発酵槽内の液体発酵培地中で宿主細胞又は微生物を培養することにより行われる。培地の組成(例えば、栄養素、炭素源など)、温度及びpHは、培養物の増殖、及び/又は生物系界面活性剤の生産に適切な条件を提供するように選択される。培地中に大気又は富酸素大気を吹きこむことにより、標準的に大気/酸素を培養物に供給する。
本明細書で使用されるとき、「発酵ブロス組成物」は、ヒドロホビン等の所望のタンパク質を含有する細胞増殖培地を指す。細胞増殖培地は、細胞及び/又は細胞残屑を含んでよく、濃縮されていてもよい。代表的な発酵ブロス組成物は、ヒドロホビンを含有する、限外濾過濃縮された発酵ブロスである。精密濾過は、従来、例えば細胞分離のために、細胞残屑を保有し、タンパク質を通過させるために使用されるが、一方、限外濾過は、従来、例えば、濃縮のためにタンパク質を保有し、溶質を通過させるために使用される。
有利には、クロスフロー膜濾過回収法は、国際出願公開第WO 2011/019686号(参照により組み込まれる)に記載されるヒドロホビン濃縮物の調製を可能にし得る。他の実施形態では、分子ふるい濾過及び結晶化により、ヒドロホビン濃縮物を調製することもできる。
本発明は、特に、産生システム、有利にはトリコデルマ(Trichoderma)、より有利にはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)における、界面活性剤、有利にはヒドロホビン、より有利にはヒドロホビン2の発現に関する。ヒドロホビンII遺伝子(hfb2)は、86個のアミノ酸からなる分泌タンパク質をコードする。シグナル配列(15個のアミノ酸)の切断後、成熟タンパク質(HFBII)は、71個のアミノ酸を含有し、ジスルフィド結合を4つ有する。分子量は、大きさにして約7kdである。
hfb2遺伝子の配列は、寄託番号Y11894でEMBLデータバンクから得ることもできる。特に、hfb2遺伝子の配列は、CACATTCACTCAACTCCTCTTTCTCAACTCTCCAAACACAAACATTCTTTGTTGAATACCAACCATCACCACCTTTCAAGATGCAGTTCTTCGCCGTCGCCCTCTTCGCCACCAGCGCCCTGGCTGCTGTCTGCCCTACCGGCCTCTTCTCCAACCCTCTGTGCTGTGCCACCAACGTCCTCGACCTCATTGGCGTTGACTGCAAGACCCGTATGTTGAATTCCAATCTCTGGGCATCCTGACATTGGACGATACAGTTGACTTACACGATGCTTTACAGCTACCATCGCCGTCGACACTGGCGCCATCTTCCAGGCTCACTGTGCCAGCAAGGGCTCCAAGCCTCTTTGCTGCGTTGCTCCCGTGGTAAGTAGTGCTCGCAATGGCAAAGAAGTAAAAAGACATTTGGGCCTGGGATCGCTAACTCTTGATATCAAGGCCGACCAGGCTCTCCTGTGCCAGAAGGCCATCGGCACCTTCTAAAGCAATGGCTTGCTTTACTGCCGGCAGTCTTTGAGAACTCTGGGCTCACAAAAGACGACTTGCATGTATCATGGGGGCTCGCAAATGGGAGGATTTGGAGGGGATTGAGGCTGGGTTTGGCCTATTAGAGGATTGCATAATGGAAGATTTGCGAGCAGGACATAGACGTATCTAGAGTTCTAGT(配列番号1)であってよく、ここで、エキソンは、ヌクレオチド81〜210、281〜366及び439〜483であり、イントロンは、ヌクレオチド211〜280及び367〜438である。翻訳されたヒドロホビンは配列MQFFAVALFATSALAAVCPTGLFSNPLCCATNVLDLIGVDCKTPTIAVDTGAIFQAHCASKGSKPLCCVAPVADQALLCQKAIGTF(配列番号2)を有し得る。hfb2ヌクレオチド配列が提示される場合、hfb2コード配列は、当業者により確認することができる。hfb2コード配列は、トリコデルマ(Trichoderma)、有利にはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)において発現させることもできる。
