JP4557278B2 - 火災感知器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災受信機に係わる技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第19号)第2条八項で規定されているP型火災受信機を中心として構成される火災報知設備(以下、「P型システム」という)の火災感知器に係り、特に、P型システムにおいて火災報知設備の火災感知器と発信機とに関する技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号;以下、「火災感知器等省令」という)第2条十九の三項で規定されている自動試験機能対応型火災感知器を構成する場合等、P型システムにおいて火災受信機や中継器との間で信号伝送を行う火災感知器等の端末における伝送兼火災信号出力回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来のP型システムの構成を示す図である。
【0003】
P型システムにおいて、自動試験機能等対応型火災感知器を構成しようとすると、通常、図5に示すように、火災受信機REから各火災監視エリアの火災感知器SEに向けて一対(心線2本)の電線(電源兼信号出力線)Lが敷設され、火災感知器SEが互いに並列接続され、この電源兼信号出力線Lを通じて、わずかな消費電流によって、火災感知器SEの熱・煙・炎による火災検出部を駆動させながら、火災を監視する。
【0004】
火災検出回路の出力信号が火災出力レベルに達すると、その火災感知器SEは、火災信号出力回路を低インピーダンスにし、監視時と比較して大きな電流が流れるように、電源兼信号線Lを短絡する。
【0005】
火災受信機REは、火災感知器SEを介して電源兼出力信号線Lに流れる電流を常に監視し、この監視電流が、一定レベルの電流(火災感知器の通常監視時における消費電流×火災感知器最大接続台数)以上の電流であれば、火災感知器SEが火災信号を出力したと判断する。そして、火災受信機REは、火災受信機REの表示面に設けられている火災確認灯と、火災信号を出力した火災感知器SEの回線を示す地区表示灯とを点灯させ、しかも、ブザー・ベル等、主音響・地区音響を鳴動し、防火対象物の火災を関係者に通知する。
【0006】
関係者は、火災受信機REに表示されている情報を頼りに、火災信号を出力した現場に出動し、状況に応じた処置を施す。処置が終了した後に、出動した関係者は、火災受信機REの設置場所へ戻り、火災受信機REの復旧ボタンを押し、火災受信機REと火災感知器SEとを、通常監視時の状態に戻す。
【0007】
従来のP型システムは、これらの機能のみを満たせば足りるので、平常監視時は、火災受信機REから火災感知器SEに、電源電圧のみを供給すれば足りる。火災検出回路の出力信号が一定レベルに達して初めて、火災信号出力回路が導通状態になる。
【0008】
図6は、従来の火災感知器SE11における火災信号出力回路の一例を示す図である。
【0009】
火災出力時は、火災検出部の出力値が大きくなり、トランジスタQ1が導通状態になることに伴い、トランジスタQ2が導通状態になり、これ以降は、火災検出部の出力値が小さくなっても、両トランジスQ1、Q2が相手方のベース電流を流し続け、導通状態が維持され、火災感知器SE11の火災確認灯LAが点灯し、火災信号出力回路が低インピーダンスになり、火災感知器SE11の電源兼信号出力端子C、Lを通じて、火災受信機RE側から電源が供給される限り、火災信号出力状態が保持される。
【0010】
よって、この間に、上記のように、火災信号を出力している火災感知器SE11とその周辺とを、関係者が現場で確認できる。そして、火災時の処置が終了し、関係者が火災受信機REの復旧ボタンを押すと、火災受信機REは火災感知器SE11への電源供給を1秒程度断ち、再度電源を供給する。これによって、火災感知器SE11内のトランジスタQ1、Q2が互いのベース電流を流し合うことによって成立していた導通状態の保持が解け、火災信号出力回路が高インピーダンスになり、火災感知器SE11の火災確認灯LAが消灯し、火災感知器SE11の電源兼信号出力端子C、Lを通じて流れる電流は、監視時の消費電流程度にまで減少し、火災受信機RE、火災感知器SE11ともに、通常監視状態に戻る。
【0011】
