JP4560791B2 - 繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法 - Google Patents

繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質層と緻密層が交互に配列した多層構造を有し、かつ、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子が緻密層に含有されている防汚性繊維を少なくとも一部に有する防汚性繊維構造物に関する。
光触媒活性を有する金属酸化物微粒子は、光照射により電子と正孔を発生する。発生した電子は高い還元力を、また、正孔は高い酸化力を有するため、有機物等の分解をすることができる。この性質を防汚機能として利用することが近年盛んに検討されている。
例えば、特許文献1や2では、繊維構造物の表面全体にシランカップリング剤や有機物バインダーを介して酸化チタン等の光触媒活性を有する金属酸化物微粒子を固定し、防汚性を付与せしめている。しかし、固定した金属酸化物微粒子は、摩擦や洗濯などで脱落しやすく、耐久性の面において限界がある。加えて、繊維構造物全体がシランカップリング剤や有機物バインダーで覆われることになるため、当該繊維構造物が本来有している有用な機能が十分に利用できない、あるいは、機能を十分利用するには、相当の工夫が必要とされるなどの問題が生じる。さらに、繊維構造物が酸化・還元に弱い繊維を含む場合、その繊維に対しても光触媒活性を有する金属酸化物微粒子を固定することになるため、当該繊維の劣化を促進し、繊維構造物全体の耐久性を低下させる可能性がある。
また、特許文献3では光触媒活性を有し酸化チタンと酸化ケイ素を含有する複合金属酸化物微粒子をレーヨン繊維内に分散保持させた繊維が開示されており、該繊維を含有する繊維構造物については、洗濯耐久性が優れていることが示されている。また、該繊維100%で構成された繊維構造物が防汚性に優れることも記載されているが、該繊維を汎用繊維などと併用して繊維構造物とした場合、当該汎用繊維については防汚機能を付与されていないため、繊維構造物全体としての防汚性は物足りないものとなってしまう。
この点について、特許文献4に記載されている多孔質繊維中に光触媒活性を有する金属酸化物等を含有させた繊維であれば、汎用繊維と併用した繊維構造物においても、細孔が多く表面積の広い多孔質繊維に汚れ物質が多く吸着され、汎用繊維への汚れ物質の付着量は少なくなるため、繊維構造物全体として見た場合の防汚性は高いものになると考えられる。しかしながら、多孔質繊維は、紡績加工性(静電気発生)、染色性(発色性)等に難点があるため、加工段階において問題がある。
特開2000−265364号公報 特開2000−303352号公報 特開2004−162245号公報 特開平10−57816号公報
以上に述べてきたように、従来技術における防汚性を有する繊維構造物は、防汚機能の耐久性、繊維構造物を構成する繊維に対する機能面、物性面への影響、加工性などについて問題点を有するものであった。本発明は、これらの問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、防汚性に優れた繊維構造物を提供することにある。
本発明者は、上述の目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、以下に示す本発明に到達した。
(1)アクリロニトル含有率の異なる重合体をそれぞれ用いた二種類の紡糸原液から湿式紡糸法によって得られる多層構造の防汚性繊維であって、各紡糸原液で用いられる重合体のアクリロニトリル含有率が共に60重量%以上であり、それぞれのアクリロニトリル含有率の差が1重量%以上であり、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子が、アクリロニトリル含有率の低い方の重合体を用いた紡糸原液から形成された層に含有されており、繊維の細孔表面積が10〜40m/gである防汚性繊維を繊維構造物に5重量%以上含有させることを特徴とする繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。
(2)湿式紡糸法がランダム複合型又はサイドバイサイド型紡糸法であることを特徴とする(1)に記載の繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。
(3)金属酸化物微粒子が酸化チタンであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。
(4)金属酸化物微粒子の粒子径が10〜100nmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。
(5)防汚性繊維の母体100重量部に対して、金属酸化物微粒子が1〜10重量部含有されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。

