JP5286637B2 - 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法、有機エレクトロルミネッセンスパネル - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法、有機エレクトロルミネッセンスパネル Download PDF

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Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、有機ELパネルとも言う)の製造方法及びこの製造方法により製造された有機ELパネルに関するものである。
近年、有機物質を使用した有機EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されており、活発な研究開発が進められている。有機EL素子は、基板上に形成された第1電極(陽極又は陰極)と、その上に積層された有機発光物質を含有する有機化合物層(単層部又は多層部)すなわち発光層と、この発光層上に積層された第2電極(陰極又は陽極)とを有する薄膜型の素子である。この様な有機EL素子に電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注入され陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られている。
この様に、有機EL素子は薄膜型の素子であるため、1個又は複数個の有機EL素子を基板上に形成した有機ELパネルをバックライト等の面光源として利用した場合には、面光源を備えた装置を容易に薄型にすることが出来る。又、画素としての有機EL素子を基板上に所定個数形成した有機ELパネルをディスプレイパネルとして用いて表示装置を構成した場合には視認性が高い、視野角依存性がないなど、液晶表示装置では得られない利点がある。
ところで、有機EL素子に用いられる有機発光材料等の有機物は水分や酸素等に弱く性能が劣化し、又電極も、酸化により大気中では特性が急激に劣化すため、これらの劣化を防止ために最上層に封止層を設けて使用しているのが一般的である。
有機EL素子の封止方法としてはこれまでに多くの検討がされてきており、ケーシングタイプの封止方法と、密着タイプの封止方法との2つの方法に大別される。
ケーシングタイプの封止方法とは有機EL素子をケース内に入れて外界と遮断し、前記のケース内に有機EL素子と共に所定の封止用の気体又は流体を充填しておくことにより封止する方法である。密着タイプの封止方法とは、基板上に形成されている有機EL素子の背面(基板側からみて素子の後ろ)にガラス板等の封止材を接着剤で面接着することにより封止する方法である。
ケーシングタイプの封止方法の場合は、薄型とすることが出来ない、ケース内に封止用の気体又は流体を充填するための工程を必要とする、大量生産には不向き等の課題があるため、薄型対応が可能、大量生産が比較的容易、高い封止効果を容易に得ることが可能であることから密着タイプの封止方法が主流となり検討が進められている。
密着タイプの封止方法としては、例えば特開平4−212284号公報、特開平5−182759号公報等に記載の様にGeO、SiO2等の無機化合物からなる保護膜の上に接着剤、光硬化性樹脂等を介してガラス基板を固着する方法が知られている。特開2001−307871号公報にはバリア層とJIS K 7210規定のメルトフローレートが5g/10min以上、20g/10min以下の熱可塑性接着性樹脂からなるシーラント層を含む封止フィルムで密着封止した有機EL素子が知られている。
しかしながら、これらの方法では接着剤、光硬化性樹脂が硬化する時、体積が収縮することから残留応力が発生し、この残留応力は、封止対象の有機EL素子と接着剤や光硬化性樹脂との間にGeOやSiO2等の膜があったとしてもその膜厚がμmオーダーと薄いと有機ELに伝わってしまう。そして、残留応力は曲率半径の小さな部分で特に強くなるので、有機EL素子に伝播した残留応力は有機EL素子の端部等に集中する。この結果、素子の電極端部等が押潰され、陽極と陰極とが接触してショートが発生することが知られており、接着剤、光硬化性樹脂を使用した密着タイプの封止方法で接着剤、光硬化性樹脂が硬化する時の残留応力の緩和対策が検討されてきた。例えば、有機EL素子と接着剤の間に流体の応力緩和層を設け、封止材を接着剤で固着する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。有機EL素子上に接着剤層として、有機EL素子側の接着剤の収縮率を、封止材側の接着剤の収縮率よりも小さい接着剤を使用し2層とすることで接着剤の硬化収縮による応力の影響を発光素子が受けない様にして封止材を接着剤で固着する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
特許文献1、特許文献2に記載の密着タイプの封止方法により、大量生産が比較的容易、高い封止効果を有した薄型の有機EL素子対応が可能となるのであるが、未だ密着封止(有機エレクトロルミネッセンス素子上への面接着)に起因する発光素子へのダメージが散見され、対応が不十分となっている。又、応力緩和層や複数接着剤等、新たな機能層の設置により、工程が複雑となり生産効率が上がらない要因の1つになってる。
この様な状況から、封止材を接着剤を介して固着する密着タイプの封止方法で有機エレクトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子とも言う)を封止した有機ELパネルを製造する時、有機EL素子の性能劣化を生じさせない有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルの開発が望まれている。尚、本発明では基板上に第一電極と有機層と第二電極まで形成した状態を、有機EL素子と言い、封止部材で密着封止した状態を有機ELパネルと言う。
特開平8−124677号公報 特開2003−109750号公報
本発明は上記状況を鑑みなされたものであり、その目的は、封止材を接着剤を介して固着する密着タイプの封止方法で封止した有機ELパネルを製造する時に、有機EL素子の性能劣化を生じさせない有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルを提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.基板の上に第1電極と、前記第1電極の上に形成された発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層と、前記有機化合物層の上に第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を、接着剤層を介して封止部材により封止する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記第2電極は2層構成を有し、かつ、前記第2電極のうち、前記有機化合物層に接する層は金属又は金属化合物を含む層であり、もう1層は有機化合物材料のみからなる層であり、前記第2電極を、少なくとも2回に分けて積層し形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
2.前記金属又は金属化合物を含む層が、金属又は金属化合物からなる層であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
3.前記有機化合物材料は、前記有機化合物層を形成する材料であることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
4.前記第2電極の形成が気相堆積法であることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
5.前記第2電極を少なくとも2回に分けて積層し形成する際、該第2電極を形成する基板と、該第2電極の材料の蒸着源との位置関係が積層する毎に異なることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
6.前記第2電極を少なくとも2回に分けて積層し形成する際、各層の堆積速度を(下層の堆積速度に対して)変化させることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
7.前記第2電極の総厚が100nm以上、2μm以下であり、且つ第2電極を形成している各層の厚さが10nm以上であることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
8.前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、樹脂基材と、ガスバリア層とを有した可撓性部材であることを特徴とする前記1〜7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
9.前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、ガラス板であることを特徴とする前記1〜7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
10.前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、金属シートであることを特徴とする前記1〜7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
11.前記接着剤層が前記封止部材に設けられていることを特徴とする前記1〜10の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
12.前記接着剤層が前記有機エレクトロルミネッセンス素子の発光部と、該発光部の周面に設けられていることを特徴とする前記1〜11の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
13.基板の上に第1電極と、前記第1電極の上に形成された発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層と、前記有機化合物層の上に第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を、接着剤層を介して封止部材により封止された有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、
前記第2電極が2層構成を有し、かつ、前記第2電極のうち、前記有機化合物層に接する層は金属又は金属化合物を含む層であり、もう1層は有機化合物材料のみからなる層であり、前記第2電極が、少なくとも2回に分けて積層し形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネル。
14.前記金属又は金属化合物を含む層が、金属又は金属化合物からなる層であることを特徴とする前記13に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
15.前記有機化合物材料は、前記有機化合物層を形成する材料であることを特徴とする前記13または14に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
