JP4560972B2 - 車両の空調装置およびその組付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両のルーフ部に沿って配設されるルーフダクトを通風ダクトの一部として備えた車両の空調装置、及びその組付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の空調装置として、車両に搭載した送風源(空気調和機:所謂、エアコン)からの空調風を車室内に送給する通風ダクトの一部として、車両ルーフ部に沿って配設された、所謂、ルーフダクトを備えたものは公知である。
例えば、特開平7−156649号公報には、車両の後席専用の空気調和機を備え、該後席用の空気調和機から車室内の後席側に供給する空調風の通風ダクトを、基本的には、リヤピラーに沿って上下方向に配設されるピラーダクトと、ルーフ部に沿って配設されるルーフダクトとで構成するようにしたものが開示されている。
【0003】
しかしながら、この場合には、通風ダクトを構成するために、単独のダクト完成品として2種類のダクト(ピラーダクトとルーフダクト)が必要とされるので、それだけコスト高になるという難点がある。
【0004】
この点に関して、例えば、実開平3−109905号公報には、車室ルーフ部を覆うルーフトリムの少なくとも一部に成形天井を形成するに際し、その天井基材側にダクト部を一体的にブロー成形するようにした構成が開示されている。この場合には、ルーフダクトを別工程で製作しこれを車室ルーフ部に沿ってわざわざ配設する必要は無い。
【0005】
ところで、車室ルーフ部にルーフダクトが配設された車両では、車室内に空調風を吹出し供給するために、ルーフトリムの所定箇所に空調風吹出し口が形成され、該吹出し口には、通常、例えば格子状あるいは桟状などの窓部を有する空調グリルが装着される。
このようなルーフトリムを車体ルーフ部材に取り付ける場合には、まず、ルーフダクトをルーフトリムの上側(ルーフパネル側)に組み付けて両者を一体化させておき、車両組立ラインにおいて、このルーフダクト付きのルーフトリムを車体ルーフ部材(例えば、ルーフパネルの補強部材など)に対して固定し、その後に、上記空調グリルをルーフトリムの空調風吹出し口に装着するのが、一般的である。
【0006】
上記空調グリルは、通常、ルーフトリムの空調風吹出し口の周縁サイズよりも若干大きく設定された外周サイズを有する複数の弾性爪部を外周部に備えて構成されており、その空調グリルの装着作業は、車室内側から一定以上の押し込み力を加えながら上記空調グリルを空調風吹出し口に押し込み、このとき、空調グリルの外周爪部を若干量弾性変形させて空調風吹出し口に係合させることにより行なわれる。
すなわち、この空調グリルの装着作業時には、一定以上の押圧力がルーフトリムの空調風吹出し口附近に作用することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
周知のように、上記空調風吹出し口は、車室内の空調ムラをできるだけ小さくするためには、複数のものがルーフトリムの適所に設けられることが好ましい。
このような空調風吹き出し口を複数設ける場合、これらが余りに離間した位置に設けられると、ルーフダクトの配設構造が過度に複雑なものとなる。従って、複数の空調風吹出し口が比較的近接して設けられる場合も少なくない。
【0008】
しかしながら、このように、ルーフトリムに複数の空調風吹出し口が比較的近接して設けられている場合には、ルーフトリムのこれら空調風吹出し口どうしの間に位置する部分の強度および剛性が低くなる。そして、空調グリルの装着時、ルーフトリムの空調風吹出し口に空調グリルが押し込まれた際には、その押圧力によりルーフトリムのグリル装着部(空調風吹出し口)及びその近傍が上方へ変位し易くなる。このため、ルーフトリムの特に空調風吹出し口どうしの間に位置する部分に無理な変形が生じ易くなるので、空調グリルの装着作業が難しいものとなり、また、装着された空調グリルの支持剛性も不充分なものとなりがちであった。
【0009】
この発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたもので、ルーフダクトが取り付けられたルーフトリムの空調風吹出し口に空調グリルを装着する際に、この装着時の押圧力によるルーフトリムの変位を規制して無理な変形が生じることを防止し、また、装着された空調グリルの支持剛性を高めることを、基本的な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため、本願の請求項1に係る発明(以下、第1の発明という)は、車両のルーフ部に沿って配設されるルーフダクトを通風ダクトの一部として備えた車両の空調装置において、上記ルーフダクトは、車室の天井部を覆うルーフトリムと、該ルーフトリムのルーフパネル側に配設されルーフトリムと共に閉断面状の空調風通路を形成するダクト形成部材とで構成され、上記ルーフトリムの所定部位に、それぞれ空調グリルが装着される複数の空調風吹出し口が形成され、これら空調風吹出し口の少なくとも一部のものどうしが比較的近接して設けられており、上記ダクト形成部材には、これら比較的近接した空調風吹出し口のうちの一部の空調風吹出し口に対応する部分に、車体ルーフ部材への固定部が設けられるとともに、比較的近接した空調風吹出し口どうしの間において上記一部の空調風吹出し口の側に偏った位置に、上記ルーフトリムの上記ダクト形成部材側への変位を規制する規制部材が設けられていることを特徴としたものである。
【0011】
