JP4557451B2 - 凹凸模様付押出成形板の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の壁材に用いる凹凸模様付押出成形板を製造する凹凸模様付押出成形板の製造装置に関し、さらに詳しくは、セメント等の水硬性材料を生板として押出成形しながら、その生板の表面に、凹凸やタイル調等の多様なエンボス模様を付与する凹凸模様付押出成形板の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の壁材に用いる押出成形板(例えば押出成形セメント板)に、凹凸模様(エンボス)を形成して意匠性を向上させることは従来より行われている。押出成形セメント板の表面に凹凸模様を付与する方法としては、エンボスローラやエンボスベルトを用いる方法がある。エンボスローラによる方法では、水硬性材料を口金から押出すと同時に、口金から押出された生板にエンボスローラを回転させながら押し当てることで、生板表面にエンボスローラに形成してある凹凸模様を付与する。また、エンボスベルトによる方法では、図6に示す押出成形機械の口金1の内部にエンボスベルト3を押出速度に同調させて送り込み、口金1からエンボスベルト3を生板5に密着した状態で押し出すことで生板表面にエンボスベルト3に形成してある凹凸模様を付与する。
【0003】
このようなエンボスローラやエンボスベルトを備えた従来の凹凸模様付押出成形板の製造装置は、口金と、エンボスローラ又はエンボスベルトとを交換することで、エンボス模様の付与された凹凸模様付押出成形板を、所望の断面形状で連続して製造することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンボスローラを用いる従来の製造装置は、ローラの大きさに限界があり、模様の繰り返しパターンを長くとることができず、同じ模様が繰り返されることで模様が単調となる欠点がある。模様の繰り返しパターンを長くとれば、エンボスローラが大きくなり、コスト的、設備的にも不利となる。また、エンボス模様の深さも2〜3mm程度が限界となる。これらの理由から近年ではエンボスベルトを備えた製造装置を用いて模様を付与することが一般的となってきている。
ところが、エンボスベルトを備えた従来の製造装置は、図6に示すようにエンボスベルト3の両端にフラットな耳部7を設け、この耳部7をガイドローラ9によって口金1に押圧することで、生板として押し出される原料が口金1とエンボスベルト3との間から漏れ出ないようにシールされていた。このため、エンドレスベルトを成形板の厚みに応じて上下させることが不可能であり、成形板の厚みを変更する場合には、口金全体を交換するか、エンドレスベルトを交換する必要があり、時間と労力を費やすことになって生産性が低下した。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、口金やエンドレスベルトを交換せずに、容易に成形板の厚みが変更できる凹凸模様付押出成形板の製造装置を提供し、もって、凹凸模様付押出成形板の生産性向上を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載の凹凸模様付押出成形板の製造装置は、水硬性材料を押出して生板を成形する口金と、生板と同一幅で該口金の上縁を切り欠いた開放部と、表面に凹凸による模様を形成したエンボスベルトと、生板の押出し速度に同調して回転し前記口金から押出される生板に前記エンボスベルトを密着させる押さえローラとを具備し、前記エンボスベルトを前記口金の開放部へ挿入して前記口金から押出される生板の表面に密着させ、前記エンボスベルトの凹凸模様を生板の表面に転写する凹凸模様付押出成形板の製造装置において、前記エンボスベルトを前記開放部と同一幅で形成し、該エンボスベルトを前記生板の厚み方向に上下移動自在に支持し、該エンボスベルトの異なる上下移動位置によって生じる該エンボスベルトと口金両端部との隙間を塞ぐための異なる厚みのブロック体を、該口金両端部に着脱自在に備えたことを特徴とする。
【0006】
この凹凸模様付押出成形板の製造装置では、エンボスベルトが上下移動されることで、口金の開放部におけるエンボスベルトの挿入位置が上下に可変され、口金から押し出される生板の厚みが自由に可変可能になる。この際、エンボスベルトの上下移動によって生じるエンボスベルトと口金との間の隙間は、種々のサイズで形成されたブロック体を選択的に装着することで塞ぐことができる。これにより、エンボスベルトや口金を交換せずに、エンボスベルトの上下移動の簡単な調整のみで、厚みの異なる凹凸模様付押出成形板が製造可能になる。
【0007】
請求項2記載の凹凸模様付押出成形板の製造装置は、前記押さえローラが、上下移動自在に支持されることを特徴とする。