P型システムにおいては、自動試験機能等対応型火災感知器を構成しようとすると、通常、図5に示すように、火災受信機REから各火災監視エリアの火災感知器SEに向けて、一対(心線2本)の電線Lが敷設され、1台以上の火災感知器SEが電源兼信号出力線Lに互いに並列接続され、この電源兼信号出力線Lを流れるわずかな消費電流によって、火災感知器SEの熱・煙・炎による火災検出部を駆動しながら火災を監視する。
【0012】
P型システムの火災感知器は、その検出回路の出力信号が一定値になったことを検出すると、電源兼信号出力端子C、L間を短絡することによって、火災受信機REに火災状態を伝達する。火災受信機REは、回線の電流が増加したことによって、火災であることを検出する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のP型システムは、安価であるものの、半年に1度点検を行わなくてはならないことが、消防法に規定され、したがって、P型システムで施工された物件の火災受信機RE、火災感知器SE11では、半年に1度の点検で、費用が発生することになる。
【0014】
また、P型システムで施工された物件の火災受信機RE、火災感知器SE11では、プライバシの関係で、火災感知器SE11が設置されている部屋に、点検者が立ち入れないことがあり、この場合には、点検が不能となってしまう。
【0015】
また、R型システムにおいては、近年、自動試験機能・遠隔点検機能に対応する自動試験機能対応型火災感知器が開発され、この火災感知器を施工すれば、半年に1度の点検が自動的に行える。しかし、R型システムは、P型システムに比べて、機器自体のコストが高いという問題がある。
【0016】
また、R型システムは、火災受信機REと火災感知器SE11との間に、高価な耐熱電線を用いなければならないことが、消防法施行規則に定められている。
したがって、P型システムで一旦施工した建物に、自動試験機能を付与するために、P型システムをR型に変更する場合、壁内や天井裏の配線を全て、耐熱電線に張り替えることになり、この配線の張り替え工事が高額であるという問題がある。
【0017】
図7は、マイコンを有する従来の火災感知器SE12を示すブロック図である。
【0018】
マイコンを使用すると、火災検出回路1の出力が火災レベルに達したら、プログラミングによって、伝送送信回路4によるスイッチング出力をHi出力に保つことができるので、自己保持する回路が不要である。
【0019】
図8は、図7に示す従来の火災感知器SE12の具体例を示すブロック図である。
【0020】
図8に示す従来の火災感知器SE12によって、P型システムの自動試験機能対応型火災感知器を実現することができる。この構成は、R型システムにおいて一般的である伝送受信回路・送信回路を、従来の火災感知器SE11に組み合わせることによって実現する火災感知器であり、この伝送受信回路3は、電源電圧が加わる平常時において、50μA程度の電流を消費するので、火災感知器SE12の全体の消費電流増大につながり、1回線当たりの火災感知器SE12の接続台数が減少するという問題がある。
【0021】
また、復旧検出回路5は、火災感知器SE11が火災信号を出力している間のみ、動作すれば足りるが、火災感知器SE12では、平常時においても電源電圧がかかり、したがって、不必要な消費電流が流れるという問題がある。
【0022】
図9は、従来の電圧検出回路を示す回路図である。
【0023】
従来の電圧検出回路では、電源兼信号出力端子C、L間の電圧が、所定の閾値よりも高い場合に、電流が多く流れ、上記所定の閾値よりも低い場合に、電流が少ない。すなわち、通常監視時に、電流を多く消費し、時間的に少ない伝送時に、電流が少ない。
【0024】
本発明は、通常時における消費電流が少ない火災感知器を提供することを目的とするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電源が低下したことを検出する回路は、火災信号を発しているときにのみ検出できれば足りるので、火災感知器の送信回路が導通しているときにだけ、電圧検出回路に電源が加わる火災感知器である。
【0026】
【発明の実施の形態および実施例】
[電流検出部分における消費電流低減]
図1は、本発明の一実施例である火災感知器SE1を示すブロック図である。
【0027】
