JP4560168B2 - 非水リチウム二次電池用複合酸化物の製造法 - Google Patents

非水リチウム二次電池用複合酸化物の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良された非水リチウム二次電池用複合酸化物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器のポータブル化、コードレス化が進むにつれ、小型、軽量でかつ高エネルギー密度を有する非水電解液二次電池に対する期待が高まっている。
非水電解液二次電池用の活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnOなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物が知られている。
【0003】
一般に、非水電解液二次電池に用いられる正極活物質は、主活物質であるリチウムにコバルト、ニッケル、マンガンをはじめとする遷移金属を固溶させた複合酸化物からなる。用いられる遷移金属の種類によって、電気容量、可逆性、作動電圧などの電極特性が異なる。
【0004】
例えば、LiCoO、LiNi0.8Co0.2のように、コバルトやニッケルを固溶させた岩塩層状複合酸化物を正極活物質に用いた非水電解液二次電池は、それぞれ140〜160mAh/gおよび190〜210mAh/gと比較的高い容量密度を達成できるとともに、2.7〜4.3Vといった高い電圧域での充放電で良好な可逆性を示す。
【0005】
これらリチウム−金属元素複合酸化物の製造法としては、通常、リチウム化合物粉末固体と金属元素化合物粉末固体との高温固相反応や、溶融含浸法、水熱法、リチウム化合物溶液と金属元素化合物溶液を出発原料とするゾル−ゲル法等が知られているが、高容量、高エネルギー密度、高耐久性かつ低コストで量産可能な活物質の製造法が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる方法では、リチウム塩を含む粉末と遷移金属化合物粉末との混合状態により、リチウム−金属元素複合酸化物の電池特性が大きく変わってしまうという問題がある。
【0007】
また、リチウム塩を含む溶融塩を形成する原料粉末と金属元素化合物粉末を混合し、しかる後にその混合物粉末を昇温し、溶融塩と金属元素化合物とを反応させることは、反応速度が遅い、均一な反応が困難である、また、副反応が起こり易い等の問題があり好ましくない。
【0008】
これらの固相法、水熱法、ゾルゲル法等は、いずれもリチウム−金属元素複合酸化物の生成反応に4〜40時間と長時間を要するという問題がある。このようなことから、短時間で容易に合成でき、初期容量が高く、使用可能な電圧範囲が広く、かつ高容量の充放電サイクル耐久性のある活物質が望まれていた。
【0009】
したがって、本発明の目的は、大きな初期容量を有する充放電サイクル耐久性に優れた非水リチウム二次電池用正極材料となる複合酸化物の、短時間で容易に合成できる製造法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、この目的は、リチウム塩を含む塩を溶融させて溶融塩とした後、該溶融塩中に金属元素Qを含有する化合物を添加して反応させることにより達成される(第1の製造法)。但しQは、マンガンを除く遷移金属元素から選択される元素を示す。遷移金属元素とは周期表において、3A〜7A族、8族、1B、2B族に属する元素を意味する。
【0011】
このようして得られるリチウム−金属元素Q複合酸化物は、Liなる式で表される。中でも、電池活物質としては、0.3≦x≦4、1≦y≦3、2≦z≦8が好ましく、具体的にはLiCoO、LiNiO、Li4/3Ti5/3、LiVO、LiV、Li、LiFeO、LiCrOが例示されるが、放電容量、充放電サイクル耐久性、環境安全性等の見地からすれば、特にLiCoO、LiNiOが好ましい。
【0012】
上記金属元素Qの一部を金属元素Mで置換すると、電池の初期容量あるいは充放電サイクル耐久性が向上するので特に好ましい。そこで、本発明は、リチウム塩を含む塩を溶融させて溶融塩とした後、該溶融塩中に金属元素Qと金属元素Mを含有する化合物を添加して反応させることを特徴としており、これによっても上記目的が達成される(第2の製造法)。
【0013】
但しQは、既述の意味(マンガンを除く遷移金属元素)を示し、MはQ以外の元素であり、かつAl、Fe、Co、Ni、Cr、V、Mo、W、Ti、Mg、Ca、Ba、B、Nb、Ta、Zn、Sn、Ce、Smの群から選択される1種以上の元素を示す。電池の放電容量、充放電サイクル耐久性、充電安全性等の見地より、金属元素Mは中でも金属元素Q以外の元素であるAl、Fe、Co、Ni、Crが好ましい。
