JP4557253B2 - 空孔または粒子サイズ分布測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体集積回路の製造工程のうち配線形成工程で使用される極低誘電率絶縁体の形成過程において、絶縁体中の空孔サイズを測定する際などに好適に用いられる空孔または粒子サイズ分布測定装置に関する。
半導体集積回路に対しては、年々、高速度化、低消費電力化、高集積化を同時に推進することが求められている。そのため、近年では、銅配線の採用によって配線抵抗を低減すると同時に、配線間に存在する絶縁体(絶縁膜)の誘電率を低減すること(Low−k化)することによって、配線間の寄生容量を低減することが求められている。絶縁体は、半導体基板の表面に薄膜として形成される。絶縁体は、半導体基板の表面に薄膜として形成される。半導体などの結晶基板に形成される薄膜にX線を照射し、小角反射ビームを受光して、検査を行う薄膜検査装置も提案されている(たとえば、特開昭60−88341号公報参照。)。小角反射ビームを使用するのは、小角であれば、薄膜であっても、比較的長い距離を通過し、薄膜内部の情報が充分な感度で得られるからである旨が記載されている。
Low−k化は、まず絶縁体として用いる物質自身として誘電率の低い物質を開発するところから始まったが、さらなる誘電率の低減のため、絶縁体中に微小かつ均一な空孔を形成して多孔質体とすることによって、絶縁体としての実効的な誘電率を下げる技術が実用化されようとしている。
このような多孔質体では、空孔のサイズ分布のバラツキによって、特にことさらに大きな空孔(キラーポア)の存在によって機械的な特性が脆弱になり、絶縁膜形成後のプロセス工程に耐えられなくなったり、キラーポア中に後工程で形成する金属膜の金属材料が入り込んだりして電気的特性を損なったりする。しかも、この空孔サイズ分布は絶縁膜形成時の温度などの条件によって変化するものであるので、形成された絶縁膜の空孔サイズ分布が所定のものとなっていることを計測して確認することは、多孔質低誘電体を半導体集積回路に応用する上で極めて大きな課題となっている。
空孔のサイズ分布(サイズの確率分布)を計測する方法としては、小角X線散乱法や小角中性子散乱法などが用いられているが、半導体製造工場内で容易に計測できる小角X線散乱法が、集積回路の製造工程管理用に注目されている。この小角X線散乱法による空孔のサイズ分布測定を、シンクロトロン放射光を用いずに行う方法が知られている(たとえば、「電子材料」、工業調査会、2001年5月号、第56頁〜第60頁参照。)。「電子材料」、工業調査会、2001年5月号、第56頁〜第60頁には、オフセットスキャン法による反射型小角X線散乱測定法が記載されている。
なお、小角X線散乱測定を精度良く行うためには、照射するX線の波長と方向とを揃えることが重要である。分光器は、X線を単色化して収束させるために用いられ、ブラッグ(Bragg)の規則を満たすように面間隔を制御した多層膜を堆積して形成することが知られている(たとえば、特開平8−220027号公報参照。)。X線光学装置で、楕円反射面を有する多層膜ミラーを分光器に用いて、高精度化する技術も提案されている(たとえば、特開2001−356197号公報参照。)
図32は、オフセットスキャン法におけるX線散乱角度を示す模式図である。オフセットスキャン法とは、入射角度θiでX線Rを試料31の表面に入射させ、検出角度θeで出射する反射光(散乱光)を検出するようにし、検出角度θeを入射角度θiより常に一定のオフセット角度2θoだけ大きく保ちながら、入射角度θiおよび検出角度θeを連続的に変化させていく方法である。なお、散乱角2θdは、2θd=θi+θeである。
図33は、オフセットスキャン法による反射型小角X線散乱測定法に用いる測定装置の概略的構成を示す構成図である。線焦点型のX線管32から出射されたX線Rは、分光器33で所望の波長の成分が選択的に分光される。分光器33としては、結晶分光器や多層膜分光器が使用され、結晶面に対する入射角度と出射角度とが等しく、かつラッグの法則を満たす場合のみ、X線を強く反射する。分光器33は、測定対象である試料31に向かう方向の分光成分がソーラースリット34を介して試料31に入射されるように設定する。ソーラースリット34は、X線Rのうち特定方向の成分のみを通過させるものである。
試料31で反射したX線は、ソーラースリット35および受光スリット36を介してX線検出器37に入射される。ソーラースリット35はX線のうち特定方向の成分のみを通過させるものであり、受光スリット36は特定の出射角度のX線のみをX線検出器37に入射させるために配置されている。
図33に示す測定装置では、試料31を載置する図示しないテーブルの角度を変えることによってX線Rの入射角度θiを変えるとともに、X線検出器37の受光面の角度を変えることによって検出角度θeを変えている。
図33に示す測定装置では、試料31として、半導体基板の表面に絶縁体膜が形成されているものを測定の対象とする。このような測定対象は、後述する図1に示される。図1では、絶縁体膜3が基板4の表面に形成された試料5において、絶縁体膜3中に入射したX線Rが空孔Xによって散乱されて外部に出射したもの(成分)を検出する。なお、X線の散乱は粒子の存在によっても生じる。
オフセットスキャン法では、入射角度θiを連続的に変化させ、検出角度θeも常に一定のオフセット角2θだけ大きく保ちながら変化させる。各入射角度θiごとにX線強度測定を行う必要があるので、時間がかかる。
しかも、実際には入射角度θiが絶縁体膜3の臨界角度θc-f(Cu−Kα、波長0.154nmのX線を使用する場合は0.1〜0.17度程度)よりも小さい領域では、絶縁体膜3の表面でX線が全反射されることによって絶縁体膜3中にX線が進入しないので、測定ができない。また、入射角度θiが臨界角度θc-fより大きく、かつ基板4の全反射臨界角度θc-s(Cu−Kα、波長0.154nmのX線を使用し、基板材料がシリコンである場合は約0.22度)より小さい場合は、一旦基板4でX線が全反射されるので、反射後に空孔Yで散乱される成分が強く重畳されてくるので、測定しづらい。このように、散乱角度が小さい領域で測定が困難であると、空孔サイズの大きい領域の分布決定が困難になる。
さらに、広く散乱されてくるX線のうち、極限られた角度成分をソーラースリット35と受光スリット36で切り出して検出するので、X線の利用効率が極めて悪いという問題がある。この影響は、特に散乱角度の大きい領域でS/N(信号/ノイズ)を悪くし、空孔サイズの小さい領域の分布決定を困難にするという問題を招来する。同様の問題は粒子についても生ずる。
本発明の目的は、空孔または粒子のサイズを短時間で高精度に測定することができる空孔または粒子サイズ分布測定装置を提供することである。
本発明は、表面に多孔質性の絶縁体膜が形成される基板を測定対象とし、前記絶縁体膜内に存在する空孔または粒子のサイズ分布を測定する空孔または粒子サイズ分布測定装置において、
入射角度が前記絶縁体膜の全反射臨界角度より大きく、かつ前記基板の全反射臨界角度の1.3倍を超えない所定の入射角度で、X線を前記絶縁体膜表面側から照射するX線発生手段と、
前記X線発生手段から照射されたX線のうち、前記絶縁体膜に入射して前記基板表面で反射された反射成分が前記空孔または粒子に入射して散乱されて前記絶縁体膜から出射した散乱成分であって、前記反射成分が前記空孔または粒子に入射せずに前記絶縁体膜から出射したときの出射成分の中央値角度に相当する成分は遮断し、それ以外の散乱角度に相当する成分を検出するX線検出手段とを有することを特徴とする空孔または粒子サイズ分布測定装置である。
本発明に従えば、X線発生手段は、絶縁体膜を基板の表面に形成して成る測定対象に対して、入射角度が絶縁体膜の全反射臨界角度より大きく、かつ基板の全反射臨界角度の1.3倍を超えない所定の入射角度で、X線を絶縁体膜表面側から照射する。上記の範囲内の固定された入射角度でX線を測定対象に照射すると、X線は絶縁体膜中に充分に進入し、なおかつ絶縁体膜と基板との界面で強く反射する。
また、X線検出手段は、X線発生手段から照射されたX線のうち、絶縁体膜に入射して基板の表面で反射された反射成分が空孔または粒子に入射して散乱されて絶縁体膜から出射した散乱成分であって、前記反射成分が空孔または粒子に入射せずに絶縁体膜から出射したときの出射成分よりも出射角度が大きい散乱成分を検出するように構成されている。つまり、X線検出手段が主に検出しようとしているのは、絶縁体膜中に入射したX線が直接空孔に入射してその空孔または粒子によって上向きに散乱された散乱線分ではなく、絶縁体膜中に入射して一旦基板で反射されたX線が空孔または粒子に入射してその空孔または粒子によって上向きに散乱された散乱成分である。
なお、絶縁体膜中に入射したX線が直接空孔に入射してその空孔または粒子によって下向きに散乱された後に基板で反射された散乱成分も、散乱成分とほぼ等しい出射角度で出射するが、この散乱成分は、基板での反射角度が大きくなって基板の全反射臨界角度を超えるため、反射率が低く、影響は少ない。また、照射されたX線のうち、絶縁体膜表面で反射される鏡面反射成分および絶縁体膜に入射して空孔または粒子に入射することなく基板の表面で反射し、空孔または粒子に入射することなく絶縁体膜から出射する鏡面反射成分よりも小さい出射角度で出射してくる成分は、検出対象としない。
