JP4567962B2 - エレクトロルミネッセンス素子及びエレクトロルミネッセンスパネル - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロルミネッセンス(以下EL)素子、特にその上部電極に関する。
EL素子は、自発光素子で明るく、視野角依存性が低いと共に、EL素子を用いた表示装置は、液晶表示装置と同等かそれ以上に装置の薄型化、小型化が可能で、消費電力も低く抑えることができる。このため、次世代の表示装置や光源として期待され、研究が進められている。このようなEL素子のうち、発光材料に有機化合物を用いた有機EL素子は、有機化合物の設計によって任意の発光色を実現することができフルカラー表示の実現が容易であるなどの理由から特に注目されている。
図10は、一般的に提案されている有機EL素子の概略断面構造を示している。図10に示すように、有機EL素子は、一方が陽極、他方が陰極となる下部電極20と上部電極60との間に、発光材料を含む少なくとも一層の有機層を備える発光素子層30が積層されて構成されている。下部電極20は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の導電性の透明金属酸化物が用いられた透明電極であり、図10の例では発光素子層30の下層に形成され、陽極として機能する。一方、上部電極60は、図10の例では陰極として機能し、発光素子層30の上に、Alなどを用いた金属電極として形成されている。
発光素子層30は、電荷(正孔、電子)輸送機能と発光機能の両方を備えた有機化合物の単層構造や、電荷輸送層と発光層を備えた2層又は3層、或いはそれ以上の多層構造が知られており、図10の例では、陽極である下部電極20側から、それぞれ有機化合物を用いて形成された正孔輸送層304、発光層306及び電子輸送層308と、さらに陰極である上部電極60から電子輸送層308への電子注入効率を向上させるLiFなどからなる電子注入層310が順に積層されている。
このような構造の有機EL素子では、陽極側から正孔を注入し、陰極側から電子を注入し、注入された正孔及び電子の再結合エネルギにより発光層306中の有機発光材料を励起させ、基底状態に戻る際に得られる光を利用している。
上述のような従来の有機EL素子は、発光素子層30を構成する有機材料として低分子系の有機化合物を用いた場合、発光素子層30の各層は真空蒸着法を用いて形成する。また、発光素子層30の上に形成する上部電極(ここでは陰極)60についても、発光素子層30の形成後、同様の真空蒸着法によって形成する方法が採用されている。
ここで、発光素子層30に含まれる有機化合物は、水分や酸素、その他の不純物による劣化が発生しやすいことが知られており、発光素子層30の形成後、連続して蒸着によって上部電極60を形成することで、発光素子層30の形成時の真空雰囲気を破らず、即ち発光素子層30の上面を外気に曝すことなく上部電極60を形成することができ、特性劣化を防ぐことができる。
しかし、真空蒸着法は成膜速度が遅い上、特に、上部電極60は、他層よりも厚く形成することが多く、蒸着による陰極形成は生産性が悪いという問題があった。
また、蒸着によって形成された膜は、形成面内における均一性及び被覆性が低い。従って、有機EL素子の最上層に位置し、下層の様々な段差に起因して、形成面の凹凸が大きくなる上部電極60を蒸着によって形成すると、段差の部分で被覆不良が生じて断線が起きるなどの問題が生じやすい。
一方、スパッタリング法を用いて形成した膜は被覆性が高く、かつ成膜速度が速い。したがって、スパッタリング法によって上部電極60を形成すればこれらの問題を解消することができる。しかし、スパッタリングによる上部電極60の形成時には、高速電子線、中性な高エネルギ原子又はイオン化した高エネルギ原子、紫外線等が生じ、上部電極60の下層に既に形成されている有機材料からなる発光素子層30が、これらによってダメージを受けやすい。発光素子層30がダメージを受けると、発光不良点であるいわゆるダークスポットが発生するなど、有機EL素子の発光特性の低下が起きる。
下記特許文献1では、上部電極を真空蒸着法によって形成した保護電極層と、スパッタリング法によって形成した主電極層との2層構造とし、蒸着によって保護電極層を形成してからスパッタリング法による主電極層を形成することで、下層の有機層の保護と、生産性の向上を図ることが提案されている。
特開平11−162652号公報
上記特許文献1に記載されているように有機層の上に形成する上部電極を蒸着で形成する層とスパッタリングにより形成する層との2層構造とすることで、有機層の上に直接スパッタリングにより上部電極60を形成した場合と比較して有機層の保護が図られ、一方で生産性の向上を図ることができる。
しかし、本出願人の研究の結果、実際には、このような2層構造を採用した有機EL素子の発光特性は、有機層の上に直接スパッタリング法によって上部電極を形成する場合と比較して、多少向上する程度の改善度合いしか達成できず、却って特性が低下する場合もあり、期待した効果が得られないことが判明した。これは、蒸着によって形成された保護電極層の下層の発光素子層のダメージが防止できていないことが原因の一つと考えられる。
本発明は、エレクトロルミネッセンス素子の信頼性及び発光特性向上と、生産性の向上との両立を図ることができる。
本発明では、下部電極と上部電極との間に発光材料を含む発光素子層を備えるエレクトロルミネッセンス素子であって、前記上部電極は、前記発光素子層側から、蒸着法によって形成された上部第1導電層と、スパッタリング法によって形成された上部第2導電層とを備え、さらに前記上部第1導電層と前記上部第2導電層との層間に、前記上部第1導電層及びその下層の両層を保護するバッファ層を備える。
本発明の他の態様においては、下部電極と、上部電極との間に発光材料を含む発光素子層を備えるエレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光素子層の前記上部電極との接触界面側には電荷注入層が形成され、前記上部電極は、前記発光素子層の前記電荷注入層側から、蒸着法によって形成された上部第1導電層と、スパッタリング法によって形成された上部第2導電層とを備え、さらに前記上部第1導電層と前記上部第2導電層との層間に前記上部第1導電層及びその下層の両層を保護するバッファ層を備える。
本発明の他の態様において、前記バッファ層は、有機薄膜蒸着層を採用することができる。
また、本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンス素子において、前記電荷注入層は、電子注入障壁を緩和する電子注入層であり、前記上部第1導電層は、金属材料を含み、前記バッファ層は、有機金属錯体化合物を含む有機蒸着層であり、前記上部第2導電層は、金属材料を含む。
本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンス素子において、前記電荷注入層は、電子注入障壁を緩和する電子注入層であり、前記上部第1導電層は、光半透過性の金属層であり、前記バッファ層は、有機金属錯体化合物を含む有機蒸着層であり、前記上部第2導電層は、透明な導電性金属酸化物材料を含む。
本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンス素子において、前記バッファ層は、前記上部第2導電層に発生するひずみの前記上部第1導電層への伝導を防止するひずみ緩衝機能を備える。
本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンス素子において、前記上部第1導電層は、少なくともその発光素子層側において、金属材料と、前記発光素子層の電子注入層に用いられる電子注入材料との共蒸着領域を備える。