有利には、界面活性剤の発現は、プロモーター、有利にはセルロースプロモーター、特にエキソセロビオヒドロラーゼプロモーター、エンドグルカナーゼプロモーター、又はβ−グルコシダーゼプロモーターによる調節下でなされ得る。特に有利な実施形態では、プロモーターはcbh1プロモーターである。特に有利な実施形態では、hfb2の発現は、cbh1プロモーター及びターミネーターの調節下である。他の実施形態では、プロモーターは、cbh2、egl1、又はegl2、プロモーターであってよく、及び/又はこれらを含む(例えば、米国特許出願第20100323426号を参照されたい)。
hfb2を含有し、及び発現する発現ベクターには、限定するものではないが、真菌の形質転換体を選別するためのamdSマーカーなどの選択マーカー、並びに大腸菌(E. coli)を操作するためのColE1 ori及びAmpR遺伝子を含有させることもできる。次に、トリコデルマ(Trichoderma)、有利にはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)において適切に発現させるための発現プラスミドに、hfb2コード配列を導入させることもできる。例えば、発現プラスミドはpTrex3gMであってよい。
ベクターpTrex3gMは、これまでにも報告されており、例えば、米国特許出願公開第20110136197号、米国特許出願公開第2010216682号、又は米国特許出願公開第20100041104号に見られる。簡潔に述べると、ベクターは、複製起点及びアンピシリン耐性を付与する遺伝子を含む大腸菌(E coli)ベクターに基づくものである。これを遺伝子操作して、Gateway発現ベクター(destination vector)(Hartley,J.L.et al.,(2000)Genome Research 10:1788〜1795)とし、Gateway法(インビトロジェン)を使用して、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)cbh1遺伝子のプロモーター及びターミネーター領域間の任意の所望の翻訳領域を挿入した。アスペルギルス・ニデュランス(aspergillus nidulans)amdS遺伝子を挿入して、形質転換において選択マーカーとして使用した。
Gatewayシステムを使用して、発現プラスミドのcbh1プロモーター及びターミネーター領域間にhfb2翻訳領域を挿入する次に、発現プラスミドを産生宿主、有利にはトリコデルマ(Trichoderma)産生宿主、より有利には産生宿主トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)に導入することができる。
例えば、本発明のコンストラクトを用い、微粒子銃によりトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を形質転換させるには、以降のプロトコールを使用することもできる。胞子(トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)P−37由来株由来約3.5×10胞子/mL)を準備する。この胞子懸濁液のうち100μL〜200μLを、MMアセトアミド培地プレートの中央に広げる。MMアセトアミド培地は次の通りの組成とした:0.6g/Lアセトアミド;1.68g/L CsCl;20g/Lグルコース;20g/L KHPO;0.6g/L CaCl2・2HO;1mL/L 1000x微量元素溶液;20g/Lノーブル寒天;pH 5.5。1000x微量元素溶液には5.0g/L FeSO4・7HO、1.6g/L MnSO4・O、1.4g/L ZnSO4・7HO及び1.0g/L CoCl2・6HOを含有させた。滅菌フード中で、MMアセトアミド培地の表面上で胞子懸濁液を乾燥させた。
トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)の形質転換は、製造元の指示に従って、Bio−Rad(ハーキュリーズ、カリフォルニア)のBiolistic(登録商標)PDS−1000/Heパーティクル・デリバリー・システムを使用して実施することができる(Lorito,M.et al.,1993,Curr Genet 24:349〜56)。M10タングステン粒子60mgを遠心分離管の中に入れた。1mLのエタノールを加え、混合物を簡単にボルテックスし、15分間静置する。粒子を15,000rpmで15分間遠心分離する。エタノールを除去し、粒子を滅菌dHOで3回洗浄した後、50%(体積/体積)滅菌グリセロール1mLを加えた。タングステンを懸濁するために10秒間ボルテックスした後、タングステン/グリセロール粒子懸濁液25μLを取り出し、微量遠心管に移した。