本発明の防汚性繊維構造物は、防汚性繊維として光触媒活性を有する金属酸化物微粒子を含有する繊維を採用しているので、光照射により繊維表面上に付着した汚れ物質を分解することができる。また、該防汚性繊維は多孔質層と緻密層が交互に配列した多層構造を有しているので、細孔が多く表面積の広い多孔質層に汚れ物質が多く吸着され、その結果繊維構造物を構成する他の繊維への汚れの付着が抑制される。さらに、汚れ物質が多孔質層の細孔内に入り込んで目立たなくなる。これらの機能を併せ持つ本発明の防汚性繊維構造物は優れた防汚性を発揮するものである。加えて、本発明に採用する防汚性繊維は、紡績性、染色性など繊維構造物とする際の加工性にも優れているため、本発明の防汚性繊維構造物は製造工程においても取り扱いやすいものである。
以下に本発明を詳細に説明する。本発明に採用する防汚性繊維においては、その母体となる繊維が多孔質層と緻密層が繊維断面方向に交互に配列した多層構造繊維であることが必要である。多層構造繊維の構造は、一層の多孔質層と一層の緻密層からなる二層以上の多層構造であり、三層以上の場合は、かかる多孔質層と緻密層が交互に配列している。さらに、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子は緻密層側に含有されている。該金属酸化物微粒子は、緻密層側に含有されていれば多孔質層側にも含有されていても構わないが、多孔質層側の微粒子は脱落しやすいため、また、緻密層側に含有されていれば十分な機能が得られるため、コストの面からも緻密層側にのみ含有せしめる方が好ましい。
上述したように本発明に採用する防汚性繊維において母体となる繊維は多孔質層と緻密層が交互に配列した多層構造繊維であるが、該繊維の細孔表面積としては、好ましくは10〜40m/g、更に好ましくは20〜40m/gであることが望ましい。該繊維の細孔表面積が10m/g未満の場合は、汚れ物質の吸着面積が小さくなり、汚れ物質の吸着量が少なくなるため、繊維構造物を構成する他の繊維への汚れ付着が増え、繊維構造物全体としての汚れ具合が大きくなる場合がある。また、40m/gを超える場合には紡績性(静電気)、染色性(発色性)等の加工性に難を生ずる可能性がある。
上記多層構造繊維としては、特に限定はなく、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン系繊維、エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリウレタン繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリクラール繊維、フッ素系繊維、蛋白−アクリロニトリル共重合体系繊維、ポリグリコール酸繊維、フェノール樹脂繊維などの合成繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維を挙げることができる。中でも、アクリロニトリル系重合体からなるアクリル系繊維は、光触媒活性に対し耐性が高いことから、上記多層構造繊維として最も好適なものである。
なお、多孔質層と緻密層が交互に配列した多層構造繊維は、同種あるいは異種の重合体からなる所謂複合繊維である。かかる多層構造繊維を得るための手段としては、それ自体公知の複合繊維の製造方法(サイドバイサイド型、ランダム複合型)から任意に選択出来るが、好ましくは特公昭59−7802号公報記載のような2成分の紡糸原液を任意のエレメント数を設置した登録商標名Kenics Mixer(米国ケニックス社製)、ISG Mixerを通過させた後、口金導入孔の分流板で複合流を導き吐出するいわゆるランダム複合型を採用することによって本発明の目的を有利に達成することが出来る。
本発明に採用する防汚性繊維は、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子を含んでいる。かかる金属酸化物微粒子は、紫外線照射によりその表面で電子と正孔が発生し、周囲の水や酸素から強力な酸化力を有する活性酸素を発生させる物質である。具体的には、Se、Ge、Si、Ti、Zn、Cu、Al、Sn、Ga、In、P、As、Sb、C、Cd、S、Te、Ni、Fe、Co、Ag、Mo、Sr、W、Cr、Ba、Pb等の酸化物などの化合物であって水に不溶のものが挙げられる。これらの中でも酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化タングステンから選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせたものが好適であり、さらに、安全性や価格の面から酸化チタンを用いるのが好ましい。
また、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子の粒子径は、特に限定されるものではないが、平均一次粒子径として、好ましくは10〜100nm、より好ましくは10〜50nm、更に好ましくは15〜30nmであることが望ましい。無論、平均一次粒子径が小さいほど光触媒としての活性は高いわけであるが、平均一次粒子径が10nm未満の場合、繊維に含有させる際の取り扱い性(粉塵)、及び分散性(凝集性)に問題を生ずる可能性がある。一方、平均一次粒子径が100nmを超える場合には、十分な機能が得られない可能性がある。
