JP4562105B2 - 複素ディジタル変調器、変調された複素キャリアを発生する方法、およびアナログ信号を取り出す装置 - Google Patents

複素ディジタル変調器、変調された複素キャリアを発生する方法、およびアナログ信号を取り出す装置 Download PDF

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  • Compression Or Coding Systems Of Tv Signals (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、継続する(ongoing)ディジタル・サンプルのストリームを処理するための種々のアプローチ(方法)に関する。それらのアプローチは、一緒に用いたときに、テレビジョン受信機用の、特に、圧縮型ディジタル・テレビジョン受信機またはセットトップ・ボックス用の63MHz(チャンネル3)、69MHz(チャンネル4)または5.38MHzIF(ベースバンド)の何れかに中心周波数が選択的に設定された6MHz帯域幅の入力信号を取り出す残留側波帯(VSB:Vestigial Sideband)ディジタル変調器に使用するのに適したものである。
【0002】
【従来の技術】
Hauge氏他の文献“ATSC Re−modulator System(ATSC再変調システム)”、IEEE Transactions on Consumer Electronics、Vol.44、No.3、August、1998を参考文献として挙げる。この文献には、種々のディジタル製品(例えば、地上波ディジタル放送、衛星、ディジタル・ケーブル・セットトップ・ボックス、ケーブル・モデム、DVD、DVCR、PC、等)とディジタル・テレビジョン(TV)受像機の間を相互接続するためのVSBディジタル再変調器の実装構成(インプレメンテーション)が記載されている。このようなVSBディジタル再変調器は、VCRおよびビデオ・ゲームにおいて見られる現在のアナログ再変調器と同等のディジタル再変調器である。
【0003】
チャンネル3、チャンネル4またはベースバンド信号を選択的に取り出すことができるVSBディジタル再変調器の集積回路(IC)の実装構成を、より簡単に、従ってより安価に行うアプローチ(方法)に対するニーズ(要望)が存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、キャリア(搬送波)のディジタル表現されたものを、ソース(信号源)からのディジタル化サンプルのストリームで変調して、例えば63MHz(チャンネル3)、69MHz(チャンネル4)または5.38MHzIF(ベースバンド)の何れかを選択的に中心とする6MHz帯域幅のテレビジョン信号を供給するディジタル的方法および装置に関する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
特に、その方法は、まずディジタル化サンプルのストリームをリサンプル(再サンプル、再標本化)し、次いで、ディジタル化指数キャリアを表す複素数値の反復する短いシーケンスでリサンプルされたサンプルのストリームを変調することを含んでいる。
【0006】
【発明の実施の形態】
詳細な説明において、初めに、“DCを中心とする”(DC centered、DC中心の)という用語は0(ゼロ)Hz周波数を中心とすることを言い、DC振幅を中心とすることではないことに留意すべきである。この詳細な説明において、典型的には、それはDCを中心とする信号変調帯域幅に関するものである。
【0007】
図1を参照すると、(1)ディジタル化パルス・コード変調(PCM)信号サンプルのストリームのソース(信号源、供給源)100、(2)ディジタル残留側波帯(VSB)変調器102、(3)ディジタル−アナログ(D/A)変換器104、および(4)アナログ・フィルタ106が示されている。ソース100は、ディジタル・プロダクト(digital product)を含んでおり、このディジタル・プロダクトからディジタル処理回路と共に用いて初期信号情報が得られ、場合によってはそれに追加的所望の信号情報を付加しおよび/またはその信号情報の形式を変形することが必要であり、それによって、ソース100からサンプル・ストリーム出力が取り出され、その出力がディジタルVSB変調器102にその入力として供給される。本発明の特徴を取り入れたディジタルVSB変調器102の好ましい実施形態について以下詳細に説明する。何れにしても、ディジタルVSB変調器102からのディジタル出力は、所定の相対的に高いサンプル周波数レート(sample−frequency rate)で発生する変調済み(変調された)データ・サンプルのストリームを含んでおり、このストリームは、D/A変換器104によりアナログ信号に変換された後、チャンネル3、チャンネル4または5.38MHzを中心周波数とするIFベースバンド信号を選択的に生じさせる。D/A変換器104によってアナログ信号に変換された後、所定のサンプル周波数レートより高い周波数帯域の外側に位置する、結果として生じた不要な周波数成分が、アナログ・フィルタ106によって除去される。
【0008】
図2に示されているように、ディジタルVSB変調器102は、1サンプル/1PCMシンボル−DC中心複素VSB変換器200(1PCMシンボル当たり1サンプルをDC中心の複素VSBに変換する変換器)(この変換器については図3〜図7に関連して後で詳しく説明する)、ディジタルのsinx/x補償器202、マルチスケール(multi−scale)ディジタル変調器204(この変調器については図8〜図16に関連して後で詳しく説明する)、および無符号変換器206(unsigned converter、符号なし変換器)206(この変換器につては後で詳しく説明する)を具えている。
【0009】
ソース100からの信号PCMサンプルのストリームは、VSB変換器200にその入力として供給され、その変換器は、符号つき(signed)実部(R)および虚部(I)の複素形式の2つのVSB出力ストリームを取り出し、その出力ストリームはsinx/x補償器202にその入力として供給される。sinx/x補償器202からの2つの出力ストリームは、符号つき複素形式のまま、マルチスケール・ディジタル変調器204にその入力として供給され、変調器204は符号つきR形式で信号出力ストリームを取り出し、その出力ストリームは無符号変換器206を介してD/A変換器104にその入力として転送される(即ち、無符号変換器206によって実行される演算は、1つの出力ストリームの各シンボルの符号つき(±)大きさの値(レベル値)に、同じ所定の正(+)の大きさの値を加えることであり、その所定の正の大きさの値は、結果として、無符号変換器206からの出力ストリームの各シンボルの合計の大きさの値が正となるのに十分な値であり、従って、D/A変換器104に入力として供給される全てのシンボル・サンプルは正の値だけを有する)。
【0010】
本発明の好ましい実施形態の説明における例示として、(1)VSB変換器200にその入力として供給されるPCMシンボル・サンプルのストリームの各サンプルは、サンプル周波数クロック・レート10.76MHzで発生する3ビット(8VSB)または4ビット(16VSB)実数データを規定する4ビットからなり、(2)VSB変換器200およびディジタルのsinx/x補償器202の各々はサンプル周波数クロック・レート10.76MHzで動作し、(3)マルチスケール・ディジタル変調器204の入力サンプル周波数クロック・レートは10.76MHzであり、マルチスケール・ディジタル変調器204の出力サンプル周波数クロック・レートは86.08MHz(即ち10.76MHzの8倍)であり、一方、マルチスケール・ディジタル変調器204の動作サンプル周波数クロック・レートは86.08MHzと10.76MHzの中間の86.08MHzの少なくとも1つの劣調波成分(サブハーモニック)をも含んでいてもよいと仮定する。
【0011】
次に、図3を参照して説明すると、VSB変換器200に入力として供給される前述の4ビットPCMシンボル・サンプルのストリームに加えて、VSB変換器200は、さらに、パイロット・トーン振幅を所望のレベルに調整するのに利用できる、b>4ビットで規定されたより高精度のPCMパイロットDC値を有する。このb>4ビットのPCMパイロットDC値は変調器300−Pに変調信号として供給され、一方、そのストリームの各4ビットPCMシンボル・サンプルは変調器300−Sに変調信号として供給される。ディジタル符号値{1,−1,−1,1}からなる反復4ビット・シーケンスの、10.76MHzサンプル周波数レートで発生する継続(ongoing)ストリーム302は、変調器300−Pと300−Sの双方にDC中心のキャリアとして供給される。この継続するストリーム302は、サンプルの{1,−1,−1,1,1,−1,−1,1,1...}であり、関数cos(π*n/2)−sin(π*n/2)=1.414*cos(π*n/2+π/4)の連続する各サイクルの各象限値(quadrant value)を規定していると考えられる。ここで、1.414は√2(ルート2)の有理数近似値であり、n=シンボル・インデックス(symbol index)である。従って、変調器300−Pからの変調済みパイロット出力ストリーム304−Pと、変調器300−Sからの変調済みデータ信号出力ストリーム304−Sとは、コード化(符号化)形式の複素信号を規定するのに用いられる各実数信号を構成する。即ち、そのような実数信号は、各サイクルの各象限でサンプルされた継続するシンボル変調済み正弦波からなる。