また、本願の請求項2に係る発明(以下、第2の発明という)は、上記第1の発明において、上記規制部材は上記ダクト形成部材から上記ルーフトリムに向かって突出する突出部であり、該突出部により上記比較的近接した空調風吹出し口の間が実質的に仕切られることを特徴としたものである。
【0012】
更に、本願の請求項3に係る発明(以下、第3の発明という)は、上記第1の発明において、上記規制部材は上記ダクト形成部材から上記ルーフトリムに向かって伸びるボス部であり、該ボス部を介して、上記ダクト形成部材が、固定部材により上記ルーフトリムと共に車体ルーフ部材に固定されることを特徴としたものである。
【0015】
また、更に、本願の請求項4に係る発明(以下、第4の発明という)は、車両のルーフ部に沿って配設されるルーフダクトを通風ダクトの一部として備えた車両の空調装置の組付方法であって、それぞれ空調グリルが装着される複数の空調風吹出し口が比較的近接して形成されたルーフトリムに、該ルーフトリム側に突出する突出部を有するダクト形成部材をルーフパネル側に結合することにより、該ダクト形成部材と上記ルーフトリムとで形成された閉断面状の空調風通路を有するルーフダクトを構成するルーフダクト形成工程と、上記比較的近接した複数の空調風吹出し口のうちの一部のものを残して、他の空調風吹出し口に空調グリルを予め装着する第1のグリル装着工程と、上記空調グリルが装着されていない残りの空調風吹出し口を通して、上記ダクト形成部材を車体ルーフ部材に固定する固定工程と、上記残りの空調風吹出し口に空調グリルを装着する第2のグリル装着工程とを有することを特徴としたものである。
【0016】
【発明の作用および効果】
本願の第1の発明によれば、閉断面状の空調風通路を有するルーフダクトは、ルーフトリムにダクト形成部材を(ルーフパネル側に)配設して構成される。換言すれば、ルーフダクトの製作とルーフトリムへの組付とを1つの工程で兼用して行なうことができるので、ダクト完成品としてのルーフダクトを別工程で製作しておき、これをルーフトリムに組み付ける場合に比べて、ルーフダクトの形成工程を簡略化して、ルーフダクトの製作および組付コストを低減することができる。
そして、このような構成で、ルーフトリムに形成された複数の空調風吹出し口の少なくとも一部のものどうしが比較的近接して設けられている場合について、上記ダクト形成部材を(ルーフトリムと共に)車体ルーフ部材へ固定する固定部が、上記比較的近接した空調風吹出し口のうちの一部の空調風吹出し口に対応する部分に設けられており、この空調風吹き出し口には、ダクト形成部材の固定作業後に空調グリルが装着されるので、この固定部が車室内から見え難くなり、車室天井部の見映えを向上させることができる。また、この場合において、上述の比較的近接した空調風吹出し口どうしの間において上記一部の空調風吹出し口の側に偏った位置に、上記ルーフトリムの上記ダクト形成部材側への変位を規制する規制部材が設けられているので、特に、ダクト形成部材の固定作業後に上記一部の空調風吹出し口へ空調グリルを装着するとき、空調風吹出し口に空調グリルが押し込まれ、その押圧力がルーフトリムのグリル装着部(空調風吹出し口)及びその近傍に作用した際、その上方への(ダクト形成部材側への)変位は上記規制部材でより効果的に規制される。従って、ルーフトリムの特に空調風吹出し口どうしの間に位置する部分に無理な変形が生じることがより有効に防止される。これにより、空調グリルの装着作業が容易なものとなり、また、装着された空調グリルの支持剛性も向上する。
【0017】
また、本願の第2の発明によれば、基本的には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記規制部材はダクト形成部材からルーフトリムに向かって突出する突出部であり、該突出部により上記比較的近接した空調風吹出し口の間が実質的に仕切られるので、これら吹出し口から各々吹き出される空調風が互いに混ざり合ってそれぞれのスムースな流れを妨げ合うことが抑制され、整流効果が高められる。
【0018】
更に、本願の第3の発明によれば、基本的には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記規制部材はダクト形成部材からルーフトリムに向かって伸びるボス部であり、該ボス部を介して、上記ダクト形成部材が、固定部材により上記ルーフトリムと共に車体ルーフ部材に固定されるので、ルーフトリム及びダクト形成部材を車体ルーフ部材に固定するためのボス部と、ルーフトリムの変位規制用の上記規制部材とを兼用させることができ、構成の簡略化に寄与することができる。
【0021】
また、更に、本願の第4の発明によれば、車両のルーフ部に沿って配設されるルーフダクトを通風ダクトの一部として備えた車両の空調装置を組み付けるに際して、ルーフダクト形成工程で、ルーフトリムにダクト形成部材を(ルーフパネル側に)結合することにより、閉断面状の空調風通路を有するルーフダクトが構成される。換言すれば、ルーフダクトの製作とルーフトリムへの組付とを1つの工程で兼用して行なうことができるので、ダクト完成品としてのルーフダクトを別工程で製作しておき、これをルーフトリムに組み付ける場合に比べて、ルーフダクトの形成工程を簡略化して、ルーフダクトの製作および組付コストを低減することができる。
また、第1のグリル装着工程で、比較的近接した複数の空調風吹出し口のうちの一部のものを残して、他の空調風吹出し口に空調グリルが予め(ルーフダクト及びルーフトリムが車体ルーフ部に取付・固定される前に)装着されるので、残されたもの以外の他の空調グリルについて、その装着作業を比較的容易に行なうことができる。