火災感知器SE1は、火災検出回路1と、確認灯回路20と、伝送受信回路30と、伝送送信回路40と、復旧検出回路50と、定電圧回路6と、マイコン70と、ダイオードブリッジDBとを有する。火災検出回路1は、火災検出素子1aと増幅回路1bとを有する。
【0028】
このように構成される火災感知器SE1の動作について概略的に説明すると、常時は、マイコン70に格納される詳細に示さないプログラムによる制御によって、火災検出回路1からの出力に基づき火災判別動作を行っている。たとえば、火災感知器SE1が光電式煙感知器である場合、火災検出素子1aは煙による散乱光を検出するフォトダイオード等による受光素子であり、その出力を増幅回路1bによって増幅して、マイコン70に詳細に示さないAD変換を行って取り込んでいる。そして、マイコン70内でプログラムに従って火災判別を行う。
【0029】
そして、マイコン70が火災と判別すると、所定のポート出力によって伝送送信回路40にスイッチング動作を行わせる。このスイッチング動作は電源兼出力端子C、L間を低インピーダンス状態にして略短絡状態とするもので、図1では示されていない火災受信機が信号線を介してこの状態を検出することで、火災信号を受信する。なお、マイコン70は、火災判別に基づいて伝送送信回路40と同時に、確認灯回路20にも出力を行って、図1では示されていない火災表示灯を点灯させる。この後、火災に対する処理が終了して設備全体を復旧させる動作として、図1に示さない火災受信機は、復旧信号出力として信号線に約1秒間の電源供給停止を行う。この電源遮断状態を伝送送信回路40が動作時に電源兼出力端子C、L間の状態を監視する復旧検出回路50が復旧信号を検出してマイコン70の所定のポートに入力することでマイコン70が復旧信号を認識し、その後、伝送送信回路40へのスイッチングのための出力を停止する。
【0030】
また、マイコン70のプログラム制御によって火災検出回路1の動作確認を行う機能を備えており、定期的に自動試験動作を行っている。そして、この自動試験の結果について図1に示さない火災受信機に出力する必要があるが、火災受信機は定期的に試験結果の収集信号を出力する。この収集信号は、信号線の電圧変化に基づく伝送信号によって形成され、火災感知器SE1では、電源兼出力端子C、Lを介してその伝送信号を伝送受信回路30を介して受信し、マイコン70は、試験結果に基づいて収集信号と同様の正常信号または異常信号を応答として返送する。このとき、マイコン70からの出力制御により電源兼出力端子C、L間への伝送信号を伝送送信回路40を介して出力する。したがって、伝送送信回路40は、火災発生時の火災信号出力時には、低インピーダンス状態を継続するスイッチング動作を行って、伝送信号の出力時には、マイコン70の制御に基づきパルス的に略短絡状態を形成して電源兼出力端子C、L間に伝送信号を出力する。
【0031】
なお、DBはダイオードブリッジであり、端子C、L間を無極性化するものであって、定電圧回路6は、火災検出回路1およびマイコン70に安定した動作電圧を供給する電源として機能するものである。この定電圧回路6には、図示しないが充電回路が備えられ、復旧信号発生時の電源兼出力端子C、Lの電源遮断状態においても、マイコン70の動作電源が担保されている。
【0032】
図2は、本発明の実施例である火災感知器SE1の伝送送信回路40および復旧検出回路50を示す回路図である。
【0033】
伝送送信回路40は、トランジスタQy1、Qy2と、ツェナ−ダイオードZyとを有する。復旧検出回路50は、トランジスタQzと、ダイオードDzとを有する。
【0034】
火災感知器SE1が火災出力信号を送信する場合、マイコン70の対応するポートを、Hiレベルに維持する。このHiレベルが、NPNトランジスタQy1のベースに供給されるので、トランジスタQy1が導通し、ツェナ−ダイオードZyを介して、トランジスタQy2が導通状態になる。このままマイコンポートの出力が、Hiレベルを維持できれば、ダイオードブリッジDBを介して、火災感知器SE1の電源兼信号出力端子C、L間が低インピーダンス状態とされる。ここで、Hiレベルはマイコン70のポートへの入力について、基準レベル以上の有電圧であり、Loレベルは逆の低い電圧で具体的に無電圧である。またHi出力とLo出力も同様である。
【0035】