本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンス素子において、前記バッファ層は、有機金属錯体化合物を含む多層構造の有機蒸着層から構成されている。
本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンス素子において、前記バッファ層は、多層構造であり、各層は蒸着層であり、前記多層構造のうちの少なくとも一層には他の層と異なるバッファ材料が用いられている。
この多層構造のバッファ層は、例えば、第1バッファ層と前記上部第2導電層との間に、前記第1バッファ層の材料よりも耐湿性の高い材料が用いられた第2バッファ層を有する構成とすることができる。
本発明の他の態様では、前記多層構造のバッファ層は、第1バッファ層と前記上部第2導電層との間に、前記第1バッファ層の材料よりも耐湿性の高い材料が用いられた第2バッファ層を有する。
本発明の他の態様では、下部電極と上部電極との間に発光材料を含む発光素子層を備えるエレクトロルミネッセンス素子を表示領域内に複数備えるエレクトロルミネッセンスパネルであって、前記エレクトロルミネッセンス素子の前記上部電極は、前記発光素子層側から、蒸着法によって形成された上部第1導電層と、スパッタリング法によって形成された上部第2導電層とを備え、さらに前記上部第1導電層と前記上部第2導電層との層間に、バッファ層を備え、前記表示領域の周辺部において、前記上部電極の各層は、前記発光素子層の終端部を覆って該発光素子層より外側まで延在して形成され、かつ、前記バッファ層は、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層の終端位置よりも内側で終端し、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層は終端部付近で互いに直接接している。
本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記バッファ層は、耐スパッタリング性又は耐プラズマ性を有する材料を備える蒸着層である。
本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記バッファ層は、多層構造であり、前記多層構造のうちの少なくとも一層には他の層と異なるバッファ材料が用いられている。
本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンス素子又はパネルにおいて、前記バッファ層は、銅フタロシアニン錯体誘導体化合物を含む第1バッファ層と、アルミキノリノール錯体誘導体化合物を含む第2バッファ層と、を有する。また、前記第2バッファ層は、前記第1バッファ層と前記上部第2導電層との間に形成され、前記表示領域の周辺部に該第2バッファ層は、前記第1バッファ層の終端部よりも外側まで延在し、該第1バッファ層の終端部を覆っても良い。
本発明の他の態様では、上記エレクトロルミネッセンス素子やエレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層はアルミニウムを含み、前記バッファ層は、銅フタロシアニン錯体誘導体化合物を含む。
また、前記発光素子層は、正孔輸送機能を備えたベンジジン誘導体化合物を含む層を備えても良い。
本発明によれば、上述のように上部電極を蒸着による上部第1導電層、バッファ層、スパッタリングによる上部第2導電層との積層構造とすることにより、発光素子層への電子や正孔などの電荷注入効率を向上でき、また有機材料などスパッタリングの環境に対する耐性の低い発光素子層がダメージを受けることなく、被覆性及び均一性よくまた十分な厚さの導電層を生産性良く形成することができる。従って、エレクトロルミネッセンス素子の信頼性及び発光特性向上と、生産性の向上とを両立を図ることができる。
またバッファ層に例えばAl層などに発生するヒロックが他のAl層等に変形、つまりヒロックを発生させたり、異なる金属層同士に発生する応力など、上部第1及び第2導電層の間のひずみ緩和機能を持たせることも可能であり、これにより素子の信頼性を一層向上させることができる。
バッファ層としては、多層構造を採用することもでき、各層に異なる材料を用い、多層のバッファ層全体としての機能向上を異なる材料の組み合わせで実現することも可能である。例えば第1バッファ層として耐スパッタ性又は耐プラズマ性の高い材料を用い、この第1バッファ層と上部第2導電層との間に耐湿性の高い第2バッファ層を形成することで、仮に第1バッファ層の耐湿性が上部第2導電層よりも低い場合であっても、上部第2導電層との間に耐湿性の高い第2バッファ層を設けることでバッファ層全体として耐スパッタ性又は耐プラズマ性だけでなく、耐湿性の向上も図ることができる。
また、本発明のような上部電極を備えるエレクトロルミネッセンス素子を有するパネルにおいて、その周辺部で発光素子層の終端部を上記上部電極で覆うことにより、パネル端部付近から発光素子層の内部に水分などが侵入することを確実に防止できる。また、特に、上部電極のバッファ層を他の上部第1導電層及び第2導電層の終端位置よりも内側で終端させ、上部第1導電層と第2導電層とが直接接する領域を構成することで、上部電極として低抵抗化を図ることができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)について説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子の概略断面構成を示しており、このエレクトロルミネッセンス素子は、例えばガラスやプラスチックなどの透明基板10の上方に形成された下部電極20と上部電極40との層間に、発光材料を含む少なくとも1層の発光素子層30を備えて構成されている。
下部電極20は、発光素子層30の下層に形成され、例えば、上記図4の例と同様に、ITO(Indium Tin Oxide)等の導電性の透明金属酸化物がスパッタリング法によって成膜され、所望形状にパターニングされて得られた透明電極であり、陽極として機能する。一方、上部電極40は、図1の例では、陰極として機能しており、発光素子層30の上に形成され、後述するように積層構造を備え、図1の例では光反射性(不透明)な金属材料が主成分として用いられている。
発光素子層30は、電荷(正孔、電子)輸送機能と発光機能の両方を備えた有機化合物を含む単層構造や、電荷輸送層と発光層を備えた2層又は3層、或いはそれ以上の多層構造が採用可能である。図1の例では、陽極である下部電極20側から、それぞれ有機化合物を用いて形成された第1正孔輸送層312、第2正孔輸送層314、発光層316及び電子輸送層318と、さらに陰極である上部電極40から電子輸送層318側への電子注入障壁を緩和して電子注入効率を向上させる電子注入層320が順に積層されている。発光素子層30の各層は、それぞれ真空蒸着法によって形成された蒸着層である。なお、第1正孔輸送層312、第2正孔輸送層314、発光層316及び電子輸送層318については、用いられている有機化合物が低分子系化合物の場合、上記真空蒸着法によりそれぞれ形成されるが、高分子系化合物が採用されている場合、インクジェット印刷法やスピンコートなどの方法によって形成される。発光素子層30の上部電極40との界面に形成されている電子注入層320は、フッ化リチウム(LiF)等が採用されることが多く、この層の形成に際しては、真空蒸着法が採用されることが多い。いずれの方法によって形成された場合でも、発光素子層30は、有機化合物を含み、また、例えばスパッタリング法によって形成される金属膜や無機絶縁膜などと比較して柔らかい膜により構成されている。