そして、固定工程で、空調グリルが装着されていない残りの空調風吹出し口を通して上記ダクト形成部材が車体ルーフ部材に固定され、第2のグリル装着工程で、上記残りの空調風吹出し口に空調グリルが装着されるので、ダクト形成部材の車体ルーフ部材への固定部が車室内から見え難くなり、車室天井部の見映えを向上させることができる。
以上の場合において、上記ダクト形成部材にはルーフトリム側に突出する突出部が設けられているので、ルーフトリムの空調風吹出し口への空調グリル装着時、空調風吹出し口に空調グリルが押し込まれた際に、その押圧力がルーフトリムのグリル装着部(空調風吹出し口)及びその近傍に作用しても、そのダクト形成部材側への変位は上記突出部により規制される。従って、ルーフトリムの特に空調風吹出し口どうしの間に位置する部分に無理な変形が生じることが有効に防止される。これにより、空調グリルの装着作業がより容易なものとなり、また、装着された空調グリルの支持剛性も向上する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。まず、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図4を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る車両(自動車)の車室後部を概略的に示す側面説明図、また、図2は上記車両の車室後部を車室内から見て概略的に示した斜視図である。
これらの図に示すように、本実施の形態に係る例えば所謂ワン(1)ボックス・タイプとされた自動車Mでは、その車室内に複数の座席シートS1〜S3が配設され、そのうちの少なくとも後2列のシートS2,S3は車室後部に位置している。
【0023】
上記自動車Mでは、車室後部(例えば、最後列のシートS3の側方)に、車室後部専用の空気調和機Ac(所謂、エアコン)が設置され、この空気調和機Acから主として後部座席S2,S3側に空調風を供給するための通風ダクトとして、ピラーダクトDpとルーフダクトDrとが配設されている。
上記ピラーダクトDpは、車体後端の側部において略上下方向に延びるリヤピラーPbに沿って延設され、ルーフダクトDrは、車両Mのルーフ部Rに沿って延設されるものである。
【0024】
本実施の形態では、上記ルーフダクトDrは、単独のダクト完成品を別途に製作しておき、これを車両ルーフ部Rに配設するのではなく、車室の天井部を覆うルーフトリム1に対して、その上側(ルーフパネルP側)に断面形状が略ハット状(若しくは幅広の略コ字状)のダクト形成部材5を配設し、これを組み付けて一体化することにより形成されている。
図3は、このダクト形成部材5が一体化されたルーフトリム1を概略的に示す平面説明図である。また、図4は、図3におけるY4‐Y4線に沿った断面におけるルーフダクト構造を示す断面説明図である。
【0025】
これらの図に示すように、上記ダクト形成部材5は、略ハット状(若しくは幅広の略コ字状)の断面形状を有し、その開口側をルーフトリム1に向けて組み付けられ、周縁フランジ部5fをルーフトリム1の上面に固着(例えば接着)することにより、該ルーフトリム1の上面側(車体ルーフ部Rに取り付けた状態におけるルーフパネルP側)に固定される。
尚、上記ダクト形成部材5及びルーフトリム1は、例えば合成樹脂を材料に用いた射出成形によって製作されている。
【0026】
以上のように、ダクト形成部材5をルーフトリム1に組み付けて固定することにより、ルーフトリム1とダクト形成部材5とで閉断面状の空調風通路が形成される。
すなわち、ルーフダクトDrの製作とそのルーフトリム1への組付とを1つの工程で兼用して行なうことができる。従って、単独のダクト完成品としてのルーフダクトを別工程で製作しておき、これをルーフトリムに組み付ける場合に比べて、ルーフダクトDrの形成工程を簡略化して、ルーフダクトDrの製作および組付コストを低減することができる。
【0027】
上記ルーフトリム1には、その前部にサンルーフ開口としての比較的大きな開口4が形成されるとともに、その後部の適所には、比較的近接した2つの空調風吹き出し口2a,2bが形成され、その一方の吹き出し口2bの側方には、一種の機能部品であるルームランプ取付用の開口部3が設けられている。
【0028】
そして、上記ダクト形成部材5は、ルーフトリム1の後端側部から延び、その先端部分の近傍が上記比較的近接した2つの空調風吹き出し口2a,2bを覆うように配設されている。これら空調風吹き出し口2a,2bには、格子状または桟状の窓部を有する空調グリルGがそれぞれ装着される。尚、ダクト形成部材5の基端側には、上述のピラーダクトDpに接続される接続部5aが形成されている。
【0029】
上記空調グリルGは、例えば格子状あるいは桟状の窓部Gwと、この窓部Gwの外周側を保持するホルダ部Ghを備え、このホルダ部Ghの適所複数箇所に爪部Gdが設けられている。上記窓部Gw及びホルダ部Ghは、例えば合成樹脂で形成されている。また、ルーフトリム1の上面側には、上記爪部Gdを係合させる所定高さの断面L字状の環状部材9が、空調風吹出し口2a,2bの周縁に沿って固定されている。
尚、上記窓部Gwとしては、摘みを操作することにより、その格子あるいは桟の向きを変えて風向きを調整できる調整ルーバを備えたタイプのものが好ましい。
【0030】
空調グリルGの爪部Gdの外径寸法は、空調風吹出し口2a,2bの周縁サイズ(周縁部に固定された環状部材9の内径寸法)よりも若干大きく設定されており、空調グリルGを空中風吹出し口2a,2bに装着する際には、車室内側から一定以上の押し込み力を加えながら空調グリルGの上記ホルダ部Ghを空調風吹出し口2a,2bに押し込む。このとき、ホルダ部Ghの外周爪部Gdが若干量弾性変形して上記環状部材9に係合することにより、当該空調グリルGが空調風吹出し口2a,2bに装着されるようになっている。