以上のように、測定対象に照射するX線の入射角度を固定して空孔または粒子サイズを測定するので、従来技術のように入射角度および検出角度を変化させる場合に比べて短時間で高精度の測定が可能となる。また、基板で反射した後に空孔または粒子で散乱された散乱成分を検出するので、X線光学系の分解能が高ければ、非常に小さい散乱角度からの測定が可能となる。
また本発明で、前記X線発生手段は、
線焦点型のX線管と、
前記X線管から発生されるX線のうち、特定の波長帯域の成分であって、かつ互いに平行な方向成分からなる平行光束を前記所定の入射角度で前記測定対象に入射させるX線成分選択手段とを有し
前記X線検出手段は、
前記測定対象からのX線のうち、測定散乱角方向に対して直角方向成分のうち、中心軸成分を除く方向成分のみを通過させるスリットと、
前記スリットを通過したX線を検出する位置敏感型X線検出器とを有することを特徴とする。
本発明に従えば、位置敏感型X線検出器を利用するので、X線の強度を位置情報を含む分布として検出して、発生する散乱X線成分を効率よく検出することができ、短時間で高精度の測定が可能となる。
また本発明で、前記X線発生手段は、
点焦点型のX線管と、
前記X線管から発生されるX線のうち、特定の波長帯域の成分であって、かつ互いに平行な成分からなるX線ビームを、前記所定の入射角度で前記測定対象に入射させるX線成分選択手段とを有し
前記X線検出手段は、前記測定対象からのX線を検出する位置敏感型X線検出器を有することを特徴とする。
本発明に従えば、X線検出手段側でスリットを用いずに、X線発生手段側で点焦点型のX線管を用いるようにしたので、散乱角度の大きい領域での検出効率を向上することができる。また、二次元タイプの位置敏感型X線検出器を用いることによって、散乱情報を二次元的に解析できるので、絶縁体膜中に存在する空孔または粒子などの微細構造に異方性が存在する場合に、それを解析することができる。
また本発明で、前記X線検出手段は、前記絶縁体膜に入射して前記基板表面で反射された反射成分が前記空孔または粒子に入射せずに前記絶縁体膜から出射される鏡面反射成分が、前記位置敏感型X線検出器の検出面に入射するのを阻止する反射X線阻止板を有することを特徴とする。
本発明に従えば、強度が大きい鏡面反射成分が位置敏感型検出器に入射されるのを防ぐことができる。これによって、強度の大きい余分な鏡面反射成分を遮断して本来検出したい散乱成分を正確に検出することができる。
また本発明は、前記X線発生手段は、
X線発生源と、
前記X線発生源からのX線を、前記測定対象上に集光するとともに、前記所定の入射角度で前記測定対象に入射させるX線集光手段とを有し
前記X線検出手段は、位置敏感型X線検出器を有することを特徴とする。
本発明に従えば、X線を集光して測定対象となる材料に入射させるので、X線の利用効率が高まり、良好な測定を行うことができる。また、上記の構成と同様に、散乱角度に対する分解能と検出効率とを両立できるという効果を得ることができる。
また本発明は、前記X線発生手段は、前記測定対象における前記X線の入射位置の真上に所定の間隔をあけて配置されるX線照射範囲制限板を有すること特徴とする。
本発明に従えば、測定対象となる試料の測定点の真上に所定の間隔をあけてX線照射範囲制限板を配置して、試料上での照射範囲を制限することができる。これによって、試料上でX線が広い範囲に広がることが防止され、空孔または粒子サイズ分布の試料上での位置依存性を精度よく知ることができる。
さらに本発明は、前記X線発生手段は、
点焦点のX線と、
前記X線管から発生させるX線のうち、特定の波長帯域の成分であって、かつ互いに平行な方向成分からなる平行光束を前記所定の入射角度で前記測定対象に入射させるX線成分選択手段とを有し、
前記X線検出手段は、
前記測定対象からのX線のうち、測定散乱角方向に対して直角方向成分のうち、中心軸成分を除く方向成分のみを通過させるスリットと、
前記スリットを通過した散乱X線を検出する2次元位置敏感型検出器と
有することを特徴とする空孔または粒子サイズ分布測定装置である。
本発明に従えば、点焦点のX線源から測定対象表面に低角度でX線を照射し、照射面側に出てくる散乱X線を2次元位置敏感型検出器で検出するので、散乱方向の分布を検出することができ、多孔質性の絶縁体膜の特性の空孔や粒子の分布に対応させることができる。
以下、図1〜図31で、本発明の実施の形態について説明する。各図に関し、先行する番号の図と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略することがある。
図1は、本発明の実施の基本形態として、空孔サイズ分布測定装置の概略的構成を示す。空孔サイズ分布測定装置は、小角X線散乱法を利用して、多孔質性の絶縁体膜3内に存在する空孔Yのサイズ(の確率)分布を測定する装置であり、大略的に、X線発生手段1とX線検出手段2とを備えて構成されている。
X線発生手段1は、絶縁体膜3を基板4の表面に形成して成る測定対象である試料5に対して、入射角度θiが絶縁体膜3の全反射臨界角度より大きく、かつ基板4の全反射臨界角度の1.3倍を超えない所定の入射角度θiで、X線Rを絶縁体膜3表面側から照射するように構成されている。上記の範囲内の固定された入射角度θiでX線Rを試料5に照射すると、X線Rは絶縁体膜3中に充分に進入し、なおかつ絶縁体膜3と基板4との界面で強く反射する。
また、X線検出手段2は、X線発生手段1から照射されるX線Rのうち、絶縁体膜3に入射して基板4の表面で反射される反射成分が空孔Yに入射して散乱されて絶縁体膜3から出射する成分A,B,Cのうち、反射成分が空孔Yに入射せずに絶縁体膜3から出射するときの出射成分Aよりも、空孔Yによる散乱で出射角度が大きくなる散乱成分Bを検出するように構成されている。つまり、X線検出手段2が主に検出しようとしているのは、絶縁体膜3中に入射したX線Rが直接空孔Xに入射してその空孔Xによって上向きに散乱された散乱線分Fではなく、絶縁体膜3中に入射して一旦基板4で反射されたX線が空孔Yに入射してその空孔Yによって上向きに散乱された散乱成分Bである。
なお、絶縁体膜3中に入射したX線Rが直接空孔Xに入射にてその空孔Xによって下向きに散乱された後に基板4で反射された散乱成分Dも、散乱成分Bとほぼ等しい出射角度で出射するが、この散乱成分Dは、基板4での反射角度が大きくなって基板4の全反射臨界角度を超えるため、反射率が低く、影響は少ない。また、照射されたX線Rのうち、絶縁体膜3表面で反射される鏡面反射成分Gおよび絶縁体膜3に入射して空孔X,Yに入射することなく基板4の表面で反射し、空孔X,Yに入射することなく絶縁体膜3から出射する鏡面反射成分Aよりも小さい出射角度で出射してくる成分C,Eは、検出対象としない。
上記の説明では、絶縁体膜3中に入射したX線Rが直接空孔Xに入射してその空孔Xによって上向きに散乱された散乱線分Fは、主な検出対象としないとしたが、実際は散乱成分Fは、主な検出対象である散乱成分Bに重畳されてくる。同一の検出角度θeで見たとき、散乱成分Bに対応する散乱角度θd-Bは(θe−θi)/2である。空孔Yによる散乱が無ければ、出射角度θiで出射するのに対し、検出角度θeで出射し、その差の2倍が散乱角度θd-Bとなるからである。散乱成分Fに対応する散乱角度θd-Bは(θe+θi)/2である。空孔Xによる散乱が無ければ、出射側から見て基板4の表面に対して−θiの角度で進行するのに対して、検出角度θeで出射し、その差の2倍が散乱角度θd-Fと成るからである。両者の差はθiであり、散乱角度θd-Fの方が大きい。一般に散乱角度が大きくなるほど散乱確立が小さくなる傾向があるので、散乱成分Fの検出強度は散乱成分Bに比較して小さく、その影響は大きくない。しかしながら、より正確なデータ処理を行う場合は、散乱X線強度の散乱角度依存データに、θiだけ散乱角度がシフトしたイメージが重畳されているものとして、ソフトウェアによる除去処理を行えばよい。
なお、空孔の代わりにコロイド等の粒子の分布を測定することもできる。粒子の場合は空孔に比べて屈折の方向が逆になることを考慮すればよい。
図2は、空孔サイズ分布測定装置の第1実施例の具体的な構成を示す。X線発生手段1は、線焦点型のX線管11と、分光器12と、ソーラースリット13とを備えて構成されている。X線検出手段2は、位置敏感型X線検出器14と、反射X線阻止板15と、ソーラースリット16とを備えて構成されている。なお、ここでのX線発生手段1は、特定の波長または波長帯域の成分であって、かつ互いに平行な特定の方向成分からなる略線状の平行光束を入射角θiで試料5に入射させるものである。
線焦点型のX線管11は、線状の陰極から発生した電子を陽極に当て、それをより細く長く見える方向に配置した窓を通して斜めに出射させるものである。X線管11から出射されたX線Rは、分光器12によって測定対象である試料5に向けて光路が変更され、ソーラースリット13を介して試料5に所定の入射角度θiで入射される。たとえば、Cu−Kαを利用する場合は、シリコン基板4に対して、0.15〜0.25度の入射角度θiで入射させる。このように固定された入射角度θiでX線Rを試料5に照射すると、X線Rは絶縁体膜3中に充分に進入し、なおかつ絶縁体膜3と基板4との界面で強く反射する。