光触媒活性を有する金属酸化物微粒子の量は、必要とされる防汚性に応じて広い範囲から選択できる。該微粒子の量が少ないと、必要な能力が得られない場合があり、また多すぎると能力としては優れているものの、母体繊維を劣化させたり、繊維の物性を損なったりする恐れがあるため、繊維の母体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1.5〜8重量部であることが望ましい。
以下に、本発明に採用する防汚性繊維の製法の一例として、アクリロニトリル含有量の異なる2種類の重合体を用いたアクリル系繊維の製法について詳述する。まず、ポリアクリロニトリル系重合体としては、単独重合体、公知のモノマーとの共重合体を用いることができるが、混在して繊維を構成する2種類の重合体共にアクリロニトリル(以下、ANともいう)比率が60重量%以上、より好ましくは80重量%以上であることが望ましい。また2種類の重合体のアクリロニトリル含有量の差は、同じ紡糸条件で、一方を多孔質層、他方を緻密層とするためには、それぞれの緻密化条件にある程度の差が必要となるため、その差が1重量%以上、好ましくは2重量%以上であるものが好ましい。
共重合に用いられるコモノマーとしては重合性不飽和ビニル化合物など、アクリロニトリルと共重合するものであれば特に制限はなく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリロニトリル、アクリルアミド、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、スチレン、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸塩、エチレン、プロピレン等を使用することができる。
以上のような2種類のアクリロニトリル系重合体を混在させ繊維を形成させる方法としては、2種類のアクリロニトリル系重合体をそれぞれ単独にポリアクリロニトリルの溶剤に溶解した後、その重合体溶液を特定の紡糸装置・口金に導きサイドバイサイド型とする方法、2種類の重合体溶液を原液多層形成装置を通して紡糸口金に導きランダム複合型とする方法などが挙げられる。中でもランダム複合型が2層を超える多層構造の繊維が得られるため推奨される。なお、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子は、緻密層側の重合体溶液に添加、あるいは重合体に添加して紡糸原液を作成する。
かかるランダム複合型のアクリル系繊維の製造は、例えば以下のようにして行われる。まず、それぞれの重合体を溶剤に溶解して2種の紡糸原液(a,b)とする。この2種の原液a,bは原液多層形成装置に導かれる。かかる装置の例としてはスタティックミキサーである登録商標名Kenics Mixer,あるいはISG Mixer等が挙げられるが、該装置は原液を通過させることにより供給側の原液層数の2〜10倍の原液層数として出口側から送出するものである。かかる装置を複数段使用することで形成される原液の層数は自由に設定できる。
原液多層形成装置の出口側には紡糸口金を装着する。a,b,a,b‥‥の如くにn層に形成された原液がホール数Hを持つ紡糸口金に供給される場合、紡出孔1ホールに供給される原液層数は平均的にはn/H0.5に比例する。比例係数は原液多層形成装置や紡糸口金の形状(紡出孔の配置)、該口金の取り付け方向等の装置条件に依存するので、1本の繊維の断面に要求される層の数に応じてこれらの条件を適合させるのである。
紡糸口金から吐出された紡糸原液は凝固、水洗、延伸の各工程を経て、続いて湿熱処理を行う。この際、一方が緻密層、他方が多孔質層となるように、凝固条件、湿熱処理条件を設定する。なおここでいう湿熱処理とは、飽和水蒸気や過熱水蒸気の雰囲気下で加熱を行う処理を意味する。その後、多孔質層が緻密化しない温度で乾燥することにより、本発明に採用する防汚性繊維が得られる。
なお、AN含有率が同じであっても、例えば一方のAN系重合体のコモノマーを親水性のものとし、他方を疎水性のものとするように、異なるコモノマーを用いることによって、本発明に採用する防汚性繊維を得ることができる。
かくして得られる本発明に採用する防汚性繊維は、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子が、多孔質層と緻密層が交互に配列した多層構造繊維の緻密層に含有されている。そのため、多孔質層に多くの汚れ物質が吸着され、細孔内に入り込んで目立たなくなることに加え、該多孔質層に接する緻密層の光触媒活性を有する金属酸化物により分解されることによって、特に優れた機能を有するものと考えられる。さらに、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子が、緻密層に含有されているため、該微粒子の染色時の脱落を抑えることができ、また優れた洗濯耐久性を有している。加えて、多孔質層のみの繊維の場合に惹起される静電気の発生による紡績性の悪化や染色性の悪化も抑えることができる。