なお、この状態では、トランジスタQy1のコレクタが、グランドGNDに導通しているので、トランジスタQzのエミッタ側がグランドGNDに接続され、しかも、ダイオードDzを介して、定電圧回路6の出力電圧である+Vccに接続されているトランジスタQzも導通状態になるので、ダイオードDzのアノード側が低電位になり、マイコン70への火災信号入力にLo電圧が送られる。このようにして火災受信機RE側から電圧が供給される限り、この状態が続き、火災出力状態が保持される。
【0036】
ここで、火災受信機REの復旧ボタンが押されると、約1秒間、火災受信機REから火災感知器SE1への電源供給が断たれる。すなわち、電源兼出力端子C、L間への電源供給が停止される。このために、トランジスタQzへのベース電流も途切れるので、トランジスタQzが遮断状態になり、ダイオードDzも遮断状態になり、そのアノード電位は、抵抗を介して供給される+Vccの電圧と同じ電圧に上昇し、マイコン70への火災信号入力にHi電圧が送られる。つまり、マイコン70が火災信号出力中に復旧検出回路50からの入力が+Vccの電圧になることで、マイコン70は、復旧信号がきたことを確実に捕えることができる。なお、+Vccの供給元は、詳細に示さないが定電圧回路6内に設けられたコンデンサであり、復旧信号時の電源遮断時にも、マイコン70が動作できるように設けられているものである。そして、マイコン70のポートへの+Vccからの入力は消費電流として小さなものであり、マイコン70の復旧信号時の電源として影響はない。
【0037】
平常時の監視時においては、トランジスタQy1、Qy2、Qzも遮断状態であるので、復旧検出回路50に電源兼出力端子C、L間に基づく電流が流れない。これによって、監視時における火災感知器SE1の復旧信号監視のための消費電流が少なくなり、取付台数を多くすることができる。
【0038】
また、復旧検出回路50において、伝送送信回路40のスイッチング動作時のトランジスタQy1のオンに基づく、トランジスタQzのオンによって、+Vccを電源とするマイコン70の所定のポートへのHi入力停止を行い、復旧信号による電源兼出力端子C、L間の遮断に伴い、マイコン70の所定のポートへのHi入力を行うようにしているが、マイコン70における復旧信号検出のための所定のポートへの入力は、電源兼出力端子C、L間の電圧に基づいても構わない。すなわち、マイコン70からのスイッチング出力によってトランジスタQy1をオンさせるときに、ツェナーダイオードZyに基づく残り電圧が発生する部分からトランジスタQy1のコレクタにつながるラインを形成し、該ラインから所定の電圧でマイコン70の所定のポートへHi入力を行わせることができる。この場合のマイコン70の所定のポートへの入力は、通常状態からスイッチング動作時にHi入力となり、復旧信号による電源兼出力端子C、L間への電源遮断に基づき、マイコン70の所定のポートへの入力がLo入力となり、この入力の変化によってマイコン70は復旧信号を検出することができる。この場合も、常時は復旧信号の監視が不要でそのための消費電流は発生せず、伝送送信回路40のスイッチング動作時にのみ、マイコン70の所定のポートへ入力を行うので、常時の消費電流は低減することができる。
【0039】
図3は、本発明の第1の実施例である火災感知器SE1における伝送受信回路30を示す回路図である。
【0040】
図3に示す伝送受信回路30は、従来例とは逆に、電源兼信号出力端子C、L間の電圧が閾値よりも高い場合に、電流が少なく、また、電源兼信号出力端子C、L間の電圧が、閾値よりも低い場合に、電流が大きくなる回路である。
【0041】
図3に示す回路では、ツェナーダイオードZxのツェナー電圧と、抵抗Rx1、Rx2の抵抗値とによって、閾値が決まる。トランジスタQxは、MOS‐FETであり、ゲート・ソース間電圧が一定電圧(ON電圧)以上になると、ソース・ドレイン間が導通する。
【0042】
すなわち、火災感知器SE1の電源兼信号出力端子C、L間に加えられた電圧から、ダイオードブリッジDBの電圧降下、ツェナーダイオードZxのツェナー電圧を差し引き、抵抗Rx1、Rx2で分割された電圧値が、+Vcc電圧からトランジスタQxのON電圧とダイオードDxの順方向電圧とを差し引いた値よりも、低くなり、トランジスタQxのソース・ゲート間電圧がON電圧以上になると、トランジスタQxのソース・ドレイン間が導通し、抵抗Rx4に、+Vcc電圧がかかるので、マイコン70へHi電圧が入力される。
【0043】