16.前記第2電極が気相堆積法で形成されていることを特徴とする前記13〜15のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
17.前記第2電極の総厚が100nm以上、2μm以下であり、且つ第2電極を形成している各層の厚さが10nm以上であることを特徴とする前記13〜16の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
18.前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、樹脂基材と、ガスバリア層とを有した可撓性部材であることを特徴とする前記13〜17の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
19.前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、ガラス板であることを特徴とする前記13〜17の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
20.前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、金属シートであることを特徴とする前記13〜17の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
21.前記接着剤層が前記封止部材に設けられていることを特徴とする前記13〜20の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
22.前記接着剤層が前記有機エレクトロルミネッセンス素子の発光部と、該発光部の周面に設けられていることを特徴とする前記13〜21の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
密着タイプの封止方法で封止した有機ELパネルを製造するために、封止材を接着剤で固着する時有機EL素子の性能劣化を生じさせない有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルを提供することが出来、高品質の薄型・軽量の有機ELパネルの生産が可能となった。
本発明の実施の形態を図1〜図8を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は有機ELパネルの層構成の一例を示す概略断面図である。
図中、1は有機ELパネルを示す。有機ELパネル1は、基板101上に、第1電極102と、正孔輸送層(正孔注入層)103と、有機化合物層(発光層)104と、電子注入層105と、第2電極106と、接着剤層107と、封止部材108とをこの順番に有している。本図に示される有機ELパネルにおいて、第1電極102と正孔輸送層103の間に正孔注入層(不図示)を設けてもよい。又、第2電極106と有機化合物層(発光層)104と電子注入層105との間に電子輸送層(不図示)を設けてもよい。基板101と封止部材108又はどちらか一方が、樹脂基材と、ガスバリア層とを有した可撓性封止部材、ガラス板、金属シートであることが好ましい。
本図に示す有機ELパネルの層構成は一例を示したものであるが、他の代表的な有機EL素子の層構成としては次の構成が挙げられる。
(1)基板/第1電極(陽極)/発光層/電子輸送層/第2電極(陰極)/封止部材
(2)基板/第1電極(陽極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/第2電極(陰極)/封止部材
(3)基板/第1電極(陽極)/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/第2電極(陰極)/封止部材
(4)基板/第1電極(陽極)/陽極バッファー層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/第2電極(陰極)/封止部材
有機ELパネルの場合、通常、第1電極(陽極)102側が観察側になり、第1電極(陽極)102には、ITO(酸化スズと酸化インジウム混合物)、IZO(酸化亜鉛と酸化インジウム混合物)、ZnO、SnO2、In23等が知られている。中でも、ITO電極は、90%以上の高い光透過率と、10Ω/□以下の低いシート抵抗値が可能で、液晶ディスプレイや太陽電池などの透明電極としても用いられている。又、IZO電極は、形成時に基板を加熱せずに所定の低い抵抗値が得られ、ITO電極よりも膜表面が平滑であるという利点がある。
本発明は図1に示す様に、基板上に少なくとも1つ形成された有機EL素子を封止部材を使用し接着剤を介して密着封止した有機ELパネルを製造する時に、接着剤の硬化収縮による応力の影響を発光素子が受けない様にして製造する有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルに関するものである。
図2は図1のTで示される部分の拡大概略断面図である。
封止部材108は樹脂基材108aと、ガスバリア層108bとを有する可撓性封止部材の場合を示している。樹脂基材108aは単体でもよいし、積層体であってもよく必要に応じて適宜選択することが可能である。ガスバリア層108bは単体でもよいし、積層体であってもよく必要に応じて適宜選択することが可能である。封止部材108は接着剤層107を介して第2電極106の上及び第2電極の周面に貼合されている。
本図では封止部材108として、樹脂基材108aと、ガスバリア層108bとを有する可撓性封止部材を使用した場合を示しているが、他の封止部材108としては、ガラス板、金属シートを使用することが可能となっている。
第2電極106は少なくとも第1層106a(電子注入層105と接する層)と第2層106b(接着剤層107と接する層)とを有する多層構成を有しており、第1層106aと第2層106bとは異なる材料から形成されていることが好ましい。第1層106aを形成する材料としては金属又は金属化合物が好ましく、第2層106bを形成する材料としては金属、金属化合物又は有機化合物が好ましい。
有機化合物としては有機エレクトロルミネセンス層を形成する有機化合物が挙げられる。有機エレクトロルミネセンス層を形成する有機化合物に付いては後述する。尚、有機エレクトロルミネセンス層とは図1において基材101〜電子注入層105までを構成する層を言う。
金属又は金属化合物としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
第2電極106の総厚は、密着性、抵抗値、成膜時間等を考慮し、100nm以上、2μm以下が好ましく、且つ第2電極106を形成している第1層106a及び第2層106bの各の厚さは、密着性、抵抗値等を考慮し、10nm以上であることが好ましい。
第2電極106は少なくとも2回に分けて気相堆積法で形成することで積層されている。尚、第2電極106の積層の方法に付いては図4〜図6で説明する
本図に示すように、第2電極を少なくとも2回に分けて積層し形成することで次の効果が挙げられる。
1)接着剤の硬化収縮による残留応力の伝搬が、第2電極を構成する第1層と第2層との間の界面により抑制され、有機EL素子のダメージが軽減される。
2)封止部材の貼合圧着応力の伝搬が、第2電極を構成する第1層と第2層との間の界面により抑制され、発光素子のダメージが軽減される。
3)第2電極を多数回に分けて成膜することで、成膜欠陥(ピンホール)の抑制が可能となる。
4)成膜欠陥(ピンホール)が抑制されることから、接着剤の硬化時に発生するアウトガスの侵入が抑制され、有機EL素子のダメージが軽減される。
5)接着剤の硬化時に発生するアウトガス等による第2電極の化学的腐食(腐食の伝搬)が、第2電極を構成する第1層と第2層との間の界面により抑制され、発光素子のダメージが軽減される。
又、第2電極を少なくとも2回に分けて積層し形成する際、例えば、第1層106aを金属又は金属化合物で形成し、第2層106bを金属、金属化合物又は、有機化合物で形成することで次の効果が挙げられる。
1)第2電極を構成する第1層と第2層との間の界面がより強調され、各ダメージの伝搬がより抑制され、有機EL素子のダメージが軽減される。
2)第2層の材料が有機化合物の場合、有機エレクトロルミネッセンス層を構成する材料と同じ材料にすることで、成膜装置(気相堆積装置)が共用出来、装置の簡素化や小型化が図れる。
図3は枚葉基板を使用した有機EL素子の製造方法の模式図である。
図中、2は製造装置を示す。201は枚葉基板201aを工程に供給する供給部を示す。202は供給部201から供給された枚葉基板201aの表面に第1電極が蒸着される前に、蒸着性をよくするために枚葉基板201aの表面を清掃するための基板洗浄処理装置を示す。203は洗浄処理が終了した枚葉基板201a上に第1電極aを形成する第1電極形成気相堆積装置を示す。204は第1電極aが形成された枚葉基板201aの第1電極a上に正孔輸送層bを形成する正孔輸送層形成気相堆積装置を示す。205は正孔輸送層bが形成された枚葉基板201aの正孔輸送層b上に発光層cを形成する発光層形成気相堆積装置を示す。206は発光層cが形成された枚葉基板201aの発光層c上に電子注入層dを形成する電子注入層形成気相堆積装置を示す。207aは電子注入層dが形成された枚葉基板201aの電子注入層d上に少なくとも2層を有する第2電極の第1層eを形成する第1層用第2電極形成気相堆積装置を示し、207bは第2電極の第1層e上に第2層fを形成する第2層用第2電極形成気相堆積装置を示す。208は有機EL素子4を回収する回収部を示す。第1電極形成気相堆積装置203〜第2層用第2電極形成気相堆積装置207bは何れも同じ構成をなしている。第1層用第2電極形成気相堆積装置及び第2層用第2電極形成気相堆積装置の構成に関しては図4で詳細に説明する。
第1層用第2電極形成気相堆積装置207aによる堆積速度に対して、第2層用第2電極形成気相堆積装置207bの堆積速度は、成膜欠陥(ピンホール)の抑制等を考慮し、変化させることが好ましい。尚、堆積速度の変化量は、10%以上、1000%以下が成膜時間や成膜による有機EL素子の温度上昇を考慮し好ましい範囲である。
尚、本図では第2電極が2層から形成される場合を示しているため、2つの気相堆積装置を配設した場合を示しているが気相堆積装置の数は第2電極を構成する層の数に応じて配設することが可能である。この場合も各層の成膜速度を下層の堆積速度に対して10%以上、1000%以下で変化させることが好ましい。又、第2電極を構成する材料が同じ場合は、各層毎に気相堆積装置を配設しなくとも、同じ気相堆積装置を使用することも可能であり、装置の簡素化や小型化等の面で好ましい。
図4は図3に示される第2電極の第1層形成用の第2電極第1層形成用気相堆積装置の概略図である。図4の(a)は図3に示される第2電極第1層形成用気相堆積装置の拡大概略図である。図4の(b)は第2電極第1層形成用気相堆積装置を構成している各部、各手段の関係を示す概略ブロック図である。
図中、207aは第2電極第1層形成用気相堆積装置を示す。第2電極第1層形成用気相堆積装置207aは蒸着室Aと、基板保持手段Bと、マスク配置手段Cと、原料蒸発手段Dと、制御手段Eとを有している。尚、原料蒸発手段Dは堆積膜形成領域の端辺の法線の外側に置かれている。