25μLタングステン/グリセロール粒子懸濁液を持続的にボルテックスしながら、発現ベクター(カットフラグメント)2μL(100〜300ng/μL)、2.5M CaCl25μL、及び0.1Mスペルミジン10μLを順に加え、各添加毎に1.5m(5’)インキュベートした。スペルミジン添加後の1.5m(5’)のインキュベート後、粒子を3秒間遠心分離する。上清を除去し、粒子を70%(体積/体積)エタノール200μLで洗浄し、3秒間遠心分離する。上清を除去し、粒子を100%(体積/体積)エタノール200μLで洗浄し、3秒間遠心分離する。上清を除去し、100%(体積/体積)エタノール24μLを加え、ピペッティングして混合する。チューブを約15秒間超音波洗浄浴に入れ、粒子をエタノールに更に再懸濁する。超音波洗浄浴中にチューブを入れ、懸濁粒子のアリコート8μLを取り出し、デシケータに設置したマクロキャリアディスクの中央に配置した。
タングステン/DNA溶液をマクロキャリア上で乾燥させて(約4.6m(15’))、微粒子銃のチャンバ内に配置した。次に、MMアセトアミドと胞子を含有するプレートを配置し、製造元の指示に従って、7584.2kPa(1100psi)破裂ディスク(rupture discs)を使用して、照射プロセスを実施する。播種した胞子とタングステン/DNA粒子の照射後、プレートを28℃にてインキュベートする。5日後に、形質転換した大型のコロニーを新鮮な2枚目のMMアセトアミドプレートに播種し(Penttila et al.,(1987)Gene 61:155〜164)、28℃で更に3日間インキュベートする。2枚目のプレートで増殖させた、濃く不透明なコロニーを各MMアセトアミドプレートに移す。これらを更に3日間増殖させ、ポテトデキストロース寒天プレート(PDA)に移し、更に28℃で7〜10日間インキュベートして胞子形成させる。
特に有利な実施形態では、産生宿主は、セルラーゼ遺伝子、有利にはcbh1遺伝子の1つ以上の欠損及び/又は変異を含み得る。一実施形態では、産生宿主はcbh1を欠失している産生株である。別の実施形態では、産生宿主は、cbh1、cbh2、egl1、及びegl2を欠失している産生株である。更に別の実施形態では、産生宿主細胞は、米国特許出願第13/276,467号に記載の宿主細胞であってよい。形質転換体を、振とうフラスコにおいて、グルコース/ソホロースを含有している培地中で発酵させる。
有利な実施形態では、グルコース/ソホロースを含有している培地は、精製グルコース及び/又は精製ソホロースから作成することができる。有利には、最終的な溶液中には約1%、約2%、又は約5%(重量/重量)グルコースが存在する。有利には、ソホロースは、約1g/L、約2g/L、約5g/L、約10g/L、約15g/L、約20g/L、約25g/L、約30g/L、約35g/L、約40g/L、約45g/L又は約50g/L存在する。
代替的な実施形態においては、濃縮グルコース溶液に全セルラーゼ調製物を加え、組成物を少なくとも2日間にわたって約50℃〜約75℃、好ましくは約50℃〜65℃でインキュベートする場合、セルラーゼ遺伝子の発現に適切な量の誘導剤を含有している糖混合物、すなわち、誘導栄養組成物が生成されることが発見されている(例えば、米国特許第7,713,725号を参照されたい)。誘導栄養組成物は、約2〜25g/Lソホロースを有する。加えて、誘導栄養組成物は、約35〜60g/Lゲンチオビオースを有する。驚くべきことに、得られる混合物を更に精製する必要はない。この混合物はそのままでセルラーゼ産生誘導能を有する。この発見により、必要とされるラクトース又は精製ソホロースの価格は安価に抑えられ、並びに糸状菌において誘導性プロモーターにより調節されるタンパク質産生の際の固体セルロースの取り扱い性の悪さが軽減される。本発明の組成物は、トリコデルマ(Trichoderma)におけるセルラーゼの産生又はセルラーゼプロモーターの調節下の遺伝子の誘導に有用であることが特に想到される。