【0008】
この凹凸模様付押出成形板の製造装置では、押さえローラが上下移動されることにより、この押さえローラの外周に張架されるエンボスベルトが、他の昇降機構を追加せずに、簡素な構造で上下移動可能になる。
【0009】
請求項3記載の凹凸模様付押出成形板の製造装置は、前記押さえローラが、前記開放部と同一幅で形成されることを特徴とする。
【0010】
この凹凸模様付押出成形板の製造装置では、押さえローラが開放部と同一幅で形成されることで、押さえローラが、開放部を介してエンボスベルトと共に口金の内側まで進入可能となり、生板の厚み調整範囲が広くなる。
【0011】
請求項4記載の凹凸模様付押出成形板の製造装置は、前記開放部のエンボスベルト回転方向上流側に、前記エンボスベルトと前記口金との隙間を塞ぎ且つ前記エンボスベルトの幅方向の移動を規制して該エンボスベルトを前記開放部へ案内するベルト導入ガイドが設けられていることを特徴とする。
【0012】
この凹凸模様付押出成形板の製造装置では、開放部のエンボスベルト回転方向上流側にベルト導入ガイドが設けられることで、エンボスベルトと口金との隙間が塞がれる。逆に、エンボスベルトは、このベルト導入ガイドによって隙間が塞がれる範囲で、原料漏れが防止され上下移動可能となる。また、エンボスベルトの幅方向の移動がベルト導入ガイドによって規制されることで、エンボスベルトの口金開放部への挿入がスムースに行われるようになる。
【0013】
請求項5記載の凹凸模様付押出成形板の製造装置は、前記ベルト導入ガイドが、上下方向に移動自在に前記口金に支持されることを特徴とする。
【0014】
この凹凸模様付押出成形板の製造装置では、ベルト導入ガイドが上下方向に移動自在になることで、原料漏れが防止されてエンボスベルトが上下移動可能となる範囲が拡大されることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る凹凸模様付押出成形板の製造装置の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る製造装置の正面図、図2は本発明に係る製造装置の要部側面図、図3は本発明に係る製造装置の要部斜視図、図4はエンボスベルトの異なる移動位置を(a)(b)で示した説明図、図5は押さえローラの変形例を示す正面図である。
【0016】
凹凸模様付押出成形板の製造装置31は、内部に圧送路を形成した押出機33を有している。押出機33は、圧送路に内蔵する不図示のスクリューを回転することで、ホッパー等から供給したセメント等の水硬性材料、補強繊維、混和材等を混練して吐出管部35へ圧送する。吐出管部35の先端には口金37が設けられ、口金37は例えば図1の左右方向に長い矩形状の押出開口37aを有している。従って、口金37から押し出される未硬化状態の水硬性材料は、断面矩形状の生板39となって押し出し成形される。
【0017】
口金37は、内部に中玉41を設けるものであってもよい。中玉41を設けることにより、口金37から押し出された生板39には、中玉41と同一断面形状の中空部39aが押出方向に形成可能となる。中玉41は、生板39の厚みによって中空部39aの大きさと位置が変わるため、中玉41の上下位置が調整できるようになっている。また、中玉41は図示しない中玉ステイ(中玉41を支持する取り付け部)から取り外して大きさを交換できるようになっている。
【0018】
口金37の上部には開放部43が設けられ、開放部43は口金37の上縁を生板39と同一幅で切り欠くことで形成されている。つまり、口金37は、正面視が、上方を開放させたコ字形状となっている。
【0019】
口金37の開放部43には樹脂材等の可撓材料からなるエンボスベルト45が挿入され、エンボスベルト45の表面には凹凸による模様が形成されている。エンボスベルト45は、無端ベルト又は有端ベルトのいずれであってもよいが、生板39に密着する外周側が凹凸模様面となるように用いられる。エンボスベルト45は、開放部43と同一幅で形成されている。また、エンボスベルト45は、生板39の厚み方向に上下移動自在に支持される。この上下移動は、後述するように、押さえローラを上下移動自在な機構とすることで可能となる。
【0020】
口金37の開放部43の上方には押さえローラ47が設けられ、押さえローラ47は生板39の押出速度と同調して駆動されるようになっている。押さえローラ47は、例えば比例制御(インバータ制御)とパウダークラッチ機構等により生板39の押出し速度に同調して駆動される。押さえローラ47は、エンボスベルト45の周回路の内側に位置し、未硬化状態の生板39にエンボスベルト45を押しつける(密着させる)ことで、エンボスベルト45の凹凸模様を生板39の表面に転写する。