その実部“cos”成分は±符号つき非0(ゼロ)値からなり、その非0値は復号(デコード)しないときは対応する複素信号の±符号つき非0値R成分を構成するが、実部“sin”成分は0(ゼロ)値からなり、その0値はコード化形式では対応する複素信号の0値の±I成分を構成する。従って、変調済みパイロット出力ストリーム304−Pおよび変調済みデータ信号出力ストリーム304−Sの双方は、2分岐(bifurcated)多重Nタップ・ルート(平方根)ナイキスト有限インパルス応答(FIR)フィルタ306に入力として供給されるものであり、1シンボル当たり1サンプルだけからなるDCを中心とする実数の信号である。しかし、図3に示されているように、フィルタ306は、複素DC中心のVSBシンボル・サンプルの継続ストリームからなる出力を取り出し、そのサンプルにおいて±R成分と±I成分の双方は非0値を有する。
【0012】
より詳しく説明すると、Nタップ・フィルタ306は、奇数個のタップ(例えば、55タップ)を有する単一のフィルタである。但し、図4に示されているように、Nタップ・フィルタ306は、第1の入力重み付け(N+1)/2タップFIRサブフィルタ308(即ち、例えば28タップ・サブフィルタ)、第2の入力重み付け(N−1)/2タップFIRサブフィルタ310(即ち、例えば27タップ・サブフィルタ)、およびマルチプレクサ311の形に編成される。
【0013】
第1のサブフィルタ308はNタップ・フィルタ306の中の全ての偶数番号のタップ0、2、4、…(N−3)および(N−1)を含んでおり、一方、第2のサブフィルタ310はNタップ・フィルタ306の中の全ての奇数番号のタップ1、3、5、…(N−4)および(N−2)を含んでいる。構成上、第1のサブフィルタ308は(1)それぞれの乗算器312n-1、312n-3、…3122および3120を含んでおり、その各手段は乗算器入力として供給される係数an-1、an-3、…a2、a0の中の対応する1つの適当な値を有し、第1のサブフィルタ308はさらに(2)それぞれの2サンプル期間遅延ラッチ314n-1、314n-3、…3144、および3142と、1サンプル期間(周期)遅延ラッチ31611(サンプル周波数10.76MHz)とを含んでおり、さらに(3)合計器318n-3、…3182および3180を含んでいる。構成上、第2のサブフィルタ310は(1)それぞれの乗算器312n-2、312n-4、…および3121を含んでおり、各手段は乗算器入力として供給される係数an-2、an-4、…およびa1の中の対応する1つの適当な値を有し、第2のサブフィルタ310はさらに(2)それぞれの2サンプル期間遅延ラッチ314n-2、314n-4、…3145(図示せず)および3143(図示せず)と、1サンプル期間遅延ラッチ31612および31622とを含んでおり、さらに(3)合計器318n-4、…3181と合計器320とを含んでいる。さらに、DC中心のデータ信号出力ストリーム304−Sの連続的に発生する各シンボル・サンプルの値は、第1のサブフィルタ308の乗算器手段312n-1、312n-3、…3122および3120の各々且つ全てと、第2のサブフィルタ310の乗算器手段312n-2、312n-4、…および3121の各々且つ全ての双方に、被乗数入力として同時に供給される。さらに、DC中心のパイロット出力ストリーム304−Pの連続的に発生する各シンボル・サンプルの値は、xクロック遅延322によって処理された後で[ここでx=(中心タップ・インデックス)mod4である]、合計器320に加数入力として供給される。
【0014】
フィルタ306とその構成要素(コンポーネント)サブフィルタ308および310の各々とが実部(即ち複素数でない)フィルタであることは明らかである。それにもかかわらず、サブフィルタ308、サブフィルタ310およびマルチプレクサ311の組合せは、協働して、フィルタ306から複素出力を供給するように動作する。第1に、サブフィルタ308および310の各々の動作の結果として、連続する各4サンプル・シーケンスにおいて符号つきRサンプル値と符号つきIサンプル値の双方を含んだサンプル済み(サンプルされた)データストリームがその出力に生じる。第2に、サブフィルタ308からのデータ出力ストリーム324は、サブフィルタ310からのデータ出力ストリーム326が受ける合計遅延より長い1クロック期間(周期)の合計遅延を受けたものである。従って、10.76MHzサンプリング周波数周期の関数であるサブフィルタ308からのデータ出力ストリーム324の±Rおよび±Iサンプルと、10.76MHzサンプリング周波数周期の関数であるサブフィルタ310からのデータ出力ストリーム326の±Rおよび±Iサンプルとの間の関係は、次の通りである。
【表1】
Figure 0004562105
【0015】
しかし、図4に示されているように、サブフィルタ308および310からのデータ出力ストリーム324および326はマルチプレクサ311にデータ入力ストリームとして供給される。マルチプレクサ311は、サンプル周波数クロック・レート10.76MHzの各サンプル周期でトグルして(切り換えて)、(1)サブフィルタ308からのデータ出力ストリーム324を、各奇数サンプル期間(周期)において±Rデータ出力ストリーム328に、各偶数サンプル期間において±Iデータ出力ストリーム330に接続し、(2)サブフィルタ310からのデータ出力ストリーム326を、各奇数サンプル期間において±Iデータ出力330に、各偶数サンプル期間において±Rデータ出力ストリーム328に接続する。従って、連続するサンプル期間の関数であるデータストリーム出力330の±Iサンプルと、連続するサンプル期間の関数である出力328の±Rサンプルとの間の相対的関係は次の通りである。
【表2】
Figure 0004562105
【0016】
次に、図5、図6および図7を参照すると、図5は、第1のサブフィルタ308からのサンプル・ストリーム出力324における連続するサンプルの各々の正規化された大きさの値1のZ領域における関係を、実部−虚部の平面におけるサンプルの位置の関数として示している(ここで、太線400は、表1のサンプル期間1における出力324のサンプルの位置を表している)。図6は、第2のサブフィルタ310からのサンプル・ストリーム出力326における連続するサンプルの各々の正規化された大きさの値1のZ領域における関係を、実部−虚部平面におけるそのサンプルの位置の関数として示している(ここで、太線400は、表1のサンプル期間1における出力326のサンプルの位置を表している)。
図6を図5と比較すると、図6が図5の時計回り方向への1/4シーケンス・サイクル回転を表していることは明らかである。マルチプレクサ311の動作は、第1のサブフィルタ308からのサンプル・ストリーム出力324と、第2のサブフィルタ310からのサンプル・ストリーム出力326とを実効的に加算して合計を得るものである。図7は、この合計のサンプル・ストリームにおける連続するサンプルの各々の正規化された大きさの値のZ領域における関係を示している(表2の出力328および330によって表される)。図7に示したように、1つのシーケンス・サイクルの第1の1/4と1つのシーケンス・サイクルの第4の1/4とにおいて正規化された大きさの値は1であるが、1つのシーケンス・サイクルの第2の1/4と1つのシーケンス・サイクルの第3の1/4とにおいて正規化された大きさの値は0に低下する。その結果、上側のVSB信号エネルギが捕捉され、下側の側波帯エネルギは除去される。従って、図4に示される実部出力328および虚部出力330は、図3に示されるフィルタ306のDC中心の複素VSB出力を構成する。
【0017】
パイロット・トーン振幅制御手段を有する上述の1サンプル/1PCMシンボル−DC中心VSB変換器200は、パイロット・トーン振幅制御手段を有する通常の2サンプル/1PCMシンボル−DC中心VSB変換器よりも、ハードウェア実装するための複雑さとコストが著しく低下する。第1に、2サンプル/1PCMシンボル(即ち2サンプル・パー・PCMシンボル)ではなくて1サンプル/1PCMシンボルだけを必要とすることによって、ハードウェア実装が50%減少する。第2に、複素変調器ではなくて実部変調器300−Sおよび300−Pを用いることによって、ハードウェア実装がさらに減少する。第3に、2つの(即ち、複素数の実部および虚部の)nタップ・フィルタを使用するのではなくて単一の2分岐実部nタップ・フィルタを用いることによって、フィルタ・ハードウェアがさらに50%節減できる。第4に、単一の2分岐実部nタップ・フィルタを用いることによって、ハードウェアをさらに35%節減する固有のパイロット振幅制御方法が可能になる。第5に、1サンプル/1PCMシンボル−DC中心VSB変換器から複素出力を発生させるのに複素数の数学が必要でないことによって、実装ハードウェアがさらに減少する。
【0018】