誘導栄養組成物の代替的な産生方法では、最終的な発酵ブロス(全セルラーゼに加えて細胞)に、グルコース溶液(例えば、20%(体積/体積))を加える事もできる。細胞が存在することはソホロース生成には影響しない。したがって、回収したセルラーゼ(すなわち、細胞から単離されたセルラーゼ製剤)を使用する必要はない。発酵終了時に存在している酵素混合物を使用することもできるが、この場合依然として細胞が存在している。
一実施形態では、本発明は、対象とするタンパク質(界面活性剤、有利にはヒドロホビン、より有利にはヒドロホビンII)を糸状菌により産生させる際に、発現誘導剤(inducing feed)として使用することのできる、濃縮グルコース溶液及び全セルラーゼ製剤を含む組成物を提供する。
一実施形態では、発現誘導剤は、5%〜75%(重量/重量)の滅菌グルコース溶液を調製することにより作成することもできる。トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)由来の全セルラーゼ製剤には、最終濃度が2g〜20g総タンパク質/Lになるよう滅菌グルコース溶液を加える。最終的なタンパク質は、0.5g/L〜50g/Lの範囲となり得る。この溶液を50℃〜75℃、好ましくは50℃〜65℃にてインキュベートする。この溶液を、混合しながら8時間〜7日間インキュベートする。一実施形態では、インキュベート期間は2日超である。第2の実施形態では、インキュベート期間は2日間である。第3の実施形態では、インキュベート期間は3日間である。最終的な滅菌溶液を回収し、発酵時の供給に使用する。一実施形態では、発現誘導剤は、60%(重量/重量)グルコース溶液により調製する。別の実施形態では、発現誘導剤は、最終濃度が約2〜約10g総タンパク質/Lになるようグルコース溶液に全セルラーゼ製剤を加えることにより調製する。
グルコース/ソホロース添加剤は、米国特許第7,713,725号に記載のとおりに作製することもできる。例えば、60%(重量/重量)グルコース溶液を溶解させ、121℃で30分間滅菌することもできる。温度を65℃に上昇させ、1Lにつき10gの総タンパク質(トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)により予め産生された全セルラーゼ)を加える。混合物を低速で撹拌し、3日間65℃で維持した。この60%グルコース溶液で測定されたソホロース含量は12g/Lであった。
発酵は、約25℃〜約37℃、有利には約34℃、かつ約pH 3〜約pH 5.5、有利には約pH 3.5にて生育し、約25℃〜30℃、有利には約28℃、かつ約pH 3〜約pH 5.5、有利には約pH 4.5にて産生させることにより有利に実施される。消泡剤を加えることができる。別の実施形態では、発泡を回避するにはヒドロホビンを不溶化することが有利な場合もある(例えば、米国仮出願特許第61/469,067号を参照されたい)。
有利な実施形態では、約60%グルコース(重量/重量)原液を約12g/Lソホロース原液と反応させてもよく、この場合、混合物は低速で発酵槽に供給され得る。混合物を、連続的に発酵槽に導入することもできる。リアクタに導入される各送液は、好ましくは所定の速度に制御され、あるいは炭素及びエネルギー基質、pH、溶存酸素、発酵槽からのオフガス中の酸素又は二酸化炭素、又は光透過度により測定可能な細胞密度などのモニタリングにより測定される要求に応じて制御される。基質の装入に対して可能な限り高い収量で微生物細胞を得るために、炭素及びエネルギー源の効率的利用と一致した可能な限り急速な細胞増殖速度が得られるよう、種々の材料の供給速度を変化させることができる。例えば、米国特許第7,713,725号を参照のこと。有利な実施形態では、供給速度は約5〜約20g乾燥固形分/L/時間、有利には約10g乾燥固形分/L/時間である。
発酵槽での産生では、大部分が泡から構成されるブロスが産生され得ることから、発酵槽は有利に冷却され、極低速で減圧される。このブロスは、温かいプロセス水により約50%、約100%、約150%、約200%、約250%、約300%、約350%、又は約400%に希釈して、発泡の分散を助ける必要がある場合もある。ケイソウ土セライトFW−12を使用して、40×40cmフィルタプレスなどによる濾過により、混合物として細胞を取り除くこともできる。ろ液を温かいプロセス水に分散させることもできる。この方法により、発泡の量は僅かであり、均質で透明なろ液中に、ヒドロホビンが完全に回収される。この温度は消泡剤の曇点を上回ることから、ろ液中の消泡剤の量を減少させるのに役立つ。