【0021】
この押さえローラ47は、製造装置31の図示しないフレーム等に上下移動自在に支持されている。従って、押さえローラ47が上下移動されることにより、押さえローラ47の外周に張架されるエンボスベルト45が、他の昇降機構を追加せずに、簡素な構造で上下移動可能になる。
【0022】
口金37の押出方向前端部(トップダイ49の近傍部分)には図4に示すように、側面視L字形の切欠部51が形成されている。エンボスベルト45は、上下移動されることにより、この切欠部51で上下移動されることになる。この切欠部51には、高さ方向に厚みの異なる複数種類のブロック体53が、選択的に着脱自在に取りつけられるようになっている。
【0023】
即ち、エンボスベルト45が下方へ移動された場合には、図4(a)に示すように薄いブロック体53aが切欠部51に装着され、エンボスベルト45が上方へ移動された場合には、図4(b)に示すように厚いブロック体53bが切欠部51に装着されるようになっている。これにより、エンボスベルト45の異なる上下移動位置によって生じるエンボスベルト45と口金両端部37b、37cとの隙間が塞がれ、隙間からの原料漏れが阻止されるようになっている。
【0024】
開放部43のエンボスベルト回転方向上流側にはベルト導入ガイド55が設けられ、ベルト導入ガイド55はエンボスベルト45と口金37との隙間を塞ぎ且つエンボスベルト45の幅方向の移動を規制するようになっている。つまり、エンボスベルト45は、このベルト導入ガイド55によって隙間が塞がれる範囲で、原料漏れが防止された状態で上下移動可能となる。そして、エンボスベルト45は、幅方向(図1の左右方向)の移動がベルト導入ガイド55によって規制されることで、開放部43へのエンボスベルト45の挿入がスムースに行われるようになっている。
【0025】
また、このベルト導入ガイド55は、上下方向に移動自在となって口金37に取りつけられることが好ましい。即ち、ベルト導入ガイド55が上下方向に移動自在になることで、原料漏れが防止されてエンボスベルト45が上下移動可能となる範囲が拡大されることになる。
【0026】
口金37の出口側下方には図示しない第一無端搬送ベルトを設けてあり、第一無端搬送ベルトはエンボスベルト45とで生板39を上下から挟み、生板39を押出し方向に送る。第一無端搬送ベルトは、押さえローラ47と同様、インバータ制御とパウダークラッチ機構等により生板39の押出し速度に同調して駆動可能となっている。第一無端搬送ベルトの搬送路には図示しない押出速度検出用ローラを設けてあり、押出速度検出用ローラは生板39の押出し速度を検出する。
この押出速度検出用ローラによって検出された押出速度検出値は、エンボスベルト45、押さえローラ47及び第一無端搬送ベルトをインバータ制御するための情報として用いられる。
【0027】
また、製造装置31には、生板39を受ける図示しない受けローラ及び受け部材(受け部材搬送ローラ)等が設けられる。これらローラ及び受け部材は、エンボスベルト45、押さえローラ47、第一無端搬送ベルトと同様に、全て生板39の押出速度に同調する。同調方法としては、上記した押出速度検出用ローラによるものの他、押出機33のスクリュー回転から生板押出速度を算出し同調させるものであってもよい。
【0028】
次に、このように構成される製造装置31を用いて凹凸模様付押出成形板を製造する手順を説明する。押出機33の駆動に先立ち、先ず、押さえローラ47が上下移動され、エンボスベルト45が所定の上下位置に位置決めされる。次いで、このエンボスベルト45の位置に対応する厚みのブロック体53が切欠部51に装着される。これにより、エンボスベルト45と口金両端部37b、37cからの原料漏れが阻止される。なお、エンボスベルト45は、押さえローラ47によって押圧されるように、厚み方向のベルト上部がブロック体53の上面よりも若干上に出るように配置される。
【0029】
製造装置31は、押出機33のスクリューを回転することで、原材料を吐出管部35へ圧送して口金37から生板39として押し出す。この時、エンボスベルト45は、生板39の押出し速度に同調して周回し、押さえローラ47によって生板39に所定の加圧力で押しつけられる。押さえローラ47によって生板39に押しつけられたエンボスベルト45は、生板39の表面に密着し、第一無端搬送ベルトとによって生板39を挟んだ状態で、生板39を送り出す。
【0030】
エンボスベルト45は、図示しないベルト離反部まで生板39に密着して進み、ベルト離反部に到達する直前で生板39から剥離されることとなる。エンボスベルト45の剥離された生板39は、図示しない切断機によって第一無端搬送ベルト上で所定長に切断される。