なお、線焦点型のX線管11は、後述する点焦点型のX線管と同一の封入型X線管球で、X線を取出す窓を異ならせて実現することができる。封入型X線管球は、大略的に円筒状であり、内部は高度の真空に保たれている。銀(Ag)製などの陽極は内部で水冷され、表面にターゲットとなる銅(Cu)などの陽極元素がメッキされている。フィラメントから熱電子を発生させ、陽極上で、ライン状にフォーカスさせる。陽極で発生するX線は、所定の取出し角(take-off angle, glancing angle)で側方に取出され、四方の側面に設けられるベリリウム(Be)製の窓を通して外部に出射される。窓の位置に応じて、線焦点型のX線管11として使用することもでき、点焦点型のX線管として使用することもできる。
分光器12は、たとえば、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)、フッ化リチウム(LiF)などの結晶で構成してもよいし、タングステン(W)とシリコンなど2種の物質を交互に堆積した多層膜分光素子で構成してもよい。また、平行性をさらに高める目的で、上記の結晶や多層膜分光素子を複数個用いて多重回の反射を起こさせるように分光器12を構成してもよい。また、ソーラースリット13は、入射X線Rのうち特定方向の成分のみを通過させるものであり、多数の薄い板またはフィルムの間に均一な厚みのスペーサを挟んで積み重ねて平行に配置したものである。
試料で反射したX線は、ソーラースリット16を介して位置敏感型X線検出器14に入射される。位置敏感型X線検出器14は、検出面に照射されるX線がどの位置で受光されるかという情報を得ることができる検出器である。位置敏感型X線検出器14には、複数の検出素子をアレー状に並べて形成され、検出素子毎の検出出力から照射位置をデジタル情報として得ることができるものと、検出面へのX線の照射位置に応じて電気的な出力がアナログ量として変化し、照射位置情報をアナログ情報として得ることができるものとがある。受光面に複数の検出素子を並べる形式では、各検出素子は、X線を波長変換する蛍光物質などと、受光素子とで構成される。各受光素子からの受光出力は蓄積され、CCD(Charge Coupled Device)で一定時間毎に転送され、シリアルのデジタル信号として出力される。デジタル情報を得る位置敏感型X線検出器14は、光検出器ではCCDカメラ等に使用される撮像素子に相当し、一次元タイプと、二次元タイプとがある。アナログ情報を得るものは、複写機等に使用されている位置敏感光検出器等に相当する。位置敏感型X線検出器14についてのさらに詳しい情報は、後述する。ソーラースリット16は、入射X線のうち特定方向の成分のみを通過させるものであり、ソーラースリット13と同じ構成である。
また、反射X線阻止板15は、特定の出射角度の反射X線成分をX線検出器14に入射させないようにするために配置されている。反射X線成分の入射を阻止するのは、散乱X線成分に比べて極度に強い鏡面反射X線成分が位置敏感型X線検出器14に入射すると、位置敏感型X線検出器14内でX線の散乱が生じたり、電気的に擾乱を与えたりしたりして、散乱X線成分の検出を妨害するためである。なお、反射X線成分を一定比率で透過させるようにして、反射X線成分の位置を検出するようにしてもよい。また、鏡面反射X線成分による影響が問題とならないX線検出器であれば、反射X線阻止板15は用いなくてもよい。
図3は、X線発生手段1の他の構成例を示す斜視図である。図3に示す構成では、図2の構成に加えて、分光器12とソーラースリット13との間にスリット19を追加したものである。スリット19は、1つの細長い直線状の透孔を有するいわゆる一文字様のスリットであり、前記透孔の長手方向がソーラースリット13を構成する平板の表面に対して直交するように配置される。スリット19としては、たとえば、X線を阻止することのできる材料(タングステン、タンタル(Ta)、銀など)からなる2枚の板を所望の空隙をあけて配置することによって1つの細長い直線上の透孔を形成したものを用いることができる。スリット19を配置することによって、図2の構成と比較して、平行性が良好なX線の平行光束を得ることができる。
図3の構成例では、X線管11→分光器12→スリット19→ソーラースリット13の順で配置されているが、ソーラースリット13は図3に示すxy平面に投影したときに一定方向のX線のみを通過させるのが役割であるので、光路中のどの位置にあってもよい。また、スリット19は、分光器12で回折されてきたX線のうち特定の回折角度(=yz面に投影されたときの方向)、すなわち波長を選択する役割であるので、分光器12よりも後段に配置する必要がある。したがって、図3に示した順序の配置以外に、次のような順序で配置してもよい。
X線管11→分光器12→ソーラースリット13→スリット19
X線管11→ソーラースリット13→分光器12→スリット19
また、ソーラースリット13およびスリット19のうち、どちらか一方を省略することによって強いX線強度を得ることができるが、下記の表1のような性能上の制約を生じる。
[表1]
Figure 0004557253

したがって、ソーラースリット13とスリット19とをともに用いることが最も好ましいが、いずれか一方を省略してもよい。
図4は、X線発生手段1のさらに他の構成例を示す斜視図である。図4に示す構成では、X線発生手段1は、分光器12を用いずに、X線管11と、スリット19と、ソーラースリット13と、フィルタ20とをこの順番で配置して構成されている。この構成では、フィルタ20を用いることによって、所定の波長帯域以外のX線成分を減衰させ、所定の波長帯域のX線成分を発生させるようにしている。フィルタ20は、たとえば所定の波長帯域より少し短い波長帯域をX線吸収端に持つ物質を、厚みを調整して用いる。Cu−Kα特性線を照射に用いる場合は、Cu−Kαより短くCu−Kβより長い波長帯域をK吸収端とするニッケルの箔が一般的に用いられる。
図4の構成では、X線管11→スリット19→ソーラースリット13→フィルタ20の順序で配置されているが、ソーラースリット13は図4に示すxy平面に投影したときに一定方向のX線のみを通すのが役割であるので、光路中のどの位置にあってもよい。また、スリット19はyz面に投影されたときの一定方向のX線のみを通過させる役割であるので、光路中のどの位置にあってもよい。さらに、フィルタ20は発生したX線の目的外の波長帯域成分を減衰させる役割を持つものであるので、光路中のどの位置にあってもよい。このことから、図4に示す構成以外に、これら3つの要素の順序を任意に入れ替えた構成としてもよい。構成の数は、全部で6通り存在する。なお、フィルタ20に関しては、検出側すなわち測定対象物である試料5とX線検出手段2との間に配置しても同じ効果を得ることができる。
また、ソーラースリット13とスリット19とを組み合わせて用いることに代えて、キャピラリプレートまたはポリキャピラリを用いることができる。これは、これらの素子がX線の3次元内での単一方向成分のみを通過させる特性を持つためである。
キャピラリプレート10は、図5に示すように、ガラス板10aに内径数μmから数十μmの貫通孔10bを多数規則的に配置したものである。また、ポリキャピラリは、数μmから数十μmの内径を持つガラス管を多数規則的に配置して束ねたものである。
図6は、線焦点型のX線管11からのX線Rを照射して多孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置せずに検出して得られたX線像を示す図であり、図7は線焦点型のX線管11からのX線Rを照射して無孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置せずに検出して得られたX線像を示す図である。図6および図7を比較すればわかるように、図6のX線像には、強い鏡面反射X線とともに、散乱X線強度の角度依存性が記録されていることがわかる。
以上のように第1実施例によれば、試料5に照射するX線Rの入射角度θiを固定して空孔サイズ分布を測定するので、従来技術のように入射角度および検出角度を変化させる場合に比べて短時間で高精度の測定が可能となる。また、位置敏感型X線検出器14を利用するので、発生する散乱X線成分を効率よく検出することができ、短時間で高精度の測定が可能となる。さらに、基板4で反射した後に空孔Yで散乱された散乱成分Bを検出するので、X線光学系の分解能が高ければ、非常に小さい散乱角度からの測定が可能となる。
上記のような構成の空孔サイズ分布測定装置では、従来の装置に比べて高精度かつ高速での測定が可能になる。ここで、散乱成分のX線強度が低く、散乱角度が大きい領域での検出効率について検討してみる。図8に示すように、散乱角度が大きい散乱成分BLは、散乱角度の小さい散乱成分BSに比べて大きく広がるので、散乱成分BLのうちソーラースリット16を通過する成分BLtは、散乱成分BSのうちソーラースリット16を通過する分BStより少ないことがわかる。つまり、散乱角度が大きい散乱成分ほど多くの成分がソーラースリット16によって阻止されてX線検出器14に届いていないことがわかる。
そこで、本発明の第2実施例は、ソーラースリット16を用いずにX線検出手段2を構成するとともに、点焦点型のX線管17でX線発生手段1を構成している。図9は、空孔サイズ分布測定装置の第2実施例の具体的な構成例を示す。