【0031】
本実施の形態では、上記比較的近接した空調風吹出し口2a,2bどうしの間に位置するルーフトリム1と上記ダクト形成部材5との間に、ルーフトリム1のダクト形成部材5側(つまり、車体ルーフ部Rへの組付状態における上側)への変位を規制する規制部材として、上記ダクト形成部材5からルーフトリム1に向かって突出する突出部6が設けられている。
この突出部6は、ダクト形成部材5の下面から上記ルーフトリム1の近傍まで伸長しており、該突出部6により、上記比較的近接した空調風吹出し口2a,2bの間が実質的に仕切られることになる。
【0032】
このように、比較的近接した空調風吹出し口2a,2bどうしの間に位置するルーフトリム1とダクト形成部材5との間に、ルーフトリム1のダクト形成部材5側への変位を規制する規制部材としての突出部6を設けたことにより、上記空調風吹出し口2a,2bへの空調グリルG装着時、空調風吹出し口2a,2bに空調グリルGが押し込まれた際に、その押圧力がルーフトリム1のグリル装着部2a,2b(空調風吹出し口)及びその近傍に作用しても、その上方への(ダクト形成部材5側への)変位は上記突出部6により規制される。従って、ルーフトリム1の特に空調風吹出し口2a,2bどうしの間に位置する部分に無理な変形が生じることが有効に防止される。これにより、空調グリルGの装着作業が容易なものとなり、また、装着された空調グリルGの支持剛性も向上する。
【0033】
また、ルーフダクトDrの閉断面空間内において、上記突出部6により上記比較的近接した空調風吹出し口2a,2bの間が実質的に仕切られるので、これら吹出し口2a,2bから各々吹き出される空調風が互いに混ざり合ってそれぞれのスムースな流れを妨げ合うことが抑制され、整流効果が高められるのである。
【0034】
車体ルーフ部Rには、ルーフパネルPの下面側に、該パネルPを補強する補強部材(ルーフ補強材:ルーフ・レインフォースメント)T1,T2が配設されている。尚、これらルーフ補強材T1,T2及び上記ルーフパネルPは、例えば鋼板素材をプレス成形して製作されたものである。
本実施の形態では、ダクト形成部材5に、上記2つの近接した空調風吹出し口2a,2bのうちの一方の空調風吹出し口2bに対応する部分に、車体ルーフ部材(例えば、上記ルーフ補強材T2)への固定部5cが設けられている。また、ルーフトリム1の上記ダクト形成部材5側への変位を規制する規制部材としての突出部6は、比較的近接した上記空調風吹出し口2a,2bどうしの間において、上記ルーフ補強材T2への固定部5cに対応する空調風吹出し口2bの側に偏った部位に位置している。
【0035】
以上の構成において、上記車両のルーフ部RにルーフダクトDrを配設し、また、ルーフトリム1の空調風吹出し口2a,2bに空調グリルGを組み付ける際には、まず、上述のように、上記ダクト形成部材5を、略ハット状断面の開口側がルーフトリム1に面するように組み付けてルーフトリム1の上面側(ルーフパネルP側)に固定し、ルーフトリム1とダクト形成部材5とで閉断面状の空調風通路を有するルーフダクトDrを形成する(ルーフダクト形成工程)。
【0036】
次に、上記比較的近接した2つの空調風吹出し口2a,2bのうち、ダクト形成部材5の固定部5cに対応するもの2bを残して、他の空調風吹出し口2aに空調グリルGを予め装着する(第1のグリル装着工程)。
【0037】
この第1のグリル装着工程においては、上記他の空調風吹出し口2aには、空調グリルGが予め(つまり、ルーフダクトDr及びルーフトリム1が、車体組立ラインで車体ルーフ部Rに取付・固定される前に)装着されるので、その装着作業を比較的容易に行なうことができる。
尚、この第1のグリル装着工程は、上記ルーフダクト形成工程の前に行なわれても良い。この場合には、ルーフトリム1の単体時点で、上記他の空調風吹出し口2aに空調グリルGを装着するので、その装着作業は極めて容易である。
【0038】
次に、例えば車体組立ラインにおいて、空調グリルGが装着されていない(つまり、ダクト形成部材5の固定部5cに対応した)残りの空調風吹出し口2bを通して、上記ダクト形成部材5を車体ルーフ部Rのルーフ補強部材T2に固定する(固定工程)。この固定はネジ部材8をねじ込むことによって行なわれる。
【0039】
そして、最後に、上記残りの空調風吹出し口2bに空調グリルGを装着する(第2のグリル装着工程)。
これにより、ダクト形成部材5の車体ルーフ部材T2への固定部5cが車室内から見え難くなり、車室天井部の見映えを向上させることができる。
【0040】
以上の場合において、上記ダクト形成部材5にはルーフトリム1側に突出する突出部6が設けられているので、ルーフトリム1の空調風吹出し口2a,2bへの空調グリルGの装着時、空調風吹出し口2a,2bに空調グリルGが押し込まれた際に、その押圧力がルーフトリム1のグリル装着部(空調風吹出し口2a,2b)及びその近傍に作用しても、そのダクト形成部材5側への変位は上記突出部6により規制される。従って、ルーフトリム1の特に空調風吹出し口2a,2bどうしの間に位置する部分に無理な変形が生じることが有効に防止される。これにより、空調グリルGの装着作業がより容易なものとなり、また、装着された空調グリルGの支持剛性も向上する。
【0041】
特に、ルーフトリム1の上記ダクト形成部材5側への変位を規制する規制部材としての突出部6は、比較的近接した上記空調風吹出し口2a,2bどうしの間において、上記ルーフ補強材T2への固定部5cに対応する空調風吹出し口2bの側に偏った部位に位置しているので、特に、ダクト形成部材5の固定作業後に上記空調風吹出し口2bへ空調グリルGを装着するとき、空調風吹出し口2bに空調グリルGが押し込まれ、その押圧力がルーフトリム1のグリル装着部(空調風吹出し口2b)及びその近傍に作用した際、その上方への(ダクト形成部材5側への)変位がより効果的に規制されるのである。