A1は蒸着室Aに配設された排気口を示し減圧手段である排気手段(不図示)に繋がっており、メインバルブA2を介して蒸着室Aを設定した真空度にするようになっている。蒸着室Aの真空度は、必要に応じて適宜設定することが可能となっている。A3は蒸着室Aの真空度を測定する測定手段である真空度測定計を示す。真空度測定計としては特に限定はなく、例えば電離真空計、ピラニ真空計が挙げられる。A4は不活性ガス導入口を示し、必要に応じてガス導入バルブA5を介してN2、Ar、Ne、He等の不活性ガスが雰囲気ガスとして導入される。
基板保持手段Bは、基板保持部材B1と、温度測定手段B2と、温度制御機構B3とを有し、温度制御機構B3により温度制御が可能となっている。基板保持部材B1に保持された電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)は複数枚配置してもよく、基板保持部材B1のいかなる位置に配置することも可能となっている。基板保持部材B1としては、基板の平面性を保持し保持出来れば特に限定はなく、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等が挙げられる。
温度測定手段B2は基板保持部材B1に配置された電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)の温度を測定し、結果を制御手段Eにフィードバックする様になっている。フィードバックされた情報に従って、基板保持部材B1に熱媒体を循環させる温度制御機構B3を制御することで、基板上へ原料を堆積中に、基板の温度を一定に保持すること等が可能となっている。温度測定手段B2としては特に限定はなく、例えば熱電対、温度センサー等が挙げられる。
B4は基板保持部材B1を回転させる回転手段を示す。回転手段は特に限定はなく、例えば回転モーターでもよいし、プーリーを介してベルトであってもよい。本図は回転モーターの場合を示している。又、基板保持部材B1は回転させてもよいし、固定であってもよいが成膜均一性を考慮し、回転させることが好ましい。
マスク配置手段Cは、マスク配置部材C1と、温度測定手段C4と、温度制御機構C5とを有し、温度制御機構C5により温度制御が可能となっている。温度測定手段C4は基板保持部材B1に配置された温度測定手段B2と同じであることが好ましい。
C3はマスク配置部材C1に配置されたマスクを示す。マスク配置部材C1としては、マスクC3の平面性を保持し配置出来れば特に限定はなく、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等が挙げられる。マスク配置部材C1は基板保持部材B1に取り付けられている。
A6は電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201aへの原料(第2電極を構成する第1層形成用原料)の堆積を制御する原料堆積制御手段の遮蔽板を示す。遮蔽板A6はどのような形式でも構わないが、機能としては完全に閉じることで電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)への蒸気堆積を完全に防止出来る形式のものが好ましい。尚、本図に示す遮蔽板は開閉式であり、開閉を制御することが可能となっている。A7は遮蔽板A6の駆動手段を示す。
温度制御機構B3は、加熱・冷却が可能な媒体の温度制御手段(不図示)と、加熱・冷却が可能な媒体を基板保持手段Bの基板保持部材B1及びマスク配置手段Cのマスク配置部材C1へ循環させる循環手段(不図示)と、媒体の循環量の循環量制御手段(不図示)とを有している。温度制御機構B3により、基板保持部材B1、マスク配置部材C3へ所定温度に制御された媒体を循環させることで、基板保持部材B1に配置された電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)、及びマスク配置部材C1に配置されたマスクC3を所定温度とすることが可能となっている。
媒体としては、例えば、合成系有機熱媒体油等が挙げられる。媒体の温度制御手段としては、例えば、ヒーターとチラーの組合せ等が挙げられる。循環量制御手段としては、例えば、フローメーターとポンプの組合せ等が挙げられる。
原料蒸発手段Dは堆積膜形成領域の端辺の法線の外側に相当する蒸着室Aの下部に配設されており、加熱手段(不図示)を有する原料容器D1と、原料容器D1内の原料(第2電極の第1層形成用原料)D2の温度を測定するための原料温度測定手段D3と、原料容器D1の加熱用の電流供給部D4と、原料容器D1の開口部D5の開口率を制御する開口率制御手段の蓋D6とを有している。原料容器D1の形状は特に限定はなく、例えばライン型、スポット型等が挙げられ、基板201aの大きさにより配設する数は適宜選択することが可能ある。原料容器D1の加熱手段としては特に限定はなく、例えばスパッタ方式、抵抗加熱方式等が挙げられる。本図では抵抗加熱方式の場合を示している。蓋D6はどのような形でもよく、原料蒸発手段の口を全て覆う形状でなくてもよい。蓋D6は原料D2が設定した温度に達する迄は、安定した堆積膜面を得るために、制御可能な可動式の蓋とすることが好ましい。D7は蓋D6を移動させるための移動手段を示す。
原料温度測定手段D3の結果を制御手段Eにフィードバックし、予め制御手段Eに入力してある設定温度に対し、演算処理し設定温度を維持する様に制御することが好ましい。これらの制御と可動式の蓋D6の制御と組合せ、設定温度に達したのに合わせ蓋を開ける様な制御も可能である。
原料容器D1内の原料(第2電極の第1層形成用原料)D2は、金属又は金属化合物である。第1層用第2電極形成気相堆積装置207aを構成している各部、各手段の関係を図4の(b)に示す概略ブロック図により説明する。基板の温度測定手段B2より測定された基板保持手段Bに保持された電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201aの温度に関する情報は制御手段EのCPUに入力される。制御手段Eに入力された情報はメモリーに予め入力されている設定温度と演算処理を行い、基板保持手段Bに配設された、所定の温度に調整された熱媒体を循環させる温度制御機構B3を制御し、媒体の循環量と媒体の温度とを制御することが可能となっている。
マスクの温度測定手段C4により測定されたマスク配置部材C1に保持されたマスクC3の温度に関する情報は制御手段EのCPUに入力される。制御手段Eに入力された情報はメモリーに予め入力されている設定温度と演算処理を行い、マスク配置部材C1に配設された、所定の温度に調整された媒体を循環させる温度制御機構C5を制御し、熱媒体の循環量と料熱媒体の温度とを制御することが可能となっている。この時、温度制御機構C5による媒体の循環量と媒体の温度は、電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)の温度履歴に合わせマスクC3の温度を制御する方式となっている。
原料温度測定手段D3により測定された原料容器D1内の原料D2の結果を制御手段Eにフィードバックし、予め制御手段Eに入力してある設定温度に対し、演算処理し、原料容器D1に配設された加熱手段(不図示)の電流供給部D4の電流調整を行うことで原料D2の温度を一定に制御することが可能となっている。原料D2の温度を指定温度に保持することで、電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)に略一定温度の原料が気相堆積され安定した第2電極の第1層の形成が可能となる。
時間により換算された原料容器D1内の原料D2の量に関する情報は制御手段EのCPUに入力される。制御手段Eに入力された情報はメモリーに予め入力されている原料容器D1内の原料D2の量と演算処理を行い、移動手段(付図示)D7を稼働させ原料容器D1の蓋D6を移動させ開口率を変えることが可能となっている。例えば原料容器D1内の原料D2の量が100%の時は開口率を100%とし、原料容器D1内の原料D2の量が50%の時は50%とするようになっている。
原料D2の堆積速度を略一定に保持することで、電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)の電子注入層d(図3を参照)の上に一定の原料D2が気相堆積され安定した第2電極の第1層の形成が可能となる。
原料温度測定手段D3により測定された原料容器D1内の原料D2の温度に関する情報は制御手段EのCPUに入力される。制御手段Eに入力された情報はメモリーに予め入力されている原料堆積開始温度と演算処理を行い、駆動手段A7を稼働させ遮蔽板A6の開閉を行うことで、蒸着室内の原料D2の濃度が不安定な加熱初期の電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)への気相堆積防止が可能となっている。例えば予め入力されている原料堆積開始温度と原料温度測定手段D3により測定された原料容器D1内の原料D2の温度との差が−10〜+10℃になってから少なくとも30sec経過した後、遮蔽板を開き、20℃以上になったら閉じる様にすることが好ましい。
又、原料D2の温度測定結果を、電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)の温度制御機構B3及びマスクC3の温度制御機構C5にフィードバックして、電子注入層d(図3を参照)までが形成された基板201a(図3を参照)及びマスクC3の加熱開始のタイミングを決めるのに使用することも勿論可能である。
図5は図3に示される第2電極の第2層形成用の第2電極第2層形成用気相堆積装置の概略図である。
図中、207bは第2電極第2層形成用気相堆積装置を示す。
D′は原料蒸発手段を示す。原料蒸発手段D′は、加熱手段(不図示)を有する原料容器D′1と、原料容器D′1内の原料(第2電極の第2層形成用原料)D′2の温度を測定するための原料温度測定手段D′3と、原料容器D′1の加熱用の電流供給部D′4と、原料容器D′1の開口部D′5の開口率を制御する開口率制御手段の蓋D′6とを有している。D′7は蓋D′6を移動させるための移動手段を示す。他の符号は図4と同義である。原料蒸発手段D′の構成及び制御は図4に示す原料蒸発手段Dと同じである。原料容器D′1内の原料(第2電極の第2層形成用原料)D′2は金属、金属化合物又エレクトロルミネッセンス層を構成する有機化合物と同じ有機化合物とすることが好ましい。金属、金属化合物は第2電極の第1層形成用原料と同じ金属、金属化合物とすることが好ましい。
第2電極第2層形成用気相堆積装置207bは、原料蒸発手段D′の位置が図4に示す第2電極第1層形成用気相堆積装置207aと異なるだけで後は全て同じ構成であり、同じ制御方法であるため各部の説明は省略する。
原料蒸発手段D′の原料容器D′1の位置は図4に示す第2電極第1層形成用気相堆積装置207aの原料蒸発手段Dの原料容器D1位置と異なっていることが好ましい。原料容器D1と原料容器D′1との位置は図6で説明する。
図6は図4に示す原料蒸発手段と、図5に示す原料蒸発手段との位置関係を示す模式図である。
本図は、図3に示す電子注入層dが形成された枚葉基板201aの電子注入層dの上に、第1層と第2層とからなる第2電極を形成する時の第2電極第1層形成用気相堆積装置207aの原料容器D1と第2電極第2層形成用気相堆積装置207bの原料容器D′1の位置関係を示している。
本発明で、第2電極を少なくとも2回に分けて積層し形成する際、第2電極を形成する基板と、第2電極の材料の蒸着源との位置関係が積層する毎に異なるとは、本図に示す様に原料容器D1と原料容器D′1の位置関係を言う。
図中、Oは堆積膜形成領域の中心点を示す。θ1は原料容器D1の中心と堆積中心点Oとを結ぶ線と、原料容器D′1の中心と堆積中心点Oとを結ぶ線とのなす角度を示す。