X線発生手段1は、点焦点型のX線管17と、分光器12と、小孔18aを有するX線通過板18とを備えて構成されている。X線検出手段2は、位置敏感型X線検出器14と、反射X線阻止板15とを備えて構成されている。なお、ここでのX線発生手段1は、特定の波長または波長帯域の成分であって、かつ互いに平行な特定方向の成分からなる断面略円形のX線ビームを、入射角度θiで測定対象である試料5に入射させるものである。
点焦点型のX線管17は、なるべく小さく集中させた電子線を陽極に当てて発生したX線を窓から出射させるもの、または線状の陰極から発生した電子を陽極に当てて、それをX線イメージが短く見える方向に低い角度で出射するように配置した窓から斜めに出射させるものである。点焦点型のX線管17は前述のように、線焦点型のX線管11と同一の封入型X線管球で、X線を出射する窓を90°異ならせて実現することもできる。
X線管17から出射されたX線Rは、分光器12によって測定対象である試料5に向けて光路が変更され、X線通過板18(小孔18a)を介して試料5に所定の入射角度で入射される。たとえば、Cu−Kαを利用する場合は、シリコン基板4に対して、0.15〜0.25度の入射角度で入射させる。このように固定された入射角度でX線を試料5に照射すると、X線は絶縁体膜3中に充分に進入し、なおかつ絶縁体膜3と基板4との界面で強く反射する。
分光器12は、第1実施例と同じものを用いる。小孔18aを有するX線通過板18は、X線を阻止することのできる材料からなる板に所望の大きさの小孔18aを形成してなり、入射X線のうち特定領域の成分のみを通過させるものであり、いわゆるアパーチャやピンホール板と称されるものと同じ構成である。また、X通過板18は、前述の図3および図4に示したスリット19を2組直交するように配慮して構成することもできる。小孔18aの大きさは、X線管17の実効焦点サイズと同サイズが基準となるが、より小さくすることでより細いX線ビームを得ることができる。小孔18aの数は1以上であればよい。また、小孔18aを有するX線通過板18に代えて、ソーラースリットを用いてもよい。
試料5で反射したX線は、位置敏感型X線検出器14に入射される。位置敏感型X線検出器14は、二次元タイプを用いる。また、反射X線阻止板15は、特定の出射角度の反射X線成分をX線検出器14に入射させないようにするために配置されている。反射X線成分の入射を阻止するのは、散乱X線成分に比べて極度に強い鏡面反射X線成分が位置敏感型X線検出器14に入射すると、位置敏感型X線検出器14内でX線の散乱が生じたり、電気的に擾乱を与えたりして、散乱X線成分の検出を妨害するためである。なお、反射X線成分を一定比率で透過させるようにして、反射X線成分の位置を検出するようにしてもよい。
図10は、X線発生手段1のさらに他の構成を示す斜視図である。図10の構成では、分光器12を用いずに、X線管17と、X線通過板18と、フィルタ20とをこの順序で配置して構成されている。フィルタ20は、図4で説明したものと同じものである。
フィルタ20は発生したX線の目的外の波長帯域成分を減衰させる役割であるので、光路中のどの位置にあってもよい。したがって、X線管17、フィルタ20、X線通過板18の順番で配置して構成してもよい。なお、フィルタ20に関しては、検出側すなわち測定対象物である試料5とX線検出手段2との間に配置しても同じ効果を得ることができる。
また、X線発生手段1として、X線レーザー発生器を用いてもよい。X線レーザー発生器は空間分布が小さくなおかつ平行性の良い特定の波長帯域(単色)のX線ビームを発生する点で、理想的なX線発生手段である。ただし、図9および図10に示す構成に比べて、価格・大きさ・メンテナンス性等の点で制約が多い。
図11〜図13は、上述した空孔サイズ分布測定装置によって検出されたX線像を示す図である。図11は、点焦点型のX線管17からのX線Rを照射して多孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置せずに検出して得られたX線像を示す図であり、図12は、点焦点型のX線管17からのX線Rを照射して多孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置して検出して得られたX線像を示す図であり、図13は、点焦点型のX線管17からのX線Rを照射して無孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置して検出して得られたX線像を示す図である。
図11と図12とを比較してわかるように、反射X線阻止板15を配置したことによって、散乱角度の小さい散乱成分まで検出することができる。また、図12と図13とを比較してわかるように、本実施例の空孔サイズ分布測定装置では空孔による散乱成分を明瞭に検出することができる。
以上のような第2実施例においても、第1実施例と同様の効果が得られることはもちろんである。特に、第2実施例においては、X線検出手段2側でソーラースリットを用いずに、X線発生手段1側で点焦点型のX線管17を用いるようにしたので、散乱角度の大きい領域での検出効率を向上することができる。また、二次元タイプの位置敏感型X線検出器14を用いることによって、散乱情報を二次元的に解析できるので、絶縁体膜3中に存在する空孔X,Yなどの微細構造に異方性が存在する場合に、それを解析することができる。
さらに、第2実施例では、反射を伴わない散乱成分は、測定対象である反射を伴う散乱成分のX線像とは、入射角度θiの2倍だけずれたX線像として検出される。この反射を伴わない散乱成分のX線像は、反射を伴う散乱成分のX線像を基に、画像演算で除去することができる。
以上で説明している第1および第2の実施例では、互いに平行なX線の光束を試料に照射する場合について説明したけれども、図14に示すように、点焦点型のX線管17から広がるX線を、X線集光素子22とアパーチャ23とを用いて1点に集光する集光X線光学系を構成し、その集光点に位置敏感型X線検出器14を配置し、その中間位置に試料Mを置くことで、散乱角度に対する分解能と検出効率とを両立できることが知られている。図14は、上記の集光X線光学系の構成例を示す構成図である。
そこで、第3実施例では、上記の集光X線光学系を利用して空孔サイズ分布測定装置を構成している。第3実施例では、X線発生手段1は、X線を測定対象である試料5上に点状または線状に集光するとともに、入射角度θiで試料5に入射させるものである。
集光X線光学系を利用する場合、点焦点型または線焦点型のX線発生源と一次元または二次元集光素子との組み合わせと、この組み合わせによる焦点形状とを考慮する必要がある。ここでは、一方向に湾曲している集光素子を一次元集光素子、二方向に湾曲している集光素子を二次元集光素子と規定する。
X線集光の形態には、放物型と楕円型の2つの形態がある。放物型は、X線発生源を反射体がその一部に沿っている放物面(回転放物面)の焦点上に置き、放物面(回転放物面)の中心軸の平行な出射ビームを得る方法である。楕円型は、X線発生源を反射体がその一部に沿っている楕円面(回転楕円面)の一焦点に置き、他方の焦点上に集光する出射ビームを得る方法である。
図15は、線焦点型X線発生源と一次元集光素子(楕円型)との組み合わせによって線状のX線集光を実現する構成例を示す図である。この構成は、集光によってX線効率を高めている以外の構成・特性は、第1実施例と同じである。
図15では、X線発生手段1は、線焦点型のX線管11と、一次元X線集光素子22aと、スリット26と、ソーラースリット13とを備えて構成され、X線検出手段2は、ソーラースリット16と、一次元または二次元タイプの位置敏感型X線検出器14とを備えて構成される。
線集点型のX線管17から出射されたX線Rは、一次元X線集光素子22aとスリット26とソーラースリット16とによって集光されて、測定対象である試料5に所定の入射角度で入射される。試料5は、図示しないテーブルに載置されており、試料5を傾斜させることによって照射されるX線の入射角度を設定する。たとえば、Cu−Kαを利用する場合は、シリコン基板4に対して、0.15〜0.25度の入射角度で入射させる。このように固定された入射角度でX線Rを試料5に照射すると、X線Rは絶縁体膜3中に充分に進入し、なおかつ絶縁体膜3と基板4との界面で強く反射する。試料5で反射したX線は、ソーラースリット16を介して、位置敏感型X線検出器14に入射される。
図16は、点集点型X線発生源と二次元集光素子(楕円型)との組み合わせによって点状のX線集光を実現する構成例を示す図である。この構成は、集光によってX線効率を高めている以外の構成・特性は、第2実施例と同じである。
図16では、X線発生手段1は、点焦点型のX線管17と、二次元X線集光素子22bと、アパーチャ23とを備えて構成され、X線検出手段2は、二次元タイプの位置敏感型X線検出器14を備えて構成される。
点焦点型のX線管17から出射されたX線Rは、二次元X線集光素子22bとアパーチャ23とによって集光されて、測定対象である試料5に所定の入射角度で入射される。試料5は、図示しないテーブルに載置されており、試料5を傾斜させることによって照射されるX線の入射角度を設定する。たとえば、Cu−Kαを利用する場合は、シリコン基板4に対して、0.15〜0.25度の入射角度で入射させる。このように固定された入射角度でX線を試料5に照射すると、X線Rは絶縁体膜3中に充分に進入し、なおかつ絶縁体膜3と基盤4との界面で強く反射する。試料5で反射したX線は、位置敏感型X線検出器14に入射される。