【0014】
このようにして得られるリチウム−金属元素Q−金属元素M複合酸化物は、Liなる式で表される。中でも、電池活物質としては、0.3≦x≦5、0.4≦y≦5、2≦z≦12、0≦p≦1.5が好ましい。また、金属元素QがNiである場合、金属元素Mに加えて、さらにMnを添加すると電池特性が向上するので好ましい。この場合、Niに対するMnの原子比(Mn/Ni)は0.01〜0.6が好ましく採用される。
【0015】
本発明において、上記第1の製造法により得られる特に好ましい非水リチウム二次電池用リチウム−金属元素Q複合酸化物は、下式1で示される。
LiQO 式1
但し式1中xは0.3≦x≦1.3である。この場合、金属元素Qは電池の放電容量、充放電サイクル耐久性、充電安全性等の見地より、Fe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Tiの群から選択されるのが好ましい。
【0016】
また、本発明において、上記第2の製造法により得られる特に好ましい非水リチウム二次電池用リチウム−金属元素Q複合酸化物は、下式2で示される。
Li1−y 式2
但し、式2中xは0.3≦x≦1.3であり、yは0.4≦y<1である。この場合においても、金属元素Qは、電池の放電容量、充放電サイクル耐久性、充電安全性等の見地より、Fe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Tiの第1群から選択されるのが好ましい。また、金属元素Mは上記第1群から選択された金属元素Q以外の元素であり、かつAl、Fe、Co、Ni、Cr、V、Mo、W、Ti、Mg、Ca、Ba、B、Nb、Ta、Zn、Sn、Ce、Smの第2群から選択されることが好ましく、2種あるいは3種の元素を組み合わせることが特に好ましい。
【0017】
好ましい金属元素Mの組み合わせ例としては、金属元素QがNiである場合、金属元素MはCo+Cr、Co+Alの2種の元素の組み合わせ好ましく例示される。また、金属元素QがCoである場合、金属元素MはAl+Ti、Ti+Mg、Ti+Nb、Ti+Zrの2種の元素の組み合わせが好ましく例示される。
【0018】
また、金属元素QがNiである場合、さらにMnを添加すると電池特性が向上するので好ましい。この場合、Q+M+Mnの具体例としてはNi+Co+Mn、Ni+Al+Mn、Ni+Cr+Mn、Ni+Co+Mn+Mg等が例示される。Niに対するMnの原子比(Mn/Ni)は0.01〜0.6が好ましく採用される。
【0019】
本発明において用いられるリチウム塩は、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムの内の少なくとも1種以上であり、その溶融塩には、直接反応に寄与するリチウム塩が含まれることが特に好ましい。
【0020】
また、本発明において用いられるカリウム塩は、水酸化カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウムおよび炭酸カリウムの内の少なくとも1種以上が好ましく、溶融塩としては具体的には、水酸化リチウム−水酸化カリウム混合溶融塩が特に好ましく挙げられる。
【0021】
本発明において、反応に用いる溶融塩の体積は、反応に用いる金属元素Qを含有する化合物または金属元素Qと金属元素Mを含有する化合物(以下、総称して「金属元素を含有する化合物」ともいう)の体積の3倍以上であることが好ましい。3倍未満であると反応を均一に行なうことが困難となるので好ましくない。
一方、1000倍以上であると反応装置が大きくなるので好ましくない。このような理由により、反応に用いる溶融塩の体積は、反応に用いる金属元素を含有する化合物の体積の5〜50倍が好ましい。
【0022】
本発明において、金属元素Qを含有する化合物には、酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、塩化物、蓚酸塩、酢酸塩、硝酸塩および硫酸塩のうちの少なくとも1種以上が用いられる。
【0023】
本発明において、リチウム塩を含む塩は、リチウム塩とカリウム塩からなる混合物が好ましい。本発明者らは、カリウム塩の添加により、リチウム化の反応が進行し易くなることを見出した。かかる場合、リチウム塩とカリウム塩のモル比は、リチウム塩1モルに対し、カリウム塩0.01モル以上が好ましい。
【0024】
カリウム塩が0.01モル未満であると、カリウム添加効果が少なくなり、反応速度が低下し、副反応が進行し易くなる結果、得られた複合酸化物である活物質の選択率の低下ならびに得られた複合酸化物を活物質として用いた電池の性能が低下するので好ましくない。カリウム塩の比率の上限は複合酸化物に組み込まれるリチウム原子の量と混合溶融塩質量から自ずと決まる。