角度θ1は、カバレッジ性(ピンホールの抑制)、堆積材料効率等を考慮し、1°〜120°であることが好ましい。
第2電極を少なくとも2回に分けて積層し形成する際、第1層を形成する原料容器D1と、第2層を形成する原料容器D′1との位置関係を本図に示すようにすることで次の効果が挙げられる。
1)成膜欠陥(ピンホール)の抑制がより向上し、各ダメージの伝搬がより抑制され、有機EL素子のダメージが軽減される。
図7は封止部材により密着封止した有機EL素子の製造工程の模式図である。本図で示す製造工程は封止部材に接着剤を配置する場合を示している。
図中、3は製造工程を示す。製造工程3は、封止部材301aの第1供給工程301と、有機EL素子302aの第2供給工程302と、接着剤の配置工程303と、封止部材301aと有機EL素子302aとを接着剤を介して貼合する貼合工程304と、回収工程305とを有している。尚、有機EL素子302aは、図3〜図6に示す気相堆積装置を使用した方法で製造されており、第2電極は、第1層が金属、金属化合物、第2層が金属、金属化合物又は有機化合物から形成された2層構造を有している。
第1供給工程301は有機EL素子302aの大きさに断裁された枚葉状態の封止部材301aの保管箱301bと、保管箱301bから封止部材301aを取り出す吸引板301c1を備えた供給ロボット301cを有している。供給ロボット301cは上下方向(図中の矢印A方向)の移動、水平方向(図中の矢印B方向)の移動及び回転(図中の矢印C方向)移動が可能となっている。
供給ロボット301cにより保管箱301bから取り出された封止部材301aは載置台307に載置される。載置台307は載置され封止部材301aを固定するため吸引手段(不図示)を有していることが好ましい。又、接着剤の配置工程303で封止部材301aに接着剤を配置する時の位置合わせのためX軸、Y軸方向への移動及び角度の変更が可能となっている。封止部材301aは載置台307に載置され固定した後、移動手段により接着剤の配置工程303に送られる。尚、載置台307は第1供給工程301から貼合工程304を移動手段(不図示)によりガイドレール308に沿って順次移動可能となっている。載置台307は移動手段により各工程に移動する時、各工程には載置台307に付けられたアライメントマーク(不図示)を検出する検出装置(不図示)が設けられており、検出装置(不図示)の情報に従って本体内の規定された位置に停止するように制御されている。検出装置(不図示)の種類としては特に限定はなく、例えばCCDカメラによる画像認識手段等が挙げられる。
配置工程303は接着剤の配置装置303aを有している。配置装置303aとしては、使用する接着剤が溶融タイプと、シート状タイプの場合があるため接着剤の種類に応じて対応することが可能である。例えば接着剤が溶融タイプの場合、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型シール剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等のシール剤、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(二液混合)等のシール剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂シール剤等が挙げられる。これらの中で、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂シール剤が、生産効率、膜厚安定性を考慮し、スクリーン印刷で塗設することが好ましい。
シート状タイプの場合、シート状のシール剤と、熱可塑性樹脂とが挙げられる。シート状のシール剤としては、常温(25℃程度)では非流動性を示し、且つ、加熱すると50℃〜100℃の範囲で流動性を発現し、シート状に成形されたシール剤を言う。使用するシール剤としては、例えば分子の末端又は側鎖にエチレン性二重結合を有する化合物と、光重合開始剤とを主成分とする光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、JIS K 7210規定のメルトフローレートが5〜20g/10minである熱可塑性樹脂が好ましく、更に好ましくは、6〜15g/10min以下の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂は、上記数値を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば機能性包装材料の新展開株式会社東レリサーチセンター記載の高分子フィルムである低密度ポリエチレン(LDPE)、HDPE、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、OPP、ONy、PET、セロハン、ポリビニルアルコール(PVA)、延伸ビニロン(OV)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン(PVDC)等の使用が可能である。これらの熱可塑性樹脂の中で特にLDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、又、LDPE、LLDPEとHDPEフィルムの混合使用した熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。配置方法は一般的に知られている各種の方法、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法を利用することが可能である
配置する接着剤の厚さは、溶融タイプ、シート状タイプ共に硬化反応時間、有機層への影響、端部からの水分浸透等を考慮し、5〜100μmが好ましい。
封止部材に接着剤を配置した後、載置台に載置した状態で洗浄工程306cに移動手段(不図示)により貼合工程304へ移動する。
第2供給工程302は有機EL素子302aの棚式保管箱302bと、棚式保管箱302bから有機EL素子302aを取り出す2本の取り出しアーム302c1を備えた供給ロボット302cを有している。取り出しアーム302c1cは棚式保管箱302bに保管保管されている有機EL素子302aの両端を保持するために水平方向(図中の矢印D方向)の移動及び保持した状態で載置台309に有機EL素子202aを載置するため及び棚式保管箱302bの上段から下段に納められている有機EL素子302aを取り出すために上下方向(図中の矢印E方向)への移動が可能となっている。供給ロボット302cにより棚式保管箱302bから取り出された有機EL素子302aは載置台309に載置され移動手段により貼合工程304に送られる。棚式保管箱302bに保管されている有機EL素子302aは表面(封止材を貼合する面)が下向きの状態となっている。載置台309は有機EL素子302aの4端辺を保持し、中央部分は有機EL素子302aの表面(第2電極の表面)を接触によるダメージから避けるため空洞となっている。
貼合工程304は供給ロボット304aと、貼合装置304bと、硬化処理装置304cとを有している。供給ロボット304aは、供給ロボット302cと同じ機構、機能を有しており、上下方向(図中の矢印F方向)の移動、水平方向(図中の矢印G方向)の移動及び回転(図中の矢印H方向)移動が可能となっている。貼合工程304では、載置台307の上に載置されている封止部材301aの接着剤301a1面へ、供給ロボット304aにより、載置台309に載置した有機EL素子302aの第2電極側を重ね合わせ、この後、貼合装置304bで圧着し、硬化処理装置304cで処理することで封止部材301aによる有機EL素子302aの密着封止が終了し、有機ELパネルが製造される。密着封止が終了した後、回収工程305で回収される。尚、貼合装置304bによる貼合時の面圧は、可撓性封止部材の貼合性、有機EL素子のダメージ等を考慮し、0.5×104Pa〜9.8×104Paが好ましい。貼合装置304bによる貼合は、気泡の混入を考慮し、1Pa〜30kPaの減圧環境下で行うことが好ましい。
硬化処理装置304cは使用する接着剤の種類に応じて変更することが可能である。例えば、接着剤が熱硬化型の場合は加熱装置を有した硬化処理装置となり、又、紫外線硬化型の場合は紫外線照射装置を有した硬化処理装置となる。選定する接着剤の硬化時間とタクトにより、硬化処理装置304cは仮硬化装置及び本硬化装置としての使い分けが可能である。尚、本図では貼合装置304bと硬化処理装置304cとを分離した場合を示しているが、貼合装置304bに硬化処理装置304cの機能を持たせることも可能である。以上の硬化処理装置304cによる硬化処理までは、有機EL素子の劣化による寿命低減の観点より、水分濃度、酸素濃度が低いことが重要であり、好ましくは水分濃度10ppm以下、酸素濃度10ppm以下の環境下で行うことが好ましい。
図8は封止部材により密着封止した有機EL素子の他の製造工程の模式図である。本図で示す製造工程は有機EL素子に接着剤を配置する場合を示している。
図中、4は製造工程を示す。製造工程4は、有機EL素子401aの第2供給工程401と、封止部材402aの第1供給工程402と、接着剤の配置工程403と、有機EL素子401aと封止部材402aとを接着剤を介して貼合する貼合工程404と、回収工程405とを有している。尚、有機EL素子401aは、図3〜図6に示す気相堆積装置を使用した方法で製造されており、第2電極は、第1層が金属、金属化合物、第2層が金属、金属化合物又は有機化合物形成された2層構造を有している。
第2供給工程401は有機EL素子401aの棚式保管箱401bと、棚式保管箱401bから有機EL素子401aを取り出す2本の取り出しアーム401c1を備えた供給ロボット401cを有している。取り出しアーム401c1cは棚式保管箱401bに保管保管されている有機EL素子401aの両端を保持するために水平方向(図中の矢印I方向)の移動及び保持した状態で載置台407に有機EL素子401aを載置するため及び棚式保管箱401bの上段から下段に納められている有機EL素子401aを取り出すために上下方向(図中の矢印J方向)への移動が可能となっている。供給ロボット401cにより棚式保管箱401bから取り出された有機EL素子401aは載置台407に表面(第2電極の表面)が上向きの状態で載置され固定した後、移動手段(不図示)により移動用のガイドレール408に沿って移動手段により接着剤の配置工程403に送られる。棚式保管箱401bに保管されている有機EL素子401aは表面(第2電極の表面)が上向きの状態となっている。載置台407は図7に示す載置台307と同じ機構、機能を有しているので説明は省略する。
配置工程403は接着剤の配置装置403aを有している。配置装置403aとしては図7に示す配置装置303aと同じものであり、使用する接着剤も同じである。有機EL素子401aに接着剤を配置した後、載置台に載置した状態で移動手段(不図示)により移動用のガイドレール408に沿って貼合工程404へ移動する。
第1供給工程402は有機EL素子401aの大きさに断裁された枚葉状態の封止部材402aの保管箱402bと、保管箱402bから封止部材402aを取り出す吸引板402c1を備えた供給ロボット402cを有している。供給ロボット402cは図7に示す供給ロボット301cと同じ機構、機能を有している。供給ロボット402cにより保管箱402bから取り出された封止部材402aは載置台409に載置され移動手段により貼合工程404に送られる。載置台409は図7に示す載置台307と同じ構造を有していることが好ましい。