図2に戻り、本発明の好ましい実施形態において、ディジタルのsinx/x補償器202は、10.76MHzサンプル周波数レートで発生するVSB変換器200からのDC中心の複素VSBサンプル・ストリーム出力と、マルチスケール・ディジタル変調器204への入力との間に配置される。その理由は、より高いサンプル周波数レートではなくて、より低い10.76MHzサンプル周波数レートでディジタルsinx/x補償を実行する方が好ましいからである。より高いサンプル周波数レートで補償を行うと、概して、消費電力がより多く、電流がより多く、不所望な電磁波干渉(EMI)がより多いという欠点を有する。
しかし、マルチスケール(multi−scale)・ディジタル変調器204において、キャリアを複素±Rおよび±Iデータ・サンプル・ストリームで任意の形態で実際に変調する前に、そのシステムにおける任意のサンプル周波数レートで(86.08MHzを含む)ディジタルsinx/x補償が行われてもよい。従って、sinx/x補償器202について詳しく説明する前に、マルチスケール・ディジタル変調器204について詳しく説明する。
【0019】
マルチスケール・ディジタル変調器204は、10.76MHzのサンプル周波数レートで発生する入力として供給される1シンボル当たり1サンプルの±Rおよび±Iストリームに応答して、ユーザにより制御された変調済み出力として、(1)相対的に低い擬似キャリア周波数−23.08MHzを中心とする符号つき8サンプル/1シンボル±Rストリーム、(2)さらにより低い擬似キャリア周波数−17.08MHzを中心とする符号つき8サンプル/1シンボルRストリーム、または(3)非常に低いキャリア周波数5.38MHzを中心とする符号つき8サンプル/1シンボル±Rストリーム、を選択的に取り出す。その全ての出力ストリームは、サンプル周波数レート86.08MHzで発生する。−23.08MHzディジタル出力ストリームは、無符号変換器206およびD/A変換器104によってアナログに変換された後、不所望なシンボル−ストリーム変調済みの23.08MHzのアナログ信号と、所望のシンボル−ストリーム変調済み63MHz(チャンネル3)アナログ影像(イメージ、画像)信号(即ち、63MHz=(86.08−23.08)MHz)との双方を結果として生じさせる。同様に、−17.08MHzディジタル出力ストリームは、不所望なシンボル−ストリーム変調済みの17.08MHzのアナログ信号と、所望のシンボル−ストリーム変調済みの69MHz(チャンネル4)のアナログ影像信号(即ち、69MHz=(86.08−17.08)MHz)との双方を結果として生じさせる。5.38MHzディジタル出力ストリームによって、所望のシンボル−ストリーム変調済みの5.38MHzのアナログ信号が結果として直接的に得られる。
【0020】
マルチスケール・ディジタル変調器204は、後で説明する図8〜図11に示される第1の好ましいアプローチ、または後で説明する図12〜図16に示される第2の好ましいアプローチの何れかに従って実装構成される。その両方のアプローチは、図3に示される反復される短いシーケンスの継続ストリームに或る点で類似した反復される短いシーケンスの継続ストリームの形式の複素指数キャリアの変調を利用するものである。より詳しくは、その変調器は、変調信号をリサンプル(resample:再サンプル)するリサンプラ(再サンプル器)を含んでおり、その後に指数キャリアの供給を受ける複素変調器が続く。このリサンプリング比率は、出力サンプル・レートで発生する反復する相対的に短いシーケンスによりその指数キャリアが実現されるように選択される。この指数キャリア・シーケンスは補間によって発生される。キャリアを発生する理想的な補間フィルタは次の関数で表される。
【数1】
Figure 0004562105
この関数は、無限(infinite)レベルであり、非因果関係(non−causal)であり、理論的な興味だけのものである。しかし、反復される短いシーケンスの継続ストリームの周期性と仮定される無限性とによって、所定の時間におけるこの反復される短いシーケンスの継続ストリームに供給(適用)される任意のインパルス応答幅の任意のフィルタの出力は、この短いシーケンスのサンプルの重み付けされた合計である。或る複素指数キャリアと短いシーケンスの間の関係が次の表3に示されている。ここで、n=サンプル・インデックスである。
【表3】
Figure 0004562105
【0021】
1つのシーケンスにおける項の数が4またはそれより少ない場合は、補間関数の全ての選択肢に対して無視し得るエラー(error:誤差)が生じる。1つのシーケンスにおける項の数が6または8である場合は、或る補間関数に対して無視し得るエラーが生じる(この補間関数は、マルチスケール・ディジタル変調器204によって用いられる前述の第1または第2の実装法の何れかにおいて用いられる補間関数を含んでいる)。
【0022】
次いで、図8を参照すると、sinx/x補償器202から入力として供給される1サンプル/1シンボル±RおよびIストリームから、−23.08MHzを中心とする8サンプル/1シンボル±Rストリーム(チャンネル3信号を発生するのに使用される)を、マルチスケール・ディジタル変調器の出力として取り出す第1の実装法の例が示されている。サンプル・レート変換器500は、データ・ストリームが6.24MHzでサンプルされた場合に、各10.76MHzサンプルが有するであろう補間値を計算することにより10.76MHzの±Rおよび±Iデータ・ストリームを実効的に6.24MHzにダウンサンプル(減リサンプル)する。具体的には、このような補間値には比率係数10.76/6.24が関係し、この係数は269/156に等しい(即ち、10.76MHzサンプル周波数レートの269個のサンプル期間の1つのストリングは、6.24MHzサンプル周波数レートの156個だけのサンプル期間の1つのストリングに時間長さが等しい)。しかし、好ましい実施形態において、サンプル・レート変換器500からの出力における±Rおよび±Iストリーム(このストリームは第1の複素変調器502にデータ入力として供給される)の実際のサンプル周波数レートは、依然として10.76MHzを維持する。
【0023】
上述の説明に従って、第1の変調器502へのキャリア入力e-jn π /2は、10.76MHzのサンプル周波数レートの反復4サンプル・シーケンス1、−j、−1、jの継続ストリームを構成する。変調器502は、変調器502へのデータ入力におけるRおよびIストリームのサンプルの各々に、変調器502へのキャリア入力における継続ストリームの対応するサンプルを独立に(別々に)乗算して、RおよびIの両方のサンプルをそれぞれ含む2つの積(product)ストリームを供給する。但し、変調器502は、動作が上述のマルチプレクサ311に類似したマルチプレクサを含んでおり、そのマルチプレクサは、両方の積ストリームの全てのR積サンプルを、変調器502からのR出力ストリームに分配し、両方の積ストリームの全てのI積サンプルを、変調器502からのI出力ストリームに分配するようにする(第1の変調器502からのRおよびI出力ストリームの各々は、10.76MHzサンプル周波数レートでサンプルされた−6.24/4=−1.56MHzのストリームを示す)。
【0024】
第1の変調器502からのRおよびI出力ストリームはサンプル・レート変換器504にその入力として供給され、変換器504は、86.08MHzクロックおよび補間を用いて、10.76MHzサンプル周波数レートの1サンプル/1シンボルを、86.08MHzサンプル周波数レートの8サンプル/1シンボルに変換し、且つ、表示の第1の変調済み6.24MHzストリームが86.08MHzでサンプルされた場合に、実際の各86.08MHzのサンプルが有するであろう補間値を計算することによって、表示の第1の変調済み6.24MHzストリームを実効的に86.08MHzにアップサンプル(増リサンプル)する。具体的には、そのような補間された値には比率係数6.24/86.08が関係し、この係数は39/538に等しく(即ち、表示の6.24MHzサンプル周波数レートの39個だけのサンプル期間の1ストリングは、86.08MHzサンプル周波数レートの538個のサンプル期間の1ストリングに時間長さが等しい)。従って、サンプル・レート変換器504からの出力におけるRおよびIストリームのサンプル周波数レート(そのストリームは複素第2変調器506にデータ入力として供給される)は、今度は86.86MHzとなる。
【0025】
先の説明に従って、第2の変調器506に供給されるキャリア入力e-jn π /2は、86.08MHzのサンプル周波数の反復4サンプル・シーケンス1、−j、−1、jの継続ストリームを構成する。変調器506は、変調器506へのデータ入力におけるRおよびIストリームのサンプルの各々に、変調器506へのキャリア入力における継続ストリームの対応するサンプルを独立に(別々に)乗算して、RおよびIの両方のサンプル(502)をそれぞれ含む2つの積ストリームを供給する(第1の変調器502からのRおよびI出力ストリームの各々は、10.76MHzサンプル周波数レートでサンプルされた−6.24/4=−1.56MHzのストリームを示す)。但し、変調器506は、動作が上述のマルチプレクサ311に類似したマルチプレクサを含んでおり、そのマルチプレクサは、両方の積ストリームの全てのR積サンプルを、変調器506からのR出力ストリームに分配し、両方の積ストリームの全てのI積サンプルを、“トラッシュ(trash:ごみ)”に分配して、変調器506からのR出力ストリームだけがD/A変換器104(図8におけるブロック508によって示されている)に入力として転送されるようにする。