しかしながら、図15および図16の構成では、測定位置においてX線が一定の広がりを持ち、かつ入射角度が極めて低いので、X線が試料5上の広い範囲に広がってしまう。このことは、空孔サイズ分布の試料上での位置依存性を知りたい場合に障害となる。この障害は、X線の照射範囲を制限することによって取り除くことができる。X線の照射範囲を制限する手段として、たとえば図16の構成では、アパーチャ23の縦方向の開口を制限することによって照射角度の広がりのうち縦方向を制限する手段が考えられる。しかし、この手段では、点焦点型のX線管17が有限の大きさを待っている場合に、アパーチャ23を通過した後にX線が再度広がってしまうという現象を回避できない。
そこで、図15(b)および図16(b)に示すように、試料5の測定点の真上(表面に対して垂直方向)に、X線照射範囲制限板24を配置し、試料5表面との空隙を調整することによって試料5上での所望の照射範囲を得ることが望ましい。なお、X線照射範囲制限板24と試料5表面との空隙dと、入射角度θiと、試料5上でのX線の照射長Iとの間には、I=2×d/sinθiの関係があり、入射角度θi=0.2度、照射長I=30mmの場合は、空隙dは52μmとなる。
なお、理論的には図15および図16の構成以外に、点焦点型X線発生源と一次元集光素子(楕円型)との組み合わせによって点状の焦点を得る構成が考えられる。図17は、点焦点型X線発生源と一次元集光素子(楕円型)との組み合わせによって点状の焦点を得る構成例を示す図である。ここでは、点焦点型のX線管17と、一次元X線集光素子22aとで構成している。この構成は、集光によってX線効率を高めている以外の構成・特性は第2実施例と同じである。
図17に示す構成を取るメリットは、一次元X線集光素子が二次元集光素子に比べて安価である点であるが、X線利用効率の点では二次元集光素子を用いた場合に比べて劣る。なお、集光する方向は2とおり考えられるが、図15および図16の構成でX線照射範囲制限板24の挿入を試みているように、試料に垂直な面内での集光は、試料上での照射範囲が広がってしまうので、略水平方向の面内での集光を選択するの望ましい。
その他の組み合わせの可能性を以下の表2に示す。
[表2]
Figure 0004557253
線*:X線管の線焦点を使う場合、その長手方向は試料面と平行に配置する。その他の方向は全て適用不可。またその場合、試料面に略平行な方向の集光は不可能。
線A:試料面に略垂直な結像
線B:試料面に略平行な結像
表2において、番号3は、番号7と同じで、点焦点型X線発生源と楕円型一次元集光素子とを使用するものであるが、両者を比較すると照射領域の広がりを避けられる点で、番号7の方が有利である。
また、番号4は、点焦点型X線発生源と放物型一次元集光素子とを使用して幅のある平行ビームを作り出すものであり、第1実施例のX線発生手段として適用が可能であるが、X線利用効率が番号10の線焦点利用の場合と同等であるので、より高価な素子を使用して複雑な調整機構を設ける分だけ、コストが上昇してしまう。
番号6は、点焦点型X線発生源と一方向放物型一方向楕円型の二次元集光素子とを使用して幅のある一方向集光ビームを作り出すものであるが、X線利用効率が番号11の線焦点利用の場合と同等であるので、より高価な素子を使用して複雑な調整機構を設ける分だけ、コストが上昇してしまう。
ところで、図15に示す構成は、X線を一方向(図中z方向)に集光し、別の方向(図中x方向)には平行で一定長の線分に集光する照射ビームを得る構成例である。この構成では、線焦点型のX線管11と、X線回折現象を利用した湾曲型分光器である一次元X線集光素子22aと、ソーラースリット13とを基本的に備える。さらにこの構成では、所定の幅(z方向長さ)の透孔を持ったスリット26を備えることが望ましい。
線焦点型のX線管11は、線状の陰極から発生した電子を陽極に当てて、それをより細く長く見える方向に配置した窓を通して斜め方向に出射させるものである。一次元X線集光素子22aは、たとえば楕円面にタングステンとシリコンなど2種の物質を交互に堆積した湾曲型多層膜分光素子を使用することができる。ここで使用される一次元X線集光素子22aの特徴としては、次の2つの特性を同時に実現する必要がある。
(1)X線の利用効率の観点から、線焦点型のX線管11から一次元X線集光素子22aをにらむ角度は大きいほど良い。また、線焦点型のX線管11と一次元X線集光素子22aとの距離は小さいほど、X線利用効率を上げられる。
(2)角度広がりの観点から、集光点から一次元X線集光素子22aをにらむ角度は小さいほど良い。また、本実施例では0.2度といった極低入射角度でX線を入射するので、試料5の上方にはスリット26や一次元X線集光素子22a等を配置することは不可能であり、測定点と一次元X線集光素子22aとの距離は円形の試料5の半径より大きな値となる。
シリコンやゲルマニウムといった結晶を用いて構成するX線集光光学系では、X線管と集光素子、集光素子と集光点の距離が互いに等しくなるので、上記の2つの特性を同時に満たすことは困難となる。この問題を解決する方法としてはX線発生点とX線集光点を2つの焦点とする楕円面上に、各反射点でブラッグの規則を満たすように面間隔を制御した多層膜を堆積した集光素子(分光手段)の使用が有効であり、特開平8−220027号公報などにより詳しく説明がなされている。
ソーラースリット13は、多数の薄い板またはフィルムの間に均一な厚みのスペーサを挟んで積み重ねて平行に配置したものであり、図2〜図3で説明したものと同じものである。また、スリット26は、X線を阻止することのできる材料(タングステン、タンタル、銀など)からなる2枚の板を所望の間隔をあけて配置して、2枚の板の間の空隙からX線を通過させるものである。
図15では、X線管11→集光素子22a→スリット26→ソーラースリット13の順で配置されているが、ソーラースリット13は図15に示すxy平面に投影したときに一定方向のX線のみを通過させるのが役割であるので、光路中のどの位置にあってもよい。また、スリット26は集光素子22aで回折されてきたX線のうち特定の回折角度(=yz面に投影されたときの方向)、すなわち特定の波長帯域を選択する役割であるので、集光素子22aより後段に配置する必要がある。したがって、図15に示す配置順序以外に、次のような順序で配置してもよい。
X線管11→集光素子22a→ソーラースリット13→スリット26
X線管11→ソーラースリット13→集光素子22a→スリット26
また図16に示す構成は、二方向(図中z、x方向またはいずれか一方向)に集光し、点状の集光点を持つ照射ビームを得るものである。X線発生手段1は、点焦点型のX線管17と、X線回折現象を利用した湾曲型分光器である二次元集光素子22bと、アパーチャ23とを備える。
点集点型のX線管17は、なるべく小さく集中させた電子線を陽極に当てて発生したX線を窓から出射させるもの、または線状の陰極から発生した電子を陽極に当てて、それをX線イメージが短く見える方向に低い角度で出射するように配置した窓を通して斜め方向に出射させるものである。
X線集光素子は、図15で説明したような一方向に湾曲した楕円面型多層膜を用いた場合は、点状のX線源から発生したX線を一方向に集光して効率よく利用しながら一点に集光することができる。しかし、二方向に集光させる二次元X線集光素子22bを用いれば、さらにX線の利用効率を高めることが可能となる。このようなX線光学系には次のような2種類が知られている。
(a)X線発生点と集光点を2つの焦点とする回転楕円面上に各反射点でブラッグの規則を満たすように面間隔を制御した多層膜を堆積したもの。
(b)図15で説明したような楕円面型分光器である一次元X線集光素子22aを2個直角に組み合わせてX線を各集光素子22で1回ずつ反射させることで2方向の集光を実現するもの(特開2001−356197号公報に図示されているもの)。
アパーチャ23は、X線を阻止することのできる材料からなる板に所望の大きさの孔を作ってX線を透過させるものである。図3および図4で説明したスリット19のように、1つの細長い直線状の透孔を有するスリットを2組組み合わせて構成してもよい。
以上のような第3実施例においても、上記の第1および第2実施例と同様に、散乱角度に対する分解能と検出効率とを両立できるという効果を得ることができる。
上述したような集光型のX線発生手段1を用いる場合、集光点をどの位置に設定するかが問題となる。上記のように集光点をX線検出器14の検出面上に設定した場合は、測定データの角度分解能を最良にすることができる。一方、集光点を試料5の表面(測定点)に設定した場合は、なるべく狭い領域を選択的に測定したいときに有効であるが、角度分解能は低下する。したがって、角度分解能と測定領域の選択性とのバランスを考慮する場合は、集光点を、X線検出器14の検出面と試料5の表面との間に設定すればよい。たとえば、角度分解能と測定領域の選択性との双方をバランスよく確保したい場合は、X線検出器14の検出面と試料5の表面との中間位置に設定すればよい。
以上で説明している第1、第2および第3の実施例では、それぞれX線の入射角度を極低角度に設定して、X線を絶縁体膜3と基板4との界面で強く反射するように設定している。しかし、空孔を有する絶縁体膜3が空孔を有さずに基板4と似通った密度を持つ別の絶縁体膜で覆われる試料では、X線が表面を覆う絶縁体膜の表面で強く反射されてしまい、空孔を有する絶縁体膜3に充分進入しない。このような場合には、第3の実施例と全く同じ装置の構成によりながら、X線の入射角度をやや高めに、たとえばCu−Kαを利用する場合にシリコン基板に対して0.25〜0.5度で入射させることにより、測定が可能となる。