本発明の防汚性繊維構造物は、上述してきた防汚性繊維を少なくともその一部に用いた繊維構造物であり、該防汚性繊維のみからなるものであっても、木綿、羊毛、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維等の他の繊維と混用したものであっても構わない。また、他の繊維と混用する場合において、他の繊維の種類や混合割合は、特に限定されるものではなく、最終製品に必要とされる特性に応じて適宜選択すればよいが、あまりに該防汚性繊維の含有率が小さいと繊維構造物としての防汚性能が乏しくなるため、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上含有させておくのが望ましい。なお、防汚性繊維の混用形態としては紡績における混綿及び精紡・撚糸工程での交撚等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
本発明の防汚性繊維構造物の外観形態としては、糸、ヤ−ン(ラップヤ−ンも含む)、フィラメント、織物、編物、不織布、紙状物、シ−ト状物、積層体、綿状体(球状や塊状のものを含む)等がある。該構造物内における本発明繊維の含有形態としては、他素材との混合により、実質的に均一に分布したもの、複数の層を有する構造の場合には、いずれかの層(単数でも複数でも良い)に集中して存在せしめたものや、夫々の層に特定比率で分布せしめるもの等がある。
したがって本発明の防汚性繊維構造物は、上記に例示した外観形態及び含有形態の組合わせとして、無数のものが存在する。いかなる構造物とするかは、最終製品の使用態様、要求される性能、かかる性能を発現することへの防汚性繊維の寄与の仕方等を勘案して適宜決定される。
本発明の防汚性繊維構造物は、防汚性が必要とされるさまざまな用途に利用でき、例えば衣類、履物類、カーテンやカーペットなどのインテリア用品、椅子、ソファ、車両の座席などのシート材、家屋の壁や家具などの壁装材、自動車、列車などの内装材、エアフィルターをはじめとする多種の用途に有用である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例に記載の%あるいは部は、特に断りのない限り重量%あるいは重量部である。また、実施例及び比較例中で用いた評価試験の方法は以下の通りである。
[細孔表面積評価]
繊維10mgを短繊維状にカットし、島津製作所製MICROMERITICS Auto Pore IVにて水銀圧4.14×10−2〜4.14×10MPaまで変化させ評価した。得られる細孔表面積(A1)は繊維間空隙を含むため、次式により繊維間空隙分(A2)を減じたものを繊維の細孔表面積とした。
繊維の細孔表面積=A1−A2
A1:水銀圧4.14×10−2〜4.14×10MPaの細孔表面積
A2:水銀圧4.14×10−2〜1.38MPaの細孔表面積
[多層化層数評価]
繊維200本を引き揃え蝋で固めた後、ライカ社製ミクロトーム2065を用い繊維断面方向に厚さ50nmの薄片試料を作成した。作成した薄片試料をNikon社製光学顕微鏡AFX−IIにて観察、繊維一本当りの層数を数え、200本の平均層数を多層化層数とした。なお、薄片試料を染料等で薄く色づけするとより容易に層数を数えることが出来る。
[実施例1]
アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタリルスルホン酸ナトリウムからなるアクリロニトリル含有率が90%のアクリロニトリル共重合体からなる紡糸原液(A)及び、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタリルスルホン酸ナトリウムからなるアクリロニトリル含有率が88%のアクリロニトリル共重合体と平均一次粒子径15nmの酸化チタン微粒子(テイカ株式会社製TK522)からなる紡糸原液(B)をISG Mixer(理論原液層数432)に1:1の割合で供給して多層化混合し、湿式紡糸した。ここで、アクリロニトリル系共重合体の溶媒としては、チオシアン酸ナトリウム水溶液を用いた。また、酸化チタン微粒子は紡糸原液(B)のアクリロニトリル重合体100部に対して、5部となるよう調整した。凝固液には12%チオシアン酸ナトリウム水溶液を1.5℃で用いた。次いで水洗、熱延伸を施し、得られた繊維を乾燥することなく弛緩状態で115℃のスチーム処理を行い、さらに110℃で15分間乾燥し、ランダム複合型のアクリル繊維である本発明に採用する防汚性繊維を得た。得られた繊維の細孔表面積および多層化層数を表1に示した。
[比較例1]
アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタリルスルホン酸ソーダからなるアクリロニトリル含有率が88%のアクリロニトリル共重合体からなる紡糸原液(C)のみを用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価用繊維を得た。得られた繊維の細孔表面積および多層化層数を表1に示した。
[比較例2]
実施例1の紡糸原液(B)に代えて、実施例1の紡糸原液(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価用繊維を得た。得られた繊維の細孔表面積および多層化層数を表1に示した。
[実施例2]
実施例1の紡糸原液(B)に代えて、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタリルスルホン酸ソーダからなるアクリロニトリル含有率が88%と平均一次粒子径100nmの酸化チタン微粒子(富士チタン社製TAF−520J)からなる紡糸原液(D)を用いる他は、実施例1と同様の方法で評価用繊維を得た。なお、酸化チタン微粒子は紡糸原液(D)のアクリロニトリル重合体100部に対して、0.5部となるよう調整した。得られた繊維の細孔表面積および多層化層数を表1に示した。