【0026】
第1の変調器502からの出力ストリームは、e-jn π /2キャリア入力の連続する各4サンプル・シーケンスの作用による−6.24/4=−1.56MHzの表示周波数を中心とするシンボル変調済み成分(コンポーネント)を含んでいるので、第1の変調器502とカスケード(cascade:縦続)接続された第2の変調器506は、この−1.56MHz中心のシンボル変調済み成分を入力として受け取り、R出力ストリームを取り出す。このR出力ストリームは、−1.56MHz、−86.08/4=−21.52MHz、およびその結果として相互変調(intermodulation)周波数−1.56+(−21.52)=−23.08MHzを中心とするシンボル変調済み成分を含んでいる。
マルチスケール・ディジタル変調器204からの−23.08MHzのシンボル変調済み成分こそが、D/A変換器104からのアナログ信号出力に63MHz(チャンネル3)影像(イメージ)を生じさせる。
【0027】
サンプル・レート変換器500によって用いられる比率係数269/156またはサンプル・レート変換器504によって使用される比率係数39/538の何れもが整数でなく、一方、それらの比率係数のカスケード積269/156*39/538=8は整数であって、この整数値は、サンプル・レート変換器500への1サンプル/1シンボル入力ストリームの10.76MHzサンプル周波数レートに対するサンプル・レート変換器504からの8サンプル/1シンボル出力ストリームの86.08MHzサンプル周波数の比率に値が等しい。従って、サンプル・レート変換器500と共に使用される6.24MHzクロックが存在しないことは、サンプル・レート変換器504または第2の変調器506の何れかからの8サンプル/1シンボル出力ストリームの補間済みシンボル値の精度に影響を与えない。
【0028】
次に、図9を参照すると、sinx/x補償器202から入力として供給される1サンプル/1シンボルRおよびIストリームから、−17.08MHzを中心とする8サンプル/1シンボルRストリーム(チャンネル4信号を発生するのに使用される)を、マルチスケール・ディジタル変調器の出力として取り出すための第1の実装法の一例が示されている。第1に、サンプル・レート変換器600aは、10.76MHzRおよびIストリームが17.76MHzに実効的にアップサンプルされる点で、上述のサンプル・レート変換器500と異なる。即ち、10.76MHzサンプルされた信号によって表される信号が17.76MHzで実際にサンプルされた場合に発生するであろう補間済みサンプルが計算される。具体的には、このような補間された値には、比率係数17.76/10.76が関係し、この係数は444/269に等しく(即ち、17.76MHzサンプル周波数レートの444個のサンプル期間の1ストリングは、10.76MHzサンプル周波数レートの269個だけのサンプル期間の1ストリングに時間長さが等しい)。第2に、上述の第1の変調器502へのe-jn π /2キャリア入力ではなくて、第1の変調器602aへのキャリア入力はejn π /2であって、このejn π /2は反復4サンプル・シーケンス1、j、−1、−jの連続ストリームを構成する。第3に、サンプル・レート変換器604aは、17.76MHzRおよびIストリームが86.08MHzでサンプルされた場合に、各17.76MHzサンプルが有するであろう補間された値を計算することによって、17.76MHzRおよびIストリームが86.04MHzに実効的にアップサンプルされる点で、上述のサンプル・レート変換器504とは異なる。具体的には、このような補間された値には、比率係数86.08/17.76が関係し、この係数は269/111に等しく(即ち、表示の86.08MHzのサンプル周波数レートの269個のサンプル期間の1ストリングは、17.76MHzサンプル周波数レートの111個のサンプル期間の1ストリングに時間長さが等しい)。
他の観点では、図9の構成要素600a、602a、604a、606aおよび608aの動作は、図8の上述の対応する構成要素500、502、504、506および508と同様である。
【0029】
第1の変調器602aからの出力ストリームは、ejn π /2キャリア入力の連続する各4サンプル・シーケンスの作用(effect)による表示周波数17.76/4=4.44MHzを中心とするシンボル変調済み成分を含んでいるので、第1の変調器602aとカスケード接続された第2の変調器606aは、この4.44MHz中心のシンボル変調済み成分を入力として受け取り、R出力ストリームを取り出す。このR出力ストリームは、4.44MHz、−86.08/4=−21.52MHz、およびその結果として所望の相互変調周波数4.44+(−21.52)=−17.08MHzを中心とするシンボル変調済み成分を含んでいる。マルチスケール・ディジタル変調器204からの−17.08MHzシンボル変調済み成分こそが、D/A変換器104からのアナログ信号出力に69MHz(チャンネル4)影像(イメージ)を生じさせる。
【0030】
図9に示される一例のハードウェア実装における欠点は、サンプル・レート変換器600aが相対的に高い品質のものが要求されることである。その理由は、それがトランスペアレント(透明)であるナイキストの割合(パーセント)が小さいからである。しかし、その要求は、図10に示される代替構成の別の一例において、サンプル・レート変換器600aを、10.76MHzから35.52MHzにアップサンプルするのに有効なサンプル・レート変換器600bで置き換えることによって緩和される。それによって、サンプル・レート変換器604aを、35.52MHzを86.08MHzにアップサンプルするのに有効なサンプル・レート変換器604bに置き換えることができる。但し、図10の場合において、第2の変調器606bによってR出力ストリームを取り出すためには、サンプル・レート変換器604bへのejn π /4キャリア入力を用いることが必要である(ここでejn π /4は、86.08MHzのサンプル周波数レートの継続する反復される8サンプル・シーケンス1、0.707+(±j*0.707)、−(±j)、−0.707+(±j*0.707)、−1、−0.707−(±j*0.707)、−(±j)、0.707−(±j*0.707)を構成する)。このR出力ストリームは、マルチスケール・ディジタル変調器204からのR出力ストリームのシンボル変調済み成分の4.44MHz、−86.08/4=−21.52MHz、およびその結果として所望の相互変調周波数4.44+(−21.52)=−17.08MHzを中心とするシンボル変調済み成分を含んでいる。マルチスケール・ディジタル変調器204からのR出力ストリームのシンボル変調済み成分は、D/A変換器104からのアナログ信号出力に69MHz(チャンネル4)影像(イメージ)を生じさせる。
【0031】
前述の装置において、構成要素600aまたは600bのようなリサンプラは、リサンプル・レート(例えば17.76MHz)のサンプルを実際に供給する必要はない。必要なことは、そのレートにリサンプルした場合に生じるであろうサンプルの数を発生させることである。次いで、増大された数のサンプルで指数キャリア・シーケンスを連続的に変調する。この変調は、連続サンプルで連続シーケンス値を変調するような反復するキャリア・シーケンスを適用(供給)することによって実行される。その全てが利用可能な時間で実行できる。その理由は、86.08MHzのクロックはサンプルの補間を行うのに利用でき、それによって例えばアップサンプルされた値のような値が生成され、そのような値が、メモリに格納されて任意のサンプル・レートで変調を行うために読み出されるからである。また、入力サンプル期間に対応する期間に必要な数のサンプル(1入力サンプル当たりの数)が発生される(それによってリアルタイム動作が実現される)限り、例えばリサンプラ604aまたは604bの補間は、任意のサンプル・レートで実行されてもよい。但し、出力変調器(例えば606aまたは606b)によって供給される変調済み値は、所定のレート(この例では、86.08MHz)で発生して、所望の変調済みキャリア周波数が発生されなければならない。
【0032】
次に、図11を参照すると、5.38MHzIFを中心とする8サンプル/1シンボルRストリーム(それはベースバンド信号を発生するのに用いられる)を取り出す第1の実装法が示されている。sinx/x補償器202からの1サンプル/1シンボルRおよびIストリームはサンプル・レート変換器700に供給される。サンプル・レート変換器700は10.76MHzRおよびIストリームをアップサンプルする。21.52MHzの比率は10.76MHzのちょうど2倍なので、この変換は、通常、サンプル変換器700用の21.52MHzサンプル・レート・クロックを使用し、各1対の10.76MHzRおよびIストリームの連続する各サンプルの間に0(ゼロ)値のサンプルを挿入し、その0値をその1対のサンプル値の平均値で置換することによって実行される。
【0033】