本実施形態において、発光素子層30の上に形成されている上部電極40は、蒸着法によって形成された上部第1導電層42と、スパッタリング法によって形成された上部第2導電層44とを備える。さらに、上部第1導電層42と上部第2導電層44との層間に、上部第2導電層44よりも下層、つまり、ここでは上部第1導電層42及びその下層の発光素子層30の両層を保護するバッファ層46を備える。
具体的には、発光素子層30のLiFよりなる電子注入層320の上に、真空蒸着法によって、上部第1導電層42として、5nm〜50nm程度の厚さ、一例として10nmの厚さにAl層(Al蒸着層)が、電子注入層320の形成と連続形成されている。
上部第1導電層42の上には、連続して、真空蒸着法により5nm〜50nm程度の厚さ、一例として、10nmの厚さにCuPc(銅フタロシアニン錯体)を含む有機層がバッファ層46として形成されている。
このバッファ層46の上には、スパッタリング法により、0.2nm〜400nm程度の厚さ、一例として300nmの厚さに金属層、例えばAlや、Al合金、或いはMo、Ti、Crなどの高融点金属材料やその合金などの金属層が上部第2導電層44として形成されている。本実施形態では、この上部第2導電層44として、具体的にはAl層を用いている。
上部電極40の各層の厚さは、これらに限定されるものではないが、上部第1導電層42は、蒸着によって形成するので、あまり厚くすると生産性を向上させることができず、薄すぎると蒸着膜の被覆性及び平滑性の低さから必要な領域に均一に形成することができない。したがって、上部第1導電層42は、少なくとも、後述するように電子注入層320に対し確実に電子の注入が可能な程度の厚さとして、例えば上記のように5nm〜50nm程度の厚さとすることが好ましい。
バッファ層46は、その層よりも下側の下層にダメージを与えないように、例えば真空蒸着法によって形成によって形成することが好ましいので、生産性を低下させず、かつ後述するような下層の保護などの機能を発揮するのに必要な厚さがあり、また上部電極40全体の抵抗をあまり高めずかつ電子注入機能を損なわない程度の薄さとして、上記のように5nm〜50nm程度の厚さに形成することが好ましい。
上部第2導電層44は、スパッタリング法によって形成しており、被覆性及び均一性が高くかつ生産性良く、比較的厚い層を形成することが可能である。この上部第2導電層44の厚さは、電極としての断線発生や電界集中を防止し、また、電極全体としての抵抗値を低くして発熱や電圧降下をなどを低減するのに必要な厚さとすることが好適であり、その厚さの設定範囲は、例えば0.2nm〜400nm程度の厚さであるが、用いる金属材料の性質などに応じて厚くしても薄くしてもよい。
バッファ層46は、上部第2導電層44のスパッタリングの際に下層を保護する機能だけでなく、このバッファ層46の形成時において、下層に位置する発光素子層30にダメージを与えないことが必要である。したがって、ダメージを及ぼしにくい、真空蒸着法によって形成可能な材料が好適である。また、このバッファ層46は、スパッタリング時にプラズマ環境などから下層を保護する機能が必要であるため、スパッタリング時に全て除去されてしまわないように、緻密で、比較的安定な膜であることが好ましい。このような条件を満たす材料としては、有機金属錯体、特にキレート錯体化合物であって、発光素子層30の正孔注入層などの材料として採用され、緻密で安定な蒸着薄膜を得ることできる上記CuPcなどが好適である。また、CuPcのほか、電子輸送機能を備え、同様にキレート錯体化合物であるAlq3(アルミキノリノール三量体錯体)なども採用可能であり、さらにバッファ層は、後述するように単層構造でも多層構造でも良い。
上部第2導電層44及び上部第1導電層42としてAl層を用いた場合において、両導電層42,44が直接接していると、最上層に位置する上部第2導電層44にAl層などに特有のヒロックが発生した場合、このヒロック、つまり膜の変形(ひずみ)に起因して上部第1導電層42の電子注入層320との界面にも変形や応力(ひずみ)が発生してしまう。有機EL素子において陰極から発光素子層30への電子注入効率の向上は素子の発光効率の向上の観点からも重要であり、陰極と発光素子層30との界面においてヒロックに起因した凹凸や応力などのひずみが発生することを防止することが必要である。
ひずみに関し、本実施形態では、上述のように、上部第2導電層44と上部第1導電層42との層間に、有機材料からなる上記バッファ層46を設けており、このような有機バッファ層はスパッタリング法などによって形成された金属層や無機保護膜などと比較して柔らかく、応力緩和、即ちひずみ緩衝機能を発揮することができる。したがって、このバッファ層46が、第1導電層42と第2導電層44との層間に介在することで、第2導電層44で発生したヒロックが第1導電層42に伝導し、第1導電層42にヒロックや変形などが発生することが防止されている。
さらに、有機材料から構成されるバッファ層46は、上記ヒロックの伝達防止の他にもいわゆる応力によるひずみ緩和機能を発揮することも可能である。例えば、Alの蒸着層である上部第1導電層42の上に直接、Mo等の高融点金属材料をスパッタリング法にて形成して上部第2導電層44とすると、蒸着Al層と比較して緻密であり、熱膨張率や素子駆動時の発熱量の大きいこの上部第2導電層44と上部第1導電層42との間に応力が発生することになる。しかし、本実施形態のように上部第2導電層44と上部第1導電層42との間に、第2導電層44と比較して柔らかいバッファ層46が介在することで、この応力を緩和することができる。
バッファ層46に採用する有機材料は、上述のような金属錯体とし、特に、多少なりとも電荷輸送(注入)機能を備えることがより好ましい。本実施形態において、バッファ層46は、非常に薄く形成するので電荷輸送性が無くても、上部第1及び第2導電層42,44の間に介在させた場合に、第2導電層44から第1導電層42への電荷(電子)移動はそれほど妨げられない。しかし、電荷輸送機能を備える有機材料であれば、電荷の移動の妨害程度を低く抑えることができ、バッファ層46の介在による素子の駆動電圧の上昇を低くでき、ひいては有機EL素子の発光効率の向上に寄与することができる。
また、上述のように、バッファ層46は、上部第2導電層44をスパッタリング法によって形成する際、発光素子層30を保護することが重要な機能である。この保護機能に着目すれば、上部第2導電層44と上部第1導電層42との層間にバッファ層46を介在させる構成には限られず、例えば、発光素子層30の最上層であるLiFからなる電子注入層320と上部第1導電層42との層間に介在させることも可能である。
しかし、電子注入層320と上部第1導電層42との層間にこのバッファ層46を形成すると、発光素子層30をスパッタリングから保護することはできても、有機EL素子の発光効率を大幅に改善することができないことが出願人の研究の結果判明した。
一方で、図1に示すように、電子注入層320に接するように上部第1導電層42を蒸着形成し、この上部第1導電層42と上部第2導電層44との層間にバッファ層46を介在させる構成とすることで、有機EL素子の発光効率及び耐久性、そして生産性の全てを大幅に向上させることができる。