【0025】
リチウム塩1モルに対するカリウム塩は0.1モル以上、30モル以下が特に好ましい。カリウム塩の比率が30モルを超えると混合溶融塩の体積が大きくなりすぎるので好ましくない。
【0026】
本発明によれば、リチウム塩とカリウム塩からなる混合物を用いることにより、リチウム−金属元素Q複合酸化物の生成反応が容易となる結果、反応時間が短縮でき、さらに副生成物の生成が抑止される場合もあり、リチウム二次電池とした際に電池容量の大きい電池が得られるリチウム−金属元素Q複合酸化物が製造できる。
【0027】
また、本発明において、金属元素Qと金属元素Mを含有する化合物は、少なくとも金属元素Qと金属元素Mとの共沈水酸化物、共沈オキシ水酸化物、共沈酸化物、混合酸化物、混合水酸化物のいずれかであることが好ましい。
【0028】
また、本発明において、溶融塩と金属元素を含有する化合物を反応させた後、その反応混合物を急冷することが好ましく、この点も本発明の特徴の一つである。本発明によれば、結晶構造が菱面体晶系(Rhombohedral)である層状複合酸化物等が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の好適例として先に挙げた上記式1(LiQO)におけるxは0.3〜1.3が好ましい。xが0.3未満であると二次電池として作動させるために負極にリチウム合金の使用を必要としたり、負極炭素に金属リチウムを予めドープすることがリチウム二次電池製造時に必要となるので好ましくない。xが1.3超であると放電容量が低下するので好ましくない。xは特に好ましくは0.85〜1.15である。
【0030】
また、本発明の上記式2(Li1−y)におけるyは0.4〜1が好ましい。yが0.4未満であると層状構造を維持できなくなるので好ましくない。yは特に好ましくは0.5〜0.98が採用される。上記式2におけるxは0.3〜1.3が好ましい。すなわち、上記したようにxが0.3未満であるとリチウム二次電池として作動させるために負極にリチウム合金の使用を必要としたり、負極炭素に金属リチウムを予めドープすることがリチウム二次電池製造時に必要となるので好ましくない。xが1.3超であると放電容量が低下するので好ましくない。上記式2においても、xは特に好ましくは0.85〜1.15である。
【0031】
本発明において、上記式1および式2におけるxは金属元素を含有する化合物とリチウム含有溶融塩の浴組成と反応温度、反応時間等により制御される。上記式1および式2の複合酸化物は、結晶構造として菱面体晶、斜方晶と単斜晶からなる層状構造を取りうるが、本発明の複合酸化物の中でも結晶構造が菱面体晶構造のものが、充放電サイクル耐久性が高いことから好ましい結晶構造である。
【0032】
本発明の製造法において、反応に供する金属元素Qを含有する化合物(以下、「金属元素Q源原料」ともいう)および反応に供する金属元素Mを含有する化合物(以下、「金属元素M源原料」ともいう)の添加方法としては、あらかじめ、金属元素Q源原料と金属元素M源原料を均一な混合物としてから用いるか、あるいは金属元素Qおよび金属元素Mを含有する複合水酸化物、複合酸化物、複合蓚酸塩等(以下、「金属元素源原料」ともいう)を用いると金属元素Qと金属元素Mが均一に固溶した本発明の複合酸化物を形成し易いので好ましい。
【0033】
中でも、金属元素Q源原料および金属元素M源原料が、金属元素Qと金属元素Mとの共沈水酸化物、共沈酸化物または共沈オキシ水酸化物の少なくともいずれかであることが金属元素Qと金属元素Mがより均一な固溶体である本発明の複合酸化物ができるので特に好ましい。
【0034】
また、金属元素Qと金属元素Mからなる酸化物を得るにあたって、金属元素M源原料を溶液状態で共存させてから、その水溶液中に金属元素Q源原料を加えて乾燥・焼成することが好ましく、これによれば溶液状態の金属元素M源原料が金属元素Q源原料と反応しやすいため、本発明の製造方法において比較的均一に固溶した複合酸化物を形成し易いので好ましい。
【0035】
また、別の方法を例示するならば、水酸化リチウム(LiOH・HO)と金属元素Mの塩(例えば、硝酸鉄(Fe(NO・9HO))との混合物を溶融塩とし、その溶融塩中に金属元素Qを含有する化合物を添加して反応させる方法もある。
【0036】
本発明の製造法において、金属元素Q源原料としては、酸化物、これら酸化物の水和物、オキシ水酸化物、水酸化物、単体金属などが挙げられる。金属元素Q源原料としては、2価ないし3価の金属元素Qの化合物がより好ましい。これらの金属元素Q源原料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用しても良い。