貼合工程404は供給ロボット404aと、貼合装置404bと、硬化処理装置404cとを有している。供給ロボット404aは図3に示す供給ロボット304aと同じ機構、機能を有している。貼合工程404では、載置台407の上に載置されている有機EL素子401aの接着剤面401a1面へ、供給ロボット404aにより、載置台409に載置した封止部材402aを重ね合わせ、この後、貼合装置404bで圧着し、硬化処理装置404cで処理することで封止部材402aによる有機EL素子401aの密着封止が終了し、有機ELパネルが製造される。密着封止が終了した後、回収工程405で回収される。尚、貼合装置404bによる貼合時の面圧は、可撓性封止部材の貼合性、有機EL素子のダメージ等を考慮し、0.5×104Pa〜9.8×104Paが好ましい。貼合装置304bによる貼合は、気泡の混入を考慮し、1Pa〜30kPaの減圧環境下で行うことが好ましい。
硬化処理装置404cは使用する接着剤の種類に応じて変更することが可能である。例えば、接着剤が熱硬化型の場合は加熱装置を有した硬化処理装置となり、又、紫外線硬化型の場合は紫外線照射装置を有した硬化処理装置となる。選定する接着剤の硬化時間とタクトにより、硬化処理装置404cは仮硬化装置及び本硬化装置としての使い分けが可能である。尚、本図では貼合装置404bと硬化処理装置404cとを分離した場合を示しているが、貼合装置404bに硬化処理装置404cの機能を持たせることも可能である。以上の硬化処理装置404cによる硬化処理までは、有機EL素子の劣化による寿命低減の観点より、水分濃度、酸素濃度が低いことが重要であり、好ましくは水分濃度10ppm以下、酸素濃度10ppm以下の環境下で行うことが好ましい。
図7、図8に示す製造装置を使用し、図3〜図6に示す方法により、少なくとも2層の多層構成の第2電極を有する有機EL素子を接着剤を介して封止部材で密着封止することで次の効果が挙げられる。
1)接着剤の硬化収縮による残留応力の伝搬が、第2電極を構成する第1層と第2層との間の界面により抑制され、発光素子のダメージが軽減される。
2)封止部材の貼合圧着応力の伝搬が、第2電極を構成する第1層と第2層との間の界面により抑制され、発光素子のダメージが軽減される。
3)第2電極を多数回に分けて成膜することで、成膜欠陥(ピンホール)の抑制が可能となる。
4)成膜欠陥(ピンホール)が抑制されることから、接着剤の硬化時に発生するアウトガスの侵入が抑制され、発光素子のダメージが軽減される。
5)接着剤の硬化時に発生するアウトガス等による陰極の化学的腐食(腐食の伝搬)が、第2電極を構成する第1層と第2層との間の界面により抑制され、発光素子のダメージが軽減される。
6)応力緩和層や接着剤層等の新たな機能層を設置することなく、発光素子へのダメージが抑制可能であり、工程の簡素化及び小型化が図れる。
7)生産効率が向上する。
以下、本発明に係る有機EL素子を構成している基板、ガスバリア層、第1電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、封止層等を形成している材料に付き説明する。
本発明に係わる基板としては、枚葉基板、帯状可撓性基板が挙げられる。枚葉基板としては、透明ガラス板、金属シート、シート状透明樹脂フィルムが挙げられる。透明ガラス板としては封止部材と同じガラスの使用が可能である。金属シートとしては、封止部材と同じ金属シートの使用が可能である。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。帯状可撓性基板としては、透明樹脂フィルムが挙げられ、枚葉基板と同じ樹脂フィルムが使用可能である。
基板として透明樹脂フィルムを使用する場合、樹脂フィルムの表面にはガスバリア膜が必要に応じて形成されることが好ましい。ガスバリア膜としては無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。ガスバリア膜の特性としては、水蒸気透過度が0.01g/m2・day・atm以下であることが好ましい。更には、酸素透過度10-3ml/m2/day以下、水蒸気透過度10-5g/m2/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
ガスバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることが出来る。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。ガスバリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることが出来るが、特開2004−68143号に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
第1電極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。この様な電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。又、IDIXO(In23・ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、又陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
第1電極と発光層又は正孔輸送層の間、正孔注入層(陽極バッファー層)を存在させてもよい。正孔注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123−166頁)に詳細に記載されている。陽極バッファー層(正孔注入層)に使用する材料の一例としては、特開2000−160328号公報に記載されている材料が挙げられる。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることが出来る。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することが出来るが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。又、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することが出来る。
又、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂p型正孔輸送材料を用いることも出来る。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。又、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号、特開2000−196140号、特開2001−102175号、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の有機EL素子を作製することが出来るため好ましい。
本発明に係わる、発光層とは青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を指す。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、又各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。本発明に係わる発光層においては、少なくとも1つの青発光層が、全発光層中最も陽極に近い位置に設けられていることが好ましい。又、発光層を4層以上設ける場合には、陽極に近い順から、例えば青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層/赤色発光層のように青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を順に積層することが、輝度安定性を高める上で好ましい。発光層を多層にすることで白色素子の作製が可能である。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性、発光に必要な電圧等を考慮し、通常2nm〜5μm、好ましくは2〜200nmの範囲で選ばれる。更に10〜20nmの範囲にあるのが好ましい。膜厚を20nm以下にすると電圧面のみならず、駆動電流に対する発光色の安定性が向上する効果があり好ましい。個々の発光層の膜厚は、好ましくは2〜100nmの範囲で選ばれ、2〜20nmの範囲にあるのが更に好ましい。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はないが、3発光層中、青発光層(複数層ある場合はその総和)が最も厚いことが好ましい。
発光層は発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲にある発光スペクトルの異なる少なくとも3層以上の層を含む。3層以上であれば、特に制限はない。4層より多い場合には、同一の発光スペクトルを有する層が複数層あってもよい。発光極大波長が430〜480nmにある層を青発光層、510〜550nmにある層を緑発光層、600〜640nmの範囲にある層を赤発光層と言う。又、前記の極大波長を維持する範囲において、各発光層には複数の発光性化合物を混合してもよい。例えば、青発光層に、極大波長430〜480nmの青発光性化合物と、同510〜550nmの緑発光性化合物を混合して用いてもよい。
発光層の材料として使用する有機発光材料は、(a)電荷の注入機能、すなわち、電界印加時に陽極或いは正孔注入層から正孔を注入することが出来、陰極或いは電子注入層から電子を注入することが出来る機能、(b)輸送機能、すなわち、注入された正孔及び電子を電界の力で移動させる機能、及び(c)発光機能、すなわち、電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光に繋げる機能、の3つの機能を併せもつものであれば特に限定はない。例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物を用いることが出来る。上記の蛍光増白剤の具体例としては、ベンゾオキサゾール系では、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4’−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾオリル]スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−α,α−ジメチルベンジル−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等が挙げられる。ベンゾチアゾール系では、2,2’−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等が挙げられ、ベンゾイミダゾール系では、2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等が挙げられる。更に、他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971),第628〜637頁及び第640頁に列挙されている。
又、上記のスチリルベンゼン系化合物の具体例としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等が挙げられる。