変調器702へのキャリア入力ejn π /2は、21.52MHzのサンプル周波数レートの反復された4サンプル・シーケンス1、j、−1、−jの継続ストリームを構成する。変調器702は、変調器702へのデータ入力におけるRおよびIストリームのサンプルの各々に、変調器702へのキャリア入力における継続ストリームの対応するサンプルを独立に(別々に)乗算して、RおよびIの両方のサンプルをそれぞれ含む2つの積ストリームを供給する。但し、変調器702は、その動作が上述のマルチプレクサ311に類似したマルチプレクサを含んでおり、そのマルチプレクサは、両方の積ストリームの全てのR積サンプルを、変調器702からのR出力ストリームに分配し、両方の積ストリームの全てのI積サンプルを、変調器702からのI出力ストリームに分配するようにする(第1の変調器702からのRおよびI出力ストリームの各々は、21.52MHzサンプル周波数レートでサンプルされた5.38MHzのストリームである)。
【0034】
サンプル・レート変換器704は、第1の変調器702からの21.52MHzサンプル周波数レートRおよびI出力ストリームのデータを、サンプル・レート変換器704からの86.08MHzサンプル・レートRおよびI出力ストリームのデータにアップサンプルする必要がある。この変換は、通常、サンプル・レート変換器704用の86.08MHzサンプル・レート・クロックを使用し、各1対の21.52MHzRおよびIストリームの連続する各サンプルの間に3つの0(ゼロ)値のサンプルを挿入し、その対の3つの0値の各々を適当な補間サンプル値で置換することによって実行される。その結果、マルチスケール・ディジタル変調器204からサンプル周波数レート86.08MHzのR出力ストリームのシンボル変調済みデータ成分が得られ、その成分が、D/A変換器104からのアナログ信号出力に所望の5.38MHzIFベースバンドを生じさせる。
【0035】
マルチスケール・ディジタル変調器204によって用いられる第1のアプローチにおいて、図11に示される実装構成は、単一の複素変調器だけを必要としていて、2つのカスケード接続された複素変調器を各々が必要とする図8、図9および図10に示されるそれぞれの実装構成とは異なる。しかし、これらの第1のアプローチの実装構成においては、サンプル・レート変換器504、604a、604bおよび704(これらは1サンプル/1シンボルを8サンプル/1シンボルに変換するものである)に入力としてそれぞれ供給される複素変調器502、602a、602bおよび702からの複素RおよびI入力ストリームの各々は、データ・シンボル値によって既に変調された1つまたはそれより多いキャリア周波数のサンプル値からなる。
【0036】
図12に示すマルチスケール・ディジタル変調器204によって用いられる第2のアプローチにおいて、86.08MHzサンプル周波数レートで動作する1サンプル/1シンボル−8サンプル/1シンボル変換器800は、それに入力として供給されるsinx/x補償器202からの複素±Rおよび±I入力ストリームの各々と、そこから複素変調器802に変調入力として供給されるまだ変調されていないデータ・シンボル値の複素±Rおよび±I出力ストリームの各々とを有する。86.08MHzサンプル周波数レートで動作する複素キャリア発生器804は、チャンネル3用の一定の大きさの−23.08MHz擬似キャリアのサンプル値(一定の大きさの−21.52および−1.56MHz周波数の複素数の積によって生成されるもの)、チャンネル4用の一定の大きさの−17.08MHz擬似キャリアのサンプル値(一定の大きさの−21.52および4.44MHz周波数の複素数の積によって生成されるもの)、またはベースバンド用の一定の大きさの5.38MHzのサンプル値、を選択的に規定する複素±Rおよび±Iキャリア出力ストリームを取り出す。複素キャリア発生器804からの複素±Rおよび±Iキャリア出力ストリームは、複素変調器802にキャリア入力として供給される。複素キャリア発生器804からの変調済みデータ・シンボル値の複素±Rおよび±I出力ストリームは、86.08MHzサンプル周波数レートで発生し、ブロック806にその入力として供給され、そのブロック806は±R出力ストリームだけを無符号変換器206に転送する。
【0037】
複素発生器804の第1の構成の実施形態は、図13に示される位相制御手段と共に、図15に示されるサンプル形(サンプルされた、sampled)複素周波数発生器を具えている。この位相制御手段は、図15のサンプル形複素周波数発生器にその入力として供給される位相制御値の5つの継続ストリームを発生する。図13に示されているように、これらの5つの継続ストリームは、(1)所望のサンプル形正弦波周波数F0(即ち、所定の(即ち86.08MHz)サンプル周波数Fsで発生するチャンネル3用の1.56MHzまたはチャンネル4用の4.44MHz)の継続する±Rおよび±Iストリームの位相値を図15において発生するのに必要な位相制御値を規定するμおよび18μの継続ストリームと、(2)図15のサンプル形複素周波数発生器によっても必要とされるPLSB、PMSBおよびPMDSBの継続する矩形タイミング波形とを含んでいる。
【0038】
図13を参照すると、一定の値J(ここで、チャンネル3に対してJ=39、チャンネル4に対してJ=111)は、第1の合計器900に第1の加数として供給される。第1の合計器900からの合計出力ストリームの連続する各値は、ラッチ902によって所定の(即ち86.08MHz)サンプル周波数Fsの1サンプル期間(周期)だけ遅延された後で、モジュラス(modulus、モジュロ)K=538の2進論理手段904にその入力として供給される。論理手段904からの出力ストリームの各値は、第1の合計器900に第2の加数としておよび第2の合計器906に第1の加数として供給される。モジュラスK2進論理手段904への入力値が1とK−1の間(ここでK−1=537)である限り、出力値は入力に等しいが、入力値がK−1(例えば、K≧538)より大きい場合は、その出力値は入力値マイナスK(入力値−K)(例えば、K=538)に等しい。従って、J、第1の合計器900、ラッチ902およびモジュラスK2進論理手段904の組合せは、協働して、手段904から出力値を取り出し、その出力値は正の累積値が正の値Kより大きくなるまで各サンプル期間毎に正の値Jずつ増大し、正の累積値が正の値Kより大きくなった時点でその累積値から正の値Kが減算される。−K/2(例えば、−K/2=−269)は第2の合計器906に第2の加数として供給される。従って、第2の合計器906からの出力ストリームのそれぞれの合計値は、−269〜+268の範囲に収まり、図15に示されるサンプル形複素周波数発生器へのμ位相制御入力ストリームを構成し、0(ゼロ)値を中心とする(全て正の値を有するのではない)。このμ位相制御入力ストリームのそれぞれの値は、ブロック908によって18を乗算された後で、図15に示されるこのサンプル形複素周波数発生器への18μ位相制御入力ストリームを構成する出力ストリームを形成する。
【0039】
モジュラスK2進論理904は、その累積値から正の値Kを減算するたびに、ラップ(wrap:循環)クロックを、2ビット2進カウンタ910および遅延フリップフロップ912に入力として供給する。カウンタ910からの最下位ビットPLSBおよび最上位ビットPMSB出力ストリームのそれぞれの2進値状態は、図15に示されるサンプル形複素周波数発生器にタイミング制御入力ストリームとして供給される。さらに、カウンタ910からのPMSB出力ストリームは遅延フリップフロップ912に入力ストリームとして供給され、遅延フリップフロップ912からの出力ストリームは排他的論理和(EXCLUSIVE OR)ゲート914の第1の入力に供給される。選択された指数符号値は、±I出力ストリームの位相符号に対する、図15に示されるサンプル形複素周波数発生器からの±R出力ストリームの所望の位相符号に対応しており、排他的論理和ゲート914の第2の入力に供給される。排他的論理和ゲート914からの出力ストリームは、図15に示されるサンプル形複素周波数発生器へのPMDSBタイミング制御入力ストリームを構成する。
【0040】
次に、図15を参照すると、PMDSBタイミング制御入力は9個の1サンプル期間(例えば、96.08MHz周期)遅延ラッチ1000−1〜1000−9のチェーン(chain)に供給される。PLSBタイミング制御入力は6個の1サンプル期間遅延ラッチ1001−1〜1001−6のチェーンに供給される。PMSBタイミング制御入力は9個の1サンプル期間遅延ラッチ1002−1〜1002−9のチェーンに供給される。μ位相制御入力は7個の1サンプル期間遅延ラッチ1003−1〜1003−7のチェーンに供給される。そして、18μ位相制御入力は10個の1サンプル期間遅延ラッチ1004−1〜1004−10からなるRチェーンに供給される。
【0041】
Rチェーンの遅延ラッチ1004−1、1004−3、1004−6および1004−9の各々の直ぐ後に、符号(S)回路1005−1、1005−3、1005−6および1005−9の中の対応するものが続く。符号回路1005−1および1005−6の各々の符号値は、遅延ラッチ1001−1および1001−6のうちの対応するものからの出力の2進値に従って決定される。インバータ1006−3の存在によって、符号回路1005−3の符号値は、遅延ラッチ1001−3からの出力の2進値の負の値に従って決定される。符号回路1005−9の符号値は、遅延ラッチ1000−9からの出力の2進値に従って決定される。