[X線管について]
X線発生の空間分布については、ほとんどのX線応用分野において、分布が小さいもの、すなわち大きさがゼロの点に近いものが理想的である。しかし、X線管を製作する場合においては、電子の広がり制御に限界があるため、および単位面積あたりのX線発生量が熱的な要因(小面積に電力が集中すると、陽極が融けたり、熱起因の欠陥を生成したりすること)によって一定量に制約されるため、得られるX線量とX線スポットサイズとの間にトレードオフの関係がある。このような制約の中で、X線の使用目的に従って、点焦点型のX線管17と線焦点型のX線管11とを使い分けている。たとえば、X線の進行方向に直交する2方向の発生点サイズがともに等しく重要な場合は、正方形に近い形状のX線発生点(点焦点)を持つX線管17を使用する。また、X線の進行方向に直交する2方向のうち一方方向のサイズは重要であるが他方方向のサイズはさほど重要でない場合は、細長い発生点(線焦点)を持つX線管11を使用する。なお、X線の波長は0.6nm〜3nmが好ましい。
[分光器について]
分光器12は、X線管の陽極から発生する特性X線を選択して取り出すとともに、X線に方向性を持たせるために使用する。分光器12は、周期的な構造をもつ分光結晶が、必要なX線の波長に対してブラッグの条件を満たすように配置されて構成され、X線管から発生した様々な波長の中から必要なものだけを選択して取り出す。分光結晶は、たとえばシリコン、ゲルマニウム、フッ化リチウムなどの自然結晶、または人工累積多層膜によって形成される。
[X線検出器について]
各実施例では、X線検出器として、位置敏感型X線検出器14を使用している。第1実施例では、検出されたX線像の一方向、すなわち図3のx方向の分布のみを測定できればよいので、一次元型検出器を用いればよいが、xz平面での分布を測定可能な二次元型検出器を用いれば、検出器の軸と個別の試料に対応した線状反射X線の直角からのずれを補正できるので、好ましい。第2実施例では二次元型を用いており、第3実施例では一次元型または二次元型を用いている。
一次元型のX線検出器は、X線強度の1軸方向の強度分布を得ることを目的とした検出器である。一次元型のX線検出器としては、単なるX線検出器をアレー状に配置したもの、二次元に配列されたX線直接検出用電荷結合素子(CCD)、一次元配列の光検出器(CCDなど)にシンチレータを取付けたもの、位置敏感型比例計数管などが使用できる。
二次元型のX線検出器は、X線強度の面内強度分布を得ることを目的とした検出器である。二次元型のX検出器としては、単なるX線検出器をアレー状に配置したもの、二次元に配列されたX線直接検出用電荷結合素子(CCD)、二次元配列の光検出器(CCDなど)にシンチレータを取付けたもの、マルチワイヤ型比例計数管、X線イメージインテンシファイア(X線を光電子に変換した上で光用のカメラで撮像する装置)などが使用できる。また、リアルタイムな測定はできないが、X線フィルムやイメージングプレートも、二次元型の位置敏感型X線検出器として使用できる。
[各光学部品の構成および配置と、測定の角度分解能およびX線利用効率との関係について]
小角X線散乱法においては、X線の照射および検出における角度広がりを小さく抑えることが、データの角度分解能および最低散乱角度(測定できる最も大きな空孔サイズに対応)の決定要因となる。ここでは、上記の各実施例におけるX線管、スリットなどの光学部品の物理的な構成(大きさなど)および配置と、測定の角度分解能およびX線利用効率との関係について、検討する。
(i)線焦点型のX線管11(+分光器12)+スリット19(+ソーラースリット13)の場合の「スリット19のスリット幅」
z方向の角度分解能は主に、X線管11におけるX線発生点とスリット19との間の距離Lxsと、スリット19のスリット幅Dsと、X線管11におけるX線発生点の実効焦点幅(照射側から見たときの長手方向に直角の幅)Dxとで決定される。z方向の概略角度広がりφi-zは、以下の数式(1)で表わされる。
[数1]
Figure 0004557253
一方、ソーラースリット13を入れない場合の概略x方向の概略角度広がりφi-xは、一般に、z方向の概略角度広がりφi-zの数倍〜数十倍となってしまうので、概略x方向の概略角度広がりφi-xを主に考慮して、スリット19のスリット幅Dsを決定する必要がある。この観点から、X線発生手段1が分光器12を備える場合であっても、できる限りソーラースリット13を配置するのが望ましいといえる。また、X線の利用効率はスリット幅Dsに比例し、他方、波長分解能や角度分解能はスリット幅Dsが小さいほどよいので、波長分解能・角度分解能とX線利用効率とのバランスを考慮しながら、スリット幅Dsを決定する。
(ii)線焦点型のX線管11(+分光器12)+スリット19+ソーラースリット13の場合の「ソーラースリット13の角度分解能」
この場合の概略x方向の角度広がりφi-xは、ソーラースリット13の角度分解能φssで決定される。ソーラースリット13の概略角度広がりは、一般にソーラースリット長Lssをスペーサー厚みDssで除したものの2倍となる。
[数2]
Figure 0004557253
また、X線の利用効率はソーラースリット13の角度分解能φssとソーラースリット13の開口率との積に比例するので、角度分解能と利用効率のバランスを考慮して、ソーラースリット13の開口率を決定する。
(iii)上記の(i)(ii)の照射系に対応する検出系に使用する「ソーラースリットの角度分解能」
検出系に使用するソーラースリットの角度分解能φd-xとX線利用効率は、(ii)の場合に準じる。照射系と検出系の角度分解能は、角度分解能とX線利用効率の観点からは、同一にするのがよい。
(iv)集光光学系の場合
集光光学系(一方向のみの場合は集光方向について)の場合、集光点がX線検出器の検出面上にある場合には、角度分解能はX線通過板18の小孔18aの大きさによっては左右されない。集光光学系における角度分解能φは、X線集光素子22の不完全性などによっても左右されるが、一般的にはX線管におけるX線発生点とX線集光素子22の距離Lxmと、X線集光素子22から結像点(=X線検出器の検出面)までの距離Lmdと、X線管の実効大きさDxとに基づいて、下記の数式(3)に従って計算できる。
φ=Dx・Lmd/Lxm …(3)
アパーチャなどで実現されるX線通過板は、X線管から発生したX線がX線集光素子の有効反射領域のみに当たるように設計することによって、X線がX線集光素子の支持材に当たって不要な蛍光X線を発生させたり、X線がX線集光素子に反射されることなく試料やX線検出器に直接到達したりすることを防ぐことができる。
[解析方法]
図18は、小角散乱の実測データを示す図である。このデータから、散乱X線強度Iの散乱ベクトルの大きさqに対する依存性を求めたものを図19のグラフに示す。
図18に示す実測データから散乱X線強度Iの散乱ベクトルの大きさqに対する依存性I(q)を求めるためには、次のような手順で変換を行う。
図20は、I(q)を求める概略的な手順を示す。ステップa0から手順を開始する。
ステップa1では、第1〜第3の実施例のように、極低入射角でX線を照射し、空孔を有する絶縁体膜3と基板4との界面での反射を経た後に散乱されるX線を主に観測する場合は、鏡面反射の中心座標を導出する。第4の実施例のように、より高い入射角度でX線を入射し、空孔を有する絶縁体膜3と基板4との界面に到達する以前に散乱されるX線を主に観測する場合は、測定対象物が存在しない条件の下で検出器に直接到達するX線の中心座標を導出する。鏡面反射の場合は、図18のようにX線検出器の一部を覆うタイプの減衰型のX線阻止板を使用している場合には、写っている反射X線のプロファイルから中心位置を導出することができる。また、図18のようにX線検出器の一部を覆うタイプのX線阻止板を使わずに、X線検出器の前面全部を覆うタイプのX線減衰板を使用している場合は、X線検出器の前面全部をX線減衰板で覆い、強い鏡面反射イメージを収集し、中心座標(x0,z0)を得る。また、直接到達するX線の場合は、一旦試料を、X線を遮らない位置に移動させてイメージを収集し、中心座標(x0,z0)を得る。次のステップa2では、強い鏡面反射成分が覆われるように完全阻止型のX線阻止板を配置して位置を調整し、強い反射がX線検出器に入らないようにした上で、弱い散乱X線イメージを収集する。
このように鏡面反射の中心座標(x0,z0)が得られたら、次の手順でI(q)を計算する。ステップa3では、求めたいqの範囲を、X線検出器やX線光学系の角度分解能を考慮しながら適当な個数に分割し、実数の配列I[i](i=0,1,2,…,n、n×d=qmax)を用意し、配列の各要素にはすべて0を代入して初期化しておく。ステップa4では、整数の配列N[i]を用意し、配列の各要素にはすべて0を代入して初期化しておく。
ステップa5以下、X線検出器の各検出素子について、次の各操作を繰り返す。ステップa5では、1つのピクセルを選択する。ステップa6では、全部のピクセルについて処理が終了しているか否かを判断する。ピクセルは1つずつ選択し、X線検出器の検出面に存在する全てのピクセルを選択して処理すれば、全ピクセル終了として判断される。