消泡剤の更なる除去を助けるために、MAZURTM消泡剤の曇点以下でろ液を再度限外濾過(UF)濃縮することもできる。UFは、回転翼再循環ポンプ及び冷却リザーバーに連結したMillipore PES 10kD 0.6m2螺旋状折りたたみカートリッジであってよい。
ケイソウ土ろ過助剤(Filtercel−70)20gを加え、滅菌濾過用の2Lの濃縮物を調製する。1L Millipore 0.2μm PESボトルトップメンブレンフィルタを平行に2枚使用し、減圧により滅菌濾過を実施することで、ろ液中の溶存大気由来の発泡が生じることを回避するもできる。
特に有利な実施形態では、得られる濃縮ヒドロホビンは、1g/L超、2g/L超、3g/L超、4g/L超、又は5g/L超である。
本発明及びその利点を詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換及び修正を本発明に為し得ることを理解するべきである。
本発明は、以下の実施例に更に説明されるが、これは例示目的のみで供され、決して本発明を限定することを意図するものではない。
ヒドロホビンII。本例では、産生宿主トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)における、トリコデルマ(Trichoderma)の天然のヒドロホビンIIの産生を報告する。供給元(インビトロジェン、カールズバッド、カリフォルニア州)の指示に従い、PCRにより、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)のゲノムDNAから、3つのエキソン及び2つのイントロンを含有しており、かつ1.5m(5’)端にpENTR/D−TOPOへのディレクショナルクローニングを促進するためのCACC付加を有する451bpのDNA断片として、hfb2遺伝子を増幅した。トリコデルマ(Trichoderma)におけるhfb2遺伝子発現は、プラスミドpTrex3gM中のcbh1プロモーター及びターミネーターの調節下にあった。国際出願公開第をWO 05/001036号に記載される通りのトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)の4遺伝子欠失株(Δcbh1、Δcbh2、Δegl1、Δegl2)を本発明に利用することもできる。
発現プラスミド。hfb2発現プラスミドは、真菌の形質転換体を選別するためのamdSマーカー並びに、大腸菌(E. coli)を操作するためのColE1 ori及びAmpR遺伝子を含有する。hfb2遺伝子のPRC断片を最初にpENTR/D−TOPOベクターにクローニングする。hfb2遺伝子の忠実度を、DNA塩基配列決定法により確認した。次に、hfb2遺伝子をGatewayクローニング法によりpTrex3gMに導入し、発現プラスミド:pTrex3gM−HFBIIを作成した。
株。全プラスミドを用いる遺伝子銃による形質転換法を使用し、発現プラスミドにより産生宿主トリコデルマ(Trichoderma)(Morph 1.1 pyr+株)を形質転換させた。完全なプラスミドに、細菌由来のDNA配列は除去せずにMorph1.1株のゲノムを挿入した。11の安定な形質転換体を得たところ、すべての形質転換体がHFBIIをある程度産生していた。3つの形質転換体は、振盪フラスコ中で大量のHFBIIを産生した。更なる発酵試験に備え、最良の形質転換体を選別した。
14L発酵装置におけるHFBIIの産生。種フラスコとして、0.8Lの培地に1.5mLトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)の凍結胞子懸濁液を接種した。48時間後にこのフラスコを0.4Lずつ2部に分け、2つの異なる15L Biolafitte発酵装置中の2×7Lの発酵培地に移した。発酵装置は、最初は34℃、pH 3.5にて稼働させ、続いて28℃、pH 4.5にて稼働させた。標準10L/分の空気流下で500RPMで撹拌を維持した。消泡剤及びグルコース/ソホロースを別個に供給した。タンパク質の産生は、ゲル電気泳動により測定した。