【0042】
Rチェーンの遅延ラッチ1004−2、1004−5および1004−8の各々の直ぐ後に、合計器1007−2、1007−5および1007−8の中の対応するものが続く。合計器1007−2によって、値31が、遅延ラッチ1004−2からの出力値に加算される。合計器1007−5によって、値41が、遅延ラッチ1004−5からの出力値に加算される。そして、合計器1007−8によって、値26が、遅延ラッチ1004−8からの出力値に加算される。
【0043】
Rチェーンの遅延ラッチ1004−4および1004−7の各々の直ぐ後に、乗算器1008−4および1008−7の中の対応するものが続く。乗算器1008−4は、第1の複素指数変調関数のR部分を実行し、遅延ラッチ1004−4からの出力値に遅延ラッチ1003−4からの出力値を乗算する。また、乗算器1008−7は、第2の複素指数変調関数のR部分を実行し、遅延ラッチ1004−7からの出力値に遅延ラッチ1003−7からの出力値を乗算する。図15のラッチ1004−10からの出力値のストリームは、複素キャリア発生器804からの±R出力値を構成する。ディジタル回路設計の分野の専門家は、合計器1007−8からの信号出力が次の形式の多項式関数で記述されることが分るであろう。
【数2】
Figure 0004562105
図15の典型例の回路において、α、β、κおよびρの値はそれぞれ18、31、41および26である。処理チェーンにおける最後の符号回路1005−9は、生成された値に、その得られた信号の極性を決定する値の反復シーケンスを実際に乗算する。
【0044】
複素キャリア発生器804からの±I出力ストリームは、図15において、遅延ラッチ1004−1からの出力ストリーム18μを(即ち、1サンプル期間だけ遅延した図15への18μ入力ストリームを)、遅延ラッチ1004−1に対応する遅延ラッチが存在しない場合を除いて、前述のRチェーンに対応するIチェーンに供給する。具体的には、Iチェーンは、遅延ラッチ1009−2〜1009−10、符号回路1010−1、1010−3、1010−6および1010−9、合計器1011−2、1011−5および1011−8、および乗算器1012−4および1012−7からなる。
【0045】
インバータ(反転器)1006−1および1006−6の存在によって、符号回路1010−1および1010−6の各々の符号値は、遅延ラッチ1001−1および1001−6の中の対応するものからの出力の2進値の負の値に従って決定される。符号回路1010−3の符号値は、遅延ラッチ1001−3からの出力の2進値に従って決定される。符号回路1010−9の符号値は遅延ラッチ1002−9からの出力の2進値に従って決定される。
【0046】
Iチェーンの合計器1011−2、1011−5および1011−8は、Rチェーンの合計器1007−2、1007−5および1007−8と同じ機能を実行し、Iチェーンの乗算器1012−4および1012−7は、乗算器1008−4および1008−7によって実行されるRチェーンに対する第1と第2の指数変調関数に類似した第1と第2の指数変調関数のI部分を実行する。合計器1011−8の出力は、次の多項式関数によって記述してもよい。
【数3】
Figure 0004562105
符号回路1010−9は±I出力信号の極性を決定する。
【0047】
図15に示されるサンプル形複素周波数発生器の動作において、このサンプル形複素周波数発生器からの±Rおよび±Iサンプル済み出力ストリームによって発生される波形のタイプは、μに乗じる値と、RおよびIチェーンの各合計器に供給される加数のそれぞれの値とによって決定される。この場合、RおよびIチェーンの合計器に供給される加数である、μに乗じる値18および値31、41および26のそれぞれは、サンプル形複素周波数発生器からの±Rおよび±Iサンプル済み出力ストリーム用の複素正弦波形を規定する最小エイリアス(alias)エネルギ4タップ補間値である。但し、この±Rおよび±Iサンプル済み出力ストリームのサンプリング周波数Fsでの発生された所望の周波数値F0は、図15に供給されるμおよび18μ入力ストリームの連続するサンプルされた位相値によって決定される(その理由は、周波数は位相の変化の時間レート(割合)に等しいからである)。より具体的には、F0/Fs≦1/4である限り、比率4F0/Fsは図13における整数比率J/Kに等しい。従って、チャンネル3に対してサンプリング周波数86.08MHzで−23.08MHz擬似キャリアを取り出すための適当な所望の周波数−1.56MHzおよび−21.52MHzは、Jの値39およびKの値538によって発生される。同様に、チャンネル4に対してサンプリング周波数86.08MHzで−17.08MHz擬似キャリアを取り出すための適当な所望の周波数4.44MHzおよび−21.52MHzは、Jの値111およびKの値538によって発生される。さらに、所望の5.38MHzベースバンド・キャリアF0は、Fs=86.08MHzに対して、Jとして整数値269およびKとして整数値1076を用いて取り出され、それによってJ/K=1/4が得られる。
【0048】
幾つかの場合において、第2の合計器906とx18ブロック908の間に、図14に示されるリスケーラ(rescaler、再スケール器)916を挿入することによって、実装ハードウェアを最小化してもよい。例えば、5.38MHzベースバンド・キャリア、チャンネル3用の適当なキャリアまたはチャンネル4用の適当なキャリアを選択的に取り出すことができる(Jに対して値39、111または269が選択的に使用される)ハードウェアにおいて、チャンネル3またはチャンネル4の何れかのための適当なキャリアを取り出すのに使用される−269〜268の値の範囲を、5.38MHzベースバンド・キャリアを取り出すのに使用される−538〜537の値の範囲に拡大するために、リスケーラ916を用いることが望ましいかもしれない。
【0049】
図13に示される位相制御回路の利点は、図15と共に使用して正確な所望の周波数値を発生することができ、そのハードウェア実装において相対的に複雑でコストが高い除算器を必要としないことである。
【0050】
代替構成の位相制御回路が図16に示されている。図16の代替構成の位相制御回路の利点は、発生された所望の周波数値が正確なことである。
【0051】
次に、図16を参照して説明すると、一定値Jが第1の合計器1100aに第1の加数として供給される。第1の合計器1100aからの合計出力ストリームの連続する各値は、ラッチ1102aによってサンプル周波数Fsの1サンプル期間(周期)だけ遅延された後、モジュラス4K2進論理1104aに入力として供給される。論理1104aからの出力ストリームの各値は、第1の合計器1100aに第2の加数としておよびK除算器1105aにその入力として供給される。K除算器1105aからの第1の出力ストリームは、それによって計算された商の連続する剰余値を規定し、第2の合計器1106aに第1の加数として供給される。第2の合計器1106aは第2の加数として値−K/2が供給される。第2の合計器1106aからの出力ストリームのぞれぞれの合計値は、−K/2〜K/2−1の範囲に収まり、図15へのμ位相制御入力を構成し、0値を中心とする(全て正の値を有するのではない)。このμ位相制御入力のそれぞれの値は、ブロック1108aによって18を乗算された後、図15への18μ位相制御入力を構成する位相制御出力ストリームを形成する。
【0052】
また、K除算器1105aは、4K/K=4であるから、この除算器によって計算された商の連続する2ビット整数部の値を規定する第2の出力ストリームを取り出す。従って、第2の出力ストリームは、各2ビット整数部値の最下位ビットの2進値状態を規定するPLSBタイミング制御ストリームと、各2ビット整数部値の最上位ビットの2進値状態を規定するPMSBタイミング制御ストリームとからなり、そのタイミング制御PLSBおよびPMSBストリームは、図15に入力として、および排他的論理和ゲート1113aに第1と第2の入力として供給される。排他的論理和ゲート1113aからの出力ストリームは、排他的論理和ゲート1114aにその第1の入力として供給される。排他的論理和ゲート1114aに第2の入力として指数符号値が供給される。その指数符号値は、±I出力ストリームの位相符号に対する、図15に示されるサンプル形複素周波数発生器からの±R出力ストリームの所望の位相符号に対応する。排他的論理和ゲート1114aからの出力ストリームは図15にPMDSBタイミング制御入力ストリームとして供給される。
【0053】
マルチスケール・ディジタル変換器204からのサンプル済み±R値出力ストリームは、無符号変換器206によって全て正(+)のR値出力ストリームに変換された後、D/A変換器104の入力にディジタル・サンプルのストリームとして供給される。D/A変換器104からのアナログ出力は、擬似キャリア周波数(−17.08または−23.08MHz)を中心とする6MHzシンボル帯域幅信号または5.38MHzを中心とする6MHzシンボル帯域幅信号のサンプリング・レート周波数(86.08MHz)に関して、影像周波数(チャンネル4用の69MHzまたはチャンネル3用の63MHz)を中心とする6MHzシンボル帯域幅信号を含んでいる。アナログ・フィルタ106は、69MHzを中心とするチャンネル4信号、63MHzを中心とするチャンネル3信号、および5.38MHzを中心とするベースバンド信号を通過させる周波数通過帯域を有するが、シンボル変調済みの−17.08および−23.08MHz擬似キャリア信号の両方を除去(阻止)する。