このような特性向上が図られる理由の一つとして、電子注入層320と上部第1導電層42との界面状態の影響が考えられる。即ち、図1に示すように、LiFからなる電子注入層320と、Alからなる上部第1導電層42とを共に真空蒸着法によって連続して形成した場合、いずれの層もスパッタリング法によって形成されたAl層(ここでは上部第2導電層44)よりも柔らかく、電子注入層320と上部第1導電層42との界面ではAlとLiFが混合した領域が形成されやすくなる。このような混合領域の存在により、上部第1導電層42から電子注入層320への電子注入効率が高まり、その結果、有機EL素子の発光効率を向上させることができると推定される。従って、本実施形態のように、上部電極40に蒸着層とスパッタ層とを採用する場合において、柔らかい蒸着層を電子注入層320とが接するように形成することが好適である。
ここで、上部第1導電層42からの電子注入層320への電子注入効率をさらに向上させるために、LiFからなる電子注入層320と、Al層よりなる上部第1導電層42とを連続してそれぞれ独立で形成する構成に限らず、LiFとAlとを共蒸着により一定割合の混合層としてもよい。また、層の厚さ方向において、濃度勾配をつけてもよい。例えば、電子輸送層318を形成後、まず蒸着室内でLiF源を加熱してLiFの100%の電子注入層を形成し、続けてAl源を加熱して蒸発量を増加させ、一方LiF源の蒸発量を減少させていくことで、層の厚さ方向において、LiF100%の領域からLiFとAlとが50%の領域、そして、Alの100%の領域を形成することにより達成することができる。このように上部第1導電層42に、LiFとの共蒸着領域を、層全体、又は少なくとも電子注入層320との界面領域に採用し、LiFとAlが混合した領域を形成することで、上部電極40から発光素子層30への電子注入効率を一層向上させることが可能となる。
以上説明したような構造の有機EL素子では、陽極側から正孔を注入し、陰極側から電子を注入し、注入された正孔及び電子の再結合エネルギにより発光層316中の有機発光材料を励起させ、基底状態に戻る際に得られる光を利用する。ここで、図1に示す有機EL素子では、上部電極40の上部第1導電層42及び上部第2導電層46の両方にぞれぞれ光反射性(不透明)の金属材料を用いているので、発光層316で得られ、透明な下部電極20に進んだ光はこの下部電極20を透過し(上部電極40側に進んだ光は上部電極40で一旦反射されて下部電極20に進む)、また透明なガラスやプラスチックなどから構成された基板10を透過して外部に射出され視認される。
上述のような有機EL素子を用いて発光表示装置を構成する場合、各画素に、有機EL素子と、この有機EL素子での発光を個別に制御するスイッチ素子として薄膜トランジスタ(TFT)とを設けたいわゆるアクティブマトリクス型表示装置は、高精細で高画質な表示を実現することができる。このようなアクティブマトリクス型表示装置では、基板10と有機EL素子の下部電極20との間、即ち、有機EL素子の形成前に、この有機EL素子を駆動するための画素のTFTが形成されている。図1のように有機EL素子の下部電極20側から基板を透過して光を射出する素子或いは表示装置はボトムエミッション型の素子或いは表示装置と呼ばれており、各画素に上記のようにTFT等が形成されている場合に、このTFTの非形成領域において有機EL素子からの光が基板10から外部に射出されるようにTFT及び有機EL素子がレイアウトされている。
図2は、本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子の他の構成例を示している。図1に示すエレクトロルミネッセンス素子の構成では、上述のように、上部電極40が不透明で透明な下部電極20側から基板10を透過させて光を射出するボトムエミッション型の素子であるのに対し、図2に示す有機EL素子は、上部電極50側から外部に光を射出することのできるいわゆるトップエミッション型の素子であり、図1と共通する構成については同一の符号を付し、説明を簡略化する。
基板10の上方に(アクティブマトリクス型表示装置の場合には、TFT形成後)、図1と同様、陽極として機能するITOなどの導電性金属酸化物材料からなる下部電極20が形成され、この下部電極20の上に発光素子層30が形成されている。また、発光素子層30の最上層(上部電極50側)は、LiFなどからなる電子注入層320が形成されており、この電子注入層320の上に、ここでは陰極として機能し、かつ光透過性の上部電極50が形成されている。この上部電極50は、発光素子層30側に蒸着法により形成された上部第1導電層52と、スパッタリング法によって形成された上部第2導電層54を備え、この上部第1導電層52と上部第2導電層54との層間に上記図1の素子と同様、CuPcやAlq3などからなるバッファ層56が形成されている。
ここで、電子注入層320との接触界面側に形成されている上部第1導電層52は、発光素子層30に対して電子を注入するために、仕事関数の低い金属材料が採用されている。この金属材料としては、例えばAgや、Ag合金などが採用可能であるが、上部電極50から外部に光を射出する必要があるため、この上部第1導電層52は、発光層316からの光を透過可能な程度に薄く形成するか、あるいは、マトリクス状や網目状に開口部を備えるパターン層を採用することで、例えばITOなどの透明電極材料よりは透過率が低いが、光を透過するいわゆる半透過性の導電層である。この上部第1導電層52の上にはバッファ層56が形成され、このバッファ層56の上にITOやIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明な導電性金属酸化物からなる透明な上部第2導電層54が形成されている。上部電極50の各層の厚さは、上記図1で説明した上部電極40の各層と同様とすることができるが、例えば蒸着によるAg層からなる上部第1導電層52の厚さは20nm程度、同様に蒸着によるCuPcからなるバッファ層56は、10nm程度、ITOからなる上部第2導電層54は、80nm〜100nm程度の厚さとすることができる。
以上のような構成により、発光素子層30をスパッタリングのダメージから保護しながら最上層に透明な上部第2導電層54を必要な厚さに形成でき、また、発光素子層30への効率的な電子注入を実現するために必要なAgなどからなる半透過金属層を上部第1導電層52として、発光素子層30と直接接触するように形成することができる。また、この上部第1導電層52は、半透過性とするために、薄くしたり開口部を設けたりする必要があるので上部第1導電層52だけで上部電極50を構成すると、電極としての抵抗が高くなる。しかし、図2に示すように、十分な厚さの透明な上部第2導電層54を上部第1導電層52の上に、間にバッファ層56を挟んで形成することで、電極としての低抵抗化を実現することができる。
ここで、図2に示す有機EL素子では、上述のように上部電極50を光透過性とすることで、発光層316で得られた光を上部電極50を透過させて外部に光を取り出している。下部電極20側に進む光は、上述のように透明材料を下部電極20に用いている場合、下部電極20側からも基板10を透過して外部に射出されることなり、これにより上下両面での表示が可能となる。一方で、図2に示すように下部電極20と基板10との間にAl層などの光反射層22を形成しておくことで、発光層316から下部電極側に進んだ光は、下部電極20の下の反射層22で反射させ、上部電極50側から射出させることができる。そして、このようなトップエミッション型の有機EL素子の場合には、素子の下層にTFTなどが形成されていても、このTFTの形成領域も発光領域(表示領域)として利用することができる。なお、光反射層22を省略すれば、基板10側からも、上部電極50側からも光を射出することができ、両面表示をすることが可能な素子が得られる。