更に、上述した蛍光増白剤及びスチリルベンゼン系化合物以外にも、例えば、12−フタロペリノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物、国際公開公報WO90/13148やAppl.Phys.Lett.,vol 58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物、芳香族ジメチリディン系化合物が挙げられる。芳香族ジメチリディン系化合物の具体例としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4’−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、及びこれらの誘導体が挙げられる。又、上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
その他、上述した有機発光材料をホストとし、当該ホストに青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系或いは前記ホストと同様の蛍光色素をドープした化合物も、有機発光材料として好適である。有機発光材料として前記の化合物を用いた場合には、青色から緑色の発光(発光色はドーパントの種類によって異なる)を高効率で得ることが出来る。前記化合物の材料であるホストの具体例としては、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料(特に好ましくは、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)が挙げられ、前記化合物の材料であるドーパントの具体例としては、ジフェニルアミノビニルアリレーン(特に好ましくは、例えば、N,N−ジフェニルアミノビフェニルベンゼンや4,4’−ビス[2−[4−(N,N−ジ−p−トリル)フェニル]ビニル]ビフェニル)が挙げられる。
発光層には、発光層の発光効率を高くするために公知のホスト化合物と公知のリン光性化合物(リン光発光性化合物とも言う)を含有することが好ましい。ホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。ホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することが出来る。又、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることが出来る。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用も出来る。
これらのホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、尚且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等に記載の化合物が挙げられる。
複数の発光層を有する場合、これら各層のホスト化合物の50質量%以上が同一の化合物であることが、有機層全体に渡って均質な膜性状を得やすいことから好ましく、更にはホスト化合物のリン光発光エネルギーが2.9eV以上であることが、ドーパントからのエネルギー移動を効率的に抑制し、高輝度を得る上で有利となることからより好ましい。リン光発光エネルギーとは、ホスト化合物を基板上に100nmの蒸着膜のフォトルミネッセンスを測定し、そのリン光発光の0−0バンドのピークエネルギーを言う。
ホスト化合物は、有機EL素子の経時での劣化(輝度低下、膜性状の劣化)、光源としての市場ニーズ等を考慮し、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。すなわち、輝度と耐久性の両方を満足するためには、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。Tgは、更に好ましくは100℃以上である。
リン光性化合物(リン光発光性化合物)とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。先に説明したホスト化合物と合わせ使用することで、より発光効率の高い有機EL素子とすることが出来る。
本発明に係るリン光性化合物は、リン光量子収率は好ましくは0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定出来る。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定出来るが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
リン光性化合物の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上出来ャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、何れの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることが出来る。リン光性化合物としては、好ましくは元素の周期表で8族−10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることが出来る。
本発明に係わる有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当て嵌めた時の色で決定される。
本発明で言うところの白色素子とは、2℃視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931 表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.07の領域内にあることを言う。
電子注入層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。電子注入層(陰極バッファー層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
他に発光層側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることが出来、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来る。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。
又、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることが出来る。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることが出来る。又、ジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来るし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることが出来る。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
又、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することが出来るため好ましい。
第2電極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することが出来る。又、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の第1電極(陽極)又は第2電極(陰極)の何れか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
又、第2電極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、第1電極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の第2電極(陰極)を作製することが出来、これを応用することで第1電極(陽極)と第2電極(陰極)の両方が透
過性を有する素子を作製することが出来る。
本発明に係わる有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
又、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
本発明に係わる有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために以下に示す方法を併用することが好ましい。有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光の内15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことが出来ないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435)。基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)。素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)。基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)。基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)。基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。又、更に1.35以下であることが好ましい。低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。全反射を起こす界面もしくは何れかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることが出来る性質を利用して、発光層から発生した光の内、層間での全反射等により外に出ることが出来ない光を、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。この時、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
更に、本発明に係わる有機EL素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために、基板の光取り出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、或いは、所謂集光シートと組合せることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることが出来る。マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大き過ぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。この様なシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることが出来る。プリズムシートの形状としては、例えば基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。又、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることが出来る。