【0054】
次に、図17を参照して説明すると、この図は、−86.08MHz〜86.08MHzに広がる周波数範囲にわたるsinx/x表現の正規化された大きさのグラフである。さらに、図17には、注目のそれぞれの周波数−69MHz(チャンネル4)、−63MHz(チャンネル3)、−23.08MHz擬似キャリア、−17.08MHz擬似キャリア、−5.38MHzベースバンド、5.38MHzベースバンド、17.08MHz擬似キャリア、23.08MHz擬似キャリア、63MHz(チャンネル3)および69MHz(チャンネル4)を中心とする6MHzの帯域幅にわたる大きさに対するsinx/x表現の可変効果が示されている。ベースバンドの各々の6MHz帯域幅にわたるsinx/x表現のスペクトル形状の“スロープ(slope:傾斜)”だけが、平坦にするために(これは、図18において、x/sinx表現1300と、チャンネル3、チャンネル4および5.38MHzIFベースバンドの各々の6MHz帯域幅との交差(交点)によって示されている)、その6MHz帯域幅にわたるx/sinx傾斜補正を必要とする。
【0055】
5.38MHz、63MHzおよび69MHz中心周波数の各々に対する適正なx/sinxゲイン(利得)値は、D/A変換器104によって使用されるDC基準大きさ(レベル)を変えることによって得られる。しかし、ディジタルsinx/x補償器による動作は、キャリアを変調する±Rおよび±I複素サンプル済みデータストリームの前に生じ、それらのサンプル済みデータストリームのサンプリング周波数レートで6MHz帯域幅にわたるスペクトル形状“スロープ”の適当なx/sinx傾斜補正を行う。図2に示されているように、sinx/x補償器202は、マルチスケール変調器204の直前に位置し、10.76MHzのサンプリング周波数レートで動作する。
【0056】
sinx/x補償器202は、サンプリング周波数レート10.76MHzで動作し、6MHz帯域幅にわたる5.38MHz、63MHzまたは69MHzsinx/xスペクトル形状の簡単だが近似的な線形のスロープx/sinx傾斜補正、またはこれらのスペクトル形状の中の任意のもののより正確な曲線に適合する“スロープ”x/sinx傾斜補正の何れかを実行することができる。
【0057】
近似的アプローチは、VSB変換器200からsinx/x補償器202への±Rおよび±I複素データ入力ストリームの各々を処理する次の3タップ・フィルタを用いて実装構成される。
【数4】
Figure 0004562105
【0058】
このフィルタは、D/A変換器104によって後で行われる“sinx/x”による“傾斜(チルト:tilt)”の反対方向に、その±Rおよび±I複素データ入力ストリームを予め傾斜(予備傾斜)させる。しかし、この近似的アプローチは、真のインバース(逆処理)ではなく、その結果として“補正された”帯域のパラボラ(放物線)歪みが生じる。
【0059】
sinx/xスペクトル形状の実際のスロープ形状が非線形なので、近似的予備傾斜技術は、次善のもの(sub−optimal)であるが、依然として有効である。具体的には、近似的予備傾斜技術を用いた結果、得られるアナログ信号のルート(平方根、root raised)コサイン形状に歪みが生じるが、テレビジョン受信機の等化器はその残りの損傷(歪み)を補償することができる。
【0060】
非線形x/sinx予備傾斜技術において、補償しようとするチャンネルにおけるD/A変換器104のx/sinx特性は、そのチャンネル中心について偶数または奇数対称部分に分解(decompose)される。偶数対称部分は、リボン(bow)形状であり、実部係数偶数対称フィルタ(チャンネル中心ではなくてDCについて)とマッチ(整合)する。奇数対称部分は{x/sinx/((1−2*β)+2*β*cos(2*π*f/fs))}に等しく、4またはそれより多いサンプル/1シンボル(これは、D/A変換器104の供給される変調済みキャリア・データストリームの8サンプル/1シンボルによって満たされるより多い)の所望の6MHz補正帯域幅を横切る残留線形形状を実効的に有する。この残留線形形状の奇数対称部分は複素係数奇数非対称フィルタとマッチ(整合)する。
【0061】
カスケード接続された偶数スペクトル対称フィルタと奇数スペクトル非対称フィルタによるディジタルsinx/x補償器202における濾波は、1サンプル/1シンボル±Rおよび±I複素DC中心データストリームのサンプル上でサンプリング周波数レート10.76MHzで発生することが好ましい。6MHzのチャンネル帯域幅におけるシンボル・レート10.76Msym/secにおいて、補償は、z領域(z-1=e-j ω Ts、Ts=時間的シンボル間隔)における単位円の55%の上で生じる。ディジタルsinx/x補償器202における補正された信号は、特定のアナログ・チャンネル(例えばTVチャンネル3または4)に属し、サンプリング周波数10.76MHzで1サンプル/1シンボル処理によって先に予備補正されるが、それによって消去(減殺)される効果は、8倍高いサンプリング周波数レート86.08MHzでクロック制御されるD/A変換器104によって後で生じる。
【0062】
図19には、カスケード接続されたsinx/x補償フィルタの典型的な回路が例示されており、その図は2つの3タップ・トランスバーサル・フィルタのカスケード接続であることが分かるであろう。sinx/x補償のより高い精度を実現するには、多数のタップを有するフィルタを用いればよい。
【0063】
さらに、ディジタルsinx/x補償器202は、VSB変換器200の上述のマルチプレクサ311に動作が類似しているマルチプレクサ(図示せず)を組み込んで、実数である全ての計算済みx/sinx値をそこから±Rデータ出力ストリームとして転送させ、虚数である全ての計算済みx/sinx値をそこから±Iデータ出力ストリームとして転送させる。
【0064】
ディジタルVSB変調器102の実際のハードウェア実装においては、2の補数の2進コードを用いて全ての計算を行った。さらに、本発明の上述の多数の特徴の全てはディジタルVSB変調器102の環境について説明したが、これらの発明の特徴の1つまたはそれより多くのサブセット(sub−set:部分)は、例えばQAMまたはOFDM変調器のようなディジタルVSB変調器102とは異なる種々のタイプの装置において一般的な利用性が見つかることを理解すべきである。従って、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定されるよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ストリーム・ソースから変調器に入力として転送されたディジタルPCMサンプル・ストリームから、HDTVへの入力信号を取り出すためのVSBディジタル変調器を含んでいる装置の機能ブロック図である。
【図2】図2は、図1に示されるVSBディジタル変調器の諸構成要素の機能ブロック図である。
【図3】図3は、図2に示される1サンプル/1PCMシンボル−DC中心VSB変換器の好ましい実施形態を図的に示している。
【図4】図4は、図3に示される2分岐多重Nタップ・ルート・ナイキストFIRフィルタの詳細を概略的に示している。
【図5】図5は、図6および図7と共に、図4に示される2分岐多重Nタップ・ルート・ナイキストFIRフィルタの動作によってVSB変換器出力を発生する方法をグラフ的に示している。
【図6】図6は、図5および図7と共に、図4に示される2分岐多重Nタップ・ルート・ナイキストFIRフィルタの動作によってVSB変換器出力を発生する方法をグラフ的に示している。
【図7】図7は、図5および図6と共に、図4に示される2分岐多重Nタップ・ルート・ナイキストFIRフィルタの動作によってVSB変換器出力を発生する方法をグラフ的に示している。
【図8】図8は、チャンネル3、チャンネル4およびベースバンドに対するそれぞれのデータ変調されたキャリア周波数を決定するサンプル値のストリームを所定のサンプリング周波数レートで取り出すための第1の設計アプローチを用いた、図2のマルチスケールのディジタル変調器の実施形態を示している。
【図9】図9は、チャンネル3、チャンネル4およびベースバンドに対するそれぞれのデータ変調されたキャリア周波数を決定するサンプル値のストリームを所定のサンプリング周波数レートで取り出すための第1の設計アプローチを用いた、図2のマルチスケールのディジタル変調器の実施形態を示している。
【図10】図10は、チャンネル3、チャンネル4およびベースバンドに対するそれぞれのデータ変調されたキャリア周波数を決定するサンプル値のストリームを所定のサンプリング周波数レートで取り出すための第1の設計アプローチを用いた、図2のマルチスケールのディジタル変調器の実施形態を示している。
【図11】図11は、チャンネル3、チャンネル4およびベースバンドに対するそれぞれのデータ変調されたキャリア周波数を決定するサンプル値のストリームを所定のサンプリング周波数レートで取り出すための第1の設計アプローチを用いた、図2のマルチスケールのディジタル変調器の実施形態を示している。