よって、電源兼信号出力端子C、L間に加えられている電圧が高い状態(すなわち平常時の監視状態)が、トランジスタQxを確実に遮断状態にするようになり、また、伝送コマンドで、Lo電圧とすべき電圧以下でトランジスタQxが導通状態になるように、トランジスタQx、ツェナーダイオードZx、抵抗Rx1、Rx2を選択すればよい。
【0044】
なお、トランジスタQxとして、Pch MOS‐FETを使用しているが、PNPトランジスタを使用するようにしてもよい。
【0045】
上記実施例によれば、伝送受信回路の電圧検出回路の入力電圧が高いときに、判定回路の消費電流が低く、上記入力電圧が低いときに、判定回路の消費電流が大きくなるので、通常時における火災感知器SE1の消費電流が少ない。
【0046】
[確認灯の断線検出]
図4は、火災感知器SE1における確認灯回路20の具体例を示す回路図である。
【0047】
図4に示す確認灯回路20は、エミッタフォロア回路である。従来の火災感知器において、確認灯回路としてエミッタフォロア回路を採用する例は存在している。火災感知器に加えられる電圧は、公称24Vであるが、実際は17〜30Vまで変動する。変動する電圧に対して、一定の明るさを得るためには、定電流を得ることができるエミッタフォロア回路が好都合である。
【0048】
図4に示す確認灯回路20は、エミッタフォロア回路では本来、不要であるベース抵抗R1が挿入されている点と、そのベース抵抗R1とベースとの間における信号を、電圧判別手段に導く点とに特徴がある。
【0049】
これによって、万一、確認灯LAが球切れになった場合、コレクタに供給される電流がなくなるので、ベース電流が増加し、ベース抵抗R1による電圧降下が増大する。したがって、抵抗R1とベースとの接続点の電圧を、電圧判定手段で判別すれば、確認灯LAの球切れを発見することができる。
【0050】
次に、確認灯回路20の動作について、具体的に数値を用いて説明する。
【0051】
図4に示す確認灯回路20において、トランジスタQ1の電流増幅率を100とし、ベース・エミッタ電圧VBEを0.6Vとし、確認灯LAを点灯させるに必要な電流を3.0mAで点灯信号の電圧を3.0Vとした場合、抵抗R2の値は、以下のようになる。
【0052】
R2=(3.0V−0.6V)/3.0mA=800Ω
抵抗R1の値を、便宜上、1kΩとする。
【0053】
ここで、確認灯LAが正常である場合、確認灯LAを介して、トランジスタQ1のコレクタに電流が流れる。この場合、ベース電流は、エミッタ電流の電流増幅率分の1であるので、3mA÷100=30μAである。したがって、抵抗R1とベースとの接続点における電圧(電圧判別手段に導かれる電圧)は、
3.0V−1kΩ×30μA=2.97V である。
【0054】
一方、確認灯LAが球切れを起こした場合、トランジスタQ1のコレクタに電流が供給されない。よって、抵抗R1とベースとの接続点における電圧(電圧判別手段に導かれる電圧)は、点灯信号の電圧からトランジスタQ1のベース・エミッタ間電圧VBEを減じた電圧を、抵抗R1とR2との抵抗比率で分割したものに、ベース・エミッタ間電圧VBEを加えた値であるので、
(3.0V−0.6V)×{800Ω/(1kΩ+800Ω)}+0.6V=1.67V
になる。
【0055】
よって、上記電圧判別手段に導かれる電圧に基づいて、確認灯LAの球切れが生じたか否かを認識することができる。
【0056】
上記電圧判別手段は、マイコン70のA/D変換機能、ツェナーダイオードやトランジスタ等を用いた判別回路、オペアンプを用いた回路等を使用すればよく、また、これら以外の回路を使用するようにしてもよい。
【0057】
以後、自動試験機能に関する火災受信機REからの問いかけに対して、球切れが検出された火災感知器SE1は、異常信号を返答するので、火災受信機REが火災感知器SE1の球切れを見逃さない。
【0058】
なお、上記各実施例の火災感知器は、自動試験機能を有しており、詳細には示さないが、いわゆる光電式スポット型感知器とするときに、火災検出回路1の火災検出素子1aは煙による散乱光の受光素子となり、この受光素子が常時ノイズレベルとしての低レベルの出力を行っており、自動試験機能として増幅回路1bのアンプゲインを低い側に切り替えて受光素子の出力が基準値以下であることにより、図示しないラビリンスの汚れがないこと、また、アンプゲインを高い側に切り替えて受光素子の出力が基準値以上になることで発光素子の球切れ・発光強度の劣化の有無を確認することのようになっている。このような自動試験動作を所定間隔毎に火災感知器が行うことで、自己の異常を検出することができ、火災受信機REからの伝送信号による情報収集信号を伝送受信回路30を介して受信するときに、正常または異常として伝送信号による応答信号を伝送送信回路40を介して送出することができる。なお、増幅回路1bのアンプゲインを切り替えず、マイコン70のAD値がその基準より高いか低いかで判断すれば、アンプゲインを切り替える必要はない。この方式を出力値監視方式とするときに、これ以外に疑似入力応答方式といわれる試験用発光素子の疑似発光を上記受光素子に入力する方式を用いることもできる。