【0031】
第一無端搬送ベルト上で、単体となった生板39は、第一無端搬送ベルトの下流側に位置する第二無端搬送ベルトへ送られる。第二無端搬送ベルトは、生板39を図示しない養生鉄板上に移載する。養生鉄板上に移載された生板39は、不図示の養生庫へ送られ、所定時間の養生の後、オートクレープ養生と仕上げ工程を経て凹凸模様付押出成形板の完成品となる。
【0032】
このように、上記の製造装置31によれば、エンボスベルト45が上下移動されることで、口金37の開放部43におけるエンボスベルト45の挿入位置が上下に可変され、口金37から押し出される生板39の厚みが自由に可変可能になる。この際、エンボスベルト45の上下移動によって生じるエンボスベルト45と口金37(口金両端部37b、37c)との間の隙間は、種々のサイズで形成されたブロック体53で選択的に塞ぐことができる。従って、エンボスベルト45や口金37を交換せずに、エンボスベルト45の上下移動の簡単な調整のみで、厚みの異なる凹凸模様付押出成形板が製造可能になる。
【0033】
なお、上記の実施の形態では、押さえローラ47が開放部43の幅より大きい場合を図示したが、押さえローラ47は、図5に示すように、開放部43から口金37の内部へ降下可能となるように、口金37の開放部43と同一幅で形成することが好ましい。このような構成とすれば、押さえローラ47が、開放部43を介してエンボスベルト45と共に口金37の内側まで進入可能となり、生板39の厚み調整範囲をさらに広くすることができるようになる。
【0034】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る凹凸模様付押出成形板の製造装置によれば、エンボスベルトを開放部と同一幅で形成するとともに、上下移動自在に支持し、且つエンボスベルトの移動によって生じる口金両端部との隙間を塞ぐ厚みの異なるブロック体を着脱自在に備えたので、エンボスベルトの上下移動によって生じる隙間を種々のブロック体で選択的に塞ぐことができ、エンボスベルトや口金を交換する必要がなくなる。これにより、エンボスベルトの上下移動の簡単な調整のみで、厚みの異なる凹凸模様付押出成形板を製造することができる。
この結果、生産性を向上させ、厚みの異なる凹凸模様付押出成形板を安価に提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造装置の正面図である。
【図2】本発明に係る製造装置の要部側面図である。
【図3】本発明に係る製造装置の要部斜視図である。
【図4】本発明に係る製造装置のエンボスベルトの異なる移動位置を(a)(b)で示した説明図である。
【図5】押さえローラの変形例を示した正面図である。
【図6】従来の製造装置の正面図である。
【符号の説明】
31…凹凸模様付押出成形板の製造装置、37…口金、37b、37c…口金両端部、39…生板、43…開放部、45…エンボスベルト、47…押さえローラ、53…ブロック体、55…ベルト導入ガイド
Claims (5)
- 水硬性材料を押出して生板を成形する口金と、生板と同一幅で該口金の上縁を切り欠いた開放部と、表面に凹凸による模様を形成したエンボスベルトと、生板の押出し速度に同調して回転し前記口金から押出される生板に前記エンボスベルトを密着させる押さえローラとを具備し、前記エンボスベルトを前記口金の開放部へ挿入して前記口金から押出される生板の表面に密着させ、前記エンボスベルトの凹凸模様を生板の表面に転写する凹凸模様付押出成形板の製造装置において、
前記エンボスベルトを前記開放部と同一幅で形成し、
該エンボスベルトを前記生板の厚み方向に上下移動自在に支持し、
該エンボスベルトの異なる上下移動位置によって生じる該エンボスベルトと口金両端部との隙間を塞ぐための異なる厚みのブロック体を、該口金両端部に着脱自在に備えたことを特徴とする凹凸模様付押出成形板の製造装置。 - 前記押さえローラが、上下移動自在に支持されることを特徴とする請求項1記載の凹凸模様付押出成形板の製造装置。
- 前記押さえローラが、前記開放部と同一幅で形成されることを特徴とする請求項1記載の凹凸模様付押出成形板の製造装置。
- 前記開放部のエンボスベルト回転方向上流側に、前記エンボスベルトと前記口金との隙間を塞ぎ且つ前記エンボスベルトの幅方向の移動を規制して該エンボスベルトを前記開放部へ案内するベルト導入ガイドが設けられていることを特徴とする請求項1記載の凹凸模様付押出成形板の製造装置。
- 前記ベルト導入ガイドが、上下方向に移動自在に前記口金に支持されることを特徴とする請求項4記載の凹凸模様付押出成形板の製造装置。
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