次に、バッファ層の構成例について説明する。以上では、図1及び図2に示すようバッファ層46および56は、例えばCuPcやAlq3などを用いた単層構造を例に説明したが、バッファ層は、単層構造には限られず、多層構造を採用してもよい。多層構造は、例えば、2層、3層、またはそれ以上の積層構造も可能である。多層構造のバッファ層の材料としては、上述のバッファ層に対して要求される特性と同様に、バッファ層上に形成される上部第2導電層の形成時のスパッタリングに耐性があり、かつ耐湿性が高く、ひずみ緩和機能があることが好適である。
バッファ層を単層構造とした場合、これら全ての要求について、単層で最大特性を得ることが要求される。
これに対し、多層構造を採用した場合、例えば特に耐スパッタ性が高いバッファ層と、特に耐湿性の高いバッファ層との積層とするなど、各層にそれぞれ異なる最大特性を発揮させることが容易となり、多層構造のバッファ層全体の機能向上を図りつつ、各バッファ層に用いる材料の選択の自由度を向上させることができる。
図3は、多層構造のバッファ層460を採用した場合の有機EL素子の構成について、図1と同様のボトムエミッション型の有機EL素子を例に示している。この有機EL素子は、下部電極20、発光素子層30、上部電極40が順に積層された構造を備え、上部電極40を構成する蒸着によって形成される上部第1導電層42と、スパッタリングによって形成される上部第2導電層44と、の間に形成するバッファ層460が積層構造である点が、図1及び図2に示した素子と相違する。
図3では、バッファ層460は、上部第1導電層42側から順に共に真空蒸着法により第1バッファ層462、第2バッファ層464を連続形成した2層構造を有する。各バッファ層462、464の材料としては、上記単層構造のバッファ層としても採用可能なCuPcやAlq3等の有機金属錯体化合物が採用可能である。採用する材料や、積層順及び積層数は、特に限定さるものではないが、少なくとも耐スパッタ性が優れたバッファ層と(もちろん耐湿性も優れている材料を採用することも可能)、耐湿性が優れたバッファ層(耐スパッタ性も優れている材料を採用することも可能)を備えることが好適である。
上述のように耐スパッタ性に優れるCuPcを複数のバッファ層の内の一層に用いる場合を例に挙げると、耐湿性向上の観点で、CuPcを用いたバッファ層に加え、少なくともAlスパッタ層等で構成される上部第2導電層44との接触界面側に、CuPcより耐湿性に優れた材料を用いたバッファ層を形成することがより好ましい。CuPcよりも耐湿性に優れたバッファ機能を備えた材料としては、上記Alq3が挙げられる。
吸湿しやすいバッファ層と上部第2導電層44を構成する金属スパッタ層とが接していると、吸湿によりバッファ層に変形や変質が起き、その際、バッファ層からの金属スパッタ層の剥がれが発生しやすくなる。従って、少なくとも金属スパッタ層との界面側に、耐湿性に優れた材料を用いたバッファ層を形成することで、上層の剥がれを防止し、剥がれた部分から水分や酸素など、発光素子層に悪影響を及ぼす物質が侵入することを防止することができる。即ち、少なくとも上部第2導電層44に接触するバッファ層として、下層との親和性があるだけでなく、耐湿性に優れたバッファ材料を採用することが好ましい。
CuPcの単独バッファ層とした場合、このCuPc層が多少なりとも吸湿するため、CuPc層と、スパッタで形成されたAlなどからなる上部第2導電層44との接触界面で上部第2導電層44の剥離が起きる可能性がある。
しかし、第1バッファ層462としてCuPcを用い、この第1バッファ層462と上部第2導電層44との間に、CuPcよりも耐湿性に優れたAlq3を採用した第2バッファ層464を形成することで、素子の耐久性を飛躍的に向上させることが可能となる。なお、もちろん、上述の図1及び図2に示すようなCuPcを用いた単独のバッファ層を備えた有機EL素子と比較すると、上部第1導電層42側からCuPcを用いた第1バッファ層462、Alq3を用いた第2バッファ層464を順に積層した構造に限らず、逆にAlq3を用いて第1バッファ層462を形成し、CuPcを用いて第2バッファ層464をしてもバッファ層の機能を高めることが出来る。但し、機能の向上程度は、上記のようなCuPcの第1バッファ層462とAlq3の第2バッファ層464の積層構造とした方が高い。
多層構造を構成する各バッファ層460の厚さは、蒸着によって形成するバッファ層を短時間に成膜できる薄さである一方で、被覆性、平滑性及び均一性を確保して保護機能を発揮するため必要な厚さとすることが必要であり、それぞれ5nm〜50nmの範囲とすることが好ましい。図3に示す例では、CuPcからなる第1バッファ層462、Alq3からなる第2バッファ層464を共にそれぞれ10nmの厚さとすることで、生産性を低下させずに必要な保護機能を十分に発揮させることを可能としている。
なお、この積層構造のバッファ層460は、ボトムエミッション型の有機EL素子に限らず、図2に示したようなトップエミッション型の有機EL素子においてその上部電極50のバッファ層56に採用することで同様な効果を得ることができる。例えば、上記のように上部第1導電層52側にCuPcからなる第1バッファ層、その上にAlq3からなる第2バッファ層を形成することで、素子の発光効率を向上するともに、耐スパッタ性の向上と、耐湿性の飛躍的な向上を図ることが可能となる。
[評価例]
(評価例1)
評価例1では、発光素子層の上に直接、Alのスパッタリング層を上部電極として形成した有機EL素子(比較例1)と、図1に示すように、発光素子層上に、上部電極として、Alの蒸着層からなる上部第1導電層、CuPcからなるバッファ層、Alのスパッタリング層からなる上部第2導電層を形成した有機EL素子(実施例1)の特性をそれぞれ評価した結果を示す。ここで、正孔輸送層としては、上記図1のような多層構造ではなく(多層構造には限られない)、単層構造を採用し、この単層の正孔輸送層の材料としては、正孔輸送機能を備えるベンジジン誘導体化合物(別の表現ではトリフェニルアミンの2量体化合物)、特に、そのナフチル置換体であるNPB(a naphthyl-substituted benzidine derivative:N,N'-di(naphthalene-1-yl)-N,N'-diphenyl-benzidene)を用いた。
実施例1及び比較例1の有機EL素子のいずれも、下部電極//正孔輸送層//発光層//電子注入層//上部電極の積層構造とし、比較例1では各層の材料に、それぞれITO//NPB//Alq3//LiF//Al(スパッタリング層)を採用した。実施例1の有機EL素子は、各層の材料として、ITO//NPB//Alq3//LiF//Al(蒸着層)/CuPc(バッファ層)/Al(スパッタリング層)を採用した。図4は、実施例1と比較例1に係る有機EL素子の効率をそれぞれパワー密度(W/cm2)に対する発光効率(cd/A)の違いで示している。図4から明らかなとおり、有機EL素子に供給した電力のパワー密度を例えば1.4、6.8、12.3と変化させた場合にも、全ての条件において、実施例1に係る有機EL素子の発光効率は、比較例1の有機EL素子の発光効率よりも高く、上記のような素子構成で、かつ評価の範囲内においても、1.4倍〜1.2倍の発光効率の向上が達成されていることが分かる。
図5には、実施例1と比較例1に係る有機EL素子の効率をそれぞれパワー密度(W/cm2)に対する駆動電圧(V)の違いで示している。図5から明らかなとおり、有機EL素子に供給した電力のパワー密度を1.4、6.8、12.3と変化させた場合にも、全ての条件において、実施例1に係る有機EL素子の駆動電圧は、比較例1の有機EL素子の駆動電圧よりも低くすることができ、上記のような素子構成で、かつ評価の範囲内において、80%〜82%程度の駆動電圧の低下が達成されている。