【0037】
また、本発明の製造法において、金属元素M源原料としては、単体金属、水酸化物、酸化物、オキシ水酸化物、塩化物、硝酸塩等が使用される。これらの金属元素M源原料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用しても良い。
【0038】
本発明の製造法の具体例としては、例えば、まず水酸化リチウム粉末と水酸化カリウム粉末を混合し、加熱溶融させる(水酸化リチウムの融点は450℃、水酸化カリウムの融点は360℃)。本発明は、溶融塩の融点以上の温度で反応を行なう必要がある。複数の塩からなる混合溶融塩の場合は、単独塩の場合より融点が低下する場合があるため、反応温度は300〜1200℃の範囲で適宜選択される。
【0039】
温度が高い方が反応速度は高いが、あまり反応速度が高すぎると副反応が進みやすく反応の選択率が低下するので好ましくない。反応温度が低すぎると反応速度が低下し、反応に長時間を要するので好ましくない。好ましくは、500〜900℃が選ばれる。
【0040】
本発明において、溶融塩中に金属元素Q源原料を添加、投入することにより反応が開始される。本発明の反応雰囲気は特に限定されないが、層状リチウム−金属元素Q複合酸化物を選択率良く得るためには、窒素あるいはアルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい場合がある。すなわち、反応雰囲気が酸素ガスを含有すると、層状リチウム−金属元素Q複合酸化物の選択率が低下する場合があるため、反応雰囲気中の酸素濃度は、好ましくは5000ppm以下、特には50ppm以下が好適である。
【0041】
本発明の目的の一つである層状リチウム−金属元素Q複合酸化物は、リチウム塩からなる溶融塩と金属元素Qを含有する化合物との反応により生成されるが、この複合酸化物は、反応時間が長いとリチウム塩からなる溶融塩とさらに接触して、リチウムが過剰に挿入された化合物に転化し、目的とする層状構造のリチウム−金属元素Q複合酸化物の選択率が低下する場合がある。したがって、反応時間が長すぎるのは好ましくない。
【0042】
本発明は、従来の合成法に較べて著しく反応時間が短く、生産性が良い特徴を有する。本発明における反応時間は反応温度との組み合わせにより適宜選択され、反応温度にもよるが、0.3〜60分が採用される。反応時間が0.3分未満であると反応が激しく起こるため、副反応が起こり易く、また、反応を制御するのが困難となるので好ましくない。
【0043】
好ましい反応時間は1〜20分である。また、同じ理由により、層状構造のリチウム−金属元素Q複合酸化物が生成したら速やかに系の温度を低下させ、反応を停止することが好ましい。例えば、リチウム−金属元素Q複合酸化物からなる沈殿生成物を含有する溶融塩を入れた容器を水冷により急冷する。しかる後、その容器内に純水を添加し、過剰のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を水洗除去することにより、リチウム−金属元素Q複合酸化物、例えばLiCoOを単離し、乾燥することにより活物質粉末を得る。
【0044】
本発明の複合酸化物の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛、ケッチエンブラック等のカーボン系導電材と結合材を混合することにより、正極合剤が形成される。結合材には、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂等が用いられる。
【0045】
二次電池を製造するにあたっては、本発明により得られた複合酸化物の粉末と導電材と結合材ならびに結合材の溶媒または分散媒からなるスラリーまたは混練物をアルミニウム箔、ステンレス箔等の正極集電体に塗布/担持させて正極板とする。セパレータには、多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンフィルムなどが使用されてよい。
【0046】
この正極板が用いられるリチウム二次電池において、その電解質溶液の溶媒は炭酸エステルが好ましい。炭酸エステルは環状、鎖状いずれも使用できる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)等が例示される。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等が例示される。
【0047】