【0042】
尚、上記第1の実施の形態では、空調グリルGの爪部Gdを係合させる環状部材9はルーフトリム1の上面側において空調風吹出し口2a,2bに略沿うようにして固定されていたが、この替わりに、例えば図5に示すように、空調風吹出し口2a,2bの周縁を覆うベゼル部材10を取り付けるようにしても良い。
このべゼル部材10は、略コ字形の断面形状を有する本体部10bと、該本体部10bの上片の一部を上方に略90度折り曲げて形成された所定高さの複数の突起部10cとを備えている。
【0043】
上記ベゼル部材10の本体部10bを空調風吹出し口2に嵌合させて、その内側に空調グリルGのホルダ部Ghを装着することにより、該ホルダ部Ghの爪部Gdがベゼル部材10の突起部10cに係合し、空調グリルGが空調風吹出し口2に装着される。尚、上記べゼル部材10は、例えば鋼板素材をプレス成形して製作される。或いは、一定以上の強度・剛性を有する硬質樹脂を材料に用いて成形しても良い。
かかるべゼル部材10を用いることにより、その本体部10bが空調風吹出し口2の周縁を覆って嵌合するので、上述の環状部材9を用いる場合に比べて、空調風吹出し口2及びその近傍がより効果的に補強され、その剛性を高めることができる。
【0044】
次に、本発明の実施の形態の第1参考例について、図6及び図7を参照しながら説明する。尚、以下の説明において、上記第1の実施の形態における場合と同様の構成を備え同様の作用をなすものについては、同一の符号を付し、それ以上の説明は省略する。
図6は、本発明の実施の形態の第1参考例に係るダクト形成部材が一体化されたルーフトリムの要部を拡大して概略的に示す平面説明図である。また、図7は、上記第1参考例に係るルーフダクトの断面構造を示すもので、図6におけるY7‐Y7線に沿った断面におけるルーフダクトの断面説明図である。
【0045】
これらの図に示すように、本参考例では、ルーフトリム1のダクト形成部材13側への変位を規制する規制部材は、例えば鋼板部材をプレス成形して製作され、ルーフトリム1とダクト形成部材13の間に配設されるブラケット14(中間ブラケット)として構成されている。
該中間ブラケット14は、ルーフトリム1の上面に沿った基体部15と、該基体部15から上方に所定高さだけ突出する突出部16とを備えている。
【0046】
該突出部16は、台形の周縁形状の一部を成す断面形状を有しており、その上端面16fの略中央には、下面側からファスナ部材18が貫通して固定されている。
また、上記中間ブラケット14の基体部15には、ルーフトリム1の比較的近接した2つの空調風吹出し口2a,2b及びルームランプLr2を組み付けるためのルームランプ用開口3にそれぞれ対応する部位に、各開口に略沿った所定形状およびサイズの開口部15a,15b,15cが形成されている。
【0047】
車体ルーフ部RにルーフダクトDr2を配設する際には、まず、中間ブラケット14の基体部15の各開口部15a,15b,15cを、ルーフトリム1の各々対応する各開口2a,2b,3にそれぞれ位置合せした上で、両者を例えば接着により接合する。
これにより、中間ブラケット14の突出部16は、ルーフトリム1の比較的近接した2つの空調風吹出し口2a,2bの間に位置することになる。
【0048】
次に、ダクト形成部材13を、その略ハット状断面の開口側がルーフトリム1に面するように組み付けてルーフトリム1の上面側(ルーフパネルP側)に取り付け、そのフランジ部13fを接合して固定し、ルーフトリム1とダクト形成部材13とで閉断面状の空調風通路を有するルーフダクトDr2を形成する。すなわち、前述の第1の実施の形態における場合と同じく、ルーフダクトDr2の製作とそのルーフトリム1への組付とが1つの工程で兼用して行なわれる。
【0049】
これにより、中間ブラケット14の上記突出部16は、ルーフトリム1とダクト形成部材13の間に位置することになる。また、このとき、中間ブラケット14の突出部16の上端面16fが、上記ダクト形成部材13の下面側に当接もしくは若干量の隙間を介して対面するように、ルーフトリム1,中間ブラケット14及びダクト形成部材13の各部の寸法等が設定されている。
【0050】
従って、ルーフトリム1の比較的近接した2つの空調風吹出し口2a,2bは、ルーフトリム1のダクト形成部材13側への変位を規制する規制部材としての上記(中間ブラケット14の)突出部16により、実質的に仕切られることになる。これにより、前述の第1の実施の形態における場合と同じく、比較的近接した2つの空調風吹出し口2a,2bから各々吹き出される空調風について、整流効果が高められる。
尚、ダクト形成部材13には、ファスナ部材18の軸部を挿通させる穴部13hが設けられており、ダクト部材13をルーフトリム1に固定することにより、上記ファスナ部材18の軸部がダクト部材13の上面から所定量以上突出する。
【0051】
そして、このようにダクト形成部材13が一体化されたルーフトリム1が、車両組立ラインにて車体ルーフ部Rに組み付けられる。このルーフトリム1の組付は、上記ファスナ部材18をルーフパネルPの補強部材T3(ルーフ補強材)に締め代をもって嵌合固定することにより行なわれる。
すなわち、ルーフトリム1の車体ルーフ部Rへの組付とダクト形成部材13の車体ルーフ部材(ルーフ補強材T3)への固定とを兼用させることができる。また、この場合、ダクト形成部材13のルーフ補強材T3への固定部が車室側から見えることがないので、見映えが損なわれることもない。
【0052】