ステップa6で全ピクセル終了ではないと判断するとき、ステップa7で、ピクセルの座標(x,z)が予め設定された領域A1(図18(b)において紙面上で左右方向に長い長方形の部分)外であるか否かを判断する。ピクセルが領域A1の範囲内で無ければ処理をしない。ステップa8では、検出素子の1ピクセル座標(x,z)と鏡面反射中心座標(x0,z0)とからX線検出器上での距離rを計算する。
r=√[(x−x0)+(z−x0)] …(4)
ステップa9では、次の数式(5)によって、距離rと試料上の測定点−X線検出器間の距離Lから、散乱角度θを求める。
tan2θ=r/L …(5)
ステップa10では、次の数式(6)によって、大きさqを求める。
q=(4πsinθ)/λ …(6)
ステップa11では、次の関係式(7)を満たすiを求める。
×d≦q<(i+1)×d …(7)
ステップa12では、配列I[i]の内容に、当該検出素子に蓄えられた信号強度を加算する。ステップa13では、配列N[i]の内容に、1を加える。次に、ステップa5に戻る。ステップa6で、全てのピクセルについて処理が終了すると、ステップa14で、全てのiについて、配列I[i]の内容を、配列N[i]の内容で割る演算処理を行い、処理結果を大きさI(q)とする。ステップa15で手順を終了する。
上記の操作ステップa5からの操作で使用するデータ蓄積領域は、次のように定義する。
[1]散乱X線データが観測されること。
[2]他の妨害成分の比率が散乱X線信号に比べて充分小さいこと。
特に、条件[2]に関して、図18に示す領域A2(紙面上で上下方向に細長い長方形の部分)には、絶縁体膜の表面の粗さおよび絶縁体膜と基板の界面の粗さに起因する方向性を持った散乱成分が存在するので、蓄積領域から除外することがS/Nの良いデータを取る上で重要である。
なお、以上の説明は、一定時間内に入射したX線イメージを蓄積するピクセルタイプの位置敏感X線検出器(CCDなど)に関するものである。入射したX線の光子一個一個についてその2次元座標を出力するタイプのX線検出器(マルチワイア型X線検出器など)では、一旦XZ方向に一定の距離で区切った2次元配列にデータを蓄えた上で、上記と同様の処理を行うこと、あるいは、X線の光子一個一個の座標データに対して上記に準じた操作を行うことによって、大きさI(q)を求める。
ところで、空孔の形状を仮定すれば、散乱X線量の大きさqに対する分布I(r,q)が、X線の屈折量の確率分布に関する理論的な考察によって理論的に求められる。たとえば、空孔の形状が球と仮定した場合には、散乱X線量は、下記の式(8)に従って求められる。
I(r,q)=c・φ(2πqr) …(8)
ここで、cは装置定数であり、
φ(x)=3・(sinx−xcosx)/x …(9)
である。
したがって、空孔の直径が一定と考えられる場合には、このI(r,q)が実測データと一致するようなrをパラメータフィッティング法で求めることによって、空孔のサイズを求めることができる。
また、空孔の直径が一定と考えられない場合には、空孔のサイズの分布関数をP(r)とすると、散乱X線量の大きさqに対する分布I(q)は、以下の式(10)で表すことができる。
I(q)=∫P(r)・I(r,q)dr …(10)
したがって、適当なモデル関数によって記述されたP(r)を用いてパラメータフィッティングを行うことによって、空孔のサイズ分布を求めることができる。
ここまでは空孔が球の場合であるが、それ以外の場合はI(r,q)の部分が、その形状に対応する関数に置き換わる。また、異方性のある空孔が基板に対して配向している場合には、散乱ベクトルの方向によって散乱確率が変わるので、散乱X線イメージは同心円状の分布は示さない。たとえば、図21のように、基板に垂直方向に膜の上から下まで貫通する円柱状の空孔が存在する場合には、基板に垂直方向(z軸方向)のX線の散乱は、発生しない。
この場合に、X線の進行方向をy軸方向とし、y軸方向とz軸方向との双方に垂直な方向をx軸方向とすると、散乱X線強度分布は、下記の一般式(11)で表される。
I(qx)=∫P(r)・I(r,qx)dr …(11)
一般式(11)を、実測データから散乱X線強度のqx依存性に変換したデータに対してパラメータフィッティングすることによって、円柱の半径分布が求められる。
[平行光学系におけるオフアングル測定について]
X線検出器によって得られる散乱X線信号には、絶縁体膜内部に存在する空孔による散乱のほかに、絶縁体膜の表面の荒れや絶縁体膜と基板の界面の荒れに起因する散乱が重畳されている。しかし、図22に示すように、表面の荒れに起因する散乱X線は、入射X線と反射X線を含む平面内に集中して出射される。図22は、照射角度を全反射臨界角度未満にすることによって主に表面の荒れによる散乱を観測したX線像を示す図である。
したがって、空孔からの散乱を精度良く観測するためには、第2実施例に係る装置では、観測されるX線像のうち表面・界面荒れによる散乱が強い方向を避けて積分するべきである。
一方、第1実施例に係る装置では、通常よく知られているように検出に使用するソーラースリット16を照射X線ビームに平行に配置した場合には、表面からの散乱と空孔からの散乱が重畳されて検出される方向のみを集中して観測することになる。そこで、図23に示すような手順で、図24に示すように、検出側のソーラースリット16にxy平面内で回転可能にしておき、次のような手順で観測することによって表面からの散乱の影響を避けてより良いS/Nで測定を行うことができる。なお、回転機構については、図示を省略する。
図23は、表面からの散乱を避けて測定を行う概略的な手順を示す。ステップb0から手順を開始し、ステップb1では、図25に示すように、ソーラースリット16を反射X線に平行にする。ステップb2では、X線強度のz方向(図25の紙面に対して垂直方向)の分布を測定して反射X線の中心z0を検出する。
ステップb3では、図26に示すように、ソーラースリット16を、反射X線方向に対して角度2θxだけ回転させる。この時、回転角度が小さすぎると表面からの散乱X線成分を避け切れず、大きすぎると最小検出散乱角θmin=θxが大きくなりすぎて散乱ベクトルqが小さい領域の信号を取りきれないことになり、空孔径の大きな領域での測定感度を失うことになるので、適当な値を選択する。ステップb4では、X線強度のz方向分布を測定して反射X線の中心z0を検出する。ステップb5で手順を終了する。
なお、このように検出側のソーラースリット16を回転して検出する場合は、強い鏡面反射が抑制されるので、反射X線阻止板15の必要性はより低くなる。
こうして得られた散乱X線強度の座標zに対する依存性データI(z)は、次の数式に従って、X線検出器上の座標zを散乱ベクトルの大きさqに変換することによって、大きさI(q)に変換することができる。
tan2θz=(z−z0)/L …(12)
θ=√(θx+θz) …(13)
q=(4πsinθ)/λ …(6)
なお、試料5を載置するステージ(図示せず)を移動させて、空孔サイズの出現確率の面内分布も測定することは、もちろんである。
[X線入射角度の設定方法]
図27は、X線入射角度の概略的な設定手順を示す。ステップc0から手順を開始し、ステップc1では、試料5およびX線照射範囲制限板24のいずれもがX線を遮らない位置に充分に退避させた状態で、図28に示すように、照射X線が位置敏感型X線検出器14に当る点P1の座標を記録する。次に、ステップc2では、図29に示すように、位置敏感型X線検出器14に入射するX線強度が図28の状態の50%をやや上回る程度のT1(%)、たとえば52%になるように、X線照射範囲制限板24でX線の一部を遮る。
次のステップc3では、図30に示すように、試料5のX線ビーム中心に対する傾きが概略所望の入射角度θiとなるように、試料5を傾斜させる。ステップc4では、図31に示すように、位置敏感型X線検出器14に入射するX線強度が図28の状態のT2(%)となる位置まで、試料5を移動させる。このとき、比率T2は、次の(14)式で計算することができる。
T2=(T1−50)×2×R …(14)
ここで、Rは所望の入射角度θiでの試料5のX線反射率である。図30で、入射角度θiとX線検出位置座標P2の間には、次の(15)式の関係が成り立つ。
[数3]
Figure 0004557253
ここで、aはP1とP2との距離、bはX線照射範囲制限板24と位置敏感型X線検出器14との間の距離である。この式から計算される入射角度θiと所望の入射角度との間にずれがある場合には、ステージを動かして調整する。
次にステップc5で、X線照射範囲制限板24の高さを変化させて、そのときに検出されるX線強度の変化を観測する。ステップc6では、X線照射範囲制限板24の高さとX線強度との関係から、X線照射範囲制限板24と試料5との間の空隙を計算する。X線照射範囲制限板24の位置を変化させる前のX線強度をI、X線照射範囲制限板24の移動量をΔd、X線強度の変化をΔIとすると、空隙dは、次の(16)式で計算することができる。
[数4]
Figure 0004557253
ステップc7で手順を終了する。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