【図12】図12は、チャンネル3、チャンネル4およびベースバンドに対するそれぞれのデータ変調されたキャリア周波数を決定するサンプル値のストリームを所定のサンプリング周波数レートで取り出すための第2の設計アプローチを用いた、図2のマルチスケールのディジタル変調器の実施形態を示している。
【図13】図13は、図12の複素キャリア発生器の代替実施形態を示している。
【図14】図14は、図13において使用されるリスケーラ手段を示している。
【図15】図15は、図12の複素キャリア発生器の代替実施形態を示している。
【図16】図16は、図12の複素キャリア発生器の代替実施形態を示している。
【図17】図17は、ディジタル−アナログ変換器によって出力される変調済みの擬似キャリアおよび所望のキャリアを示すグラフである。
【図18】図18は、図2および図19に示されるディジタルsinx/x補償器によって行われる所望のキャリアの改善の図的表現を示すグラフである。
【図19】図19は、カスケード接続されたsinx/x補償フィルタの典型例の回路を示している。
【符号の説明】
202 ディジタル化サンプルのストリーム
800 1サンプル/1シンボル−8サンプル/1シンボル変換器
802 複素変調器
804 複素キャリア発生器

Claims (16)

  1. ディジタル信号によって変調されたキャリアを発生する複素ディジタル変調器であって、
    所定のサンプル・レートで発生するディジタル信号のソースと、
    前記ディジタル信号に応答して前記所定のサンプル・レートより高い実効サンプル・レートURのサンプルを供給する出力を有するアップサンプラと、
    前記アップサンプラの出力に結合された信号入力と、キャリア入力とを有する複素変調器と、
    前記キャリア入力に供給される前記より高いサンプル・レートで発生する各複素数値を有する指数キャリアを表すS複素数値の反復シーケンスのソースと、
    を具え、前記所定のサンプル・レートに対する前記より高いサンプル・レートの比率は、周波数PSの擬似キャリアを中心とする複素変調を与えるように前記変調器を条件付けるように選択されるものであり、前記擬似キャリアは、UR+PSの合計などの画像周波数を有する(URは正の値、PSは複素指数キャリアを表し、Sは整数)
    複素ディジタル変調器。
  2. 前記アップサンプラと変調器は、リサンプラ、第1の変調器、アップサンプラおよび第2の変調器のカスケード接続からなるものである、請求項1に記載のディジタル変調器。
  3. 前記リサンプラは実効的に第1の比率でアップサンプルし、前記アップサンプラは実効的に第2の比率でアップサンプルし、これら2つの比率の積は前記所定のサンプル・レートに対する前記より高いサンプル・レートの比率に対応するものである、請求項2に記載のディジタル変調器。
  4. 前記リサンプラは実効的に毎秒10.76メガサンプルから毎秒17.76メガサンプルにアップサンプルし、前記アップサンプラは実効的に毎秒17.76メガサンプルから毎秒86.08メガサンプルにアップサンプルする、請求項3に記載のディジタル変調器。
  5. 前記リサンプラは実効的に第1の比率でダウンサンプルするダウンサンプラであり、前記アップサンプラは実効的に第2の比率でアップサンプルする、請求項2に記載のディジタル変調器。
  6. 前記リサンプラは実効的に毎秒10.76メガサンプルから毎秒6.24メガサンプルにダウンサンプルし、前記アップサンプラは毎秒6.24メガサンプルから毎秒86.08メガサンプルにアップサンプルする、請求項2に記載のディジタル変調器。
  7. さらに、各値が前記リサンプラによって供給されるサンプルの発生レートに等しいレートで発生し、前記第1の変調器にキャリア信号として結合される第1の反復シーケンスの値のソースと、
    各値が前記アップサンプラによって供給されるサンプルの発生レートに相当するレートで発生し、前記第2の変調器にキャリア信号として供給される第2の反復シーケンスの値のソースと、
    を具える、請求項2に記載のディジタル変調器。
  8. さらに、変調された信号として前記複素変調の実数部分のみを使用する手段を具える、請求項1に記載のディジタル変調器。
  9. 複素信号で変調された複素キャリアを発生する方法であって、
    所定のサンプル・レートで発生する複素信号値として前記複素信号を供給するステップと、
    前記複素信号値をより高いサンプル・レートにアップサンプルするステップと、
    前記より高いサンプル・レートで発生する別の複素数値の反復シーケンスを供給するステップと、
    アップサンプルされた前記複素信号値で前記別の複素数値を変調して、複素信号で変調された前記複素キャリアを供給するステップと、
    を含む、変調された複素キャリアを発生する方法。
  10. 前記アップサンプルするステップは2つの段階で実行され、変調は各段階の後で実行されるものである、請求項9に記載の方法。
  11. 所定の周波数帯域幅にわたってデータによって変調された所定のキャリア周波数値からなるアナログ信号を取り出す装置であって、
    前記データによって変調されたサンプルされたキャリアを規定するディジタル・サンプル値のストリームを発生させるディジタル回路を具え、
    前記ストリームの連続するサンプルは所定のサンプル周波数のレートで発生し、前記サンプルされたキャリアは所定のキャリア周波数値を有するものであり、
    さらに、ディジタル−アナログ変換器(D/A)と、
    前記所定のサンプル周波数の前記レートでディジタル・サンプル値の前記ストリームを前記D/A変換器にその入力として供給する手段と、
    を具え、
    それによって、前記D/A変換器からの出力は前記アナログ信号を構成するものであり、
    前記ディジタル回路は、
    データ・サンプル値の、DC中心の実部(±R)および虚部(±I)のサンプルされたデータストリームのソースと、
    ディジタル複素変調器を含み、このディジタル複素変調器は、この変調器に変調信号入力として供給されるデータ・サンプル値の、前記DC中心の実部(±R)および虚部(±I)のサンプルされたデータストリームに応答して、前記ディジタル回路からサンプルされたデータ変調された擬似キャリア出力として全て正(+)のサンプル値からなる1つのデータ変調されたサンプルされたRストリームを取り出すものである、
    アナログ信号を取り出す装置。
  12. 前記データ・サンプル値の、±Rおよび±Iのデータストリームが連続したデータ・シンボルの各々を規定し、前記1つのデータ変調されたサンプルされたRストリームは、86.08Mhzのサンプリング周波数レートで発生し、
    前記±Rおよび±Iのデータストリームが概ね86.08MHzのサンプリング周波数レートで発生し、各データ・シンボルが前記±Rおよび±Iのデータストリームの8個の連続したデータ・サンプル値によって規定される、
    請求項11に記載の装置。
  13. 前記所定のキャリア周波数値は、6MHzの帯域幅を有するテレビジョン・チャンネル3および4から選択された1つの中心周波数であり、
    前記1つのデータ変調されたサンプルされたRストリームは、前記テレビジョン・チャンネル3および4から選択された1つが63MHzを中心とするテレビジョン・チャンネル3であるときに概ね−23.08MHzのデータ変調されたサンプルされた擬似キャリア周波数値を規定し、前記テレビジョン・チャンネル3および4から選択された1つが69MHzを中心とするテレビジョン・チャンネル4であるときに概ね−17.08MHzのデータ変調されたサンプルされた擬似キャリア周波数値を取り出す、
    請求項12に記載の装置。
  14. 前記ディジタル回路は、
    入力として供給されるソースからのディジタル化されたパルス・コード変調(PCM)サンプルのストリームに応答して±Rおよび±IのサンプルされたデータストリームのDC中心残留側波帯(VSB)データ・サンプル値を出力として取り出す1サンプル/1PCMシンボル−DC中心VSB変換器と、
    入力として供給される前記1サンプル/1PCMシンボル−DC中心VSB変換器からの±Rおよび±Iのサンプルされたデータストリームのデータ・サンプル値に応答して±Rおよび±Iのサンプルされたデータストリームのデータ・サンプル値を出力として取り出し、前記ディジタル複素変調器に対する変調信号入力として供給する手段と、
    を具える、請求項11に記載の装置。
  15. 前記ソースからのディジタル化されたPCMサンプルの前記ストリーム、前記1サンプル/1PCMシンボル−DC中心VSB変換器からのサンプルされたデータストリーム、および前記ディジタル複素変調器に対する変調信号入力として供給される前記±Rおよび±Iのサンプルされたデータストリームは、全て、サンプリング周波数の値、前記所定のサンプリング周波数レートの値の所定の劣調波のレートで発生する、請求項14に記載の装置。
  16. 前記1つのデータ変調されたサンプルされたRストリームは、概ね5.38MHzのキャリア周波数値を中心とするデータ変調されたサンプルされた6MHz帯域幅のベースバンド・キャリアを規定する、請求項13に記載の装置。
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