そして、その後にルーフトリム1の空調風吹出し口2a,2bに対してそれぞれ空調グリルGが装着される。
このように、ルーフダクトDr2が一体的に配設され車体ルーフ部Rに固定されたルーフトリム1の空調風吹出し口2a,2bに対して、車両組立ラインで(つまり、ルーフトリム1の車体ルーフ部Rへの固定に対して、後付けで)空調グリルGを組み付ける場合でも、空調風吹出し口2a,2bに空調グリルGを押し込む際の押圧力による、ルーフトリム1のグリル装着部(空調風吹出し口2a,2b)及びその近傍のダクト形成部材5側への変位は、上記突出部16により規制される。
【0053】
従って、前述の第1の実施の形態における場合と同じく、ルーフトリム1の特に空調風吹出し口2a,2bどうしの間に位置する部分に無理な変形が生じることが有効に防止される。これにより、空調グリルGの装着作業がより容易なものとなり、また、装着された空調グリルGの支持剛性も高められるのである。
【0054】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図8及び図9を参照しながら説明する。
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るダクト形成部材が一体化されたルーフトリムの要部を拡大して概略的に示す平面説明図である。また、図9は、第2の実施の形態に係るルーフダクトの断面構造を示すもので、図8におけるY9‐Y9線に沿った断面におけるルーフダクトの断面説明図である。
【0055】
これらの図に示すように、本実施の形態では、ルーフトリム21のダクト形成部材25側への変位を規制する規制部材は、該ダクト形成部材25の下面側からルーフトリム21に向かって伸びるボス部26a,26bとして構成されている。
また、このダクト形成部材25には、ルーフトリム21に組み付けた際に、該ルーフトリム21の比較的近接した2つの空調風吹出し口22a,22bの外側部分にそれぞれ対応する部位に、複数のリブ27a,27bが一体的に形成されている。
【0056】
このダクト形成部材25を、その略ハット状断面の開口側がルーフトリム21に面するように組み付けてルーフトリム21の上面側(ルーフパネルP側)に取り付け、そのフランジ部25fを接合して固定し、ルーフトリム21とダクト形成部材25とで閉断面状の空調風通路を有するルーフダクトDr3を形成する。すなわち、前述の実施の形態および参考例における場合と同じく、ルーフダクトDr3の製作とそのルーフトリム21への組付とが1つの工程で兼用して行なわれる。
【0057】
ルーフトリム21のいずれか一方の(例えば前側の)空調風吹出し口22bには、前側のボス部26bに対応した部位に、挿通穴21hを有する固定用の坐部21bが形成されており、上記のようにダクト形成部材25をルーフトリム21に一体化させる際には、前側のボス部26bの軸穴26hが上記坐部21bの挿通穴21hに対して位置合わせされる。
また、このとき、上記各リブ27a,27bの下端部が、所定の隙間を介してルーフトリム21の上面(空調風吹出し口22a,22bの外側部分のルーフトリム上面)に対面するように設定されている。更に、他方の(後側の)ボス部26aも、その下端部が所定の隙間を介してルーフトリム21の上面側に対面するようになっている。
【0058】
そして、このようにダクト形成部材25が一体化されたルーフトリム21が、車両組立ラインにて車体ルーフ部Rに組み付けられる。このとき、上記ボス部26bの軸穴26hを、ルーフパネルPの補強部材T4(ルーフ補強材)に形成された固定用穴部T4hに対して位置合わせした上で、ルーフトリム21がルーフパネルP側に取り付けられる。
【0059】
その後、固定用のネジ部材28が、車室側から上記坐部21bの挿通穴21h及びボス部26bの軸穴26hを順次挿通して組み付けられ、ルーフ補強材T4の固定用穴部T4hにねじ込まれ、これにより、ダクト形成部材25(及びルーフトリム21)が車体ルーフ部材としてのルーフ補強材T4に固定されるようになっている。つまり、上記ボス部26bを介して、ダクト形成部材25が、ネジ部材28によりルーフトリム21と共に車体ルーフ部材T4に固定される。
この場合についても、上述の実施の形態および参考例における場合と同様に、ルーフトリム21の車体ルーフ部Rへの組付とダクト形成部材25の車体ルーフ部材(ルーフ補強材T4)への固定とを兼用させることができる。
【0060】
そして、ルーフトリム21の空調風吹出し口22a,22bに対してそれぞれ空調グリルG3が装着される。この空調グリルG3の少なくとも前側(図8及び図9における左側)のものとしては、空調風吹出し口22b内に設けられた坐部21bとの干渉を回避するために、好ましくは、風向調整のための調整ルーバを備えていないタイプのものが用いられる。
このように、空調グリルG3を空調風吹出し口22bに装着することにより、ダクト形成部材25の車体ルーフ部材T4への固定部21bが車室内から見え難くなり、車室天井部の見映えを向上させることができる。
【0061】
以上のように、ルーフダクトDr3が一体的に配設され車体ルーフ部Rに固定されたルーフトリム21の空調風吹出し口22a,22bに対して、車両組立ラインで(つまり、ルーフトリム21の車体ルーフ部Rへの固定に対して、後付けで)空調グリルG3を組み付ける場合でも、空調風吹出し口22a,22bに空調グリルG3を押し込む際の押圧力による、ルーフトリム21のグリル装着部(空調風吹出し口22a,22b)及びその近傍のダクト形成部材25側への変位は、上記ボス部26a,26b、更にはリブ27a,27bにより規制される。
【0062】