[実施例3]
凝固液として12%ロダン酸ソーダを5℃で用いる他は、実施例1と同様の方法で評価用の防汚性繊維を得た。得られた繊維の細孔表面積および多層化層数を表1に示した。
[実施例4]
実施例1で用いたテイカ株式会社製酸化チタンTK522に代えて、平均一次粒子径5nmの酸化チタン微粒子(テイカ株式会社製酸化チタンAMT100)を用い、紡糸原液(B)に代えて、酸化チタン微粒子が紡糸原液(B)中のアクリロニトリル共重合体100部に対して、2.5部となるように調整した紡糸原液(E)を用いる他は、実施例1と同一の方法で評価用の防汚性繊維を得た。得られた繊維の細孔表面積および多層化層数を表1に示した。
[実施例5]
実施例1で用いたテイカ株式会社製酸化チタンTK522に代えて、平均一次粒子径30nmの酸化チタン微粒子(テイカ株式会社製酸化チタンAMT600)を用いる他は、実施例1と同様の方法で評価用の防汚性繊維を得た。得られた繊維の細孔表面積および多層化層数を表1に示した。
上記実施例および比較例で得られた各繊維について、当該繊維を40%、アクリル繊維NB8−3.3TV64(日本エクスラン工業(株)製)を30%、K65−2.8TV64(日本エクスラン工業(株)製)を30%混綿し、常法に従って紡績し、メートル番手2/10の紡績糸を得た。得られた紡績糸から、ミシンタフト機で、パイル長さ14mm、目付け850g/mの白色のマットを作成した。
得られたマットを30cm×30cmの正方形に切断し、蛍光灯の設置された窓のない喫煙室内に2週間放置して汚れを付着させた後のマットの汚れ具合を目視で比較したところ、表1のような結果が得られた。
続いて、上記の汚れたマットを屋外に2日間放置して日光に曝し、汚れの分解の程度を以下に示す三段階で評価した。
○:汚れを付着させる前の状態とほぼ同じ
△:幾分汚れが残る
×:汚れを付着させた後の状態とほぼ同じ
Figure 0004560791
表1の結果からも明らかなように、実施例1、3、4、5の防汚性繊維構造物は、繊維構造物全体の汚れ具合が小さく、また、日光に曝すことにより汚れ物質が分解され、汚れを付着させる前の状態とほぼ同じに戻るという、優れた防汚性を有するものであった。なお、実施例3の防汚性繊維は紡績時カーディング等で静電気が発生しやすく、紡績等の加工性がやや低いものではあるが、加工時の温湿度、もしくは、混率等の適正化により十分実用可能なものであった。また、実施例4の防汚性繊維を作成するにあたっては、酸化チタン微粒子の水分散液を作成する際、酸化チタン微粒子が粉塵となりやすく防塵マスク等の装着が必要であり、また、酸化チタン微粒子が一次粒子にまで分散しにくく分散にかなりの時間が必要であるなど作業上、生産上の注意点がある。
実施例2の防汚性繊維構造物は、繊維構造物全体の汚れ具合は小さく、また、日光に曝すことによる汚れ物質の分解も起こり実用可能なものであるが、汚れ物質の分解については、採用している防汚性繊維に含有される酸化チタンの粒径が100nmと大きく、含有量も少ないため、光触媒として有効に働く部分が少なくなり、分解の程度がやや低くなったと考えられる。
比較例1では細孔表面積が小さいため、繊維構造物全体の汚れ具合が大きく、酸化チタンを含まないため、日光に曝しても汚れは分解されなかった。比較例2では細孔表面積が大きく、繊維構造物全体の汚れ具合は小さかったが、酸化チタンを含まないため、日光に曝しても汚れは分解されなかった。

Claims (5)

  1. アクリロニトル含有率の異なる重合体をそれぞれ用いた二種類の紡糸原液から湿式紡糸法によって得られる多層構造の防汚性繊維であって、各紡糸原液で用いられる重合体のアクリロニトリル含有率が共に60重量%以上であり、それぞれのアクリロニトリル含有率の差が1重量%以上であり、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子が、アクリロニトリル含有率の低い方の重合体を用いた紡糸原液から形成された層に含有されており、繊維の細孔表面積が10〜40m/gである防汚性繊維を繊維構造物に5重量%以上含有させることを特徴とする繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。
  2. 湿式紡糸法がランダム複合型又はサイドバイサイド型紡糸法であることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。
  3. 金属酸化物微粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。
  4. 金属酸化物微粒子の粒子径が10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。
  5. 防汚性繊維の母体100重量部に対して、金属酸化物微粒子が1〜10重量部含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造物全体に対する防汚性の付与方法。
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