本発明に係わる封止部材に可撓性封止部材を使用する場合は、樹脂層とガスバリア層とを有する多層構成の可撓性封止部材が好ましい。ガスバリア層の特性としては、水蒸気透過度は、有機層の結晶化、第2電極の剥離等によりダークスポットの発生、及び有機EL素子の長寿命化等を考慮し、0.01g/m2・day以下であることが好ましい。水蒸気透過度はJIS K7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値を示す。
酸素透過度は、有機層の結晶化、第2電極の剥離等によりダークスポットの発生、及び有機ELス素子の長寿命化等を考慮し、0.01ml/m2・day・atm以下であることが好ましい。酸素透過度はJIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値である。
使用する可撓性封止部材の厚さは、製造時の取扱い性、引っ張り強さやガスバリア層の耐ストレスクラッキング性等を考慮し、10〜300μmが好ましい。厚さは、マイクロメータを使用し、縦方向、幅方向で各10箇所を測定した平均値を示す。
可撓性封止部材の封止時のASTM D570に準じて測定した水分量は、可撓性封止部材の持ち込み水分により有機層の結晶化、第2電極の剥離等によりダークスポットの発生、及び有機EL素子の長寿命化等を考慮し、1.0%以下が好ましい。
本発明に係わる可撓性封止部材を構成している樹脂基材108aとしては特に限定はなく、例えばエチレンテトラフルオロエチル共重合体(ETFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、延伸ポリプロピレン(0PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、延伸ナイロン(ONy)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルスチレン(PES)など一般の包装用フィルムに使用されている熱可塑性樹脂フィルム材料を使用することが出来る。又、これら熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて異種フィルムと共押出しで作った多層フィルム、延伸角度を変えて貼り合せて作った多層フィルム等も当然使用出来る。更に必要とする物性を得るために使用するフィルムの密度、分子量分布を組合せて作ることも当然可能である。
防湿層としては、無機蒸着膜、金属箔が挙げられる。無機蒸着膜としては薄膜ハンドブックp879〜p901(日本学術振興会)、真空技術ハンドブックp502〜p509、p612、p810(日刊工業新聞社)、真空ハンドブック増訂版p132〜p134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き無機膜が挙げられる。例えば、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2、Cr23、Sixy(x=1、y=1.5〜2.0)、Ta23、ZrN、SiC、TiC、PSG、Si34、SiN、単結晶Si、アモルファスSi、W、等が用いられる。
又、金属箔の材料としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金などの合金材料を用いることが出来るが、加工性やコストの面でアルミニウムが好ましい。膜厚は、1〜100μm程度、好ましくは10μm〜50μm程度が望ましい。
使用するガラス板の厚さは、製造時の取扱い性及びパネルの薄板化等を考慮し、0.1mm〜2.0mmが好ましい。厚さは、マイクロメータを使用し、縦方向、幅方向で各10箇所を測定した平均値を示す。ガラスとしては特に限定はなく、例えば珪酸塩ガラス、珪酸アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、バリウムガラス、硼珪酸ガラス、燐酸塩ガラス等が挙げられる。
使用する金属シートの厚さは、製造時の取扱い性及びパネルの薄板化等を考慮し、20μm〜2mmが好ましい。厚さは、マイクロメータを使用し、縦方向、幅方向で各10箇所を測定した平均値を示す。金属としては特に限定はなく、例えばアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金などの合金材料等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明の具体的な効果を示すが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
実施例1
〈有機EL素子の作製〉
図3に示す製造装置により、基板上に第1電極と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、第2電極とをこの順番で形成した一つのドットの大きさが2mm×2mmで、7ドット×10ドットの合計70ドット(発光領域)で構成される有機EL素子を以下に示す方法で準備した。
(基板の準備)
基板として厚さ1.1mm、幅40mm、長さ60mmのソーダ石灰ガラスを準備した。尚、ソーダ石灰ガラスの全面には、酸やアルカリから保護するためのシリカコートしたものを使用した。
(第1電極の形成)
準備したガラス基板を波長184.2nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm2で、距離12mmで照射し洗浄を行った。この後、気相堆積装置を使用し、5×10-4Paの真空下にてインジウムチンオキシド(ITO)を使用し、準備したガラス基板の堆積膜形成領域(第1電極形成領域)に第1電極形成気相堆積装置を使用して、幅2mm、長さ58mm、間隔2mm、厚さ150nm、7列のパターン化した第1電極を形成した。
(正孔輸送層の形成)
第1電極が形成されたガラス基板を使用し、ガラス基板上に形成された第1電極の外部取り出し電極形成用の端部を除き第1電極の上に、正孔輸送層形成用材料としてN,N′−ジフェニル−N,N′−m−トリル4,4′−ジアミノ−1,1′−ビフェニル(以下、TPD)を使用し、5×10-4Paの真空下にて正孔輸送層形成気相堆積装置で蒸着(気相堆積)し正孔輸送層を形成した。尚、正孔輸送層の厚さは50nmとした。
(発光層の形成)
正孔輸送層が形成されたガラス基板を使用し、正孔輸送層の上に発光層形成用材料としてAlq3を使用し、5×10-4Paの真空下にて発光層形成気相堆積装置で蒸着し発光層を形成した。尚、発光層の厚さは50nmとした。
(電子注入層の形成)
発光層が形成されたガラス基板を使用し、発光層を含め正孔輸送層が形成された領域に、電子注入層形成用材料としてLiFを使用し、5×10-4Paの真空下にて電子注入層形成気相堆積装置でLiFを蒸着し電子注入層を形成した。尚、電子注入層の厚さは0.5nmとした。
(第2電極の形成)
電子注入層が形成されたガラス基板を使用し、表1に示す様に電子注入層の上に多層から構成される第2電極を第2電極形成気相堆積装置で5×10-4Paの真空下にて堆積形成し有機EL素子No.1−1〜1−13とした。尚、形成した第2電極は、幅2mm、長さ38mm、間隔2mm、厚さ150nm、10列のパターンとした。
Figure 0005286637
各有機EL素子No.1−1〜1−13の第2電極に使用した材料を表2に示す。
Figure 0005286637
各有機EL素子No.1−1〜1−13の第2電極の各層の堆積速度及び堆積速度の変化量、気相堆積装置内の原料容器の位置関係を表3に示す。尚、堆積速度の変化量は下層の速度に対しての変化割合(%)を示す。
Figure 0005286637
(可撓性封止部材の準備)
PET120μm/SiO30nm/SiN100nmの構成を有する可撓性封止部材を準備した。準備した可撓性封止部材のJIS K7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した水蒸気透過度は0.01g/m2・dayであった。JIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した酸素透過度は0.01ml/m2・day・atmであった。
〈可撓性封止部材による有機EL素子の密着封止〉
(可撓性封止部材への接着剤の配置)
図7に示す製造工程を使用し、紫外線硬化型の液状シール剤(ThreeBond3124C(株)スリーボンド製)を使用し、接着剤配置装置でスクリーン印刷法にて厚さ50μmで配置した。
〈有機EL素子との貼合〉
準備した各有機EL素子No.1−1〜1−13を、図3に示す製造装置の貼合工程で、準備した可撓性封止部材とを貼合し、1×10-2Paの減圧環境下で押圧力0.1MPaで圧着し、可撓性封止部材側より主波長365nmの紫外線を照射(100mW/cm2で90sec)により硬化処理し密着封止した有機ELパネルを作製し、試料No.101〜113とした。
(評価)
作製した各試料No.101〜113に付き、ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生割合を以下に示す試験方法により試験し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表4に示す。
ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生割合の試験方法
定電圧電源を用いて、有機ELパネルの1ドットに直流5Vを印加し、ダークスポットの有無をルーペ(倍率8倍)を用い目視にて観察した。70ドット(発光領域)全てにおいて測定を行い、ダークスポットの発生したドットの数からダークスポットの発生割合を算出した。
ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生割合の評価ランク
◎:発生率0%(ダークスポットの発生が全くない。)
○:発生率1%以上5%未満
△:発生率5%以上10%未満
×:発生率10%以上
Figure 0005286637
本発明の有効性が確認された。
実施例2
〈可撓性封止部材による有機EL素子の密着封止〉
図3に示す製造装置で、実施例1で作製した有機EL素子No.1−2と同じ材料を使用し電子注入層までを形成した後、第2電極の第1層と第2層とを形成する時図4に示す第1層用第2電極形成気相堆積装置の原料容器の位置と、図5に示す第2層用第2電極形成気相堆積装置の原料容器の位置との関係を表5に示す様に変えて有機EL素子を作製した。この後、実施例1と同じ可撓性封止部材を使用し、実施例1と同じ接着剤を同じ条件で配置した後、同じ条件で作製した各有機EL素子と貼合し、密着封止した有機ELパネルを作成し、試料No.201〜205とした。
尚、第1層用原料容器と第2層用原料容器の位置関係とは、第1層用原料容器の中心と堆積中心点とを結ぶ線と、第2原料容器の中心と堆積中心点とを結ぶ線とのなす角度を示す。
第1層の厚さは0.15μm、第2層の厚さは0.15μmとした。第1層の堆積時の真空度は5×10-4Pa、堆積速度は0.2nm/secとした。第2層の堆積時の真空度は5×10-4Pa、堆積速度は0.2nm/secとし、第1層の堆積時速度に対する堆積速度の変化量は0%とした。
(評価)
作製した各試料No.201〜205に付き、ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生割合を実施例1と同じ試験方法により試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。