以上のように本発明によれば、測定対象に照射するX線の入射角度を固定して空孔または粒子サイズを測定するので、従来技術のように入射角度および検出角度を変化させる場合に比べて短時間で高精度の測定が可能となる。また、基板で反射した後に空孔または粒子で散乱された散乱成分を検出するので、X線光学系の分解能が高ければ、非常に小さい散乱角度からの測定が可能となる。
また本発明によれば、位置敏感型X線検出器を利用するので、発生する散乱X線成分を効率よく検出することができ、短時間で高精度の測定が可能となる。
また本発明によれば、X線発生手段側で点焦点型のX線管を用いるようにしたので、散乱角度の大きい領域での検出効率を向上することができる。また、二次元タイプの位置敏感型X線検出器を用いることによって、散乱情報を二次元的に解析できるので、絶縁体膜中に存在する空孔または粒子などの微細構造に異方性が存在する場合に、それを解析することができる。
また本発明によれば、強度が大きい鏡面反射成分が位置敏感型検出器に入射されるのを防ぐことができる。これによって、強度の大きい余分な鏡面反射成分を遮断して本来検出したい散乱成分を正確に検出することができる。
また本発明によれば、X線を集光して試料に入射させるので、X線の利用効率が高まり、良好な測定を行うことができる。また、上記の構成と同様に、散乱角度に対する分解能と検出効率とを両立できるという効果を得ることができる。
また本発明によれば、試料の測定点の真上に所定の間隔をあけてX線照射範囲制限板を配置して、試料上での照射範囲を制限することができるので、試料上でX線が広い範囲に広がることが防止され、空孔または粒子サイズ分布の試料上での位置依存性を精度よく知ることができる。
さらに本発明によれば、膜中の空孔や粒子の分布に対応する小角散乱X線を、点焦点のX線源から照射し、2次元位置敏感型検出器で検出することができる。
本来の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
図1は、本発明の空孔サイズ分布測定装置の概略的構成を示す構成図である。
図2は、空孔サイズ分布測定装置の第1実施例の具体的な構成例を示す構成図である。
図3は、第1実施例におけるX線発生手段1の他の構成例を示す斜視図である。
図4は、第1実施例におけるX線発生手段1のさらに他の構成例を示す斜視図である。
図5は、キャピラリプレート10の構成を示す一部切欠斜視図である。
図6は、線焦点型のX線管11からのX線Rを照射して多孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置せずに検出して得られたX線像を示す図である。
図7は、線焦点型のX線管11からのX線Rを照射して無孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置せずに検出して得られたX線像を示す図である。
図8は、散乱成分の散乱角度の大きさと、散乱成分のうちソーラースリット16を通過する成分との関係を示す模式図である。
図9は、空孔サイズ分布測定装置の第2実施例の具体的な構成例を示す構成図である。
図10は、第2実施例におけるX線発生手段1の他の構成例を示す斜視図である。
図11は、点焦点型のX線管17からのX線Rを照射して多孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置せずに検出して得られたX線像を示す図である。
図12は、点焦点型のX線管17からのX線Rを照射して多孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置して検出して得られたX線像を示す図である。
図13は、点焦点型のX線管17からのX線Rを照射して無孔質試料からの反射X線を反射X線阻止板15を配置して検出して得られたX線像を示す図である。
図14は、X線光学系の構成例を示す構成図である。
図15は、空孔サイズ分布測定装置の第3実施例の具体的な構成例を示す構成図である。
図16は、第3実施例における他の構成例を示す斜視図である。
図17は、第3実施例におけるさらに他の構成例を示す斜視図である。
図18は、本発明の空孔サイズ分布測定装置における実測データを示す図である。
図19は、散乱X線強度の散乱ベクトルの大きさqに対する依存性を示すグラフである。
図20は、散乱X線強度の散乱ベクトルの大きさqに対する依存性を求める概略的な手順を示すフローチャートである。
図21は、基板4に垂直方向に絶縁体膜3の上面から下面まで貫通する円柱状の空孔が存在する試料5を示す概略斜視図である。
図22は、照射角度を全反射臨界角度未満にすることによって主に表面の荒れによる散乱を観測したX線像を示す図である。
図23は、平行光学系におけるオフアングル測定を行う場合の概略的な手順を示すフローチャートである。
図24は、平行光学系におけるオフアングル測定を行う場合の構成例を示す斜視図である。
図25は、平行光学系におけるオフアングル測定について説明するための模式図である。
図26は、平行光学系におけるオフアングル測定について説明するための模式図である。
図27は、X線入射角度設定の概略的な手順を示すフローチャートである。
図28は、X線入射角度設定の途中の段階を示す簡略化した側面断面図である。
図29は、X線入射角度設定の途中の段階を示す簡略化した側面断面図である。
図30は、X線入射角度設定の途中の段階を示す簡略化した側面断面図である。
図31は、X線入射角度設定の途中の段階を示す簡略化した側面断面図である。
図32は、オフセットスキャン法におけるX線散乱角度を示す模式図である。
図33は、オフセットスキャン法による反射型小角X線散乱測定法に用いる測定装置の概略的構成を示す構成図である。

Claims (7)

  1. 表面に多孔質性の絶縁体膜が形成される基板を測定対象とし、前記絶縁体膜内に存在する空孔または粒子のサイズ分布を測定する空孔または粒子サイズ分布測定装置において、
    入射角度が前記絶縁体膜の全反射臨界角度より大きく、かつ前記基板の全反射臨界角度の1.3倍を超えない所定の入射角度で、X線を前記絶縁体膜表面側から照射するX線発生手段と、
    前記X線発生手段から照射されたX線のうち、前記絶縁体膜に入射して前記基板表面で反射された反射成分が前記空孔または粒子に入射して散乱されて前記絶縁体膜から出射した散乱成分であって、前記反射成分が前記空孔または粒子に入射せずに前記絶縁体膜から出射したときの出射成分の中央値角度に相当する成分は遮断し、それ以外の散乱角度に相当する成分を検出するX線検出手段と
    有することを特徴とする空孔または粒子サイズ分布測定装置。
  2. 前記X線発生手段は、
    線焦点型のX線管と、
    前記X線管から発生されるX線のうち、特定の波長帯域の成分であって、かつ互いに平行な方向成分からなる平行光束を前記所定の入射角度で前記測定対象に入射させるX線成分選択手段とを有し
    前記X線検出手段は、
    前記測定対象からのX線のうち、測定散乱角方向に対して直角方向成分のうち、中心軸成分を除く方向成分のみを通過させるスリットと、
    前記スリットを通過したX線を検出する位置敏感型X線検出器と
    有することを特徴とする請求項1記載の空孔または粒子サイズ分布測定装置。
  3. 前記X線発生手段は、
    点焦点型のX線管と、
    前記X線管から発生されるX線のうち、特定の波長帯域の成分であって、かつ互いに平行な成分からなるX線ビームを、前記所定の入射角度で前記測定対象に入射させるX線成分選択手段とを有し
    前記X線検出手段は、前記測定対象からのX線を検出する位置敏感型X線検出器を有することを特徴とする請求項1記載の空孔または粒子サイズ分布測定装置。
  4. 前記X線検出手段は、前記絶縁体膜に入射して前記基板表面で反射された反射成分が前記空孔または粒子に入射せずに前記絶縁体膜から出射される鏡面反射成分が、前記位置敏感型X線検出器の検出面に入射するのを阻止する反射X線阻止板を有することを特徴とする請求項2または3記載の空孔または粒子サイズ分布測定装置。
  5. 前記X線発生手段は、
    X線発生源と、
    前記X線発生源からのX線を、前記測定対象上に集光するとともに、前記所定の入射角度で前記測定対象に入射させるX線集光手段とを有し
    前記X線検出手段は、位置敏感型X線検出器を有す
    ことを特徴とする請求項1記載の空孔または粒子サイズ分布測定装置。
  6. 前記X線発生手段は、前記測定対象における前記X線の入射位置の真上に所定の間隔をあけて配置されるX線照射範囲制限板を有することを特徴とする請求項5記載の空孔または粒子サイズ分布測定装置。
  7. 前記X線発生手段は、
    点焦点のX線と、
    前記X線管から発生させるX線のうち、特定の波長帯域の成分であって、かつ互いに平行な方向成分からなる平行光束を前記所定の入射角度で前記測定対象に入射させるX線成分選択手段とを有し、
    前記X線検出手段は、
    前記測定対象からのX線のうち、測定散乱角方向に対して直角方向成分のうち、中心軸成分を除く方向成分のみを通過させるスリットと、
    前記スリットを通過した散乱X線を検出する2次元位置敏感型検出器と
    有することを特徴とする請求項1記載の空孔または粒子サイズ分布測定装置。
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