また、以上の結果から、バッファ層としてCuPc、上部第1及び第2導電層としてAlを組み合わせて用いることで優れた効果が得られることが理解でき、さらに正孔輸送層としてNPBを採用することができることがわかる。
(評価例2)
評価例2では、上記比較例1(発光素子層上に直接Alスパッタリング層を積層)に係る素子と、上記実施例1(単層構造のバッファ層を採用)に係る素子と、上記図3に示すように多層構造のバッファ層を採用した素子(実施例2)について、素子の安定性(信頼性)を評価した。
比較例1及び実施例1の素子構造及び使用材料は上記評価例1に記載したとおりであり、実施例2の素子では、実施例1の素子構造において、そのバッファ層がCuPcの単層ではなく、Al蒸着層(上部第1導電層)側から順にCuPc層、Alq3層が積層された2層構造を有する。
図6は、これら実施例1及び実施例2、比較例1に係る有機EL素子の安定性を、各素子を85℃、85%湿度下に置き、経過時間(hour)に伴うエッジグロース、即ち、素子における膜剥がれの成長度合いを任意単位で評価した結果である。図6から分かるように、2層構造のバッファ層を採用した実施例2と、比較例1では、43時間後においても膜剥がれは0のままであるが、実施例1に係る素子では評価試験開始直後から膜剥がれが起こり、43時間後において100になっていることが分かる。この結果から、素子の物理的な耐久性向上の観点からは、上部電極の構成要素として蒸着層とスパッタ層との間に形成するバッファ層としては、CuPc層だけでは十分でなく、少なくとも、Alの蒸着層側からCuPc層とAlq3層との積層構造とすることが好適であることが分かる。
図7は、ガラス基板上に、それぞれNPB層、CuPc層、Alq3層、Al(スパッタリング)層を形成した後、この基板を高温高湿度下(85℃、85%湿度)で20時間放置した後の膜剥がれの程度を示している。ガラス基板上に形成された各層のうち、NPB層は、20時間後、その層面積の36%で剥離が起き、CuPc層においても層面積の8%で剥離が発生していた。これに対し、Alq3層及びAl層は剥離は全く起きていなかった。
以上のことから、膜の耐湿性は、上記4種類の内では、Al、Alq3>CuPc>>NPBの順に高いことが理解できる。従って、高温高湿度下において、上部第2導電層がほとんど吸湿しないAlのスパッタリング層からなる場合、この上部第2導電層と接するバッファ層として、Alq3を採用することで、Al層とAlq3層とが剥離することを確実に防止できることが理解できる(もちろん、上部第2導電層に接するバッファ層として、NPBよりも、CuPcを採用する方が良い)。
[パネル周辺部]
次に、本実施形態に係るエレクトロルミネッセンスパネルの周辺部の構成について説明する。図8及び図9は、このパネル周辺部の概略断面及び平面構造を示している。図8は、上記図3に示すような多層構造のバッファ層460を備えた有機ELパネル周辺部における概略断面構造を表しているが、バッファ層は、図1及び図2のように単層構造としてもよく、その場合のパネル周辺部の構造は、バッファ層が単層である以外は図8に示すとおりとなる。
有機EL素子の発光素子層に採用されている有機材料は、水分や酸素によって劣化することが知れらており、発光素子層への水分や酸素の侵入を防止するためには、下部電極側からと上部電極側からの遮蔽性を高めると共に、素子の側面方向、特にパネルの周辺部で、発光素子層の側面からの侵入を防ぐことが必要である。
本実施形態に係る有機EL素子では、上部電極として蒸着による上部第1導電層、バッファ層、スパッタリングによる上部第2導電層の積層構造を採用しており、上記評価例2でも説明したように、いずれの層にも耐湿性の高い材料を採用している。そこで、本実施形態では、これら上部電極を構成する各層をパネル周辺部において、発光素子層の形成領域よりも外側まで形成し、発光素子層の終端部の側面をこの上部電極層で覆っている。
各画素に、有機EL素子と、この有機EL素子の発光制御するためのTFTなどのスイッチ素子を備えるいわゆるアクティブマトリクス型のパネルの場合、図8に示すように、TFTと接続される有機EL素子の下部電極20は、画素毎の個別パターンに形成されている。また、薄い発光素子層30のみでは下部電極20と上部電極40(図2では電極50)との絶縁が不十分であるため、下部電極20の端部は絶縁性樹脂などからなる平坦化絶縁層24で覆い、この平坦化絶縁層24により、画素間及び画素エッジ部分において下部電極20と上部電極40との間を確実に絶縁している。
パネルの表示部で、最外位置にある画素の下部電極20もその端部は上記平坦化絶縁層24で覆われている。発光素子層30は、この例では、発光層316を除く他の層(312、314、318、320)は、平坦化絶縁層24を乗り越えるようにして各画素に対して共通で形成され、また、表示部の端部では、少なくとも平坦化絶縁層24の上まで形成されている。有機EL素子の特性や、採用する有機材料などに応じ、発光層316以外の特定の層、又は全層を画素毎に独立したパターンに形成する場合もある。いずれの場合においても、発光素子層30は、画素が配置される表示部の端部付近まで形成されており、この表示部端部付近で、発光素子層30は外界などからの水分の侵入などを受ける可能性が高くなっている。
発光素子層30の形成後、本実施形態では、上述のように上部第1導電層42としてAlなどの真空蒸着層を形成する。なお、図2に示すようなトップエミッション型の有機EL素子の場合には、Agなどの真空蒸着層を上部第1導電層52として形成する。この上部第1導電層42を蒸着形成時、本実施形態では、発光素子層30の形成範囲よりも外側まで開口したメタルマスクなどを用いる。これにより、図8及び図9に示すように、発光素子層30の表示領域における端部を覆って上部第1導電層42が形成される。
次に、この上部第1導電層42の上に、第1バッファ層462と第2バッファ層464とを連続して、かつ同一のマスク(少なくとも開口パターンが同一のマスク)を用いて蒸着形成する。バッファ層の形成に際しては、上部第1導電層42のマスクよりも開口パターンの小さいマスクを用いており、これにより、バッファ層460は、上部第1導電層42の端部よりも内側で終端している。なお、上述のように第2バッファ層464にAlq3を用いた場合、このAlq3の第2バッファ層464は、CuPcを用いた第1バッファ層462よりも耐湿性に優れているので、第1バッファ層462の端部を覆うように、つまり第1バッファ層462よりも大きく形成することが好適である。
第1バッファ層462の成膜マスクと同一マスクを用いて第2バッファ層464を第1バッファ層462より広い面積に形成するには、開口パターンのより大きいマスクを用いればよい。しかし、同一マスク(同一開口パターン)を用いても形成することも可能である。
同一マスクを用いる場合には、真空蒸着室において、蒸着源と基板との間に設けられるマスクの位置を第1バッファ層462の形成時よりも蒸着源側、つまり基板から少し遠ざけた位置とすればよい。蒸着源が点状である場合も線状である場合も、蒸着物質は蒸着源の法線方向に対して多少の飛散角度をもって蒸着源から飛散するので、基板からマスクを遠ざければ、その分、基板上に大きなパターンの蒸着層を形成することが可能となるからである。積層数が増えることによる製造コストを低減するためには、マスクについても可能な限り共通化することが望ましい。したがって、上記のように同一のマスクを用いて基板からのマスク位置を調整することで第1バッファ層462の端部を覆うように第2バッファ層464を形成することが製造コスト削減の観点から好適である。