従って、前述の実施の形態および参考例における場合と同じく、ルーフトリム21の特に空調風吹出し口22a,22bどうしの間に位置する部分に無理な変形が生じることが有効に防止される。これにより、空調グリルG3の装着作業がより容易なものとなり、また、装着された空調グリルG3の支持剛性も高められるのである。
特に、この場合には、ルーフトリム21及びダクト形成部材25を車体ルーフ部材T4に固定するためのボス部26bと、ルーフトリム21の変位規制用の規制部材とを兼用させることができ、構成の簡略化に寄与することができる。
【0063】
尚、車体ルーフ部Rへの固定部が設けられていない後側の空調風吹出し口22aについては、空調グリルG3を予め(つまり、ルーフダクトDr3及びルーフトリム21が、車体組立ラインで車体ルーフ部Rに取付・固定される前に)装着するようにしても良い。この場合には、その装着作業を比較的容易に行なうことができる。
【0064】
次に、本発明の実施の形態の第2参考例について、図10及び図11を参照しながら説明する。
図10は、本発明の実施の形態の第2参考例に係るダクト形成部材が一体化されたルーフトリムの要部を拡大して概略的に示す平面説明図である。また、図11は、第2参考例に係るルーフダクトの断面構造を示すもので、図10におけるY11‐Y11線に沿った断面におけるルーフダクトの断面説明図である。
【0065】
これらの図に示すように、本参考例では、ルーフトリム31のダクト形成部材35側への変位を規制する規制部材は、比較的近接した空調風吹出し口32a,32bの間に配置される機能部品としてのランプユニット40で構成されている。
このランプユニット40は、ランプ本体42とそのスイッチ部42(ランプスイッチ)とをケース体41(ランプケース)で保持して構成され、該ケース体41の上端部には、上方に突出する一対のクリップ44が一体的に形成されている。
【0066】
また、上記ルーフトリム31には、比較的近接した2つの空調風吹出し口32a,32bの中間に、上記ランプユニット40を組み付けるためのランプ用開口33が形成されており、ランプユニット40は、そのランプケース41が上記ランプ用開口部33を挿通して、ルーフトリム31に組み付けられる。
【0067】
本参考例では、まず、ダクト形成部材35を、その略ハット状断面の開口側がルーフトリム31に面するように組み付けてルーフトリム31の上面側(ルーフパネルP側)に取り付け、そのフランジ部35fを接合して固定し、ルーフトリム31とダクト形成部材35とで閉断面状の空調風通路を有するルーフダクトDr4を形成する。すなわち、前述の各実施の形態における場合と同じく、ルーフダクトDr4の製作とそのルーフトリム31への組付とが1つの工程で兼用して行なわれる。
尚、上記ダクト形成部材35には、ランプユニット40のクリップ44に対応する部位に、該クリップ44を挿通させる挿通穴35hが形成されている。
【0068】
次に、このようにダクト形成部材35が一体化されたルーフトリム31に対して、ランプユニット40が組み付けられる。この組付は、ランプケース41をルーフトリム31のランプ用開口部33に下面側から挿通させて行なわれ、このとき、ランプケース41上端の各クリップ44が、ダクト形成部材35の対応する挿通穴35hをそれぞれ挿通して上側に所定量だけ突出するようになっている。
これにより、ランプユニット40は、ルーフトリム31の比較的近接した2つの空調風吹出し口32a,32bの間に位置することになる。
【0069】
そして、このようにダクト形成部材35が一体化されたルーフトリム31が、車両組立ラインにて車体ルーフ部Rに組み付けられる。このとき、上記各クリップ44を、ルーフパネルPの補強部材T5(ルーフ補強材)に形成された固定用穴部T5hに対して位置合わせした上で、ルーフトリム31がルーフパネルP側に取り付けられる。
これにより、上記各クリップ44がそれぞれ対応する固定用穴部T5hに嵌着し、ダクト形成部材35(及びルーフトリム31)が車体ルーフ部材としてのルーフ補強材T5に固定されるようになっている。
【0070】
すなわち、この場合も、上述の各実施の形態および参考例における場合と同様に、ルーフトリム31の車体ルーフ部Rへの組付とダクト形成部材35の車体ルーフ部材(ルーフ補強材T5)への固定とを兼用させることができる。また、ランプユニット40のルーフトリム31への取付を、この時点で行なうことにより、更にランプユニット40の組付をも兼用させることもできる。
この場合、ダクト形成部材35のルーフ補強材T5への固定部が車室側から見えることは無いので、見映えが損なわれることはない。
【0071】
また、この場合、ルーフトリム31の比較的近接した2つの空調風吹出し口32a,32bは、ルーフトリム31のダクト形成部材35側への変位を規制する規制部材としてのランプユニット40のランプケース41により、実質的に仕切られることになる。これにより、前述の実施の形態における場合と同じく、比較的近接した2つの空調風吹出し口32a,32bから各々吹き出される空調風について、整流効果が高められる。
【0072】
そして、その後にルーフトリム31の空調風吹出し口32a,32bに対してそれぞれ空調グリルGが装着される。
このように、ルーフダクトDr4が一体的に配設され車体ルーフ部Rに固定されたルーフトリム31の空調風吹出し口32a,32bに対して、車両組立ラインで(つまり、ルーフトリム31の車体ルーフ部Rへの固定に対して、後付けで)空調グリルGを組み付ける場合でも、空調風吹出し口32a,32bに空調グリルGを押し込む際の押圧力による、ルーフトリム31のグリル装着部(空調風吹出し口32a,32b)及びその近傍のダクト形成部材35側への変位は、上記ランプユニット40のランプケース41により規制される。