【0059】
請求項1〜4記載の発明によれば、火災感知器における通常時の消費電流が少ないという効果を奏する。
【0060】
請求項5記載の発明によれば、自動試験機能に関する火災受信機からの問いかけに対して、球切れが検出された火災感知器が、異常信号を返答するので、火災受信機が火災感知器の球切れを見逃さないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である火災感知器SE1を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例である火災感知器SE1を示す回路図である。
【図3】本発明の実施例である火災感知器SE1における伝送受信回路を示す回路図である。
【図4】火災感知器SE1における確認灯回路20の具体例を示す回路図である。
【図5】従来のP型システムの構成を示す図である。
【図6】従来の火災感知器SE11における火災信号出力回路の一例を示す図である。
【図7】伝送回路を有する従来の火災感知器SE12を示すブロック図である。
【図8】図7に示す従来の火災感知器SE12の具体例を示すブロック図である。
【図9】従来の電圧検出回路を示す回路図である。
【符号の説明】
SE1…火災感知器、
C、L…電源兼出力端子、
20…確認灯回路、
30…伝送受信回路、
40…伝送送信回路、
50…復旧検出回路、
70…マイコン。

Claims (5)

  1. 機能制御するために使用するマイコンと、上記マイコンの出力信号によって、電源兼信号出力端子間を低インピーダンス状態にするスイッチング回路とを有する火災感知器において、
    上記スイッチング回路は、上記マイコンが火災信号を出力している間だけ、低インピーダンス状態を維持し、上記スイッチング回路が低インピーダンス状態であるときにのみ、電源兼信号出力端子の電圧を判定する電圧判定回路によって、復旧を検出する復旧検出回路に電流が流れることを特徴とする火災感知器。
  2. 請求項1において、
    上記電圧判定回路は、上記電源兼信号出力端子間の電圧が、所定の判定値よりも低いときに、消費電流が大きく、一方、上記電源兼信号出力端子間の電圧が、上記所定の判定値よりも高いときに、消費電流が小さい回路であることを特徴とする火災感知器。
  3. マイコンと、上記マイコンからの出力によって、電源兼信号出力端子間をスイッチング動作させるスイッチング回路とを有する火災感知器において、
    上記スイッチング回路は、上記マイコンからの出力によってスイッチング動作を維持するとともに、上記スイッチング動作状態で、上記マイコンへ信号出力する回路であって、
    上記マイコンは、出力ポートから上記スイッチング回路を動作させる信号を出力するとともに、上記出力ポートからの出力中に、上記スイッチング回路から信号を受ける入力ポートを備え、上記信号の出力の停止を検出することによって、上記電源兼信号出力端子間の復旧信号を検出することを特徴とする火災感知器。
  4. 請求項3において、
    スイッチング動作時に、電源兼信号出力端子間に残り電圧が維持され、上記スイッチング回路の動作に基づいて、マイコンの入力ポートに、上記電源兼信号出力端子間の残り電圧から上記Hi信号を入力させることを特徴とする火災感知器。
  5. 請求項1乃至4において、
    上記火災感知器の確認灯と;
    上記確認灯を点灯するエミッタフォロア回路と;
    上記エミッタフォロア回路のベースに挿入されている抵抗と;
    上記抵抗とベースとの接続点における電圧降下量を測定することによって、上記確認灯の球切れを検出する球切れ検出手段と;
    を有することを特徴とする火災感知器。
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