ゆっくりと冷却し、減圧してから、発酵物を回収した。回収したブロスを200%の温かいプロセス水に希釈して、発泡を分散させた。ケイソウ土セライトFW−12を使用して、40×40cmフィルタプレスで濾過により細胞を除去した。ろ液を温かいプロセス水により置き換えた。この方法により、発泡の量は僅かであり、均質で透明なろ液中に、HFBIIが完全に回収された。この温度は消泡剤の曇点を上回ることから、ろ液中の消泡剤の量を減少させるのに役立った。
消泡剤の更なる除去を助けるために、消泡剤の曇点以下でろ液を再度限外濾過(UF)濃縮した。UFは、冷却リザーバーを備える回転翼再循環ポンプに連結したMillipore PES 10kD 0.6m2螺旋状折りたたみカートリッジとした。ケイソウ土(Filtercel−70)20gを加え、滅菌濾過用の2Lの濃縮物を調製した。2つの1L Millipore 0.2μm PESボトルトップメンブレンフィルタにより滅菌濾過を実施した。
最終的なろ液は、標準としてリゾチームを使用するSDS−PAGE濃度測定により測定される通り、ろ液1kgあたり95〜115gのHFBIIを含有する。滅菌ろ液は、19%の乾燥固形分を含有することから、酵素の総合的な純度は50〜60%である。SDSゲル上のHFBII以外のバンドの量は、レーン中の全体的な密度の5%であった。
ヒドロホビンのマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(MALDI−TOF/MS)を実施する。
本発明の好ましい実施形態を詳細に記載してきたが、上記のパラグラフに定義した本発明は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく多数の明らかな変形が可能であるため、上記に記載した特定の詳細に限定されない。

Claims (30)

  1. 誘導型プロモーターの調節下の遺伝子によりコードされるヒドロホビンを産生する方法であって、
    (a)約5%〜約75%のグルコース及びセルラーゼ製剤を含む第1の混合物を生成する工程、
    (b)2g/L〜25g/Lの範囲の濃度のソホロース、35g/L〜60g/Lの範囲の濃度のゲンチオビオース、及びグルコースを含む誘導栄養組成物を製造するための温度にて、かつ十分な時間にわたって前記第1の混合物をインキュベートする工程、並びに
    (c)前記ヒドロホビンの産生を誘導するのに有効な量の前記誘導栄養組成物を用い、ソホロース誘導型プロモーター又はゲンチオビオース誘導型プロモーターの調節下にヒドロホビンをコードしているヌクレオチド配列を含む宿主細胞を培養する工程、を包含する、方法。
  2. 前記産生されるタンパク質が、異種ヒドロホビンである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ヒドロホビンが、ヒドロホビンIである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ヒドロホビンが、ヒドロホビンIIである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記細胞が、ソホロース誘導型プロモーター又はゲンチオビオース誘導型プロモーターの調節下のヒドロホビン遺伝子を発現するよう遺伝子操作されている、請求項1に記載の方法。
  6. 対象とするタンパク質が、セルラーゼ遺伝子プロモーターの調節下にある、請求項5に記載の方法。
  7. 前記プロモーターが、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)由来のcbh1プロモーターである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記ヒドロホビン遺伝子が、ソホロース誘導型プロモーターの調節下にある、請求項5に記載の方法。
  9. 前記対象とするタンパク質が、ゲンチオビオース誘導型プロモーターの調節下にある、請求項5に記載の方法。