【0073】
従って、前述の各実施の形態および参考例における場合と同じく、ルーフトリム31の特に空調風吹出し口32a,32bどうしの間に位置する部分に無理な変形が生じることが有効に防止される。これにより、空調グリルGの装着作業がより容易なものとなり、また、装着された空調グリルGの支持剛性も高められるのである。
【0074】
特に、この場合には、ルーフトリム31の変位規制のために専用の部材を別途に設けることなく、上記比較的近接した空調風吹出し口32a,32bの間に配置される機能部品(ルームランプ40)を利用して変位規制を行なうことができ、構成の簡略化に寄与することができるのである。
【0075】
尚、上記のように比較的近接した空調風吹出し口32a,32bの間のルーフトリム部分に配置される機能部品としては、上記ランプユニット40に限定されるものではなく、車室天井部に配設される他の種々の機能部品が考えられる。そして、かかる機能部品を利用してルーフトリムのダクト形成部材側への変位を規制するように設定することが可能である。
このように、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る車両の車室後部を概略的に示す側面説明図である。
【図2】 上記車両の車室後部を車室内から見て概略的に示す斜視図である。
【図3】 上記第1の実施の形態に係るダクト形成部材が一体化されたルーフトリムを概略的に示す平面説明図である。
【図4】 上記第1の実施の形態に係るルーフダクトの断面構造を示すもので、図3におけるY4‐Y4線に沿った断面におけるルーフダクトの断面説明図である。
【図5】 上記第1の実施の形態の変形例に係るべゼル部材の組付状態を示す断面説明図である。
【図6】 本発明の実施の形態の第1参考例に係るダクト形成部材が一体化されたルーフトリムをの要部を拡大して概略的に示す平面説明図である。
【図7】 上記第1参考例に係るルーフダクトの断面構造を示すもので、図6におけるY7‐Y7線に沿った断面におけるルーフダクトの断面説明図である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態に係るダクト形成部材が一体化されたルーフトリムをの要部を拡大して概略的に示す平面説明図である。
【図9】 上記第2の実施の形態に係るルーフダクトの断面構造を示すもので、図8におけるY9‐Y9線に沿った断面におけるルーフダクトの断面説明図である。
【図10】 本発明の実施の形態の第2参考例に係るダクト形成部材が一体化されたルーフトリムをの要部を拡大して概略的に示す平面説明図である。
【図11】 上記第2参考例に係るルーフダクトの断面構造を示すもので、図10におけるY11‐Y11線に沿った断面におけるルーフダクトの断面説明図である。
【符号の説明】
1,21…ルーフトリム
2a,2b,22a,22b…空調風吹出し口
5,25…ダクト形成部材
6…突出部
8…ネジ部材
26a,26b…ボス部
27a,27b…リブ
Ac…(車室後部専用の)空気調和機
Dr,Dr3…ルーフダクト
G,G3…空調グリル
M…自動車
P…ルーフパネル
R…車両のルーフ部
T2,T4…ルーフ補強材(車体ルーフ部材)
Claims (4)
- 車両のルーフ部に沿って配設されるルーフダクトを通風ダクトの一部として備えた車両の空調装置において、
上記ルーフダクトは、車室の天井部を覆うルーフトリムと、該ルーフトリムのルーフパネル側に配設されルーフトリムと共に閉断面状の空調風通路を形成するダクト形成部材とで構成され、
上記ルーフトリムの所定部位に、それぞれ空調グリルが装着される複数の空調風吹出し口が形成され、これら空調風吹出し口の少なくとも一部のものどうしが比較的近接して設けられており、
上記ダクト形成部材には、これら比較的近接した空調風吹出し口のうちの一部の空調風吹出し口に対応する部分に、車体ルーフ部材への固定部が設けられるとともに、比較的近接した空調風吹出し口どうしの間において上記一部の空調風吹出し口の側に偏った位置に、上記ルーフトリムの上記ダクト形成部材側への変位を規制する規制部材が設けられている、
ことを特徴とする車両の空調装置。 - 上記規制部材は上記ダクト形成部材から上記ルーフトリムに向かって突出する突出部であり、該突出部により上記比較的近接した空調風吹出し口の間が実質的に仕切られることを特徴とする請求項1記載の車両の空調装置。
- 上記規制部材は上記ダクト形成部材から上記ルーフトリムに向かって伸びるボス部であり、該ボス部を介して、上記ダクト形成部材が、固定部材により上記ルーフトリムと共に車体ルーフ部材に固定されることを特徴とする請求項1記載の車両の空調装置。
- 車両のルーフ部に沿って配設されるルーフダクトを通風ダクトの一部として備えた車両の空調装置の組付方法であって、
それぞれ空調グリルが装着される複数の空調風吹出し口が比較的近接して形成されたルーフトリムに、該ルーフトリム側に突出する突出部を有するダクト形成部材をルーフパネル側に結合することにより、該ダクト形成部材と上記ルーフトリムとで形成された閉断面状の空調風通路を有するルーフダクトを構成するルーフダクト形成工程と、
上記比較的近接した複数の空調風吹出し口のうちの一部のものを残して、他の空調風吹出し口に空調グリルを予め装着する第1のグリル装着工程と、
上記空調グリルが装着されていない残りの空調風吹出し口を通して、上記ダクト形成部材を車体ルーフ部材に固定する固定工程と、
上記残りの空調風吹出し口に空調グリルを装着する第2のグリル装着工程と、
を有することを特徴とする車両の空調装置の組付方法。
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