上記炭酸エステルを単独で、または2種以上を混合して使用することもできる。また、他の溶媒と混合して使用してもよい。なお、負極活物質の材料によっては、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルを併用すると、放電特性、サイクル耐久性、充放電効率が改良できる場合がある。また、これらの有機溶媒にフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えば、アトケム社製カイナー)を添加し、下記の溶質を加えることによりゲルポリマー電解質としても良い。
【0048】
溶質としては、ClO−、CFSO−、BF−、PF−、AsF−、SbF−、CFCO−、(CFSON−等をアニオンとするリチウム塩のいずれか1種以上を使用することが好ましい。上記の電解質溶液またはポリマー電解質は、リチウム塩からなる電解質を上記溶媒または溶媒含有ポリマーに0.2〜2.0mol/l(リットル)の濃度で添加するのが好ましい。この範囲を逸脱すると、イオン伝導度が低下し、電解質の電気伝導度が低下するおそれがある。より好ましくは0.5〜1.5mol/lが選定される。
【0049】
負極活物質には、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料が用いられる。この負極活物質を形成する材料は特に限定されないが、例えばリチウム金属、リチウム合金、炭素材料、周期表14、15族の金属を主体とした酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物等が挙げられる。
【0050】
炭素材料としては、様々な熱分解条件で有機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒鉛、土壌黒鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛等を使用できる。また、酸化物としては、酸化スズを主体とする化合物が使用できる。負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔等が用いられる。
【0051】
本発明における正極は、活物質を有機溶媒と混練してスラリとし、該スラリを金属箔集電体に塗布、乾燥、プレスして得ることが好ましい。本発明のリチウム二次電池の形状には特に制約はない。シート状(いわゆるフイルム状)、折り畳み状、巻回型有底円筒形、ボタン形等が用途に応じて選択される。
【0052】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0053】
[実施例1]
水酸化カリウム粉末(KOH)4gと、水酸化リチウム粉末(LiOH・HO)6gをニッケル製坩堝に入れ、アルゴン雰囲気下、電気炉で600℃に加熱し、LiOH−KOH混合溶融塩(LiOH1モルに対しKOH3.7モル)とした。
この溶融塩に四三酸化コバルト粉末2gを投下し、5分後に溶融塩中にリチウム−コバルト複合酸化物固体が沈殿している坩堝を電気炉から取り出し、水で坩堝を急冷した。しかる後に内容物に純水を添加して、水酸化リチウムと水酸化カリウムを除去した。室温下にて純水で水洗後坩堝内の沈殿物を回収した。
沈殿物を60℃で乾燥した。沈殿物の収量は2.25gであった。この沈殿物のCu−Kα線を用いたX線回折スペクトルを図1に示す。図1より、この沈殿物は主として菱面体晶系(Rhombohedral)空間群R−3mからなる層状構造を有することが判る。
上記の沈殿物を活物質粉末として用い、この活物質粉末とアセチレンブラックとポリテトラフルオロエチレンとを80/15/5の重量比でトルエンを加えつつ混練し、シート状とした。このシートを径13ミリに打ち抜き、180℃にて2時間真空乾燥した。該シートをアルゴングローブボックス内で径18ミリの20μmアルミニウム箔正極集電体上に載置して正極体を得た。そして、次の仕様にてコインセル径20ミリ、厚さ3.2ミリのコインセル型電池をアルゴングローブボックス内で組み立てた。
セパレータ;厚さ25μmの多孔質ポリプロピレン。負極;厚さ500μmの金属リチウム箔。負極集電体;SUS316。正極側ケース;SUS316L。
負極側キャップ;SUS316。電解液;1M LiPF/EC+DEC(1:1)。
このコインセル型電池を大気中、25℃恒温槽内で、正極活物質1gにつき30mAで4.3Vまで電圧カットにて定電流充電した後、正極活物質1gにつき30mAで2.5Vまで電圧カットにて定電流放電し、初期の放電容量と放電エネルギーを求めた結果、それぞれ110mAh/g、434mWH/gであった。
【0054】
【発明の効果】