バッファ層460の形成後、このバッファ層460よりも大きく、かつ既に形成している上部第1導電層42とほぼ同じ大きさのパターンに、スパッタリングによって上部第2導電層44を形成する。このように、上部第1及び第2導電層42,44の終端位置より内側でバッファ層460を終端させることで、パネル周辺部で上部第1導電層42と上部第2導電層44とを直接接触させることができる。
したがって、第1及び第2導電層42,44の層間に、上述のように電荷輸送性はあるが、金属材料と比較して高抵抗の有機金属錯体材料などを用いたバッファ層460を挿入した構造を採用しても、発光素子層30に接して電荷(ここでは電子)を注入する上部第1導電層42に対し、十分な電力を供給することが可能となっている。なお、上部第1導電層42と上部第2導電層44は、パネル上に形成された端子を介して、図示しない外部電源(Vc)に接続される。
ここで、バッファ層460は、少なくとも下層に発光素子層30が形成されている領域と、その終端部の上方とを完全に覆って形成していることが、下層の上部第1導電層42及び発光素子層30の両方を保護する上で必要である。一方、図8及び図9に示すように、発光素子層30が下層に存在しない表示部の端部付近では、バッファ層460がなくても、上部第1導電層42は、上部第2導電層44のスパッタリング成膜環境に曝されても、両導電層間で電気的接続を確保することは可能である。したがって、パネル周辺部において、バッファ層460は、上部第1及び第2導電層42,44の終端位置よりも内側で終端させることができる。上部第1導電層42と上部第2導電層44との接触距離は、例えば300μm程度あれば十分な電気的接続がとれ、この場合、バッファ層460は、上部第1導電層42の終端位置から300μm程度内側で終端させればよい。
ここで、図8では、ボトムエミッション型の有機EL素子のパネル周辺部構造を示しているが、もちろん、図2に示すようなトップエミッション型の有機ELパネルでも、パネル周辺部において、蒸着によって形成された上部第1導電層52とスパッタによって形成されたITOなどからなる上部第2導電層54とが直接接触するようバッファ層56を少し小さいパターンとし、かつ上部電極50のいずれもが発光素子層30の終端部を覆うように形成することで、同様の効果を得ることができる。
また、各画素にスイッチ素子を備えたアクティブマトリクス型の有機EL素子を例に説明したが、本実施形態に係る上部電極構造及びパネル周辺部構造は、各画素にスイッチ素子のないパッシブマトリクス型のパネルにおいても採用することで、効果を得ることができる。
以上に説明した本実施形態に係る有機EL素子では、下部電極20を陽極とし、上部電極40、50、60を陰極として用いているが、これに限らず下部電極を陰極、上部電極を陽極としてもよい。この場合、発光素子層30は、下層側から順に例えば電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層などの積層構造とすればよい。
本発明に係るエレクトロルミネッセンス素子は、自発光表示装置や、光源などに有用である。
本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子の概略断面構造を示す図である。 本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子の他の概略断面構造を示す図である。 本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子のさらに別の概略断面構造を示す図である。 本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子のパワー密度に対する発光効率の評価図である。 本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子のパワー密度に対する駆動電圧の評価図である。 本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子の安定性を経過時間に対するエッジグロースで評価した図である。 有機層バッファ層及び上部電極材料層の耐湿性を比較した図である。 本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子のパネル周辺部の構造を示す図である。 本発明の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子のパネル周辺部の概略平面構造を示す図である。 従来の有機EL素子の概略断面構造を示す図である。
符号の説明
10 基板、20 下部電極、22 反射層、24 平坦化絶縁層、30 発光素子層、40,50 上部電極、42 上部第1導電層、44 上部第2導電層、46,56 バッファ層、52 上部第1導電層(半透過金属層)、54 上部第2導電層(透明導電層)、312 第1正孔輸送層、314 正孔輸送層、316 発光層、318 電子輸送層、320 電子注入層、460 バッファ層(多層構造)、462 第1バッファ層、464 第2バッファ層。

Claims (18)

  1. 下部電極と上部電極との間に発光材料を含む発光素子層を備えるエレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記上部電極は、前記発光素子層側から、蒸着法によって形成された上部第1導電層と、スパッタリング法によって形成された上部第2導電層とを備え、さらに前記上部第1導電層と前記上部第2導電層との層間に、前記第2導電層と比較して柔らかい有機材料からなり、前記上部第1導電層及びその下層の両層を保護するバッファ層を備え、
    前記バッファ層は電荷輸送機能を備え、
    前記上部電極の各層は、前記発光素子層の終端部を覆って該発光素子層より外側まで延在して形成され、
    かつ、前記バッファ層は、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層の終端位置よりも内側で終端し、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層は終端部付近で互いに直接接していることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  2. 下部電極と上部電極との間に発光材料を含む発光素子層を備えるエレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記上部電極は、前記発光素子層側から、蒸着法によって形成された上部第1導電層と、スパッタリング法によって形成された上部第2導電層とを備え、さらに前記上部第1導電層と前記上部第2導電層との層間に、前記第2導電層と比較して柔らかい有機材料からなり、前記上部第1導電層及びその下層の両層を保護するバッファ層を備え、
    前記バッファ層は5nmから50nmの厚さに形成され、
    前記上部電極の各層は、前記発光素子層の終端部を覆って該発光素子層より外側まで延在して形成され、
    かつ、前記バッファ層は、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層の終端位置よりも内側で終端し、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層は終端部付近で互いに直接接していることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  3. 請求項1〜2に記載のエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記発光素子層の前記上部電極との接触界面側には電荷注入層が形成されることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記電荷注入層は、電子注入障壁を緩和する電子注入層であり、