  10. 前記細胞が、糸状菌細胞である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記糸状菌が、トリコデルマ(Trichoderma)、ヒュミコラ(Humicola)、フザリウム(Fusarium)、アスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、マイセリオフトラ(Myceliophthora)、サーモマイセス(Thermomyces)、クリソスポリウム(Chrysosporium)からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記糸状菌が、トリコデルマ種(Trichoderma spp.)である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記糸状菌が、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第1の混合物中の前記セルラーゼ製剤が、約0.5g/L〜約50g/Lの総タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記第1の混合物中の前記総タンパク質濃度が、約2g/L〜約10g/Lの範囲である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記第1の混合物が、約50℃〜約70℃でインキュベートされる、請求項1に記載の方法。
  17. 前記第1の混合物が、8時間〜7日間インキュベートされる、請求項16に記載の方法。
  18. 前記セルラーゼ製剤が、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)セルラーゼ製剤である、請求項1に記載の方法。
  19. 前記第1の混合物が、約50℃〜約65℃の温度で2〜3日間にわたってインキュベートされる、請求項1に記載の方法。
  20. 前記第1の混合物が、約65℃の温度で2〜3日間にわたってインキュベートされる、請求項1に記載の方法。
  21. 前記セルラーゼ製剤が、β−グルコシダーゼを過剰発現するよう遺伝子操作されたトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)の産生物である、請求項1に記載の方法。
  22. 前記セルラーゼ製剤が、全セルラーゼ組成物、又はβ−グルコシダーゼが富化されたセルラーゼ組成物である、請求項1に記載の方法。
  23. セルラーゼをコードしているトリコデルマ(Trichoderma)配列が、欠失又は破壊されている、請求項12に記載の方法。
  24. 前記トリコデルマ(Trichoderma)細胞が、egl5遺伝子を破壊又は欠失されるよう更に改変されている、請求項23に記載の方法。
  25. 前記ヒドロホビン遺伝子が、前記cbh1、cbh2、egl1又はegl2プロモーターに操作可能なように連結されていることにより、前記ヒドロホビンの発現が、前記cbh1、前記cbh2又は前記egl1、前記egl2プロモーターの調節下にある、請求項1に記載の方法。
  26. 前記ヒドロホビンをコードする核酸分子が、hfb2コード配列を含む、請求項1に記載の方法。
  27. 前記グルコース及び前記ソホロースが、誘導栄養組成物中に提供される、請求項1に記載の方法。
  28. ソホロースが、約1g/L〜約50g/Lを構成する量で誘導栄養組成物中に存在する、請求項27に記載の方法。
  29. 前記グルコースが、約5〜75重量/重量%を構成する量で前記誘導栄養組成物中に存在する、請求項27に記載の方法。
  30. 前記グルコースが、約60重量/重量%を構成する量で前記誘導栄養組成物中に存在し、前記ソホロースが、約12g/Lを構成する量で前記誘導栄養組成物中に存在し、前記ヒドロホビンをコードする前記核酸分子が、hfb2コード配列であり、前記hfb2コード配列が、前記cbh1プロモーターに操作可能に連結されることにより、ヒドロホビン発現が、前記cbh1プロモーターの調節下に置かれ、前記トリコデルマ(Trichoderma)が、トリコデルマ(Trichoderma)cbh1、cbh2、egl1、egl5及びegl2コード配列のうち1つ以上が欠失又は破壊されたトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を含む、請求項1に記載の方法。
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