本発明の短時間の簡単な合成反応により得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質に用いることにより、広い電圧範囲での使用が可能で、初期容量が大きいとともに、サイクル特性の高いリチウム二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における沈殿物のCu−Kα線を用いたX線回折スペクトル図。

Claims (12)

  1. リチウム塩を含む塩を溶融させて溶融塩とした後、該溶融塩中に金属元素Qを含有する化合物を添加して反応させることを特徴とする非水リチウム二次電池用リチウム−金属元素Q複合酸化物の製造法。但しQは、Fe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Tiから選択される元素を示し、反応に用いる溶融塩の体積は、反応に用いる金属元素Qを含有する化合物の体積の5〜50倍とする。
  2. リチウム塩を含む塩を溶融させて溶融塩とした後、該溶融塩中に金属元素Qと金属元素Mとを含有する化合物を添加して反応させることを特徴とする非水リチウム二次電池用リチウム−金属元素Q−金属元素M複合酸化物の製造法。但しQは、Fe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Tiから選択される元素を示し、MはQ以外の元素であり、かつAl、Fe、Co、Ni、Cr、V、Mo、W、Ti、Mg、Ca、Ba、B、Nb、Ta、Zn、Sn、Ce、Smの群から選択される1種以上の元素を示し、反応に用いる溶融塩の体積は、反応に用いる金属元素Qを含有する化合物の体積の5〜50倍とする。
  3. 得られる複合酸化物が下式1で示される化合物である請求項1に記載の非水リチウム二次電池用リチウム−金属元素Q複合酸化物の製造法。
    LiQO 式1
    但し式1中xは0.3≦x≦1.3であり、QはFe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Tiの群から選択される1種以上の元素を示す。
  4. 得られる複合酸化物が下式2で示される化合物である請求項2に記載の非水リチウム二次電池用リチウム−金属元素Q−金属元素M複合酸化物の製造法。
    Li1−y 式2
    但し式2中QはFe、Co、Ni、Cr、V、Nb、Mo、Tiの第1群から選択される1種以上の元素を示し、Mは上記第1群から選択されたQ以外の元素であり、かつAl、Fe、Co、Ni、Cr、V、Mo、W、Ti、Mg、Ca、Ba、B、Nb、Ta、Zn、Sn、Ce、Smの第2群から選択される1種以上の元素を示す。xは0.3≦x≦1.3であり、yは0.4≦y<1である。
  5. リチウム塩を含む塩が、リチウム塩とカリウム塩の混合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合酸化物の製造法。
  6. リチウム塩が水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムのうちの少なくとも1種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合酸化物の製造法。
  7. 金属元素Qを含有する化合物が酸化物、オキシ水酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、蓚酸塩、酢酸塩、硝酸塩および硫酸塩のうちの少なくとも1種以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合酸化物の製造法。
  8. 溶融塩が、水酸化リチウムと、水酸化カリウムとの混合溶融塩である請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合酸化物の製造法。
  9. 反応が300〜1200℃で行なわれる請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合酸化物の製造法。
  10. 金属元素Qと金属元素Mを含有する化合物が、金属元素Qと金属元素Mとの共沈水酸化物、共沈オキシ水酸化物、共沈酸化物、混合酸化物、混合オキシ水酸化物または混合水酸化物のいずれかである請求項2、4〜9のいずれか1項に記載の複合酸化物の製造法。
  11. 反応させた後、その反応混合物を急冷する請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合酸化物の製造法。
  12. 得られる複合酸化物の結晶構造が菱面体晶系であり、かつ層状である請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合酸化物の製造法。
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