    前記上部第1導電層は、金属材料を含み、
    前記バッファ層は、有機金属錯体化合物を含む有機蒸着層であり、
    前記上部第2導電層は、金属材料を含むことを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記電荷注入層は、電子注入障壁を緩和する電子注入層であり、
    前記上部第1導電層は、光半透過性の金属層であり、
    前記バッファ層は、有機金属錯体化合物を含む有機蒸着層であり、
    前記上部第2導電層は、透明な導電性金属酸化物材料を含むことを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記上部第1導電層は、少なくともその発光素子層側において、金属材料と、前記発光素子層の電子注入層に用いられる電子注入材料との共蒸着領域を備えることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記バッファ層は、有機金属錯体化合物を含む多層構造の有機蒸着層から構成されていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記バッファ層は、多層構造であり、各層は蒸着層であり、前記多層構造のうちの少なくとも一層には他の層と異なるバッファ材料が用いられていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項7又は請求項8に記載のエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記多層構造のバッファ層は、第1バッファ層と前記上部第2導電層との間に、前記第1バッファ層の材料よりも耐湿性の高い材料が用いられた第2バッファ層を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項7又は請求項8に記載のエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記バッファ層は、銅フタロシアニン錯体誘導体化合物を含む第1バッファ層と、アルミキノリノール錯体誘導体化合物を含む第2バッファ層と、を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  11. 請求項10に記載のエレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第2バッファ層は、前記第1バッファ層と前記上部第2導電層との間に形成されていることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  12. 下部電極と上部電極との間に発光材料を含む発光素子層を備えるエレクトロルミネッセンス素子を表示領域内に複数備えるエレクトロルミネッセンスパネルであって、
    前記エレクトロルミネッセンス素子の前記上部電極は、前記発光素子層側から、蒸着法によって形成された上部第1導電層と、スパッタリング法によって形成された上部第2導電層とを備え、さらに前記上部第1導電層と前記上部第2導電層との層間に、前記第2導電層と比較して柔らかい有機材料からなり、前記上部第1導電層及びその下層の両層を保護するバッファ層を備え、
    前記バッファ層は5nmから50nmの厚さに形成され、
    前記表示領域の周辺部において、前記上部電極の各層は、前記発光素子層の終端部を覆って該発光素子層より外側まで延在して形成され、
    かつ、前記バッファ層は、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層の終端位置よりも内側で終端し、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層は終端部付近で互いに直接接していることを特徴とするエレクトロルミネッセンスパネル。
  13. 下部電極と上部電極との間に発光材料を含む発光素子層を備えるエレクトロルミネッセンス素子を表示領域内に複数備えるエレクトロルミネッセンスパネルであって、
    前記エレクトロルミネッセンス素子の前記上部電極は、前記発光素子層側から、蒸着法によって形成された上部第1導電層と、スパッタリング法によって形成された上部第2導電層とを備え、さらに前記上部第1導電層と前記上部第2導電層との層間に、前記第2導電層と比較して柔らかい有機材料からなり、前記上部第1導電層及びその下層の両層を保護するバッファ層を備え、
    前記バッファ層は電荷輸送機能を備え、
    前記表示領域の周辺部において、前記上部電極の各層は、前記発光素子層の終端部を覆って該発光素子層より外側まで延在して形成され、
    かつ、前記バッファ層は、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層の終端位置よりも内側で終端し、前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層は終端部付近で互いに直接接していることを特徴とするエレクトロルミネッセンスパネル。
  14. 請求項12又は13に記載のエレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記バッファ層は第1バッファ層と第2バッファ層からなり、前記表示領域の周辺部において該第2バッファ層は、前記第1バッファ層の終端部よりも外側まで延在し、該第1バッファ層の終端部を覆っていることを特徴とするエレクトロルミネッセンスパネル。
  15. 請求項12〜請求項14に記載のエレクトロルミネッセンスパネルにおいて、
    前記バッファ層は、多層構造であり、前記多層構造のうちの少なくとも一層には他の層と異なるバッファ材料が用いられていることを特徴とするエレクトロルミネッセンスパネル。
  16. 請求項15に記載のエレクトロルミネッセンスパネルにおいて、
    前記バッファ層は、銅フタロシアニン錯体誘導体化合物を含む第1バッファ層と、アルミキノリノール錯体誘導体化合物を含む第2バッファ層と、を有し、
    前記第2バッファ層は、前記第1バッファ層と前記上部第2導電層との間に形成され、前記表示領域の周辺部において該第2バッファ層は、前記第1バッファ層の終端部よりも外側まで延在し、該第1バッファ層の終端部を覆っていることを特徴とするエレクトロルミネッセンスパネル。
  17. 請求項1〜請求項11のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセンス素子又は請求項12〜請求項16のいずれか一つに記載のエレクトロルミネッセンスパネルにおいて、
    前記上部第1導電層及び前記上部第2導電層はアルミニウムを含み、
    前記バッファ層は、銅フタロシアニン錯体誘導体化合物を含むことを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子又はエレクトロルミネッセンスパネル。
  18. 請求項17に記載のエレクトロルミネッセンス素子又はエレクトロルミネッセンスパネルにおいて、
    さらに、前記発光素子層は、正孔輸送機能を備えたベンジジン誘導体化合物を含む層を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子又はエレクトロルミネッセンスパネル。
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