Figure 0005286637
試料No.205は、ダークスポット発生割合の評価ランクではよい結果を示したが、他の試料No.201〜204に比べ成膜に使用する材料の量が増加(堆積材料効率が低くなる傾向)する傾向が認められた。本発明の有効性が確認された。
実施例3
〈可撓性封止部材による有機EL素子の密着封止〉
図3に示す製造装置で、実施例1で作製した有機EL素子No.1−2と同じ材料を使用し電子注入層までを形成した後、第2電極の第1層と第2層とを形成する時、図4に示す第1層用第2電極形成気相堆積装置による第1層の堆積速度に対して、図5に示す第2層用第2電極形成気相堆積装置による第2層の堆積速度を表6に示す様に変えて有機EL素子を作製した。この後、実施例1と同じ可撓性封止部材を使用し、実施例1と同じ接着剤を同じ条件で配置した後、同じ条件で作製した各有機EL素子と貼合し、密着封止した有機EL素子を作成し、試料No.301〜308とした。
尚、第1層用第2電極形成気相堆積装置の原料容器の位置と第1層用第2電極形成気相堆積装置の原料容器の位置は共に、堆積領域中心点の法線上(中心位置)とし、第1層用原料容器と第2層用原料容器の位置関係は0°とした。第1層の厚さは0.15μm、第2層の厚さは0.15μmとした。
(評価)
作製した各試料No.301〜308に付き、ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生割合を実施例1と同じ試験方法により試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表6に示す。
Figure 0005286637
試料No.308は、ダークスポット発生割合の評価ランクではよい結果を示したが、第2電極堆積時における有機EL素子の温度上昇により発光輝度の低下する傾向が認められた。本発明の有効性が確認された。
実施例4
〈可撓性封止部材による有機EL素子の密着封止〉
図3に示す製造装置で、実施例1で作製した有機EL素子No.1−2と同じ材料を使用し電子注入層までを形成した後、第2電極の第1層と第2層とを形成する時第1層と第2層との厚さを表7に示す様に変えて有機EL素子を作製した。この後、実施例1と同じ可撓性封止部材を使用し、実施例1と同じ接着剤を同じ条件で配置した後、同じ条件で作製した各有機EL素子と貼合し、密着封止した有機EL素子を作製し、試料No.401〜414とした。
尚、第1層用第2電極形成気相堆積装置の原料容器の位置と第1層用第2電極形成気相堆積装置の原料容器の位置は共に、堆積領域中心点の法線上(中心位置)とし、第1層用原料容器と第2層用原料容器の位置関係は0°とした。
第1層及び第2層の堆積時の真空度は5×10-4Pa、堆積速度は0.2nm/secとし、堆積速度の変化量は0%とした。
(評価)
作製した各試料No.401〜414に付き、ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生割合を実施例1と同じ試験方法により試験し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表7に示す。
Figure 0005286637
本発明の有効性が確認された。
有機EL素子の層構成の一例を示す概略断面図である。 図1のTで示される部分の拡大概略断面図である。 枚葉基板を使用した有機EL素子の製造方法の模式図である。 図3に示される第2電極の第1層形成用の第2電極第1層形成用気相堆積装置の概略図である。 図3に示される第2電極の第2層形成用の第2電極第2層形成用気相堆積装置の概略図である。 図4に示す原料蒸発手段と、図5に示す原料蒸発手段との位置関係を示す模式図である。 封止部材により密着封止した有機EL素子の製造工程の模式図である。 封止部材により密着封止した有機EL素子の他の製造工程の模式図である。
符号の説明
1 有機ELパネル
101 基板
102 第1電極
103 正孔輸送層(正孔注入層)
104 有機化合物層(発光層)
105 電子注入層
106 第2電極
106a 第1層
106b 第2層
107 接着剤層
108、301a 封止部材
2 製造装置
207a 第1層用第2電極形成気相堆積装置
207b 第2層用第2電極形成気相堆積装置
D1、D′1 原料容器
D2 第1層形成用原料
D′2 第2層形成用原料
3、4 製造工程
301、402 第1供給工程
302、401 第2供給工程
302a、401a 有機EL素子
303、403 配置工程
304、404 貼合工程
305、405 回収工程

Claims (22)

  1. 基板の上に第1電極と、前記第1電極の上に形成された発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層と、前記有機化合物層の上に第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を、接着剤層を介して封止部材により封止する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
    前記第2電極が2層構成を有し、かつ、前記第2電極のうち、前記有機化合物層に接する層は金属又は金属化合物を含む層であり、もう1層は有機化合物材料のみからなる層であり、
    前記第2電極を、少なくとも2回に分けて積層し形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  2. 前記金属又は金属化合物を含む層が、金属又は金属化合物からなる層であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  3. 前記有機化合物材料は、前記有機化合物層を形成する材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  4. 前記第2電極の形成が気相堆積法であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  5. 前記第2電極を少なくとも2回に分けて積層し形成する際、該第2電極を形成する基板と、該第2電極の材料の蒸着源との位置関係が積層する毎に異なることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  6. 前記第2電極を少なくとも2回に分けて積層し形成する際、各層の堆積速度を(下層の堆積速度に対して)変化させることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  7. 前記第2電極の総厚が100nm以上、2μm以下であり、且つ第2電極を形成している各層の厚さが10nm以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  8. 前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、樹脂基材と、ガスバリア層とを有した可撓性部材であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  9. 前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、ガラス板であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  10. 前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、金属シートであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  11. 前記接着剤層が前記封止部材に設けられていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  12. 前記接着剤層が前記有機エレクトロルミネッセンス素子の発光部と、該発光部の周面に設けられていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  13. 基板の上に第1電極と、前記第1電極の上に形成された発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層と、前記有機化合物層の上に第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子を、接着剤層を介して封止部材により封止された有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、
    前記第2電極が2層構成を有し、かつ、前記第2電極のうち、前記有機化合物層に接する層は金属又は金属化合物を含む層であり、もう1層は有機化合物材料のみからなる層であり、前記第2電極が、少なくとも2回に分けて積層し形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネル。
  14. 前記金属又は金属化合物を含む層が、金属又は金属化合物からなる層であることを特徴とする請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
  15. 前記有機化合物材料は、前記有機化合物層を形成する材料であることを特徴とする請求項13または14に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
  16. 前記第2電極が気相堆積法で形成されていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
  17. 前記第2電極の総厚が100nm以上、2μm以下であり、且つ第2電極を形成している各層の厚さが10nm以上であることを特徴とする請求項13〜16の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
  18. 前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、樹脂基材と、ガスバリア層とを有した可撓性部材であることを特徴とする請求項13〜17の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
  19. 前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、ガラス板であることを特徴とする請求項13〜17の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
  20. 前記基板と前記封止部材又はどちらか一方が、金属シートであることを特徴とする請求項13〜17の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
  21. 前記接着剤層が前記封止部材に設けられていることを特徴とする請求項13〜20の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
  22. 前記接着剤層が前記有機エレクトロルミネッセンス素子の発光部と、該発光部の周面に設けられていることを特徴とする請求項13〜21の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
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